というわけで、決闘の続きで~す。
そんじゃあ行ってらっしゃい。
視点:十代
「あれ? この辺だと思ったんだけど……」
「見失ったのニャ?」
「ニャ~」
隼人と大徳寺先生との二人で、いきなり現れた緑色の着物の男を追ってたんだけど、火山を目指して森の中に入ってしばらくしたところで見失っちまった。
「この辺、緑だらけなんだな」
「そうか? むしろ木が多いから茶色じゃね?」
なんて、下らないこと言ってる場合でもないか。
「見失ったし、もう帰りますかニャ?」
帰るねえ。まあ、これ以上追う理由も無いし、それでもいいけど……
ガサ……
「お?」
向こうの方で、何かが動く音が聞こえた。
「何か聞こえたんだな」
「誰かいますのニャ」
二人も聞こえたらしい。
「さっきの奴かな」
よし、今度こそ逃がさない。
「……て、明日香?」
「あら、十代」
「どうしたんだよ? こんなところで」
「私は……」
……そうだ。さっきの奴見てるかもしれない。
「なあ、明日香」
「ねえ、十代」
……て、声が重なった。
「えっと、なに? 十代」
「ああいや、明日香こそどうした?」
「じゃあ……この辺で、赤い着物来た女の人見なかった?」
「赤、女? 緑の着物の男じゃなくてか?」
そう聞き返したら、明日香はまた疑問の顔になった。
ガサ…
「十代、天上院君」
「三沢?」
草の中から、今度は三沢が出てきた。
「丁度よかった。この辺りに黄色の着物を着た男を見なかったか?」
「黄色? 緑じゃなくてか?」
「赤色で女の人じゃなくて?」
「……?」
ガサ……
「おや、これはセニョールアンドセニョーラ」
「クロノス先生、カイザーまで?」
「あなたガータ、ここらで青色の着物を着た若い男を見なかったノーネ?」
「青色?」
緑かと思ったら、赤だったり黄色だったり青だったり、
「……てことは、ここにいる奴は全員、着物着た連中を追ってここまで来たってこと?」
「お前達もそうなのか?」
カイザーが聞き返してきた。
「ああ。俺達は緑色の着物着た男だった」
「俺は黄色の着物の男」
「私は赤い着物の女の人」
「俺達は、青色の着物の若い男」
『……』
どういうことだ?
全員が全員、色とか性別は違うみたいだけど着物を着た連中に誘われて……?
ズドォォォォォォォ!!
『……!!』
何だ!?
「あれは!?」
それは、でっかくて尖ってて、けど透明で、見るからに触ると冷たそうな……
「氷山? なぜこんなところに……?」
氷山……氷?
「まさか、梓が……」
『……!!』
「行こう!」
『うん!!』
……
…………
………………
視点:外
凶王
LP:4000
手札:0枚
場 :モンスター
『氷結界の虎将 ライホウ』攻撃力2100
『氷結界の虎将 ガンターラ』攻撃力2700
『氷結界の虎将 グルナード』攻撃力2800
『E・HERO アブソルートZero』攻撃力2500+2000
『氷結界の守護陣』守備力1600
魔法・罠
永続魔法『ウォーターハザード』
永続魔法『生還の宝札』
翔
LP:100
手札:3枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
無し
万丈目
LP:3000
手札:0枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
永続魔法『異次元格納庫』
セット
「僕のターン、ドロー!」
翔
手札:3→4
(この手札なら……いける!)
「魔法カード『死者蘇生』! 墓地の、『エクスプレスロイド』を特殊召喚!」
『エクスプレスロイド』
守備力1600
「そして、『エクスプレスロイド』の特殊召喚に成功したことで、墓地の『ドリルロイド』と『ジャイロイド』を手札に加える!」
翔
手札:3→5
「そして、魔法カード『ビークロイド・コネクション・ゾーン』! ビークロイドを融合召喚する! 手札の『スチームロイド』、『ドリルロイド』、『ステルスロイド』、フィールドの『エクスプレスロイド』を、融合!」
「四体融合……」
「来い! 『スーパービークロイド-ステルス・ユニオン』!!」
『スーパービークロイド-ステルス・ユニオン』融合
攻撃力3600
「……くそ」
(む? 梓……?)
