遊戯王GX ~氷結の花~   作:大海

158 / 175
いぇ~~~~~~~~~~。
んじゃ、こっちもいくでよー。

使ってるカードの関係で、どえりゃあ文字数になっちまったけど、決闘自体は長くない、はず……

そんな感じで、行ってらっしゃい



    愛すべき人々

視点:アズサ

「……」

『……梓? 大丈夫?』

「……ええ」

 木にもたれかかって、手に顔をうずめてる。そんな梓に声を掛けてみたら、そんな返事が聞こえてきた。

 ほんの五分くらい前かな? 決闘の相手を探して、二人一緒に歩いてた。そんな時、急に正面とは別の方を見て、しばらくボーっと立ってた。その後、泣きそうな顔になって、近くに立ってる木に右手を着いて、そこにおでこを着いて。

 そんな体勢のまま、ジッとして。

 まるで、何か失くしたことを悲しんでるみたいだった……

『……』

 どうかしたの?

 なにかあった?

 そう聞きたい気持ちは山々だ。でも、なんでだろう……

 聞けなかった。どうしてだか、聞くだけ無駄な気がした……違う。なんだろう?

 どうして、梓がそうなってるのか、知ってる気がした。

 なんで知ってるのかは分かんない。確かに原因を知ってて、けど、それが何なのか、具体的に、明確に思い出すことができない。

 ただ、本当に何かを失くしちゃったこと、それだけは分かる。何かは思い出せない、けど、取り返しのつかないくらい大切な、そんなものを……

 梓も多分、同じ気持ちなんだ。しかも、僕が感じてるより、よっぽどそのことを、哀しく、感じてるんだ……

 

『……』

 元気づけてあげられる言葉なんて、僕には分からない。

 これが星華姉さんとか、あずさちゃんだったら、梓に何してあげられるんだろう……

 そんなこと考えて、想像したけど、今、梓のそばにいるのは、僕だ。

 だから……

 

「……」

『……』

 実体化して、開いてる左手を、握りしめた。

 相変わらず、綺麗で小さくて、けど、凄く温ったかい手。

 なんでこんなに悲しいのか……

 なんでこんなに苦しいのか……

 僕には分からない。分からないから、せめて、今は……今度こそは、梓のそばにいてあげる。

 梓の気持ちが晴れるまで。梓がまた、元気に笑って、大好きな決闘ができるようになるまで。

 それまで僕が、そばにいてあげるから……

 

 

「……行きますか」

 たっぷり二十分くらい、木にもたれかかった後で、そう声が聞こえた。

「……もう大丈夫?」

「……ええ。ありがとう……ありがとう。アズサ」

 木から手も顔も離して、僕にそう笑いかけてくれる。その顔は、まだちょっと哀しさが残ってるけど、いつも通りの梓の顔だ。

「大丈夫。僕がそばにいるから。いつだって、梓と一緒に、ずっと闘うから」

「……頼りにしております。私の、最も信頼するパートナーを」

「うん!」

 梓の言葉に嬉しくなって、返事をした後……

 

 ピピピピ……

 

 機械が鳴る音がした。

 これは、梓の学生手帳の音だ。

「もしもし?」

『梓さん! 早く来てください! 大変なことになっております!』

 機械のスイッチを入れるなり、聞こえてきたのは、ももえちゃんの声だ。

「大変なこと……ええ、分かりました。場所は?」

 そんなこんなで、場所を聞き出した後で、そっちへ向かって走り出した。

 

 

 

視点:外

 場所は、アカデミア本校舎の前。そこへ続く、白い道の上。

 そこで、一つの決闘が終結しようとしていた。

 

「ふふ……魔法カード発動!」

「ヒィイイ~~ッ! お、俺のゴーストデッキが、全然歯が立たねぇゾ~~~!」

 

 プロ決闘者と、アカデミアの学生。

 ジェネックス大会中は、何も珍しい光景ではない。

 たとえ、劣勢に立たされているのがプロ決闘者の方で、まだ学生であるはずのアカデミア生徒が勝利しようとしていたとしても、それもこの大会ではよく見かける光景の一つでしかない。

 そして、そんな決闘の周りには、大勢のギャラリーが集まっていた。

 そして、そのギャラリーのほとんどが、アカデミア女子生徒の、黄色い声援だった。

 

「これで最後だよ……バトル。モンスターで、ダイレクトアタックだ」

「ぐわあああ~~~~!! 俺の敗けだゾ~~~~……」

 

 プロ決闘者へ、最後のトドメを宣言し、見事に勝利した生徒。

 ホワイト寮の、白い制服を着ていた。

 多く長い髪を後ろへ流し、そんな髪の毛から、美しい顔を出している。

 背は低いが、そんな美しさの中に沸き立っている、透き通るような爽やかさと、その実力に裏打ちされた確かな自信。

 それらを完璧に備えた、字に書いた……否、絵に描いたようなイケメン男子。

 

『きゃああ~~~~~~~~~~~!!』

『きゃああ~~~~~~~~~~~!!』

『きゃああ~~~~~~~~~~~!!』

 

 そんな、今日まで見たことのない、低身爽やか系イケメン男子の華麗な決闘を見ていた、ギャラリーの女子生徒達は、決闘中以上の黄色い声援を張り上げた。

 

「素敵ー!!」

「こっち向いて下さーい!!」

「ウホ! イイ男!」

 

 そんな、女子生徒……一部、男子生徒に対して、そのホワイト寮生徒は……

 

「ありがとう、みんな……愛してるよ」

 

『きゃあああ~~~~~~~~~~~♡♡♡』

『きゃあああ~~~~~~~~~~~♡♡♡』

『きゃあああ~~~~~~~~~~~♡♡♡』

 

 その一言で、女子生徒達の目を一気に♡に変えてしまった。

 

 ごく、一部の者達を除いて……

 

「……」

「……」

『……』

「……あれって、もしかして……」

「ええ……間違いありませんわ」

「たった二日で、なんてこった……」

『翔さん、見違えましたね~……』

 たった今到着した梓と、ももえ、カミューラ、半透明のマナ……ショウ子ちゃん応援団の四人が、目の前の彼を見ながら、しみじみと会話していた。

 マナの言った通り。制服も、立ち居振る舞いも、眼鏡を外した顔の印象すら、完全に別物と化している。

 それでも四人には、目の前で、女生徒たちにワーキャー騒がれているイケメンが、自分達の支える、ショウ子ちゃん……丸藤翔であることは、一目で分かった。

 

「……あ」

 しばらく、集まった女子生徒達の相手をしていた、翔も、並んでいる四人に気付いたらしい。

 四人と視線を合わせるなり、歩いてきた。

「やあ。梓さん、みんな」

「やあって……」

『喋り口調までイケメンになってらぁ』

 気さくで爽やかな翔の挨拶に、(アズサ)が反応している間に、翔は四人の前まで歩いてきた。

「お久しぶり、梓さん。今日は一段と美しい……」

「あはは……それは、どう、も……?」

 イケメンな発言に、梓が苦笑した時。

 翔は、そんな梓の顔に手を添えると、背伸びしつつその顔を寄せ……

 

「……て、おい!」

「えぇ!?」

『ああ~~!?』

『ちょっとぉおおお!?』

 

『きゃああ~~~~~~~~~~!!♡♡♡』

『きゃああ~~~~~~~~~~!!♡♡♡』

 

 アズサと応援団三人の悲鳴。そして、ギャラリーの女子たちの黄色い声が重なる。

 そんな声の中で、梓と、美白した翔とのキスは、十秒間ほど続いた。

 

「……」

「……」

 翔は、無言で微笑んでいた。梓は、数秒静止したものの……

「翔さん……えらく積極的になりましたね」

 

『そういう問題かぁーああ!?』

『翔さん! いきなりそんな……梓さんに、なんということを!?』

 

「君たち四人の中で、梓さんとだけは、まだキスしてなかったからね」

「言われてみれば……」

 

「梓さんは何納得してるんですか!?」

「全員とすりゃあ良いってもんでもないでしょうが!?」

 

「みんな……タカがキスで騒ぎすぎだよ」

「そうですよ。接吻の百ペンや二百ペン、普通のことでしょうに」

『ねぇー』

 

「タカがキス……」

「百ペンや二百ペン……」

「普通のことって……」

 美少年二人のそんな発言ややり取りに、アズサや応援団の三人はもちろん、女子生徒らに隠れた男子生徒のギャラリー達も、思わず引きつってしまう。

 梓と翔では、接吻(キス)に対する価値観やら、考え方のベクトルやらは百八十度違う。それでも、二人とは違って、持たざる身に生まれた男子生徒らからすれば、余裕と自信に満ち満ちたそんな発言は、元より無いも同じだった自信を打ち砕かれ、打ちのめされるには十分すぎる威力を有していた。

 

「まあ、接吻はどうでもいいですが……翔さん、眼鏡は?」

「コンタクトに変えたんだ。眼鏡はケースに入れて、ポケットにしまってる」

「そうですか……では、もう一つ。その制服はどういう了見ですか?」

 男子生徒達、アズサと三人が、翔の制服以上に真っ白に燃え尽きているのを無視しながら、梓は冷静に問い質す。翔は、美しい笑顔を見せたまま、語り出した。

「おととい……僕はある決闘をした後、気付いたんだ。僕には、こんな僕のことを愛おしいと思ってくれる人たちがいる。全員が僕のことを愛してくれてる。そして僕は、そんな人達と一緒にいるのがとても楽しくて、とても幸せだと思った……けど、気付いたんだ。そんな人達の中から、僕は、誰か一人を選ばなきゃいけないんだって」

