ほんじゃら決闘の続き~。
今回、ちとセコイが描写あるけど、それでも良ければ読んでやっとくれ。
ほんじゃら、行ってらっしゃい。
視点:外
「……」
小さなレストランの窓から、エドは、空を見上げていた。
この街に到着した時とは打って変わり、青色だった空は暑い雲に覆われている。
突然天気が悪くなること自体はあり得なくはないが、今感じるものは、そんな単純なものじゃない。
実際に、エドが気にしているのは雲ではなく、むしろ地上の方で、その地上から伸びている、見えはしないが、確かにそこに感じる、巨大な何かだった。
「なに感じてる?」
そんなエドに向かって、掛けられる声があった。
向かい合いの席に座る、愛らしい声と笑顔を向けてくれる、一歳上の、先輩だった。
「あ、いや……急に天気が悪くなったと思って、気になっていただけだ」
「……ただの天気だったら、良いんだけどね」
「……」
「……なんか、街全体が、なにか大っきなものに見張られてて、外に出ていこうとしたら怒られちゃいそうな……そんな感じ?」
「……」
エドが曖昧に感じるそれを、あずさは、実に分かり易い言葉で説明してくれた。
「……えへへ。ごめんね、いきなり変なこと言っちゃって」
ごまかすように笑いだし、謝罪をする。あずさも、自分がいかに理解の難しい話をしているのか、その自覚はあったのだろうと思う。
そして、その自覚と共に、エドも同じ自覚をしていること。そして、エドにはそんなことを巻き込まないようにすること、そんな気遣いの表れのように見えた。
「……それで、どうする? この後、どこか行きたいとこ、ある?」
「えっと……」
あからさまに話題を逸らされ、別の問題を思案させられる。
だが、それ以上に外の様子が気になって……なにより、あずさの笑顔を前にして、冷静でいることは難しかった。
「……あはは。やっぱ、わたしと一緒じゃ、つまんないよね……」
「え……?」
と、あずさは目を逸らしながら、悲しげな、そして、申し訳なさげな声を出した。
そして、そんな感情をひた隠し、それでも眩しい笑顔を浮かべ、言葉を続けた。
「わたし、ここらでおいとまするね。ここはわたしが奢るから、ゆっくり食べてって」
「あ、いや……」
気が付くとエドは、立ち上がったあずさの、テーブルに着いた手を掴んでいた。
「え……?」
「あ……」
腰を上げ、歩き出そうとしていた、中途半端な姿勢で制止する。
幸い、この二人以外に客の姿は見えないが、それでもエドにとって、この沈黙は耐え難いものがあった。
「えっと……」
何か言わなければ……
そんな衝動の焦りから、必死に言葉を探し、声に出す。
「……もう少し、一緒に、いて欲しい……」
声にした後で、後悔した。それでも、ここまできて、止めることはできなかった。
「僕は……君が、そばにいてくれるだけで、十分に楽しいから……だから、僕のそばにいて欲しい。できるだけ長く……この先も、ずっと」
「……」
去ろうとした手を握り、迷いながらも真剣な目を向けながら、羞恥に逆らい言葉にする。
目の前でそれをした年下の男の子からは、確かな真剣さと、精一杯の勇気があった。
「……」
中途半端な返事はできない。そう思ったから……
「ごめん」
そう、はっきりと返事を返しながら、その手を引き離す。
「えへへ。わたしなんかに対して、そんなふうに思ってくれて嬉しいよ……嬉しいけど、ダメだよ。よりによって、こんなわたしに、そういうこと思っちゃ……」
「……」
その言葉には、納得はできかねた。少なくともエドにとっては、あずさはそんな女ではない。自分が愛することのできる、素晴らしい女性なのだから。
それでも、彼女の気持ちは知っているから、否定はできなかった。
今こうして話している時も、この街で見かけて誘った時も、彼女の心には、一人の男しかいない。
今頃は別の美女と時間を共にしているであろう、臆病者しかいないことは、見ていて分かる。
「……あはは。わたしがこんな、偉そうなこと言うのも変だろうけどさ……」
無理やり明るい声と表情を作りながら、そう言った彼女からは、そんな表情に見合った楽しさは、まるで感じない。感じるのはただひたすらな、寂しさだった。
「またプロのお話し聞かせてよ。食べたかったら、またお弁当作ってあげるから」
「あ……あ、ああ。それは楽しみだ。僕が今日言ったことは気にしないで、ぜひまた遊びに来てくれ。いつでも歓迎するよ」
「あはは。ありがとう」
そんなやり取りの後で今度こそ、あずさは去っていく。
「……」
残されたエドは、まだ飲み干していないジュースを眺めながら、静かな店内の空気に身を晒していた。
映し出された顔は無表情だが、無だからこそ、酷い有様に見える。
プロの決闘大会の場でこんな顔をしていては、今までの人気は一瞬で帳消しになるかもしれない。
むしろ、誰かに写真でこんな顔を撮られ、雑誌にでも載れば……
そうなったとしても、今のエドにとってはどうでもよかった。
笑いたければ笑えばいい。嫌いたければ嫌えばいい。
今まで、プロとして世界中から人気を集めた男が、たった今、たった一人の、意中の女性からフラれた場面だ。そんな惨めな姿を見ろ……
そんなふうに、自棄になりかけたところで、思い出す。
「あずさ……」
のんびりしていて純真で、ふわふわしていて優しくて……
なのに、強くて、芯が逞しく、明るくて、楽しい女性……
そんな人が、今の自分の姿を見たら、どう思うだろう……
「……」
失恋は、とても苦しい。それでも、彼女に心配されるようなことはしたくない。
ずっと座っていたくなるほどダルイ体に、無理やり力を込めて立ち上がった。
「……?」
立ち上がり、再び窓に目を向けた時、そこには、知っている人物が走っていた。
「十代……?」
十代と、老人も一人、一緒に走っている。
「……」
エドには関係の無い光景。なのに、気が付けばそれを追っていた。
その光景が何であれ、今の感情を少しでもごまかしてくれるもの。
それが例え十代だろうが、縋りたい気分だった。
……
…………
