沼津ことりっぷ   作:にゃおにゃお

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第4話 海に呼ばれて

??(わたくしは…一体何をしているのでしょう…これではただの覗き魔ではありませんか…! μ'sの方々の声が聞こえると思い近寄って見たら…まさか露天風呂とは…)

 

ガサッ

 

??「ピャア!!!」

 

??「花陽? どうかしたの?」

 

??「いや…あっちの茂みの方からガサッて音がしたような…」

 

??「まさか…覗き!?」

 

??「不届き者はこの私が成敗します!」

 

??(いけませんわいけませんわ…! もし見つかりでもしたら…黒澤ダイヤ、ぶっぶ〜ですわ! ぶっぶ〜ですわ! このままゆっくりと退却するのです…!)

 

 

ダイヤ(…ふぅ〜危うく見つかるところでしたわ…)

 

鞠莉「ダーイーヤ♡ こんなところで何してるのぉ〜〜」

 

ダイヤ「ピギッ…まっ、鞠莉さん…」

 

果南「ダイヤ、汗びっしょりだけど、どうかした? まだμ'sの事で気が動転しちゃってるの?」

 

ダイヤ「そ、そんなことは…。さ、さぁ!打ち上げパーティーを始めましょう! 2人共行きますわよ〜〜」

 

果南「どうも怪しい…」

 

 

--

 

 

早くも休憩 ー勝利か敗北かー

 

絵里「2人共もうあがらないとのぼせるわよ?」

 

穂乃果「まだまだ!凛ちゃんには負けない!」

 

凛「凛も〜〜まだまだ!穂乃果ちゃんには負けないにゃ!」

 

にこ「2人共何やってんのよ…」

 

希「負けた方がコーヒー牛乳一本奢るんやって」

 

にこ「ホント負けず嫌いね…コーヒー牛乳くらい買ってあげるからもうあがりなさいよ…」

 

穂乃果「ホント!?」ザバー

 

凛「やったにゃ〜!!」ザバー

 

希「これまたあっさりと…。2人共勝ち負けよりもコーヒー牛乳が大事だったんやね…」

 

にこ「なんか…まんまと乗せられた気分にこ…」

 

 

--

 

 

-千歌の部屋-

 

鞠莉「それでは〜〜ライブの成功を祝って〜〜 チアーズ!!」

 

Aqours「チアーズ!!!」

 

曜「ふぅ〜! ライブ大成功だったよね!」

 

善子「これもヨハネとリトルデーモン達の芸術の結晶が輝きを放ったおかげ…」

 

花丸「善子ちゃんはいっつも同じことばっかり言ってるずら」モグモグモグ

 

善子「ヨハネ! もう!ズラ丸のいじわる!」

 

果南「ダイヤ、もう落ち着いた?」

 

ダイヤ「なっ…わたくしは常に、れ、冷静沈着ですわよ? 一体何を…」

 

花丸「その大量の色紙は何ずらか?」モグモグモグ

 

ダイヤ「こっ、これは…いつわたくしのファンにサインを求められても対応できるようにと…あらかじめ…」

 

果南「またまた〜〜 μ'sにサインもらおうと企んでるだけでしょ〜?」

 

ダイヤ「それは…その…いつ、何が起きるかわかりませんから、その…それに備えて準備を…」

 

ルビィ「ルビィも…もしかしたら、たまたま会っちゃうかもしれないから…」ドサッ

 

善子「2人共どんだけサイン貰うつもりよ!?」

 

梨子「…」スッ

 

千歌「あれ? 梨子ちゃんどこ行くの?」

 

梨子「ちょっと海見てこようかなって…」

 

曜「気分でも悪いの?」

 

梨子「ううん、大丈夫。なんだか暑くって… すぐに戻ってくるから」

 

 

--

 

 

-三津浜海岸-

 

 

ザザ…

 

梨子(やっぱり近くにいるって思うと落ち着かないな…)

 

 

 

??「…桜内さん?」

 

梨子「ヒッ!! だ、誰!?」

 

真姫 「桜内…梨子ちゃんよね? 私の事…わかる?」

 

梨子「あっ……。…西木野さん…西木野真姫さん…」

 

