遊戯王GX ~氷結の花~   作:大海

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灰よ~……

てことで、タイトル通りの決闘だで~。
行ってらっしゃい。



    頑張れ、おジャマトリオ! そして……

視点:外

 

「いいかッ! オレが怒ってんのはな、てめーの『心の弱さ』なんだ! そりゃあ確かにプロ決闘者がいきなり目の前に現れたんだ。衝撃を受けるのは当然だ! 一度でも敗けたら脱落だからな。オレだってヤバイと思う!」

「だがッ! オレ達アカデミアの他のヤツならッ! あともうちょっとで敵のノドに食らいつけるって決闘を決して捨てたりはしねぇ! たとえ腕を飛ばされようが、脚をもがれようともな!」

「オメーはママっ子(マンモーニ)なんだよッ! ビビったんだ…甘ったれてんだ! わかるか? え? オレの言ってる事。プロ決闘者のせいじゃあねぇ、心の奥のところでオメーにはビビりがあんだよ!」

「『成長しろ』! 成長しなけりゃあオレたちは『栄光』をつかめねぇ!」

 

「……」

 真顔の十代と剣山、そして、ワイングラス片手に倒れている決闘者を前に、一人のブルー女子生徒の胸倉を掴みながら、絶叫している明日香を見て、(アズサ)は何の問題も無いときびすを返した。

 

 

「『ブッ殺す』と心の中で思ったならッ! その時スデに行動は終わっているんだッ!」

 

 

「さて、次の相手は……」

「青い着物の君、私と決闘してもらえるか?」

「……あ、はい」

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

 

視点:万丈目

「ふふん……俺様の勝ちだ」

 目の前に倒れたスーツ姿のプロ決闘者、名前は確か、ゴル……ゲルゴだったな。そいつからメダルを奪い取る。

「斎王様、俺は勝ち続けている。あなたの導きと、あなたから受け取ったこのデッキがある限り、俺はまるで敗ける気がしない!」

 今や制服のコートの裏には、数えきれないだけの大量のメダルが隠れている。

 この重みこそが連勝の証。そして、ここに立っているのは、勝ち続けた勝利者。そう、俺だ!

 そして、目の前にひざまずいているのは、無様な敗北者だ。

「ふふん……さあ、次の相手は誰だ?」

 いそいそと去っていった敗北者をから目を離し、周囲を見渡してみる。

 今の俺はもはや無敵。斎王様の御為、その無敵さを存分に振ってくれる!

 

「……お? あいつか?」

 

 と、考えているところに、そんな声が聞こえてきた。

 そちらを見ると、紙袋片手の男が一人。

 かなり特徴的な男だ。黒皮のズボンに襟の伸びたシャツ、首にはアクセサリーをぶら下げている。顔立ちは端正だが目付きがかなり悪い。

 そして、長く伸びた白い髪を全て上に逆立てている。スーパーサイヤ人か?

「そこのお前、良ければ俺と決闘してくれよ」

「……決闘するのは構わんが、まずは名を名乗れ」

「俺か? 『ウィラー・メット』。カードデザイナーをやってる」

「カードデザイナー?」

 まあ、決闘は誰でもできるから別段不思議ではないが、そんなやつが、実力者の集まるこのジェネックスに出場しているだと? それだけの実力者ということか……

「ま、細かいことは気にすんなって。決闘、受けるか? 受けないか?」

 紙袋を足もとに置いて、決闘ディスクを構えた。

「愚問だ。それほど倒されたいと言うなら、この万丈目ホワイトサンダーが相手をしてくれる!」

 

『決闘!』

 

 

万丈目

LP:4000

手札:5枚

場 :無し

 

ウィラー・メット

LP:4000

手札:5枚

場 :無し

 

 

「俺の先行、ドロー!」

 

万丈目

手札:5→6

 

「俺は『白騎士団のソードマン(ホワイトナイツソードマン)』を召喚、守備表示!」

 

白騎士団のソードマン(ホワイトナイツソードマン)

 レベル4

 守備力1200

 

「更に、魔法カード『天使の施し』発動! カードを三枚ドローし、二枚を捨てる。カードを二枚伏せ、ターンエンド」

 

 

万丈目

LP:4000

手札:3枚

場 :モンスター

   『白騎士団のソードマン』守備力1200

   魔法・罠

    セット

    セット

 

 

(あいつ、本当にお前らのご主人か? お前らのことまるで見えてねーみてぇだぞ?)

 

 ……

 

(操られてるねー……ま、うちの会長も似たような力使ってたらしいし、驚かねーが……)

 

「なにをブツブツ独り言をほざいている! 貴様のターンだ!」

 何やら横を見ながら小声で話しているそいつに向かって、思わず叫んでしまった。

「悪りぃ悪りぃ。俺のターンだよな。ドロー」

 

ウィラー・メット

手札:5→6

 

「ただ、カードを創る者として言わせてもらうが……」

 カードを引いた途端、急にそいつの雰囲気が変わった。

「決闘者なら、カードを粗末に扱ってんじゃねえ。まして、精霊が宿ってくれたカードなら、その精霊のためにも特にだ!」

「ぬぅ……!」

 その迫力に、思わず怯んでしまった。その間に、男は手札のカードを取った。

「俺も使うぜ。魔法カード『天使の施し』。三枚ドローし、二枚を捨てる。そして、墓地へ捨てた闇属性モンスター『デビル・ドラゴン』を除外し、現れろ! 『輝白竜 ワイバースター』!」

 

『輝白竜 ワイバースター』

 レベル4

 攻撃力1700

 

「もう一体だ。光属性『神竜 ラグナロク』を除外し、『暗黒竜 コラプサーペント』を特殊召喚!」

 

『暗黒竜 コラプサーペント』

 レベル4

 攻撃力1800

 

