遊戯王GX ~氷結の花~   作:大海

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うぇ~~~~~。

今回出すキャラですけど、今まで以上にどのデッキ使わせようか悩みましたわ。
しかも、さんざ悩んだ分、話もクソ長いという……

そんな回なんだけど、よろしければ読んでやっとくれ。

行ってらっしゃい。



    戦う者達

視点:万丈目

「これでトドメだ……『ライトエンド・ドラゴン』、『ダークエンド・ドラゴン』で、ダイレクトアタック!」

 

「うわあああああああ!!」

 

 

 決闘が終了し、相手の決闘者が倒れる。

 そいつは俺を見上げながら、未だに信じられないという顔をしていた。

「こいつは……まさか、今噂になってる、見たことのないモンスターって……」

 こいつ以前にも大勢戦った、外部からの決闘者どもにしてやった説明を、こいつにもしてやる。

「そうだ。こいつはシンクロモンスター。新たに開発された新システムから生まれたモンスターだ。そして、この俺、万丈目準が、そのテストプレイに選ばれた決闘者というわけだ」

 

 

 朝になり、外を歩いていると、島内のあちこちで噂が流れていた。

 いわく、誰も見たことのない召喚方法でモンスターを特殊召喚していたと。

 いわく、それは場のモンスターを墓地へ送り、融合デッキから突然現れたと。

 いわく、遠目でディスクにセットされたそのカードを見ると、縁は美しい白だったと。

 そんな噂が流れていては、認めざるを得ない。

 何者かが、シンクロモンスターを使っていると。

 俺ではない。俺がシンクロモンスターを受け取ったのは一昨日のことだが、昨日はそのデッキは使っていない。

 デッキが完成したのもついさっきのことで、その間誰にもこのデッキは見せてはいない。

 

 俺以外で、真っ先に思い浮かんだのは当然、(あずさ)達だ。だがすぐ、それはあり得ないことだと自分に言い聞かせた。

 二人とも、シンクロモンスターを使うことのリスクは重々承知している。

 たとえ、使わなければ敗北必至な決闘であろうと、必要が無いなら、二人は呼び出すことなく敗北を受け入れるはずだ。

 とは言え、実際、この二人以外に考えられない。

 考えられる可能性としては二つ。

 何かしらの事情で、二人が使わざるを得ない状況にまで追い込まれたのか。もしくは俺という例外のように、島の外から来た、外部の決闘者の仕業か、だ。

 そのどちらにせよ、そんな奴らがいたとしたら、目的はやはり、梓か、あずさか……

 

 いずれにせよ、今の俺にできることは、少なくとも外部から来た決闘者たちに対して、そのシンクロモンスターを使う決闘者は、俺だ、と思わせることだ。

 なにも間違ってはいない。

 二枚のみとは言え、シンクロモンスターには違いない。敵に衝撃を与え、インパクトを残すには十分だ。そういう意味では、派手でパワフルな決闘ができる、ドラゴン族デッキというのも理に適っている。

 このデッキを手に、出会う決闘者に俺というシンクロ使いの印象を与え、(あずさ)達への関心を無くす。

 ほとんどその場しのぎにしかならんだろうが、それでも、アイツらが必要以上に目立たんよう、大衆の目を逸らすくらいはできるはずだ。

 

 

『と~か何とか言っちゃって~。本当は、十代のダンナに明日香ちゃんを取られちゃった憂さ晴らしがしたいだけじゃないの~?』

『泣くな! 万丈目の兄貴!』

『俺達がついてるぜ~』

 

「うるさーい! 引っ込んでろー!」

 人がせっかくシリアスムードで昨夜のことを忘れかけていたところを、相変わらず空気を読まんブサイク三兄弟が……

 

『オオーン……』

「ライトアンドダークネス……お前だけだ、今の俺の気持ちを分かってくれるのは……」

 クズどもの後に現れた、半透明の巨大な頭に手をやりながら、癒された。

 

 

 ……ああ、そうとも。俺は昨日、中等部時代からの思い人であった天上院君に、フラれた。

 そしてその相手の男が、よりによって、ライバルである遊城十代だ。

 別段、天上院君が誰を好きになろうが、それを否定する気はない。

 それでも、フラれた上に、その相手が目の前で、別の誰か……それも身近な奴のものになる。その光景は思っていた以上に、クるものがあった。

 吹雪さんと剣山との三人で騒いだことで、いくらか気も紛れたが、この胸に負った傷が癒えるのには、まだ時間が必要だろう。

 その傷の痛みを少しでも忘れるための手段が決闘だった。

 新たにシンクロモンスターを加えたデッキを使っているのも、その手段の一つに過ぎん。もちろん、(あずさ)達のためというのもウソではないがな……

 

「はぁ……」

 たった今倒した男からメダルを受け取り、別の相手を探す。

 大会五日目ともなると、かなりの数が脱落してしまったようで、出会う決闘者は少ない。

 もっと大勢の人間に、俺が噂のシンクロ使いだということを知らしめてやりたいところだが、それにはもっと相手がいる。目撃者……いや、観戦者もな。

 それだけまとまった人数が集まっていて、シンクロを使うに足る実力の伴った相手。何より、俺の失恋の憂さ晴らしができる相手となると……

 

