遊戯王GX ~氷結の花~   作:大海

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うりぃぃいいいい……

て~なわけで、待ってた人らにゃお待ちかね、明日香の決闘。
明日香の使用デッキは何じゃろな……

……うん、多分みんなが予想した通りのデッキだと思うよ。
だから退屈かも分からんね……

それでもいい?
いいんなら……

行ってらっしゃい。



四日目:上城の奇妙な決闘 ~黄金の風~

視点:外

 

 AM 06:00:07

 

「ぜぇ……ぜぇ……」

 ほんの数十分前に朝日が顔を出し、まだ朝もやに包まれた森の中。

 彼女は地面に背中を着き、大の字に倒れながら、どうにか呼吸を整えていた。

 

「しかし、珍しいこともあるものだ。アズサが私に鍛えて欲しいなどと……」

 

 そんな、ワンピースでなく、決闘時の舞姫装束に着替えたアズサを、梓は、本当に珍しそうな顔で眺めている。

 いつもなら、刀が握られているはずの左手には、何も無い。アズサにケガをさせないことはもちろん、そもそもそんなものは必要ないという証でもあった。

「ぜぇ……はぁ……」

「ほら、もう終わりですか? それとも、武器を失ったので降参ですか?」

 そう言った梓の後ろには、アズサが愛用している輪刀が二つ。

 二人の力の差を考えれば当然だが、刀も、虎将や龍の力すら使わず、梓はアズサから武器を奪い、地面に大の字を刻ませていた。

「ぜぇ……まだ、まだ……」

 それでもアズサは、立ち上がった。

(分かってるさ。今更こんなことしたって……ていうか、僕なんか、一生掛かったって、梓に勝てるわけない……勝つどころか、力も、刀すら使わせることだって、できるわけない……分かってるさ……でも……でもさぁ……)

 考えれば考えるほど、出てくる言葉は卑屈ばかり。諦めばかり。悟りばかり。

 頭では十分に分かっている。今、体でも十二分に分かった。

 続けることが無駄だということも。諦めることが最良だということも。

 それでも……

 そんな最良を選択できない。したくない。してたまるか。

(僕は、あずさちゃんみたいに護れない……星華姉さんみたく、逃げずにいられない……でも僕は、梓の精霊で、梓自身なんだ。それだけは譲れない。絶対に。だから……)

 諦める理由などいくつもある。だがアズサにとっては、百ある諦めの理由以上に、たった一つの諦めない理由の方が、臆千万を超えるだけの価値がある。

(強くなる……梓に頼りにされるくらい、強くなる! もっともっと……!)

 

「続けるよ! 梓!」

 

「……」

 武器を失い、ボロボロになり、何度倒れても立ち上がり、その目には変わらぬ闘志を、そして、拳を握り、構え続ける。

(懐かしい姿だ……)

 思い出したのは、青色ではなく、紫色だった、未来(かこ)の自分。

 自分のことを選んでくれた、決闘モンスターズの精霊にして、最愛の友たち。

 彼らの主として、恥ずかしくない男になりたくて、そんな必要も無いのに、彼らに頼み込んで、鍛えられた。

 何年も何年も、人間の世界で鍛え続けてきた力は全く通用せず、何度も倒され、倒れ、それでも諦めることだけはできなくて、ボロボロになるまで戦い続け……

(それが今では……()が教え、精霊(アズサ)が教えられる立場とは……)

 もちろん、梓には、アズサの考えは分からない。それでも彼女が、必要も無い努力に縋り、諦めたくない何かを求めている。それを、姿を見ただけで理解した。

 そんなアズサに応えるために、梓もまた、構えた。

 

「遠慮はいりません……私を殺しに来なさい」

 

「うわああああああああ!!」

 

 ……

 …………

 ………………

 

 AM 07:52:14

 

「嘘……だろ……」

 目の前の光景に、十代は絶句し、目を見開いていた。

「こんな、ことが……」

「なんで、こんな……」

 両隣で見ていた、万丈目、剣山の二人も、似たような反応を示していた。

「どうして……どうして……!」

 十代は、テーブルを叩きながら、立ち上がった。

 

「どうして今更! 冥王星が惑星から外されちまうんだよ!!」

 

 テーブルの上の新聞(2006年8月ごろ)の記事を読みながら、声を上げていた。

「正直、一番遠いし存在感薄いからあんま気にしたこと無かったけど、こんなことになると、なんだか寂しいドン……」

「トリノオリンピックで日本がフィギュアスケートで金メダルを取ったかと思えば、先月には北朝鮮からミサイル七発が日本海目掛けて発射され、そして今日はこれか……」

「すっかり良いニュース聞かなくなっちまったよなぁ……この間のFIFAワールドカップでも、日本は予選落ちしちまったし……」

 溜め息交じりに座りながら、手元のフォークを取る。新聞をめくりながら、皿の上のエビフライを取り……

「……」

 エビフライを、取り……

「……?」

 見てみると、フォークの先にあるはずのエビフライは、皿ごと消えていた。

「あれ? ここにあったエビフライは?」

 その声に、二人もテーブルを見渡したが、エビフライはすぐに見つかった。

 