「……」

 それは、あまりに当然のこと。避けられぬ現実。それを翔の口から聞いた時は、応援団の三人ともが、言葉を失ってしまった。

 そして今も、何も言えない……

「けど、そんなふうに悩んでる僕に、斎王様は教えてくれたんだ」

 そんな深刻な顔を、満面の笑みに変え、語り出したのは変化の核心。

 

「僕のことを愛してくれてる……そんな子達が大勢いるのなら、その子達全員、愛してあげたらいいんだって」

 

 両手を広げ、大きな声で、堂々と言い放つ。

 爽やかで清らかで、自信に満ちた輝く笑顔。

 今までの翔の姿からは考えられなかったそんな笑顔での宣言に、また、ギャラリーの女子生徒達は色めき立った。

「もう何も、悩まなくていいんだ。僕が全員、幸せにしてあげたらそれで良いんだから。そのための力を、斎王様は授けてくれた。僕は、僕のことを好きになってくれた人達全員、幸せにしてみせるよ」

「ふむ……」

 翔の話に、梓は顎に手をやりながら、真剣に聞いていた。

 

 そして、その話を聞いて、感じたのは……

「……それは、真の愛情とは言えませんね」

 そんな梓の発言に、笑顔でいた翔の顔に、暗い影が差す。

「どうして? 梓さんだって、自分のことを慕って集まってくれた女の子を、二人も三人も全員愛してるじゃないか」

「確かに……あなたから見れば、今のあなたと、私の決意は同じに見えるでしょうね。では聞きますが、あなたには、そうして集まって下さった人達全員、生涯を捧げ守っていく覚悟がありますか?」

 その質問に対して、すぐ、笑みを返した。

「愚問だね。そのために僕は強くなったんだ。現に今も、プロ決闘者を倒してみせた。僕の強さは、ここに集まってくれたみんなが知ってる。この力で、僕が全員、守ってみせるさ」

「斎王さんからの、借り物の力と組んで頂いたデッキを使って、ですか?」

 再び黄色い歓声が上がる中で、梓が再び問い掛ける。

 笑顔だった翔の顔にまた、影が差す。

「……まあ、そのことを私がどうこう言う権利は無い。私自身、今持つ力からデッキから、全ては別の誰かから奪い取り、手にしたものだ。たとえ他人の力であろうが、成し遂げたいこと、守りたい人がいるのなら、手段など選ばず、使えるものは何であれ使うべきなのです。それでも、一つだけ言わせていただくなら……」

 語り掛けながら、視線を翔から、後ろに並ぶ三人へ向けた。

「私ではなく、彼女らを見なさい。あなたが幸せを願った三名は、今、あなたの言う幸せを感じているのでしょうかね?」

 言われて翔は、梓から、その後ろに立つ『ショウ子ちゃん応援団』を見てみる。

 

『……』

 

 幸せどころか、三人とも、今の翔を見て笑う者は、一人もいない。

「どうして……? 僕、がんばったのに。みんなのこと幸せにしたくて、強くなったのに、どうして、そんな顔するの?」

 

「翔君……」

 今の翔の言葉を聞いて、三人ともが、嫌でもおとといの翔の言葉を思いだす。

 

 ―「やっぱり……最後には、誰か一人を選ばなきゃいけない、のかな……?」

 

 もちろん、三人とも、最終的には、自分が選ばれることを望んでいた。

 そのために言い争ったり、喧嘩になったり、決闘で勝負したこともあった。

 それがいつからか、三人、梓も含め四人で集まって、翔を着せ替えしたり、撮影会をしたりすることが楽しくて、いつからか、三人ともが感じていた。

 こんなふうに、翔と、ショウ子ちゃん応援団と、いつまでも一緒にいられたら……

 そんなことを願って、いつの間にやら、誰が翔にとっての一番か。そんな考えはどこかへ消え失せてしまっていた。

 その結果が、おとといの翔の疑問の言葉と、今の美白した翔の姿だ。

 翔はずっと、自分達のことを考えて、優しくしてくれて、結果、苦しんでいた……

 

「いずれにせよ……」

 疑問と悲哀の表情を浮かべる翔に対して、梓が声を上げつつ、翔の前に出る。

「『今のあなた』に話を聞いたところで、何の意味も無い。あなたを倒し、斎王さんの力が取り除かれた、『本当のあなた』の言葉を聞かせていただくとしましょう」

 宣言し、決闘ディスクを装着し、そこに、愛用のデッキを……

 

「待って」

 

 セットしようとしたその手を、ももえが掴んだ。

「ももえさん?」

「……すみません、梓さん。彼との決闘、どうか、お譲り下さい」

 真剣な声で、真剣な表情で、梓に向かって、宣言する。

「彼をあんな姿に変えてしまったのは、私達に原因がありますわ。その責任は、私に取らせて下さいまし」

 責任だけではない。確かな決意。確かな覚悟。それを持って、愛しい彼と向き合いたい。

 それらの感情、全てがその目に、その姿に宿っている。

 それを確かに感じた、梓は……

「……お気持ちは分かりますが、あなたの実力では、翔さんには到底敵いませんよ」

 そう、現実を冷たい声で突きつけた。

 無論、ももえもそんなことは分かっている。翔の恋人として恥ずかしくないよう、今日まで努力してきたが、それでも、彼の実力にはまるで届いていないことくらい……

 

「だったら、私もやるわ」

 打ちひしがれるももえと、梓の耳に、その声は聞こえた。

「カミューラさん……」

 

「当然、私もやります!」

 そして、最後の一人の声も。

「マナさん……」

 

「……あれ? 誰だ、あの可愛い子……?」

「あんな子、このアカデミアにいたっけ?」

「すっげーグラマー美女! あんなにスタイル良い女子がいたのか?」

 

 周囲からは、そんな間の抜けた男子生徒の声が聞こえてくる。

 ももえとカミューラは、驚いていた。

「えっと……マナ、よね?」

「はい!」

「はいって……その制服、なぜ、あなたが……?」

 ももえの問いかけの通り。

 いつもの『ブラック・マジシャン・ガール』の格好ではなく、今のマナは、ももえやギャラリーの女子生徒達が着ているのと同じ、オベリスクブルー女子の制服を着ていた。

 しかも、若く瑞々しくも豊満なマナの体に、サイズも丈もピタリ合っていて、どこにも違和感を感じさせない、まるでマナのために仕立てられたような、そんな制服姿だった。

「なぜって、それはもちろん……」

 ももえの質問に、マナは答える代わりに、視線を送る。

 ももえも、カミューラも、その視線の先に目を向けた。

 

「……」(グッ)

「……」(グッ)

 

 梓は、答える代わりに親指を立てた。同じように、マナも無言で親指を立てて答えた。

 

「一人一人では、翔さんには敵わないでしょう。けど、三人で掛かれば、勝てるかもしれません」

「それは分かるけど……あんた、デッキは?」

 マナはスカートのポケットから、デッキを取り出した。

「昨日、嫌な予感がして翔さんを探していた時、落ちていたのを見つけました」

「それって、もしかして……」

「はい……翔さんが、私と闘うために組んで下さったデッキです」

 それを、落としたままにしてあった翔に、三人とも思わず目を向ける。

 直前のプロ決闘者との決闘を見て、デッキが変わっていることは分かってはいた。それでも、最愛のパートナーが入っているデッキを、手放したそのままにしておくなんて……

 

「……いいよ。分かった。決闘をしよう」

 そんな三人に、翔は、微笑みながらディスクを構える。

「決闘して納得するっていうなら、構わない。君たちに、僕の力を見せてあげよう。そして、分かってほしい。今の僕なら、君たち全員愛して、守って、幸せにしてあげられるんだってことを……」

 

「みんな、そうだろう?」

 

『きゃああ~~~~~~~~~~~♡♡♡』

 

 両手を広げ、ギャラリーに語りかける。再び黄色い声援が、その場を包んだ。

「さあ、見せてあげよう。僕の決闘を、君達に捧げよう」

 らしくない言動。らしくない態度。

 遠巻きに翔を見ていただけの女子生徒たちはどう感じたか知らないが、今までの翔を知る三人からすれば、今の翔の姿には、まるでときめきは無い。

 三人の望みは一つ。

 自分達が、今日まで好きでいた、本当の丸藤翔を取り戻すこと。

 そして、その後は……

 

「さあ、行きますわよ!」

「出遅れんじゃないわよ!」

「がんばります!」

 

『決闘!!』

 

 

ももえ/カミューラ/マナ

LP:4000

手札:5枚/5枚/5枚

場 :無し

 

LP:4000

手札:5枚

場 :無し

 

 

「僕一人対、ライフ・フィールド・墓地共有の君たち三人。ターンは交代制。これで問題ないかな?」

 

「ありませんわ!」

「始めるわよ!」

「翔さん……」

 

 

 そんな四人に、ギャラリーたちも当然注目している。

「三対一……とは言え、形式的には一対一と変わりませんわね」

「どの道、普通の一対一とは違う、戦略が必要になるはずですわ……」

 純粋に、決闘に注目する者……

 

「あんな三人に、敗けるはずがありませんわ!」

「やっつけちゃって下さいましー!」

 翔に向かって、相変わらずの歓声を上げる女子……

 

「というか、さっきからあの人たち、彼の名前を呼んでいませんでした?」

「まさか、彼の正体を知って……?」

 夢中になっていながら、実は名乗られておらず、聞こえてもいない彼の名前と正体に興味を持つ者達……

 

 そんな様々な感情が絡む決闘が、今、始まった。

 

 

「まずは私が行きますわ」

「しくじるんじゃないわよ?」

「この決闘、敗けるわけにはいきません」

「分かっています。万全のフィールドで、あなた方につなぎますわ」

 