融合モンスター一体。強力には違いないが、今まで決して表情を歪めることの無かった梓が、初めて顔をしかめた様を、万丈目は見逃さなかった。
「『スーパービークロイド-ステルス・ユニオン』の効果! フィールド上の、機械族以外のモンスター一体を装備する。対象は、梓さんのフィールドの、『氷結界の守護陣』!」
翔の宣言と同時に、『氷結界の守護陣』はステルス・ユニオンに吸収された。直後、ステルス・ユニオンの体の各部に氷が生まれ、足下には結界が生じた。
「さしずめ『スーパービークロイド-アイスバリア・ユニオン』、かな」
「……」
「そして、ステルス・ユニオンが攻撃する時、戦闘ダメージは半分になっちゃうけど、この効果でモンスターを装備したステルス・ユニオンは、相手モンスターに一度ずつ攻撃できる」
「いいぞ、翔!」
「うん。『スーパービークロイド-アイスバリア・ユニオン』で、『氷結界の虎将』に攻撃!」
ステルス・ユニオンが同時に放った三つの攻撃、それが、三人の虎将を一掃した。
「ぐぅ……」
凶王
LP:4000→2400
『E・HERO アブソルートZero』
攻撃力2500
「よし! ダメージが通った!!」
「最後に、アブソルートZeroに攻撃!」
「うぅ……」
凶王
LP:2400→1850
「く……アブソルートZeroがフィールドを離れたことで、効果が発動、
その宣言で、猛吹雪が起こり、辺りを凍らせる。
だが、それで終わった。猛吹雪の中、ステルス・ユニオンは平然と立つだけだった。
「なんだ、どういうことだ?」
一人、分かっていない万丈目に、翔が答える。
「アブソルートZeroはフィールドを離れた時、相手フィールドのモンスター全てを破壊する効果があるんだ」
「何だと!?」
「けど、『ビークロイド・コネクション・ゾーン』の効果で融合召喚されたスーパービークロイドは、カード効果では破壊されなくなる」
(そうか。さっき梓が一瞬顔を引きつらせたのは、ステルス・ユニオンではなく、『ビークロイド・コネクション・ゾーン』による融合召喚に対してだったのか)
「『ジャイロイド』を守備表示で召喚、ターンエンド」
『ジャイロイド』
守備力1000
翔
LP:100
手札:0枚
場 :モンスター
『スーパービークロイド-ステルス・ユニオン』攻撃力3600
『ジャイロイド』守備力1000
魔法・罠
装備魔法『氷結界の守護陣』
万丈目
LP:3000
手札:0枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
永続魔法『異次元格納庫』
セット
凶王
LP:1850
手札:0枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
永続魔法『ウォーターハザード』
永続魔法『生還の宝札』
「万丈目君!」
「ああ! 俺のターン!」
万丈目
手札:0→1
「魔法カード『強欲な壺』! カードを二枚ドロー!」
万丈目
手札:0→2
(力を借りるぞ、佐倉!)
「……ライフを800払い、魔法カード『魔の試着部屋』発動!」
「『魔の試着部屋』?」
「知っているだろう。デッキの上からカードを四枚めくり、その中のレベル3以下の通常モンスターを、全て特殊召喚する」
万丈目
LP:3000→2200
「……俺は、この三体を特殊召喚する!」
『おジャマ・イエロー』
守備力1000
『おジャマ・グリーン』
守備力1000
『おジャマ・ブラック』
守備力1000
『どーもー!!』
『どーもー!!』
『どーもー!!』
現れた三体のモンスターが、大きな声を上げた。
『あれが、兄貴の言ってたお友達……ノース校でも見たけど、やっぱ可愛い!!』
『よーし、必ずこの決闘勝つぞ!!』
『見てな兄貴! 兄貴の親友は、俺達が必ず取り戻してやる!!』
「……」
「……意外なカードを使う……」
「何とでも言え。そして、魔法カード『おジャマ・デルタサンダー!!』! 俺の場に三体のおジャマがそろっている時、相手のフィールドと手札のカード一枚につき、500ポイントのダメージを与える!」
「く……」
「梓の場のカードは、永続魔法が二枚! よって1000ポイントのダメージだ!」
『喰らえ必殺!』
『おジャマ・デルタサンダー!!』
『おジャマ・デルタサンダー!!』
『おジャマ・デルタサンダー!!』
三人がポーズを取ったそこから、三角形型の雷が、梓に直撃した。
「うぅ……」
凶王
LP:1850→850