 

「……」

 

「ん?」

 遠くから、声が聞こえたような気がした。

 気のせいかとも思ったが、どうにも気になったので、そっちへ行ってみることにした。

 

 

 

視点:外

 

「や……やめて、ください……」

「え? なに? 遊んでほしい? 仕様がねーなー。じゃ、俺達が遊んでやるからさ」

「いや……私、そんなこと、言って……」

「言ったんだよ! 大人しくしやがれ、ガキが!!」

「ひっ……!」

 

 アカデミアの島内に広く分布している森。その一部。

 これだけ広ければ、人目のつかない場所というものはいくらでもある。彼らが集まっているのは、まさにそんな場所。

 日陰に隠れた一本の木に、控え目な声の少女が一人、背中を着いて怯えていた。

 そんな少女を取り囲んでいるのは、卑しい顔つきをした二人組の男。

 三人とも、決闘ディスクは装着している。だが、少女は木を背に涙目になっていて、そんな少女を囲む二人組の顔が醜く歪んでいるのを見れば、少なくとも、彼女らがこれから、決闘を行う、と思う人間はいない。

 

 実際、少なくとも今、男二人の頭には、決闘のけの字も浮かんでいない。

「なあ、楽しもうぜ、お嬢ちゃん。こんな、一回敗けたら終わりなカード遊びより、一生忘れらんない思い出作ろうよ」

 不快感の詰まった声と一緒に、無駄にゴツイ手を、少女の制服へと伸ばした……

 

 

「何をしている?」

 

 ちょうどその時、二人組とは別の、二人組よりよほど若い声が響いた。

 少女は、疑問を浮かべた。だが男は二人とも、忌々しげに顔を歪めた。

「この声……」

「まさか……」

 声のした方へ振り向いた時、そこから現れたのは、黒い制服の少年。

「て、テメェ……っ」

「万丈目……」

 

「ちっ、ちっ、ちっ……万丈目サンダー」

 

「まんじょうめ……さんだー?」

 二人組は少女から離れると、忌々しげに、だが気まずさを態度に出しながら、万丈目を睨みつけた。

「まったく……なにを低俗なことをしているかと思えば貴様ら、俺がさっき、二人掛かりで倒してやった二人組ではないか」

「え……」

 万丈目の言葉に、二人組は余計に顔をしかめた。そして少女は、また疑問を声に出した。

「倒されたって……それじゃあ、脱落したんですか? 脱落したのに、私に、決闘を挑んだんですか……?」

「うるせえ!! インチキ野郎は黙ってろ!!」

「……っ」

 少女が声を上げ、男の一人が大声を上げる。万丈目は、それに笑い声を上げた。

 

「なるほどな……俺に敗けて脱落したのが受け入れられず、こっそり弱そうな相手に決闘を挑んでメダルを奪おうとしたが、逆に返り討ちにされて、またその腹いせに暴行しようとした……そんなところか」

「……」

 男二人とも、返事はしない。だが、余計にしかめた顔と、その態度は、万丈目の言ったことが事実であると証明しているのも同じこと。

「決闘者の風上にも置けん愚か者どもよ……言っておくが、明らかにこれは集団暴行の現行犯だ。証拠の写真も押さえてある」

 言いながら、懐から携帯電話を取り出して見せた。

「貴様らの顔と名前も分かっているからな。このまま警備に連絡して、決闘者どころか人生を終わらせてもいいというなら、敢えて邪魔はせんぞ?」

「……ああん?」

 二人とも終始、大人しく聞いていた。だが、一人が急に、キレたように声を上げ、万丈目に向かって歩いていった。

「調子に乗ってんじゃねえよ、ガキが……証拠写真を撮っただぁ? そんなんでいい気になってんじゃねえよ。そんなもんなぁ……テメーごとぶっ壊せばそれで終いだあああああ!!」

 絶叫し、走りながら、地面に落ちていた岩を持ち上げ、振り上げた。

 それが、万丈目の頭目掛けて……

 

「があああああああああ!!」

 振り下ろされるより前に、そんな声を上げた。

 そして、そのまま地面に倒れ伏し、気絶してしまった。

「スタンガン……テメェ!」

「ふふぅん……俺様は万丈目サンダー」

 得意そうに鼻を鳴らしながら、右手に握ったスタンガンを、残った一人に向ける。

(サンダー)っていうより、電気(エレキ)なんじゃ……)

 

「さあ、どうする? 同じ目に遭いたいか? 逃げるのなら今のうちだぞ」

「……ちっ」

 残った一人は舌打ちしながら、面白くなさそうに、少女から離れた。そして、万丈目の前を通り、睨みつけながらも、それ以上は何もせず去っていった。

 

 