「私のターン、ドロー!」

 

ももえ

手札:5→6

 

「早速いきますわ。私は『ビーストライカー』を召喚」

 

『ビーストライカー』

 レベル4

 攻撃力1850

 

「『ビーストライカー』の効果。一ターンに一度、手札一枚をコストに、デッキから『モジャ』一体を特殊召喚しますわ」

 

ももえ

手札:5→4

 

 ももえが手札を捨てたと同時に、巨大な牙を生やした灰色の獣人が、肩に背負う大槌を掲げ咆哮を上げる。

 その鳴き声に誘われるように、デッキに眠っていたであろう、黒い体毛に包まれた、黄色い顔の小さな獣は跳ねてやってきた。

 

『モジャ』

 レベル1

 守備力100

 

「そして、フィールドに存在する『モジャ』一体を生贄に捧げることで、墓地に眠る『キング・オブ・ビースト』を、特殊召喚しますわ!」

 静かにたたずんでいた『モジャ』の身が、急激に震え出した。

 と思った次の瞬間、黒く小さな体毛が、長く、大きく、広がり、生えていき、小さな体を巨体へと変えていく。

 小さかった時には見えなかった肢が、胴体からいくつも伸びていき、それらが大地を蹴り、その巨体を支えた。

 獣毛の中から生えてきた肢も、あれだけ愛らしかった顔も、全てが骨のように変化した、雄々しくも不気味で巨大な獣の王。

 

『キング・オブ・ビースト』

 レベル7

 攻撃力2500

 

「うわ、なにあれ……」

「気持ち悪い……」

「強力だけど、ももえさん趣味わる……」

 

「黙れ」

 

『……』

 ギャラリーの女子生徒達の心無い言葉を、梓が一言で黙らせた。

 

「『ビーストライカー』の効果で、手札から捨てていたのか……」

「私はカードを二枚セットします。これでターンエンド」

 

 

ももえ/カミューラ/マナ

LP:4000

手札:2枚/5枚/5枚

場 :モンスター

   『キング・オブ・ビースト』攻撃力2500

   『ビーストライカー』攻撃力1850

   魔法・罠

    セット

    セット

 

 

「さすがももえさん……一ターン目で強力な下級モンスターに加えて、エースカードも一緒に並べるなんて」

「……えへへ////」

 いくら変わっているといっても、翔に褒められたことで、ももえの表情も思わず綻ぶ。

 

「僕も、君にこたえないとね……僕のターン、ドロー」

 

手札:5→6

 

「僕は『マジカル・コンダクター』を召喚」

 

『マジカル・コンダクター』

 レベル4

 攻撃力1700

 

「そして、フィールド魔法、光り輝く魔法の世界『魔法都市エンディミオン』発動!」

 緑色の聖衣をまとった黒髪の女。彼女が現れた直後、翔と三人、そして、梓らギャラリーの立つ空間が変貌を遂げる。

 翔のすぐ後ろに、巨大な楕円形の塔が伸びたかと思えば、その周囲に、その塔と同じ雰囲気とデザインが刻まれた、いくつもの建造物、建築物、更には浮遊物。

 古の建材から成るそれらの都市だけでも美しいそんな都市の、上空には、そんな都市をグルリと囲む、光の輪、光の文字が、翔の後ろに建つ巨大な塔を中心に、散りばめられる光と共に噴水の水のように入れ替わり立ち替わる。

 美しく、幻想的なその場所は、そのフィールドの名の通り、魔法都市の名が相応しい場所。

 

「『魔法都市エンディミオン』……」

「聞いたことないカードね……」

「ということは、これが……」

 

「斎王さんから授かったカード……」

 

「魔法カードが発動されたことで、『マジカル・コンダクター』に魔力カウンターが二つ乗る」

 緑色の聖女が両手を掲げる。すると、彼女の周囲に、淡く輝く白の球体が二つ、たゆたい始めた。

 

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:0→2

 

「続けて、魔法カード『天使の施し』。カードを三枚ドローし、二枚を捨てる。自分または相手が魔法カードを発動する度、『マジカル・コンダクター』に二つ、そして、『魔法都市エンディミオン』に一つ、魔力カウンターが乗る」

 

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:2→4

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:0→1

 

「ここで『マジカル・コンダクター』の効果。一ターンに一度、このカードに乗った魔力カウンターを任意の数取り除くことで、手札または墓地から、取り除いた数と同じレベルを持つ魔法使い族モンスターを特殊召喚する。僕は四つの魔力カウンター全てを取り除く」

 

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:4→0

 

 輝きを増したエンディミオンの中心に立つ、緑色の聖女。その周囲をたゆたう光が消失した時、彼女の隣の地面から、新たな魔術師の姿が浮かび上がる。

「『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』を、墓地より特殊召喚」

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 レベル4

 攻撃力1400

 

「……なんだか、『ブラック・マジシャン』に似てる。けど、赤い。それに、攻撃力1400……?」

「攻撃力は低いけど、強力な魔術師だよ。更に魔法カード発動『精神統一』。一ターンに一度、デッキから『精神統一』のカードを手札に加える」

 

手札:3→4

 

「なんだ? あんなカード……」

「同じカード手札に加えて、どうするんだよ……?」

 このカードの、効果しか知らない生徒たちはそんな声を上げるが、その真価を梓はもちろん、対する三人も分かっている。

「魔法カードが発動されたことで、僕の場の全てのカードに魔力カウンターが乗る」

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:0→1

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:0→2

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:1→2

 

「今度はこれだ。魔法カード『魔力掌握』。このカードは『精神統一』と同じ、一ターンに一度しか発動できない魔法カード。フィールドの魔力カウンターを置けるカード一枚に、魔力カウンターを一つ置く。僕が選ぶのは、ブラッド・マジシャン」

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:1→2

 

「そしてその後、デッキから『魔力掌握』を手札に加える」

 

手札:3→4

 

「更に、魔法カードが発動されたことで、全てのカードに魔力カウンターが乗る」

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:2→3

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:2→4

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:2→3

 

「これで次のターン、もう一度カードを発動できるってわけ……」

「ここで、ブラッド・マジシャンの効果。このカードに乗った魔力カウンターを任意の個数取り除くことで、取り除いた魔力カウンターの数の700倍の攻撃力以下のモンスター一体を破壊できる」

「700倍!? 今の魔力カウンターは三つ、ということは……」

「魔力カウンター三つを取り除いて、攻撃力2100以下のモンスター、『ビーストライカー』を破壊するよ」

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:3→0

 

 ブラッド・マジシャンが、鎌状の杖を上へ掲げる。すると、魔力カウンターによって輝いていた、紅い衣装に飾られた宝石が、輝きを失う。と同時に、その三つの輝きは三人の場の『ビーストライカー』へ届き、より一層の輝きと共に灰色の獣人を消滅させた。

「さあ、どんどんいくよ……ブラッド・マジシャンの効果は、一ターンに何度でも発動できる。魔法カード『強欲な壺』。カードを二枚ドロー」

 

手札:3→5

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:0→1

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:4→6

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:3→4

 

「魔法カード『成金ゴブリン』。僕はカードを一枚ドローして、君たちのライフを1000ポイント回復させる」

 

ももえ/カミューラ/マナ

LP:4000→5000

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:1→2

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:6→8

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:4→5

 

「これでブラッド・マジシャンに乗った魔力カウンターは二つ。このままじゃ、効果は使えないけど……ここで、『魔法都市エンディミオン』の効果発動!」

「フィールド魔法の効果?」

「一ターンに一度、自分がフィールドの魔力カウンターを取り除いて発動するカードの効果を発動する際、代わりにこのカードに乗った魔力カウンターを取り除くことができる」

「ということは、ブラッド・マジシャン自身の魔力カウンターを無視できる、と!?」

「そういうこと……僕は『魔法都市エンディミオン』から四つのカウンターを取り除き、ブラッド・マジシャンの効果発動! 4×700……2800以下の攻撃力を持つモンスター、『キング・オブ・ビースト』を破壊!」

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:5→1

 

 再びブラッド・マジシャンが杖を掲げる。その時、魔法都市の周囲を舞う輝きが四つ、ブラッド・マジシャンに降り注ぐ。それが直前の光景と同じように輝き、たゆたい、『キング・オブ・ビースト』を消滅させた。

 

「ももえさんのデッキ……重量級の獣族モンスターを呼びだして、その超攻撃力で相手を圧倒する戦術。その伏せカードは多分、二枚とも戦闘補助が目的のカード、だろう?」

「……っ」

 答えはしない。だが、小さくも確かに表情をゆがめている。翔の考察が、的を射ている証だった。

 

「君の考えは分かってる……ずっとずっと、君のことは見守ってきたんだから」

 

「……! 翔、君……////」

 不意打ちも同じな翔の発言に、思わず胸がキュンとなったものの……

 

「こら! 気持ちは分かるけどときめいてる場合じゃないわよ!」

「そうですよ! ああ言われてすごく羨ましい……じゃなくて、こっちはピンチなんですよ!」

 左右の二人が叫んだことで、ももえも正気に戻った。

 

「さあ、バトルだ。ブラッド・マジシャン、『マジカル・コンダクター』の二体で、ダイレクトアタック!」

 赤色の魔術師が杖を、緑色の聖女が両手を、三人へ向けて掲げる。

 そこから発射された魔力を、三人は伏せカードで防ぐこともできずその身に受けてしまった。

 

ももえ/カミューラ/マナ

LP:5000→1900

 

「このターンはここまでかな……カードを二枚セットする。これでターン終了だ」

 

 

