まあタイトルからも分かるように、かんなり季節外れの話ではありますが、執筆及び投稿当時の時期の都合なのでお許し下さいな。
ちなみに書いた動機としては、他作品でもよく書かれてたので、大海も書きたくなったことが主な理由です。
本編を待ってくれている人には申し訳ないのですが、できればこれも楽しんで下さいな。
てなわけで、行ってらっしゃい。
視点:梓
「罵煉汰陰泥……」
いつものように数人の女子に囲まれ、話題に上ったのはそんな言葉でした。
「何ですか? その聞くからに恐ろしげな催しは……」
そんなものが明日行われると言われると、不安になってきます。明日は寮の自室で大人しくしておくべきでしょうか……
「『でい』ではありませんよ梓さん。『デー』、『バレンタインデー』です」
「ばれんたいんでえ……」
何やら心配そうに言い直した言葉を、私も再び復唱します。
「梓さんはご存知ありませんでしたか?」
「ええ……そう言えば、中学時代は二月のこのくらいの時期になると、周囲の生徒達は一様にそわそわしていたような気がします」
話し相手が皆無であったので、なぜかは聞いても教えて頂けませんでしたが。
実際、現在も周囲の生徒達は似たような行動を取っていますね。
「その、『ばれんたいんでえ』とやらは、どのような催しなのですか?」
「簡単に説明すると、好きな異性にプレゼントを贈る日です」
ガタッ
「なん……だと……」
あまりの衝撃に、思わず立ち上がってしまった……
好意を寄せる異性への贈り物。それを公認されている日というのが、存在していたのですか……?
「梓さん……?」
「詳しく教えて下さい!!」
最も近くにいた女性の両肩を取り、顔を近づけました。
「お、お教えしますから、少し距離を……//////」
なぜか顔が赤くなっていますが、それはともかく言われた通り顔を下げました。
……
…………
………………
視点:外
放課後になり、梓は寮の自室へと戻り、聞いた話しをまとめていた。
「要するに『ばれんたいんでえ』とは、主に女性が好意を寄せる男性に対して贈り物を贈る催しであり、また好意を寄せる人以外にも、お世話になった人や友人に対しても贈り物を贈る。そしてその贈り物で最も一般的な物が、溶かして加工したチョコレートである、ということで、よろしいのでしょうか?」
……え、俺?
「他に誰がいますか」
そうね……うん、まあ、概ねそんな感じで合ってるけど。
「……ちなみに、それは男子である私が贈り物をしてもよろしい日ですか?」
別に問題は無い。今時男子が手作りチョコ作って渡すとか割と聞く話。
「そうですか。良かった。そうなるとやはり、食べ物が良いでしょうね。しかしそうなると、私もお菓子は今までも作ってきましたが、チョコレートは扱ったことが無い。無理をして作ったとしても、それで失敗作を贈ってしまったのでは贈り物の意味が無い。となると、いつも作る和菓子を贈りたいところではありますが、大丈夫でしょうか?」
大丈夫大丈夫。定番てだけで別にチョコレートだと決まってるわけじゃなし、中には手編みのマフラーとか食い物以外を作って渡すってパターンもあるらしいから。
「ふむ。ではいつも通り和菓子にしましょう。友人やお世話になった人にも渡すというお話しですので、相手は……」
「十代さん、翔さん、隼人さん、準さん、明日香さん、大地さん、ジュンコさん、ももえさん……」
「そして……」
「////」
どした?
「あ、あずささんの、計、十一人ですか……////」
(あずささん……////)
……ああ。
ホワン
ホワンホワン
ホワンホワンホワン……
少年妄想中……………………………………………………
(ららんら~ ら~んら~んら~ん ららんら~ん ら~ん らんらら~……)
「あずささん、これを」
「え? なになに?」
「ばれんたいでえの、贈り物です」
「えぇ? 貰って良いの?」
「ええ。あなたのために、心を籠めて作りました」
「ありがとー!」
パク
(どきどき……)
「美味しい!」
「良かった……」
「こんなに美味しいお菓子作ってくれるなんて、何かお礼しなきゃね」
「お礼ですか?」
「うん! 何でも言って!」
「じゃ、じゃあその……また、抱き締めて下さいませんか?////」
「そんなことで良いの?」
「ええ、ぜひ……」
ギュ
「はっ!////」
「はぁ~、梓くん可愛い~(スリスリ)」
(だんでぃずむ~)
ここだな。
ホワンホワンホワン
ホワンホワン
ホワン……
「きゃー!!//// あずささ~~~ん!!//// 私の愛しい人~~~!!////」
……ちょっと?
