遊戯王GX ~氷結の花~   作:大海

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さぁ~。
第三話、始まりぃ~いぇぁ~。
行ってらっしゃい。



第三話 立ちはだかる悪意

視点:梓

 その日の正午には、双葉さんから連絡が入り、翌日決闘することが決まった。

 そして、校長先生が言った通り、亮さんも、決闘して下さることを快諾してくれたそうです。

 

 

 そして翌日、オベリスクブルー専用決闘場。

 

「梓さーん!!」

「頑張れー!!」

「敗けないでー!!」

 

「ふむ……」

 どこから情報が漏れたのか、休日だというのに、おそらくほぼ全員の生徒が集まっております。

 今は刀を手に、会場の外にいますが、そこからも、彼らの歓声が聞こえてくる。

『ま、梓の人気を考えりゃあ当然だろうね』

「そう、でしょう……ね」

『あ、認めるんだ……』

「何と言うか、既に慣れました」

 もっとも、これだけ大勢の人達から勝利を祈って頂けている。それは幸せなことです。

 それを感じながら、刀を決闘ディスクに変容させる。普通のディスクでも良いのですが、大切な決闘の時には、これを使用します。

「……では、行きます」

『うし、行こう!』

 退学の賭かった決闘。それも、おそらくこちらが圧倒的に不利な決闘。

 もしかしたら、勝ち目はゼロと考えるべきなのかもしれない。

 なのに、私の胸は静まり返っていた。

 なぜか……

 私には、このアカデミアで出会った仲間がいる。そんな仲間達が、私の勝利を信じて、待ってくれている。

 そして、守るべき約束がある。

 だから今は、ただ、目の前の決闘を全力で、ただ勝利を目指して……

 

 

 

視点:外

 

『わあああああああああああああああああああ!!』

『きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!』

 

 ドアを開け、決闘場に立った時、その巨大な歓声が梓を迎えた。

 その中には当然、

「梓ー!!」

「梓さーん!!」

『頑張れよー!!』

 十代ら、そして、真六武衆らもいる。

 それらに顔を向けながら、梓は、正面を見据えた。

 

「おぉおぉ、随分な人気だこと」

 シエンいわく、邪悪を圧縮したような目。

 正にそんな目で梓を睨み据え、双葉は、卑しい微笑を浮かべていた。

「ほんっと、ガキどもは良いわよねぇ。ちょっと見てくれさえ良ければ簡単に信じるんだからさぁ。ああイライラする。真実も何も見ようとしないくせに盛り上がって、だからクソガキは嫌いなのよ」

「……」

「まあ、どうでも良いけど。こんだけあたしに手間掛けさせたんだ。その償いはきっちりしてもらうからね」

「お好きなように」

 そう返すと、双葉は鼻を鳴らしながら、ドアの方へ振り返る。

 そこには、双葉の使用人と思しき、黒いスーツ姿の男が二人。

 その二人がドアを開けた。

「さあ、これがあたしの連れてきた、決闘者よ」

 

「あ、あれは!!」

「お、おい!!」

「うそ!?」

「えぇ!!」

 

 生徒達の驚愕に包まれながら、その決闘者()は決闘場に上がった。

「学生だとは聞いていたけど……」

「ほぉ、こらまた別嬪じゃの~」

 一人は、緑色の服と半ズボン。おかっぱ頭の下に光る奇抜なデザインの眼鏡。

 もう一人は、赤いニット帽が特徴的な、動きやすそうな服装と目つきの悪い顔。

「じゃあ、紹介とか面倒だから、あんたら適当に名乗っといて」

 その不遜な言葉と態度に、二人とも顔を歪ませるが、すぐに梓に向き直った。

「僕は『インセクター羽蛾(はが)』。プロ決闘者だ」

「同じく、『ダイナソー竜崎(りゅうざき)』や」

「初めまして。水瀬梓と申します。一応申しておきますが、男子です」

「……え、男子!?」

「その服と顔でかい!?」

「え、ええ、まあ……お二人のことは伺っております。大変有名ですから」

「ヒョヒョヒョ……どうせ悪い噂だろう」

 口元を無理やり吊り上げ、だが全く笑わない視線を逸らしながら、羽蛾はそう言う。

 竜崎もまた、笑わないまま同じ種類の表情を浮かべた。

「……確かに、お二人の名前は有名ですが、あまり良い噂は聞きません」

 梓も、そう正直に答えた。

 

「どういうことだ?」

 一人、分かっていない十代が、隣に座る三沢らに尋ねた。

「インセクター羽蛾とダイナソー竜崎。元全日本チャンピオンと準優勝者の二人であり、伝説の決闘者と呼ばれる『武藤遊戯』、その親友である『城之内克也』らとも闘ったことのある決闘者だ」

「けど、その二人に敗けてからは連敗が続いて、どうにかプロ決闘者としてデビューすることもできたけど、そこでも連戦連敗。勝つのは十試合に一度あるかないか、おまけに勝ち試合では全て不正を働いていた、なんて噂もあるわ」

「そんなイメージを利用して負け犬キャラとして大成した時期もあったが、ピークが過ぎて以降はメジャーリーグでは呼ばれることが無くなり、現在はマイナーリーグの下位ランキングを行き来しているらしい」

「へぇ……」

 

「何であんな奴らが呼ばれたんだ……?」

「いくらプロでも、ああはなりたくないもんだよな……」

 