LP:4000

手札:3枚

場 :モンスター

   『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』攻撃力1400

   『マジカル・コンダクター』攻撃力1700

   魔法・罠

    セット

    セット

    フィールド魔法『魔法都市エンディミオン』魔力カウンター:1

 

ももえ/カミューラ/マナ

LP:1900

手札:2枚/5枚/5枚

場 :モンスター

    無し

   魔法・罠

    セット

    セット

 

 

「きゃー! 格好いい!」

「ああ……あんなに鮮やかに、魔力カウンターを使いこなすなんて……」

「この光り輝くフィールドで、戦う姿の美しいこと……」

「そんな三人やっつけちゃって下さーい!!」

 

「黙れ」

 

『……』

 

「ごめんなさい、二人とも……」

「済んだことは仕方ないわ……次は私よ」

「カミューラさん、お願いします!」

「うん……ドロー!」

 

カミューラ

手札:5→6

 

「翔……私があんたを取り戻すわ」

「分かってないな……これが僕なのに」

 

「私は永続魔法『生還の宝札』発動! 自分墓地のモンスターが特殊召喚される度、カードを一枚ドローできる。そして、魔法カード発動『死者蘇生』! 墓地に眠る、ももえの『モジャ』を特殊召喚!」

 

『モジャ』

 レベル1

 守備力100

 

「宝札の効果で、一枚ドローするわ」

 

カミューラ

手札:4→5

 

「けど、君が二枚の魔法カードを発動させたことで、こちらのカードにもそれぞれ魔力カウンターが乗る」

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:2→4

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:8→12

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:1→3

 

「構わないわ。更に、この『モジャ』を生贄に捧げることで、墓地の『キング・オブ・ビースト』を特殊召喚!」

 

『キング・オブ・ビースト』

 レベル7

 攻撃力2500

 

「宝札の効果で、一枚ドロー」

 

カミューラ

手札:5→6

 

「すごい……実質手札を一枚も減らさないまま、ももえさんのエースモンスターを瞬時に復活させるなんて。さすがカミューラ。復活の決闘者……」

「……あんたが美白してなきゃ、死ぬほど嬉しい言葉なんだけどね……けど、おかげで良いカードを引いたわ。魔法カード発動『サイクロン』!」

 カミューラの目の前に、つむじ風が発生した。

「フィールド上の魔法・罠カード一枚を破壊する。前のターン使った以外にどんな効果があるか知らないけど、この厄介なフィールド魔法は今の内に破壊させてもらうわよ!」

 つむじ風が一気に巨大化し、彼女らがいる魔法都市を飲み込めるだけの規模へと変わる

 それが、翔に向かっていく。

「これであんたの魔法の世界も終わりよ!」

 

「……」

 向かってくるつむじ風に対して、翔は……笑っていた。

 

「……え?」

 本来なら、つむじ風に全て飲み込まれ、破壊されるはずのフィールド。

 それが、魔法都市が光を発したと同時に、発生したサイクロンを消滅させた。

「残念……『魔法都市エンディミオン』の効果だ。このカードが破壊される時、代わりにこのカードに乗った魔力カウンター一つを取り除くことができる」

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:3→2

 

「そんな……!」

「しかも、魔法カードが発動されたことで、更に魔力カウンターが乗せられる」

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:4→5

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:12→14

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:2→3

 

「くぅ、完っ全に『サイクロン』は無駄撃ちになったわね……けど、まだまだ! 私は『牛頭鬼(ごずき)』を召喚!」

 

牛頭鬼(ごずき)

 レベル4

 攻撃力1700

 

「『牛頭鬼』の効果! 一ターンに一度、デッキから妖怪族モンスター一体を墓地へ送る。私はデッキから、妖怪族『馬頭鬼(めずき)』を墓地へ送るわ。更に魔法カード『天使の施し』! デッキからカードを三枚ドローして、二枚を捨てる」

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:5→6

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:14→16

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:3→4

 

「そして、墓地へ送った『馬頭鬼』の効果! 墓地に眠るこいつをゲームから除外することで、墓地の妖怪族一体を蘇生する。墓地より蘇りなさい……『赤鬼』招来!」

 カミューラの目の前の地面から、ぞろりと妖しく赤い手が這い出てきた。

 手はやがて腕を伴い、腕はやがて肩を、胴体を伴う。

 そして、凶悪なる貌と、屈強な胴体と共に、金棒を持ったその存在はフィールドに立った。

 

『赤鬼』

 レベル7

 攻撃力2800

 

「宝札の効果で一枚ドロー!」

 

カミューラ

手札:4→5

 

 現れた『赤鬼』を見るや、翔はディスクに手を伸ばした。

「……『赤鬼』の召喚時、伏せカードオープン! 速攻魔法『速攻召喚』! 手札のモンスター『魔導騎士 ディフェンダー』を召喚!」

 

『魔導騎士 ディフェンダー』

 レベル4

 守備力2000

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:6→7

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:16→18

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:4→5

 

「ディフェンダーの召喚に成功した時、ディフェンダー自身に魔力カウンターを一つ置く」

 

『魔導騎士 ディフェンダー』

 魔力カウンター:0→1(MAX)

 

「あの見た目、それに効果。『魔導戦士 ブレイカー』と同じ……」

「でも、いくら魔力カウンターを貯めたって、破壊しちゃえば意味は無いわ。『赤鬼』の効果! こいつの召喚、特殊召喚に成功した時、手札のカードを任意の枚数墓地へ送ることで、その枚数分、場のカードを破壊するわ。私は三枚の手札を捨てる。そっちのモンスター、全部を破壊する!」

 

カミューラ

手札:5→2

 

「地獄の業火!」

 飛び上がった赤鬼が、口から火炎を放射する。地獄で燃え上がるその炎は翔のフィールドを包み込み、魔法使い族全てを呑み込んだ。

「……『魔導騎士 ディフェンダー』の効果! フィールドの魔法使い族モンスターが破壊される場合、一ターンに一度、破壊される魔法使い族一体につき一つ、自分フィールドの魔力カウンターを身代わりにする!」

「なっ!?」

「僕は『マジカル・コンダクター』から、魔力カウンターを三つ取り除く」

 

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:18→15

 

 ディフェンダーが巨大な盾を掲げた。と同時に、『マジカル・コンダクター』の周囲をたゆたう大量の光、うち三つが、それぞれ三体の魔法使いの前へ浮かぶ。

「マナ・ウォール!」

 三つの光は形を変え、光の壁となり、フィールドを包む地獄の業火を防いだ。

「またかわされた……バトル! 『赤鬼』で、『マジカル・コンダクター』を攻撃! 鬼火!」

 再び『赤鬼』の口から炎が噴き出す。それが緑色の聖女へと向かった。

「罠発動『和睦の使者』! このターン、自分のモンスターは戦闘では破壊されず、ダメージもゼロになる」

 聖女の前に、青色の修道女たちが立ち並ぶ。それが再び『赤鬼』の炎を妨げた。

「うぅ……これ以上は無理ね。私は二枚のカードを伏せる。ターンエンドよ」

 

 

カミューラ/マナ/ももえ

LP:1900

手札:0枚/5枚/2枚

場 :モンスター

   『赤鬼』攻撃力2800

   『牛頭鬼』攻撃力1700

   『キング・オブ・ビースト』攻撃力2500

   魔法・罠

    永続魔法『生還の宝札』

    セット

    セット

    セット

    セット

 

LP:4000

手札:0枚

場 :モンスター

   『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』攻撃力1400

   『マジカル・コンダクター』攻撃力1700

   『魔導騎士 ディフェンダー』守備力2000

   魔法・罠

    フィールド魔法『魔法都市エンディミオン』魔力カウンター:5

 

 

「攻撃力だけなら、こっちが上だけど……」

「そんなもの、翔さんには意味ありませんわ……」

 

「僕のターン、ドロー」

 

手札:2→3

 

「魔法カード『魔力掌握』! 効果はさっき説明した通りだ。『魔法都市エンディミオン』に魔力カウンターを一つ乗せる」

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:5→6

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:7→8

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:15→17

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:6→7

 

「その後、デッキから『魔力掌握』一枚を手札に加える。更に二枚目の『精神統一』も発動。デッキから『精神統一』のカードを手札に」

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:8→9

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:17→19

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:7→8

 

「さあ、ここで……墓地の『神聖魔導王 エンディミオン』の効果! 自分フィールドの『魔法都市エンディミオン』に乗った魔力カウンターを六つ取り除くことで、手札はまた墓地に眠るこのカードは特殊召喚できる!」

「墓地から!」

「前のターン、『天使の施し』の時に、ブラッド・マジシャンと一緒に……!」

「エンディミオンから、六つの魔力カウンターを取り除く……」

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:8→2

 

「現れよ! 『神聖魔導王 エンディミオン』!」

 魔力溢れる魔法都市から、一気に光があふれ出る。

 その光が収束し、翔の後ろに建つ、最も高い塔の頂上へと集まっていく。

 そうして生まれた光の中に立つ、黒いマント、背中に光輪、手には巨大な杖、そして、黒い衣装。それらを纏った、この魔法都市の王たる魔術師が君臨した。

 

『神聖魔導王 エンディミオン』

 レベル7

 攻撃力2700

 

「あれは……先ほどのプロ決闘者にトドメをさしたモンスターか……」

 

「エンディミオンが自身の効果で特殊召喚に成功したことで、墓地に眠る魔法カード一枚を手札に加えることができる。僕は墓地に眠る魔法カード『強欲な壺』を手札に加え、このまま発動! カードを二枚ドロー!」

 

手札:3→5

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:9→10

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:19→21

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:2→3

 

「続けて魔法カード『魔法石の採掘』! 手札のカード二枚、『精神統一』と『魔力掌握』を捨てることで、墓地の魔法カード『強欲な壺』を手札に加える」

 