 

 ド

     ド

   ド

               ド

                  ド

               ド

 

 

 後ろから感じる気配に、振り返った先には、当然明日香が立っていた。

 両手を頭の後ろに組み、揃えた両足は同じ方向へひざを曲げ、右上を見上げている。

(なぜだ……無性にリゾットが食いたくなってきた……)

(イカスミの入ったやつが良いドン……)

 明日香の見せている謎のセクシーポーズに、万丈目と剣山が謎の衝動を感じている中、

「……てか、なんで明日香は俺のエビフライ持ってんだよ」

 明日香の頭の上に乗せられた、エビフライの皿を見て、十代は声を上げた。

 

「良~~~~~~~しッ!」

 

「よしよしよし

 よしよしよし

 よしよしよし

 よしよしよし

 よしよしよしよし

 よしよしよしよし

 よしよしよしよしよしよし

 よしよしよしよしよしよし

 よしよしよしよしよしよし

 よしよしよしよしよしよし

 よしよしよしよしよしよし」

 

「よく見つけたぞ! 十代」

 

 上手い具合に皿を落とさず頭に乗せたまま、十代の頭を両手に持ち、撫でまわし、自身の身を無駄に密着させ、十代を褒めちぎった。

(……なんか、すごい屈辱なんだけど……)

 

「ごほーびをやるぞ。無事に見つけたごほーびだ。2個でいいか?」

 

「何だよ、ご褒美って? それ元々俺のエビフライだし。てか、三個乗ってんだから三個とも返せよ」

 

「3個か!? 甘いの3個ほしいのか? 3個…イヤしんぼめ!!」

 

「なんだよ嫌しんぼって? てか、エビフライは甘くねーし。元々俺のなんだから三個とも俺のだって!」

 

「いいだろう。3個やろう!! 行くぞ十代」

 

「行くぞって……おい、まさか……」

 

「3個行くぞ!」

 

「ぅおい!!」

 

 ドシ ュ ー

 

 十代が声を上げた瞬間には、明日香の手から、エビフライは三つとも十代目掛け、投げ込まれていた。

「おわぁあああ!!」

 

 バクッ

 バクッ

 バクッ

 

「良お~~~~~~~~~~~し

 よしよしよしよしよしよし

 よしよしよしよしよしよし

 よしよしよしよしよしよし

 よしよしよしよしよしよし

 よしよしよしよしよしよし

 よしよしよしよしよしよし

 たいしたヤツだ

 十代おまえは」

    メデ メデ

 ナデ

 

(もぐもぐ……ものすっごい屈辱なんだけど……)

 どうにか落とさず口で受け止めたエビフライを咀嚼しつつ、十代は、さっきと同じように明日香のスキンシップを受けていた。

(……てか、さっきから顔と一緒になに押し付けてんだ? なんか、やたら柔らかいけど……)

 

『……』

 

 そして、そんな二人の様を、万丈目と剣山、そして、その他のレッド寮の生徒達は、真顔で眺めていた。

「ゴクリ……どうしたってんだよ、明日香? なんか、今日はいつも以上に変だぞ? 目も据わってるし……」

 

「……鍵」

 

「は?」

 

「鍵を賭けて、勝負なさい十代……私が勝てば、斎王様がアナタに託した鍵は私が取る。私が勝てば、鍵はあなたのもの……」

「勝負って……」

 

「当然! 「決闘」だッ! 祖先から受け継ぐ「決闘」ッ! それが流儀ィィッ!!」

 

「だろうな……てか、なんで、お前が鍵のこと知ってんだよ?」

 昨夜の夕方、十代は、斎王から謎の鍵を受け取った。更に、エドも同じ鍵を受け取っていたことを知り、二人で話し合い、誰にも渡さず守らねばならないと決めた。

 二人しか知らない、翔や剣山にさえ話していない事実のはずなのに……

 

「鍵のことや! 十代がなぜ鍵を持っているか…そんなことはどうでもいい! 重要なのは、お前が挑戦を受けるかだ!」

 

「いや、だから、何でお前が鍵のこと知って……」

 

「質問を質問で返すなあーっ!! 疑問文には疑問文で答えろとアカデミアで教えているのか? わたしが「決闘しろ」と聞いているんだッ!」

 

「うわあぁぁああああ!!」

 まるで話が通じない。鍵を賭けて決闘しろと言っているのは分かるが、あまりに一方的で、会話が成り立たない。

 

