魔法少女と偽りのヒーロー   作:カオスロイドR

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気づけば過去最高の文字数になってました。
しばらくバトルはお休みしたいけど・・無理だろうな・・・(溜まったアイディアのメモ用紙見ながら)


第9話 禁じられた力の代償

【一真サイド】

 

 

魔女のいる最深部に入った俺はまず状況確認。

 

巴さんは突然の乱入者に呆然としている。

 

キュゥべえの野郎は・・・なんかボロボロだけど問題なし。

 

さて魔女は・・・よしさすがの魔女も予想外の出来事に戸惑って動きを止めたな。

 

「(あとは頼むよ杏子ちゃん)」

 

「「「「任せろ!」」」」

 

四人に分身した杏子ちゃんが飛び込んできて四人の杏子ちゃんが魔女の前で現れたり消えたり目の前でアッカンベーしたりして撹乱する。

 

「「「「ここだ!」」」」

 

魔女の隙を見つけた本物の杏子ちゃんが子供を引っ張りだすとするが

 

「ぬ、抜けない!」

 

コウちゃんの下半身は完全に魔女の身体に埋もれて同化してるようだ。

 

「痛い!痛いよ!!」

 

「あ、ごめっ・・・」

 

コウちゃんの声に杏子ちゃんは動揺してしまい思わず手を緩めてしまう。

 

「ガアアア!!」

 

その隙を突いた魔女は体を振るい杏子ちゃんを払い除けた。

 

衝撃で三人の分身杏子ちゃんが消える。

 

「しまっ・・・うわ!」

 

ふっ飛ばされた杏子ちゃんはなんとか空中で体制を立て直しなんとか着地に成功。

 

事態は振出しに戻った。

 

 

 

~マミサイド~

 

「悪い、あの子を助けられなかった。」

 

「なあに、まだチャンスはあるよ」

 

『おそらくさっき聞いた神隠しの噂の原因は傷ついた体を癒していたあいつが原因だろうな』

 

「あ、あのあなた達は・・・・」

 

二人の会話に割って入る事にいささか躊躇したがこの状況で敵か味方か分からない相手には警戒しなくちゃ

 

「アタシは佐倉杏子、アンタ見滝原の魔法少女だろ?普段は風見野で魔女を狩ってるんだけどあの魔女がこっちに逃げてきたんで追ってきたんだ。」

 

振り返った女の子の方は私と同じ魔法少女だと分かる。でもこの同い年ぐらいの男の子は?

 

「俺は城戸一真。そして最後の声はドライグ。魔法少女じゃないけど戦える力があるから杏子ちゃんの手伝いをしている。あの子の事はあの子のお母さんから聞いたよ」

 

振り返らず魔女の動きに警戒しながら答える男の子。

 

じゃあこの人達もあの子を助けに来てくれたの?それならなんとかなるかも。

 

《やれやれ、君達も来たのかい?イレギュラーと佐倉杏子》

 

いつまにかキュゥべえが私達の後ろに来ていた。

 

あれキュゥべえあなたさっきまで傷だらけだったのになんでもう回復して無傷になってるの?

 

《まったく人間っていうのは訳が分からないよ。罪悪感とか責任感っていう感情で他人の縄張りに土足で割り込むなんて》

 

「んだと!」

 

「・・・邪魔だからどっか行ってろ!お前の声を聞くと虫唾が走り気が散る」

 

佐倉さんと城戸君が怒気を含んだ声でキュゥべえを見ずに答える。

 

イレギュラーって城戸君の事よね、じゃあ城戸君はキュゥべえにとって予期せぬ存在なの?