 三沢らが解説をしている間にも、そのような吹聴が、生徒達の間に広がっていた。

「まあ、笑われるんも慣れとるで、好きなように言うたらええ。ワイらもただ、高い報酬に釣られて来ただけやさかい」

「報酬……」

 梓が呟きながら、双葉の方を見る。双葉は鼻を鳴らしながら、二人を見下していた。

「そうよ。学生相手でもプロを雇うには金が掛かるからね。一番安いのがその二人だったのよ。たかがゴミの回収だけで、金なんて掛けたくないからね」

「……」

「そういうこと。リアルな話し、ずっと支えてくれていたスポンサーからは、やんわり契約を切るって話しも出てるんだ……」

「そうでなくとも生活には困っとるさかい、金はどうしても必要やねん。おそらくこれが、プロとしては最後の決闘になるやろうなぁ……」

「そうですか……」

 二人に対して、梓はただ、そう言うだけだった。

 哀れみは無い。同情も無い。その目はただ、決闘の相手としての二人を見つめていた。

「……ほう、若い時分でええ目しとるな」

「ああ。これは、最後の相手としては、期待できそうだな」

 二人が、そう呟いた時だった。

 

「それデーハ、只今より、セニョール梓の退学を賭けた、エキシビション決闘の開会を宣言するのーネ!!」

 

「え、今、何ていった?」

「梓さんの、退学を賭けた!?」

「何だよそれ!?」

「何で? どういうこと!?」

 

 クロノスが叫び、会場の生徒には、困惑と疑問が広がっていった。

(決闘する理由までは知られていなかったわけですか……)

「それで、君のパートナーはどこだい?」

「……は?」

 羽蛾からの質問に、梓は首を傾げた。

「はって、何や……?」

 

「えー、それデーハ、今回の決闘での、特別ルールを発表しますのーネ」

 

「特別ルール?」

「何やそれ?」

「……」

 疑問を口にする二人と、ただ黙って目を閉じる梓。

(やはり、普通の決闘ではないか……)

 

「……!! な、なんなのーネ、これは……!!」

 手元の紙を眺めた直後、クロノスはそう、悲鳴を上げた。

 

「な、何だ?」

「どうしたんだ……?」

 

「し、失礼しましたのー……こほん、えー、今回のルールでスーが……」

 そして、かなり言い辛そうに、手元の紙を見ながら、再び正面梓ら三人を見る。

「まず、決闘方式は、二対一のバトルロイヤル形式。先行は、プロ二人からのスタートなのーネ。そして初期ライフが、プロ二人がライフ4000ポイント、セニョール梓が、1000ポイントからのスタートなのーネ……」

 

『……』

 

『はぁ!?』

 

 一瞬、沈黙が会場を包んだ後、すぐに驚愕と野次のそれに変わった。

 

「何だよそのルール!?」

「梓さんは学生だぞ!!」

 

「どういうことだ!? 二人でとは聞いたが二対一なんて聞いてないぞ!!」

「せや!! それに学生相手にそのライフのハンデは何やねん!?」

 二人からの苦情と、学生達からの野次。

 それに包まれながら、双葉は変わらぬ不遜な態度で、手を振って見せていた。

「あー分かった分かった。不満なら直すから」

 そう言いながら、クロノスの元へ駆け寄る。そして、耳打ちをした直後、更にクロノスの顔が歪んだ。

 

「えー、プロお二人から不満があったらしいので、ルール変更なのーネ……」

 

「当たり前だ」

「いくら弱いからって、そんなルールで決闘なんてできるかよ……」

 

「プロ二人の初期ライフが、それぞれ10000ポイントずつ、セニョール梓が100ポイントスタート、そしてセニョール梓に限り、決闘中はいかなる手段を持ってのライフ回復も認めない、以上なのーネ……」

 

『……』

 

『はぁあああああああああああああああ!?』

 

 先程以上の驚愕。そして、

「何だそのクソルール!!」

「ふざけんなー!!」

 

「おい!! 僕達がいつそんな提案をした!?」

「あら、違うの?」

「当たり前や!! 学生相手にそんなもん、どんだけ理不尽なルールやねん!!」

「別に良いでしょう。どうせあんたら弱いんだから、このくらいハンデが無きゃ勝てないでしょう。むしろ感謝して欲しいくらいだわ」

「何だとぉ……」

「それに、これは私が決めたわけじゃないし」

『え……?』

 二人が疑問の声を上げた時、

 

「お前らそれでもプロかよ!!」

「学生相手にそこまでして勝ちたいのか!?」

「お前らなんか、プロやめちまえー!!」

 

『……!!』

 双葉が言ったのは、正にそれだった。

 双葉が提案したルールを、いつの間にか羽蛾と竜崎の提案したそれとして浸透させられてしまっていた。

(自分に向けられた非難を、一気に他人に押し付ける。相変わらずだ、双葉さん……)

 

「帰れー!! お前らなんか、決闘者失格だー!!」

「帰れー、恥知らず決闘者!!」

 

 数々の罵詈雑言と共に、

「ちょ、物を投げないで欲しいのーネ!」

 クロノスの言った通り、空き缶やゴミなど、当たれば軽くケガをしそうなものを投げられる始末となっていた。

「ふざけるな、誰がそんなルールで……」

「報酬なんぞいらんわ。こんな決闘、こっちから願い下げやで……」

 二人とも、投げつけられるゴミを両手で防ぎながら、そう呟いた直後のことだった。

 

「このバカ野郎!!」

 