手札:4→2→3

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:10→11

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:21→23

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:3→4

 

「もう一度、魔法カード『強欲な壺』!」

 

手札:2→4

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:11→12

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:23→25

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:4→5

 

「魔力カウンターが大変なことに……」

「まずいわよね、これ……」

 

「さあ……まずはブラッド・マジシャンの効果。このカードに乗った魔力カウンターを任意の数取り除くことで、取り除いた数の700倍の攻撃力以下のモンスター一体を破壊する。僕は四つのカウンターを取り除く」

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:12→8

 

「破壊するのは、攻撃力2800以下のモンスター、『赤鬼』だ!」

 前のターンと同じ光景。杖を掲げた煉獄の魔術師から、四つの輝きが消えると共に、その光に赤鬼が飲み込まれ、消滅した。

「そして、ブラッド・マジシャンの効果に回数の制限は無い。再び四つのカウンターを取り除く。対象は『キング・オブ・ビースト』だ!」

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:8→4

 

 みたび、同じ動作と光景。今度は、黒と黄色の獣の王が光に消える。

「最後だ。三つの魔力カウンターを取り除き、『牛頭鬼』を破壊!」

 

『ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-』

 魔力カウンター:4→1

 

「ぐぅ……!」

 

「あれだけのモンスターを一瞬で!」

「すごい! すごすぎますわー!」

 

 たった一体の下級モンスターによって、並べられた強力モンスターが全滅させられる。

 カミューラ達は苦悶し、ギャラリーたちは一気に沸く。

 

「続けて、『マジカル・コンダクター』の効果! このカードに乗った魔力カウンターを任意の数取り除くことで、取り除いた数と同じレベルの魔法使い族を、手札または墓地から特殊召喚する。僕は八つの魔力カウンターを取り除く」

 

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:25→17

 

「さあおいで……手札から特殊召喚、『氷の女王』!」

 再び緑色の聖女から、八つの光が浮かび上がる。それが集まったそこに、氷でできた杖と髪、真っ白なドレスに身を包む、冷たい女王が現れた。

 

『氷の女王』

 レベル8

 攻撃力2900

 

「攻撃力2900!?」

「まだだよ。ブラッド・マジシャンを生贄に捧げ、『カオス・マジシャン』を召喚!」

 

『カオス・マジシャン』

 レベル6

 攻撃力2400

 

『神聖魔導王 エンディミオン』

 攻撃力2700

『氷の女王』

 攻撃力2900

『カオス・マジシャン』

 攻撃力2400

『マジカル・コンダクター』

 攻撃力1700

『魔導騎士 ディフェンダー』

 守備力2000

 

「こっちを全滅させておいて、フィールドをモンスターで一気に……!」

「さすが、翔さん……」

「非常にまずいですわ……」

 

「ねえ、カミューラ」

「ん?」

「僕はいつだって君の……君たちの味方だ。君の身も心も、これ以上死んでしまう心配なんてしなくていい。あの時と同じように、僕が君たちを守ってみせるんだから。もうこれ以上、君が復活を望む必要は、無いんだよ」

「……」

「だからお願い。今の僕を受け入れて……バトル! 『神聖魔導王 エンディミオン』で、ダイレクトアタック!」

 中心に立つ魔導王が、巨大な杖を掲げ、浮かび上がる。

 背の光輪が煌めき、マントを揺らめかせ、輝く巨大な杖の宝玉から、そのエネルギーが発射される……

 

「ディヴァイナリー・ジャッジメント!!」

 

 膨大な魔力が三人を呑み込まんと、輝きをますます強め、三人に向かう……

 

「ごめんなさい、翔……罠発動『百鬼夜行』!」

「え……!」

「墓地に眠る妖怪族を、可能な限り特殊召喚する。来なさい! 私の墓地の妖怪達!」

 

『牛頭鬼』

 レベル4

 守備力800

『陰摩羅鬼』

 レベル4

 守備力1000

『カラス天狗』

 レベル4

 守備力1200

『九尾の狐』

 レベル6

 攻撃力2200

『赤鬼』

 レベル7

 攻撃力2800

 

「『牛頭鬼』と『赤鬼』の効果で、これだけの妖怪族を……!」

「そう……まずは『生還の宝札』の効果! 墓地からモンスターが特殊召喚されたことで、カードを一枚ドローする。特殊召喚されたのは五体だけど、蘇生は同時だから、ドローするカードも一枚よ」

 

カミューラ

手札:0→1

 

「続けて、甦った妖怪達の効果! 『赤鬼』、『カラス天狗』、『陰摩羅鬼』の順にチェーン処理よ! まずはチェーン3、『陰摩羅鬼』の効果! このカードが墓地から蘇った時、カードを一枚ドローするわ!」

 

カミューラ

手札:1→2

 

「次にチェーン2、『カラス天狗』の効果! このカードが蘇ったことで、相手フィールドのモンスター一体を破壊する。対象は『神聖魔導王 エンディミオン』、妖怪退治!」

 カラス天狗が芭蕉扇を振るい、そこからの風が、エンディミオンを切り裂いた。

 

「……え? 破壊された? 『魔導騎士 ディフェンダー』の効果があったのに……」

 

「そして最後に、チェーン1、『赤鬼』の効果! 手札一枚を捨てることで、フィールドのカード一枚、『氷の女王』を破壊! 地獄の業火!」

 『赤鬼』の口からの地獄の業火が、氷から成る女王を飲み込み、融かし、破壊した。

「……自分フィールド上の『氷の女王』が破壊された時、自分の墓地の魔法使い族が、このカードを含めて三体以上の場合、自分の墓地の魔法カード一枚を手札に加える。僕は墓地から、『強欲な壺』を手札に加える!」

 

手札:2→3

 

「ディフェンダーの効果で、モンスターを守らなかった理由はそれか……」

 

 梓が納得している間に、翔は、フィールドを見て考えた。

(『百鬼夜行』の効果で特殊召喚されたモンスターは、このターンのエンドフェイズに破壊される。けど、『九尾の狐』は破壊された時、フィールドに二体の狐トークンを残す。それで次のマナに繋げる気だろうけど、そうはさせない……!)

 

「バトルを続行する! 『カオス・マジシャン』で、『九尾の狐』を攻撃!」

 杖を持った緑色の光の魔術師が、巨大な九つの尾に向かって走った。

「カミューラ! 私のカードを!」

「ええ! 罠発動『ライジング・エナジー』!」

「そのカードは……!」

「手札を一枚捨てることで、このターン、モンスター一体の攻撃力を1500ポイントアップさせる。対象は当然、『九尾の狐』!」

 

『九尾の狐』

 レベル6

 攻撃力2200+1500

 

「迎え撃て、『九尾の狐』! 九尾槍!!」

 向かっていったカオスの魔術師に対し、狐は巨大な尾を向ける。

 硬く、鋭利に伸びた九尾は一つ残らず、魔術師の身を貫いた。

 

LP:4000→2700

 

「うぅっ……バトル終了。僕は魔法カード『強欲な壺』発動! カードを二枚ドロー!」

 

手札:2→4

 

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:17→19

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:5→6

 

「魔法カード『成金ゴブリン』! 相手ライフを1000回復して、カードを一枚ドローする」

 

カミューラ/マナ/ももえ

LP:1900→2900

 

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:19→21

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:6→7

 

「もう一度、『魔法都市エンディミオン』から魔力カウンターを六つ取り除いて、墓地の『神聖魔導王 エンディミオン』を特殊召喚!」

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:7→1

 

『神聖魔導王 エンディミオン』

 レベル7

 攻撃力2700

 

「この効果で特殊召喚に成功したことで、墓地の『強欲な壺』を手札に。そして、発動!」

 

手札:3→5

 

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:21→23

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:1→2

 

(『強欲な壺』……なんだか一瞬、えらく疲れた顔を見せたような気が……)

 

「手札がちっとも減らないわね……」

「少なくとも、魔法カードの扱いが以前より格段に上手くなっていますわ」

「翔さん……」

 

「……僕はカードを四枚伏せる。これでターンエンド」

「ならこの瞬間、『百鬼夜行』の効果で特殊召喚された妖怪族を全て破壊。そして、『九尾の狐』が破壊されたことで、『狐トークン』二体を特殊召喚するわ」

 

『狐トークン』トークン

 レベル2

 守備力500

『狐トークン』トークン

 レベル2

 守備力500

 

 

LP:2700

手札:1枚

場 :モンスター

   『神聖魔導王 エンディミオン』攻撃力2700

   『マジカル・コンダクター』攻撃力1700

   『魔導騎士 ディフェンダー』守備力2000

   魔法・罠

    セット

    セット

    セット

    セット

    フィールド魔法『魔法都市エンディミオン』魔力カウンター:2

 

カミューラ/マナ/ももえ

LP:2900

手札:0枚/5枚/2枚

場 :モンスター

   『狐トークン』守備力500

   『狐トークン』守備力500

   魔法・罠

    永続魔法『生還の宝札』

    セット

    セット

 

 

「ああ、もうちょっとだったのに……」

「ファイトですわー!」

「そんな三人組、けちょんけちょんにしちゃって下さーい!」

 

「黙れ」

 

『……』

 

「最後は私ですね。私のターン!」

 

マナ

手札:5→6

 

「マナ……」

「……」

「戻ってきなよ。僕の元へ」

「……」

「分かってる。離れろって言ったのは僕だし、デッキまで落としたままにした。君には、とてもひどいことしたって思ってる。心から、悪かったと思ってる……けど、君と、君たちと離れたから気付けたんだ。僕がどうあるべきだったか。そして、そのための力を、僕は手に入れることができたんだよ」