「そして更なる効果発動! デッキから魔法カード『おジャマ・デルタハリケーン!』を墓地へ送ることで、相手フィールドのカードを全て破壊する!」
「……!!」
雷の後に発生したハリケーンが、今度は二枚の永続魔法を巻き上げ、破壊した。
「このターンで仕留めたかったのだがな……」
「仕方ないよ。もう少しだ」
「……俺はこれでターンエンドだ」
万丈目
LP:2200
手札:0枚
場 :モンスター
『おジャマ・イエロー』守備力1000
『おジャマ・グリーン』守備力1000
『おジャマ・ブラック』守備力1000
魔法・罠
永続魔法『異次元格納庫』
セット
翔
LP:100
手札:0枚
場 :モンスター
『スーパービークロイド-ステルス・ユニオン』攻撃力3600
『ジャイロイド』守備力1000
魔法・罠
装備魔法『氷結界の守護陣』
凶王
LP:850
手札:0枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
無し
「あと少し……」
「あと一撃だ……」
「……私のターン」
凶王
手札:0→1
「……魔法カード『壺の中の魔術書』。すべてのプレイヤーは、カードを三枚ドローする」
凶王
手札:0→3
万丈目
手札:0→3
翔
手札:0→3
「……魔法カード『魔法石の採掘』を発動。手札を二枚捨てることで、墓地の魔法カードを一枚、手札に加える」
凶王
手札:2→0→1
「墓地の魔法カード!?」
「まさか……」
「魔法カード『命削りの宝札』。手札が五枚になるよう、カードをドローし、五ターン後、手札を全て捨てる」
凶王
手札:0→5
「そして、『氷結界の水影』を召喚」
『氷結界の水影』
攻撃力1200
「二枚目……そうか、あのカードは三枚入ってるのか」
「……水影で、翔にダイレクトアタック!」
「悪いけどさせない。墓地から、二枚目の『カイトロイド』を除外、その攻撃は無効だ!」
先程と同じように、翔の前に現れた『カイトロイド』が、水影の攻撃を弾いた。
「……」
「そういえばライホウの効果で捨てていたな。だがなぜグルナードの直接攻撃の時に使わなかった?」
「いや……梓さんの迫力に押されて、墓地にあることすっかり忘れちゃって……」
「そもそも、捨てた後何度か『エクスプレスロイド』の効果で回収できたんじゃないのか?」
「え? ……あ!」
「おい……」
「ご、ごめん……」
そんな軽口を叩き合えるほど、憔悴していた二人の心には余裕が生まれていた。
「……三枚のカードを伏せ、ターンエンドだ」
凶王
LP:850
手札:1枚
場 :モンスター
『氷結界の水影』攻撃力1200
魔法・罠
セット
セット
セット
翔
LP:100
手札:3枚
場 :モンスター
『スーパービークロイド-ステルス・ユニオン』攻撃力3600
『ジャイロイド』守備力1000
魔法・罠
装備魔法『氷結界の守護陣』
万丈目
LP:2200
手札:3枚
場 :モンスター
『おジャマ・イエロー』守備力1000
『おジャマ・グリーン』守備力1000
『おジャマ・ブラック』守備力1000
魔法・罠
永続魔法『異次元格納庫』
セット
「僕のターン!」
翔
手札:2→3
「このターンで終わらせるよ。ステルス・ユニオンの効果! フィールド上の機械族モンスター以外のモンスターを装備する! 対象は『氷結界の水影』!」
「……」
水影が吸収された時、ステルス・ユニオンの体の氷は更に大きくなり、足下に限らず、その体の周囲にも紋章が浮かび上がった。
「『スーパービークロイド-アイスバリア・ユニオン』、梓さんにダイレクトアタックだ!!」
アイスバリア・ユニオンの拳が、梓に向かった。
「罠カード『次元幽閉』。攻撃してきたモンスターを除外する」
「な!?」
拳が梓に届こうとした時、その拳は梓ではなく、その全面に開いた穴の中へ入っていった。
「『ビークロイド・コネクション・ゾーン』によって防げるのは破壊のみ。除外を防ぐすべは無い」
「そんな……」
「速攻魔法発動!」
「え?」
「『禁じられた聖槍』!」
「……」
万丈目がカードを発動した瞬間、ステルス・ユニオンの体に、巨大な槍が突き刺さった。
「な、なに!?」
「『禁じられた聖槍』の効果だ。このターン、フィールド上のモンスター一体の攻撃力を800ポイント下げる代わりに、魔法、罠の効果を受けなくする」
「そうか!」
翔が納得したと同時に、ステルス・ユニオンの全面に開いた穴は閉ざされ、ステルス・ユニオンの攻撃が再開された。
「いけー!! アイスバリア・ユニオン!!」
「……」
ドォオオオオオオオオオオオン!!
