月一試験の決闘や~。
……やばい。書くこと無くなってきた。
だがこれだけは言わなきゃな。
行ってらっしゃい。
視点:クロノス
「え? 私が、三年生とですか?」
私の提案に、セニョール梓は疑問を浮かばせていまスーノ。その提案トーハ、セニョール梓の相手を、オベリスクブルーの三年生にしてもらうということでスーノ。
「あなたの実力デーハ、普通の一年生とでは釣り合いが取れないのでスーノ。だからせっかくの機会ナノーデ、三年生とやってみるノーネ」
「はあ……しかし、私は一年生なのですよ。そんな私が、三年生のお相手などしてよろしいのですか? あまりにも、三年生の方に失礼というか……」
まーたこの人は、何か自分に関する良いことがあるとすぐこれナノーネ。
「……セニョール梓、前から思っていたのでスーガ……」
この際、はっきり言っておいた方がよさそうナノーネ。
「はい?」
「あなたはスコーし、自分のことを下に見過ぎていまスーノ」
「下にって……私はあなたや三年生の方々に比べれば、立場はかなり下ですが」
「そういう意味では無いノーネ」
やはり分かっていないノーネ。立場や年齢はこの際置いておきまスーノ。
「あなたーは、周囲ばかりを見過ギーテ、自分のことに関して否定的になり過ぎているノーネ」
「否定的、ですか……」
「そのトオーリ。それは周りを気遣うと同時に、自分を下に置くことで、自分を甘やかしているということでもあるノーネ」
この間の授業でのセニョール翔との事と言い、今までの実技決闘でも、そうやって相手ばかりを気遣う態度が目立っていまスーノ。まあ、それでも決闘には全て勝ってきているターメ、少なくとも負けん気だけはあるようでスーガ。
「もう少し自分と向き合って、自分のことも気にする人間にならなければなりませーん。そうすることーで、あなたは今よりも確実に強くなれますーノ」
人を気遣うことが悪いこととは言わないノーネ。また、その優しさこそがセニョール梓のアイデンティティであることもまた事実。
しかーし、このままではいずれ、相手が泣き落としでもすれば、わざと負けてしまうような決闘者にもなりかねないノーネ。そうならないよう、今の彼に足りない物、それは、自分もまた気遣うべき人間であーり、自分のことも優先すべきであるという気持ち。
「これも経験ナノーネ。この際立場は気にせず、思い切りやってみまスーノ」
「……分かりました。私も決闘者。相手が誰であろうと、手を抜く気はありません。やってみましょう」
ふむふむ。それでよろしいノーネ。これで彼もまた、決闘者としてだけでなく、人間的にも一つ成長することができそうナノーネ。
あとーは、セニョール万丈目に与えたカードで、ドロップアウトボーイの敗れる光景を眺められレーバ、言うことは無いーノ。
ヨホホホホホホホ……
視点:万丈目
さて、今回の決闘、俺の相手はオシリスレッドの遊城十代。
ブルーのエリートである俺が、レッドなどに負ける気は無いが、クロノスは念を押してか大量のレアカードまで渡してきた。よほどあの遊城十代が気に入らないらしいな。
だがまあ、おかげで理想のデッキも完成した。せいぜい俺の遊び相手になってくれよ、遊城十代。
ククク……
「準さん」
デッキを手に座っていた俺に、突然話し掛けてきた。俺の名前をさん付けして呼ぶ人間は、このアカデミアには一人しかいない。
「梓か。何か用か?」
「いえ、大した用ではありませんが……」
そう言いながら、顔を赤くする。くっ、相変わらずいちいち可愛い顔をしている。
「その……頑張って下さい」
「それを言いに来たのか?」
「はい」
応援するのは構わんが、俺の相手が誰だか分かっているのか。
「俺の相手は遊城十代だぞ。お前は友人同士ではなかったか?」
「ええ。彼とは友人です」
「十代の応援はいいのか? 第一、俺はお前と友人になった覚えは無いが」
少し冷たく言い過ぎたろうか。だが、それでも梓は笑っていた。
「十代さんは、私が何か言ったところで何も変わらないでしょうから」
確かに……あいつの性格ならその通りか。
「ただ準さんには、どうしても決闘前に一言お話ししたくて」
「だからなぜ俺だ?」
そう尋ねると、また顔を赤くした。一体何だと言うのだ。
「準さんは、私の憧れの人ですから……」
なに?