「無駄だよ。十代君」

 

 そんな十代に応えたのは、明日香ではなく、別の声。そちらの方へ、十代らは振り向くと、

「吹雪さん?」

「師匠」

 吹雪は真剣な顔つきで、四人のいるテーブルへ近づいた。

「おそらく明日香は、斎王によって、極度に操られているのだろう。そして、十代君と決闘して、もし十代君が敗ければ、明日香は永遠にこのままだろう」

「えぇ!?」

「ということは……十代が決闘に勝たなければ、天上院君は永久に奇妙なまま、ということか……」

「ああ……斎王なら、そのくらいのことはするはずだ」

 

「ふざけんなよ!!」

 

 ずっと額を人差し指で擦られている十代が、再び叫びながら立ち上がった。

「そんなことさせるか!!」

「十代……」

「兄貴……」

「いいぜ。勝負だ明日香。必ずお前の目を、覚まさせてやるぜ」

 その答えを聞いた明日香は、嬉しそうに微笑み、人差し指を離すと、

「二時間後にブルー専用決闘フィールドよ。そこで待ってるわ……」

 それを最後に、明日香は出ていった。

 

「二時間後ってことは……十時ちょうどか」

「十代……」

「なんだよ? 万丈目?」

 出ていった明日香を思いつつ、時計を確認した十代に、突然万丈目が迫った。

「貴様……天上院君にくっつきすぎだ!」

「いや、あれ明日香が勝手にくっついてきただけだし……!」

 そんなふうに、冥王星の下りも忘れ、食堂には徐々に、いつもの雰囲気が戻っていった。

 

 ……

 …………

 ………………

 

 AM 09:50:26

 

「明日香さんと十代さんとの決闘……」

「ホワイト寮はその話題で持ちきりだった。天上院明日香の様子はおかしな……奇妙なままだが、見ものだな。この決闘……」

『多分、前までの準みたく、斎王の組んだデッキで挑むだろうね。明日香ちゃん……』

「うむ……それも気になりますが……」

『やっぱ、翔君のこと、気になる?』

「……」

 答えはしないものの、梓の表情には、頷く以上の肯定が浮かんでいた。

 ほんの五分ほど前、二人の決闘が行われると聞いた梓は、訓練を終えたアズサと、朝食を食べ終えた星華を伴い、決闘フィールドへ移動していた。

 その途中、精霊も無しに一人歩いていた翔にも声を掛けた物の、何やら意味深な視線を梓に向けて、断ってしまった。

「……彼にも、悩みがあるのでしょう」

「うむ……まあ、何となく想像はつくがな」

『僕らの場合、特にね……』

「……む?」

 そんな、会話しながら廊下を歩いている三人の前に、彼女は立っていた。

「明日香さん?」

 

「……」

 

 ……

 …………

 ………………

 

 AM 09:57:02

 

「……あ、明日香ちゃん」

 決闘フィールドへの入口。そこには、既に待っていたあずさが一人、立っていた。

「十代君、もうフィールドに上がってるよ」

「そう……」

 明日香は、短く返事を返すのみ。

「頑張ってね。応援してるから」

 と、口では白の結社の一員として、明日香を応援するものの、内心では、十代を応援していた。

 万丈目は、自力で斎王の力から逃れて見せた。だが、今の明日香からは、万丈目以上の力を感じる。おそらく、普通の人間が自力で振り払えるレベルではないだろう。

 そんな明日香を元に戻せるのは、十代しかいない。

 かつて、あずさが梓に対してそうしたように……

 それを、あずさは願っていた。

 

「いいぜ。十代はオレが倒す」

 あずさからの激励に、明日香は微笑み掛けた。

 

「十代を倒したなら…オレは十代と結婚する」

 

「……へ?」

「おまえ応援するといったよな? 祝福しろ。結婚にはそれが必要だ」

「へ? なに? なにするって?」

 

           ド

           ド

             ド

             ド

               ド

               ド

                 ド

                 ド

 

 疑問に苛まれるあずさを残し、明日香は、決闘ディスクにカードをセットする。直後に右手を上げ、曲げた右手に左手を添え、右足のひざを曲げ、右手の向こうにある目をあずさに向けて……

 

        「 し祝

          ろ福 」

 

(……なに? あのモンスター……)

 明日香の言動よりも、突然見せた謎のポーズよりも、あずさが疑問を持ったのは、そんな明日香に抱き着くように現れた、見たことの無いモンスターの姿だった。

 

 ……

 …………

 ………………

 

 AM 09:59:49

 

「そろそろ時間だな……明日香は俺が助けてやる」

 