「一度にドラゴンが二体!?」

「二体とも、通常召喚はできねぇがな。だがまだだ。800ポイントのライフを払い、魔法カード『魔の試着部屋』発動。デッキの上から四枚のカードをめくり、その中のレベル3以下のモンスター全てを特殊召喚し、残りはデッキに戻すカード」

 

ウィラー・メット

LP:4000→3200

 

 説明しながら、デッキに指を添える。その目は、何か確信めいたものを宿した目だ。

「準備はいいか……そうか。行くぜテメーら!」

 

『おジャマ・イエロー』

『おジャマ・グリーン』

『おジャマ・ブラック』

『凡人の施し』

 

「三体のモンスターを、特殊召喚!」

 

『おジャマ・イエロー』

 レベル2

 守備力1000

『おジャマ・グリーン』

 レベル2

 守備力1000

『おジャマ・ブラック』

 レベル2

 守備力1000

 

『万丈目のアニキ~~~!』

「な、なんだ、その雑魚モンスターどもは……」

 二体の強力ドラゴンを呼び出したかと思えば、次に出てきたのは、見るからに貧弱な三体のモンスター。レベル2で守備力は1000、攻撃力0の通常モンスターだと……

「貴様! 俺様をバカにしているのか!」

「バカにする? テメーにだけは言われてくねえな。テメーが捨てた、無二の相棒達を前にしてよぉ!」

「俺が捨てた? 無二の相棒達、だと……?」

 男がそんなことを叫んだ途端……

 

 俺の頭に、妙な光景が浮かんできた。

 それは、俺が決闘をしている光景。覚えの無いカードを使っている。そして、そんな俺が来ている制服、その色は……

 

「ぐぅ……なんだ、今の光景は……」

 

『アニキ~! 目を覚ましておくれよ~!』

 

「うるさい! 貴様に兄貴呼ばわりされる筋合いは無い!」

「ちっ……バトルだ。『輝白竜 ワイバースター』で、『白騎士団のソードマン』を攻撃!」

 首の長い白の竜の口に、光のエネルギーが貯まっていく。

 それが吐き出され、俺の場のモンスターを粉砕してしまった。

「次だ。『暗黒竜 コラプサーペント』で、ダイレクトアタック!」

 今度は首の短い黒の翼竜の口に、真っ赤な炎が貯まる。

 その火炎弾が俺に向かって飛んできた。

「ぐあぁぁ……!」

 

万丈目

LP:4000→2200

 

「ふふん……罠発動『ダメージ・コンデンサー』! 戦闘ダメージを受けた瞬間、手札一枚をコストに、デッキから受けたダメージ以下のモンスター一体を攻撃表示で特殊召喚する。俺は手札の『白騎士団のガードナー(ホワイトナイツガードナー)』を捨て、現れろ! 『白騎士団のランサー(ホワイトナイツランサー)』!」

 

万丈目

手札:3→2

 

白騎士団のランサー(ホワイトナイツランサー)

 レベル4

 攻撃力1500+300×3

 

「攻撃力が上がった!?」

「墓地に『白騎士団のソードマン』が存在する時、俺の場の『白騎士団の(ホワイトナイツ)』モンスターの攻撃力は300ポイントアップする」

「だが、お前の墓地のソードマンは、たった今破壊した一体だけのはず……そうか。『天使の施し』か……」

「そう。前のターン、既に二枚の『白騎士団のソードマン』を墓地に捨てておいたのだ」

「なるほどな……一枚セット。ターンエンドだぜ」

 

 

ウィラー・メット

LP:3200

手札:2枚

場 :モンスター

   『輝白竜 ワイバースター』攻撃力1600

   『暗黒竜 コラプサーペント』攻撃力1800

   『おジャマ・イエロー』守備力1000

   『おジャマ・グリーン』守備力1000

   『おジャマ・ブラック』守備力1000

   魔法・罠

    セット

 

万丈目

LP:2200

手札:2枚

場 :モンスター

   『白騎士団のランサー』攻撃力1500+300×3

   魔法・罠

    セット

 

 

「俺のターンだ。ドロー!」

 

万丈目

手札:2→3

 

「貴様が俺の何に怒っているのかは知らんが、穢れ無き白の力を見るがいい! 魔法カード『スケープ・ゴート』!」

 新たに速攻魔法を発動させる。と同時に、『白騎士団のランサー』の左右に、四色の小さな羊、『羊トークン』が現れた。

 

『羊トークン』

 レベル1

 守備力0

『羊トークン』

 レベル1

 守備力0

『羊トークン』

 レベル1

 守備力0

『羊トークン』

 レベル1

 守備力0

 

「このカードを発動したターン、俺は他のモンスターを召喚、反転召喚、特殊召喚できない。更に装備魔法『ヘル・ガントレット』を、『白騎士団のランサー』に装備。こいつを装備したモンスターは、バトルフェイズ中に自分フィールドのモンスター一体を生贄に捧げることで、モンスターへの攻撃回数を増やすことができる」

「なんだと!?」

「バトル! 俺は、『羊トークン』一体を生贄に捧げる!」

 『羊トークン』が光に変わる。その光を、装備魔法によって禍々しく変化した右腕の槍が吸収した。

「『白騎士団のランサー』で、『輝白竜 ワイバースター』を攻撃!」

 ランサーの突進。それによって勢いを増した槍の突きが、白のワイバースターを貫いた。

「ぐぅ……!」

 

ウィラー・メット

LP:3200→2500

 

「……ワイバースターがフィールドから墓地へ送られた瞬間、デッキから『暗黒竜 コラプサーペント』を手札に加える!」

 

ウィラー・メット

手札:2→3

 

「次だ。『羊トークン』を生贄に、コラプサーペントを攻撃!」

「うおお……! コラプサーペントの効果! ワイバースターを手札に……!」

 

ウィラー・メット

LP:2500→1900

 

ウィラー・メット

手札:3→4

 