「俺が、お前の憧れ?」
「ええ」
何だ? 訳が分からん。
「なぜ俺だ? 確かに俺はエリートだが、お前はおそらく俺より優れている。実際お前と決闘して負ける気は無いが、苦戦するのは間違い無いだろう。そんな俺に、なぜお前が憧れなければならん?」
憧れられるのは慣れているから何とも思わんが、今回ばかりは本当に疑問に感じた。
認めたくはないが、梓の決闘者センスは俺より遥かに上だ。おまけに決闘に愛されている。下手をすればむしろ、俺の方こそ梓に憧れてしまいそうになるくらいだ。
そんな梓が、俺に憧れているだと?
「準さんは、私には無い強さを持っています」
「何だそれは?」
「心の強さを」
心の強さ?
「準さんは、自分が強いと信じて疑わず、時に傲慢であるくらいに、自分に自信を持っておられます。それは、今まで私には持つことのできない強さでした。どれだけ決闘に勝ったところで、到底私には持つことのできない強さです。そんなあなたに、私は憧れました」
とても純粋な目。俺のことを本気で憧れの目で見てくれている。
心の強さか。確かに、俺は自分を常にエリートであると思い、その思いを
俺は強い。この気持ちに間違いなく支えられている。それが、俺がエリートであるがゆえと、エリートであり続けるがゆえの理由だ。
梓はそれに憧れているということか。自分には無く、そして持てない部分だと。
「ならば、お前も勝ち続けることだ」
正直、俺がこいつに教えてやれることなどたかが知れている。が、エリートとして必要なことくらい教えることはできる。
「決闘に勝つのはもちろんのことだが、本当に勝つべきはライバルでも、対戦相手でもない。誰だか分かるか?」
「それは……」
「最も勝たなければならない相手、それは自分自身だ」
「自分自身、ですか?」
「そうだ。人間て奴は少しでも弱気になった時、そんな自分に身を委ねそうになる。それがそれ以上苦しまないために最も楽な道だからだ。だがそんなことではいつまでも弱い自分から成長することなどできん。今ある自分の弱さに打ち勝つ。それができた時、間違い無くその人間の強みとなり、心もまた強くなる」
「だからお前も勝ち続けろ。例え決闘に負けても、自分にさえ負けなければ、今の決闘で敗者になろうとまた戦える。それこそが、心の強さという物だ」
俺の経験で言った俺の考える、だがな。
梓は、どうやら納得し、おまけに感激してくれているようだ。
「分かりました。私も、自分に勝てる人間になってみせます」
ふ。優秀な人間ではあるが、そういう部分はまだまだ可愛げがある。まあ、お前が望むのならば、俺の考えを望むだけ聞かせてやろうではないか。
「セニョール梓! 決闘場に上がるノーネ!」
クロノスの声が聞こえた。俺より前にこいつだったか。
「では、行って参ります」
「ああ。勝てよ」
そう言うと、笑顔を浮かべて決闘場に出ていった。
クロノスから誰を相手にするかは聞いている。三年生を相手にどんな決闘をするか、じっくり見せて貰うとしよう。
『きゃ~~~~~!! 梓さ~~~~~~~~~ん!!』
『うおおおおおお!! 梓さぁああああああああん!!』
……
視点:梓
『きゃ~~~~~!! 梓さ~~~~~~~~~ん!!』
『うおおおおおお!! 梓さぁああああああああん!!』
……突然そんな、耳をつんざくような声が聞こえてきました。
その……さすがに耳が痛いです。
「やあ、水瀬梓君」
声援とは別の声が前から聞こえたので見てみると、オベリスクブルーの男子が一人立っています。何というか、雰囲気が既に偉そうですね。
「そう固くならずに、僕が君の相手だ。よろしく頼むよ」
一応は礼儀正しいようですね。
しかし、何というか、礼儀正しい態度の中に嫌な物を感じます。普通の人なら分からないでしょうが、何度もこんな人を見てきたので分かります。今私は、見下されていますね。
「……こちらこそ、よろしくお願い致します」