「兄貴ー! 勝って下さいザウルスー!」

「十代! 敗けたら承知せんぞー!」

「君の決闘で明日香をおかしくさせておいて、よく言えるね」

 十代の側の客席では、剣山と万丈目が声を上げ、吹雪は、万丈目を睨みつけていた。

 

「明日香様……」

「十代なら、何とかしてくれる、と、思うわよ……」

『ちょっと心配ですね……』

 彼らの席の近くには、明日香の友人であるももえと、ショウ子ちゃん応援団メンバーであるカミューラとマナも加わり座っていた。

 そしてたった今、梓ら三人も到着した。

 そして、彼らの向かい側、明日香が立つべき側の客席には、ホワイト寮の生徒達。

 そんな、ギャラリーの声に包まれた中……

 

 AM 10:00:00

 

 コツーン

 コツーン

 コツーン

 コツーン

 

 足音が聞こえた瞬間、十代の目の前に、巨大な何かが現れた。

「あれは……?」

 

 その正体に真っ先に気付いたのは、梓だった。

(あれは……『六武の門』? それを横から見た光景か?)

 

「これは……「試練」だ」

 

 変わらぬ足音を鳴らし続けながら、明日香は、現れた『六武の門』の右、否、正面から姿を現した。

 歩きながら、自身の身に着けている、白の制服に手を掛ける。

 

「過去に打ち勝てという「試練」と、オレは受け取った」

 

 制服を持ち上げながら、『六武の門』の開かれた扉を通る。通り過ぎたと同時に、脱いだ白の制服から、頭を出していた。

 

  ゴ

  ゴ                      ゴ

                         ゴ

 

「人の成長は……………未熟な過去に打ち勝つことだとな…え? おまえもそうだろう? 遊城十代」

 

  ゴ

 

  ゴ

  ゴ                      ゴ

                         ゴ

 

「明日香……また早着替えかよ……」

 白の制服から、すっかり変わった明日香を見ながら、十代は感心の声を上げていた。

 

「決闘ディスクまで新調したのか?」

「元のブルーの制服ザウルス?」

「……いや、微妙に違うな」

 

「やけに上の丈が短くなっているな? はだけている下は黒のノースリーブか……」

『なんか、顔も変わってない? いつも以上に、特に唇が色っぽいような……』

「しかも、胸の大きさまで増してません?」

 冷静に明日香を分析していた星華とアズサだったが、梓のそんな言葉に、一様に梓を凝視した。

『梓……そんなとこ見てんの?』

「そんなに女の胸が気になるか?」

「その程度の変化を一目で見分けられずして、着物の着付けやショウ子ちゃん応援団の衣装が務まるとお思いか?」

「……そ、そうだな……」

『ですよねー』

 期待した星華も、焦ったアズサも、そんな梓の大真面目な返事に、苦笑を漏らすしかなかった。

「……見た感じ、星華さんよりもわずかばかり大きくなっているように見えますね……」

「そ、そうなのか……」

 そんな冷静な分析に、星華は自身の胸元を眺めつつ、ちょっぴりショックを受けていた。

 

「……今の明日香ちゃん、言うなら『最高にハイ』な状態かな……」

 明日香に頼まれ、決闘ディスクにカードをセットしていたあずさは、『六武の門』をしまいながら呟いていた。

「まあ……ずっとしたいって言ってた、大好きな十代君との決闘だもんね。そりゃハイなテンションにもなるか」

 

「愛してるぜ……ここにくるのがとても楽しみだった」

 

「よく分からねぇ話は終わりだ! さっさと始めようぜ明日香。お前の望んでた決闘」

 

 十代が叫び、ディスクを構える。

 明日香も、いつもとは違う決闘ディスクを展開させた。

 

『決闘!!』

 

 

明日香

LP:4000

手札:5枚

場 :無し

 

十代

LP:4000

手札:5枚

場 :無し

 

 

「先行は私! 私のターン!」

「……て、なんだよ、そのポーズ……」

「気にしないで。ただのレベル1よ」

「レベル1?」

 

「ドロー」

 

明日香

手札:5→6

 

「私はモンスターをセット。これでターンエンド」

 

 

明日香

LP:4000

手札:5枚

場 :モンスター

    セット

   魔法・罠

    無し

 

 

「裏守備表示でセットしただけ……俺のターン!」

 

十代

手札:5→6

 

「何を呼んだか知らないけど……よし。まずはこいつだ。『おジャマ・ブラック』、守備表示!」

 

『おジャマ・ブラック』

 レベル2

 守備力1000

 

「おジャマ……?」

「万丈目から託された、魂のカードだ!」

 

「天上院君!」

 

 十代がモンスターを召喚した瞬間、後ろに座っていた万丈目が立ち上がった。

 そして、なにやら明日香に対して声を上げていた物の……

「地獄でやってろ」

 明日香の返事はそれだけだった。

 