 

《やれやれ相変わらず君達には嫌われてるね。じゃあ僕達はここから離れさせてもらうよ。マミ行こう》

 

キュゥべえに言われて思い出す。

 

そうだ城戸君達の乱入で忘れてたけど私はあの子を見捨てて逃げようとしてたんだ。

 

「なんだよアンタ、あの子を置いて逃げるつもりだったのか?」

 

佐倉さんと呼ばれた魔法少女の言葉に胸が痛む

 

「杏子ちゃん!ごめん、杏子ちゃんの代わりに謝るよ。あなたが使い魔を減らしてくれたおかげで俺達はすんなりここまで来ることができた。ありがとう。あとは俺達がなんとかするから君は早く逃げるんだ」

 

逃げようとした私が感謝される筋合いないのに・・・・

 

「い、いえ・・・あ、あの私巴マミって言います。ごめんなさい役に立てなくて・・・」

 

「そんな事ないよ!」

 

謝る私に城戸君が強い口調で否定する。

 

「巴さんがいなければ俺達は使い魔に足止めされて魔力を消費してしまってここまで温存して来られなかったんだ。だからもうそんな事絶対に言わないで」

 

「・・・悪りいアタシも言いすぎた。それに元はと言えばアタシがあいつを逃がしたのが原因なのに」

 

《話はついたかい?じゃあマミ、あとは任せて僕達は撤退させてもらう》

 

「・・・キュゥべえ、私も最後まで残って結果を見届けるわ。このまま無責任に撤退なんかしたくない」

 

そうだ、このままここを離れたら私はもう二度と魔法少女として人を守る為なんて言って戦えない。そんな気がしたから。

 

《やれやれ僕には理解できないな。せっかくの逃げるチャンスを無駄にするなんて。じゃあ僕だけでも失礼するよ。マミ、最後にもう一度忠告するけど君も早く逃げた方がいい。彼らに構ってこんな所で命を落とすことなんてないんだからさ》

 

そう言い残しキュゥべえは、影に近づくとまるで潜るかのように消えていた。

 

「なんだアイツ!」

 

「いつもの事でしょ、気にしたら負けさ」

 

怒る佐倉さん城戸さんが冷静に宥めている。

 

いいコンビで羨ましいな。

 

「あの、私に出来る事があったらなんでもします。あの子を助けるのを手伝わせて下さい。」

 

「分かった、こちらこそよろしくお願いします。あの魔女のグリーフシードはそちらに差し上げますので改めてあの子を助ける為にあの魔女を倒すのに協力して下さい。」

 

「はあ!?なんでだよ、あいつはアタシらの獲物だぞ」

 

「あのね、杏子ちゃん。ここは見滝原。俺達は逃がしてしまった魔女を追って無断で彼女の縄張りに入って魔女退治をしようとしてるんだよ。だったらグリーフシードは彼女に渡すのが筋ってもんでしょ?」

 

「ぐっ・・・一真、この埋め合わせに今度なにかうまいもん作れよ!あとアンタ、足手まといになったら遠慮なく見捨てるからな」

 

「OK、リクエスト考えておいてよ」

 

なんなのこの二人・・・こんな状況なのになんで平然としているの。

 

「杏子ちゃん、受け取って」

 

『Transfer!!』

 

城戸君が佐倉さんの肩に赤い籠手を置くと赤い魔力が佐倉さんの身体を覆って魔力が格段と上がる。

 

「サンキューな」

 

赤いオーラを纏い佐倉さんが跳び出していく。

 

「あ、あの城戸君、今の何をしたの?」

 

「あれはこの赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の能力の一つ赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)。この赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)は使用者の力を倍加させることができるんだ、もちろん色々と制限があるけどね。

そして赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)はそんな溜めた倍加の力を相手や物体に譲渡する技なんだ。」

 

力の倍加に力の譲渡!彼はそんな事ができるの!

 

あまりの常識外れの出来事に頭が追いつかない

 

「さておしゃべりはここまでだ。俺も行くよ。魔女や使い魔の隙を見つけたら援護をよろしく」

 

そう言って城戸君が使い魔や魔女に向かって走り出して行った。

 

「はあああっ!」

 

佐倉さんは幻術の魔法や素早い動きで槍を巧みに使い次々使い魔を蹴散らしていく。

 

物凄い速さだ。

 

城戸君の赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)で能力を倍加させてる事を差し引いた普通の状態でもリボンだけの武器しか持たない私じゃ敵わないと思う。

 

生きて帰れたらリボンに変わる強力な武器を考えないと・・・

 

でもそれよりも私が驚いたのは城戸君の方だ。

 

本来、魔女や使い魔は魔法少女にしか相手できない筈なのに魔法少女じゃない城戸君が使い魔と戦っていた。

 