拳が梓にぶつかったと同時に、衝撃で土煙が発生した。
「やったか!?」
万丈目が声を上げた瞬間、土煙が晴れ、梓が姿を現した。
「梓さん……?」
「……」
凶王
LP:850→4450
「なに!?」
「そんな、どうして?」
「私は『禁じられた聖槍』の発動に対し、『ドレインシールド』を発動していた。これにより、効果の逆順処理により、ステルス・ユニオンの攻撃力分だけ私のライフを回復し、攻撃が無効となったことで『禁じられた聖槍』と『次元幽閉』は不発となった」
「そういうことか……僕はカードを一枚セット、これでターンエンド」
翔
LP:100
手札:3枚
場 :モンスター
『スーパービークロイド-ステルス・ユニオン』攻撃力3600
『ジャイロイド』守備力1000
魔法・罠
装備魔法『氷結界の守護陣』
装備魔法『氷結界の水影』
セット
万丈目
LP:2200
手札:3枚
場 :モンスター
『おジャマ・イエロー』守備力1000
『おジャマ・グリーン』守備力1000
『おジャマ・ブラック』守備力1000
魔法・罠
永続魔法『異次元格納庫』
凶王
LP:4450
手札:1枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
セット
「俺のターン、ドロー!」
万丈目
手札:3→4
「装備魔法『次元破壊砲-
『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』融合
攻撃力3000
「この効果で特殊召喚されたVWXYZは、効果が無効になる。いくぞ! VWXYZで、梓に直接攻撃! VWXYZ-アルティメット・デストラクション!!」
「ぐぅ……!!」
凶王
LP:4450→1450
「カードを二枚伏せる。ターンエンド!」
万丈目
LP:2200
手札:1枚
場 :モンスター
『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』攻撃力3000
『おジャマ・イエロー』守備力1000
『おジャマ・グリーン』守備力1000
『おジャマ・ブラック』守備力1000
魔法・罠
永続魔法『異次元格納庫』
装備魔法『次元破壊砲-STU』
セット
セット
翔
LP:100
手札:3枚
場 :モンスター
『スーパービークロイド-ステルス・ユニオン』攻撃力3600
『ジャイロイド』守備力1000
魔法・罠
装備魔法『氷結界の守護陣』
装備魔法『氷結界の水影』
凶王
LP:1450
手札:1枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
セット
「……」
大きなダメージに、足下をふらつかせながら、デッキに手を伸ばす。
「ドロー……」
凶王
手札:1→2
「……速攻魔法『異次元からの埋葬』。ゲームから除外されたモンスターを三枚まで墓地に戻す。私はこの三枚を墓地に戻す」
『フィッシュボーグ-ランチャー』
『E・HERO アイスエッジ』
『氷結界の水影』
「そしてスタンバイフェイズ」
その時、突然ギロチンが現れ、梓の手札のカードを真っ二つに切り裂いた。
「五ターン前に発動した『命削りの宝札』の効果によって、手札を捨てる」
凶王
手札:1→0
「そして、私の墓地のモンスターが水属性のみであるため、『フィッシュボーグ-ランチャー』を特殊召喚する」
『フィッシュボーグ-ランチャー』
守備力100
「更に、たった今墓地へ捨てた『フィッシュボーグ-プランター』の効果。このカードが墓地にある限り、一度だけデッキの上からカードを一枚墓地へ送る。そのモンスターが水属性モンスターだった場合、このカードは墓地より特殊召喚できる」
『E・HERO オーシャン』
効果モンスター
「墓地へ送られた『E・HERO オーシャン』は水属性。よって、『フィッシュボーグ-プランター』を特殊召喚」
『フィッシュボーグ-プランター』
守備力200
「これでターンエンド」
凶王
LP:1450
手札:0枚
場 :モンスター
『フィッシュボーグ-ランチャー』守備力100
『フィッシュボーグ-プランター』守備力200
魔法・罠
セット
翔
LP:100
手札:3枚
場 :モンスター
『スーパービークロイド-ステルス・ユニオン』攻撃力3600
『ジャイロイド』守備力1000