………………
「シンクロモンスター……」
「『A・O・J カタストル』……」
星華は呆然としながら、目の前の光景に目を奪われていた。
シンクロ召喚は、今から数年先に誕生する召喚方法。
アカデミアでそれを使うことができるのは、特別な事情でそのカードを偶然手に入れてしまった、
引き籠っている間、梓からは確かにそう聞かされた。
実際に、この二人以外でそれを使う人間は見たことが無い。
だからこそ、
「貴様、なぜそれが使える? シンクロ召喚は……」
「……俺にも分からない。気が付けば、手元にこのデッキがあった。手に取った瞬間、使い方が分かった。それだけだ……」
ずっと発していた静けさそのままの声で、そう返された。
「……」
星華が口を閉じたのを確認し、カズヤは再びカードに手を伸ばす。
「……カードを二枚伏せる。これでターンエンド」
カズヤ
LP:4000
手札:1枚
場 :モンスター
『A・O・J カタストル』攻撃力2200
魔法・罠
セット
セット
梓
LP:4000
手札:4枚
場 :モンスター
『氷結界の守護陣』守備力1600
『氷結界の伝道師』守備力400
魔法・罠
無し
「く……私のターン、ドロー!」
星華
手札:5→6
決闘に集中せねば。
目の前の衝撃に捉われないよう、自分にそう言い聞かせ、手札を見る。
いつもそうするように、今ある手札でできる限りの、最良の手を思案する。
「……『マシンナーズ・ギアフレーム』を召喚」
『マシンナーズ・ギアフレーム』ユニオン
レベル4
攻撃力1800
「このカードが召喚に成功した時、デッキから『マシンナーズ』と名の付いたモンスター一体を手札に加えられる。私は『マシンナーズ・フォートレス』を手札に」
星華
手札:5→6
「ほえー、お姉さんも機械族なんだ」
カズヤとは対照的な、能天気で間抜けな声が、星華の正面に立つ、兄のタクヤから聞こえた。
「ああ。見ての通りだ。手札の『マシンナーズ・フォートレス』の効果。手札からレベルの合計が8以上になるよう、機械族モンスターを捨てることで、手札か墓地にあるフォートレスを特殊召喚できる。私は手札から、レベル2の『オイルメン』と、レベル7の『マシンナーズ・フォートレス』を捨て、墓地へ送られた『マシンナーズ・フォートレス』を特殊召喚」
星華
手札:6→4
『マシンナーズ・フォートレス』
レベル7
攻撃力2500
「カードを一枚伏せ、ターンを終了」
星華
LP:4000
手札:3枚
場 :モンスター
『マシンナーズ・フォートレス』攻撃力2500
『マシンナーズ・ギアフレーム』攻撃力1800
魔法・罠
セット
「さ~てさて、僕のターン、ドロー」
タクヤ
手札:5→6
「まず……『天使の施し』を発動。カードを三枚引いて、二枚捨てる。そして、僕も……魔法カード『旧型出陣』。自分の墓地の機械族モンスター一体を蘇生させる。僕が呼ぶのは~……『ジェネクス・ブラスト』」
『ジェネクス・ブラスト』
レベル4
攻撃力1600
「『ジェネクス』……」
梓が呟くと同時に現れた、緑色の、扇風機に小さな手足の着いたような見た目の機械。
「『ジェネクス・ブラスト』の特殊召喚に成功した時、デッキからジェネクスと名の付いた闇属性モンスター一枚を手札に加えられる。僕が手札に加えるのは、闇属性のチューナーモンスター『ジェネクス・コントローラー』。そしてこのまま通常召喚~」
『ジェネクス・コントローラー』チューナー
レベル3
攻撃力1400
その小さな機械は、『ジェネクス・ブラスト』に比べれば、可愛らしい機械だった。
「それじゃあ早速……レベル4の風属性『ジェネクス・ブラスト』に、レベル3の『ジェネクス・コントローラー』をチューニング」
「やはり……」
「こいつも……二人揃ってか……!」
「鋼機の絆よ、烈風と交わりて、同調の名のもとに吹きすさぶ嵐とならん」
「シンクロ召喚! 起動せよ、『ウィンドファーム・ジェネクス』!」
『ウィンドファーム・ジェネクス』シンクロ
レベル7
攻撃力2000
カズヤと同じ光景が繰り広げられ、現れたのは、『ジェネクス・ブラスト』に太い両手足が着き、より凶悪な見た目となった、緑色の機械巨人。
「レベル7……攻撃力は低いが……」
「『ウィンドファーム・ジェネクス』の効果」
これで終わりなわけが無い。星華にそう答えるように、タクヤは宣言した。
「このカードの攻撃力は、フィールド上にセットされた魔法・罠の数×300ポイントアップする。今、フィールドにセットされてるのは三枚。よって上昇は900ポイント」
『ウィンドファーム・ジェネクス』
攻撃力2000+300×3
「ちっ……」
「更に、効果はまだある。手札を一枚捨てることで、フィールドにセットされた魔法・罠カード一枚を破壊できる。手札一枚をコストに、お姉さんのセットカードを破壊」
タクヤ
手札:5→4
「そうそう思い通りにはさせん。破壊される前に罠カード『ゲットライド!』発動!」
その宣言で、『ウィンドファーム・ジェネクス』の放った風がぶつかる直前、カードが表になった。
「自分の墓地に眠るユニオンモンスター一体を、自分フィールドのモンスターに装備する。私は墓地の『オイルメン』を、『マシンナーズ・ギアフレーム』に装備する」
『ウィンドファーム・ジェネクス』
攻撃力2000+300×2
「ちぇー……僕は一枚セット。セットカードが増えたことで、『ウィンドファーム・ジェネクス』の攻撃力も上昇。ターンエンド」
タクヤ
LP:4000
手札:3枚
場 :モンスター
『ウィンドファーム・ジェネクス』攻撃力2000+300×3
魔法・罠
セット
星華
LP:4000
手札:3枚
場 :モンスター
『マシンナーズ・フォートレス』攻撃力2500
『マシンナーズ・ギアフレーム』攻撃力1800
魔法・罠
ユニオン『オイルメン』
「……私のターン」
梓
手札:4→5
ここでようやく一巡となり、梓のターンとなる。
「速攻魔法『サイクロン』発動。このカードの効果により、タクヤさんの伏せカードを破壊」