普通の人間と違う所は赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)と呼ばれる赤い籠手が付いて籠手の先から光の剣のような物が出ていて器用に次々使い魔を倒していく。

 

動きも慣れているようで殴りかかってくる使い魔の攻撃を次々避けていく。

 

私たち魔法少女なら魔力を消費する変わりに治癒能力が上がっているから多少の攻撃を受けても大丈夫だ。

 

でも彼は少し人と違う力を持ってるだけの人間だ。一度でも攻撃に当たったら致命傷になるかもしれないのに・・・

 

にもかかわらずに城戸君は前へ前へと向かっている。

 

どうして・・・?当たれば死ぬかもしれないのにどうしてそんなに無茶な戦い方ができるの・・・・?

 

城戸君は使い魔の攻撃を避けながら時折赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の宝玉が緑色の光を放ちながら音声が流れ、何かを待っているかのようだった。

 

『Boost!!』

 

「くらえ!」

 

『Explosion!!』

 

彼が左手を使い魔に向けると赤い塊の砲撃が放たれた。

 

「ギャアアア!!」

 

使い魔は断末魔の叫びをあげ砲撃に飲み込まれて消滅した。

 

あれは魔力!?

 

なんで一般の男の子が魔力弾を放てるの!?

 

 

 

【一真サイド】

 

「いよいよ本命だな」

 

「ああ、行くよ杏子ちゃん!」

 

全ての使い魔を葬った俺達はコウちゃんを摂り込みかけて盾にしている魔女と対峙する。

 

魔女は部下の使い魔がやられて怒り狂ってるのか不気味な声をだして威嚇している。

 

「気をつけて!その魔女は攻撃しようとすると私達があの子に攻撃できないのを理解してるようで、攻撃の矛先をあの子の方に向けてのよ」

 

巴さんが大声で俺達に向けて叫ぶ。

 

「卑怯な奴だ。で、どうすんだ?」

 

「ストレートが駄目ならボール球を振らせればいい・・・」

 

「はあ?」

 

「つまり・・・・・・で・・・こうして・・・こうするわけ・・・・・」

 

「なるほどな!分かった。で巴さんだっけ?あっちはどうするんだ?私が行って伝えるか?」

 

アイツ(キュゥべえ)・・・魔法少女同士は念話できるって杏子ちゃんに教えてねえのかよ・・・

 

まあすぐに俺が杏子ちゃんの相棒になったから不都合が生じると思い、奴自身が故意に隠したかもしれないが・・・

 

俺も念話が使えればいいんだけど魔法少女じゃないから使えない。

 

だけどウルトラマンの能力でテレパシーを一方的だけど送れる。

 

「いやいいよ。俺がテレパシーで伝えるから」

 

「・・・透視の次はテレパシーかよ、なんでもありだな・・・もうアタシはお前が何やっても驚かねえ・・・」

 

呆れる杏子ちゃん。

 

なんか寂しいなそれ・・・

 

《えっと・・・巴さん聞こえる?》

 

「え?城戸君!なんで頭の中から声が聞こえるの!?」

 

テレパシーで巴さんに話しかけると辺りを見回す巴さん。

 

そりゃ驚くよね・・・

 

《落ち着いてこれは赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の力で俺から送るだけしかできないテレパシーみたいな物だから》

 

本当は赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)にそんな機能ないんだけどね。

 

さすがに杏子ちゃんと違って会ったばかりの巴さんには本当の事を言えないからな。

 

巴さんがこっちを見ているので俺は横目で巴さんの方を見てうなづく。

 

《あいにく俺の方は巴さんの声を聞く事はできない。それであの子を傷つけずに魔女を倒す方法があるんだ。巴さんも手伝ってほしい。方法なんだけど・・・・・に・・・を・・・を・・・でお願いします。了解したなら二回うなづいて》

 

二回首を縦に振る巴さん

 

「巴さんもOKだ。いくよ杏子ちゃん!」

 

「分かった!先陣はアタシが行かせてもらうぞ!」

 

杏子ちゃんが突撃し魔女に向かって槍を振り下ろす。

 

魔女はコウちゃんを盾にしようと槍の矛先をコウちゃんに向けるが槍は当たらず幻の様に消える。

 