「続けて、『羊トークン』を生贄に、『おジャマ・ブラック』を攻撃!」

『オレェ~~~!?』

 名指しされ、かなり慌てた様子の黒いそいつに向かって、ランサーは突撃した。

「『白騎士団のランサー』は守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える!」

「な……!」

 説明の直後、『おジャマ・ブラック』は槍の一撃に倒れた。

「ぐぅぅぅぅ……!!」

 

ウィラー・メット

LP:1900→500

 

「最後の『羊トークン』を生贄に捧げる。この攻撃で終わりだ! 『おジャマ・グリーン』を攻撃!」

 四度目の光景。慌てふためく緑色を仕留めようと、走り出す白の槍……

「ちっ……罠発動『ドレインシールド』! その攻撃を無効にし、俺はその攻撃力分のライフを回復する!」

 突撃していった槍の一撃が、見えない壁によって弾かれる。その壁から光が溢れ、相手の身に降り注いだ。

 

ウィラー・メット

LP500→2900

 

「運の良い奴め。だが、まだ通常の攻撃が残っている。再び『おジャマ・グリーン』を攻撃しろ! 『白騎士団のランサー』!」

 そして今度こそ、緑色は破壊された。

 

ウィラー・メット

LP:2900→1500

 

「カードを一枚伏せる。これでターンエンド」

 

 

万丈目

LP:2200

手札:0枚

場 :モンスター

   『白騎士団のランサー』攻撃力1500+300×3

   魔法・罠

    装備魔法『ヘル・ガントレット』

    セット

    セット

 

ウィラー・メット

LP:1500

手札:4枚

場 :モンスター

   『おジャマ・イエロー』守備力1000

   魔法・罠

    無し

 

 

「くっそ……たった一ターンで、一体残して全滅かよ。やりやがるなぁ……」

『アニキ~! 目を覚ましてよ! そんなまっさらな白いモンスター、腹黒いアニキには似合わないよ~!』

「誰が腹黒いだ!」

 俺の怒声に怯むことなく、残った黄色いそいつは叫び続けた。

『アニキは、綺麗で真っ白な決闘者じゃないよ! アニキはもっと薄汚れた、しつこい黒が似合う決闘者なんだよ! 黒じゃないアニキなんて、アニキじゃないんだよ~!!』

「俺が黒いだと! バカな! 俺は純白の光に包まれた、選ばれた決闘者だ!」

「……その黒って、ああ、こいつか……」

 俺と黄色が話しているところに、突然、対戦相手が口を挟んできた。

 足もとに置いた紙袋を取ると、そこから真っ黒な、薄汚い服を取り出した。

「なんだそれは?」

「こいつらに言われて、お前の部屋から持ってきたんだよ。こいつがお前の、本来の制服なんだってな」

「何をバカなことを! この俺がそんな制服を……!」

 

 ……なんだ、この感覚は……

 あの黒い色を見ていると、心が安らぐ……癒される……

 

「まあ、着たくなったらいつでも着ればいい」

 男は言いながら、その制服を手近の木の枝に引っ掛けた。

「俺のターン!」

 

ウィラー・メット

手札:4→5

 

「その攻撃力じゃ、並みのモンスターじゃ勝てねえ……魔法カード『手札抹殺』。こいつで手札を全て捨て、捨てた枚数分、カードをドローするぜ」

 俺の手札はゼロ。奴が捨てた手札は四枚。新たに四枚のカードをドローした。

「来たか……なあ! 万丈目!」

「ん?」

 手札を見ると、突然、俺の名前を呼んだ。

「確かに、白は俺も好きだぜ。明るくて綺麗な色だし、白いってだけで特別な印象だって受ける。何より、俺自身の髪の色だ。生まれつき身近だった分、特に好きな色さ」

「ふふん……そうだろう。白とは正しく特別な色。聖なる輝きに満ち満ちた神聖な色だ!」

『アニキぃ……』

「だがな……同じように、同じだけの黒も存在するから、白ってのは特に映えるんだ」

「なに?」

「そいつを今から教えてやるぜ。墓地に眠る光属性『輝白竜 ワイバースター』と、闇属性『暗黒竜 コラプサーペント』を除外し、手札からこいつを特殊召喚する。光を超えて現れろ! 『ライトパルサー・ドラゴン』!」

 墓地から二体のドラゴンが消えた瞬間、奴のフィールドに、青白いいくつもの光が走った。

 それは俺達の周囲を周った後で、奴の前に一つに集まり、その輝きから、一体のドラゴンとして姿を現した。

 

『ライトパルサー・ドラゴン』

 レベル6

 攻撃力2500

 

「光のドラゴン……なんて、美しい純白だ……」

 その輝きに、俺は思わず見惚れてしまっていた。だが、男は更に、手札のカードを取った。

「同じように、墓地から二体目のワイバースターとコラプサーペントを除外する。闇より全てを燃やし尽くせ! 『ダークフレア・ドラゴン』!」

 今度はフィールドの中心から、巨大な火柱が上がった。

 その火柱の下には、全てを飲み込んでしまいそうな、巨大な影……いや、闇があった。

 その闇が上へ上へと上っていきながら、火柱の全てを飲み込む。

 そして、その闇から、爆炎と共に、そいつは姿を現した。

 

『ダークフレア・ドラゴン』

 レベル5

 攻撃力2400

 

「闇の……炎のドラゴン……」

 闇、そして炎……なんとなく、あいつに似ている……

 そんなことを思った時、男は手札のカードを墓地へ捨てた。

「ダークフレアの効果。手札とデッキからドラゴン族モンスターを一体ずつ墓地へ送ることで、自分または相手の墓地のカード一枚を除外できる。俺が除外するのは、お前の墓地の『白騎士団のソードマン』だ!」

 

ウィラー・メット

手札:2→1

 

 黒いドラゴンの口から放たれた真っ赤な火球が、俺の墓地にぶつかる。

 そして、そこに眠る『白騎士団のソードマン』の一体を消滅させた。

「これでランサーの攻撃力も下がるぜ」

 