「しまった……やはりイエローにしておくべきだったか……」

 そんな万丈目の肩に、手が一つ置かれた。

「準さん」

「なんだ? 梓……」

「……」

「……」

「ふざけんな」

「……っ!」

 爽やかな、満面の笑みでの優しい一言に、万丈目は打ちのめされた。

 

「……こいつじゃ届かないなら、仕方ない。一気にいくぜ! 魔法カード『融合』! 手札のフェザーマンと、バーストレディを融合! 『E・HERO フレイム・ウィングマン』!」

 

『E・HERO フレイム・ウィングマン』融合

 レベル6

 攻撃力2100

 

「出た! 兄貴の手札融合!」

 

 剣山の声を皮切りに、明日香の後ろに座る、ホワイト寮はざわつき始めた。

 

「うろたえるんじゃあないッ! ホワイト寮はうろたえないッ!」

 

「フレイム・ウィングマンは、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。いけ! フレイム・ウィングマン!」

 十代の言葉を受けたフレイム・ウィングマンは、明日香の前のセットモンスターへと跳んだ。

「フレイム・シュート!」

 右手の口から、炎が発射される。同時に裏側のカードは表になり、その炎を受け……

 

 ゴ ゴ ゴ

           ゴ ゴ ゴ

   ゴ ゴ ゴ

 

「え……」

 破壊されるはずのモンスターは、破壊されることなく、そこに立っていた。

「表側守備表示でいる限り、『ゴゴゴゴーレム』は一ターンに一度、戦闘では破壊されない」

 

             ゴ ゴ ゴ ゴ

『ゴゴゴゴーレム』

 レベル4          ゴ

 守備力1500          ゴ  ゴ

 

「ゴゴゴ、ゴーレム? 見たことないモンスターだ……」

 

「あれが、斎王から受け取ったデッキなのか?」

「違います」

 万丈目の呟きに対して、答えたのは梓だった。

「ここに来る直前のことですが……」

 

 ……

 …………

 ………………

 

 AM 09:52:01

 

「あら、梓……相変わらずね。女の子二人はべらせて、決闘もせずにゆったりデート?」

「明日香さん……」

『……あれ? 僕のこと見えてんの?』

「……まあいいわ。丁度良かった」

 明日香はそう言うと、ポケットをまさぐり、それを、梓の手に押し付けた。

「これは……デッキ?」

「私には必要ないものだから。梓にあげるわ。そのデッキは好きにしなさい」

「好きにって……ちょっと、明日香さん……!」

 

 ……

 …………

 ………………

 

「これがそのデッキですが……内容や、感じられる力から、おそらく、斎王さんのものに間違いないかと」

「なんだと!? じゃあ、あのデッキは……」

 

「斎王のデッキじゃ、ない……!」

 後ろの会話を聞いていた十代も、その事実に疑問を感じた。

「……俺は、カードを一枚伏せる。ターンエンドだ」

 

 

十代

LP:4000

手札:1枚

場 :モンスター

   『E・HERO フレイム・ウィングマン』攻撃力2100

   『おジャマ・ブラック』守備力1000

   魔法・罠

    セット

 

明日香

LP:4000

手札:5枚

場 :モンスター

   『ゴゴゴゴーレム』守備力1500

   魔法・罠

    無し

 

 

「私のターン」

 

明日香

手札:5→6

 

「もう『サイバー・エンジェル』ではない……『希望の時』はついに来た……『ドドドドライバー』を召喚!」

 

 

  ド

   ド

   ド

 

『ドドドドライバー』

 レベル4         ド

 攻撃力1800         ド

               ド

 

「どんなデッキか分からねーけど、そいつらじゃフレイム・ウィングマンは倒せないぜ!」

「そうね……この二体じゃあ、何をどうしたってフレイム・ウィングマンは倒せないわね」

「……?」

「そこでこの明日香はかんがえる。この二体で勝てないのなら、この二体よりも強力なモンスターをよべばすむ話だと……」

 

「私はレベル4の『ゴゴゴゴーレム』と、『ドドドドライバー』で、オーバーレイ!」

 

 明日香が声を上げた瞬間だった。

 岩でできたモンスターと、人力車を引いていた戦士。

 その二体が突然光に変わったかと思ったら、明日香の目の前に、巨大な宇宙空間ができあがる。

 

「二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築……」

 

 そこへ、上へと上っていった二本の光が飛び込んでいった。

 

「なんだ? なにが起こってんだ?」

 

「シンクロ召喚……いや、それとは全く違う……!」

 

「エクシーズ召喚! 『No.39 希望皇ホープ』!」

 

 目の前に、白と黄金でできた、巨大な剣を思わせるオブジェが現れた。

 かと思った次の瞬間、そのオブジェから腕が伸び、足が伸び、そして、顔が現れた。

 それらは徐々に形を成した。そして、白と黄金から成る、二本の剣を腰に刺した、巨人が一人、そこに立った。

 

HOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOPE(ウリイイイイイイイイイイイイイイ)!!」

 

「なんだ、こいつ……なん、なんだ……!」

 明日香の絶叫のもと、見たことも無い方法で呼ばれたモンスター。

 それを見上げる十代も、観客席にいる生徒達も、混乱の極致にあった。

 

『No.39 希望皇ホープ』

 攻撃力2500

 

「攻撃力2500……」

 

「バトル!」

 呆けている十代が、その声を聞いた瞬間、希望皇ホープは既に、フレイム・ウィングマンと対峙していた。

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄 無駄ァッ!!」

 

 明日香の絶叫に合わせ、巨人の両腕から、拳のラッシュがフレイム・ウィングマンへ浴びせられた。

「罠発動『ヒーローバリア』! 俺の場に『E・HERO』がいる時、攻撃を一度だけ無効にする」

 目にも止まらぬラッシュだったが、それらは全て、フレイム・ウィングマンの前に現れたバリアによって防がれていた。

「フゥン……カードを三枚伏せる。ターンエンド」

 

 

明日香

LP:4000

手札:2枚

場 :モンスター

   『No.39 希望皇ホープ』攻撃力2500

   魔法・罠

    セット

    セット

    セット

 

十代

LP:4000

手札:1枚

場 :モンスター

   『E・HERO フレイム・ウィングマン』攻撃力2100

   『おジャマ・ブラック』守備力1000

   魔法・罠

    無し

 

 

「なんだよ……エクシーズ? 何なんだよ、そのモンスター……」

「正体を言おう。エクシーズ召喚とは、同レベルのモンスター二体を『オーバーレイユニット』とすることで、融合デッキからレベルと同じ数値の『ランク』を持つモンスターを呼び出す特殊召喚なのだ。エクシーズから呼び出すという意味で、そのモンスターを名づけて……『モンスターエクシーズ』!」

「モンスター、エクシーズ……レベル、じゃなくて、ランク?」

 

『No.39 希望皇ホープ』エクシーズ

 ランク4

 攻撃力2500

 

「しかも、素材となったモンスターは墓地へ送られていない」

『あのモンスターの周りを回ってるのが『オーバーレイユニット』ってわけね……』

「シンクロではない……どころか、現存するカードとは、根本的に概念が違い過ぎる……まさか、異世界のカード?」

 梓ら三人の分析に、万丈目らも目を見開いていた。

「異世界のカード。そんなものいつの間に……まさか、あの時か!?」

 突然、万丈目が声を上げた。全員の目が、万丈目に集中した。

「万丈目君、君は、あのカードの出どころを知っているのか?」

「……断言はできません。だが、今思えば、他に可能性もない……」

 万丈目が思い出したのは、修学旅行での出来事だった。

 

 ……

 …………

 ………………

 

視点:万丈目

 修学旅行の二日目。斎王に言われた仕事を終えた天上院君は、突然、堂実野町を離れると言い出し、なし崩し的に俺もついていくことになった。

 電車に乗って、途中見えた多摩川からゴマアザラシが見えたり、マナーの成っていないカップルに絡まれたりと、色々あったが……

 特急から普通に変わり、その後もいくつもの電車を乗り換えて、ようやく電車を降りた時には、堂実野町を出て二時間以上の時間が経っていた。

 だがそれでは終わらず、そこから今度は更に徒歩で一時間弱。

 辿り着いたのはX県Z市の、確か……『心臓乱土(しそらど)町』とかいうド田舎だった。

 山と畑以外何も無いようなそんな町で、今度は山登りをさせられてな。

 そこもかなりの時間を掛けて登っていって。

 夕方になって、帰り道の心配をしていたころに、ようやく辿り着いた。

 そこには、薄気味悪い男の石像が建っていた。どうやら戦国武将だったらしく、足もとの石碑には、『喜楽壮八(きらくそうはち)』、という名前が書かれていた。

 天上院君はその石像……いや、違うな。石像の頭に止まっていた、『緑色の小鳥』を見ながら、何かを言い出したのだ。

 確か、えっと……

 

「らせん階段!」

 

「カブト虫!」

 

「廃墟の街!」

 

「にぎられた飯!」

 

「クルマ海老!」

 

「ランクアップへの道!」

 

「サクラ海老!」

 

「特異点!」

 

「サウザンド!」

 

幽霊(アストラル)!」

 

鉄面扉(てつめんぴ)!」

 

「ぐそく海老!」

 

「特異点!」

 

「希望の皇帝!」

 

 それら十四の言葉を言った時だ。

 頭に大人しく止まっていた緑色の小鳥は、突然天上院君に向けて飛び上がった。

 