 ガンッ

 

『……!!』

 

 誰かが投げた、座席のシート。硬く大きなそれが、

「お、お前……」

「あぁ……」

 二人にぶつかる寸前、梓がその身で、正確には、後頭部で、受け止めていた。

 

「梓さん……」

「そんな……」

 

 罵詈雑言から一変、会場全体が呆然とした沈黙に包まれる。

 その中で、梓はクロノスの方へ向き直った。

「分かりました。そのルールで決闘を行いましょう」

『……!!』

 

「な、梓さん!?」

「嘘だろう!?」

「いくら梓さんでも、そんなこと……」

 

「いや、ちょっと待てや……」

「無理だ、こんなルールでの決闘、君に勝ち目は無いぞ……」

 二人もそう静止しようとしたが、梓は首を横に振った。

「構いません。元より、あの人が関わっている時点で、普通の決闘ができるなどとは考えていませんから」

『……』

「それでも……いえ、そうでなくとも私は、あなた方お二人と、ぜひ決闘がしたい。ですからどうか、私との決闘を、お願い致します」

 そう言って、お辞儀をした。

 

「梓さん……」

『……』

 

 無論、二人としても、断る、という選択肢はあった。

 だが、その選択肢を選ばせなかったのは、梓の見せた、誠心誠意の態度と、確かに感じた、強い覚悟、そして……

「……分かった」

「やろうで」

 この男と闘ってみたい。そんな、決闘者としての、シンプルな欲求だった。

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおお!!』

 

 そして会場もまた。

 

「いいぞー!! 梓さーん!!」

「男らしい!! イケメン!!」

「頑張れー!! 水瀬梓さーん!!」

 

『梓! 梓! 梓! 梓!』

『梓! 梓! 梓! 梓!』

『梓! 梓! 梓! 梓……』

 

 梓のその答えに、静寂から、歓声へ、大いに盛り上がりを見せた。

 

「それデーハ、決闘を開始するのーネ!!」

 どうにか場を鎮静させた後での、クロノスの宣言。決闘ディスクの装着。そして、互いに向かい合い、

「決闘開始ー!!」

 圧倒的なハンディキャップ決闘が、幕を開けた。

 

『決闘!!』

 

 

インセクター羽蛾

LP:10000

手札:5枚

 場:無し

 

ダイナソー竜崎

LP:10000

手札:5枚

 場:無し

 

LP:100

手札:5枚

 場:無し

 

 

(さ~て、梓の性格だから、絶対に受けるって思ったわ。一昨日は連れてこなかった黒服も、今は会場中に待機させてあるし、梓が敗けた時点で、有無を言わさず連れ出す。それまでせいぜい、苦しんで苦しんで苦しんで、醜い姿を晒しちゃいなさい、ふふふふふ……)

 

(あんな女のクソルールで決闘っていうのも気に入らないが……)

「僕のターン、ドロー」

 

インセクター羽蛾

手札:5→6

 

「……すまない、梓君。僕らも一応はプロ決闘者だ。依頼を受けてここにいる以上、手加減はできない」

「もちろんです。全力で来て下さい」

「……分かった。僕は『速攻の吸血蛆』を召喚!」

 

『速攻の吸血蛆』

 レベル4

 攻撃力500

 

「なぁ!!」

「おいおい、本当に手加減無しか!?」

「ど、どうしたんだ?」

 叫ぶ三沢と万丈目に、十代が尋ねる。見ると、明日香や翔も、驚愕の表情を浮かべていた。

 

「本来決闘では、先行一ターン目に全てのプレイヤーは攻撃することはできない。だがこの『速攻の吸血蛆』は、決闘モンスターズで唯一、先行一ターン目からの攻撃を許されたモンスターだ。そしてそれは、バトルロイヤルルールでも適用される」

 

「何だって!?」

「梓のライフは100、フィールドには何も無いこの状況で、攻撃を防ぐすべなんて無い」

「梓さん!!」

 

「『速攻の吸血蛆』で、梓君にダイレクトアタックだ!!」

 吸血蛆の体中から生えた触手が、梓に向かっていった。

 

『梓さん!!』

 

「手札の『バトルフェーダー』の、効果発動!」

 触手が梓に届きそうになった直後、その前に一体のモンスターが現れる。

 それが、自らの体を慣らし、巨大な鐘の音を決闘場に響かせた。

「な、何が起こったんだ……?」

「相手のダイレクトアタック宣言時、手札の『バトルフェーダー』を特殊召喚することで、その攻撃を無効とし、バトルを終了させます」

 

『バトルフェーダー』

 レベル1

 守備力0

 

「く、そんなモンスターが……だが僕は、メインフェイズに『速攻の吸血蛆』の効果を発動する。このカードが直接攻撃したターン、手札を一枚捨てることで、守備表示に変更できる」

 

インセクター羽蛾

手札5→4

 

『速攻の吸血蛆』

 守備力1200

 

「更にカードを三枚伏せ、ターンエンド」

 

 

インセクター羽蛾

LP:10000

手札:1枚

 場:モンスター

   『速攻の吸血蛆』守備力1200

   魔法・罠

    セット

    セット

    セット

 

LP:100

手札:4枚

 場:モンスター

   『バトルフェーダー』守備力0

   魔法・罠

    無し

 

 

「ワイのターンや。ドロー」

 

ダイナソー竜崎

手札:5→6

 