「えぇ!? 僕ぅ!?」
慌てるタクヤをよそに発生したつむじ風は、タクヤのもとへ飛んでいき、一枚の伏せカードを巻き上げた。
「あ~ん、リビデが……ま、いっか」
『ウィンドファーム・ジェネクス』
攻撃力2000+300×2
「……このターンから攻撃が可能……私はチューナーモンスター『深海のディーヴァ』を召喚」
『深海のディーヴァ』チューナー
レベル2
守備力400
「チューナーか……」
「お互い、どういう人か分かった以上、遠慮は不要です。このカードの召喚に成功した時、デッキからレベル3以下の海竜族モンスターを特殊召喚できます。私はこの効果で、レベル3の『シー・アーチャー』を特殊召喚します」
『深海のディーヴァ』の歌声と共に、その隣に水柱が発生する。そこからボーガンを携えた、人魚の美女が飛び出した。
『シー・アーチャー』
レベル3
攻撃力1200
「このカードは自分フィールドのレベル3以下のモンスターを一体のみ装備し、攻撃力を800ポイントアップさせる効果があります。もっとも、それではあなた方のモンスターには敵いませんので……」
「レベル3の『シー・アーチャー』に、レベル3の『氷結界の守護陣』をチューニング」
直前の二人が行ったのと同じ光景を、梓のモンスターが行った。
「凍てつく
「シンクロ召喚! 舞え、『氷結界の龍 ブリューナク』!」
『氷結界の龍 ブリューナク』シンクロ
レベル6
攻撃力2300
「来たか! 梓のエース!」
今日まで何度も見てきた、美しき氷龍の登場に、星華が歓喜の声を上げる。
だが、
「罠発動……」
その歓喜は、カズヤの声によって帳消しになった。
「『奈落の落とし穴』」
「なっ、そのカードは……」
「攻撃力1500以上の召喚、反転召喚、特殊召喚されたモンスターを破壊し、ゲームより除外できる……」
「除外……」
説明の直後、ブリューナクの真下の大地に穴が開く。そこから緑色の鬼達が出現し、ブリューナクを捕まえ引きづり込んだ。
「く……さすがに一筋縄ではいきませんか」
「当然だ……俺達がシンクロを手に入れたのは最近だが、それでも、カード達が教えてくれる……」
「数あるシンクロモンスターの中でも、君の持つ、『氷結界の龍』、そいつらは特にヤバいってね」
「ふむ……確かに」
そんな三人の会話に、星華は一人、置いて行かれていた。
(こいつら何者だ……なぜ、
「いずれにせよ、このままでは終われませんね。私は速攻魔法『エネミーコントローラー』を発動。『深海のディーヴァ』をリリースし、第二の効果の洗脳を使用します」
「洗脳……!」
「うわ、見た目に反してエグイの使うね……」
「何とでもおっしゃい」
二人の反応をよそに、『深海のディーヴァ』は光となり、カズヤのフィールドのカタストルを奪い取った。
「……む? なぜより攻撃力の高い『ウィンドファーム・ジェネクス』を奪わなかった?」
「それはこれから説明します。『氷結界の伝道師』を攻撃表示に変更」
『氷結界の伝道師』
攻撃力1000
「バトルです。『A・O・J カタストル』で、『ウィンドファーム・ジェネクス』を攻撃」
カタストルの金色の頭部が、『ウィンドファーム・ジェネクス』に向けられる。そこから発射された光線が、『ウィンドファーム・ジェネクス』の体を貫き、破壊した。
「なぜだ? 攻撃力はあちらが上だろう?」
「カタストルの効果です。このカードが闇属性モンスター以外のモンスターと戦闘を行う際、ダメージ計算を行わずそのモンスターは破壊される、ですよね」
「……」
「ダメージ計算を行わないだと!?」
つまり、闇属性以外に対しては、戦闘ダメージは与えられない代わりに無敵ということ。
(まずい……私のデッキのモンスターのほとんどは地属性。あのモンスターには無力だ……)
「続いて、『氷結界の伝道師』で……タクヤさんに直接攻撃!」
「また僕ぅう!?」
タクヤの絶叫と、伝道師の杖がタクヤの頭をバコンと殴ったのは、同時のことだった。
「痛ったーっ!」
タクヤ
LP:4000→3000
「メインフェイズ、永続魔法『生還の宝札』を発動し、『氷結界の伝道師』の効果を使用。このカードをリリースすることで、墓地の伝道師を除く『氷結界』一体を特殊召喚できます。『氷結界の守護陣』を再び特殊召喚」
『氷結界の守護陣』チューナー
レベル3
守備力1600
「『生還の宝札』の効果により、一枚ドロー」
梓
手札:1→2
「ここから更にシンクロ召喚に繋げるのが理想ですが、あいにく私のデッキにレベル8のシンクロモンスターはおりません。カードを二枚伏せ、ターンを終了します。そして同時に、カタストルのコントロールはカズヤさんに戻ります」
「……」
梓
LP:4000
手札:0枚
場 :モンスター
『氷結界の守護陣』守備力1600
魔法・罠
永続魔法『生還の宝札』
セット
セット
カズヤ
LP:4000
手札:1枚
場 :モンスター
『A・O・J カタストル』攻撃力2200
魔法・罠
セット
星華
LP:4000
手札:3枚
場 :モンスター
『マシンナーズ・フォートレス』攻撃力2500
『マシンナーズ・ギアフレーム』攻撃力1800
魔法・罠
ユニオン『オイルメン』
タクヤ
LP:3000
手札:3枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
無し
「……すまん、タクヤ……」
「いいよ、気にしなくて。それよか、やっぱあの着物の娘は要注意だね。カタストルの効果もどうしてか知ってたし」
「……俺のターン」
カズヤ
手札:1→2
「……『強欲な壺』発動。カードを二枚ドロー」
カズヤ
手札:1→3
「……魔法カード『アームズ・ホール』。デッキの一番上のカードを墓地へ送り、このターンの通常召喚を放棄することで、デッキから装備魔法一枚を手札に加える。装備魔法『幻惑の巻物』を手札に」
カズヤ
手札:2→3
「『幻惑の巻物』? 確か、装備モンスターの属性を変化させるカードか……」