「気付いたか! 私に興味を示してくれたか!!」

 

 天上院君はそれにかなり興奮していて、気付けば小鳥は消えていたが……

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

 

視点:外

「今思えば、あの緑色の小鳥は、天上院君の腰に刺してあったデッキへ消えていった……そんなふうに見えた」

 

『……』

 

 聞いていた者達は一様に言葉を失っていた物の、実際に、目の前にモンスターとして、そして、カードとして現れている以上、納得せざるを得ないと感じていた。

「異世界のカード……モンスターエクシーズ……」

 

 

「俺のターン!」

 

十代

手札:1→2

 

「モンスターエクシーズがどんなに凄ぇのか知らねぇけど、モンスターだったら倒せるはずだ。フィールド魔法『摩天楼-スカイスクレイパー-』発動!」

 十代が新たにカードを発動した。決闘フィールドは月光輝く都市部に変わり、最も高いビルの頂上に、フレイム・ウィングマンが佇んだ。

「スカイスクレイパーが場にある限り、E・HEROが自身より攻撃力の高いモンスターを攻撃する時、攻撃力が1000ポイントアップする。バトル! フレイム・ウィングマンで、希望皇ホープを攻撃!」

 フレイム・ウィングマンが、ビルの頂点から跳び上がる。

 垂直落下した先に佇む、希望皇ホープ目掛け、燃え上がる体を飛びこませた。

 

「スカイスクレイパーシュート!」

 

「マヌケが! 知るがいい。希望皇ホープの能力が、正に「希望を支配する」能力だということを……」

 

THE WORLD(ムーンバリア)!!」

 

『No.39 希望皇ホープ』

 ORU:2→1

 

 ホープの周囲を周る、二つの光。その一つをホープが吸収し、同時に背中の翼を広げ、雄叫びを上げた瞬間……

 フレイム・ウィングマンの体が、空中で停止した。

 どころか、フィールドに現れていた、風や景色、その他諸々、全ての風景が、まるで「時が止まった」かのように、制止していた。

「……え?」

 そんな光景に、十代も、見ていた者達も、疑問を上げる。

 そんな中、一人、歩けるホープは、悠々とその身を移動させていた。

 

「これが……『THE WORLD(ムーンバリア)』だ。ORU(オーバーレイユニット)を一つ消費することで、攻撃した者の時を5秒間停止し、攻撃を無効にする。時が止まっているのに5秒と言うのはおかしいが、とにかく5秒ほどだ」

「攻撃したモンスターの、時間を止める? なんだよ、その効果……!」

 十代が驚いている間に、五秒の時間経過によりフレイム・ウィングマンが動き出す。

 だが、狙っていたはずのホープは既に移動しており、見当違いな場所を攻撃していた。

 

「攻撃したモンスターの時間を止めるだと!?」

「そんな強力効果、どうすればいいドン?」

「落ちつきなさい。時を止めると言っていますが、要するに攻撃を一度無効にする効果です。なにより、あの効果には決定的な弱点があるようです」

「弱点?」

「ええ。おそらく、十代さんも気付いているはず……」

 

「なるほど、確かに凄ぇな、モンスターエクシーズ……けど、それってつまり、オーバーレイユニットだっけ? それを使わなきゃ時間は止められねえんだろう? ならその効果が使えるのって、あと一回だけだよな?」

 

「なるほど。確かに、言われてみればその通りだ」

(もっとも、そんなことは明日香さんとて百も千も承知でしょうが……)

 

「だからなんだと言うのだ? 理解したからどうだと言うのだ?」

「……」

 明日香に言われた後で、十代も、どうしたものかと考えていた。

 

(もうこのターンは攻撃できない。このままじゃ、次のターンでフレイム・ウィングマンは破壊される。そうしたらホープを倒すのは難しくなる……)

 

「俺は……俺はカードを一枚伏せて、ターンエンドだ」

 

 

十代

LP:4000

手札:0枚

場 :モンスター

   『E・HERO フレイム・ウィングマン』攻撃力2100

   『おジャマ・ブラック』守備力1000

   魔法・罠

    セット

    フィールド魔法『摩天楼-スカイスクレイパー-』

 

明日香

LP:4000

手札:2枚

場 :モンスター

   『No.39 希望皇ホープ』攻撃力2500

   魔法・罠

    セット

    セット

    セット

 

 

「ふふん……私のターン」

 

明日香

手札:2→3

 

「あなたの言う通りよ十代。強力な能力は、それがまた同時に弱点でもある……私は『ドドドウィッチ』を召喚」

 

 

 ド

  ド ド

 

『ドドドウィッチ』

 レベル4

 攻撃力1200        ド

             ド

           ド

 