まあ、それもまたこの人の在り方なのでしょうから、何も気にはしませんが。
「ではさっそく始めよう。このままずっと君の姿を見ていたい気もするが、やはり決闘者であれば、決闘している姿こそが至高だからね」
「はあ……」
見下している上に私は目の保養ですか。まあ、それも慣れているので構いません。
「では、参ります」
『決闘!』
三年生
LP:4000
手札:5枚
場:無し
梓
LP:4000
手札:5枚
場:無し
「僕の先行、ドロー」
三年生
手札:5→6
手札を見ながら、少し思案しています。そして、決まったようですね。
「僕は『ピラミッド・タートル』を守備表示で召喚」
『ピラミッド・タートル』
守備力1400
アンデット族のリクルーター。デッキは『アンデット族』ですか。リクルート対象は守備力2000以下のアンデット族。範囲はかなり広い。
「カードを伏せて、ターンエンド」
三年生
LP:4000
手札:4枚
場 :モンスター
『ピラミッド・タートル』守備力1400
魔法・罠
セット
「私のターン」
梓
手札:5→6
「速攻魔法『サイクロン』! あなたのセットカードを破壊!」
破壊されたのは、カウンター罠『ツタン仮面』。フィールド上に表側表示で存在するアンデット族一体を対象とする魔法、罠の発動を無効にするカード。
それほど重要なカードではありませんでした。
「聞いていた通り、『サイクロン』が好きなようだな」
好きと言うか……まあ、便利で使い勝手が良いので重宝してはおりますが。
それよりも、リクルーターは確かに厄介な存在ですが、この手札ならさほどの脅威ではありません。
「私は魔法カード『天使の施し』を発動します。カードを三枚引き、二枚を捨てる。そして、フィールド魔法『伝説の都 アトランティス』を発動!」
入学試験の日と同じ、足元が海水に浸かった瞬間、周囲は海底へと姿を変えました。
「フィールド上の水属性モンスターの攻守を200ポイントアップさせ、手札とフィールド上の水属性モンスターのレベルを一つ下げます」
これで準備は整いました。
「魔法カード『クロス・ソウル』を発動! あなたのフィールド上のモンスター一体を召喚による生贄とします!」
「な!」
驚きの声を上げた瞬間には、『ピラミッド・タートル』は光となって消えてしまいました。
「手札のレベル6となった『氷結界の虎将 ガンターラ』を召喚!」
『氷結界の虎将 ガンターラ』
レベル7→6
攻撃力2700+200
「く、一ターン目から……」
「『クロス・ソウル』を発動させたターン、バトルフェイズは行えません。カードを伏せターン終了。そしてこのエンドフェイズ、ガンターラの効果で墓地から氷結界と名の付くモンスターを特殊召喚致します。墓地の『氷結界の大僧正』を、守備表示で特殊召喚」
『氷結界の大僧正』
レベル6→5
守備力2200+200
梓
LP:4000
手札:2枚
場 :モンスター
『氷結界の虎将 ガンターラ』攻撃力2700+200
『氷結界の大僧正』守備力2200+200
魔法・罠
フィールド魔法『伝説の都 アトランティス』
セット
三年生
LP:4000
手札:4枚
場 :モンスター
無し
魔法・罠
無し
「こちらのリクルーターを封じた上、レベルが下がっているとはいえ、一ターンでレベル6と7のモンスターを揃えるとは……」
「さあ、あなたのターンです」
「一年生だと正直油断していた。素直に間違いを認め謝罪しよう。そして、改めて勝たせて貰う。僕のターン!」
三年生
手札:4→5
妙な所は紳士的ですね。
「僕は『手札抹殺』を発動! お互いに手札を全て捨て、捨てた枚数ドロー」
三年生
手札:5→4
手札交換……アンデットには好相性なカードですが、私にとっては吉と出るか凶と出るか……
「僕は手札より、『精気を吸う
『精気を吸う骨の塔』
守備力1500
なっ! よりによってそのカードですか!?