「……」

「今の僕を見て? 今の僕は、初めて君と出会った時や、初めて君と一緒に闘ったときよりも、ずっと強いでしょう? 今までの僕より、ずっとずっと君にふさわしい男になった。僕は君にとって、最高のパートナーになった。そうだろう?」

「……すみません。今の翔さんはハッキリ言って、私にふさわしくありません」

「……! そ、そんな……っ」

 

「行きます! 手札の『ジェスター・コンフィ』を、攻撃表示で特殊召喚!」

 

『ジェスター・コンフィ』

 レベル1

 攻撃力0

 

「続けて『熟練の黒魔術師』を召喚!」

 

『熟練の黒魔術師』

 レベル4

 攻撃力1900

 

「更に魔法カード発動『二重召喚(デュアルサモン)』! このターン、二度の通常召喚を行います。魔法カードが発動されたことで、『熟練の黒魔術師』に一つ、魔力カウンターが乗ります!」

 

『熟練の黒魔術師』

 魔力カウンター:0→1

 

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:23→25

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:2→3

 

「私は『ジェスター・コンフィ』生贄に捧げ、『魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)』を召喚!」

 

魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)

 レベル5

 攻撃力2000

 

「この際です。開き直ってこっちもどんどん行きましょう! 魔法カード『トゥーンのもくじ』! デッキから、『トゥーン』カード一枚を手札に加えます。デッキから二枚目の『トゥーンのもくじ』を手札に! 魔法カードが発動したことで、この二体にも魔力カウンターが一つずつ乗ります」

 

『熟練の黒魔術師』

 魔力カウンター:1→2

『魔法の操り人形』

 魔力カウンター:0→1

 

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:25→27

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:3→4

 

「え、トゥーン?」

「今、トゥーンって言った?」

「トゥーンって確か、ペガサス会長だけが持ってる幻のカードのはずじゃ……」

 

「……どうかお気になさらず」

 

『……』

 

「二枚目の『トゥーンのもくじ』発動! デッキから三枚目の『トゥーンのもくじ』を手札に。三枚目も発動! デッキからトゥーンモンスター『トゥーン・ブラック・マジシャン・ガール』を手札に加えます!」

 

『熟練の黒魔術師』

 魔力カウンター:2→3(MAX)

『魔法の操り人形』

 魔力カウンター:1→3

 

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:27→31

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:4→6

 

「続けて魔法カード『天使の施し』を発動! カードを三枚ドローして、二枚を捨てます」

 

『魔法の操り人形』

 魔力カウンター:3→4

 

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:31→33

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:6→7

 

「ここで、『熟練の黒魔術師』の効果! 魔力カウンターが三つ乗ったこのカードを生贄に捧げ、手札、デッキ、墓地に存在する『ブラック・マジシャン』を特殊召喚します。私は墓地の、『ブラック・マジシャン』を特殊召喚!」

 

『ブラック・マジシャン』

 レベル7

 攻撃力2500

 

「『病院へ行け(グリーン)』ですか……」

 

「墓地から特殊召喚されたことで、『生還の宝札』の効果で一枚ドロー」

 

マナ

手札:2→3

 

「更に魔法カード発動『闇の誘惑』! カードを二枚ドローして、手札の闇属性モンスター『トゥーン・ブラック・マジシャン・ガール』を除外します」

 

『魔法の操り人形』

 魔力カウンター:4→5

 

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:33→35

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:7→8

 

「ただ好みで入れてたわけじゃなかったわけね」

「当然です!」

「けど、どうせコストにするならやはり、同じ魔法使い族で、いざという時に通常召喚できる『トゥーン・仮面魔道士』の方が……確か、『トゥーン・ブラマジガール』は『トゥーン・ワールド』が無いと場にも出せませんし……」

「細かいことは良いんです! 更に魔法カード発動『強欲な壺』! カードを二枚ドローします!」

 

マナ

手札:3→4

 

『魔法の操り人形』

 魔力カウンター:5→6

 

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:35→37

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:8→9

 

「これで準備は整いました……『魔法の操り人形』の効果! このカードに乗った魔力カウンターを二つ取り除くことで、フィールド上のモンスター一体を破壊します。この効果で私は、『神聖魔導王 エンディミオン』を破壊、マジカルストリングベール!」

 

『魔法の操り人形』

 魔力カウンター:6→4

 

 マリオネットの身から、二つの光が浮かび、消える。それを合図に、マリオネットの操者が姿を現し、その指から糸を伸ばす。それが魔導王の身を縛り付けた。

「『魔導騎士 ディフェンダー』の効果! 『マジカル・コンダクター』の真力カウンターを一つ使って、その破壊から守る!」

 

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:37→36

 

「けど、その効果は一ターンに一度。マリオネットはあと二回、この効果を使用できます! 私はこの効果を二回使い、エンディミオンと、『魔導騎士 ディフェンダー』を破壊します!」

 

『魔法の操り人形』

 魔力カウンター:4→2→0

 

 二度目、三度目の糸は防がれることなく、二体の魔法使いを絡め取り、縛り付け、細切れにした。

「……っ、『魔法都市エンディミオン』の最後の効果! 魔力カウンターを持つカードが破壊された時、そのカードに乗っていた魔力カウンターをこのカードに乗せることができる。『魔導騎士 ディフェンダー』に乗っていた魔力カウンター一つを、『魔法都市エンディミオン』に!」

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:9→10

 

「構いません! このまま一気に行きます! 私は二体の妖怪族『狐トークン』を生贄に、墓地の『九尾の狐』を特殊召喚! 『生還の宝札』の効果で、一枚ドロー」

 

『九尾の狐』

 レベル6

 攻撃力2200

 

マナ

手札:4→5

 

「そして私も、魔法カード『死者蘇生』発動! 墓地に眠るモンスター『モジャ』を特殊召喚! 宝札の効果で、一枚ドロー」

 

『モジャ』

 レベル1

 守備力100

 

マナ

手札:4→5

 

『魔法の操り人形』

 魔力カウンター:0→2

 

『マジカル・コンダクター』

 魔力カウンター:36→38

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:10→11

 

「そして、『モジャ』を生贄に、墓地の『キング・オブ・ビースト』を特殊召喚! 宝札の効果で一枚ドロー!」

 

『キング・オブ・ビースト』

 レベル7

 攻撃力2500

 

マナ

手札:5→6

 

「速攻魔法発動『ディメンション・マジック』! 自分の場に魔法使い族が存在する時、私の場の『魔法の操り人形』を生贄に、手札の『ブラック・マジシャン・ガール』を特殊召喚!」

 

『ブラック・マジシャン・ガール』

 レベル6

 攻撃力2000

 

『あいええええええええええええ!?』

 

「『ブラック・マジシャン・ガール』? 『ブラマジガール』!? なんで?」

「あれって確か、カイザーの弟の奴が使ってたカードのはず……」

「世界に一枚しかないカードを、なぜあの娘が……?」

 

「まあまあ……どうかお気になさらず」

 

『……』

 

「その後、フィールドのモンスター一体を破壊します。翔さんのフィールドの最後のモンスター『マジカル・コンダクター』を破壊します!」

 マリオネットを飲み込んだ棺が、今度は翔のフィールドに現れる。それが、『マジカル・コンダクター』を納め、消えていった。

「……破壊された『マジカル・コンダクター』の魔力カウンター全てを、『魔法都市エンディミオン』に乗せる」

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:11→49

 

「そして、『ディメンション・マジック』の発動分の魔力カウンターがエンディミオンに乗る」

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:49→50

 

「まだまだです! 速攻魔法『光と闇の洗礼』! 私の場の『ブラック・マジシャン』を生贄に、自分の手札・デッキ・墓地に存在する『混沌の黒魔術師』を特殊召喚します!」

 闇の力を司る、黒き最上級魔術師が光と消える。そしてそこから、新たに混沌を司る、黒き最上級魔術師が現れた。

 

『混沌の黒魔術師』

 レベル8

 攻撃力2800

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:50→51

 

「墓地に『ブラック・マジシャン』が存在することで、『ブラック・マジシャン・ガール』の攻撃力も300アップ!」

 

『ブラック・マジシャン・ガール』

 レベル6

 攻撃力2000+300

 

「そして、『混沌の黒魔術師』の効果! 墓地の魔法カード『死者蘇生』を手札に。そしてまた、発動! 召喚するのは、『赤鬼』です!」

 

『赤鬼』

 レベル7

 攻撃力2800

 

マナ

手札:4→5

 

「特殊召喚された『赤鬼』の効果! 手札を任意の枚数、墓地へ送り、その数だけフィールド上のカードを破壊します! 私は、手札の『ブラック・マジシャン』二枚を墓地へ送り、そちらの場の伏せカードを二枚、破壊します!」

 

マナ

手札:5→3

 

「地獄の業火!」

 みたび、吐き出される巨大な獄炎。それが翔のフィールドを包み込み、伏せカード二枚を飲み込んだ。

「まだ伏せカードは二枚残ってますが……ここまでですね」

 

『ブラック・マジシャン・ガール』

 攻撃力2000+300×3

『混沌の黒魔術師』

 攻撃力2800

『赤鬼』

 攻撃力2800

『九尾の狐』

 攻撃力2200

『キング・オブ・ビースト』

 攻撃力2500

 

「やっべー……すげーぜ、あの大量展開……」

「あいつが誰だか知らねーけど、こりゃあもう、無理だな……」

 

「そんな……ここまで来て……」

「え? あの三人に負けちゃうの?」

「そんなの、いやー!」

 

