遊戯王GX ~氷結の花~   作:大海

68 / 175
第五話の決闘~。
毎度のこと書くことがね~ぜ~。
でもこれだけは言いたいんだ。
言わせてもらおう。
行ってらっしゃい。



第五話 凶の始動、集結する絆

視点:あずさ

 

 ……

 

 ……

 

 ……

 

 ……

 

 ……今、何日だっけ……

 

 ……今、何曜日……

 

 ……ここにいて、何日経った……

 

 毎日、ただ寝て起きて、お風呂だけは毎日入って、同じパジャマを着て、気が向いたらお掃除とかお料理お洗濯とか、そういうことして気を紛らわせて……

 

 何にもないや……

 ためしにわたしから、決闘を取ってみると、他には何にも残ってない……

 わたし以外の人達も、そうなのかな……

 

 ここにいる人達はみんな、決闘に人生を掛けてる人達ばかりだもんね。そんな人達から決闘を取ったら、何も残らないなんて、普通のことだよね……

 

 じゃあ、わたしは……?

 

 元々いた実家の町にはいられなくなって、それで、アカデミアに来た……

 けど、それ以前に決闘は大好きで、だから、プロを目指して、今日まで頑張ってきた……

 

 けど、それだけじゃない……

 

 わたしが今日まで、頑張って、強くなった理由は……

 

 

(『誰だ貴様は?』)

 

 

 ……!!

 

 

(『一平卒が遮るな!』)

 

 

「……っっっ!!」

 

 ズガァ!!

 

 悔しくて、苦しくて、両手で床を叩いた……

 本気で叩いたら穴が開いちゃうから、手加減はしてるんだけど……

 

「……」

 

 どうして……

 

 わたし以外のみんなのことは、全員覚えてたのに、どうして、わたしのことだけ……

 

 わたしは君にとって、それっぽっちの存在だったの……?

 簡単に忘れて……簡単に無くして……

 

 そんなの……こんなの……

 

 わたしは……こんなに……

 

 きみのこと……ずっと……

 

「梓くん……」

 

 バカ……

 

 

「……」

 

「……なに?」

 

「……」

 

「なんで今更、わたしの前に出てくるの……?」

 

「……」

 

「出てってよ……全部、あんたのせいなんでしょう。梓くんのこと、全部……」

 

「……」

 

「出てって……」

 

「……」

 

「出てって!!」

 

 スゥ……

 

「あ……」

 

 ドサァ……

 

 殴ったのに、何でか拳がすり抜けて、派手に転んじゃった。

 

「出てってよ……」

 もう一度言いながら、そいつを見た時、

 

「……」

 

「へ?」

 ドアの方を指さしてる。

 なに? 外へ行けっていうの?

「あんたなんかに、言われる筋合いは……」

 

「……」

 

 説教のつもりかと思ったけど、その顔を見ると、何だか違うように思えた。

 

「……」

 

「なに?」

 

 そいつはただ無言で、ドアを指さすだけだった。

 

 

 

視点:十代

 

「……?」

 

「どうした? 十代」

「隼人……いや、何となく……」

 何となく、何かを感じた。

 部屋の外からか? 気になったから、ドアを開けて、外を見てみると、

 

「……」

 

「……誰だ?」

 そこには見たことの無い、緑色の着物を着た男が立って、こっちをジッと見てる。

 

「……」

 

 その男は視線を俺から外して、別方向を向いた。

 俺もそっちを見てみると、

「……火山?」

 

 ガチャ……

 

「どちら様なのニャ?」

「あ、大徳寺先生」

「おや、十代君」

 と、一階から現れた大徳寺先生と挨拶した直後、男は歩き出した。

 そして、何歩か歩いた後、

 

「……」

 

 またこっちを見る。

「何なのニャ?」

「……ついて来いってのか?」

 

「……」

 

 

 

視点:三沢

「……む?」

 自室でデッキを見ていた時だった。妙に外が気になり、窓の外を眺めてみると、

 

「……」

 

「誰だ?」

 そこには、黄色の着物を着た、見たことの無い若い男がいた。それが、手招きをしている。

「……」

 無視しようかとも思ったが、俺は立ち上がり、なぜだかその男の後を追い掛けていた。

 

 

 

視点:明日香

「なに?」

 

「……」

 