『白騎士団のランサー』

 攻撃力1500+300×2

 

「ちぃ……」

「更に、たった今墓地へ捨てた『エクリプス・ワイバーン』の効果! こいつが墓地へ送られた場合、デッキの光属性、または闇属性でレベル7以上のドラゴン族一体をゲームから除外する。俺はこの効果で、レベル8の『トライホーン・ドラゴン』を除外する。墓地の『エクリプス・ワイバーン』が除外された時、除外したカードは手札に加えられる」

「バトルだ! 『ライトパルサー・ドラゴン』で、『白騎士団のランサー』を攻撃! ショットパルス!」

 白いドラゴンの胸の穴から、青白い光線がいくつも飛ばされる。

 その全てが、ランサーの身を貫いた。

「なんの……攻撃宣言時、墓地に眠る『白騎士団のガードナー』を除外することで、このターン、ホワイトナイツ一体の破壊を無効にし、戦闘ダメージをゼロにする!」

「マジかよ……」

 その言葉の通り、ライトパルサーの胸から放たれた光線は、ランサーの槍によって弾かれた。

「これ以上の攻撃は無駄か……ターンエンドだ」

 

 

ウィラー・メット

LP:1500

手札:1枚

場 :モンスター

   『ライトパルサー・ドラゴン』攻撃力2500

   『ダークフレア・ドラゴン』攻撃力2400

   『おジャマ・イエロー』守備力1000

   魔法・罠

    無し

 

万丈目

LP:2200

手札:0枚

場 :モンスター

   『白騎士団のランサー』攻撃力1500+300×2

   魔法・罠

    装備魔法『ヘル・ガントレット』

    セット

    セット

 

 

「光と闇……白と黒か。だが別々の色を組み合わせるなど、清廉ではいられない弱者共の逃げに過ぎん! 何物にも染まらぬ高貴なる白。それこそが本当の力だ!」

『アニキはそんなこと言う人じゃないよ~! アニキは、半年間制服を洗わなくても、平気な人だったじゃないのさ~!』

「なにぃ!?」

 また黄色い奴が口を挟んできて、聞こえてきたのは信じられない言葉だった。

「あぁ、それでか。あの制服持ってきた時、なんかかび臭ぇと思ったんだ」

「なんだと!?」

『それだけじゃないよ! アニキはテーブルにこぼした醤油だって、袖で拭いちゃうような人だったじゃないか~!!』

「カビ臭さと一緒に臭ってきた酸っぱい匂いはそれか……」

「ええーい! 黙れ黙れ!! この俺がそんなことをするか! 俺のターン、ドロー!」

 

万丈目

手札:0→1

 

「『強欲な壺』、カードを二枚ドロー!」

 

万丈目

手札:0→2

 

「永続罠『リビングデッドの呼び声』! こいつの効果で、墓地の『白騎士団のソードマン』を蘇生!」

 

『白騎士団のソードマン』

 レベル4

 攻撃力1500

 

「そして、『白騎士団のソードマン』、ランサーの二体を生贄に捧げ、現れよ! 白き世界の絶対守護者、『白騎士団のロード(ホワイトナイツロード)』!!」

 二体の白騎士たちが光に変わり、そこに、一層の巨体を誇る、新たな騎士が現れる。

 右手には、棘つきの鉄球を持ち、仮面の下からは、相手を威嚇する鋭い視線を放っている。

 そんな、ホワイトナイツたちの長にして……

「これが! 斎王様から頂いた、究極のモンスター! 俺様の、白の結社への忠誠の証だ!」

 

白騎士団のロード(ホワイトナイツロード)

 レベル7

 攻撃力2000+300×2

 

「白の結社……斎王さま……そいつが、お前をそんなにしちまった奴ってわけか……」

「いくぞ! まずは案山子となった『リビングデッドの呼び声』を墓地へ送り、『マジック・プランター』発動! カードを二枚ドロー!」

 

万丈目

手札:0→2

 

「魔法カード『禁止薬物』を『白騎士団のロード』に対して発動。バトルだ! 『白騎士団のロード』で、『ダークフレア・ドラゴン』を攻撃!」

 ロードが飛び上がり、右手の鉄球を振りかぶる。

 そこから飛んでいった、長い鎖に繋がった鉄球が、炎の黒竜を粉砕した。

「ちぃ……!」

 

ウィラー・メット

LP:1500→1300

 

「更に、『白騎士団のロード』が相手モンスターを破壊した時、相手に300ポイントのダメージを与える!」

「なんだと!? うおお……!」

 

ウィラー・メット

LP:1300→1000

 

「まだだ! 『禁止薬物』の対象となったモンスターはこのターン、二回攻撃が可能となる。『白騎士団のロード』で、『ライトパルサー・ドラゴン』を攻撃!」

「ぐぅ……!」

 直前の黒竜と同じことが、白竜に対して起こる。

 鉄球による粉砕。それによって受けるライフダメージ。加えての効果ダメージ。

 

ウィラー・メット

LP:1000→600

 

「見たか! 清廉なる白の力! 斎王様の力を!」

「……確かにな。お前は強ぇよ。得体の知れない力を使ってることを差し引いても、かなり強い。強いが……それでも、俺にも分かるぜ。白一色ってのはお前には似合わねえってな」

「なに……?」

「見せてやるよ。混ざりものの白の力をよ。『ライトパルサー・ドラゴン』がフィールドから墓地へ送られた時、墓地に眠るレベル5以上の闇属性ドラゴン族モンスターを特殊召喚できる」

「またダークフレアを……」

「いいや。俺が呼び出すのは、俺にとっての本当のエース……闇より生まれし白の輝き、『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』!」

 怪しく蠢く闇が、奴の目の前に発生した。

 その中心からは、一筋の白い光が見えた。

 その白い光と共に、力強き真紅の竜は、姿を現した。

 