「そう……俺はこのカードを、『氷結界の守護陣』に装備。属性を光属性に変更する」
「……」
「そんなことをして何になる?」
「……このカードは、相手フィールドに光属性を含むモンスターが二体以上いる時、特殊召喚可能。『A・O・J コズミック・クローザー』を特殊召喚」
『A・O・J コズミック・クローザー』
レベル8
攻撃力2400
「レベル8のモンスターを、いきなり特殊召喚だと!?」
目の前にいきなり現れた、巨大な円形の扉のような機械に対し、星華は驚愕を叫んだ。
「これはタッグ決闘。相手タッグのフィールド全てが参照対象となる。バトルだ。まずは『A・O・J コズミック・クローザー』で、『氷結界の守護陣』を攻撃……」
静かな宣言と共に、コズミック・クローザーの円状の扉が開く。そこへ向かって、巨大な吸引風が発生し、梓の場の守護陣の身を引っ張ろうとする。
しかし、
「永続罠『リビングデッドの呼び声』発動! 墓地から、『氷結界の伝道師』を攻撃表示で特殊召喚。同時に、『生還の宝札』の効果で一枚ドロー」
『氷結界の伝道師』
レベル2
攻撃力1000
梓
手札:0→1
「そして、フィールドに氷結界が特殊召喚されたことで、守護陣の効果を適用。場に自身を除く氷結界が存在する限り、相手は守護陣の守備力を超える攻撃力を持つモンスターでは攻撃できません。そして、タッグ決闘では、タッグパートナーに対しても同じ制約が設けられます」
「あ……」
見ると、守護陣の発する結界が、梓のフィールドのみならず、星華のフィールドのモンスターにも及んでいた。
「……残念だったな。リバースカードオープン。速攻魔法『月の書』。モンスター一体を裏守備表示にする。守護陣を裏守備表示に変更」
「な……!」
梓が声を上げるよりも前に、守護陣は裏守備表示となった。
「……裏守備になったことで『幻惑の巻物』は破壊されるが、それはまあいい……裏守備となった守護陣に、コズミック・クローザーで再び攻撃する」
そして再び、円形の扉が開く。そこへ、裏守備となったカードは吸い込まれた。
「……続いて、カタストルで、そちらの場の『マシンナーズ・フォートレス』を攻撃。イレイザー・ダークネス」
梓がそうしたのと同じように、カタストルの目から光線が発射される。それが『マシンナーズ・フォートレス』を貫き、爆破させた。
「ちぃ……」
「……言っておくが、これは戦闘破壊でも、対象に取る効果でも無い。よって、『マシンナーズ・フォートレス』の持つ効果は、どちらも発動しない……」
「おー! さすがカッちゃん! カードに詳しい!」
無邪気に喜ぶタクヤとは裏腹に、星華は表情をしかめていた。
「……一枚伏せる。これでターンエンド」
カズヤ
LP:4000
手札:0枚
場 :モンスター
『A・O・J カタストル』攻撃力2200
『A・O・J コズミック・クローザー』攻撃力2400
魔法・罠
セット
星華
LP:4000
手札:3枚
場 :モンスター
『マシンナーズ・ギアフレーム』攻撃力1800
魔法・罠
ユニオン『オイルメン』
タクヤ
LP:3000
手札:3枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
無し
梓
LP:4000
手札:1枚
場 :モンスター
『氷結界の伝道師』攻撃力1000
魔法・罠
永続魔法『生還の宝札』
永続罠『リビングデッドの呼び声』
セット
「くそ……私のターン!」
星華
手札:3→4
「シンクロを使わないと思って嘗めるな。私は手札からレベル8の『マシンナーズ・メガフォーム』を捨てることで、墓地の『マシンナーズ・フォートレス』を特殊召喚する」
星華
手札:4→3
『マシンナーズ・フォートレス』
レベル7
攻撃力2500
「続いて、『強化支援メカ・ヘビーウェポン』を召喚」
『強化支援メカ・ヘビーウェポン』
レベル3
攻撃力500
「そして、魔法カード『機械複製術』。これにより、自分フィールド上の攻撃力500以下の機械族モンスターを選択し、同名モンスターを二体までデッキから特殊召喚する。来い、ヘビーウェポン!」
『強化支援メカ・ヘビーウェポン』
レベル3
攻撃力500
『強化支援メカ・ヘビーウェポン』
レベル3
攻撃力500
「バトルだ。まずは『マシンナーズ・フォートレス』で、コズミック・クローザーを攻撃。マシン・フルシュート!」
フォートレスの全身から発射された弾丸の全てが、カズヤのフィールドのコズミック・クローザーに命中した。
「……」
カズヤ
LP:4000→3900
「さて……どの道私のフィールドに、カタストルを倒せるモンスターはいない。まずは確実に一人減らす。『マシンナーズ・ギアフレーム』と三体のヘビーウェポンで、貴様にダイレクトアタックだ!」
「うぇええ!?」
その宣言に従った、計四体のモンスターが、がら空きであるタクヤへ向かった。
「のわああああああああああ……なんてね」
「ん……?」
「相手の直接攻撃宣言時、手札の『速攻のカカシ』を捨てることで、バトルフェイズを終了する」
カズヤ
手札:3→2
「くそ……ならばメインフェイズ、ヘビーウェポンのユニオン効果。一体を『マシンナーズ・フォートレス』に、二体目を、三体目のヘビーウェポンに装備。攻撃力をそれぞれ500ポイント上昇させる」
『マシンナーズ・フォートレス』
攻撃力2500+500
『強化支援メカ・ヘビーウェポン』
攻撃力500+500
「私はこれでターンエンド」
星華
LP:4000
手札:1枚
場 :モンスター
『マシンナーズ・ギアフレーム』攻撃力1800
『マシンナーズ・フォートレス』攻撃力2500+500
『強化支援メカ・ヘビーウェポン』攻撃力500+500
魔法・罠
ユニオン『オイルメン』
ユニオン『強化支援メカ・ヘビーウェポン』
ユニオン『強化支援メカ・ヘビーウェポン』
タクヤ
LP:3000
手札:2枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