 女子寮のベランダから外を眺めていた時、突然目の前に、赤い着物を着た、綺麗な女性が現れた。その女性は一度会釈をすると、火山と私を交互に見始めた。

「火山に、行けというの?」

 

 

 

視点:亮

「……」

「何者なノーネ?」

 無言の俺に対し、隣に立つクロノス教諭は怪訝そうにその男に尋ねた。

 

「……」

 

 ブルー寮の前に立っていた俺達の前に突然現れた、青い着物を着た、若い美形のその男は、俺達を見ながら楽しそうに笑っている。

「何者だと聞いているノーネ?」

 クロノス教諭は再び、苛立った声で質問をした。

 

「……」

 

 男は体の向きを変え、こちらをからかうような笑い顔を見せ、舌を出しながら手招きをしつつ、スキップで移動を開始した。

「ヌヌヌ……綺麗な顔して私達をバカにしているノーネ! とっ捕まえてやるノーネ!」

 クロノス教諭はその態度に完全に頭にきたらしく、男を追って走り出した。

 

「……」

 正直かなり怪しいが、なぜか、俺もその男を追わねばならない。

 そんな気がして、男の走る方向へ走り出した。

 

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

 

視点:外

 決闘アカデミア。

 その学園がある島は、年間を通しての穏やかな天候と、暖かい気候に包まれた場所に存在する。崩れることのない天候と、暖かく過ごしやすい気温の中で、自然の中に、涼を、冷を、ましてや凍など、見つけることなどまず叶わない場所だった。

 だからこそ、その光景は異様と言えた。

 暖かい島の、暖かい森の中で、地面を、木々を、葉々を白く染める氷と雪など、この島には存在しえないもののはずだった。

 だが、今回に限っては、それは必然と言うべきことなのかもしれない。

 たった一人の男が抱いてしまった、深く、惨く、そして冷たい憎悪は、あらゆるものを凍てつかせ、全ての物を冷たく変える。

 彼だから、それはできた。

 

 そして、そんな冷たい空間の中で、

 

「……」

「……」

 

「……」

 

 それは始まった。

 

 

『決闘!!』

 

 

LP:4000

手札:5枚

場 :無し

 

万丈目

LP:4000

手札:5枚

場 :無し

 

凶王

LP:4000

手札:5枚

場 :無し

 

 

「僕からいくよ、万丈目君」

「良いだろう」

 言葉を交わしながら、真っ直ぐ梓を見据える。そして覚悟を新たに、カードを引く。

「ドロー!」

 

手札:5→6

 

「僕は魔法カード『天使の施し』を発動! カードを三枚ドローして、二枚を捨てる。そして、『エクスプレスロイド』を召喚」

 

『エクスプレスロイド』

 守備力1600

 

「このカードの召喚、反転召喚、特殊召喚に成功した時、墓地のロイドを二枚手札に加えられる。僕は墓地に送った『ジャイロイド』と『ドリルロイド』を手札に加える」

 

手札:5→7

 

「カードを二枚伏せる。これでターンエンド」

 

 

LP:4000

手札:5枚

場 :モンスター

   『エクスプレスロイド』守備力1600

   魔法・罠

    セット

    セット

 

 

(やるな。手札消費を実質一枚で場を整えるとは。イエローの実力は伊達ではない、ということか……)

「俺のターン、ドロー」

 

万丈目

手札:5→6

 

「永続魔法『異次元格納庫』発動! デッキから、レベル4以下のモンスター三体を選択し、除外する。そして、自分フィールド上にモンスターが召喚された時、そのモンスターの対となるユニオンモンスターを、異次元格納庫より特殊召喚できる」

 

『W-ウィング・カタパルト』

『Y-ドラゴン・ヘッド』

『Z-メタル・キャタピラー』

 

「そして、『V-タイガー・ジェット』を召喚!」

 

『V-タイガー・ジェット』

 攻撃力1600

 

「そして、『異次元格納庫』の効果により、除外された『W-ウィング・カタパルト』を特殊召喚!」

 

『W-ウィング・カタパルト』

 攻撃力1300

 

「この効果で特殊召喚されたユニオンモンスターは攻撃できず、生贄にはできなくなる。『W-ウィング・カタパルト』を、『V-タイガー・ジェット』に装備! 効果により、『V-タイガー・ジェット』の攻撃力と守備力を400ポイントアップ!」