『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』

 レベル6

 攻撃力2200

 

「『手札抹殺』の時に捨てていたのか……これが、お前の本当のエースだと?」

「そう。エースであり、そして、お前にとっての『おジャマ』達と同じ、俺を選んでくれた精霊のカードだ」

「精霊……」

 その言葉と共に、男は白角のドラゴンを、慈愛に満ちた視線で見上げていた。

 そんな男に対して、『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』もまた、信頼に満ちた視線を送っているのが分かる。

「精霊との、絆……」

 

『アニキ~!!』

 

 そんな二人の姿に見惚れているところに、再び黄色の声が轟く。

『本当に、オイラ達のこと忘れちゃったの~! 楽しいことも、辛いこともあった、たくさんの思い出全部、本当に忘れちゃったの~! うわあああああああん!!』

 とうとう、大粒の涙を流しながら泣き出してしまった。

 そんな言葉も姿も、知ったことではないと言ってしまえばそれまでではある。

 なのにどうしてだ? あの姿を見ていると、優越感に浸れるような、惨めさを共感したくなるような、そんな気持ちにさせられるのは……

 

「精霊ってのはな、心の底から信頼できる人間にしか近づかねえ生き物なんだ」

 俺が正体不明の頭痛に苛まれているところに、再び男の声。

「どんなに決闘に弱くても、どんなに惨めで格好悪い目に遭うような奴だって、それは変わらねえ。心の底から決闘を楽しんで、決闘に打ち込むことができる奴。そんな奴に心惹かれるから、精霊って奴らは決闘者のもとへやってくるんだ。そして決闘者も、そのカードはもちろん、決闘のことを心底愛することができるからその姿を見ることができるんだ」

 言いながら、男とドラゴンの視線が、俺に重なる。

「俺だってそうさ。はっきり言って決闘はクソ弱かった。何度も敗けて、笑われもした。それでも決闘が大好きだったからカードデザイナーになった。そんな弱っちい俺のもとへ来てくれたのが、この『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』だった。こいつとの絆があったから、俺はここまでやってこれた」

「絆……!」

 その言葉は、なぜか俺の胸に強く響いた。

「お前はどうだ? お前と、おジャマ達の絆ってやつは、そんなわけの分からねえ力に屈しちまうほど、ヤワなものだってのか?」

「お、俺は……」

「確かに、全部綺麗さっぱり忘れて、真っ白に生まれ変わるのは良いことかもしれねえ。だがな、人間白いままで生きていけるわけがねえ。さっきも言ったよな? 同じだけの黒もあるから白は映えるんだって。黒の方が多くてもいい。白の力は量や質じゃねえ。その白をどれだけ輝かせられるか。それが、本当の白の価値ってもんだろうが!」

 男が叫んだ瞬間、奴のドラゴンの頭の、白い角が、強い輝きを発した。

 

「『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』の効果! こいつが召喚、特殊召喚に成功した時、相手の墓地の魔法カードを五枚まで対象にして発動する。対象の魔法カードを除外し、一枚につきこいつの攻撃力を300アップさせる!」

 その宣言と同時に、俺の墓地から魔法カードが飛び出した。

 

『天使の施し』

『ヘル・ガントレット』

『強欲な壺』

『マジック・プランター』

『禁止薬物』

 

「その五枚を除外して、ホワイト・ホーンズの攻撃力を1500アップだ!」

 飛びだした五枚のカードが、輝く白の角に吸収される。

 角はよりいっそう輝きを増し、強大だと分かるエネルギーを発している。

 

『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』

 攻撃力2200+300×5

 

「攻撃力、3700……」

「お前らからしてみれば、同じ白でも、闇から生まれたまがい物の白だろうな。そんな白の前で、さらけ出しちまえよ。ホワイト・ホーンズの光の中で、本当のお前をな……」

 今なお強く輝く角から、フィールドに降りそそぐ光。そして、男からの優しい声。

「俺は……こ、これは!?」

 その時、俺の目に、あるものが映った……

 

 

 

視点:外

 

「アブソルートZeroの効果、氷結時代(アイス・エイジ)

「エアトス!!」

 

「オーシャン、アイスエッジの二体で攻撃」

「ぐうぅぅぅ……!!」

 

ルドルフ・ハイトマン

LP:2000→0

 

 

「はて、今の決闘者、どこかで……」

 

 ……トクン

 

「……え?」

 梓が、一人のプロ決闘者との決闘を終えた直後のこと。

 聞き覚えのある、小さな音が聞こえた。

 それは、今も着物の袖にしまってある、デッキケースから音だった。

「まさか、これは……」

 青色のデッキケースを開き、そこにただ一枚だけ残っているカードを手に取る。

「見つけたというのですか? あなたが探し求めていた人が……」

 

 

「これは……」

 輝きの中、万丈目が目にしたもの。そして同時に、今朝のことが思い出された。

「そうだ……俺は知っている。黒の力。白など簡単に穢してしまえる、頑固汚れの強さと、染みのしつこさを。今朝の朝食の時に拭いた、この袖についた醤油の染みのように……」

「汚ぇな……」

「そうだ。俺はそいつらを知っている。俺は、そいつらから教えてもらった!」

 

『兄弟の絆の強さを!』

『それさえあれば!』

『誰にも敗けないってことをね!』

 

 万丈目の言葉で、フィールドのイエローと、墓地にいる半透明のグリーンとブラックが嬉しそうに声を上げた。

 

「下には下がいることを!!」

 

 そして、その万丈目の絶叫で、三人ともこけてしまった。

 

「そうだ! 俺は……なんだ、この制服は? なんだ、この決闘は? 誰だ、俺と決闘している貴様は!?」

「おおー……戻ったか」

 万丈目の様子に、ウィラーも嬉しそうに声を上げる。

 だが、万丈目は直前のことも忘れ、憤慨していた。

「おい貴様! それは俺のモンスター! なぜお前がそれを持っている?」

「いや、なんでってお前、そりゃあ……」

「まさか……貴様、俺のカードを盗んだのか!?」

「……あ?」

 その言葉に、黙っていたウィラーだったが……

 