現れ、と言うより、出現し、周りの風景を変化させつつ、天井の高さを超える骨の塔。大きい~~~~~……
なぜこれがモンスターなのでしょう? どう見てもフィールド魔法にしか……
「その様子だと、どうやら知っているようだね」
えぇえぇ、知っていますとも。
「更に魔法カード『生者の書-禁断の呪術-』を発動だ」
うぅ……
「墓地のアンデット族モンスターを一体特殊召喚。その後、君の墓地からモンスター一体を除外する。僕は墓地から、二体目の『精気を吸う骨の塔』を特殊召喚!」
『精気を吸う骨の塔』
守備力1500
召喚されたと同時に、私は墓地のモンスターを見せます。現在墓地に眠るモンスターは、『氷結界の交霊師』と『氷結界の水影』の二枚。
「『氷結界の交霊師』を除外だ」
当然の選択ですね。交霊師は墓地ではなく、袖の中のデッキケースに仕舞います。
「そして、骨の塔の効果だ。アンデット族モンスターの特殊召喚に成功した時、君はデッキから二枚のカードを墓地に送ってもらう」
言われた通りにします。
「そして、骨の塔はこのカードの他にアンデット族がいる時、このカードへの攻撃はできない。骨の塔が二体いることで、君は攻撃そのものができないよ」
ええ。分かっています。
「残りのカードを伏せてターンエンドだ」
三年生
LP:4000
手札:0枚
場 :モンスター
『精気を吸う骨の塔』守備力1500
『精気を吸う骨の塔』守備力1500
魔法・罠
セット
セット
梓
LP:4000
手札:2枚
場 :モンスター
『氷結界の虎将 ガンターラ』攻撃力2700+200
『氷結界の大僧正』守備力2200+200
魔法・罠
フィールド魔法『伝説の都 アトランティス』
セット
まさか『デッキ破壊』とは。アンデットと聞いて少し誤解していました。
「私のターン!」
梓
手札2→3
さて、骨の塔を主軸としたデッキ破壊となると……
「罠発動!」
む……
「『死霊ゾーマ』!」
罠発動と共に、彼の前に死霊が現れました。
『死霊ゾーマ』(罠モンスター)
攻撃力1800
「このカードはモンスターカードとなり、僕のフィールド上に特殊召喚される。二体の骨の塔の効果で、デッキからカードを四枚墓地に送って貰おう」
言われた通り、デッキの上から四枚を墓地へ。
「そして、『死霊ゾーマ』が戦闘破壊された時、こいつを破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを君は受ける」
また厄介な。まあ、今はそれほど脅威でもありませんが。
二体の骨の塔に、あの残った一枚の伏せカード。ならば……
「私は『氷結界の大僧正』を生贄に捧げ、『氷結界の虎将 ライホウ』を召喚!」
『氷結界の虎将 ライホウ』
レベル6→5
攻撃力2100+200
「ライホウが場にある限り、あなたは手札を一枚墓地に送らなければ、フィールド上で発動するモンスター効果は無効となります」
「なっ、なに!」
「戦闘破壊できない効果は永続効果なので無効にはできませんが、私のデッキを破壊したければ手札を一枚、骨の塔は二体なので計二枚捨てることです」
「く、面倒な……」
「カードを伏せてターンエンド。そして、ガンターラの効果で再び大僧正を特殊召喚」
『氷結界の大僧正』
レベル6→5
守備力2200+200
「ちなみに、大僧正が場にある限り、氷結界達は魔法・罠の効果では破壊されません」
梓
LP:4000
手札:2枚
場 :モンスター
『氷結界の虎将 ガンターラ』攻撃力2700+200
『氷結界の虎将 ライホウ』攻撃力2100+200
『氷結界の大僧正』守備力2200+200
魔法・罠
フィールド魔法『伝説の都 アトランティス』
セット
セット
三年生
LP:4000
手札:0枚
場 :モンスター
『精気を吸う骨の塔』守備力1500
『精気を吸う骨の塔』守備力1500
『死霊ゾーマ』(罠モンスター)攻撃力1800
魔法・罠
通常罠『死霊ゾーマ』
セット
「……僕のターン、ドロー!」
三年生
手札:0→1
「『強欲な壺』。カードを二枚ドロー」
三年生
手札:0→2
