遊戯王GX ~氷結の花~   作:大海

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URYYYYYYYY……

『遊戯王VRAINS』見ててさ、山本先輩の登場に「(ガタッ)梓……!」てなった、今日このごろ……
まあそんな感じで、決闘の続き。
行ってらっしゃい。



    上城の奇妙な決闘 ~石の海~

視点:外

 

「速攻魔法発動『融合解除』!」

 

 十代が伏せカードを発動させる。大量の剣がぶつかる寸前、フレイム・ウィングマンは二つの光へと別れ、代わりに二体のモンスターがフィールドに現れた。

 

『E・HERO フェザーマン』

 レベル4

 守備力1000

『E・HERO バーストレディ』

 レベル4

 守備力800

 

「ほぅ、かわしたか……ならば、ホープでバーストレディを攻撃」

 ホープが再び剣を一本抜き、バーストレディへと投げる。今度は外れることなくバーストレディの胸を貫いた。

「そして、『ドドドボット』の攻撃。針串刺しの刑だッ!」

 剣と盾、そして分厚い鎧姿の機械がフェザーマンへ走る。

 その武骨な外見には全くそぐわない素早い剣さばきで、フェザーマンを文字通り蜂の巣にした。

「そしてメインフェイズ……フィールド魔法『希望卿-オノマトピア-』!」

 最後の手札一枚が、フィールド魔法ゾーンにセットされる。

 その瞬間、闇夜にそびえ立っていたビル群は、音を立てて崩れていった。

 そしてその後に、星々の輝く夜をそのままに、ビルではなく、異世界を思わせる石造りの塔がいくつもそびえ立った。

「フィールド魔法……」

「これでターンエンド……」

 

 

明日香

LP:4000

手札:0枚

場 :モンスター

   『No.39 希望皇ホープ』攻撃力2500

   『ドドドウィッチ』攻撃力1200

   『ドドドボット』攻撃力1800

   魔法・罠

    セット

    セット

    フィールド魔法『希望卿-オノマトピア-』

 

十代

LP:4000

手札:0枚

場 :モンスター

    無し

   魔法・罠

    無し

 

 

「何という攻防だ……」

「ああ。これだけ激しい決闘だというのに、未だ互いのライフダメージはゼロ……」

「けど、明日香先輩のフィールドには、モンスターエクシーズを含む三体のモンスター。兄貴の方は、手札もフィールドもゼロ……圧倒的に不利だドン」

「とは言え、十代さんにもまだ、希望はあります……」

 

 誰もが一目見て分かる、絶望的な状況の中、その視線の先にいる十代は……

「俺のターン!」

 

十代

手札:0→1

 

「手札がこのカード一枚だけの時、このカードは特殊召喚できる。来い! 『E・HERO バブルマン』!」

 

『E・HERO バブルマン』

 レベル4

 攻撃力800

 

「バブルマンの召喚に成功した時、フィールドに他のカードが無い場合、カードを二枚ドローできる」

 

十代

手札:0→2

 

「魔法カード『強欲な壺』! カードを二枚ドロー」

 

十代

手札:1→3

 

「『カードガンナー』召喚!」

 

『カードガンナー』

 レベル3

 攻撃力400

 

「『カードガンナー』の効果。デッキからカードを三枚まで墓地へ送ることで、このターン、攻撃力を500ポイントアップする」

 

『E・HERO ネクロダークマン』

『ネクロ・ガードナー』

『ヒーロー・マスク』

 

『カードガンナー』

 攻撃力400+500×3

 

「まだまだ! 速攻魔法『バブル・シャッフル』! 俺の場のバブルマンと、お前の場の希望皇ホープを守備表示に変更」

 

『E・HERO バブルマン』

 守備力1200

 

『No.39 希望皇ホープ』

 守備力2000

 

「更に、この効果で守備表示になったバブルマンを生贄に、手札の『E・HERO エッジマン』を特殊召喚!」

 

『E・HERO エッジマン』

 レベル7

 攻撃力2600

 

「確かさっき言ってたよな? オーバーレイユニットが無くなったホープは、攻撃したら破壊されるって」

「チッ……」

「バトル! 『カードガンナー』で、希望皇ホープを攻撃だ!」

 『カードガンナー』が動いた瞬間、まだ攻撃が始まってすらいない状態で、ホープの身は塵となり、崩れ落ちてしまった。

「次だ。『カードガンナー』はまだ攻撃が残ってる。『ドドドウィッチ』を攻撃!」

 今度こそ、『カードガンナー』の両手からビームが発射される。

 それが、金属の衣装を纏った魔女を黒こげにした。

「UUWW……!」

 