無し
梓
LP:4000
手札:1枚
場 :モンスター
『氷結界の伝道師』攻撃力1000
魔法・罠
永続魔法『生還の宝札』
永続罠『リビングデッドの呼び声』
セット
カズヤ
LP:3900
手札:0枚
場 :モンスター
『A・O・J カタストル』攻撃力2200
魔法・罠
セット
「さぁ~てぇ~、僕のターンなわけだども……フィールドががら空きなこの状況、どうしよ……ねえ、カッちゃんや」
「……知るか。こっちも手札が0なんだ。決闘者なら自分で考えろ」
「ぶぅ~、冷たいんだ~……機械のごたる冷たいんだ~」
「……良いから早く進めろ。お前のターンだろうが」
「うぃうぃ。んじゃ、ドローしてから考えよっと」
タクヤ
手札:2→3
「ふむぅ……ここでこれかい。そんじゃ、『ジェネクス・ウンディーネ』を召喚」
『ジェネクス・ウンディーネ』
レベル3
攻撃力1200
「『ジェネクス・ウンディーネ』の効果。こいつの召喚に成功した時、デッキから水属性モンスター一体を墓地へ送ることで、デッキの『ジェネクス・コントローラー』を手札に加えられる。僕はデッキから、二枚目の『ジェネクス・ウンディーネ』を捨てて、二枚目の『ジェネクス・コントローラー』を手札に加える」
タクヤ
手札:2→3
「魔法カード『闇の誘惑』。カードを二枚ドロー。その後、手札の闇属性モンスター一体をゲームから除外。無かったら手札は全部墓地へ送る。ま、僕の手札には闇属性の『ジェネクス・コントローラー』があるんだけどねー」
タクヤ
手札:2→4→3
「わーい、また引いたー。魔法カード『旧型出陣』。この効果で……こっちにしよっと。墓地の『スペア・ジェネクス』を蘇生」
『スペア・ジェネクス』チューナー
レベル3
攻撃力800
「『スペア・ジェネクス』……最初の『天使の施し』か」
「そ。『ジェネクス・ブラスト』と一緒にね。『スペア・ジェネクス』はね、自分フィールド上にこのカード以外の『ジェネクス』がいる時、カード名を『ジェネクス・コントローラー』に変えられる。てことで……」
「レベル3の水属性『ジェネクス・ウンディーネ』に、レベル3の『ジェネクス・コントローラー』扱いの『スペア・ジェネクス』、紛らわしいな……とにかくチューニング!」
「……さすがに一体では終わらんか……」
「……」
「鋼機の絆よ、水流と交わりて、同調の名のもとに荒れ狂う裂波とならん」
「シンクロ召喚! 起動せよ、『ハイドロ・ジェネクス』!」
発生した津波と共に、その津波に乗って、青い機体は現れた。
『ジェネクス・ウンディーネ』の手に、水でできた槍が備わり、その両肩には、巨大な盾が背負われる。
清らかな聖人を思わせる姿から一変、突撃の重騎士がそこに現れた。
『ハイドロ・ジェネクス』シンクロ
レベル6
攻撃力2300
「さってとぉ、ユニオンがある限り戦闘破壊は無理そうだし……バトル。『ハイドロ・ジェネクス』で、『氷結界の伝道師』を攻撃。ハイドロ・スピア・チャージ!」
水の槍を正面に構え、伝道師を貫いた。
梓
LP:4000→2700
「……伝道師が破壊されたことで、『リビングデッドの呼び声』も破壊されます」
「そんでもって、『ハイドロ・ジェネクス』の効果。このカードが相手モンスターを破壊して墓地へ送った時、そのモンスターの攻撃力分、ライフを回復する」
タクヤ
LP:3000→4000
「カードを一枚伏せる。これでターンエンド」
タクヤ
LP:4000
手札:1枚
場 :モンスター
『ハイドロ・ジェネクス』攻撃力2300
魔法・罠
セット
梓
LP:2700
手札:1枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
永続魔法『生還の宝札』
セット
カズヤ
LP:3900
手札:0枚
場 :モンスター
『A・O・J カタストル』攻撃力2200
魔法・罠
セット
星華
LP:4000
手札:1枚
場 :モンスター
『マシンナーズ・ギアフレーム』攻撃力1800
『マシンナーズ・フォートレス』攻撃力2500+500
『強化支援メカ・ヘビーウェポン』攻撃力500+500
魔法・罠
ユニオン『オイルメン』
ユニオン『強化支援メカ・ヘビーウェポン』
ユニオン『強化支援メカ・ヘビーウェポン』
「……私のターン」
梓
手札:1→2
(……タクヤさんとカズヤさんのフィールドには、シンクロモンスターが一体ずつ。伏せカードもある……)
「『天使の施し』を発動。カードを三枚ドローし、二枚を捨てます……私の墓地のモンスターは全て水属性。よって、墓地のチューナーモンスター『フィッシュボーグ-ランチャー』を特殊召喚」
『フィッシュボーグ-ランチャー』チューナー
レベル1
守備力100
「『生還の宝札』の効果で、一枚ドロー」
梓
手札:2→3
「続いて、『フィッシュボーグ-プランター』の効果。このカードが墓地にある限り、一度だけデッキの一番上のカードを墓地へ送ります。それが水属性モンスターであれば、特殊召喚ができる……」
『氷結界の虎将 グルナード』
水属性
「水属性の『氷結界の虎将 グルナード』。よって、特殊召喚。更に一枚ドロー」
『フィッシュボーグ-プランター』
レベル2
守備力200
梓
手札:3→4
「……あれ? そっちはチューナーじゃないの?」
「ええ。これは普通の効果モンスターです。そして私は、『フィッシュボーグ-プランター』をリリース。『氷結界の虎将 ライホウ』をアドバンス召喚」
『氷結界の虎将 ライホウ』
レベル6
攻撃力2100
「リリースにアドバンス……それは未来での用語が……」
「ええ……『フィッシュボーグ-ランチャー』をシンクロ素材とする場合、水属性のシンクロモンスターの素材にしか使用できません」
「レベル6の水属性『氷結界の虎将 ライホウ』に、レベル1の『フィッシュボーグ-ランチャー』をチューニング」
「二体目のシンクロ召喚……」
「冷たき
「シンクロ召喚! 狩れ、『氷結界の龍 グングニール』!