「ヴァア!?」

 

驚く魔女。

 

「バーカ!本命はこっちだ!!」

 

魔女の背後から背中を切り裂く杏子ちゃん

 

俺が赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)で殴ろうとしてコウちゃんを盾にしようとしても

 

「おっと!」

 

寸止めしてコウちゃんのいない部分の魔女の身体を蹴って距離を開け。

 

魔女の頭の上に着地した杏子ちゃんが槍で頭を突きまくって苦しがる。

 

これがウルトラマンダイナのアスカ隊員が言っていたストレートが駄目ならボール球を振らせればいい作戦

 

一人が囮の攻撃をしてコウちゃんを盾に使用としたら寸止めして、反対側から本命の攻撃をして魔女にダメージを与える。

 

魔女は首を振り杏子ちゃんを振り落として殴るが殴られた杏子ちゃんは分身で消える。

 

「残念!そいつはハズレだ。」

 

本物の杏子ちゃんが魔女の右腕の肘の関節を大きく切り裂いた

 

「グオオォォォ!」

 

足元に転がる魔女の右腕

 

作戦内容の誰が囮で誰が本命の攻撃するかは俺がテレパシーで杏子ちゃんと巴さんに伝えている

 

例えば《俺と分身が囮2回で三回目が本命!》と指示しながら。

 

対応しようとしても奴の動きは遅いから対応しようにも体が追い付かない。

 

また本命が読まれて対応できたとしても。

 

「レガーレ・ヴァスタアリア!」

 

「グガッ!」

 

魔女の腕か足を巴さんのリボンで締め上げる。

 

リボンは引き千切られるけどそれでも数秒は動きを止められる。

 

その隙に次の本命が攻撃を仕掛ける。

 

巴さんに送ったテレパシーの内容は一言

 

《魔女が本命の方にあの子を向けたらリボンで拘束して動きを止めて》

 

「はあああっ!」

 

「おりゃああ!」

 

コウちゃんのいない死角に杏子ちゃんと俺の攻撃をたたき込む。

 

「ゴガッ」

 

俺と杏子ちゃんが攻撃した後、距離を開ける為にジャンプして横に並ぶ。

 

「やるな、一真。このまま一気に削りきるぞ」

 

「ああ、時間はかかるかもしれないど確実な方法だ。」

 

だがコウちゃんの体力を考えるとあまり悠長な事はできない。

 

なるべく早く決着を付けないと

 

次の一手を考えていたら魔女が急に動きを止めてまったく動かなくなる。

 

「なんだ?動きが止まったぞ観念して諦めたか?」

 

ニヤリと口元を緩める杏子ちゃん。

 

諦めた?魔女が?本当にそうなのか?

 

胸騒ぎがする。

 

警戒して魔女から距離を取る様に杏子ちゃんに指示を出しそれに従い距離を取る俺達。

 

「・・・・杏子ちゃんなにか聞こえない?」

 

「あぁ?」

 

「ブルルルル・・・・ブルルルル・・・」

 

二人で耳を澄ましてみると魔女から聞いた事ある音がしてきた。

 

「なんだ?この音は?」

 

これは・・・・エンジンを掛ける音!?

 

『ブルルル・・・ブロロロロロロ!!」

 

魔女のエンジンが点火して爆音が響き渡る。

 

こいつまさかいままで本気じゃなかったのか!?

 

「な、何が起こったんだ!うわあ!」

 

「くっ!」

 

「キャァ!!」

 

魔女を中心に引き寄せられるように空気が吸い込まれていく。

 

杏子ちゃんは槍を俺はメビュームブレードをそれぞれ地面に突き刺して、巴さんは地面から数本のリボンを出して自分に巻き付けて魔女に吸い込まれないように体を固定する。

 

そうだ!あの子は・・・

 

よかった。コウちゃんは吸い込まれずにそのままの状態のままだ。

 

魔女が吸引する事で何かが魔女に向かって飛んできている。

 

あれは俺達が倒した使い魔の残骸?