 ギャラリー達の、様々な声が響く中で、マナは、その宣言を行う。

「バトルです! 『ブラック・マジシャン・ガール』で、翔さんに、ダイレクトアタック!」

 自身のフィールドに立つ、マナ自身が走り抜く。

 マナは今、そのモンスターに宿っていない。それでも、気持ちはマナと同じ。

 昨日まで自分と共に戦ってくれた、最愛にして、最高のパートナーへ向かって……

「この一撃で、目を覚ましてください! 翔さん! 黒・魔・導・爆・裂・波(ブラック・バーニング)!!」

 三人の師匠の魂を受け継いだ、弟子の攻撃。それが、翔へ放たれ……

 

「罠発動『つり天井』!」

 

 攻撃が放たれようとした瞬間、『ブラック・マジシャン・ガール』を、モンスター達を、巨大な影が覆った。

 真上を見上げた時、そこには、美しい魔法都市を照らす太陽を遮る、巨大な四角形が見えた。

「フィールド上にモンスターが四体以上存在する時、フィールド上の表側表示のモンスター全てを破壊する」

「そんな!?」

 翔の説明。マナの悲鳴。それらがコダマするフィールドへ、無慈悲な四角形が振り下ろされる。

 全てのモンスターはそれに潰され、破壊された。

 

「くぅ……フィールドを離れた『混沌の黒魔術師』はゲームから除外され、バトル終了です。メインフェイズ、魔法カード『魂の解放』! 互いの墓地に眠るモンスターを五体まで選択し、ゲームから除外します。私は墓地の、『ブラック・マジシャン・ガール』、『ブラック・マジシャン』、『九尾の狐』、『キング・オブ・ビースト』の四体を除外。そして、ライフ2000ポイントをコストに、魔法カード『次元融合』を発動!」

 

マナ/ももえ/カミューラ

LP:2900→900

 

「お互いにゲームから除外されたモンスターを、自分フィールドに可能な限り特殊召喚します! 翔さんには、ゲームから除外されたモンスターは無し。私達は、五体のモンスターを特殊召喚します!」

 残りライフを代償に、発動された最後のカード。

 三人のフィールドが光り、全てのモンスターゾーンから、五体のモンスターが並び立った。

 

『ブラック・マジシャン・ガール』

 レベル6

 攻撃力2000+300×2

『ブラック・マジシャン』

 レベル7

 攻撃力2500

『混沌の黒魔術師』

 レベル8

 攻撃力2800

『キング・オブ・ビースト』

 レベル7

 守備力800

『九尾の狐』

 レベル6

 守備力2000

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:51→53

 

「『混沌の黒魔術師』が特殊召喚されたことで、墓地の魔法カード、『強欲な壺』を手札に。そしてこのまま、発動!」

 

マナ

手札:1→3

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:53→54

 

「このカードは……!」

 引いたカードを凝視し、同時に勝機を確信した。

「このカードは通常召喚できず、自分フィールドのレベル6以上の魔法使い族モンスター二体を生贄に捧げた場合のみ、特殊召喚できます」

「その召喚条件は、まさか……!?」

「あなたは、重いからとデッキには入れませんでしたが……ここで使います。『ブラック・マジシャン』、『混沌の黒魔術師』を生贄に捧げ、特殊召喚! 『黒の(マジック・ハイ)魔法(エロファント・)神官(オブ・ブラック)』!」

 光と消える二体の最上級黒魔族。

 その二人の魂を糧に、現れる新たな黒魔術師。

 これまでのどの黒魔族よりも黒く、だが誰よりも強大な魔力を纏う者。

 全ての黒魔族が目指す頂。紛れも無い黒魔族の頂点。

 神官(ハイエロファント)の称号を冠することを許された、最上にして、最強の黒魔術師。その名は……

 

黒の(マジック・ハイ)魔法(エロファント・)神官(オブ・ブラック)

 レベル9

 攻撃力3200

 

「攻撃力3200……!」

「翔君、こんなモンスターも持っていたのですか……」

「効果は知っていますよね? 『黒の魔法神官』が存在する限り、罠カードが発動した時、その発動を無効にし、破壊することができます」

「……」

「これでもう、あなたは罠カードで身を守ることもできません! 私は二枚のカードを伏せて、ターンエンド」

 

(そして、次の翔さんのターンの開始時、この決闘、私達の勝ちです……!)

 

 

マナ/ももえ/カミューラ

LP:900

手札:0枚/2枚/0枚

場 :モンスター

   『黒の魔法神官』攻撃力3200

   『ブラック・マジシャン・ガール』攻撃力2000+300×3

   『キング・オブ・ビースト』守備力800

   『九尾の狐』守備力2000

   魔法・罠

    永続魔法『生還の宝札』

    セット

    セット

    セット

    セット

 

LP:2700

手札:1枚

場 :モンスター

    無し

   魔法・罠

    セット

    フィールド魔法『魔法都市エンディミオン』魔力カウンター:54

 

 

「……」

 

「……え、翔さん?」

 目の前の翔を見て、三人ともが目を見開いた。

 美白し、身も、心も別人と化した、三人にとっての愛しい人。

 そんな男の両の目から、涙が流れ落ちている。

 

「……どうして? ねぇ、どうして? 一体、今の僕の何が不満なの?」

「……っ」

「僕は強くなった……三人のこと守れるように……三人のこと、幸せにできるように、強くなった。三人のためなら、斎王様に忠誠を誓ってでも、強くなろうって、思ったのに……」

「え……!」

 

「翔さん……まさかあなた、自分から白の結社に……?」

 

「……」

 梓の問いかけには答えない。だが、その沈黙が、その目が、真実を雄弁に物語っている。

「それだけのことをして、なのに、君たちが受け入れてくれないんじゃ……僕が頑張った意味なんて、何も無いじゃないか……」

「翔君……」

「翔、違うわよ。私達は……」

 

「もういい……」

 泣き顔のまま、翔は言葉を中断した。

 全てを諦め、絶望し、ただ、目の前の事に取り組むために……

「君達がそばにいないんじゃ、何の意味も無い……もう、全部終わらせる。終わらせて、僕は君たちの前から消えるよ」

 

「しょ、翔君!?」

「何を言って……!」

 

「僕のターン、ドロー」

 

手札:1→2

 

(いけない! この決闘、何としても勝たなければ……!)

「この瞬間、罠カード発動『魔力枯渇』! フィールド上に存在する魔力カウンター、全てを取り除きます!」

 フィールドに、真っ黒な霧が漂い始めた。

 光り輝く魔法の世界、全てを飲み込み、覆い隠すため。

 その暗闇で全ての光、全ての魔力を消すために……

 

「……言ったろう? お見通しだ。カウンター罠発動『神の宣告』!」

 

LP:2700→1350

 

 霧が全てを包もうとした瞬間、その霧が、内側から四散し、消滅した。

 後に残ったのは、従来通りの、溢れる魔力に光り輝く魔法の世界。

「これはカウンター罠だ。『黒の魔法神官』の効果で無効にするには、スペルスピードが足りないよ」

「そ、そんな……!」

「仮にも、パートナーと闘うんだ。君が対策してきそうな、魔力カウンターにとって天敵のカードを、僕が忘れていると思っていたのかい?」

「うぅ……っ」

 必殺の、逆転のカードをかわされて、それでも心を静め、フィールドを見渡す。

 

(落ち着け……まだ、大丈夫。まだ、罠カード一枚をかわされただけ。仮に新たにモンスターを呼び出されても、こちらにはももえさんの伏せた罠カード『立ちはだかる強敵』がある。『黒の魔法神官』を対象に発動すれば、翔さんは『黒の魔法神官』以外攻撃できないうえ、全てのモンスターで攻撃しなくちゃいけなくなる。『黒の魔法神官』の攻撃力は3200。それを超えるモンスターは、そういないはず……)

(それに、何かしらのカード効果でモンスターを全滅させられても、『九尾の狐』は破壊されれば二体の『狐トークン』を呼び出す。それすら封じられたとしても、このカードはカミューラさんの罠カード『もののけの巣くう(ほこら)』。自分フィールドにモンスターが存在しない時、墓地の妖怪族一体を特殊召喚できるカード……これだけの伏せカードがあれば……!)

 

「このターンは凌げる……そう思ってるね?」

「翔、さん……?」

 考えていたことを言い当てられながら、マナはフィールドから、翔に目を向ける。

「けど、それはきっと、無理だよ……マナは知ってるでしょう? 魔力カウンターの必殺のカードを」

「必殺の、カード……?」

 その時、マナは思わずその身を固めた。

 ジェネックス中、翔と二人でデッキを組んでいた時。デッキを強化するために、あらゆる魔法使い族や魔法カード、特に、魔力カウンター関連やそれを活かすためのカードのことは、二人で何枚も調べ、研究もした。

 そうやってカードを手に入れ、デッキを組んでいるうち、使えるカードはデッキに入れるが、当然、デッキに組み込むのは無理だと判断したカードは大量にあった。

 さっきマナが言ったように、召喚条件が重く、効果もそれに見合っているとは言い難い、モンスターカード『黒の魔法神官』。

 メタとしても限定的すぎて、おまけに自分にまで被害が及ぶ、罠カード『魔力枯渇』。

 そしてもう一枚。効果は強力だが、発動条件を満たすのが大変だからと、デッキには入れずにおいたカード……

 

「魔法カード発動『メガトン魔導キャノン』!!」

 

 そのカードの発動に、マナと梓は驚愕した。

 ももえとカミューラは何か分かっていない中、効果が説明される。

「自分フィールドの魔力カウンターを十個取り除いて発動! 相手フィールドのカードを全て破壊する!」

「こっちのカード全て!?」

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:54→44

 