「大丈夫か?」

 一人残った少女に、万丈目が話しかけた。少女は、未だに顔が蒼白なままだった。

 それも無理はない……そう、思った時。

「うしろ!!」

 少女が叫び、とっさに振り返る。

 とっさに少女をかばい、突き飛ばした時。

「おらあああああああああ!!」

 去ったはずの男の手には、ナイフが伸びていた。それが、持ち上げた万丈目の右手にぶつかり、スタンガンを取り落とした。

 

「貴様……っ」

 右手を押さえつつ、男を睨みつける。男は、勝ち誇ったように声を上げた。

「万丈目よぉ……俺はたまたまここを通りかかったんだがよぉ、そこでテメェが、そこにのびてる暴漢と一緒になって、そこの女を襲っててよぉ。止めようとしたが、女は隠し持ってたナイフでテメェら二人ともぶっ殺して、自分も乱暴されたことと、二人も殺しちまったショックでおかしくなって自殺しちまった。そうアカデミアには報告しといてやらぁ!!」

 あまりに無理がありすぎる筋書き。だが、どれだけ無理があろうとも、他でもない、この俺が言うのだからまかり通って当然。そんな間違った自信が総身からあふれている。

 そんな自信に物を言わせながら、ナイフを突きつけ、万丈目に迫っていく。

「安心しろよ。テメェのメダルは俺がもらってやる。ついでによぉ……テメェや、女の使ったインチキカードも俺がもらってやるからよぉ……安心して今すぐ死ねやこらああああ!!」

 また絶叫しながら、またナイフを振り上げて、また、万丈目の頭目掛けて……

 

「がぁごがががががが!!」

 

 また、おかしな声を出した。そしてそのまま、万丈目の前に倒れてしまう。

「……お前」

 思わず呆けていた万丈目だったが、そのすぐ後に、倒れた男の後ろに立っていた少女に気付いた。

 万丈目が落としたスタンガンを両手に構えて、体も表情も震わせながら、それでも儚い力を震える両手に込めている。

 そんな少女の手を、万丈目は優しく握ってやった。

「とりあえずここから離れるぞ。後のことは、警備に連絡してそのまま任せる」

 仮に目を覚ましたこいつらがしらばっくれたとしても、証拠の写真もある。

 こんな奴ら、プロ決闘者になどしておけない。そう感じながら、万丈目はそのまま少女の手を引いて、その場を後にした。

 

 ……

 …………

 ………………

 

視点:万丈目

「……ありがとう、ございます……」

「礼などいらん。当然のことをしたまでのこと」

 森を抜け、安全な場所まで連れていってやると、助け出した少女はしきりに頭を下げてきた。

 スタンガンを持っていたのはたまたまだ。過去に、ホームレスの変態どもに襲われかけたことがあったからな。その時は腕力でどうにかなったが、腕力も決闘も通じない奴を相手にすることがあるやもしれん。

 そう考えて、買っておいた護身用がこんなところで役立つとは……

 

 そんな俺に対し、少女は何度も礼を言ってきた、かと思えば、

「あの……右手、ケガを……」

 言われて右手を見てみると、確かに血が出ている。先ほど男が振ったナイフが、スタンガンを投げたついでに皮膚を切ったのだろう。

「この程度、大したことはない。放っておいても……おい」

 大丈夫だと言ったのだが、少女はその右手を握っていた。そして、ポケットから綺麗なハンカチを取り出すと、それを右手に巻き始めた。

「おい、大げさだぞ……」

「……ちゃんと、傷口を押さえないと……」

 相変わらず、小さく控え目な声で話しているが、表情には控え目なりの必死さがにじみ出ている。

 そんな必死さを浮かべている顔を、もう一度よく見てみた。

 

 赤み掛かった茶髪を背中まで伸ばし、前髪は髪留めで止めてある。

 小さな丸眼鏡を掛けているが、その下には丸い目と大きな瞳。顔立ちは整っていて、美少女と言っていいだろう。

 白のシャツにはネクタイを巻き、ベストを羽織り、スカート姿と、どうやら制服のようだ。顔と服装からして、俺より年下だろう。

 

「お前、名前は?」

「あ……私、『北森(きたもり) 玲子(れいこ)』、です……」

 名乗ったのと同時に、ちょうどハンカチも巻き終えたようだ。

「……一応礼は言っておこう」

 大げさだとは思ったが、それでもこいつなりに一生懸命だったことは分かる。だから普通に礼を言った。

(それにしても……どこかで見たような……)

 

「……」

「……!////」

 礼を言ったら、急に今までずっと不安げだった顔を笑顔にした。

 その綺麗で可愛い笑顔に思わず見惚れそうになってしまった。

 

「そ、そう言えば……さっきの男、俺はともかく、お前のことまでインチキ呼ばわりしていたな」

「……」

 見惚れそうになったのをごまかす意味でもそう問いかけてみると、北森は、笑顔だったのがまた不安げな……というより、寂し気な顔になった。

「す、すまん……悪いことを聞いたか?」

「……いいえ。よくあること、ですから……」

 どうやら北森にとっても、そう言われるのは慣れたことらしい。そんな様子で、語り出した。

「私は、私なりに、自分が使いたいと思ったカードを使って、その力を引き出して、勝てるよう、必死にやっているだけのつもり、でした……でも、私がそうやって勝つ度に、私に敗けた人達は、インチキだ、卑怯だって言って……大きな大会に出て、結果を残せば大丈夫かなって思ったんですけど、そこで優勝しても、やっぱり、インチキ決闘者だって……」