真姫「そうよ…久しぶりね。覚えててくれたのね。…ごめんなさい、私は思い出すのにちょっと時間がかかっちゃった」

 

梨子「もう何年も前のことですから…。私も小さかったですし…」

 

真姫「隣、座ってもいい?」

 

梨子「はい…」

 

 

2人「…」

 

真姫「梨子ちゃんはまだ小学生だったわよね? 私があのピアノスクールに通っていた時は」

 

梨子「西木野さんは中学3年生でした」

 

真姫「そうね…。懐かしいわ。私が中学卒業と一緒にピアノスクールも辞めたから、本当にそれ以来ね」

 

梨子「私は…小さいころは人見知りで、弱虫で…。初めてピアノスクールに行ったときも緊張していたことを覚えています」

 

真姫「思い出したわ。梨子ちゃんが初めてスクールにきたとき、ものすごく怖がってたわね」

 

梨子「はい…。みんなと仲良くなれるかとても不安でした。でも西木野さんは…あんなに賞を取ってるすごい人なのに、私にすごく優しくて…」

 

真姫「梨子ちゃんは本当に内気だったわね。でもピアノを弾きだすと違ったわ。本当に楽しそうに…本当に嬉しそうに…目一杯の笑顔でピアノを弾いていたわ」

 

梨子「私は…ピアノが本当に大好きで…ピアノを弾いていると自分がキラキラと輝くような気がするんです」

 

真姫「私も一緒よ?ピアノの前では素直になれる、ピアノを弾いていると輝ける…」

 

梨子「でも…それだけ好きだったピアノが、怖くて弾けなくなってしまったんです」

 

真姫「差し支えなければだけど…理由、聞かせてくれる?」

 

梨子「…」

 

真姫「無理しなくていいわ…ごめんね? …それにしても…ここってとてもいい所ね。海があって、景色がきれいで…」

 

梨子「…私…海の音を聞きたくて、この内浦に引っ越してきたんです」

 

真姫「海の音…」

 

梨子「…音ノ木坂に入学した時は周りの期待に答えなきゃって、精一杯ピアノを弾いてました。でも…あるとき突然、自分が本当にピアノを弾きたくて弾いているのかがわからなくなって…」

 

真姫「それで、怖くて弾けなくなったのね?」

 

梨子「はい…。私が作った曲…名前は『海に還るもの』って言うんですけど、それが弾けなくなって、でもまた弾きたいって気持ちはあって…」

 

真姫「それで海の音が聞きたくなったわけね?」

 

梨子「実際に海の音を聞けば、また弾けるようになるんじゃないかなって」

 

梨子「ちょうどお父さんが沼津に転勤になって…。たぶん私のワガママを押し通してくれたんでしょうけど…。それでこの内浦に来たんです」

 

真姫「そう…。で、海の音は聞けた?」

 

梨子「多分…聞こえたと思う。でもそれを聞くきっかけを作ってくれたのは、この内浦で出会った大切な友達なんです」

 

真姫「Aqoursのみんな、ね?」

 

梨子「そうです。特に千歌ちゃんと曜ちゃんは…こんな内気で地味な私にいつも笑顔で接してくれて…。だから夢にも思わなかったスクールアイドルなんか始めちゃって」

 

真姫「梨子ちゃんは地味なんかじゃないわ。今日のライブで、梨子ちゃんはとてもいい笑顔をしてたもの」

 

梨子「西木野さん…」

 

真姫「真姫、でいいわよ」

 

梨子「ま、真姫さん…ライブで…私の事見てたんですね」

 

真姫「桜内梨子って名前を見て、私…知ってるかもって思ったのよ。で、ライブを見て思い出したの、あの梨子ちゃんだって。だってライブ中のあなたの顔って昔にピアノを弾いていたと同じ、嬉しそうで楽しそうな笑顔だったもの。 あの笑顔を見て、間違いないと思ったの」

 

梨子「ピアノを弾いている時と同じ笑顔…」

 

真姫「私口下手だからあんまり上手くは言えないけど…。今の梨子ちゃんはとても輝いてる…キラキラしてるわ」

 

梨子「なんだか恥ずかしい…。あの、はじめはμ'sがライブに来てたって聞いて…私、真姫さんには見られたくないって思って…」

 