『氷結界の龍 グングニール』シンクロ
レベル7
攻撃力2500
「なんかまたすごそうなのきたよ。ねえ、カッちゃんや……」
「……言われなくてとも分かってる。いちいち騒ぐな、バカ兄貴……」
「バカは無いでしょー、愛しの弟さんやーぃ」
「はぁ……」
「……自身の効果で蘇生した『フィッシュボーグ-ランチャー』は、フィールドを離れた時、ゲームから除外されます。私は、グングニールの効果を発動します。一ターンに一度、手札を二枚まで捨てることで、相手フィールドのカードを捨てた枚数分破壊します。私は手札二枚をコストに、あなた方のフィールドの、『A・O・J カタストル』と『ハイドロ・ジェネクス』の二体を破壊します」
梓
手札:3→1
「冷刃災禍」
手札二枚を吸収したグングニールの両翼から、風の刃が放たれ、二人のモンスターを切り裂いた。
「さすが梓だ!」
「バトルです。グングニールで……カズヤさんに直接攻撃。崩落のブリザード・フォース!」
グングニールの口から放たれた強烈な冷気が、カズヤの身に降り注いだ。
「……っ」
カズヤ
LP:3900→1400
「私はこれでターンを終了します」
梓
LP:2700
手札:1枚
場 :モンスター
『氷結界の龍 グングニール』攻撃力2500
魔法・罠
永続魔法『生還の宝札』
セット
カズヤ
LP:1400
手札:0枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
セット
星華
LP:4000
手札:1枚
場 :モンスター
『マシンナーズ・ギアフレーム』攻撃力1800
『マシンナーズ・フォートレス』攻撃力2500+500
『強化支援メカ・ヘビーウェポン』攻撃力500+500
魔法・罠
ユニオン『オイルメン』
ユニオン『強化支援メカ・ヘビーウェポン』
ユニオン『強化支援メカ・ヘビーウェポン』
タクヤ
LP:4000
手札:1枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
セット
「……俺のターン……」
カズヤ
手札:0→1
「……魔法カード『運命の宝札』……サイコロを一回振る……」
宣言の通り、フィールドの中央にサイコロが振られる。そのサイコロが出した目は……
「目は六……カードを六枚ドローし、デッキの上から、六枚を除外……」
カズヤ
手札:0→6
「運が良いな……」
「ええ……」
「……永続罠『強化蘇生』を発動」
(『強化蘇生』……先程の『速攻のカカシ』と言い、やはり未来のカードも使うのか……)
「……墓地の、レベル4以下のモンスター一体を、特殊召喚する……そのモンスターは、レベルが一つ上がり、攻守力が100上がる。俺は、墓地の『A・O・F アンリミッター』を特殊召喚……」
『A・O・F アンリミッター』
レベル2+1
攻撃力600+100
「……氷結界の……龍……」
「……?」
突然、カズヤの様子が一変した。
元々、物静かな雰囲気はあった。しかしそれが、今はより顕著になり、どころか、その静けさがより暗く、黒く、沈んでいく……
「破壊した……全てを破壊した……生きていた、機械の全てを破壊した……世界も破壊した、張本人……破壊する……今度は、こちらが、お前を、破壊する……」
「……!」
顔を上げた時、強烈な視線が、梓に突き刺さった。
「……魔法カード『エレメント・チェンジ』……このターン、フィールド上の、全てのモンスターの属性を、俺の宣言した属性とする……光属性を選択……」
その宣言の通り、フィールド上のモンスター全ての属性の表記が、本来のものから光属性に書き換えられる。
「……相手フィールドの、モンスターが、光属性となったことで……手札の、『A・O・J コズミック・クローザー』二体、特殊召喚……」
『A・O・J コズミック・クローザー』
レベル8
攻撃力2400
『A・O・J コズミック・クローザー』
レベル8
攻撃力2400
「今度は二体だと!? だが、どちらも攻撃力ではグングニールに及ばないはず……」
「……『A・O・J サウザンド・アームズ』、通常召喚……」
『A・O・J サウザンド・アームズ』
レベル4
攻撃力1700
「……ここで、『A・O・J アンリミッター』の効果……リリースすることで、フィールド上の、『A・O・J』一体の攻撃力を、エンドフェイズまで、倍にする……対象は、サウザンド・アームズ……」
アンリミッターがサウザンド・アームズに、その口にある、鋭い針を突き刺す。
そこからエネルギーを注入された、千の腕の機体は巨大化し、代わりに、アンリミッターは崩れ落ちた。
『A・O・J サウザンド・アームズ』
攻撃力1700×2
「攻撃力3400……!」
「……『マジック・プランター』発動……フィールドに残った、『強化蘇生』を墓地へ送り、カードを二枚ドロー……」
カズヤ
手札:1→3
「……サウザンド・アームズは、相手フィールドの、光属性モンスター、全てに攻撃できる……」
「なにぃ!?」
星華が驚く間に、サウザンド・アームズは起動していた。
「バトル……攻撃力3400の、サウザンド・アームズで……全てのモンスターに攻撃……」
「ぐぅ……!」
巨大化した千の腕が持つ、兵器の全てがモンスター達に向けられた。
その全てが、梓、星華のフィールドのモンスターに降り注ぐ。
「ぐぅ……!」
「うあぁ……!」
梓
LP:2700→1800
星華
LP:4000→2000
「な、なんだ、今の衝撃は……」
直前までには無かった衝撃を、星華は感じた。
普通の決闘では感じないはずの、本物の衝撃だった。
「……?」
だが、カズヤは同時に、違和感を浮かべる。
「……今の攻撃で、そっちのライフは、ゼロになった、はず……」
星華の方を見ながら言った、その疑問に対する答えは、梓のフィールドにあった。
「その罠カードは……」
「……ヘビーウェポンが攻撃される直前、罠カード『ガードブロック』を発動させました。戦闘ダメージを一度だけゼロにし、カードを一枚、ドローできます」
梓
手札:1→2
「梓……すまない……」
「いいえ……」
「……そして、私の場のモンスター全ては、ユニオンモンスターによって破壊を免れる」
『マシンナーズ・ギアフレーム』
攻撃力1800
『マシンナーズ・フォートレス』
攻撃力2500
『強化支援メカ・ヘビーウェポン』
攻撃力500
(だがいずれにせよ、こちらに残ったモンスターを狙われれば、私のライフは……)
「お前など、どうでもいい……」
「なに?」
その言葉に、カズヤの方を見た時、カズヤの冷たい目は、梓しか見ていなかった。
「破壊……破壊だ……バトルだ……コズミック・クローザーで、氷結界の主にダイレクトアタックを……」
二つの扉が開き、そこから発生した光が、梓に向かった。
「直接攻撃時、手札のバトルフェーダーを特殊召喚。攻撃を無効とし、バトルフェイズを終了させます」
『バトルフェーダー』
レベル1
守備力0
「……二枚伏せる。ターンエンドと同時に、サウザンド・アームズの攻撃力は元に戻る……」
カズヤ
LP:1400
手札:1枚