「盗むわけねえだろうが!! 精霊が宿ったカードを!! よりによってこの俺が、精霊と決闘者との絆を奪うような真似するかー!!」

 

『……!!』

 万丈目以上に激怒し、万丈目を、更に、おジャマ達を怯ませた。

「まったく、何も覚えてねえのかよ……お前達の絆を奪ったのは俺じゃねえ。斎王って奴だろうが」

「斎王……そう言えば……」

 斎王の名を聞き、過去を振り返る。思い出すのは、十代が消えた夜、斎王と行った決闘。

 それ以降の記憶が、綺麗さっぱり消えている。

「そして、気が付いたら、俺はこんな格好で、この決闘を……あー! 耐えられん!!」

 叫びながら、着ていた制服を脱ぎ捨て、木の枝に掛けられていた黒の制服に袖を通した。

「あんな汚れや皺の目立つ格好などしていられるか! 全てを包み隠す黒、それこそが、俺の正しき色! そう、俺は……」

 

「一」

 

『十!』

 

『百!』

 

『千!』

 

「万丈目ブラックサンダー!!」

 

(……そんな名前のスナック、コンビニで見たような……)

 三人の精霊達と共に、高らかに叫ぶ。そんな万丈目の姿に、ウィラーも嬉しそうに微笑む。

「……ああ。さっきよりは似合ってると思うぜ。さあ、今はまだお前のターンだ」

「俺は……俺はこれでターンエンド」

 

万丈目

LP:2200

手札:1枚

場 :モンスター

   『白騎士団のロード』攻撃力2000+300×2

   魔法・罠

    セット

 

ウィラー・メット

LP:600

手札:1枚

場 :モンスター

   『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』攻撃力2200+1500

   『おジャマ・イエロー』守備力1000

   魔法・罠

    無し

 

 

「こっからが本当の決闘だな……俺のターン!」

 

ウィラー・メット

手札:1→2

 

「バトルだ! 『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』で、『白騎士団のロード』を攻撃! ホーン・ドライブバスター!」

 真紅の竜の白角に、魔力のエネルギーが輝く。

 その輝きによって力を増した、口からのエネルギー弾が、白騎士の長へ放たれた。

「ぐぅ……!」

 

万丈目

LP:2200→1100

 

「……罠発動『奇跡の残照』! このターン、戦闘によって破壊されたモンスター一体を、墓地から特殊召喚する!」

 

『白騎士団のロード』

 レベル7

 攻撃力2000+300×2

 

「勝利への執念は捨てずか……一枚伏せる。これでターンエンドだ」

 

ウィラー・メット

LP:600

手札:1枚

場 :モンスター

   『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』攻撃力2200+1500

   『おジャマ・イエロー』守備力1000

   魔法・罠

    セット

 

万丈目

LP:1100

手札:1枚

場 :モンスター

   『白騎士団のロード』攻撃力2000+300×2

   魔法・罠

    無し

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

万丈目

手札:1→2

 

「……魔法カード発動『強制転移』! 互いのフィールドに存在するモンスターを一体ずつ選択し、コントロールを入れ替える。俺が選ぶのは、『白騎士団のロード』!」

「なに? 何のためにそんなカードを……俺は当然、『おジャマ・イエロー』を選ぶぜ」

 宣言された二体のモンスターカードを、互いに交換する。と同時に、二体のモンスターは立ち位置を入れ替えた。

 

『白騎士団のロード』

 攻撃力2000

 

『アニキ~!!』

 守備表示の『おジャマ・イエロー』は大喜びしながら、万丈目に飛び付いた。

「ええーい、鬱陶しい! 泣くな! お前達は、俺のデッキのエースモンスターだろうが! シャキッとしろ!」

『エース? オイラ達が!?』

「そうだ。さあ、貴様の力を俺に貸せ。共に悪しき決闘者を倒すぞ」

「悪しき決闘者って……」

 ウィラーが苦笑している間にも、『おジャマ・イエロー』は大喜びしながらウィラーと向き合った。

『万丈目のアニキ! オイラの力、存分に使って~!!』

「うむ! 速攻魔法発動『突撃指令』! 自分フィールドの通常モンスター一体を生贄に、相手モンスター一体を破壊する!」

『え?』

「さあ行くのだ雑魚よ! 『白騎士団のロード』を破壊しろ!」

『もういや~~~~!!』

 絶叫しつつ、ようやくいつもの万丈目が戻ってきた。

 内心ではそう歓喜しながら、指令された通りロードに向かって突撃し、ロードを破壊した。

『やったわよー! アニキー!』

「うむ……」

 

万丈目

LP:1100→100

 

『え?』

「なに?」

 なぜか、万丈目のライフが減少し、両手を地面に着けてしまう。

「『白騎士団のロード』が効果で破壊された時、相手に1000ポイントのダメージを与える」

「お前……」

 不可解なプレイングにも、ようやく合点がいった。

「そうまでして、自分を支配していた奴から受け取ったエースモンスターを倒すために……」

「もうカードは残っていない……俺のターンは終了だ。さあ、とどめを刺せ」

 

 

万丈目

LP:100

手札:0枚

場 :モンスター

    無し

   魔法・罠

    無し

 

ウィラー・メット

LP:600

手札:1枚

場 :モンスター

   『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』攻撃力2200+1500

   魔法・罠

    セット

 

 

「お前、面白ぇな。ドロー」

 

ウィラー・メット

手札:1→2

 

「お前なら、良いかもしれねえな」

「なに?」

 探し物をようやく見つけた。そんな喜びの顔を浮かべながら、ウィラーはプレイをしていった。

「『強欲な壺』発動。こいつでカードを二枚ドロー」

 