 

『V-タイガー・ジェット』

 攻撃力1600+400

 

「カードを二枚伏せ、ターンエンド」

 

 

万丈目

LP:4000

手札:2枚

場 :モンスター

   『V-タイガー・ジェット』攻撃力1600+400

   魔法・罠

    永続魔法『異次元格納庫』

    ユニオン『W-ウィング・カタパルト』

    セット

    セット

 

 

(『アームド・ドラゴン』から『VWXYZ(ヴィトゥズィ)』に変えたんだ。これで『V-タイガー・ジェット』は、ユニオンの効果で一度だけ戦闘では破壊されない。攻撃的に見えてしっかり防御の布陣も強いてる)

 

「……」

 互いのパートナーのプレイングを確認する二人に対し、梓は全く表情を変えることなく、デッキに手を伸ばした。

「私のターン、ドロー」

 

凶王

手札:5→6

 

「モンスターを伏せ、カードを四枚伏せる。そして、魔法カード、『命削りの宝札』。手札が五枚になるよう、カードをドローし、五ターン後、全ての手札を捨てる」

 

凶王

手札:0→5

 

「いきなり手札補充!?」

「……」

「そして、カードを一枚伏せ、ターン終了……」

 

『リバースカード、オープン!』

 

「……」

 

『『サイクロン』!』

 

 二人が同時に宣言した時、二人の前で、開かれた同じ絵柄のカードから竜巻が発生した。そして、その竜巻が、梓の前の二枚のカードを巻き上げた。

「……」

 

『激流葬』

 通常罠

『地獄の暴走召喚』

 速攻魔法

 

 

凶王

LP:4000

手札:4枚

場 :モンスター

    セット

   魔法・罠

    セット

    セット

    セット

 

LP:4000

手札:5枚

場 :モンスター

   『エクスプレスロイド』守備力1600

   魔法・罠

    セット

 

万丈目

LP:4000

手札:2枚

場 :モンスター

   『V-タイガー・ジェット』攻撃力1600+400

   魔法・罠

    永続魔法『異次元格納庫』

    ユニオン『W-ウィング・カタパルト』

    セット

 

 

「万丈目君も伏せてたんだね」

「どうやら今回はそれが正解だったようだ。期待以上に強力なカードを除去できた」

「……」

「それにしても、一ターン目からカードをあんなに出すなんて……」

「更に、前回戦った時は、最初に『命削りの宝札』までセットしていた。今回はどうやら本気らしい」

「……」

 

「……よし、このターンから攻撃が可能になる。僕のターン、ドロー!」

 

手札:5→6

 

「『ドリルロイド』を召喚!」

 

『ドリルロイド』

 攻撃力1600

 

(『ドリルロイド』は守備モンスターを攻撃した時、ダメージ計算前にそのモンスターを破壊できる。けど僕の手に『ドリルロイド』があったことは梓さんだって分かってたはず。なのに、モンスターは裏守備表示なんて……)

 

「……」

 

「……躊躇(ためら)ってても仕方がない、バトル! 『ドリルロイド』で、裏守備モンスターを攻撃!」

「……」

 何の抵抗もなく、裏向きのカードはそのまま『ドリルロイド』のドリルに貫かれた。

 

『フィッシュボーグ-ガンナー』

 守備力200

 

「守備力200の低レベルモンスター……」

「油断はするな。俺達の相手は、水瀬梓だ」

「分かってる。ターンエンド」

 

 

LP:4000

手札:5枚

場 :モンスター

   『ドリルロイド』攻撃力1600

   『エクスプレスロイド』守備力1600

   魔法・罠

    セット

 

万丈目

LP:4000

手札:2枚

場 :モンスター

   『V-タイガー・ジェット』攻撃力1600+400

   魔法・罠

    永続魔法『異次元格納庫』

    ユニオン『W-ウィング・カタパルト』

    セット

 

凶王

LP:4000

手札:4枚

場 :モンスター

    無し

   魔法・罠

    セット

    セット

    セット

 

 

「俺のターン!」

 

万丈目

手札:2→3

 

「俺は手札より、『X-ヘッド・キャノン』を召喚!」

 

『X-ヘッド・キャノン』

 攻撃力1800

 

「そして、『異次元格納庫』より、『Y-ドラゴン・ヘッド』、『Z-メタル・キャタピラー』を、特殊召喚!」

 