魔法・罠
装備魔法『氷結界の守護陣』
装備魔法『氷結界の水影』
セット
万丈目
LP:2200
手札:1枚
場 :モンスター
『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』攻撃力3000
『おジャマ・イエロー』守備力1000
『おジャマ・グリーン』守備力1000
『おジャマ・ブラック』守備力1000
魔法・罠
永続魔法『異次元格納庫』
装備魔法『次元破壊砲-STU』
セット
セット
「まだやるのか……」
「もう、ライフも少ないし、手札も無いのに……僕のターン!」
翔
手札:3→4
「……ステルス・ユニオンの効果。相手の場のモンスター一体をこのカードに装備する。『フィッシュボーグ-プランター』を装備」
「……」
「そして、リバースカードオープン! 『非常食』! 自分フィールドの魔法、罠カードを一枚墓地へ送るごとに、ライフを1000回復する! 装備された三枚の装備魔法扱いのモンスターを墓地へ送る!」
翔
LP:100→3100
「更に、魔法カード『魂の解放』! 全てのプレイヤーの墓地にあるカードを五枚まで除外する。僕は墓地の『ドリルロイド』、『スチームロイド』、『スチームジャイロイド』を除外する。そして、魔法カード『次元融合』発動!」
「『次元融合』……」
「ライフを2000払って、効果発動! 全てのプレイヤーは、ゲームから除外されたモンスターを可能な限り特殊召喚する!」
翔
LP:3100→1100
『ドリルロイド』
攻撃力1600
『スチームロイド』
攻撃力1800
『スチームジャイロイド』融合
攻撃力2200
「万丈目君!」
「うん。『XYZ-ドラゴン・キャノン』!」
『XYZ-ドラゴン・キャノン』融合
攻撃力2800
「……私に除外されたモンスターは無い」
「分かってる。魔法カード『
翔
手札:1→3
「そして再び『融合』を発動! 手札の『サブマリンロイド』、フィールドの『ドリルロイド』、『スチームロイド』を融合! 来い! 『スーパービークロイド-ジャンボドリル』!」
『スーパービークロイド-ジャンボドリル』融合
攻撃力3000
「スーパービークロイドは、どちらも守備モンスターを攻撃した時、攻撃力が超えていればその数値分相手に貫通ダメージを与える効果を持ってる」
「……」
「いくよ! バトル……」
「罠発動『威嚇する咆哮』!」
「……!!」
「このターン、相手は攻撃宣言できない」
「防がれたか……僕は『エクスプレスロイド』を召喚」
『エクスプレスロイド』
守備力1600
「この効果で、墓地の『ドリルロイド』と『サブマリンロイド』を手札に加える」
翔
手札:0→2
「ターンエンド」
翔
LP:1100
手札:2枚
場 :モンスター
『スーパービークロイド-ステルス・ユニオン』攻撃力3600
『スーパービークロイド-ジャンボドリル』攻撃力3000
『スチームジャイロイド』攻撃力2200
『ジャイロイド』守備力1000
『エクスプレスロイド』守備力1600
魔法・罠
無し
万丈目
LP:2200
手札:1枚
場 :モンスター
『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』攻撃力3000
『おジャマ・イエロー』守備力1000
『おジャマ・グリーン』守備力1000
『おジャマ・ブラック』守備力1000
『XYZ-ドラゴン・キャノン』攻撃力2800
魔法・罠
永続魔法『異次元格納庫』
装備魔法『次元破壊砲-STU』
セット
セット
凶王
LP:1450
手札:0枚
場 :モンスター
『フィッシュボーグ-ランチャー』守備力100
魔法・罠
無し
「俺のターンだ!」
万丈目
手札:1→2
「罠発動! 二枚目の『ゲットライド!』! 墓地に眠る『強化支援メカ-ヘビーウェポン』を、再びVWXYZに装備、攻撃力を500ポイントアップする!」
『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』
攻撃力3000+500
「……」
「バトルだ! 『次元破壊砲-STU』を装備したVWXYZは、貫通効果を得る! VWXYZで、『フィッシュボーグ-ランチャー』を攻撃! VWXYZ-アルティメット・デストラクション!!」
「……」
ズドォン!!