(羽蛾は早速あのコンボを仕掛けとるな。ほな、ワイも利用させてもらうで……)

「ワイは手札より、『俊足のギラザウルス』を特殊召喚するで!」

 

『俊足のギラザウルス』

 レベル3

 攻撃力1400

 

「『俊足のギラザウルス』は、特殊召喚扱いとして場に召喚できる。この方法で特殊召喚した際、相手は墓地からモンスター一体を特殊召喚できるんやが、君の墓地にはモンスターがおらんけん効果の発動は無しや」

「分かっています」

「ほな、ワイは『俊足のギラザウルス』を生贄に捧げ、『暗黒(ダーク)ドリケラトプス』を召喚や」

 

『暗黒ドリケラトプス』

 レベル6

 攻撃力2400

 

「攻撃はできん。カードをセットして、これでターンエンドや」

 

 

ダイナソー竜崎

LP:10000

手札:3枚

 場:モンスター

   『暗黒ドリケラトプス』攻撃力2400

   魔法・罠

    セット

 

LP:100

手札:4枚

 場:モンスター

   『バトルフェーダー』守備力0

   魔法・罠

    無し

 

 

「さすがに、連続でそうダメージを与える効果は続かないか」

「だが『暗黒ドリケラトプス』には、守備モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与える効果がある」

「『バトルフェーダー』の守備力は0。危険は変わらない」

『……』

 

「大丈夫だよ」

 

 不安を表す十代らにそう話し掛けたのは、誰あろう、あずさ。

「だって、梓くんなんだから」

「あずさ……いや、でも……」

「大丈夫。梓くんは、誰にも負けないよ」

『……』

 

「私のターンです。ドロー」

 

手札:4→5

 

「相手フィールドのカードが、自分のフィールドより四枚以上多い場合、このカードは手札より特殊召喚できます。『氷結界の交霊師』を特殊召喚」

 

『氷結界の交霊師』

 レベル7

 攻撃力2200

 

「レベル7のモンスターを、いきなり特殊召喚!?」

「そして、『氷結界の守護陣』を守備表示で召喚します」

 

『氷結界の守護陣』チューナー

 レベル2

 守備力1600

 

「交霊師が表側表示で存在する限り、あなた方は一ターンに一度しか魔法・罠を発動できません。更に、守護陣とそれ以外の『氷結界』が場にある限り、あなた方は守護陣の守備力を超えるモンスターでの攻撃宣言ができなくなります」

 

「出た、俺達二人を倒した!!」

「梓さんのロックコンボだ!!」

 

「それは少し困るな……速攻魔法『月の書』! これで君の交霊師を裏守備表示に変更!」

 

 セット(『氷結界の交霊師』守備力1600)

 

「ああ!」

「そんな……」

 

「……カードを二枚伏せます。これでターン終了です……」

「待った! 永続罠、『リビングデッドの呼び声』を発動!」

「……! 吸血蛆の効果で墓地へ送ったカード……」

「その通り。この効果で僕は、墓地に眠る『アルティメット・インセクトLV3』を特殊召喚だ!」

 

『アルティメット・インセクトLV3』

 レベル3

 攻撃力1400

 

「更にチェーンして、速攻魔法『地獄の暴走召喚』を発動!」

「これは……」

「相手の場にモンスターが存在する状態で攻撃力1500以下のモンスターの特殊召喚に成功した時、それと同名のカードを手札、デッキ、墓地から特殊召喚できる。僕はたった今特殊召喚した、『アルティメット・インセクトLV3』を、デッキより特殊召喚する」

 

『アルティメット・インセクトLV3』

 レベル3

 攻撃力1400

『アルティメット・インセクトLV3』

 レベル3

 攻撃力1400

 

「そして、相手は自分フィールドに存在するモンスターと同名のモンスターを特殊召喚できる」

 

「そうか!! これはタッグ決闘ではなく、バトルロイヤルルール!!」

 

「ワイはデッキより、もう一体の『暗黒ドリケラトプス』を特殊召喚や!」

 

『暗黒ドリケラトプス』

 レベル6

 攻撃力2400

 

「ふむ……私もその効果で、デッキより二体目の守護陣を特殊召喚します」

 

『氷結界の守護陣』チューナー

 レベル2

 守備力1600

 

「これで守護陣の効果が再び適用されます」

「……しまったな。同名モンスター同士でも効果は発動するのか……」

「改めまして、ターンエンド」

 

 

LP:100

手札:1枚

 場:モンスター

   『バトルフェーダー』守備力0

   『氷結界の守護陣』守備力1600

   『氷結界の守護陣』守備力1600

    セット

   魔法・罠

    セット

    セット

 

インセクター羽蛾

LP:10000

手札:1枚

 場:モンスター

   『速攻の吸血蛆』守備力1200

   『アルティメット・インセクトLV3』攻撃力1400

   『アルティメット・インセクトLV3』攻撃力1400

   『アルティメット・インセクトLV3』攻撃力1400

   魔法・罠

    無し

 

ダイナソー竜崎

LP:10000

手札:3枚

 場:モンスター

   『暗黒ドリケラトプス』攻撃力2400

   『暗黒ドリケラトプス』攻撃力2400

   魔法・罠

    セット

 

 

「だが、ピンチなのは変わらない……」

「しかも、羽蛾のフィールドの『アルティメット・インセクト』は……」

「梓……」

 

「いくぞ! 僕のターン!」

 

インセクター羽蛾

手札:1→2

 