『Y-ドラゴン・ヘッド』

 攻撃力1500

『Z-メタル・キャタピラー』

 攻撃力1500

 

「X、Y、Z、変形合体! 『XYZ-ドラゴン・キャノン』!」

 

『XYZ-ドラゴン・キャノン』融合

 攻撃力2800

 

「XYZの効果。手札を一枚捨てることで、相手の場のカード一枚を破壊できる」

 

万丈目

手札:2→1

 

「真ん中のカードだ!」

 XYZの放った光弾により、中心にセットされたカードが蒸発する。

 

『ナイトメア・デーモンズ』

 通常罠

 

「更に、『W-ウィング・カタパルト』のユニオンを解除し、特殊召喚!」

 

『W-ウィング・カタパルト』

 攻撃力1300

 

(この三体の総攻撃で勝てるが……)

「V、W、変形合体! 『VW-タイガー・カタパルト』を、合体召喚!」

 

『VW-タイガー・カタパルト』融合

 攻撃力2000

 

「そして、『XYZ-ドラゴン・キャノン』、『VW-タイガー・カタパルト』を変形合体! 『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』、合体召喚!」

 

『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』融合

 攻撃力3000

 

「更に罠発動『ゲットライド!』! 墓地に眠るユニオンモンスターを、フィールド上のモンスターに装備できる!」

「墓地……XYZの手札コスト……」

「そうだ。墓地に眠る『強化支援メカ・ヘビーウェポン』を、VWXYZに装備! 攻守力共に500ポイントアップだ!」

 

『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』

 攻撃力3000+500

 

「VWXYZの効果、相手フィールドのカード一枚を除外できる。俺が除外するのは、梓から見て右側のカード」

「……」

 

『攻撃の無力化』

 カウンター罠

 

「……一枚残ったか」

「けど、これで攻撃はかなり安全になった」

「うむ……いくぞ、梓!」

「……」

「『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』、梓にダイレクトアタック!」

「この瞬間、僕の伏せカードを発動する!」

「ほう……」

「速攻魔法『リミッター解除』! 自分フィールドの機械族モンスターの攻撃力を倍にする! これはタッグ決闘だから、万丈目君のフィールドも対象となる!」

 

『エクスプレスロイド』

 攻撃力400×2

『ドリルロイド』

 攻撃力1600×2

 

『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』

 攻撃力(3000+500)×2

 

「行け!! 万丈目君!!」

「VWXYZ-アルティメット・デストラクション!!」

「……」

 

 翔の声と、万丈目の宣言と同時に、倍の大きさに巨大化したVWXYZの銃口の全てが梓に向けられ、そして、放たれた。

 

「……」

 

 ス……

 

 ビシィッッッ!!

 

「なに!?」

 攻撃が当たる寸前、梓はデッキから引いたカードを前へ投げつけ、その攻撃にぶつけた。

「何が起こった!?」

「罠カード『ガード・ブロック』の効果だ。相手ターンの戦闘ダメージ計算時、そのダメージをゼロにし、カードを一枚ドローする」

 説明の終了と共に、攻撃を弾いてみせたカードは梓の手元へ戻っていった。

 

凶王

手札4→5

 

「く、最後に残っていたのがそれとは……俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド。そしてこのエンドフェイズ、『リミッター解除』による破壊を、ヘビーウェポンを破壊することで回避、攻撃力も元に戻る」

 

『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』

 攻撃力3000

 

「同時に、僕のフィールドのモンスターも破壊される……」

 VWXYZに装備されたヘビーウェポン、そして翔の場の二体のビークロイドは、爆発と共に破壊された。

 

 

万丈目

LP:4000

手札:0枚

場 :モンスター

   『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』攻撃力3000

   魔法・罠

    永続魔法『異次元格納庫』

    セット

 

LP:4000

手札:5枚

場 :モンスター

    無し

   魔法・罠

    無し

 

凶王

LP:4000

手札:5枚

場 :モンスター

    無し

   魔法・罠

    無し

 

 

「ごめん。せっかくのヘビーウェポンが無駄になっちゃったね」

「気にするな。お前は間違っていない。それより気をつけろ。奴の場は空でも、手札はまだ潤沢に残っている」

「……」

 

「私のターン」

 

凶王

手札:5→6

 