 

残骸は魔女の体にぶつかると次々摂り込まれていく。

 

「なんだ?この音は!?」

 

「おいおい洒落にならねえぞ、これ」

 

魔女がさきほどより一段と大きなエンジン音を出すと魔女を覆っていた錆がボロボロと落ち始めた。

 

残った錆も自身の身体を揺らすことで振るい落とした。

 

そこ現れたのはさきほどの赤茶けた錆だらけの魔女ではなく光を反射する美しい銀色の姿をした魔女が現れた。

 

コウちゃんはフロントタイヤを覆うフロントフェンダーの部分に縛られている。

 

さしずめ銀の魔女と言った所か

 

「へっ!錆が取れてギンギラになったからってなんだってんだ!」

 

杏子ちゃんが槍で銀の魔女の頭部に向かって縦一線に斬り掛かる。

 

タイミングは完璧だった。

 

「何!?」

 

しかし銀の魔女は消え槍は地面を叩いてしまう。

 

消えた銀の魔女は杏子ちゃんの背後に現れた。

 

「しまっ・・・!」

 

杏子が後ろを見ると魔女がその大きな右腕を振り上げ振り下ろそうとしていた。

 

「させるか!」

 

銀の魔女に向かって跳びかかる様にジャンプして赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)でパンチしようとするが。

 

「ブオオオオオオン」

 

「(消えた!)」

 

俺の拳は空を切り、杏子ちゃんと互いに背を預け警戒する。

 

「ありがとな」

 

「どういたしまして」

 

急にあたりが暗くなった。

 

「一真、上だ!」

 

違う。影だ!

 

俺と杏子ちゃんは前に跳び出してすぐに上から銀の魔女が降ってきて地面が陥没する。

 

杏子ちゃんが気づかずに声がなく、すこしでも跳び出すのが遅れたら俺と杏子ちゃんは魔女の下敷きになってしまっていただろう。

 

錆びた状態では動きが鈍いが、エンジンが掛かり錆が取れた事で攻撃力・機動力が上がるってわけか、

 

こんなに素早くてはもうボール球作戦は使えない。

 

厄介だな。

 

陥没した穴から銀の魔女がジャンプして出てくる。

 

さらに人型からバイクに変形して猛スピードでこっちに迫ってくる。。

 

変形はしたがコウちゃんはフロントフェンダーに縛られているので地面に擦られるような事がなかったのが幸いだ。

 

だが猛スピードで走るバイクに生身で縛りつけられるのは恐怖でしかない。

 

あれだけはなんとしても止めさせないと。

 

動きだけでも止める為に自分の力を倍加しする。

 

プロモーションキングは時間制限があるからまだ使う時じゃない。

 

走ってきた銀の魔女を真っ向から受け止める。

 

「ぐお!」

 

『相棒、無茶だ!』

 

無茶は承知。でもこれだけは止めないと。

 

何とか受け止めることはできたが倍加したとしても人とバイクじゃバイクの方が上。

 

徐々に押されていく。

 

コウちゃんの方を見ると泣き疲れ意識が朦朧としている。

 

これはヤバイ。

 

短期決戦で済まさないと直感的にそう思った。

 

「うああ!」

 

競り負けてふっ飛ばされて地面に叩きつけられる。

 

「ぐ・・・ああ・・・」

 

倒れている俺に追い打ちを掛けるようにタイヤを召喚し投げてくるバイク形態の銀の魔女。

 

ドラゴンショットで迎撃しようにも痛みで腕が動かない。

 

「一真!」

 

「城戸君!トッカ・スピラーレ!」

 

杏子ちゃんと巴さんが倒れている俺の前に立って槍がタイヤを切り裂き、螺旋状なったリボンがもう一個のタイヤを貫く。

 

「ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!あ・・・ありが・・・とう二人とも・・・」

 

痛みでまだうまくしゃべれない

 

咳をする度に鉄の味が広がる。

 

さっきの突進でふっ飛ばされて落ちた時にどこか痛めたか?