明日香

LP:4000→3300

 

「明日香先輩に初ダメージだドン!」

 

「エッジマンで、『ドドドボット』を攻撃! パワーエッジ・アタック!」

「ナマっちょろいぞッ! 罠発動『エクシーズ・リボーン』!」

 明日香の伏せカードが発動される。その瞬間、新たにモンスターが現れた。

 

『No.39 希望皇ホープ』エクシーズ

 ランク4

 攻撃力2500

 

「またホープ!? ……けど、墓地からの特殊召喚なら、オーバーレイユニットは残ってないはずだよな?」

「……理解していたのか? オーバーレイユニットの特性……だがッ!」

 

『No.39 希望皇ホープ』

 ORU:0→1

 

「なに? ゼロだったオーバーレイユニットが復活した!」

「『エクシーズ・リボーン』は、モンスターエクシーズ専用の蘇生カード。モンスターエクシーズを特殊召喚したのち、このカード自身をオーバーレイユニットとすることができる!」

「まじかよ……」

「それだけじゃあない! 自分フィールドに『希望皇ホープ』が特殊召喚される度、『希望卿-オノマトピア-』にかっとビングカウンターが一つ置かれる」

 

『希望卿-オノマトピア-』

 かっとビングカウンター:0→1

 

「かっとビングカウンター一つにつき、我がモンスターどもの攻撃力と守備力は200ポイントアップする!」

「なに……!?」

 

『No.39 希望皇ホープ』

 攻撃力2500+200

『ドドドボット』

 攻撃力1800+200

 

「く……だったらせめて、オーバーレイユニットだけでも使わせる。エッジマンで、『ドドドボット』を攻撃!」

「罠発動『ドゥーブルパッセ』!」

「な……!」

 それは、この決闘では初めて見ることになった、明日香自身のカードだった。

「こちらの攻撃表示モンスターへのエッジマンの攻撃は、わたしがダイレクトアタックとして受ける! MMOOOO……!!」

 

明日香

LP:3300→700

 

「……更に、攻撃対象となった『ドドドボット』の攻撃力分のダメージを相手に与える」

「ぐぅぅ……!」

 

十代

LP:4000→2000

 

「……そして、『ドドドボット』は次のターン、相手へのダイレクトアタックの権利を得たたというわけだ……」

「やべぇ……ターンエンド」

 

 

十代

LP:2000

手札:0枚

場 :モンスター

   『E・HERO エッジマン』攻撃力2600

   『カードガンナー』攻撃力400

   魔法・罠

    無し

 

明日香

LP:700

手札:0枚

場 :モンスター

   『No.39 希望皇ホープ』攻撃力2500+200

   『ドドドボット』攻撃力1800+200

   魔法・罠

    フィールド魔法『希望卿-オノマトピア-』かっとビングカウンター:2

 

 

「わたしのターン!」

 

明日香

手札:0→1

 

「ホープの自壊効果は確かに諸刃の剣ではある。だが、長所と短所は表裏一体……わたしは新たなホープの能力を使う」

「なに? まだ何か効果があるってのか!?」

「効果じゃあない……時は加速する。希望皇ホープ!」

 明日香が再び叫んだ瞬間、人型だったホープが、再び剣型のオブジェに戻っていった。

 

MADE IN HEVEN(カオスエクシーズチェンジ)!」

 

 その瞬間、オノマトピアの星空が動いた。点でしかなかった無数の白が、円状の線へと変わった。

 星は、夜の中を動いていき、東の空が白み始める。太陽が昇り朝になったと思ったら、すぐに頂点へ昇って昼へ。そして、西の空へ沈んでいき、オレンジ色の夕方へ。オレンジ色から、藍色、そして、夜の黒。

 本来なら二十四時間掛けて行われるはずのその光景が、まるで早送りの映像フィルムのように、十秒と掛からない時間で繰り返される。

 そんな時間の中に晒された白と黄金の剣は、何十、何百という年月に晒されたように、黒ずんでいった。

 そんな黒ずみに覆われ、やがて、完全な漆黒に染まった時……

 