「今度こそやったか!」
「……」
凶王
LP:1450
「な、なぜだ……」
「……VWXYZをよく見てみるがいい」
「なに? ……こ、これは!?」
そこには、黄色く長い何かに巻きつかれたVWXYZが立っていた。
『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』
攻撃力3000+500-500
「私の場のモンスターが攻撃された時、墓地の『キラー・ラブカ』をゲームから除外し、効果を発動した。モンスター一体の攻撃を無効にし、その攻撃力を次の私のエンドフェイズまで500ポイント下げる」
「そんな効果が……」
(しまった。XYZの効果で、手札を捨てて『フィッシュボーグ-ランチャー』を破壊すれば、梓の場はがら空きになり、『キラー・ラブカ』を封じることができた……)
「く……『XYZ-ドラゴン・キャノン』、『フィッシュボーグ-ランチャー』を攻撃! XYZ-ハイパー・デストラクション!」
「……自身の効果により、『フィッシュボーグ-ランチャー』は除外される」
今度は、黙って破壊された。
「私の墓地を注視しておくべきだったな、翔」
(……!! ……確かに、『魂の解放』の効果で、もう二枚までカードを除外できた。『キラー・ラブカ』を除外しておけば、『次元融合』での特殊召喚は許しちゃうけど、万丈目君のXYZの効果と合わせて、決闘を終わらせることができた。まさか、『魔法石の採掘』で捨てた内の一枚が、あのカードだったなんて……)
そんな、二人のやり取りを聞きながら、万丈目は叫ぶ。
「まだだ! 罠発動『おジャマトリオ』! 相手フィールドに『おジャマトークン』三体を特殊召喚する!」
「……」
『おジャマトークン』
守備力1000
『おジャマトークン』
守備力1000
『おジャマトークン』
守備力1000
今、万丈目のフィールドに並んでいる三体に、姿がそのままの三体が、今度は梓の前に現れた。三体が三体とも、筋トレをしたりお茶を点てたり、それぞれ好きな行動を取っている。
『いやあ、すみませんねえ』
『あなたのお家なのに』
『すっかりおジャマになっちゃって』
「……」
『……』
「……ゆっくりくつろいでいくといい」
『……!!』
「更に、魔法カード『融合』! 俺の場の、三体のおジャマを融合させる。いけ、雑魚ども!!」
『おいでませ! おジャマ究極合体!』
『おいでませ! おジャマ究極合体!』
『おいでませ! おジャマ究極合体!』
「『おジャマ・キング』を融合召喚!」
『おジャ~』
『おジャマ・キング』
攻撃力0
『王様だ~! 王様だ~!』
「攻撃力0を攻撃表示……」
「もちろんこれで終わりではない。まずは『おジャマ・キング』の効果。相手のモンスターカードゾーンを、三ヵ所まで使用不能にする。現在空いているモンスターゾーンは二ヵ所。その二ヵ所を使用不能にする!」
「……」
「そして、魔法カード『おジャマッスル』! フィールド上の『おジャマ・キング』を選択し発動。『おジャマ・キング』以外の『おジャマ』共を破壊し、破壊したモンスター一体につき、『おジャマ・キング』の攻撃力を1000ポイントアップさせる。『おジャマトークン』を破壊!」
『出てすぐ退場~!?』
『出てすぐ退場~!?』
『出てすぐ退場~!?』
「……」
『おジャマ・キング』
攻撃力0+3000
「更に、おジャマトークンは一体破壊されるごとに、300ポイントのダメージを相手に与える!」
「……っ」
凶王
LP:1450→550
「ターンエンドだ!!」
万丈目
LP:2200
手札:0枚
場 :モンスター
『VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン』攻撃力3000+500-500
『XYZ-ドラゴン・キャノン』攻撃力2800-500
『おジャマ・キング』攻撃力0+3000
魔法・罠
永続魔法『異次元格納庫』
装備魔法『次元破壊砲-STU』
ユニオン『強化支援メカ-ヘビーウェポン』
翔
LP:1100
手札:2枚
場 :モンスター