「永続魔法『生還の宝札』を発動。これで僕の墓地からモンスターが特殊召喚される度、僕はカードを一枚ドローする」
手札補充。まあ、アンデットと聞いて入っているとは思いましたが。
「罠発動『リビングデッドの呼び声』。対象は『ピラミッド・タートル』」
『ピラミッド・タートル』
攻撃力1200
「『ピラミッド・タートル』の特殊召喚に成功したため、まずはカードを一枚ドロー。僕は手札を二枚捨て、君はデッキの上から四枚墓地に送って貰うよ」
言われなくとも捨てますよ。
三年生
手札:2→0
「そして、『ピラミッド・タートル』でライホウに攻撃」
自爆特攻……
三年生
LP:4000→2900
「『ピラミッド・タートル』の戦闘破壊により、デッキから守備力2000以下のアンデット族モンスターを特殊召喚する。これは墓地からの発動だから手札を捨てる必要は無いよ」
まあ、さすがにそこは分かっていますよね。
「僕はデッキから『カース・オブ・ヴァンパイア』を特殊召喚」
『カース・オブ・ヴァンパイア』
攻撃力2000
……なるほど。そういうデッキですか。
「手札が0だから骨の塔の効果は発動できない」
「バトルフェイズ! まずは『カース・オブ・ヴァンパイア』でライホウを攻撃だ」
三年生
LP:2900→2700
「そして、『死霊ゾーマ』でライホウを攻撃」
三年生
LP:2700→2500
「ぐぅ……そして、君はライホウの攻撃力分のダメージだ」
「うぅ……」
梓
LP:4000→1900
「ターンエンド」
三年生
LP:2500
手札:0枚
場 :モンスター
『精気を吸う骨の塔』守備力1500
『精気を吸う骨の塔』守備力1500
魔法・罠
永続魔法『生還の宝札』
梓
LP:1900
手札:2枚
場 :モンスター
『氷結界の虎将 ガンターラ』攻撃力2700+200
『氷結界の虎将 ライホウ』攻撃力2100+200
『氷結界の大僧正』守備力2200+200
魔法・罠
フィールド魔法『伝説の都 アトランティス』
セット
セット
骨の塔を守りながらデッキを破壊しつつ、アンデットの蘇生と高攻撃力で相手を蹂躙する。パターンが決まれば厄介なデッキです。
どの道、このままでは毎ターン、デッキが破壊されてしまいます。どうにかせねば。
「私のターン!」
梓
手札:2→3
「……ライホウを守備表示に変更し、ターンエンド。そして、ガンターラの効果で墓地より『氷結界の水影』を守備表示で特殊召喚」
『氷結界の虎将 ライホウ』
守備力2300+200
『氷結界の水影』
守備力800+200
梓
デッキ:23枚
LP:1900
手札:3枚
場 :モンスター
『氷結界の虎将 ガンターラ』攻撃力2700+200
『氷結界の虎将 ライホウ』守備力2300+200
『氷結界の大僧正』守備力2200+200
『氷結界の水影』守備力800+200
魔法・罠
フィールド魔法『伝説の都 アトランティス』
セット
セット
三年生
LP:2500
手札:0枚
場 :モンスター
『精気を吸う骨の塔』守備力1500
『精気を吸う骨の塔』守備力1500
魔法・罠
永続魔法『生還の宝札』
残りデッキ枚数と、彼のライフポイントから……
最大、残り5ターン……
視点:あずさ
まずいよ! 梓くんがピンチだよ!
「今梓くんのデッキって……」
「23枚。骨の塔と『カース・オブ・ヴァンパイア』の効果で、あと5ターンね」
「……て、どういうことだ?」
十代くんは分かってないんだ。
「えっとね、『カース・オブ・ヴァンパイア』は戦闘破壊された後の自分のターンに、ライフを500ポイント払って墓地から特殊召喚できるんだよ。しかも攻撃力を500ポイントアップさせてね」
「てことは、毎ターンヴァンパイアを呼ばれて、『生還の宝札』の効果とドローフェイズで合計二枚カードをドローできるから、その度にデッキからカードを四枚捨てさせられる」
「しかも戦闘破壊される訳にはいかないから、ガンターラは攻撃表示にしておくしかない」
「どっちにしろ、このままじゃ梓さんはデッキ0で負けちゃうっス」
「僕のターン!」
はっ!
