つってもまだ零話だけど。
かなり短いです。でもまあ一応は四部の核心部分だから、良ければ読んどいて。
じゃ、行ってらっしゃい。
第零話 月下の開花
視点:梓
……
……
……
「……夢……幻、か……?」
全て夢だったのか……?
氷結界の里も……
あの世界も……
龍達も……
超融合の力も……
そして……
あの男の声も……
両手足を動かした時、それが草地だと分かった。
目を開けた時、今が夜だと分かった。
そして、動かした総身で感じたそれは、直前までいた世界には感じられなかった、懐かしみと、親しみを感じさせる感触。
体を起こし、周囲を見渡し、上を見上げた時に見えた、三色の丸い形。
「……帰ってきたのか……私は、決闘アカデミアに……」
「……?」
左手を見ると、あの時手に入れた、異形なる刀が握られている。
同時に違和感を覚え、懐に手を入れる。
それは、あの世界で氷つき、使えなくなっていたデッキ、その青色のデッキケース。
あの時、私の力でも破壊できなかった氷が、今は見る影も無く、凍りつく前の、普通のデッキの状態でここにある。そして代わりに、あの世界で新たに作ったはずのデッキは消えている。
「……」
何もすることもなく、ケースを開き、デッキを確かめると、そこには……
「これは……」
それを見て、あれは夢でも幻でも無かった。それを、ようやく確信できた。
「私は、手に入れたのか。力を……」
ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン……
突然、何かの金属音が聞こえた。随分と大きな金属が、こちらに近づいてきている。
「……」
随分と重々しい機械だ。四つの大きな足でこちらに歩いてくる。そして、その中心には、何かの液体に包まれた老人が立っているのが見える。
『水瀬梓よ』
目の前まで近づき、静止した時、そんな老人の声が聞こえた。
私を知っているのか……?
『私達の仲間になれ』
「……理由は?」
『君の力が欲しい。それだけだ』
「……貴様は私に何を与える?」
『望むものを与えよう。そして、それは分かっている』
「……」
『一人の男への復讐。それが、君の望みなのだろう』
「……」
『そしてその男は今ここ、決闘アカデミアにいる』
「……っ!」
『そして、私の目的も決闘アカデミアにある。どうだ? お互いの目的のため、お互いを利用し合う気はないか?』
「……」
……そうか。
「良いだろう」
これも全て、運命だというのか?
あの世界も、三匹の龍も、今回のことも……
『決まりだ。では、共に行こう。今日から君はセブンスターズ、名は、『凶王』だ』
「凶……王……」
今思えば、それほど私に合った名前も無い。私はこの世で、最も人に『凶』を与える存在なのだから……
だが、生み出すだけでは終わらない。その凶こそが、私の力だ。
そして、これから生み出す『凶』は全て、貴様に与えてやるぞ……
「シエン……」
お疲れ~。
さて、次話からストーリーが動きます。
セブンスターズの凶王はどんなことをしてくれるのか。
んじゃ、次話まで待っててね。