「……永続魔法『ウォーターハザード』発動。相手の場にのみモンスターが存在する時、手札のレベル4以下の水属性モンスターを特殊召喚できる。『氷結界の水影』を召喚」

 

『氷結界の水影』

 攻撃力1200

 

「水影か……」

「けど、『地獄の暴走召喚』はさっき破壊したし……」

 

「……更にもう一枚、永続魔法『生還の宝札』を発動。これで私は墓地からモンスターを特殊召喚する度、カードを一枚ドローする」

「墓地から……?」

「墓地に眠る『フィッシュボーグ-ガンナー』の効果発動」

「さっき破壊された奴か……」

「『氷結界の水影』のレベルは2。私の場にレベル3以下の水属性モンスターが存在する時、手札を一枚捨てることで、墓地より特殊召喚できる」

 

凶王

手札:3→2

 

『フィッシュボーグ-ガンナー』

 守備力200

 

「『生還の宝札』の効果により、一枚ドロー」

 

凶王

手札:2→3

 

「速攻魔法『エネミーコントローラー』。『フィッシュボーグ-ガンナー』を生贄に、第二の効果を発動」

「まずい! 第二の効果は、自分の場のモンスターを生贄に、相手モンスターのコントロールを得られる。万丈目君!」

「言われるまでもない。カウンター罠『八式対魔法多重結界』! フィールド上のモンスターを対象とした魔法、罠カードの発動を無効にし、破壊する。『エネミーコントローラー』は無効だ!」

「……」

「更に、コストとして生贄にされた『フィッシュボーグ-ガンナー』はフィールドに戻ることはない」

「……まあいい。私は水影を生贄に捧げ、『氷結界の虎将 ライホウ』を召喚」

 

『氷結界の虎将 ライホウ』

 攻撃力2100

 

「来たか、ライホウ……」

「更に魔法カード『死者蘇生』。墓地のガンターラを特殊召喚する」

 

『氷結界の虎将 ガンターラ』

 攻撃力2700

 

「ガンターラまで、『フィッシュボーグ-ガンナー』のコストか……」

「『生還の宝札』により、一枚ドロー」

 

凶王

手札1→2

 

「バトルだ。ライホウで、翔に攻撃。冷奏演舞」

「翔!」

「大丈夫。手札の『カイトロイド』の効果! 手札から捨てることで、相手のダイレクトアタックを無効にする!」

 

手札:5→4

 

 翔の前に現れた『カイトロイド』が、ライホウの起こした吹雪から翔を守った。

「続いて、ガンターラで攻撃。凍撃輪舞」

「墓地の『カイトロイド』を除外! その攻撃も無効にする!」

 同じように、ガンターラの拳を、『カイトロイド』が防ぐ。

「……私はカードを二枚伏せ、ターンを終了。そしてエンドフェイズ、ガンターラの効果で墓地に眠る水影を特殊召喚する」

 

『氷結界の水影』

 守備力800

 

「宝札の効果で一枚ドローする」

 

凶王

手札:0→1

 

 

凶王

LP:4000

手札:1枚

場 :モンスター

   『氷結界の虎将 ライホウ』攻撃力2100

   『氷結界の虎将 ガンターラ』攻撃力2700

   『氷結界の水影』守備力800

   魔法・罠

    永続魔法『ウォーターハザード』

    永続魔法『生還の宝札』

    セット

    セット

 

LP:4000

手札:4枚

場 :モンスター

    無し

   魔法・罠

    無し

 

万丈目

LP:4000

手札:0枚

場 :モンスター

   『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』攻撃力3000

   魔法・罠

    永続魔法『異次元格納庫』

 

 

「場のカードが一枚だけになったあの状況から、ノーダメージのままここまで……」

「今はまだ僕達もノーダメージなのに、全然安心できない。これが、梓さんの決闘……」

 悪戦苦闘しながら、共に一喜一憂し、相手を見つめる二人に対し、ただ無言で相手を見据えるだけの一人。

 同じ場にいながら、三人の温度差は、それこそ、水と氷ほどの差だった。

 

「僕のターン」

 

手札:4→5

 

「『強欲な壺』発動! カードを二枚ドロー」

 

手札:4→6

 

「……魔法カード『融合』発動!」

「来るか……」

「手札の『ジャイロイド』、『スチームロイド』を融合! 来い、『スチームジャイロイド』!」

 