「もっと強く抱き締めて下さい!!//// ああ、良い香りが//// ああ、ダメです、それ以上強く抱き締められると壊れてしまう//// あぁ~//// でもでも~~~////」
……もしもし?
「私を壊して~~~!!//// あなたに壊されたぁ~い!!//// 壊れてあなたと一つになってしまいたいぃ~!!//// 私をあなたのものにして~~~!!//// あなただけのものにして~~~!!//// 独占して~~~!!////」
……
「あずささんあずささんあずささ~~~~~ん!!////////////」
……すまん。この阿呆が落ち着くまで、え~~~~~~~……
CM入りま~す!
遊戯王GX ~氷結の花~
KONAMI
「梓くん、見て!」
「これは、
「そう! わたし達二人の使ったカードがカードパックになったんだよ!」
『氷結界の水影』
『氷結界の守護陣』
『フェンリル』
『E・HERO オーシャン』
『氷結界の虎将 ライホウ』
『E・HERO アブソルートZero』
『サイクロン』
『ミラクル・フュージョン』
他。
『六武衆-ザンジ』
『六武衆-ヤイチ』
『六武衆の露払い』
『六武衆の師範』
『大将軍 紫炎』
『六武の門』
『六武衆の結束』
『諸刃の活人剣術』
他。
「素晴らしい!」
「みんな、わたし達のカードで、もっともっと強くなってね!」
『遊戯王OCGデュエルモンスターズ、
「梓編!」
「あずさ編!」
『丸月罰日、発売!!』
『
KONAMI
遊戯王GX ~氷結の花~
あい、CM明けま~す。
三十分ほど畳の上を転がり回ったところで冷静になり、梓は台所……ではなく、森に立っていた?
「さて、そうと決まれば……」
そして、刀に手を掛け……
バキバキバキバキ……
「こんな物でしょうか……?」
ま~た訳の分からんことを。理由も大体想像が付くから余計に
それから更に一時間ほど経った後で、ようやく台所に立った。
「何だかんだ言っても、彼らはいつも私のお菓子を食べていますし、今までにない味が良いでしょうね……」
「せっかくなので、味以外にも今までに無い工夫を凝らしましょう。そうなると……」
呟き、一つ一つの完成の形を思い浮かべながら、小麦粉、砂糖等の材料に手を伸ばす。
いつもと同じように材料を混ぜていき、ヘラなどの道具を操り、頭の中の完成図を忠実に形作っていく。その間、思考することは共通して、
「彼らは喜んで下さいますでしょうか」
この和菓子を手渡すことで、喜びを与えたいと願う友たちの顔。
「まずは十代さん……翔さん……隼人さん……準さん……明日香さん……」
お菓子を一つ完成させる度、友の名前を一人一人呼び、顔を浮かべる。そうすることで、今作っているお菓子に籠めた友たちへの思いを明確化し、それは友たちの喜びを求めると共に、自身の喜びとして心に刻んでいく。
贈られる喜びと幸せを、贈る喜びと幸せと共に感じることができる。贈り物とはそれだけ贅沢な行為であり、そして、幸せな行為であることを梓は、いや誰もが知っている。そのために一途に手を動かし、思いを籠め、形作っていった。
「これで、十個目」
十一個のうち十個を完成させ、それらを箱に入れ、間違えないよう名前を書くことで準備を終えた。
「さあ、最後はあずささんへの……きゃー!!////」
……もう分かったから、早くしようよ。もう夜だし。
「はっ! そうですね。あずささんには……」
そしてあずさに対しても、今までの物と同じように、思いを込めて形作っていく。そして最も違うのは、始めの十人に対しては友情を籠めて作ったことに対し、それ以上の思い、愛情を籠め、愛おしいという願いを籠めて、形作っていくこと。
「そんな、愛情だなんて////」
いや、文章にまで反応しなくて良いから。
そんなんじゃいつまでも完成せんぞ。
「はっ! そうですね」
……こうしてまた、元の顔付きに戻り、作業を再開した。
そして、完成したそれを見るが、
「……ダメだ」
ダメ? て、おいおい!