「現れよ! 『CNo.39 希望皇ホープレイ』!」

 

 その黒剣もまた同じように、両手が伸び、両足が伸び、そして、顔が現れた。

 

『CNo.39 希望皇ホープレイ』エクシーズ

 ランク4

 攻撃力2500

 

「カオスエクシーズ……これが、加速した時の中で生まれ変わった、ホープの新たな姿よ!」

「カオスエクシーズ……!」

 

「進化したザウルス!?」

「二ターン前に呼び出しておいて、もう進化……明日香さん、どうやら、私達の想像や常識の及ばない領域まで達しているようだ」

『あれも斎王の洗脳?』

「いいえ、おそらくは明日香さん自身の力……十代さんへの思いの強さゆえでしょう……」

「……なに?」

 

「まずはオノマトピアの効果! 新たな希望皇ホープが特殊召喚されたことで、かっとビングカウンターを乗せる!」

 

『希望卿-オノマトピア-』

 かっとビングカウンター:1→2

 

『CNo.39 希望皇ホープレイ』

 攻撃力2500+200×2

『ドドドボット』

 攻撃力1800+200×2

 

「進化前のホープは、元々あった『エクシーズ・リボーン』と共にホープレイのオーバーレイユニットとして残る。そしてここからが、ホープレイの真の能力なのだ!」

「今度はなにが来るんだ……!」

 十代が声を上げた時……

 ホープレイの周囲を周っていたオーバーレイユニットの一つが、ホープレイの頭上に上った。それが光から、カードに変わった次の瞬間、それがホープレイへ急降下する。

 カードと地面にはさまれた(・・・・・)ホープレイは、どこへと無く姿を消した。

「な、なんだ? ホープレイは、どこへ消えたんだ?」

「ここよ」

 十代の疑問に、明日香が応えた時……

 地面に張り付いていたカードがめくれる。

 

「どジャアァァァあああ~~~~~~ン」

 

 カードの下から現れたのは、ホープレイ……だけではなかった(・・・・・・・・)

「なんだぁ!? ホープレイが二体、それに……エッジマン? ……どういうことだ!?」

「こういうことよ」

 二体に増えたホープレイが背中合わせになりつつ、カードと地面の間から連れてきた、エッジマンを投げつける。

 それが、エッジマンにぶつかった瞬間、エッジマンの体が、細切れのスポンジのように崩れてしまった。

「なんだぁ? 今度はどんな効果だよ!?」

Dirty Deeds Done Dirt Cheap(オーバーレイチャージ)……わたしのライフが1000以下にまで追い詰められた時に発動できる。カードにはさまることで、こことは別の平行世界へと旅立つ能力。そこから新たに、平行世界のホープレイ、そして、エッジマンを連れてきたのよ」

「なんだそりゃ!?」

 

「あんな能力知らないぞ? 帰ってから、月刊誌も含めて全話読んだはずなのに……まさか、まだ登場してない未来の能力なのか……?」

「師匠、一体何の話だ?」

 

「別の世界同士の同じ物は、ホープレイ以外は存在できない。もし平行世界の同じ物同士が出会えば、その二つは消滅し、崩れてしまう。そのせいでエッジマンの体も崩れ、攻撃力が1000ポイント下がってしまったというわけ」

 

『E・HERO エッジマン』

 攻撃力2600-1000

 

「更に、ホープレイも増えたことで、攻撃力が500ポイント上昇!」

 

『CNo.39 希望皇ホープレイ』

 攻撃力2500+500+200×2

 

「ただし、この効果もこのターンの間だけ。それが終われば全ては元通りになる」

 

「……要するに、ライフが1000以下の時にオーバーレイユニットを一つ使うことで、このターン、ホープレイの攻撃力を500アップし、相手フィールドのモンスター一体の攻撃力を1000下げる、という効果ですか……」

『平行世界関係ないじゃん……わざわざもう一人連れてくる必要あった?』

「まるで意味が分からんぞ!」

 

「ていうか、さっきから字幕も無理ありすぎでしょ! 能力こぎつけるにしたってもう少し考えなよ、駄作者!」

 うるせぇ!!