「このスタンバイフェイズ、三体の『アルティメット・インセクトLV3』は、LV5へとレベルアップする!」

 

『アルティメット・インセクトLV5』

 レベル5

 攻撃力2300

『アルティメット・インセクトLV5』

 レベル5

 攻撃力2300

『アルティメット・インセクトLV5』

 レベル5

 攻撃力2300

 

「LV3の効果で特殊召喚されたこのモンスターが存在する限り、相手フィールドのモンスター全てのモンスターの攻撃力を500ダウンさせる」

「当然、この効果はワイの場にも適用されるで」

 

『暗黒ドリケラトプス』

 攻撃力2400-1500

『暗黒ドリケラトプス』

 攻撃力2400-1500

 

「……」

 

『氷結界の守護陣』

 攻撃力200-1500

『氷結界の守護陣』

 攻撃力200-1500

 

「守護陣の効果で攻撃はできない。僕はこれでターンエンドだ」

 

 

インセクター羽蛾

LP:10000

手札:2枚

 場:モンスター

   『速攻の吸血蛆』守備力1200

   『アルティメット・インセクトLV5』攻撃力2300

   『アルティメット・インセクトLV5』攻撃力2300

   『アルティメット・インセクトLV5』攻撃力2300

   魔法・罠

    無し

 

ダイナソー竜崎

LP:10000

手札:3枚

 場:モンスター

   『暗黒ドリケラトプス』攻撃力2400-1500

   『暗黒ドリケラトプス』攻撃力2400-1500

   魔法・罠

    セット

 

LP:100

手札:1枚

 場:モンスター

   『バトルフェーダー』守備力0

   『氷結界の守護陣』守備力1600

   『氷結界の守護陣』守備力1600

    セット

   魔法・罠

    セット

    セット

 

 

「ワイのターン、ドロー!」

 

ダイナソー竜崎

手札:3→4

 

「今の『暗黒ドリケラトプス』の攻撃力は900。これで守護陣のロックをすり抜けられるっちゅうわけや。そして、君の場の『バトルフェーダー』の守備力は0。バトルや! 『暗黒ドリケラトプス』で、『バトルフェーダー』を攻撃!」

 

「まずい!」

 

「梓さん!!」

 

 有無を言わせぬ角の一撃が、『バトルフェーダー』を貫く。

「罠発動! 『ガードブロック』! 戦闘ダメージを無効にし、カードを一枚ドロー!」

 だがその衝撃を、梓がドローしたカードが、結界を発生させたことで防いだ。

 

手札:1→2

 

「自身の効果で特殊召喚された『バトルフェーダー』は、フィールドを離れた時ゲームから除外されます」

「凌いだか。せやけどこれならどうや……二体目の『暗黒ドリケラトプス』で、『氷結界の守護陣』を攻撃や!」

 

「なに? 守護陣の守備力の方が高いのにか?」

「……そうか!」

 

「この瞬間、罠発動『ライジング・エナジー』! 手札を一枚捨て、効果発動や!」

 

ダイナソー竜崎

手札:4→3

 

「エンドフェイズまで『暗黒ドリケラトプス』の攻撃力を1500ポイントアップや!」

 

『暗黒ドリケラトプス』

 攻撃力2400-1500+1500

 

「攻撃力が戻った!?」

「ど、どういうことだ!?」

 

「守護陣の効果は攻撃宣言を封じる効果。攻撃そのものを封じる効果やない。つまり、攻撃宣言さえ適用されりゃその後で攻撃力を上げることは自由っちゅうこっちゃ!」

「その通りです……」

 説明する間に、『暗黒ドリケラトプス』が守護陣に迫っていく。

「この攻撃は凌げるか!?」

 

『梓!!』

 

「速攻魔法『収縮』発動! エンドフェイズ時まで『暗黒ドリケラトプス』の攻撃力を、元々の半分の数値とします!」

「何やと!? てことは……」

 

『暗黒ドリケラトプス』

 攻撃力2400/2-1500+1500

 

「攻撃力、1300……」

 体が半分に縮んだ『暗黒ドリケラトプス』の角の攻撃が、守護陣によって跳ね返される。

「くぅ……」

 

ダイナソー竜崎

LP:10000→9700

 

「……ワイは『ベビケラサウルス』を守備表示で召喚」

 

『ベビケラサウルス』

 レベル4

 守備力500

 

「更にカードをセット。これでターンエンドや」

 

 

ダイナソー竜崎

LP:9700

手札:1枚

 場:モンスター

   『暗黒ドリケラトプス』攻撃力2400-1500

   『暗黒ドリケラトプス』攻撃力2400-1500

   『ベビケラサウルス』守備力500

   魔法・罠

    セット

 

インセクター羽蛾

LP:10000

手札:2枚

 場:モンスター

   『速攻の吸血蛆』守備力1200

   『アルティメット・インセクトLV5』攻撃力2300

   『アルティメット・インセクトLV5』攻撃力2300

   『アルティメット・インセクトLV5』攻撃力2300

   魔法・罠

    無し

 

LP:100

手札:2枚

 場:モンスター

   『氷結界の守護陣』守備力1600

   『氷結界の守護陣』守備力1600

    セット

   魔法・罠

    無し

 

 

「何とか凌いだけど、もう伏せカードは無い……」

「ここからどうするの? 梓さん……」

「……」

 

「私のターン」

 

手札:2→3

 