場 :モンスター
『A・O・F コズミック・クローザー』攻撃力2400
『A・O・F コズミック・クローザー』攻撃力2400
『A・O・F サウザンド・アームズ』攻撃力1700
魔法・罠
セット
セット
星華
LP:2000
手札:1枚
場 :モンスター
『マシンナーズ・ギアフレーム』攻撃力1800
『マシンナーズ・フォートレス』攻撃力2500
『強化支援メカ・ヘビーウェポン』攻撃力500
魔法・罠
無し
タクヤ
LP:4000
手札:1枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
セット
梓
LP:1800
手札:1枚
場 :モンスター
『バトルフェーダー』守備力0
魔法・罠
永続魔法『生還の宝札』
「……星華さん、大丈夫ですか?」
「……」
「星華さん?」
「貴様ら……」
梓の問い掛けには答える代わりに、そんな言葉が聞こえた。
「星華さん……?」
「貴様ら! 私を嘗めるな!! ドロー!!」
星華
手札:1→2
「そっちが全体攻撃してくるなら、こちらも同じことをしてやる! 『神機王ウル』召喚!」
『神機王ウル』
レベル4
攻撃力1600
「更に速攻魔法『リミッター解除』発動!」
「え……!」
「自分フィールドの機械族モンスターの攻撃力を、エンドフェイズまで倍にする!」
『マシンナーズ・ギアフレーム』
攻撃力1800×2
『マシンナーズ・フォートレス』
攻撃力2500×2
『強化支援メカ・ヘビーウェポン』
攻撃力500×2
『神機王ウル』
攻撃力1600×2
「ちょっと、星華さん……?」
「『神機王ウル』は相手に戦闘ダメージを与えることはできないが、代わりに相手モンスター全てに攻撃ができる。『神機王ウル』で、貴様の場のA・O・Jに攻撃!」
攻撃を指令された神機王は、その両手をカズヤに向ける。その手先が輝きを放ち、全てのモンスターに照準が合わされる。
「
そこから発射された光の弾丸が、全ての機械を貫いた。
「……」
「そして、これで終わりだ。『マシンナーズ・ギアフレーム』で、貴様にダイレクトアタックだ!」
宣言を受けたオレンジ色の機械が、カズヤに向かった。
「リバースカード、オープン……」
それに反応したのは、タクヤ……
「永続罠『血の代償』。自分のメインフェイズ、または相手のバトルフェイズに限り、ライフを500支払うことで、モンスター一体を通常召喚する……僕はライフを500支払い、手札の『ジェネクス・パワー・プランナー』を、守備表示で召喚」
タクヤ
LP:4000→3500
『ジェネクス・パワー・プランナー』
レベル1
守備力200
「『ジェネクス・パワー・プランナー』の効果……この子の召喚に成功した時……デッキから、レベル3のジェネクスを手札に加えられる……『レアル・ジェネクス・マグナ』を手札に……」
タクヤ
手札:0→1
「『レアル・ジェネクス』……? 普通のジェネクスとは違うのか……だが、モンスターが増えたところで変わらん! ギアフレーム、奴を攻撃しろ!」
攻撃を止めたギアフレームが、再びカズヤに向かう。だがそこへ、タクヤのフィールドの『ジェネクス・パワー・プランナー』が立ちはだかった。
「なに……!」
「タッグ決闘では、パートナーへのダイレクトアタックを自分のモンスターで守ることができる……」
その言葉の通り、タクヤのフィールドにいた『ジェネクス・パワー・プランナー』は、そのままギアフレームの攻撃に打ち砕かれた。
(くそ……既に攻撃を中止した『神機王ウル』では、もう攻撃はできない……)
「ヘビーウェポンで、もう一度ダイレクトアタック!」
「ライフを500払い、手札の『レアル・ジェネクス・マグナ』を召喚……」
タクヤ
LP:3500→3000
『レアル・ジェネクス・マグナ』
レベル3
守備力200
「召喚成功時、デッキからレベル2のジェネクス……『レアル・ジェネクス・クラッシャー』を手札に……」
タクヤ
手札:0→1
「もう一度、『レアル・ジェネクス・マグナ』で、その攻撃を受け止める……」
「おのれ……『マシンナーズ・フォートレス』! 攻撃だ!」
「『レアル・ジェネクス・クラッシャー』召喚……」
タクヤ
LP:3000→2500
『レアル・ジェネクス・クラッシャー』
レベル2
守備力800
「レベル4のジェネクス、『レアル・ジェネクス・ターボ』を手札に……その攻撃も、受け止める……」
タクヤ
手札:0→1
「くそっ……」
「……これで、君のバトルは終了……バトルフェイズ終了前に、ライフ500支払い、召喚」
タクヤ
LP:2500→2000
『レアル・ジェネクス・ターボ』
レベル4
攻撃力1500
「……更に、このカードの召喚に成功した時……レベル1のジェネクスを手札に加える。『レアル・ジェネクス・オラクル』を手札に……この子がジェネクスの効果でデッキから手札に加わった時、特殊召喚できる……」
『レアル・ジェネクス・オラクル』チューナー
レベル1
守備力300
「チューナーか、くそ……メインフェイズ、ヘビーウェポンを『神機王ウル』に、ギアフレームを『マシンナーズ・フォートレス』に、それぞれ装備……これでターンエンド……」
エンド宣言と同時に、装備されたユニオンモンスターが、『リミッター解除』の代償として破壊された。
星華
LP:2000
手札:0枚
場 :モンスター
『マシンナーズ・フォートレス』攻撃力2500
『神機王ウル』攻撃力1600
魔法・罠
無し
タクヤ
LP:2000
手札:0枚
場 :モンスター
『レアル・ジェネクス・ターボ』攻撃力1500
『レアル・ジェネクス・オラクル』守備力300
魔法・罠
永続罠『血の代償』
梓
LP:1800
手札:1枚
場 :モンスター
『バトルフェーダー』守備力0
魔法・罠
永続魔法『生還の宝札』
カズヤ
LP:1400
手札:1枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
セット
セット
「……く……くひ……くひひはははは……」
「……?」
「なんだ……?」
変化は、カズヤだけではなかった。
「ああ……許さないよ。平和に生きてた僕らを、自分達の都合で兵器に使った人間達も……最後に僕ら全員を壊した龍も……全部、全部許さないよ! 今度は僕らが、君達を壊してあげる! 僕らが! 人間を使ってね!!」
「……」
「なんだ、こいつら……」
陽気で明るく、調子は軽く、話していて楽しい、そんな性格は、どこかへ消えていた。
陽気さだけをそのままに、暗く、重く、話していて息苦しくなる、狂気が、その身からは満ち満ちている。
(これはまるで……)
星華は一瞬、凶王の姿を思い浮かべた。しかし、すぐに梓のそれとは違うと感じた。
大切な人への侮辱をキッカケに豹変した、凶王から感じるのは、純粋な怒りと、明確な殺意、そして、それ以上の、仲間達への確かな愛情だった。
しかし、目の前の二人のそれは、全く違う。
ただ、やり場のないまま膨張した怒りと、ただ、この世の全てを壊さんとする殺意。
それらの狂気を暴走させ、力に変えて、凶器としている。