 翔の目の前に、巨大な大砲が現れた。魔力を糧にエネルギーを発射する、古の技術で作られた兵器。

 その大砲の中央。漆黒のパワーストーンが、魔法都市に満ちるエネルギーを吸い取る。

 パワーストーンに輝きが満ち、その輝きはやがて、正面の砲身、その中の円へ満ちていく。それが限界まで達した瞬間、その輝きが、目の前へ一気に放出された。

 

「きゃああああああああ!!」

「ううぅあああああああ!!」

「やあああああああああ!!」

 

「あ……」

 全てを消し去るエネルギー。その衝撃に吹き飛んだ三人に、翔は思わす声を出す。

 だが、すぐにでも走り出したいその足を止めた。

 だって、今の僕は、三人にはもう……

 

「……破壊された『九尾の狐』の効果! 『狐トークン』二体を特殊召喚!」

 

『狐トークン』トークン

 レベル2

 守備力500

『狐トークン』トークン

 レベル2

 守備力500

 

「更に、破壊された私の罠カード『呪われた棺』の効果! 相手は手札一枚をランダムに捨てるか、自分フィールドのモンスター一体を選択して破壊するか、どちらかの効果を選んで発動する!」

「僕の場にモンスターはいない。手札のこの一枚を墓地へ捨てる。」

 

手札:1→0

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:44→45

 

「……『魔法都市エンディミオン』の魔力カウンターを六つ取り除き、墓地の『神聖魔導王 エンディミオン』を特殊召喚する!」

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:45→39

 

『神聖魔導王 エンディミオン』

 レベル7

 攻撃力2700

 

「エンディミオンがこの効果で特殊召喚されたことで、墓地の『強欲な壺』を手札に。そしてそのまま発動する」

 

手札:0→2

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:39→40

 

「……どうにか『狐トークン』は残ったわね」

「これで、このターンはどうにか……」

 

 だが、そんな彼女らの思いとは裏腹に、翔は手札のカードを取る。

「魔法カード発動! 『メガトン魔導キャノン』!!」

 

「なっ! 二枚目!?」

「そんな……!?」

 

「……仕方ないじゃないか」

 再び驚愕する三人に向かって、翔は、涙ながらに叫び続けた。

「君たちが、僕をいらないって言うのなら、僕はもう、何もかも無くすしかないじゃないか! 僕にはもう、何も残らないじゃないか!? こうする以外に、できることなんて無いじゃないか!!」

 

「翔君……」

「翔……」

「翔さん……」

 ただ、三人のことが愛おしい。翔の気持ちは、ただのそれだけ。

 それが、形はどうあれ否定され、ダメになった以上、もう、何もかも無くすしかない……

 そんな沈痛な翔の気持ちを、三人は、確かに感じた。

 それだけの悲しみを、再び目の前に現れた、古の破壊兵器に込めていることも……

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:40→30

 

 その巨大なエネルギーは、二体の『狐トークン』だけでなく、三人の決闘者だけでなく、その三人に向けてきた愛情。それさえ一緒に吹き飛ばしたように感じた。

 

『魔法都市エンディミオン』

 魔力カウンター:30→31

 

「ももえさん……カミューラ……マナ……バトル。エンディミオンで、ダイレクトアタック……」

 涙を拭い、悲しみを拭いながらの宣言に従った、魔導王の一撃。

 それが、三人の女たちに、ぶつけられた。

 

マナ/ももえ/カミューラ

LP:900→0

 

 

「大丈夫ですか?」

 吹き飛んだ三人の仲間に、梓が近づき、呼びかける。

『……』

 だが三人ともが、何も言えないままでいた。

 三人の視線の先。三人が愛した小さな少年は、彼らの事情など知ったことではない女子生徒達に囲まれて、笑い合い、イチャついていた。

「三人への思いの強さゆえ、三人を忘れるために退ける……皮肉ながらも悲しきことよ」

「梓さん……」

「分かっております」

 ももえの呼びかけに応えながら、三人に、安堵を与えるための笑顔を向けた。

「後はお任せ下さい。アズサも、良いですね?」

『もっちー。いつでも準備オッケーだよ』

「彼は私が……あなた方にとって、彼が大切な恋人であるのと同じように……」

 三人に笑顔を向けた後は、翔へ、顔を向ける。

 

「私にとっても、翔さんは大切ないもう……友達ですから」

 

(妹ね……!)

(妹ですわね……!)

(妹って言おうとしたわね……!)

(妹さんだったんですね……!)

 

 梓が危うく言いかけた言葉を、アズサも含めた四人が反応したのと同時に。

 梓は翔へ向かって、足を踏み出し……

「……(つう)っ!」

 

「待て」

 

 唐突な、左手首への激痛。と同時に、歩き始めたその肩に、手が置かれた。

「あなたは……亮さん?」

 

 

 

 




お疲れ~。

貯まりに溜まった大量の魔力カウンター、使いどころが思ってた以上に皆無だった……
『魔導獣』か、せめて『アーカナイト・マジシャン』でも使えりゃあなぁ。無理なんだけど……


つ~わけで、今回も(主にカミューラのせいで)たくさん紹介するから、興味ない人は飛ばしとくれなー。



『陰摩羅鬼』
 レベル4
 闇属性 妖怪族
 攻撃力1200 守備力1000
 このカードが墓地から特殊召喚成功した時、このカードのコントローラーはデッキからカードを1枚ドローする。

 漫画版GXにて、三沢が使用。
 とにかく蘇生さえさせりゃあ1ドロー。妖怪族なら一度に何体も出せることあるから、一度にたくさん出せば大量ドローも可。
 普通に便利なカードですわな。


『カラス天狗』
 レベル4
 風属性 妖怪族
 攻撃力1400 守備力1200
 このカードが墓地から特殊召喚に成功した時、相手フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する。

 同じく、三沢が使用。
 シンプルな単体除去カード。言いたいことは上の『陰摩羅鬼』とほぼ同じ。
 便利。


『百鬼夜行』
 通常罠
 自分の墓地に存在する妖怪族モンスターを可能な限り特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したモンスターはこのターンのエンドフェイズ時に破壊される。

 当然、三沢が使用。
 上手いこと自分のターンに発動できれば、一気にゲームエンドに持っていける爆発力がある。
 おまけに上の二枚みたいな蘇生時効果もあるから、組み合わせりゃすごいことになる。
 妖怪族デッキなら三枚必須かな?



以上。前回は全部地属性にしてたけど、OCG化した『九尾の狐』が炎属性になってたから、大海のイメージで変更してみますた。
まあ、妖怪族デッキじゃ、あんま意味ないろうから、大丈夫じゃないかな多分?

んじゃ、お次は原作効果~。



『牛頭鬼』
 妖怪族
 1ターンに1度、自分のデッキから妖怪族モンスター1体を墓地に送る事ができる。

 無論、三沢が使用。
 墓地へ送るのはアンデット族でなく妖怪族。でもって、二つ目の効果は無くなっとります。漫画じゃあ無かったから。
 これも妖怪族なら必須レベルですわな。OCGに比べりゃあ見劣りするけれど、当時としても便利な効果だなぁ。


『馬頭鬼』
 妖怪族
 墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、自分の墓地から妖怪族モンスター1体を特殊召喚する。
 この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できず、相手ターンでも発動できる。

 そらぁ、三沢が使用。
 特殊召喚できるのがアンデット族でなく妖怪族。
 でもって、墓地に送られたターンに発動できないけれど、代わりに相手ターンにも効果が使えます。

 ……せやから、実際には作中みたいな動きはできないんだよ、本当は。
 そのこと完っ全に忘れて、OCGと同じ効果で書き上げてしまって、修正が不可になっちゃいました。
 ごめんなさい……
 今に始まったことじゃないが、ごめんなさい……


『九尾の狐』
 妖怪族
 自分フィールドの妖怪族モンスター2体を生贄に捧げて発動する。
 自分の墓地に存在するこのカードを特殊召喚する。
 フィールド上に存在するこのカードが破壊された時、「狐トークン」(妖怪族・炎・星2・攻/守500)2体を自分フィールド上に特殊召喚する。
 このカードが墓地からの特殊召喚に成功した時、以下の効果を得る。
 ●このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 まぎれもなく、三沢が使用。
 妖怪族なことと、二体生贄で特殊召喚が墓地限定になったこと。それ以外は特に変更なし。
 『狐トークン』も、OCGに合わせて以前と変更しとりますゆえ。


『赤鬼』
 妖怪族
 このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、自分の手札を任意の枚数墓地に送る事で、その枚数分だけフィールド上に存在するカードを破壊する。

 しつこいようじゃが、三沢が使用。
 召喚だけでなく特殊召喚にも対応。バウンスでなく破壊。
 こっちのが若干強いです。種族は限定されちまうけど。


『もののけの巣くう祠』
 通常罠
 自分フィールドにモンスターが存在しない場合、墓地に存在する妖怪族モンスター1体を対象として発動できる。
 そのモンスターを特殊召喚する。

 意地でも三沢が使用。
 OCGでの②の効果は無くなっとります。代わりに回数制限が無くなって、しかも、相手墓地の妖怪族も呼べるっぽいです。
 ただまあ、OCGと比べりゃ汎用性は落ちますわな……



以上。
書いてて何となく、全部OCG仕様のアンデット族に変更したらどうなるか、書いてみたいとも思う今日この頃……
妖怪族の意味無くなるから書かないと思うが。

とりあえず、今まで通り二回紹介したカードは、次からは紹介無しで行きますでな。
次があるかは分からんが……


こんな感じで、各々のエースモンスターと一緒に、壺がめちゃくちゃ頑張るお話でした~。
次に頑張るのは誰になることか……

ご興味あらば、ちょっと待ってて。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。