『スーパービークロイド-ステルス・ユニオン』攻撃力3600
『スーパービークロイド-ジャンボドリル』攻撃力3000
『スチームジャイロイド』攻撃力2200
『ジャイロイド』守備力1000
『エクスプレスロイド』守備力1600
魔法・罠
無し
凶王
LP:550
手札:0枚
場 :モンスター
使用不可
使用不可
魔法・罠
無し
「……」
「圧倒的に有利なのはこっちだ。だけど……」
「俺達のこれだけの攻撃を全て凌ぎ切るとは……」
「やっぱり、梓さんはすごい……」
「ああ。だが、いくらなんでもこれ以上は……」
「……」
「梓」
「うわ!?」
「な……!」
突然現れた、少女に、二人は同時に声を上げた。
青く輝くツインテールに、紫色のタイツを着こんだその美少女は、慈悲の籠もった表情を、梓に向けていた。
「誰、突然……あれ? 何だか見覚えがあるような……」
「どうしたアズサ、お前が直接出てくるなど」
「梓……?」
「ねえ、梓」
「……」
「もう、やめよう」
「……」
梓は、応えない。
「もう十分だよ。この二人にこれだけやって、これだけやられても全部耐えて、これ以上は無いってところまで追い込まれてさ、それでも絶対に諦めずに、これだけすごい決闘を見せて。君は十分すごいよ……」
「……」
「もうやめようよ。今の君は復讐心で動いてるけど、それでも全然変わってない。君の決闘は君のままだ。ねえ」
『……!』
「二人もそう思うでしょう」
突然話を振られ、二人は、特に翔は驚いたが、それでも、その言葉には、同意を示さざるを得ない。
「……うん。正直すごく怖くて、今までと同じ人だとは思えないくらい変わっちゃってて……でも、この決闘で分かった。梓さんは、梓さんのままだった」
「ああ。ノース校で闘った時から分かっていた。どんなに怒り、暴走していても、お前はお前だ。俺達の友である、水瀬梓だ」
「……」
「戻ってこい梓!! 俺達のもとへ!!」
「あなたが僕達にそうしてくれたように、今度は僕達があなたを助けるから!! また昔みたいに、みんなと一緒にいよう!! 梓さん!!」
「梓……」
「……」
何も答えない。
無言のまましばらく立ち尽くしたあと、梓は、
「……それも」
笑った。
「悪くない、でしょうね」
『……!!』
それは、決闘中に、いや戻ってきてからずっと見せることのなかった、昔と同じ、優しい表情だった。
「また、あの頃のように、共に研鑽し合い、互いに助け合って、芽生えた絆を慈しみ、愛しながら、今ある一日一日を、大切にしながら生きる。輝かしい絆を分かち合い、育みながら生きていく、そんな毎日を、あなた方と共に……」
「梓さん……」
「梓……」
「……」
「そんなもの!! 貴様ら人間だけで甘受しあっていればいいだろうが!!」
『!!』
「貴様らが何を言い、何を私に突き付けたところで、ゴミの私には何の関係も無い!!」
「違う! 梓はゴミなどではない! 俺達と同じ、人間だ!!」
「そう、確かに人だった。見苦しくもがき、のたうち、醜く足掻き続け、結果ゴミから人に変わった。そして、その結果が今の私だ! その上そのための復讐すら許されないと言うなら、私はゴミのままでいい!」
『……!!』
「私は二度と戻る気は無い。止まる気も無い。この身が朽ち果て、崩れ落ちようとも、私は必ず、あいつを殺す。そのために!」
「そんな……どうしてそこまで!?」
「貴様らには分からんだろうな。生き甲斐を奪われた怒りを。それを奪ったのが誰かを知った時の悲しみを。そして、それを感じているのが人ではなく、ゴミだという矛盾も。それまで感じていた人としての幸福全てが、所詮は一つのゴミの独りよがりでしかなかったという喜劇も! そして他でもない!! そのゴミこそが、私だったという茶番も!! 何より!! そんな喜劇も茶番も、全てを呑み込んでしまうほどの圧倒的な憎悪を!!」
「それは……分からないけど、でも……!」
「この際はっきりと言えばいい」
「え?」