「こんな物を贈ったのでは、あずささんに喜んで頂くことなど……」
あ~~勿体ない。上手くできていたというのに。
「味は申し分無い。それだけは自信があります。けれどダメだ。もっと、完璧に仕上げなくては、贈る意味が無い!」
職人の誇りってやつか。
その誇りを胸に、もう一度材料に手を伸ばす。
「ちょっと集中できないので外に出ておいてもらえませんか?」
えぇ~~!? 俺がいなきゃ話しが進まないんだけど。
「貴様……そんなに私を追い詰めたいか……?」
もぉ~、仕様が無いな~。
ちゃんと明日まで間に合わせてよ。
「分かっています。待っていて下さい、あずささん……」
この捨てたやつ食べていい?
「どうぞ」
……(ゴックン)しゃあねえ。あずさんところにでも行ってみるか。
……
…………
………………
「~♪ 梓くん、喜んでくれるかな♪」
バレンタインデーとは、本来女性から男性への贈り物の日でもある。ゆえに、女子であるあずさもまた、思いを寄せる男子である梓に対して、贈り物を作ることは必然だった。
そして、既に完成させ、包装したそれを眺め、嬉しそうに明日を待ち焦がれていた。
「明日、梓くんにこれを渡して……」
……え、また?
ホワン
ホワンホワン
ホワンホワンホワン……
少女妄想中……………………………………………………
(ぱぱんぱ~ ぱ~んぱ~んぱ~ん ぱぱんぱ~ん ぱ~ん ぱんぱぱ~……)
「梓くん、これ」
「あずささん、これは?」
「今日バレンタインデーだから、そのプレゼント」
「私にですか?」
「うん!」
「ありがとうございます! その、食べてもよろしいのでしょうか……?」
「もちろん!」
「では……」
パク
「どう?」
「……美味しい、とても美味しいです!」
「良かった~」
「何かお礼をさせて下さい!」
「え? いいよ、そんなこと、気にしないで……」
「お願いします! 何でもよろしいので!」
「そう? じゃあ……また抱き締めても良い?」
「……そんなことでよろしいのですか?」
「うん!」
「では、その……(もじもじ)どうぞ////」
ギュ
「っ!////」
「はぁ~、梓くん可愛い~(スリスリ)」
「あずささ~ん////」
(ダンディズム~)
……よし、ここだ。
ホワンホワンホワン
ホワンホワン
ホワン……
「あはははは、うふふふふ……」
……なん~だこの似た者夫婦。いや違うな、バカップル?
「うぉあ!! いつの間にいたの!?」
ずっといたわ!! てかどこにでもいるからね!! 外の存在舐めんな!!
「別に舐めてないけど、何で怒ってるの?」
怒ってねーし。色々あって疲れただけだし。
「ふ~ん。小説書くのって大変だもんね~」
え? 分かってくれる?
「分かんない」
……あっそ。
もういい疲れた。俺は寝る。
「おやすみなさ~い」
おやすみ~。
そして、あずさの部屋を出て、女子寮の廊下に出るが、
(できた)
(これを明日、あの人に)
(明日が待ち遠しい)
(あたなへの思い、全て籠めました)
(私の思い、届いて~)
万国を共通して、人とは、人に対して一途なる思いを抱き、その人に対して無二の愛情を注ぐもの。ことに女性はその思いに対して純粋に、そして真っ直ぐになるもの。
そして、翌日はそれを、形はどうあれプレゼントという形で表現することが許される特別な日。愛情、友情、敬愛、恋愛という様々な感情に加え、気軽な思いもあれば、特別な思いもある。そしてその結晶たる贈り物、プレゼントを作り上げることで、その思いを
その強くなった思いを、明日のバレンタインデーに掲げ、目の前のプレゼントに託すのである。
そして、そこから来る最も強い思いは誰もが同じ。
(あの人は……)
(あの方は……)
(あいつは……)
(あの子は……)
(みんなは……)
(『喜んでくれるかな』)
そう。誰もが同じ。
『喜んで欲しい』。
その一言だった。
後半へぇ~続く。
お疲れ~。
やれやれ。明日のバレンタインはどうなることかね。
まあ、みんなで見守るとしましょうや。
ちなみに皆さんは、プレゼントは貰うのと贈るの、どっちが好きですか?
人それぞれありますが、どちらもそれぞれの嬉しさがありますわな。
んじゃそういうことで、大海もバレンタインチョコ作んなきゃいけないので……今は違うんだった。
まあどうでもいいや。後半は明日まで待っててね。