「『ドドドウィッチ』の召喚に成功した時、手札からウィッチを除いた『ドドド』を特殊召喚できる。『ドドドボット』を召喚」

 

『ドドドボット』   ド

 レベル4       ド

 攻撃力1900       ド

                ド

 

「『ドドドボット』は裏守備表示でしか通常召喚できないけど、特殊召喚なら関係ないわ」

「一気に並べてきやがった……」

「まずは、『ドドドウィッチ』で『おジャマ・ブラック』を攻撃!」

 『ドドドウィッチ』が杖を掲げ、『おジャマ・ブラック』を殴り飛ばした。

「そして、十代……あなたの言った通り、時を止められるのは後一度。オーバーレイユニットを失ったモンスターエクシーズは、ほとんど通常モンスターと変わらない。おまけにこの世界になじんでいないせいか、オーバーレイユニットを失ったホープは、攻撃をされれば攻撃力に関係なくそれだけで破壊されてしまう……」

「マジ!? そんなデメリットが……」

 

「そこで十代! オーバーレイユニットがあといくつだろうと関係ない処刑法を思いついた!!」

 

 明日香が叫ぶと同時に、希望皇ホープが、腰に下げている剣を二本とも抜いた。

「バトル! 希望皇ホープで、フレイム・ウィングマンを攻撃!」

 その宣言に従い、ホープが両手に持った剣を、フレイム・ウィングマンへ投げつけた。

 

THE WORLD(ムーン・バリア)!!」

 

『No.39 希望皇ホープ』

 ORU:1→0

 

 だが、剣がフレイム・ウィングマンに当たろうかという瞬間、ホープが残り一つの光を奇異終始、背中の翼を広げる。同時に、投げられた剣、そして、ホープを除くモンスターが静止してしまった。

「何やってるんだ? 自分の攻撃を止めちまうなんて……」

「おまえは戦局で言うところの詰み(チェックメイト)にはまったのだ……リバースカードオープン! 速攻魔法『ダブル・アップ・チャンス』!」

 明日香が新たに、速攻魔法を発動した瞬間。

 ホープの両手に、新たな剣が握られていた。

「モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスター一体を選択して発動できる速攻魔法。このバトルフェイズ中、選択したモンスター……つまり、ホープの攻撃を再開できる。攻撃力を倍にして」

「攻撃力が倍!?」

 

『No.39 希望皇ホープ』

 攻撃力2500×2

 

「まずいドン! この攻撃でフレイム・ウィングマンを破壊されて、『ドドドボット』の直接攻撃を受けたら、兄貴のライフはゼロ……」

 

「1秒経過……」

 時間停止の残り時間。それにあわせ、ホープが再び、両手の剣をフレイム・ウィングマンへ投げる。それは、最初の二本と同じように、フレイム・ウィングマンの目前で停止した。

 更に、二本では終わらず、新たに二本、更に二本と、巨大な剣を投げていく。

「見えてることが、逆に恐怖だろう……」

 長く感じる五秒という時間……

 その中で、繰り返し投げられていった無数の剣の全て、フレイム・ウィングマンの目の前で停止する。

 時間が動き出した瞬間どうなるか。誰の目にも明らかな、怖ろしい光景だった。

 そして……

 

「4秒経過……時は動き出す……」

 

 

 ← To Be Continued

 

 

 

 




お疲れ~。

ちなみに言わずとも分かるろうけど、今のハイあすの服装、ARC-5版そのままの格好ね。


ほんじゃらそんなところで、ここでのホープの紹介をば。



エクシーズ名-『No.39 希望皇ホープ』
 破壊力-A  スピード-A   射程距離-C
 持続力-D  精密動作性-A  成長性-A

 ※ A-超スゴイ B-スゴイ C-人間並み D-ニガテ E-超ニガテ

 天上院明日香が、特異点たるX県Z市『心臓乱土町』で出会った緑色の小鳥に対し、14の言葉を合言葉に手にしたデッキのエースモンスター。
 能力は、「攻撃」を合図に、オーバーレイユニット一つを引き換えにして時を5秒ほど止められる。
 かなり強力なモンスターだが、こちらの世界に馴染んでいないせいか、効果の発動源たるオーバーレイユニットを全て失うと、ただ攻撃されただけで崩れてしまうほど脆くなってしまう。
 しかし、まだまだ成長の余地を残した、未知のモンスターであることに変わりは無い。
 なお、腰の剣は、投げるものである。

以上。
要は、OCGまんまってことよ。
改めて思ったけど、この自壊効果は付ける必要あったんかね?
まあ、相手にも希望を残すだけ、さすが希望皇ってところかも知らんが。
OCGで変な効果が付くってのも、今に始まったことでも無ぇから考えるだけ無駄だろうけどや……



そんなこんなで、まだまだ続きますじゃ。
次話まで待ってて。

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