三年生
手札:0→1
「このスタンバイフェイズ、ライフを500払い、墓地より『カース・オブ・ヴァンパイア』を、攻撃力を500ポイントアップさせて特殊召喚する。これも墓地での効果だから、無効の対象外だ。宝札の効果で一枚ドロー」
三年生
LP:2500→2000
手札:1→2
『カース・オブ・ヴァンパイア』
攻撃力2000+500
「そして手札一枚を捨てて、骨の塔の効果で二枚を墓地に送ってもらう」
三年生
手札:2→1
梓
デッキ:23→21
「同時に、墓地に送られたカードの効果が発動だ」
「墓地に……まさか、そのカード……」
「さすがに知っているね。相手のカード効果により手札からこのカードが墓地に送られた時、このカードは墓地より特殊召喚される」
「梓くん!!」
「まずいわ!!」
「え? なに?」
「何だよ?」
「墓地より、『闇より出でし絶望』を特殊召喚だ!」
『闇より出でし絶望』
攻撃力2800
「宝札の効果で一枚ドロー!」
三年生
手札:1→2
「そして骨の塔の効果発動! 手札一枚をコストに、君のデッキから二枚捨てる!」
三年生
手札:2→1
梓
デッキ:21→19
遂に半分を切っちゃった!?
け、けど、まだ枚数は半分近くあるし、何より『闇より出でし絶望』の攻撃力じゃ、フィールド魔法で攻撃力のアップしてるガンターラは倒せないよね……
「……その残った一枚のカード……」
あれ? そう言えば、さっき二枚手札にあった時点で、骨の塔一体の効果は使わずに、わざわざ一枚残した、て、ことは……
「ふ……魔法カード『ポルターガイスト』発動! このカードの発動と効果は無効化されず、相手フィールド上に存在する魔法、罠カード一枚を手札に戻す! 対象はアトランティスだ!」
その宣言の直後、カードから三匹の幽霊が現れて、アトランティスのカードを包んだその瞬間、フィールドが海底から普通の決闘場に戻った。
梓
手札:3→4
『氷結界の虎将 ガンターラ』攻撃力2700
『氷結界の虎将 ライホウ』守備力2300
『氷結界の大僧正』守備力2200
『氷結界の水影』守備力800
攻撃力が戻った!
「バトル! まずはヴァンパイアでガンターラに攻撃!」
三年生
LP:2000→1800
「そして、『闇より出でし絶望』で再びガンターラを攻撃だ!」
梓
LP:1800→1700
これでガンターラの蘇生効果も使えない。次のターン、抑止になってるライホウが破壊されちゃうよ!
「これでもデッキ破壊だけが取り柄じゃないよ。さあ、君のターンだ」
三年生
LP:1700
手札:0枚
場 :モンスター
『闇より出でし絶望』攻撃力2800
『精気を吸う骨の塔』守備力1500
『精気を吸う骨の塔』守備力1500
魔法・罠
永続魔法『生還の宝札』
梓
デッキ:19枚
LP:1800
手札:4枚
場 :モンスター
『氷結界の虎将 ライホウ』守備力2300
『氷結界の大僧正』守備力2200
『氷結界の水影』守備力800
魔法・罠
セット
セット
「梓さんが負けちゃう」
「さすがに三年生には勝てないか」
「ここまでなのかな……」
「まあ相手は三年生だし、仕方ないな……」
周りからはそんな声ばかり。
もぉ~! 梓くんは必死で闘ってるのに、勝手なことばっかり言わないでよ!!
頑張って! 梓くん!!
「私のターン!」
梓
手札:4→5
デッキ:19→18
「『強欲な壷』発動。カードを二枚ドロー」
梓
手札:4→6
デッキ:18→16
ああ、またデッキが減っちゃった。でも、この際出し惜しみはしてられないよね……
「……」
「……すみませんが、このターンで終わらせて頂きます」
「……え?」
え?
「手札より魔法カード、『洗脳-ブレインコントロール-』を発動。ライフを800ポイント支払い、『精気を吸う骨の塔』のコントロールを得ます」
「な!」
梓
LP:1800→1000
骨の塔が、梓くんのフィールドに移動しちゃった!!