ウィラー・メット

手札:1→3

 

「墓地に眠る『ライトパルサー・ドラゴン』の効果。手札の闇属性、光属性のモンスター一体ずつを墓地へ送ることで、墓地から特殊召喚できる。俺は手札の『ハウンド・ドラゴン』、『輝白竜 ワイバースター』を墓地へ送り、特殊召喚」

 

『ライトパルサー・ドラゴン』

 レベル6

 攻撃力2500

 

「万丈目って言ったな」

「あ、ああ……」

「お前に見せてやるよ。決闘の新たな可能性。そして、未来をな……チューナーモンスター『ギャラクシーサーペント』を召喚」

 

『ギャラクシーサーペント』チューナー

 レベル2

 攻撃力1000

 

「チューナーモンスター!?」

 

「いくぜ……レベル6の闇属性『ホワイト・ホーンズ・ドラゴン』に、レベル2の『ギャラクシーサーペント』をチューニング」

 

 それは、万丈目にとっては見慣れた光景だった。

 同時に、絶対にあり得ないはずの光景でもあった。

 それが、目の前の男の手によって、繰り広げられていた。

 

「シンクロ召喚! 漆黒の闇よ……『ダークエンド・ドラゴン』!」

 

 ここまで二体の、闇属性の上級ドラゴン族が召喚された。だが、目の前で発生した闇の深さは、その二体とは比べものにならなかった。

 その闇が徐々に形を成し、凶悪な形相を形作る。

 と同時に、そこを中心に、禍々しくも逞しい手足と、強大な尾、ボロボロの二翼、怪しく光る爪、牙、角。そして、胴体と同じく凶悪な形相を浮かべる、頭が生まれた。

 

『ダークエンド・ドラゴン』シンクロ

 レベル8

 攻撃力2600

 

「シンクロ召喚、だと……」

「永続罠『蘇りし魂』。こいつで墓地の通常モンスター一体を守備表示で特殊召喚する。俺は再び、『ギャラクシーサーペント』を特殊召喚」

 

『ギャラクシーサーペント』チューナー

 レベル2

 守備力0

 

「レベル6の光属性『ライトパルサー・ドラゴン』に、レベル2の『ギャラクシーサーペント』をチューニング」

 

 そして再び、同じ光景。

 二つの星に変わる『ギャラクシーサーペント』と、その星に包まれる『ライトパルサー・ドラゴン』。

 

「シンクロ召喚! 神聖なる光……『ライトエンド・ドラゴン』!」

 

 直前の闇とは対照的な、強烈な光がフィールドを包む。

 そこから雄々しくも美しい四対の白翼が広がり、そこから流麗な尾が伸びる。

 清らかな両手と優しげな表情。

 直前の闇とは全てが対照的な、光り輝く聖なる竜。

 

『ライトエンド・ドラゴン』シンクロ

 レベル8

 攻撃力2600

 

「バカな……なぜ、貴様がシンクロ召喚を……」

「知ってるのか? 極秘のはずだが……まあ、知ってるなら話は早ぇな。この二体はな、ペガサス会長が新たに提案した召喚法を元に、俺が新しくデザインしたモンスター達だ」

「お前が創ったのか……?」

「もっとも、技術的な問題で、作り出せたシンクロモンスターはこの二体だけだがな」

 悔やみながらも誇らしげに、二体のドラゴンを見上げる。

 その目には、決闘者として、何より生みの親としての、カードに対する情愛を浮かべていた。

 

「さあ、お披露目も済んだところで、この決闘を終わらせるとするか」

 右手をゆっくり持ち上げる。それを万丈目に向け、己のドラゴン達を見上げた。

 

「『ダークエンド・ドラゴン』、『ライトエンド・ドラゴン』の二体で、万丈目に、ダイレクトアタック!」

 

 対照的な二体の竜の、攻撃もまた対照的だった。

 黒の闇と、白の光。

 その二つが万丈目の身を、激しく、優しく、なのに決して矛盾せず、包み込んだ。

 

万丈目

LP:100→0

 

 

「ほらよ」

 決闘を終え、ウィラーから『おジャマトリオ』のカードを受け取る。

 半透明の三人とも号泣し、万丈目に抱き着き、それを万丈目は鬱陶しがっていた。

「やめろ! いずれにせよ、俺はもう大会には敗退した。これで終わりだ……」

「敗退なんかしてねえぞ」

「なに?」

「だって俺、大会出場者じゃねーし」

 平然と語られた真実に、万丈目は言葉を失った。

「どういうことだ……?」

「俺はただ、シンクロモンスターのテストのために特別参加しただけだ。テストが終わったらすぐに帰っちまう予定だった。もっとも、俺なんかの腕じゃ、大したテストなんてできねえから、俺よりよっぽど上手くテストしてくれる奴を探してたんだ」

 そこまで言うと、ウィラーは不敵に笑いながら、万丈目と目を合わせた。

「そんな時に、お前に出会ったってわけだ。最初はちっともそんなつもりじゃなかったし、洗脳なんかされて、それを差し引いても精霊を捨てる奴なんざ論外だと思ってた。だが、精霊との強い絆、決闘に対するプライドとこだわり、誇り高い精神。何もかもが理想的だ」

 そして、自身の決闘ディスクに刺さっているデッキを取り出した。

「このデッキを、お前にやる」

「なんだと!?」

 チューナー、そして、シンクロモンスター。それらの入ったデッキを差し出され、さしもの万丈目も目を見開いた。

「今からこのデッキはお前のもんだ。当然改造は自由だぜ。俺が作ったシンクロモンスター、お前が使いこなして見せろ」

「……」

 最初、どうするべきか迷った。だが、ウィラーの向ける真剣な眼差しを受けて、断る言葉が出てこなかった。

「……分かった」

 一言返事をし、デッキを受け取る。

「お前の生み出した、お前の魂が込められたカード、確かに受け取った」

「……」

 その返事に、満足げな笑みを浮かばせた。

「……もっとも、さすがにこいつだけは渡せねぇがな」

 言いながら、背中を見せつつ取り出した一枚のカード。

 そこに描かれたドラゴンは、白い角を輝かせながら、彼の身に寄り添っていた。

 