「……」

 敗けたことを受け入れたくない。そのために相手に不正をこじつけ、卑怯者に仕立て上げる。そうやって自分自身の実力のなさを棚に上げて、真に実力ある決闘者は貶める。

 出る杭が打たれることは世の常ではあるが、呆れた話だ。

「……さっきの二人にも、一方的に二人掛かりで決闘を申し込まれて。それで、何とか勝てたんですけど、でも、決闘中も、決闘が終わった後も、ずっとインチキしたって言われて……メダルももらえないまま、あんなこと……」

「ほう……?」

 俺もやったことだが、こいつが、雑魚とは言え、仮にもプロ二人掛かりを相手に勝ったということか……

 

「……よし。なら、今から俺と決闘をしてもらおうか?」

「……え?」

「そこで俺が、お前が本当にインチキをしているのかどうか、見極めてやろう」

「で、でも……」

「なんだ? 一日に一度の義務は果たしたか? あいつらはメダルを持っていなかったから、数には入らんだろうがな」

「それは……」

「挑まれた決闘から背を向け、逃げ出すか?」

「……」

 答えはしない。だが、不安げながらも俺のことを見る目には、逃げ出したい、というような感情はない。その目は、勝負に挑むという、確かな意志が宿っている。

「決まりだ。では移動するとしよう」

「え? 移動って……」

「せっかくのジェネックスだ。こんな誰もいない辺境ではなく、ギャラリーにお披露目といこうではないか」

「え!? でも……」

「なんだ? 大会に出たことがあるなら、大衆の前での決闘など慣れたものだろう?」

「それは、その……」

「まあいい。さあ、移動するぞ北森」

「あ……」

 その後は、多少強引だが北森の手を引いて、そのまま歩いていった。

 

 

 歩いていった先は、アカデミアの校舎前。

 そこには、勝者か敗者か区別はできんが、大勢の生徒に外部からの決闘者もいる。

 そいつらの中心に立ち、互いに決闘ディスクを構えた。

 

「まだ名乗っていなかったな。俺の名は……」

 

「一」

 

「十!」

 

『百!』

 

『千!』

 

「万丈目サンダー!!」

 

『うおおおおおおおおおおおおお!!』

 

 いつものごとく、俺が名乗ったと同時に周囲からは歓声が上がった。

 

 

『サンダー!』

 

『サンダー!!』

 

『万丈目サンダー!!』

 

 

「えっと……さっきも言いましたけど、北森玲子、です……中学三年、です……」

 

(その名前、そして、あの顔……やはり、どこかで見憶えが……)

 

「……では、始めるぞ」

「……」

 

『決闘!』

 

 

万丈目

LP:4000

手札:5枚

場 :無し

 

北森

LP:4000

手札:5枚

場 :無し

 

 

 周りからは、俺を知る生徒らの歓声が聞こえてくる。

 これだけ人が集まっているのだ。俺のデッキを披露するにはちょうどいい。

 あとは、この北森玲子。こいつの実力が、シンクロモンスターを使うに値するかどうかだ……

 

「俺の先行、ドロー」

 

万丈目

手札:5→6

 

「俺はモンスターを裏守備表示でセット。更にカードを二枚伏せる。ターンエンド」

 

 

万丈目

LP:4000

手札:3枚

場 :モンスター

    セット

   魔法・罠

    セット

    セット

 

 

「わ、私のターン……」

 

北森

手札:5→6

 

 引いたカードと、手札を見る。

 やるべきことを迷っている……いいや、やるべきことは分かっている。迷っているのは、それをすべきかどうか、だな。

「北森」

 そんなことに悩む必要はない。それを伝えるために、声を掛けた。

「なんの遠慮も、躊躇も気遣いもいらん。貴様の全力を、この万丈目サンダーにぶつけてみせろ!」

「は、はい……っ」

 

「えっと……フィールド魔法『ユニオン格納庫』を発動します」

 北森がカードを発動させた瞬間、その背後に、大きくてゴツイが、細長い柱が現れた。

 その柱には、黄色のコンテナが縦にいくつも並んでいて、そのコンテナが回転するようになっていることが分かる。

「『ユニオン格納庫』の発動時、その効果処理として、私はデッキから機械族・光属性のユニオンモンスターを一体、手札に加えます。私はデッキから、ユニオンモンスター『A-アサルト・コア』を手札に加えます」

 

北森

手札:5→6

 

 フィールド魔法の名前の通り、奴のデッキは『ユニオン』か。それも、光属性に機械族。わざわざそこまで指定するということは、それだけ強いシナジーがあるデッキということ……

 

「私は手札に加えた『A-アサルト・コア』を召喚します」

 