『あずさ……二人とも落ち着け……』

 

「うろたえるんじゃあないッ! アカデミアはうろたえないッ! バトル!」

 明日香が叫ぶ。と同時に、二体に増えたホープレイは同時に、体が崩れたエッジマンへと走り出した。

「うおお! 今度は剣で来るのか? 二人とも両手に二刀流で……!」

 そんな十代の声に応えるように、ホープレイは二人とも、両手の剣を背中に隠す。

「どっちだ……どっちで来るんだ!?」

 

 

    髪    そ    意

    の    れ    外

    毛    は    !

    ッ

    !

 

 

「じゃねえ! 背中から別の手と、もう一本剣が出てるぅう!?」

 

URYYYYYAAAAAAHHHHH(ウリイイイイイアアアアアアアアアアアア)!!」

 

 崩れた肉体に、二人の計六本の剣が襲い掛かる。瞬間ッ! エッジマンは細切れにされた。

「ぐあああああぁぁ……!」

 

十代

LP:2000→200

 

「そして……『ドドドボット』はこのターン、『ドゥーブルパッセ』の効果でダイレクトアタックが可能」

「はっ……!」

「針串刺しの刑だッ!」

 再び『ドドドボット』が、右手の剣を構えつつ走り出す。今度はモンスターでなく、十代に向かって。

「この瞬間(とき)を長年待ったぜッ!」

「まだだ! 墓地の『ネクロ・ガードナー』の効果! 墓地のこのカードを除外し、相手の攻撃を一度だけ無効にする!」

「ぬぅ、『カードガンナー』の効果で落ちていたカード……魔法カード『ドドドドロー』! 一ターンに一度、手札またはフィールドの『ドドド』モンスターを墓地へ送ることで、カードを二枚ドローする。『ドドドボット』を墓地へ。そして二枚ドロー!」

 

明日香

手札:0→2

 

「これでターンエンド。同時にD4C(オーバーレイチャージ)の効果は終わる。それと、言っておくけど、ホープレイはオーバーレイユニットが全て無くなっても、破壊はできないから気を付けなさい」

 

 

明日香

LP:700

手札:2枚

場 :モンスター

   『CNo.39 希望皇ホープレイ』攻撃力2500+200×2

   魔法・罠

    フィールド魔法『希望卿-オノマトピア-』かっとビングカウンター:2

 

十代

LP:200

手札:0枚

場 :モンスター

   『カードガンナー』攻撃力400

   魔法・罠

    無し

 

 

「惜しい惜しい……オーバーレイユニットを二つ使うか、『カードガンナー』をねらうかすればライフはゼロに出来ていたというのに……」

「……けど、ここまでやるなんて、すげーな明日香! お前のそのデッキ!」

「……」

 十代の、笑いながらのそんな言葉を聞いた、薄ら笑いを浮かべるだけの明日香の顔が、徐々に、徐々に、満面の笑みに変わった。

「当然よ! このデッキは、十代に勝ちたい一心で手に入れたデッキよ。弱いはずがないわ」

「俺に勝つため? そこまでして俺に勝ちたかったのか? 嬉しいぜ! だったら、もっと楽しまないとな」

「そうか、そうか……では、存分に楽しむがいい!」

 

「明日香ちゃん、十代くんに褒められて嬉しそう……」

 

「よほど、この決闘が待ち遠しかったのでしょうね……」

 

(そう。待っていた。わたしはずっと、十代との決闘を待っていた……十代が、私だけを見てくれる瞬間。私のことを好きになってくれる、ただ一つの可能性を……!)

 

 

 

視点:明日香

 万丈目君との決闘に敗けて、十代の顔を見た瞬間、私の中で、ほんの些細な感情でしかなかったはずの気持ちが、一気に弾け飛んだのを感じた。

 初めて会った時から気になっていた。そして、時間が経つごとに大きくなっていったその気持ち……

 気付いた瞬間恥ずかしくなって、十代と普通に会話するには、大好きな漫画のセリフでごまかす以外になかった。漫画のセリフやキャラクターで、本当の自分を隠して。それを日常的にやっているうちに、どっちが本当の自分だったか分からなくなっていった。

 そうやってごまかし続けて、あずさのことも守って、ホワイト寮のために動いている間も、私の視界にはいつも十代の顔がチラついていた。

 その十代はと言えば、考えていることは決闘のことばかり。そして、そんな十代が少しでも異性を意識するのは、いつだって、翔君の女装を見た時ばかりだった。

 