「じゃあな。精霊との絆、二度と忘れんじゃねーぞ」

 

 その一言を最後に、白い角を輝かせる竜を伴ったカードデザイナーは、島を去っていった……

 

 

「ウィラー・メット……お前のことは、決して忘れん……」

 去っていった友の名前を胸に刻みながら、新たに手にしたデッキを見つめた。

「お前に託されたこのデッキと共に、俺は強くなる!」

 新たな決意を声に出した……

 

 その直後だった。

「む……!」

 風を切る音が聞こえ、その方向へ振り向く。

 そこから、一枚のカードが飛んできた。

「誰だ!」

 咄嗟にカードを受け止めながら、辺りを見回す。だが、誰一人姿はない。

「なんなんだ……む? これは……!」

 周囲を見ても答えは分からず、何気なく、飛んできたカードに目を向けた。

 それは、見たことの無いモンスターカードだった。

 白と黒。今日まで着てきた服の色と同じ、対照的な二つの色から成る、美しいドラゴンのカード。

「こいつは……」

『アニキ、この子……』

「ああ。間違いない」

 そんなドラゴンを見ながら、確かに感じた。

「俺を、選んでくれたのか……」

 普通のカードには無い、確かな存在感。見ていると感じる、明確な感情。

 姿は見せなくとも、そのカードには確かに、おジャマら精霊と同じ物を感じた。

「そうか……」

 

 新たに託され、手に入れたデッキ。その一番上に、突然飛んできた一枚のカードを重ねながら、問い掛ける。

「俺と共に闘ってくれるか……『光と闇の竜(ライトアンドダークネス・ドラゴン)』……」

 その問い掛けに、答える声は無い。

 ただ、彼の後ろから、聖なる白と、禍々しい黒の、対照的な翼で包み込まれる……そんな感触があった。

 

 

(まさか、彼とは……)

 そんな万丈目の姿を、森の陰から覗く者が一人。

(妥当と言えば大いに妥当、意外と言えば、大変意外な選択ですね……けど、確かに、今の彼なら信用できる。電脳世界で生み出されたカード、準さんに託します)

 信じられる、黒い服を着た友の姿に、梓は満ち足りた笑顔を浮かべ、その場を後にした。

 

 

 

 




お疲れ~。
近頃ドラゴンしか書いてない気がするけど、いい加減飽きられないかな……

まいーや。早速オリカ行こ~。



『白騎士団のランサー』
 レベル4
 光属性 戦士族
 攻撃力1500 守備力0
 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。

『白騎士団のソードマン』
 レベル4
 光属性 戦士族
 攻撃力1200 守備力1200
 自分の墓地にこのカードが存在する時、フィールド上の「白騎士団の」と名のついたモンスターの攻撃力は300ポイントアップする。
 
『白騎士団のガードナー』
 レベル4
 光属性 戦士族
 攻撃力800 守備力2000
 相手モンスターの攻撃宣言時、墓地のこのカードをゲームから除外し、
 自分フィールド上の「白騎士団の」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。
 このターン、選択した自分のモンスターは戦闘では破壊されず、戦闘ダメージは0になる。

『白騎士団のロード』
 レベル7
 光属性 戦士族
 攻撃力2000 守備力2000
 このカードは生贄にすることはできない。
 このカードが戦闘を行わなかったターンのエンドフェイズに、このカードのコントローラーは800ポイントのダメージを受ける。
 このカードが表側表示で存在する限り、このカードと戦闘を行う事で自分が受ける戦闘ダメージは0になる。
 このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時、破壊したモンスター1体につき300ポイントのダメージを相手に与える。
 このカードが相手のカード効果によって破壊された時、相手に1000ポイントのダメージを与える。

全部、ホワイトサンダーが使用。
ご存知、『幻獣』シリーズの元になったカード達。
ガードナー以外どれも攻撃力が若干低くなってる。ただし、戦士族な分サポートは豊富。
それでも当時、このままだと強かったかな? なして獣族になったのかしら……
あと、書いてて思ったけど、全員ルビに無理ありすぎないかな……?

ちなみに、ガードナーは原作もOCGも微妙なんで、両方合わせてみました。
……まあ、ぶっちゃけ単に大海が効果勘違いして、気付いたら修正不可になっちまっただけなんだけど……ごめんね……


『ヘル・ガントレット』
 装備魔法
 装備モンスターは自分フィールド上のモンスター1体をリリースする事でもう1度だけ攻撃を行う事ができる。
 その場合は相手プレイヤーに直接攻撃を行う事ができない。
 この効果は自分のターンのバトルフェイズ中にのみ発動する事ができる。

無論、ホワイトサンダーが使用。
今回みたいに、『スケープ・ゴート』とか大量展開できるデッキに合わせりゃすごいことになる。
ただし、かわされたらモンスターがいなくなっちゃうからリスクでもあるわな。
それでもだいぶ強いけれど。


『禁止薬物』
 通常魔法
 自分フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
 選択したモンスターは、1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。

漫画版GXにて、ヨハン・アンデルセンが使用。
装備魔法のトライスとは違って、永続でない代わりに攻撃力も下がらないし手札コストも無い。
それよりずっと手軽に二回攻撃を付与できる。
まあ、それでも今見るとわざわざ魔法一枚使ってまで欲しい効果でもないけど……



以上。
久しぶりにオリカがたくさん出たね。
これからはどうなるか分からねえなぁ。
まあでも、OCGだろうがオリカだろうが、おもろい物になるよう頑張るよ。

んじゃ、次話まで待ってて。
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