『A-アサルト・コア』ユニオン

 レベル4

 攻撃力1900

 

「更に、自分フィールドに機械族・光属性のユニオンモンスターが召喚・特殊召喚されたこの瞬間、『ユニオン格納庫』の第二の効果が発動します。デッキから、名前の異なる機械族・光属性で、対象となるモンスターに装備可能なユニオンモンスター一体を装備します。私はデッキから、『C-クラッシュ・ワイバーン』を装備します」

 黄色のサソリを思わせる機械の次は、紫色の翼竜型の機械が現れた。

 そいつが変形して、サソリの尻尾の部分に合体し、一体のモンスターと変わった。

「この効果で装備されたユニオンモンスターは、このターン、装備を解除することはできません。しかし、クラッシュ・ワイバーンを装備したモンスターは、相手の罠カードの効果を受けなくなります」

「なるほどな……」

 

「バトルです! 『A-アサルト・コア』で、守備モンスターを攻撃します!」

 紫色の翼竜が持つ、ミサイルポットが向けられ、発射された。

 ミサイル全弾が俺の伏せモンスター……デカい鞄を下げて、六本の腕に様々な道具を持つ、黒い虫を燃やし尽くした。

「セットモンスターは『魔導雑貨商人』。攻撃されたと同時にリバース効果が発動される。魔法か罠が出るまでデッキのカードをめくり、そのカードを手札に加える。残りのカードは全て墓地へ送る」

 今まで行ったことのないプレイングに、周りがざわつき始めるが、そんなことは関係ない。効果処理のため、デッキの上からカードを捲っていった。

 

『輝白竜 ワイバースター』

『パンデミック・ドラゴン』

『アサルト・ワイバーン』

『おジャマ・イエロー』

『ダークフレア・ドラゴン』

『エクリプス・ワイバーン』

『ギャラクシーサーペント』

『死者蘇生』

 

「『死者蘇生』を手札に加える。残りのモンスター七枚は全て墓地へ送る」

 

万丈目

手札:3→4

 

「あんなに墓地にモンスターを送って、どうするんだ?」

 

 ギャラリーの誰かがそんな呆けたことを抜かしているが、それはこれから教える……

「この瞬間、墓地へ送られた『エクリプス・ワイバーン』の効果が発動する。デッキから、レベル7以上で、光属性または闇属性のドラゴン族モンスター一体をゲームから除外できる。俺はこの効果で、レベル8の光属性『光と闇の竜(ライトアンドダークネス・ドラゴン)』をゲームから除外する」

 これで準備は整った……

 

「……バトルは終了です。私はカードを二枚伏せます。更に永続魔法『戦場の惨劇』を発動し、ターンエンドです」

 

 

北森

LP:4000

手札:1枚

場 :モンスター

   『A-アサルト・コア』攻撃力1900

   魔法・罠

    ユニオン『C-クラッシュ・ワイバーン』

    永続魔法『戦場の惨劇』

    セット

    セット

    フィールド魔法『ユニオン格納庫』

 

万丈目

LP:4000

手札:4枚

場 :モンスター

    無し

   魔法・罠

    セット

    セット

 

 

「『戦場の惨劇』だと……」

 中々厄介なカードを発動したものだな……

「……俺のターン、ドロー」

 

万丈目

手札:4→5

 

 だが、俺のやることは変わらない……

「こいつは、自分の墓地に眠る光属性と闇属性のモンスターを一体ずつゲームから除外することで、手札より特殊召喚できる。墓地の光属性『魔導雑貨商人』と、闇属性『パンデミック・ドラゴン』をゲームより除外……現れよ『ライトパルサー・ドラゴン』!」

 青白い光が空間を走る。散らばっていたそれが一つとなって、一体の竜となる。

 

『ライトパルサー・ドラゴン』

 レベル6

 攻撃力2500

 

「攻撃力2500……!」

「更に、永続罠『闇次元の解放』! ゲームから除外された闇属性モンスター一体を特殊召喚する。現れよ『パンデミック・ドラゴン』!」

 目の前の空間に、今度は毒々しい細菌を思わせる光が蠢いた。それはいわゆる『バイオハザードマーク』をかたどり、そこを中心に紫色の身体が伸びる。

 

『パンデミック・ドラゴン』

 レベル7

 攻撃力2500

 

「『パンデミック・ドラゴン』の効果! 一ターンに一度、こいつの攻撃力以下のモンスター一体を破壊できる。破壊するのは当然、『A-アサルト・コア』だ!」

 バイオハザードマークが輝き、そこからエネルギーが発射される。

 並大抵のモンスターなら破壊できるエネルギーではあるが、当然例外はある。

「ユニオン状態のクラッシュ・ワイバーンを破壊することで、装備モンスターであるアサルト・コアの破壊を免れます……」

 その言葉の通り、黄色のサソリの代わりに、くっついていた紫の翼竜が破壊された。

「更に、クラッシュ・ワイバーンが墓地へ送られた場合、手札のユニオンモンスター一体を特殊召喚できます。『B-バスター・ドレイク』を特殊召喚!」

 残った最後の一枚がディスクにセットされた時。今度は緑色で、紫色にあったのと同じミサイルポットを背中に背負っている、地上を走ることに特化した形の竜が現れる。

 翼竜もそうだったが、イメージとしてはドラゴンというより恐竜だな。

 