真姫「なぜ?別に恥ずかしがらなくてもいいじゃない…」

 

梨子「だって…今までピアノしかやってなかった私がスクールアイドルなんかやってて…。真姫さんは私の目標、憧れの人だったから…憧れの人にピアノ以外の姿は…」

 

真姫「スクールアイドルは決して恥ずかしいものじゃないわ。梨子ちゃんはもっと自信を持つべきね」

 

梨子「真姫さん…」

 

真姫「私もピアノばかりしてたけど、スクールアイドルを始めて、最高の仲間に出会い、最高のステージに立って…最高に輝いた時間を過ごすことができた。今の梨子ちゃんならわかるはずよ?スクールアイドルはピアノと同じくらい自分を輝かせてくれるって」

 

梨子「…」

 

真姫「単刀直入に聞くわね? 梨子ちゃん、スクールアイドル…いえ、Aqoursは楽しい?」

 

梨子「…はい!とても、とても楽しいです!!毎日がとってもキラキラしてて…まるでピアノを弾いているときのように…」

 

 

【挿絵表示】

 

 

真姫「それが答えよ…ここに来て、大切な仲間に出会い、海の音を聞いて…。今の梨子ちゃんならピアノでも、Aqoursでも…どっちでも輝くことができるわ」

 

梨子「ピアノ…。この前、東京のピアノコンクールに参加して来たんです。今の私なら弾けるかなって思って…」

 

真姫「それで…ちゃんと弾けた?」

 

梨子「はい!弾けました!みんなと…Aqoursのみんなと一緒に!みんなと心の中で繋がっていたから…だから弾けたんだと思う」

 

真姫「私が聞くまでもなかったわね。ちゃんと自分で答えを出してるじゃない…。今の梨子ちゃんは…私が憧れちゃうくらい輝いてるわ」

 

梨子「憧れなんて…そんな…」

 

真姫「『海に還るもの』か…。私は海に呼ばれてここに来たのかもしれないわね」

 

梨子「真姫さん…?」

 

真姫「なんでもないわ…それは別のお話。さてと、そろそろ戻らなくちゃ。梨子ちゃんは家に帰らなくて大丈夫なの?」

 

梨子「今日はライブの打ち上げでみんなで集まってて…」

 

真姫「そうだったの?長々と話しちゃって悪かったわね…」

 

梨子「いえいえ大丈夫です!すぐそこで打ち上げやってるので」

 

真姫「え?そこって…私たちの宿と一緒じゃない」

 

真姫「…」

 

真姫「ねぇ…梨子ちゃん、ちょっとお願いがあるんだけど」

 

梨子「何ですか? ………えっ…!でも…」

 

真姫「ちょっとだけだから…じゃあ宜しくね? あっ、これ、私の連絡先。また後でね」

 

梨子「真姫さん! …行っちゃった…。本当にいいのかな…」

 

 

--

 

 

梨子「…」ガラッ

 

千歌「あっ! 梨子ちゃん! もぅ〜〜どこ行ってたの〜〜!?」

 

梨子「あはは…。千歌ちゃんごめん、海を見てたらついボーッとしちゃって…」

 

曜「梨子ちゃん心配したよ? 本当に体調悪いのかなって…」

 

梨子「大丈夫だよ、心配してくれてありがとう…。ふぅ…なんだかしばらく外にいたら喉が渇いて来ちゃった」

 

花丸「まだまだ飲み物食べ物あるずらよ」モグモグモグ

 

善子「ズラ丸のっぽ何本目?」

 

梨子「ふふっ♪ それじゃあ遠慮なく頂きます♪」

 

鞠莉「シャイ煮もまだまだたっくさんあるから食べてね♡」

 

ルビィ「ねぇねぇお姉ちゃん、μ'sのみんなは明日はどこに行くのかな?」

 

ダイヤ「それはもう! みとしーに決まってますわ! 明日はみとしーで一日中張り込みですわ!」

 

果南「ダイヤ…いい加減落ち着こうよ…」

 

梨子「……。千歌ちゃん、曜ちゃん…ありがとう」

 

ようちか「え? 何か言った?」

 

梨子「ううん!なんでもない! 打ち上げパーティー、まだまだ楽しもうね♪」

 

 

--

 

 

続く

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