 翔君は確かに可愛い……

 眼鏡の下の大きな目。多い髪や眼鏡のせいで目立ってないけど、とても可愛らしく整った顔に、細身で小さな体格と言い、ロリ系ファッションが本当によく似合う。

 その可愛さと言ったら、私も思わず写真集に手を伸ばすほどだわ。

 そして、十代も同じ。いつだって決闘やカードのことしか考えていないような顔して、『ショウ子ちゃん写真集』を見ている時だけは、何かに恋焦がれる男の子の顔をしていた。

 そんな十代を見た後で、客観的に自分のことを見てみたら……

 

 背は多分十代より高いし、手足も長い。胸もお尻も大きいし。周りの女子達からは常々、大人っぽいと言われる……

 

 あまりに真逆過ぎる。そんな私が、『カード・エクス・クルーダー』とか、『ハーピィ・ガール』とかの格好なんてしたって……

 止そう。痛いだけだわ……

 そして、そんな真逆なタイプの、女の子ならいざ知らず、男の娘ばっかり見てる……

 

 焦るに決まっとるわ!!

 

 しかも十代の場合、それがタイプうんぬんだとか分からずに無自覚なのが余計に厄介なのよ。

 それが恋だとか憧れだとか気付きもせずにとにかく惹かれていって、次第にそのことばっかり考えるようになって。

 それがアイドルだとか芸能人なら、その時点でただの憧れだって諦めもつく。

 けど、翔君はアカデミアでだけのアイドルである以上に、十代にとっては身近で無二な友達。

 ただでさえよく一緒にいて、話しもする。触れ合いもする。

 それがいつからか、ショウ子ちゃんとしても意識し始めるようになる。

 次第に今の私みたいに、ももえとか、他の女の子と話すことにモヤモヤするようになる。

 そのモヤモヤの正体はなにか……

 それが分からないある日、部屋で二人きりで過ごしている時、事故で十代が翔君を押し倒してしまう。

 眼鏡を落として素顔を晒す翔君。

 十代の目の前には、ずっと憧れてたショウ子ちゃんの可愛い顔。

 十代は無自覚なまま、翔君は無抵抗で、二人は禁断の……

 

 

「おーい、明日香ー!」

 

「ふぁっ!」

 い、いかん……

 別に腐女子ってわけでもないのに、つい考えうる最悪の結末を浮かべてしまったわ。

 とにかく、少なくとも今、十代の目には私しか写っていない。

 そう。それでいいのよ。デッキだけでも良い。今みたいに、もっと私を見て欲しい……

 このデッキを見つけたのは、万丈目君との決闘に敗けて、不思議な力が体に入ってきた時。

 その時見えたのは、青白い光と、赤黒い光が戦ってる光景と、X県Z市心臓乱土(しそらど)町。

 そこで手に入れたこのデッキ。

 (あずさ)達みたいなシンクロが使えなくても、翔君みたく女の子として見てもらえなくても、このエクシーズの力さえあれば、あなたを振り向かせられる。

 そのために手に入れたこのデッキで、十代……

 

「私はあなたに勝つわ!」

 

「俺だって敗けねえよ! 俺のターン!」

 

十代

手札:0→1

 

「なーんか、さっきから色々なセリフ言ってるけどさ……そのくらいなら俺だって言えるんだぜ」

「ほほう……?」

 そのセリフに、思わず期待が高まる。

 十代が、私と同じ漫画を読んでるなんて。それならもっと会話できるかしら……

 

「来い『N(ネオスペーシアン)・エア・ハミングバード』!」

 

N(ネオスペーシアン)・エア・ハミングバード』

 レベル3

 守備力600

 

「エア・ハミングバードの効果、ハニーサック! 相手の手札一枚につき、ライフを500ポイント回復する」

 十代の説明の後で、私の手札から、二輪の大きな花が咲いた。

 そこを飛び回って、その長いクチバシで蜜を吸っていった。

 

十代

LP:200→1200

 

「薬は注射より飲むのに限るぜ。明日香さぁ~ん」

 

「……」

 エア・ハミングバードが戻ってる所で、ドヤ顔で言ってきたのは、そんな台詞。

 

「えっと……十代くん、それ、ゴジ……」

 

 そうよね……十代があの漫画読んでるなら、もっと普段の私に反応したって良いわよね……

「『カードガンナー』を守備表示に変更。ターンエンド」

 