『B-バスター・ドレイク』ユニオン

 レベル4

 守備力1800

 

「構わん。更に『ハウンド・ドラゴン』を通常召喚」

 

『ハウンド・ドラゴン』

 レベル3

 攻撃力1700

 

「これで準備は整った」

 

『ライトパルサー・ドラゴン』

 攻撃力2500

『パンデミック・ドラゴン』

 攻撃力2500

『ハウンド・ドラゴン』

 攻撃力1700

 

「すごい、ドラゴンが一気に三体も……」

「やっぱ、万丈目サンダーは凄ぇ!」

「いっけー! 万丈目サンダー!」

 

「当然だ……バトル! 『ライトパルサー・ドラゴン』で、『A-アサルト・コア』を攻撃!」

 青白い体の全身が輝き、そこから青い光の全てが黄色のサソリへ一直線に伸びた。

「罠発動『和睦の死者』! このターン、私のモンスターは戦闘では破壊されず、ダメージはゼロとなります」

 サソリを破壊せんと伸びた光だったが、その前に青色の修道女が現れたことで、その光の進行は止まってしまった。

 

「守られたか……これでバトルは終了だ」

「ではこの瞬間、『戦場の惨劇』の効果が発動します」

 ……そう言えば、そんなカードが発動されていたのだった……

「バトルを行ったプレイヤーは、バトルフェイズ終了時にデッキの上からカードを五枚、墓地へ送ります」

 

「デッキから五枚!? そんなに捨てるのか……!」

「こりゃあ……あんまり攻撃できないな」

 

 周囲の声も聞こえつつ、言われた通り、デッキの上から五枚のカードを墓地へ送った。

「カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」

 

 

万丈目

LP:4000

手札:2枚

場 :モンスター

   『ライトパルサー・ドラゴン』攻撃力2500

   『パンデミック・ドラゴン』攻撃力2500

   『ハウンド・ドラゴン』攻撃力1700

   魔法・罠

    永続罠『闇次元の解放』

    セット

    セット

 

北森

LP:4000

手札:0枚

場 :モンスター

   『A-アサルト・コア』攻撃力1900

   『B-バスター・ドレイク』守備力1800

   魔法・罠

    永続魔法『戦場の惨劇』

    セット

    フィールド魔法『ユニオン格納庫』

 

 

 それにしても……

 光属性の機械族。ユニオン。さらに、それぞれの名前がA、B、C。

 これだけ条件が揃っている以上、間違いあるまい……

 

「私のターン」

 

北森

手札:0→1

 

「……魔法カード『天よりの宝札』を発動します。互いのプレイヤーは、手札が六枚になるよう、カードをドローします」

「タイミングよく引いてきたな……」

 

北森

手札:0→6

 

万丈目

手札:2→6

 

「罠カード『ゲットライド!』を発動します。墓地のユニオンモンスター『C-クラッシュ・ワイバーン』を『A-アサルト・コア』に装備します。そのままクラッシュ・ワイバーンの装備を解除、特殊召喚します」

 

『C-クラッシュ・ワイバーン』ユニオン

 レベル4

 守備力2000

 

「この瞬間、『ユニオン格納庫』の効果! 特殊召喚されたクラッシュ・ワイバーンに、デッキから二枚目の『B-バスター・ドレイク』を装備します……」

 先ほどと組み合わせは違うが、動作の見た目に違いはない。

 二体はそのまま合体し、一体のモンスターとなる。

「バスター・ドレイクを装備したモンスターは、相手の魔法カードの効果を受けません。ですが……」

 そうだ。真の狙いはそれではあるまい……

 

『A-アサルト・コア』

 攻撃力1900

『B-バスター・ドレイク』

 守備力1800

『C-クラッシュ・ワイバーン』

 守備力2000

 

「A、B、C、これら三体のモンスターを、フィールドか墓地より除外することで、特殊召喚できるモンスターがいます……A、B、C、変形合体!」

 A、B、C、三色の機械が形を組み替え、一つに組み合わさっていく。

 モンスターは違うが、俺自身、何度も見て、むしろ行ってきた光景。

 その光景の後に現れる、仮の姿を超える真の姿は……

 

「合体完了……『ABC-ドラゴン・バスター』!」

 

『ABC-ドラゴン・バスター』融合

 レベル8

 攻撃力3000

 

 黄色の戦車の上に、緑と紫、二つの竜の首が生え、翼を広げ、砲身が備わる。

 三体が組み合わさったことで生まれた、巨大な兵器が誕生した。

(緑と紫、そして黄色の機械の竜……)