「可笑しいのだろう。滑稽なのだろう。私という、人ですらないゴミが、いかにも人と同じだと言わんばかりに、一丁前に憎悪を抱いている。そして、人のように怒り、悲しみ、そして復讐に囚われ、こうして貴様らの前に立っている。ああ、自分でも分かっている。今この瞬間、私はこの世で最も愚劣で滑稽で、愚にもつかない、つく価値すら無い、どこまでも見下げ果てた、何の価値も無い物体だと。ゴミ、廃棄物、ガラクタ、塵芥、好きに呼べばいい。私には本来、名前など存在しないのだからな」
「そ、そんな……」
「そうだ、笑えばいい! 今の私を存分に笑え!! 精一杯人の格好をした、たかが人の形をしただけのゴミである私を!! さあ、笑え!!」
「笑えるか!!」
一方的な梓のその物言いに、とうとう万丈目が叫んだ。
「梓、そこまで思い詰めているというのなら、これ以上の言葉はお前には意味が無いだろう。だから、俺達が、この決闘でお前を連れ戻す!!」
「万丈目君……」
「準……」
「……やってみろ」
「アズサ、お前は戻っていろ」
「……うん」
二人がそう会話した直後、アズサ、と呼ばれた少女は姿を消した。
それに翔が目を丸くする中、再び万丈目は、叫んだ。
「さあ、お前のターンだ! 梓!」
「言われるまでもない。私のターン……ドロー!!」
凶王
手札:0→1
「……このターンで、貴様ら二人を葬る」
『……!!』
「そんな! そんなことが!?」
「バカな、こんな状況で、そんなことは不可能だ!!」
「なら見るがいい。復讐以外の全てを捨てた、愚劣なるゴミの末路、その決闘を」
お疲れ~。
いやぁ、相変わらず絶望的なフィールドだなぁ……いや書いたの俺なんだけどさぁ……
しかし何気に『エクスプレスロイド』が過労死気味だね。書いてみたら使い勝手が良いもんで出しまくってるのだけれども。
まあいいや。そんじゃあオリカ。
『おジャマ・デルタサンダー!!』
通常魔法
自分フィールド上に「おジャマ・グリーン」「おジャマ・イエロー」「おジャマ・ブラック」が表側表示で存在する場合に発動する事ができる。
相手のフィールドと手札のカード1枚につき、500ポイントのダメージを相手に与える。
さらに、デッキまたは手札から「おジャマ・デルタハリケーン!!」を墓地へ送る事で、相手フィールド上に存在するカードを全て破壊する。
バーン+全体破壊。
おジャマを揃えるのは少々大変だが、上手くいきゃ一発逆転が可能。
近頃はおジャマも強力になってるが、まだガチとは言い難いよなぁ。
他の未OCGのサポートと一緒に出たら良いのにね。壊れにさえしなけりゃ。
『壺の中の魔術書』
通常魔法
お互いのプレイヤーはそれぞれ自分のデッキからカードを3枚ドローする。
漫画版GXにて、十代が使用。
三枚も引けてメリットと考えるべきか、相手にも引かせちゃうのがデメリットと考えるべきか。
まあ大部分の人は前者だと思うけど。そのターンで決着つけることもできる、かも分からんし。
出たら悪用されるだろうなぁ。
『次元破壊砲-STU』
装備魔法
自分の墓地から「VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン」1体を攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する。
装備モンスターの効果は無効化される。
装備モンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。
このカードが破壊された時、装備モンスターを破壊する。
対象がVWXYZだけって時点で酷く使い辛いな。しかも貴重な効果まで無効にしちゃうし。
代わりに貫通があるのは便利かも分からんが、今回みたく守備の低いモンスターが出てくるとも限らないしなぁ。
長所を言うとしたら、これも破壊されず手札に戻せば完全蘇生の形になるってことかな、効果無効状態で。
それでもVWXYZを何度も呼ぶって場面も中々無いだろうけど。
以上。
三話も掛ける気は無かったんだけど、書き方の都合でどうしても文字数が多くなってしまう現実。
でもこう書かなきゃ大海自身決闘が分かんなくなっちゃうのであしからず。
それじゃ、次話まで待ってて。