『スチームジャイロイド』融合

 攻撃力2200

 

「更に魔法カード『旧型出陣』! 墓地に眠る機械族モンスター一体を特殊召喚できる。墓地の『エクスプレスロイド』を再び特殊召喚!」

 

『エクスプレスロイド』

 守備力1600

 

「『エクスプレスロイド』の効果! 墓地のロイドを二枚、手札に加える」

「ライホウの効果。手札を一枚捨てなければ効果は無効だ」

「分かってる。僕は手札の……『カイトロイド』を捨てる」

 

手札2→1

 

「そして、『エクスプレスロイド』の効果で、墓地の『スチームロイド』と『ドリルロイド』を手札に加える!」

 

手札:1→3

 

「更に、『ドリルロイド』を召喚!」

 

『ドリルロイド』

 攻撃力1600

 

(ガンターラがいる限り、『生還の宝札』とのコンボで永遠にエンドフェイズにドローされちゃう。けど僕には攻撃力が高くてどうにもできない。万丈目君に託す。僕は他の二体を倒す)

「バトル! 『スチームジャイロイド』で、ライホウに攻撃! ハリケーンスモーク!」

 竜巻の熱風がライホウに向かった時、梓は静かに、カードに手を伸ばした。

「罠発動『サンダー・ブレイク』。手札を一枚捨て、相手のフィールドのカードを一枚、破壊する。『スチームジャイロイド』を破壊」

「何だって!?」

 

凶王

手札1→0

 

 梓が手札を掲げた時、それが雷へと変わり、『スチームジャイロイド』へ落ちた。

「くぅ……まだだ! 『ドリルロイド』で、『氷結界の水影』を攻撃!」

「……」

(これで『フィッシュボーグ-ガンナー』の特殊召喚は防いだ……)

「一枚セット、ターンエンド」

 

 

LP:4000

手札:1枚

場 :モンスター

   『エクスプレスロイド』守備力1600

   『ドリルロイド』攻撃力1600

   魔法・罠

    セット

 

万丈目

LP:4000

手札:0枚

場 :モンスター

   『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』攻撃力3000

   魔法・罠

    永続魔法『異次元格納庫』

    セット

 

凶王

LP:4000

手札:0枚

場 :モンスター

   『氷結界の虎将 ライホウ』攻撃力2100

   『氷結界の虎将 ガンターラ』攻撃力2700

   魔法・罠

    永続魔法『ウォーターハザード』

    永続魔法『生還の宝札』

    セット

 

 

「俺のターン!」

 

万丈目

手札:0→1

 

「VWXYZの効果! 一ターンに一度、相手フィールドのカードを一枚、除外する!」

「罠発動『デモンズ・チェーン』。相手モンスター一体の効果を無効にし、攻撃を封じる」

「な!?」

 VWXYZが軌道しようとした時、闇の中から現れた太い鎖が、その体をがんじがらめに縛りあげた。

「く、そ……一枚伏せる。ターンエンド!」

 

 

万丈目

LP:4000

手札:0枚

場 :モンスター

   『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』攻撃力3000

   魔法・罠

    永続魔法『異次元格納庫』

    セット

 

LP:4000

手札:1枚

場 :モンスター

   『エクスプレスロイド』守備力1600

   『ドリルロイド』攻撃力1600

   魔法・罠

    セット

 

凶王

LP:4000

手札:0枚

場 :モンスター

   『氷結界の虎将 ライホウ』攻撃力2100

   『氷結界の虎将 ガンターラ』攻撃力2700

   魔法・罠

    永続魔法『ウォーターハザード』

    永続魔法『生還の宝札』

    永続罠『デモンズ・チェーン』

 

 

「私のターン、ドロー」

 

凶王

手札:0→1

 

(今、梓さんの手札は一枚。場にレベル3以下の水属性モンスターは存在しない)

(少なくとも、『フィッシュボーグ-ガンナー』が召喚されることはない……)

 

「墓地に眠る『フィッシュボーグ-ランチャー』の効果を発動する」

「ガンナー……じゃなくて、ランチャー?」

「『サンダー・ブレイク』のコストか……」

「自身を除く自分の墓地のモンスターが水属性モンスターのみの場合、墓地より特殊召喚する」

 

『フィッシュボーグ-ランチャー』

 守備力100

 