「そしてこの瞬間、装備されていたことで墓地へ送られたバスター・ドレイクの効果が発動。デッキからユニオンモンスター、『C-クラッシュ・ワイバーン』を手札に加えます。そして、そのまま通常召喚します」

 

『C-クラッシュ・ワイバーン』ユニオン

 レベル4

 守備力2000

 

 流れるようにユニオンモンスターを召喚しては、自在に操っていく。

 僅か三ターン目で最上級融合モンスターを召喚したことと言い、かなりの腕前だ……

 

「ではここで……『ABC-ドラゴン・バスター』の効果を発動します」

 来るか……

「手札を一枚捨てて、フィールドのカード一枚を選択して除外します」

 

北森

手札:6→5

 

「除外するのは、『パンデミック・ドラゴン』です」

 く……せっかく永続罠で特殊召喚したパンデミックが、再び除外されたか。

 しかも、パンデミックは破壊された時、フィールドのモンスター全ての攻撃力を1000下げる。だがその効果は破壊時のみ。除外では、その効果は発動しない……

「更に私は……魔法カード『旧型出陣』を発動します」

 『旧型出陣』……機械族専用の蘇生カードか。

「私は墓地から、たった今墓地へ捨てたモンスター『キャノン・ソルジャー』を特殊召喚します」

 

『キャノン・ソルジャー』

 レベル4

 攻撃力1400

 

「『キャノン・ソルジャー』!?」

 く……なるほど、そういう戦術か!

「『キャノン・ソルジャー』の効果を発動します。自分の場のモンスター一体を生け贄に捧げることで、相手に500ポイントのダメージを与えます。私は、バスター・ドレイクを生け贄に捧げます。バーンキャノン!」

 バスター・ドレイクが光と変わり、『キャノン・ソルジャー』の砲身に装填される。それが、俺の場のドラゴン達を無視し、俺へ直接発射された。

「ちぃ……っ」

 

万丈目

LP:4000→3500

 

「クラッシュ・ワイバーンが墓地へ送られたこの瞬間、手札から二枚目の『A-アサルト・コア』を特殊召喚します」

 

『A-アサルト・コア』ユニオン

 レベル4

 攻撃力1900

 

「そして、アサルト・コアを生け贄に捧げます。バーンキャノン!」

「ぐぅ……!」

 

万丈目

LP:3500→3000

 

「墓地へ送られたアサルト・コアの効果です! 墓地に眠るこのカード以外のユニオンモンスターを手札に加えます。『C-クラッシュ・ワイバーン』を手札に加えます」

 

北森

手札:3→4

 

 十分に俺のライフを削ったところで、ABCによる攻撃か……

「……魔法カード『強欲な壺』。カードを二枚ドローします」

 

北森

手札:3→5

 

「……カードを二枚伏せます。更に私は、二枚目の永続魔法『戦場の惨劇』を発動。これでターンエンドです」

「なに……?」

 

 

北森

LP:4000

手札:2枚

場 :モンスター

   『ABC-ドラゴン・バスター』攻撃力3000

   『キャノン・ソルジャー』攻撃力1400

   魔法・罠

    永続魔法『戦場の惨劇』

    永続魔法『戦場の惨劇』

    セット

    セット

    フィールド魔法『ユニオン格納庫』

 

万丈目

LP:3000

手札:6枚

場 :モンスター

   『ライトパルサー・ドラゴン』攻撃力2500

   『ハウンド・ドラゴン』攻撃力1700

   魔法・罠

    永続罠『闇次元の解放』

    セット

    セット

 

 

 攻撃を仕掛けてこない……

 『戦場の惨劇』でカードを捨てたくなかったのか?

「俺のターン」

 

万丈目

手札:6→7

 

 いずれにせよ、まずは『キャノン・ソルジャー』をどうにかせねばなるまい……

「墓地に眠る光属性モンスター『エクリプス・ワイバーン』をゲームから除外することで、『暗黒竜 コラプサーペント』を特殊召喚する」

 

『暗黒竜 コラプサーペント』

 レベル4

 攻撃力1800

 

「更に『エクリプス・ワイバーン』がゲームから除外されたことで、除外された『光と闇の竜』を手札に加える」

 

万丈目

手札:6→7

 

「更にこちらも、永続魔法『強者の苦痛』を発動。相手の場のモンスターは全て、自身のレベル一つにつき、100ポイント攻撃力がダウンする」

「え……!」

 北森が動揺の声を上げる間に、場に存在する二体のモンスターは脱力してしまった。

 

『ABC-ドラゴン・バスター』

 攻撃力3000-100×8

『キャノン・ソルジャー』

 攻撃力1400-100×4

 

 これで戦闘破壊の準備は整った。

「『戦場の惨劇』の発動下ではあるが……バトルだ! 『ハウンド・ドラゴン』で、『キャノン・ソルジャー』を攻撃する!」

 小さな黒い龍がその牙を向け、機械の兵隊へと突進していった。だが……

「この瞬間、『ABC-ドラゴン・バスター』の効果を発動します! 一ターンに一度、手札を一枚捨てることで、カードを一枚除外します。『ハウンド・ドラゴン』を除外します!」