「ドロー……」
タクヤ
手札:0→1
「『強欲な壺』発動。カードを二枚ドロー……」
タクヤ
手札:0→2
「『貪欲な壺』。墓地のモンスター五体をデッキに戻し、シャッフル……」
『ジェネクス・コントローラー』
『ジェネクス・ブラスト』
『スペア・ジェネクス』
『ジェネクス・ウンディーネ』
『ジェネクス・パワー・プランナー』
「……そして、二枚ドロー」
タクヤ
手札:1→3
「……『レアル・ジェネクス・アクセラレーター』を召喚」
『レアル・ジェネクス・アクセラレーター』
レベル4
攻撃力1500
「……三枚目の『旧型出陣』発動。墓地の『ウィンドファーム・ジェネクス』を特殊召喚」
『ウィンドファーム・ジェネクス』シンクロ
レベル7
攻撃力2000+300×2
「レベル7の風属性『ウィンドファーム・ジェネクス』に、レベル1の『レアル・ジェネクス・オラクル』をチューニング……」
巨大な風を巻き起こす機械が飛ぶ。その周囲を、一つの星が回る……
「浮上しろ、深緑の機体。同調の名のもとに、清廉なる空を同胞で埋め尽くせ」
「シンクロ召喚! 発進せよ、『レアル・ジェネクス・ヴィンディカイト』!」
『……』
「……な、何だ? 貴様のモンスターはどこだ……?」
「……」
星華が尋ね、タクヤ、カズヤは沈黙していた。
そして、梓は……
「……」
「梓……なんだ?」
梓に釣られ、その視線の先……上に目を向ける。
「……なに?」
疑問の声が出ると共に、緑色の
後ろのブースターから火を噴き、空中を旋回し、周囲を回り込んだ直後、猛スピードで、四人のフィールドに降り立った。
『レアル・ジェネクス・ヴィンディカイト』シンクロ
レベル8
攻撃力2400
「レベル8……だが、攻撃力は2400か……」
「……お姉さん、ウザい」
「なに……?」
再びタクヤの声が響く。梓ばかりを見ていたカズヤとは対照的に、タクヤは星華だけを睨み付けていた。
「さっきから何様……? 君はあいつらとよく似てる。機械と思って、人間の方が偉いって思ってる……機械を使ってるからって、機械ならなんでも支配できるなんて、勘違いしてる……?」
「……」
「……バトル。『レアル・ジェネクス・ヴィンディカイト』で、『神機王ウル』を攻撃」
再び、『レアル・ジェネクス・ヴィンディカイト』のブースターが火を噴く。
空へ向かって、ジェット機の如く急上昇していき、そこから更に、急降下を開始する。
その先には、攻撃宣言された『神機王ウル』がいた。
「ソニック・ダウンフォール!」
その急降下突撃をもろに受け、ウルは一瞬で粉々になった。
「ぐおお……」
星華
LP:2000→1200
「ヴィンディカイトの効果。このカードが相手モンスターを戦闘破壊した時、デッキからジェネクス一体を手札に加えられる。デッキから『ジェネクス・ニュートロン』を手札に……」
タクヤ
手札:1→2
「その要塞が邪魔だなぁ……まあいいや。先に龍を滅ぼそうっと。『レアル・ジェネクス・ターボ』で、『バトルフェーダー』を攻撃!」
風を吹かせる機人が、闇の振り子へ向かう。守備力0の小悪魔は簡単に破壊された。
「……自身の効果で特殊召喚された『バトルフェーダー』がフィールドを離れた時、ゲームから除外されます……」
「『レアル・ジェネクス・アクセラレーター』で、ダイレクトアタック!」
宙を浮遊している加速器が輝きを放つと同時に、中央から光線が飛んだ。
「ぐあ……っ!」
梓
LP:1800→300
「梓……!」
「……大丈夫です」
大丈夫と言いながら、ひざを着き、息を切らしている。
明らかに只事ではない。
「まさか本当に、ダメージが実体化しているのか……」
「何を今更……メインフェイズ。『血の代償』の効果でライフを500支払って、『ジェネクス・ニュートロン』を召喚」
タクヤ
LP:2000→1500
『ジェネクス・ニュートロン』
レベル4
攻撃力1800
「カードを一枚伏せる。そしてエンドフェイズ、『ジェネクス・ニュートロン』の召喚に成功したとことで、デッキから機械族のチューナーを手札に加えられる。『ジェネクス・コントローラー』を手札に」
タクヤ
手札:0→1
「ここで、『レアル・ジェネクス・アクセラレーター』の効果。デッキからジェネクスが手札に加えられた時、それを相手に見せることで、特殊召喚できる」
『ジェネクス・コントローラー』チューナー
レベル3
守備力1200
「これでターンを終了」
タクヤ
LP:1500
手札:0枚
場 :モンスター
『レアル・ジェネクス・ヴィンディカイト』攻撃力2400
『レアル・ジェネクス・アクセラレーター』攻撃力1500
『レアル・ジェネクス・ターボ』攻撃力1500
『ジェネクス・ニュートロン』攻撃力1800
『ジェネクス・コントローラー』守備力1200
魔法・罠
永続罠『血の代償』
セット
梓
LP:300
手札:1枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
永続魔法『生還の宝札』
カズヤ
LP:1400
手札:1枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
セット
セット
星華
LP:1200
手札:0枚
場 :モンスター
『マシンナーズ・フォートレス』攻撃力2500
魔法・罠
無し
「梓……」
「……大丈夫です」
ライフは風前の灯となり、おまけに、相手のフィールドは、片方はがら空きながら、もう片方はモンスターで埋め尽くされている。
そんな状態にありながら、梓は立ち上がり、優しく笑い掛ける。
「私を信じて下さい。敗けはしませんから……」
「……」
優しい笑顔を向けた後、双子の方へ向き直る。
傷だらけになりながら、それでも、安心を確信させてくれる。
そんな笑顔を見ていると……
(私は……なんて無力なんだ……)
お疲れ~。
すんごい今更な話しながら、GXて、アニメ漫画ともに機械族使いが多過ぎる印象。
モブは知らんが、敵も味方も主要キャラのデッキが機械ばっかなんだよな。
ちなみに皆さんは、好きな機械はありますかい?
ガ○ダム派? エ○ァ派?
大海はZ○IDS派~。
すったらこの辺で、オリカいこ~。
『エレメント・チェンジ』
通常魔法
属性を一つ宣言して発動する。
発動したターンのエンドフェイズまで、フィールド上の全てのモンスターは宣言した属性として扱う。
漫画版GXにて、十代が使用。
前も一回出した、一ターン限定の『DNA移植手術』。
あれば便利。多分。
二度目だからこれも最後な。
『運命の宝札』
通常魔法
サイコロを1回振る。
出た目の数だけデッキからカードをドローする。
その後、同じ数だけデッキの1番上からカードをゲームから除外する。
遊戯王DMにて、城之内が使用。
……うん、普通に強いね。
墓地に無きゃ困るカードが除外されたら困るが、そうでないなら損は無いし。
むしろ除外がメインなデッキならほぼ利益にしかならん。
出たら速攻禁止だろうねこりゃ……
てなわけで、決闘はまだ続くからよぉ~。
続きはちょっと待ってて~。