「宝札の効果で一枚ドロー」

 

凶王

手札:1→2

 

「この効果で特殊召喚したランチャーがフィールドを離れた時、ゲームから除外される」

「つまり、一度限りの特殊召喚ということか……」

「そして、ランチャーのレベルは1。手札を一枚捨て、墓地のガンナーを特殊召喚する」

 

凶王

手札:2→1

 

『フィッシュボーグ-ガンナー』

 守備力200

 

「宝札の効果で一枚ドロー」

 

凶王

手札:1→2

 

「……『強欲な壺』」

 

凶王

手札:1→3

 

「く、一気に手札補充とは……」

「……私は二体のフィッシュボークを生贄に捧げ、『氷結界の虎将 グルナード』を召喚する」

 

『氷結界の虎将 グルナード』

 攻撃力2800

 

「自身の効果により、ランチャーはゲームから除外される。更に、魔法カード『ミラクル・フュージョン』を発動する」

 

「『ミラクル・フュージョン』だと!?」

「まずい! 梓さんのエースカードが来る!!」

 二人が同時に叫んだ瞬間、空が純白に輝いた。

 

「たった今手札コストとして墓地へ送った『E・HERO アイスエッジ』と、『氷結界の水影』を除外。現れよ、氷結の英雄『E・HERO アブソルートZero』」

 

『E・HERO アブソルートZero』融合

 攻撃力2500

 

「梓が、『E・HERO』だと……」

「そうか。万丈目君は知らないのか。そう言えば、授業やテストじゃ一度も使ってなかったからね」

「翔、お前は知っていたのか」

「うん……まずいよ、ここに来て、あのカードは最悪だ……」

(何だと? どんな効果が……)

 

「いくぞ」

 

『!?』

「Zeroの効果。場のZeroを除く水属性モンスターの数だけ、攻撃力を500ポイントアップさせる」

 

『E・HERO アブソルートZero』

 攻撃力2500+1500

 

「攻撃力4000!?」

「バトルだ。まずはアブソルートZeroで、VWXYZを攻撃。瞬間氷結(フリージング・アットモーメント)!」

(くそ、このカードの発動は、今は意味が無い……)

「ぐあぁ!!」

 

万丈目

LP:4000→3000

 

「続いて、ライホウで、翔の場の『エクスプレスロイド』を攻撃。冷奏演舞」

「罠発動『スーパーチャージ』! 僕の場のモンスターがロイドのみの場合、相手の攻撃宣言時、カードを二枚、ドローできる……」

 

手札:1→3

 

 二枚のカードをドローしたその直後、『エクスプレスロイド』は凍りつき、破壊される。

「うぅ……」

 

「ガンターラ、『ドリルロイド』を攻撃。凍撃輪舞」

「うわぁ……!」

 

LP:4000→2900

 

「そして、グルナードで……翔に直接攻撃。数多氷刀乱舞(あまたのひょうとうらんぶ)」

「あぁ……うわああああああああ!!」

 

LP:2900→100

 

「うぅ……」

「そして、メインフェイズ、グルナードが場にある限り、私は通常召喚に加えて一度、氷結界を召喚できる。『氷結界の守護陣』を召喚」

 

『氷結界の守護陣』

 守備力1600

 

「守護陣とそれ以外の氷結界が場にある限り、貴様らは守護陣の守備力以上のモンスターでの攻撃はできなくなる。ターンエンド」

 

 

凶王

LP:4000

手札:0枚

場 :モンスター

   『氷結界の虎将 ライホウ』攻撃力2100

   『氷結界の虎将 ガンターラ』攻撃力2700

   『氷結界の虎将 グルナード』攻撃力2800

   『E・HERO アブソルートZero』攻撃力2500+2000

   『氷結界の守護陣』守備力1600

   魔法・罠

    永続魔法『ウォーターハザード』

    永続魔法『生還の宝札』

 

LP:100

手札:3枚

場 :モンスター

    無し

   魔法・罠

    無し

 

万丈目

LP:3000

手札:0枚

場 :モンスター

    無し

   魔法・罠

    永続魔法『異次元格納庫』

    セット

 

 

「く、そ……」

「強い……」

 

「……」

 