 

北森

手札:5→4

 

 先ほどの『パンデミック・ドラゴン』と同じように、『ハウンド・ドラゴン』もまた機械竜の光線に消えた。

「こちらのターンにも使えるのか……だが、まだだ! 『暗黒竜 コラプサーペント』で、再び『キャノン・ソルジャー』を攻撃!」

 今度は黒い翼竜が羽ばたき、その口に炎を貯め、打ち込んだ。

「罠発動『和睦の使者』!」

 ついさっきも現れた、青い服の修道女たち。それに、コラプサーペントの炎はかき消された。

「このターン、私のモンスターは戦闘では破壊されず、戦闘ダメージもゼロになります」

「二枚目か……バトルを終了する」

「……二枚の『戦場の惨劇』の効果です」

 バトルを行ったターン、五枚のカードをデッキから墓地へ送る。それが二枚。墓地へ送るカードは十枚。

 

万丈目

デッキ:15→5

 

「デッキは残り五枚か……」

 

 フィールド魔法とユニオンモンスターの効果を駆使して『ABC-ドラゴン・バスター』を特殊召喚。

 そのモンスター効果と罠カードで自軍のモンスターを戦闘から守りつつ、『戦場の惨劇』の効果でデッキ破壊を狙う。

 仮に戦闘を控えたとしても、ユニオン達と『キャノン・ソルジャー』によるバーン効果によってライフを削る。

 どうにかして『キャノン・ソルジャー』を破壊しようと攻撃しようものなら、結局防がれたうえ、『戦場の惨劇』によってデッキのカードを削られる……

 

 

「なんだよ、それ……」

 

 俺が北森のデッキを分析していると、周りから声が聞こえてきた。

 

「なんだよそのデッキ! 汚ねーぞ! ろくに攻撃させもせずにデッキ破壊とか、それがダメならバーンまで、マトモに決闘させねぇそんなデッキに勝てるわけねーだろう!」

 

 そいつの声をキッカケに、見ていたギャラリーのほとんどが声を上げた。

 アカデミアの生徒、プロ決闘者までな。

 

「この野郎! マトモに決闘できねーのか!?」

「セコイ戦術使いやがって! 恥ずかしくねーのかよ!」

「可愛い顔してりゃあ許されるわけじゃねーぞ! 卑怯ものがー!」

 

「……」

 

 ……そうだ。ようやく思い出した。

 

 北森玲子……

 昨年度の『全国決闘モンスターズ選手権・中学生の部』。アカデミアの学生は出場を禁止されている、アマチュアのみ集まるその全国大会で、二年生にして優勝していた女だ。

 優勝したにも関わらず、その時も今と同じように、観客や参加者達、果ては決勝での対戦相手にまで野次を飛ばされていた。

 顔には出さないようにしていたようだが、あまりに辛そうな顔で表彰台に上がっていたのを覚えている。

 その時も確か、『キャノン・ソルジャー』を使っていた。今とデッキはかなり違っていたが、鮮やかにカードを使いこなし勝利を手にしていたのは今と同じだ。

 

 今年の全国大会にも出場していたが、決勝で敗れて二位になっていたな。

 その決勝でも同じ。今と同じように、観客からブーイングの嵐を受けていた。

 決勝の相手は何も言わなかったのに。どころか、会話は聞こえなかったが、あの時の様子からして、こいつの戦術を絶賛し、大喜びで戦っていたように見えた。

 今の俺と、同じようにな……

 

 

「……」

「雑音だ。気にするな」

 ブーイングに負けないよう、そう、声を掛けてやった。

「……」

 こちらには気付いたようだが、それ以上反応はない。

 顔は無表情にも見えるが、目線は伏せていて、唇は震えている。今にも泣きだしたいのを、必死にこらえている……

 

「おい何とか言ったらどうなんだ!」

「汚ねー決闘して楽しいか!?」

「そんな決闘今すぐやめちまえ! つーか今すぐ決闘者やめろー!」

 

 ……うるさい奴らだ。

 (あずさ)であればこんな連中、脅して簡単に黙らせているだろう。

 だが、俺が下手に声を上げたところでこいつらは叫ぶのをやめはしまい。

 

 ……だが、脅かすだけが、黙らせ方とは限らない。

 

 

 

 




お疲れ~。

そんじゃら早速オリカいこ~。



『戦場の惨劇』
 永続魔法
 お互いのプレイヤーはこのターンに戦闘を行った場合、自分のデッキの一番上からカードを5枚墓地へ送る。

遊戯王Rにて、北森玲子が使用。
相手も自分も、デッキ圧縮と墓地肥やしの両方できる。
とは言え、五枚って枚数も割かしバカにできないから、後半に立てれば攻撃を躊躇させるにも十分ろうよ。
まあ、五枚に足りなきゃあるだけ捨てるのか、そもそも捨てらんなくなるのかはこのテキストからは分からんが。
どっち道、便利なカードよなぁ……



以上。
つ~ことで、後半に続くで~。
ちょっと待ってて。

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