BLEACH《新たな歩み》 作:白黒
「誰だ…お前は…」
不気味な笑みを浮かべる着物の女性に男は問う。
「あなたはもう私を使えない」
男は驚いた。言葉がわかる。ただそれだけのことなのに男は驚いた。
「がっかりですわ。今回のあなたならと思っていたのに…」
何言ってるんだ?今回の俺?意味がわからない。
「次のあなたはもう目覚めました。もう用済みですわ。もう死んでもいいのですよ」
死ぬ?俺が?何を言っている。まだ約束を果たしていな…
一瞬だった。二、三十メートルは離れている距離にいた女性が目の前にいる。
「うがっ…」
女性の手を見なければ気づかなかった。俺の心臓が取られているなんて。
「もういいですよ。倒れなさい。あなたは成し遂げられなかった、それだけです」
男の息はもうない。
「ただ…求めすぎたのかもしれませんね。死神も、滅却師も、虚もいない世界なんて…」
静かな砂漠に不気味な音をたてながら一部の時空が歪む。その歪みに女性は入っていく。
「次はどのような物語を刻んでいくのですか?…竜也くん…」
その場から女性はいなくなり、冷たい男がただ倒れているだけとなった。
だが…
歪みが閉じる瞬間だった。
《消し現れろ》
来世の俺よ。すまない。この呪いは止められなかったよ。
《存在の刀。第零の型》
女は閉じて行く歪みを止めた。
《卍…解…》
周囲の空気が一瞬で冷たくなる。
女は男の卍解をみて動いた。まるで一瞬の突き。鋭い爪が手を槍としてみせる。
男はそれを防ごうともせず、
《虚化…》
男の顔半分に骸骨のようなお面。指が鋭い鎌のようになりその手で女の突きを掴む。背中には膜のない翼。その翼から無数の玉ができ、
「
女を貫いて行く。
「混合種ごときが!!!」
ボロボロになりながらも男に向かって行く。
《存在の刀!第六!卍解!》
白く綺麗だった着物が一瞬にして血の色に染まっていく。次の瞬間、
《消》
「何度も言わせるな。玲。俺に卍解をみせるなと…」
「な!?」
女は一瞬で卍解が解ける。
ありえないスピードで動いていた女は集中が途切れ地面に肩から滑り転げた。
《現》
男の髪が腰まで伸び血の色に染まって行く。
「ふふふ…卍解を奪えたからといって何ができる!お前は私より強くはなれない!」
男は全身を脱力させ、胸に刀を刺しながら、
「竜也…託すぞ」
「ッ!」
胸を貫通したその瞬間、男の卍解、奪った力、虚化、全てが解け光の粒となって消えていく。
「貴様…」
「力は来世に授けた」
女は一瞬で男に近づき、ありもしない力を求め右手に力を込めて男の右肩から左ももまで切り裂く。
「くそが…」
もう力も何も残ってなく、男は動いていない。そしてもう、普通の死体となっている。
「しょうがないですわね…まぁ失敗したら殺す。それだけです」
女は歪みをもう一度作りその中へと入って行く。
「玲…先導 玲…久しぶりに名前を呼んでくれましたね」
歪みは閉じると跡形もなく消えてしまった。
:
「…なさいよ!朝飯できてるんだよ!」
ゴフッ!?
雀の鳴き声が聞こえる晴天の朝。まるで平和な日常を語り出しそうな風景だ。なのに、俺 竜也は知らない女性の強力な肘打ちを食らった。
「こ、ここは…?」
「昨日来ただろ。…たく、霧丸の奴。変な奴を捕まえてきてなにが世話をしろだ」
「霧…丸?」
俺が殺した人の名前。なんで生きているんだ?
「君今、酷いことを考えたでしょ」
後ろから囁かれた声、声の主はわかる。霧丸だ。
「いやぁごめんね。でもでもあんな簡単に殺されないよ」
霧丸は笑顔で言う。竜也少しホッとしながらも昨日の出来事を思い出し身構える。
「そんな硬くならなくて大丈夫だよ。もう君を襲ったりはしない。だから…」
怪しい。逃げよう。
そう思った時にはもう遅かった。なぜ気づかなかったのか。部屋はとてつもなく寒く下半身全てが凍っていた。竜也は完全に動けない状態でいた。
すると後ろの女性が霧丸に飛びかかり、
「朝飯が冷えたらどうすんだ!ゴラァ!」
霧丸の頭に強烈な肘打ちが舞い降りた。
神の怒りの一撃に感じた。
最近寒くないですか!?
皆さん、暖かい格好してくださいね!