 場を埋め尽くす強力モンスター。そして、攻撃を封じる防御の布陣。

 圧倒的な戦略。

 圧倒的な力。

 それを見せつけられ、ひざを着いてしまう。

 今、二人の心は折れようとしていた。

 

「……サレンダーすると言うなら、止めはしない」

 

「サレンダー……」

「それは……」

 サレンダー。

 決闘においての降参。このままデッキの上に手を置けば、この苦しみから解放してくれる、そんな申し出。

(僕の手札……これだけじゃ、梓さんには勝てない……万丈目君に上手く繋げるとも限らないし、このライフじゃ、次に反撃されたら終わりだ)

(ライフはあっても、手札はゼロ……場にはセットカードのみ……これでは、とても逆転など……)

「俺は……」

「僕は……」

 二人はゆっくりと、デッキに手を伸ばした。

 

 ガンッ

 ガンッ

 

「痛て!」

「痛い!」

 

 二人がまた、同時に叫んだ。

「何だ?」

「なに?」

 二人が別々の方向を見た時、そこには、別々の人間が、同じように握り拳を握っていた。

 

「あなたは……」

 

「……」

 

 黒い着物の男。

 何も言わないが、その目が全てを語っているようだった。

 

「アズサ……」

『バカ!! 勝手に諦めないでよ!!』

「……」

『さっきの言葉は嘘だったの!? 梓のカードを使って、梓を取り戻すんだって!! それを、梓のカードも使わないうちから諦めるの!?』

「俺は……」

『立って!! 君にはまだ、カードが残ってるでしょう!! 仲間だっているでしょう!!』

「仲間……」

 

「翔!」

「万丈目君!」

 

『……』

 

 声が重なり、互いに目が合い、そして、笑みを浮かばせた。

「いくぞ。次はお前のターンだ」

「任せて。最高の状態で君に繋いでみせる」

 

 二人は同時に立ち上がり、再び梓を見据えた。

「行くよ! 梓さん!!」

「……」

「僕のターン!」

 

 

 

 




お疲れ~。
何だかんだで絶望的過ぎたかな、この状況。まあそれを逆転するのが面白いんだろうけど。
そんじゃあオリカ。


『命削りの宝札』
 通常魔法
 手札が5枚になるようカードをドローする。
 発動後、5回目のスタンバイフェイズに手札を全て捨てる。

いい加減これの説明いらなくないかな?
なので多分これで最後にしますわ。
うん、酷い。そして欲しい。
以上。

『異次元格納庫』
 永続魔法
 自分のデッキからレベル4以下のユニオンモンスター3体を選択してゲームから除外する。
 自分フィールド上にモンスターが召喚・特殊召喚に成功した時、そのモンスターがこのカードの効果でゲームから除外したユニオンモンスターの効果テキストに記されている場合、この効果でゲームから除外したユニオンモンスターを特殊召喚する事ができる。
 この効果で特殊召喚したユニオンモンスターは攻撃できず、生け贄にする事はできない。

使うなら、VWXYZ以外にはダークソード辺りかな。
まあ主な使い方はデッキ圧縮になるだろうけれど。
『強化支援メカ・ヘビーウェポン』みたいな装備対象が複数のモンスターでも除外できるけど、それだと代わりに特殊召喚できないから出たら注意がいるろうね。出ないろうけど。

『カイトロイド』
 レベル1
 風属性 機械族
 攻撃力200 守備力400
 相手のモンスターが直接攻撃してきた時、このカードを手札から墓地へ送ることで、その攻撃を無効にする。
 また、墓地に存在するこのカードをゲームから除外することで、相手モンスター一体の直接攻撃を無効にする。

ロイド専用の非常用防御手段。
防げるのは直接攻撃だけとは言え、二回防げるという点は何気に大きいところかと思われ。
これも何度か出てるし、これで最後でもいいかしら。
てなわけでこれで多分最後にします。

『旧型出陣』
 通常魔法
 自分の墓地から機械族モンスター1体を選択して発動する。
 選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

漫画版GXにて、翔が使用。
機械族限定、自分の墓地限定の『死者蘇生』。
機械は種類が多いし、強力なのも多いから使い勝手は良いと思う。
ただ最近は簡単に特殊召喚できる機械もたくさんあるから出たら使うかって言われると、まあ微妙だあな。


以上。
例によって忘れてるのがあったら教えて下さいな。
それじゃあ次話までちょっと待ってて。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。