「速攻魔法『サイクロン』を発動! この効果で、ダイナソーさんの伏せカードを破壊します!」

「タイナソーさん?」

 

「破壊されたのは、『狩猟本能』か」

「恐竜族一体の攻撃力を1000ポイントアップする装備カードとなる罠カード。破壊して正解だな……」

 

 だが、竜崎が気にしたのはそれ以外の事柄だった。

「……はい。ダイナソーさんというお名前ですよね?」

「そうやけど……別にわざわざ呼ぶ名前でも無いやろ。本名ともちゃうしやな……」

「えぇ!! 本名ではなかったのですか!?」

「んなわけあるかい!? 決闘するためのリングネームや!」

「はぁ……もしかして本名は、『エル』さんだったりします?」

「そうそう。イッツ チェンジ ザ ワ~ルド……て、何でやねん! 誰が世界三大探偵やねん! 死神も大学生も追っかけとらんわ!」

「では、ネイト……」

「ばらまくほど金持ってないし気色悪い黒髪のお面なんか持っとらんわい!」

「ノートのすり替えは?」

「ジェバンニが一晩でやってくれました……言うとる場合か! 違うっちゅうに!!」

「では、まさか……」

「板チョコも常備しとらん!! 腕時計にも細工はしとらん!! モデルとも違う!! 出世なんぞ興味も無い!! 検事なんかしとらん!!」

「そうですか……ということは、あなたも?」

「当然、インセクターは本名じゃないからね」

「そうですか。では、羽蛾さんと竜崎さんと呼ばせていただきます」

(最初からそう呼べや……)

(僕には何もないんだ……)

 

「あいつら何の話ししてるんだ?」

「梓も相変わらずね……」

 

「続けます。魔法カード『天使の施し』を発動します。デッキからカードを三枚引き、二枚を捨てます……更に永続魔法『生還の宝札』。これで私の墓地からモンスターが特殊召喚される度、私はカードを一枚ドローできます」

「墓地……てことは……」

「魔法カード『死者蘇生』を発動! 私は墓地に眠る『氷結界の虎将 ガンターラ』を特殊召喚します!」

 

『氷結界の虎将 ガンターラ』

 レベル7

 攻撃力2700-1500

 

「攻撃力、2700……」

「『暗黒ドリケラトプス』を超えられたか……」

「『生還の宝札』の効果で一枚ドローします」

 

手札:0→1

 

「そして、裏守備表示の『氷結界の交霊師』を攻撃表示に変更します」

 

『氷結界の交霊師』

 レベル7

 攻撃力2200-1500

 

「バトルです! ガンターラで、『暗黒ドリケラトプス』を攻撃します! 凍撃輪舞!」

 ガンターラの回し蹴りが、『暗黒ドリケラトプス』の一体を吹き飛ばした。

 

ダイナソー竜崎

LP:9700→9400

 

「ちぃ……」

「カードを一枚伏せ、ターンエンド。そしてこのエンドフェイズ、ガンターラのモンスター効果が発動します。墓地より『氷結界』と名の付くモンスター一体を蘇生させます。『氷結界の虎将 ライホウ』です」

 

『氷結界の虎将 ライホウ』

 レベル6

 守備力2300

 

「『生還の宝札』の効果で、一枚ドロー」

 

手札:0→1

 

 

LP:100

手札:1枚

 場:モンスター

   『氷結界の虎将 ガンターラ』攻撃力2700-1500

   『氷結界の虎将 ライホウ』守備力2300

   『氷結界の交霊師』攻撃力2200-1500

   『氷結界の守護陣』守備力1600

   『氷結界の守護陣』守備力1600

   魔法・罠

    永続魔法『生還の宝札』

    セット

 

インセクター羽蛾

LP:10000

手札:2枚

 場:モンスター

   『速攻の吸血蛆』守備力1200

   『アルティメット・インセクトLV5』攻撃力2300

   『アルティメット・インセクトLV5』攻撃力2300

   『アルティメット・インセクトLV5』攻撃力2300

   魔法・罠

    無し

 

ダイナソー竜崎

LP:9400

手札:1枚

 場:モンスター

   『暗黒ドリケラトプス』攻撃力2400-1500

   『ベビケラサウルス』守備力500

   魔法・罠

    無し

 

 

「二ターンを掛けたとは言え、圧倒的に不利な状況でモンスターゾーンを埋めるなんて……」

「こら、学生やと思て甘く見過ぎとったようやの……」

 

「何やってるの!?」

 

『……!』

 

「さっさと勝ちなさいよ! でないと報酬払わないわよ!!」

 

「ちっ、うるさいな。分かってるよ。僕のターン、カードドロー!」

 

インセクター羽蛾

手札:2→3

 

「そしてこのスタンバイフェイズ……」

「待って下さい!」

「……!」

「『氷結界の虎将 ライホウ』」の効果! このカードが場にある限り、フィールド上で発動した相手モンスターの効果は、手札を一枚捨てなければ無効となります」

「なに!? てことは……」

「『アルティメット・インセクトLV5』は三体。一体につき手札を一枚捨てなければ、レベルアップは不可能です」

「……」

(どうする……? 手札には、特に使えそうなカードは無い。ブラフで伏せておくことも可能ではあるが、彼にそんな手は通じないと思った方がいい。どの道、今の所僕の場の守りはしっかりしている。……よしっ)

「手札を三枚捨てて、効果を発動!」

 

インセクター羽蛾

手札:3→0

 

「LV5から、LV7へとレベルアップ!!」

 