 

十代

LP:1200

手札:0枚

場 :モンスター

   『N・エア・ハミングバード』守備力600

   『カードガンナー』守備力400

   魔法・罠

    無し

 

明日香

LP:700

手札:2枚

場 :モンスター

   『CNo.39 希望皇ホープレイ』攻撃力2500+200×2

   魔法・罠

    フィールド魔法『希望卿-オノマトピア-』かっとビングカウンター:2

 

 

「私のターン!」

 

明日香

手札:2→3

 

 そう……十代とは、好きな本も、趣味もまるで合わない。

 けど、あなただけなの。私をこんな気持ちにさせてくれたのは……

「『ゴゴゴジャイアント』召喚!」

 

『ゴゴゴジャイアント』

 レベル4

 攻撃力2000+200×2

 

「このカードの召喚に成功した時、墓地の『ゴゴゴ』一体を守備表示で特殊召喚できる効果がある。もっとも、それをするとこのカードは守備表示になるから今は使わない……バトル! ホープレイで『カードガンナー』を、『ゴゴゴジャイアント』でエア・ハミングバードを攻撃!」

 宣言の通り、それぞれの攻撃が、十代の二体のモンスターを破壊した。

「『カードガンナー』の効果! こいつが戦闘で破壊された時、カードを一枚ドロー」

 

十代

手札:0→1

 

 さすが十代。ただではやられない……

「『ゴゴゴジャイアント』が攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。ターンエンド」

 

 

明日香

LP:700

手札:2枚

場 :モンスター

   『CNo.39 希望皇ホープレイ』攻撃力2500+200×2

   『ゴゴゴジャイアント』守備力0+200×2

   魔法・罠

    フィールド魔法『希望卿-オノマトピア-』かっとビングカウンター:2

 

十代

LP:1200

手札:1枚

場 :モンスター

    無し

   魔法・罠

    無し

 

 

「満身創痍だなぁ……」

 普通の決闘者なら、もう諦めてしまいそうな状況よね。

 けど……

「へへ……まだまだやれるぜ!」

 そう。十代はそういう男よ。どんな逆境に立たされようと決して砕けない、黄金の精神を持つ決闘者……

 

「俺のターン、ドロー」

 

 ←To Be Continued……

 

 

 

 




お疲れ~。

実際、明日香が想像したような内容の薄い本、どっかで見た覚えあるんだよな。
ただ、このころって、『腐女子』って言葉は使われてたっけかな……


まいーや。
そんじゃまず、原作効果。



『E・HERO バブルマン』
 手札がこのカード1枚だけの場合、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
 このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に自分のフィールド上に他のカードが無い場合、デッキからカードを2枚ドローする事ができる。

 ご存知、フィールドに何も無いだけでカードが二枚ドローできるクソゆる効果となっとります。
 作中の状況ならOCG効果でも一緒だけど、一応この小説じゃあ原作効果として扱ってるのでご注意をば。



次、再びホープのご紹介。



エクシーズ名-『CNo.39 希望皇ホープレイ』
 破壊力-A  スピード-A   射程距離-C
 持続力-A  精密動作性-A  成長性-A

 ※ A-超スゴイ B-スゴイ C-人間並み D-ニガテ E-超ニガテ

 天上院明日香が、斎王からの洗脳を目的としたエネルギーをその身に受けたことで身に着けた、『時を加速させる能力』を使い進化させた、ホープの新たな姿。
 能力は、ライフが1000以下まで追い詰められた時、オーバーレイユニットに「はさまれる」ことで隣り合った平行世界へと旅立ち、もう一人のホープレイと、もう一人の相手フィールドのモンスターを連れてくる。
 ホープレイ以外の同じ存在は、一つの世界で二つ以上が存在することはできず、もし同じ物同士が出会ったならば、その二つは消滅し、攻撃力が下がる。
 逆に、ホープレイは際限なく人数が増え続け、攻撃力が増えいく。
 なお、進化したことでこの世界に完全に馴染み、オーバーレイユニットが無くなった時の弱点は克服している。


以上。
例によって、OCGまんまな効果ね。
ここまで来るとこじつけも甚だしいが、上手いことまとめられてよかったよかった(汗)。
よかったよかった……



そんな感じで、まだ続きますじゃ。
次話まで待ってて。

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