……て、あんなに大きい塔がズルズルと移動するのって、何だかシュールだなぁ……
「速攻魔法『エネミーコントローラー』。二つ目の効果を選択し、私の場の骨の塔を生贄に捧げ、あなたの場の骨の塔のコントロールを得ます」
「な! いや、ちょ……」
梓くんのフィールドにいた骨の塔が消えて……ああ、またズルズルと……
「ライホウを攻撃表示に変更。そして『死者蘇生』を発動! 墓地の『氷結界の虎将 ガンターラ』を特殊召喚!」
『氷結界の虎将 ライホウ』
攻撃力2100
『氷結界の虎将 ガンターラ』
攻撃力2700
「そして『精気を吸う骨の塔』と、『氷結界の水影』を生贄に、『氷結界の虎将 グルナード』を召喚!」
『氷結界の虎将 グルナード』
攻撃力2800
三体目の虎将!?
すごい、『氷結界の虎将』が三体揃ってる!
「そして魔法カード『収縮』発動! 『闇より出でし絶望』の攻撃力を半分に!」
「そ、そんな……」
『闇より出でし絶望』
攻撃力2800→1400
「せっかくなので駄目押しです。手札に戻った『伝説の都 アトランティス』を再び発動します」
またフィールドが海底に変わった。
『氷結界の虎将 グルナード』
レベル8→7
攻撃力2800+200
『氷結界の虎将 ガンターラ』
レベル7→6
攻撃力2700+200
『氷結界の虎将 ライホウ』
レベル6→5
攻撃力2300+200
『氷結界の大僧正』
レベル6→5
守備力2200+200
先輩はただ呆然としてる。これ、逆転は……無理だよねぇ……
「えっと、ちょっと待っ……」
「すみません。最近耳の調子が悪いもので……バトルフェイズ!」
「うわぁ!!」
「『氷結界の虎将 グルナード』で、『闇より出でし絶望』を攻撃!」
梓くんの叫びと同時に、グルナードの周りにたくさんの氷の剣が現れて、それが円を描きながら回る。
「
たくさんの氷の剣が、『闇より出でし絶望』を串刺しにした。
三年生
LP:1700→300
「そんな……こんな……」
「ガンターラとライホウで、ダイレクトアタック!」
「うわぁああああ~~~!!」
三年生
LP:300→0
「良き決闘を、感謝致します……」
「梓くんが勝っ……!」
『きゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!』
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
うわ! うるさい!!
「すげえ! さっすが梓だ!」
「あそこから逆転なんて、凄いっス!」
「けど、あそこから洗脳に『エネミーコントローラー』って……」
ああ、明日香ちゃんは引いてる。確かにえげつないよね、あの流れ。
……
…………
………………
梓くんが決闘場から出てきたところを、わたしと明日香ちゃんと、十代くんと翔くんで迎えました。
「凄かったなあ、梓!」
「いえ、運が良かっただけですよ」
相変わらず謙虚だね、梓くん。先輩は泣きながら帰っていったのに……
「そう言えば、最後に残った二枚の伏せカードは何だったの?」
あ、それ私も気になってた。
「あれは、『激流葬』と『ナイトメア・デーモンズ』です」
『……』
……
「どうかしましたか?」
どうもこうも、全員呆れて声も出ないよ。
「つまり、あのまま攻撃が通らなくても、相手のターン開始時には終わってたっスね……」
「しかも大僧正の効果で氷結界モンスターが『激流葬』で破壊されることも無いし……」
「むしろフィールドが骨の塔の二体だけだったターンに発動しておけば、『カース・オブ・ヴァンパイア』の効果も止められてたんじゃない……」
翔くん、わたし、明日香ちゃんの順で言いました。
「ふふ……」
笑ってる。梓くんて、意外と性格悪いなぁ……
「きっと、梓さんからのお弁当のお陰ですね」
「……え!?」
きゅ、急に何でそんな話しが出てくるの!?
「梓さんのお弁当が力をくれたから、今言った四枚のカードは墓地へ送られることは無かったのだと思います」
「そそそ、そんなこと! 梓くんの実力だよぉ!////」
もぉ、また顔が赤くなっちゃうよぉ!!////
(あの二人、結局どうなってるんスか?……)
(梓は振られてるって思ったままだし、あずさはまだ答えを出せてないみたいなの……)
(何だかなぁ……)
??
お疲れ様です。
骨の塔の大きさは大海の勝手なイメージだよ。
多分『王立魔法図書館』とか『髑髏の寺院』もフィールド魔法的なでかさなんだよきっと。
んじゃ、次話までちょっと待ってね。