『アルティメット・インセクトLV7』

 レベル7

 攻撃力2600

『アルティメット・インセクトLV7』

 レベル7

 攻撃力2600

『アルティメット・インセクトLV7』

 レベル7

 攻撃力2600

 

「うわぁ……」

「どでかいハエが三匹……」

「気持ち悪い……」

 

「う……LV7の効果! このカードがLV5の効果で特殊召喚された場合、相手モンスター全ての攻撃力・守備力を700ポイントダウンさせる!」

 

『暗黒ドリケラトプス』

 攻撃力2400-2100

『ベビケラサウルス』

 守備力500-2100

 

『氷結界の虎将 ガンターラ』

 攻撃力2700-2100

『氷結界の虎将 ライホウ』

 守備力2300-2100

『氷結界の交霊師』

 攻撃力2200-2100

『氷結界の守護陣』

 守備力1600-2100

『氷結界の守護陣』

 守備力1600-2100

 

「LV7は、攻撃力だけじゃなくて守備力まで下げちまうのか!?」

 

「これで、……? ……しまった!!」

「な、なんや……?」

「やられた……」

「何を?」

「守護陣の守備力を見ろ」

「守護陣の守備力……?」

 

『氷結界の守護陣』

 守備力1600-2100

『氷結界の守護陣』

 守備力1600-2100

 

「二体とも、守備力0……は!!」

 

「そうか!」

「どういうことだ?」

「守護陣の効果は、守護陣自身の守備力より上の攻撃力を持つモンスターでの攻撃宣言を封じる効果だ。つまり……」

 

「守備力が0っちゅうことは、ワイらは攻撃することができひん……」

「攻撃以外の手段で、守護陣をどうにかする必要があるってことだ……」

 

「何だそのプレイミス……」

「ダサ……」

「普通やるかね、自分のカードで、そんなミス……」

 

(違う。こうなることくらいは分かってた。だから本当はレベルアップはせずにとどめておくつもりだったけど、彼のライホウの効果の、三体なら三枚、という説明に誘導させられて、レベルアップさせてしまった……)

(おまけに、LV7だけが持つアルティメット・インセクトの特性も知っとった。普通学生どころか、プロでさえ勘違いして覚えとる(もん)も多い効果やっちゅうのに……)

(言葉での誘導に、豊富なカードの知識……)

(水瀬梓、やっぱただもんやないで……)

「……僕はこれでターンエンド」

 

 

インセクター羽蛾

LP:10000

手札:0枚

 場:モンスター

   『速攻の吸血蛆』守備力1200

   『アルティメット・インセクトLV7』攻撃力2600

   『アルティメット・インセクトLV7』攻撃力2600

   『アルティメット・インセクトLV7』攻撃力2600

   魔法・罠

    無し

 

ダイナソー竜崎

LP:9400

手札:1枚

 場:モンスター

   『暗黒ドリケラトプス』攻撃力2400-2100

   『ベビケラサウルス』守備力500-2100

   魔法・罠

    無し

 

LP:100

手札:1枚

 場:モンスター

   『氷結界の虎将 ガンターラ』攻撃力2700-2100

   『氷結界の虎将 ライホウ』攻撃力2100-2100

   『氷結界の交霊師』攻撃力2200-2100

   『氷結界の守護陣』守備力1600-2100

   『氷結界の守護陣』守備力1600-2100

   魔法・罠

    永続魔法『生還の宝札』

    セット

 

 

「心配すんな、羽蛾。ミスはワイが取り返したる。ワイのターン、ドロー!」

 

ダイナソー竜崎

手札:1→2

 

「……おっしゃ! 魔法カード『テールスイング』を、『暗黒ドリケラトプス』を選択して発動や!」

 

「いかん!」

「まずい!」

 

「このカードはレベル5以上の恐竜族モンスター一体を選択して発動できる。相手フィールドの裏守備モンスターか、選択したモンスターのレベル未満のモンスターを合計二体まで選んで手札に戻せるんや」

「……」

「『暗黒ドリケラトプス』のレベルは6、手札に戻すんは当然、レベル2の『氷結界の守護陣』二体やで! テールスイング!」

「……」

 『暗黒ドリケラトプス』が巨大な尾を振りかざし、梓の場の二体の守護陣は姿を消した。

 

手札:1→3

 

「これで攻撃ができる。ワイは『暗黒ドリケラトプス』と、『ベビケラサウルス』を生贄に、『究極恐獣(アルティメットティラノ)』を召喚や!」

 

『究極恐獣』

 レベル8

 攻撃力3000-2100

 

「『究極恐獣』はバトルフェイズ、このモンスターから攻撃を開始し、相手のモンスター全てに攻撃せなあかん。更に、これは強制の永続効果やさかい、ライホウの効果で無効にはならへん。バトルや! 『究極恐獣』で、まずは『氷結界の交霊師』を攻撃する! アブソリュート・バイト!」

 

「やめてくれ!」

「梓さん!」

 

「永続罠『スピリットバリア』! 私の場にモンスターがある限り、私は戦闘ダメージを受けません」

「……っ、しゃあない、まずは確実に戦闘破壊や!」

 『究極恐獣』の爪に交霊師が倒れるが、その衝撃は目の前に発生したバリアにより、梓には届かない。

「まだまだいくで! 今度はライホウに、アブソリュート・バイト!」

「く……!」

「最後はガンターラ、アブソリュート・バイト!」

「ぐぅ……」

「そして、これはバトルロイヤルルールや。『究極恐獣』で、羽蛾のフィールドのアルティメット・インセクトを攻撃や!」

 先程の三体と同じように、アルティメット・インセクトにも向かうが、その爪に貫かれることはなく、反撃された。

「ぐぅ……」

 

ダイナソー竜崎

LP:9400→7700

 

「大丈夫か?」

「ああ。ワイはこれでターンエンドや」

 

 

ダイナソー竜崎

LP:7700

手札:0枚

 場:モンスター

    無し

   魔法・罠

    無し

 

インセクター羽蛾

LP:10000

手札:0枚

 場:モンスター

   『速攻の吸血蛆』守備力1200

   『アルティメット・インセクトLV7』攻撃力2600

   『アルティメット・インセクトLV7』攻撃力2600

   『アルティメット・インセクトLV7』攻撃力2600

   魔法・罠

    無し

 

LP:100

手札:3枚

 場:モンスター

    無し

   魔法・罠

    永続魔法『生還の宝札』

    永続罠『スピリットバリア』

 

 

「バトルロイヤルでこいつを出すんは危険な賭けやった。場も手札もがら空きにはなったが、それだけの価値はあったで……」

 

「梓……」

「まずいぞ。ライフの差は圧倒的だし、相手の場には三体の『アルティメット・インセクトLV7』。守護陣が手札にあるが、このままでは、梓は攻めることができない……」

 

「何とかならないのかよ……」

「梓さん……」

 

(ほらほら、頑張れ~。もっともおっと苦しんでちょうだいよ……違うわね。腐りなさいよ、ゴミ……)

 

「私のターンです。ドロー」

 

手札:3→4

 

「魔法カード『手札抹殺』を発動します! 全てのプレイヤーは、手札を全て捨て、捨てた枚数分カードをドローします」

 

「え、守護陣を捨てちゃうの!?」

「だがどの道、この局面で守護陣を温存しておいても意味がないことも事実だ」

「賭けだな、これは……」

 

「おまけに、僕らの手札はゼロ……」

「手札を入れ替えられるんは、梓だけ……」

 

「ドロー!」

 

手札:3→0→3

 

「……私は墓地の、『フィッシュボーグ-プランター』の効果を発動します!」

「墓地……!」

「このカードが墓地にある限り、一度だけデッキから一番上のカードを墓地へ送り、それが水属性モンスターだった場合、墓地のこのカードを特殊召喚できます」

 

『フィッシュボーグ-ガンナー』水属性

 効果モンスター

 

「墓地へ送ったのは水属性の『フィッシュボーグ-ガンナー』。よって、特殊召喚!」

 

『フィッシュボーグ-プランター』

 レベル2

 守備力200-2100

 

「出た! フィッシュボーグ!」

 

「『生還の宝札』の効果で、一枚ドロー!」

 

手札:3→4

 

「更に、自分フィールドにレベル3以下の水属性モンスターが存在する時、手札を一枚捨てることで『フィッシュボーグ-ガンナー』を特殊召喚!」

 

手札:4→3

 

『フィッシュボーグ-ガンナー』チューナー

 レベル1

 守備力200-2100

 

「宝札の効果で、一枚ドロー」

 

手札:3→4

 

「そして、墓地に眠るモンスターが水属性のみの場合、今捨てたこのカードは墓地より特殊召喚できます。『フィッシュボーグ-ランチャー』を特殊召喚!」

 

『フィッシュボーグ-ランチャー』チューナー

 レベル1

 守備力100-2100

 

「そう言や、闇属性の『バトルフェーダー』は除外されとるんやったの……」

「宝札の効果でドローします」

 

手札:4→5

 

「壁モンスターを増やした上に、手札補充まで……」

「技量だけやない。運にも恵まれとるで……」

 

「……私は魔法カード『融合』を発動!」

 

「融合!?」

「梓さんが!?」

 

「兄貴!」

「ああ! 来る!!」

 

「手札の『E・HERO アイスエッジ』と、フィールドの水属性モンスター『フィッシュボーグ-ガンナー』を融合、融合召喚! 現れよ、氷結の英雄『E・HERO アブソルートZero』!!」

 

『E・HERO アブソルートZero』融合

 レベル8

 攻撃力2500-2100

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおお!!』

「梓さんが、『E・HERO』……!」

「すっげえ綺麗……」

「ああ……」

 

「美しい……」

「こんなモンスターがおったんかい……」

 

「本当の勝負は、ここからです……!」

 

 

 

 




お疲れ~。
Zeroが出てきた時の安心感と言ったら……
そんなことをしみじみ感じる今日この頃。
まあいいや。オリカ。


『速攻の吸血蛆』
 レベル4
 地属性 昆虫族
 攻撃力500 守備力1200
 このカードは先行の1ターン目に攻撃できる。
 このカードが直接攻撃をしたターン、手札を一枚捨てることで、このカードの表示形式を表側守備表示に変更できる。

遊戯VSマリク戦において、マリクが使用。
見た目派手な効果ではあるが、先行一ターン目に引けないことには意味が無い。
手札を捨てる効果も、直接攻撃しなきゃ使えないし。
一応、装備魔法とか使って頑張ったら先行ワンキルも夢じゃない、かもしれない。
4000ならともかく、8000じゃきついと思うけど。


以上。
んじゃそういうことで、次話でこの決闘は決着ですわ。
それまでは、待っててね。
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