 

「無茶すんなバカ!」

 

「今治療を!」

 

杏子ちゃんが警戒して巴さんが治癒魔法をかけてくれた。

 

その間に銀の魔女はバイクから人型に変形して戻っている。

 

「アイツ、なんでテメエの使い魔の残骸は摂り込んだってのに子供の方は残してるんだ?こっちとしてそれで助かってるけどさ。アタシらをここまで追い込んでるしあの子を盾を使う必要なんてないと思うけどよ」

 

『恐らくガキの泣き叫ぶ声を聞いて楽しんでいるのだろう。自分を助けに来た者達が手も足も出ずにやられる姿をガキにワザと見せてさらに絶望させる。魔女は絶望を好物し振り撒く悪趣味な奴らしいからな。』

 

杏子ちゃんの問いにドライグが答えてくれている。

 

じゃあこの状況も俺達を獲物として追い込んでいる奴を喜ばせる前菜って所か・・・

 

「終わったわ。城戸君」

 

「ありがとうございます。巴さん」

 

「一真、お前はすこし休んでいろ。お前は私らと違って自己治癒能力がないんだから!いくぞ巴さん!!

 

「ええ」

 

「二人とも、まっ・・・」

 

止めるのも聞かずに跳び出す二人

 

二人も分かっているんだな。早くコウちゃんを助けないと命が危ない事に。

 

さてどうする?

 

「レガーレ・ヴァスタアリア!」

 

巴さんが大量のリボンを出して銀の魔女を縛りつけて動きを止めようとするが

 

「そんな!」

 

錆の取れた銀の魔女はさきほどの錆を纏っていた時と違いエンジンが掛かっている為、パワーが上がりあっさりとリボンを引き千切り足止めにもならない

 

「うわ!」

 

杏子ちゃんが三人の分身で飛びかかるがスピードが上がった魔女は強化した杏子ちゃん以上のスピードで応戦し、杏子ちゃんが分身事払いのけられる。

 

錆が取れてエンジンの掛かった奴のスピードとパワーがさっきより格段に上がってる。

 

「ハァハァハァ・・・」

 

「ハァハァハァ・・・」

 

肩で息している杏子ちゃんも巴さんもすでに限界が近い。

 

杏子ちゃんも魔女が素早い上にコウちゃんを盾にしているから攻撃が上手く当てられない。

 

その上、疲れと攻撃を食らって体力を消耗している。

 

おまけに回復と幻術で魔力を消費してしまっているから杏子ちゃんの胸のソウルジェムが濁っているな。

 

特に巴さんのソウルジェムもほとんど濁ってしまっている。

 

無理もない支援とはいえ俺たちが来るまでたった一人で使い魔や魔女と戦っていたんだから。

 

このままだと彼女達は絶望感に押し負けてソウルジェムが完全に濁りきってしまい魔女化してしまう。

 

プロモーションキングを使えば銀の魔女に対抗できるかもしれないけど、あれは五分間しか使えない。

 

その間にコウちゃんを助け出せて銀の魔女を倒せるのか?

 

コウちゃんを助け出せる手は考えてあるがプロモーションキングだけじゃ今いち決め手に欠ける。

 

打つ手なしか…いや待てまだ手はある!

 

「(ドライグ、お前はハイスクールD×Dの原作を知ってるんだよな?)」

 

『(ああ、だが急にどうしたんだ?)』

 

「だったら兵藤一誠が二度目のライザー・フェニックス戦でやった”アレ”って俺にもできるか?」

 

「何!?まさかお前!」

 

「ああ、俺も兵藤一誠のように左腕を代価にして一時的に禁手(バランス・ブレイカー)に至る。もうここから生きて抜け出るにはそれしかない」

 

『バカな事言うな。ライザー・フェニックスが言ってたように二度と左腕は元に戻らないんだぞ!』

 

「もう逃げられないしここで負けたら俺や杏子ちゃんも巴さん、あの子も終わりなんだ。だったら勝てる方に賭けるさ」

 

さっき結界の出口を見たが出口は魔女が進化した時に消滅していた。

 

『・・・・はっはっはいいだろうその心意気、気にいった。こうなれば一蓮托生だ。俺もお前に命を賭けよう!』

 

ドライグがそう言い終わると左腕に激痛が襲う。

 

「ぐああああああ!!!」

 

「一真!」

 

「城戸君!」

 

二人の心配する声が聞こえる。

 

「だ、大丈夫だ!」

 

俺は二人に安心するように声を掛けたが・・・

 

痛い!

 

左腕が引き千切られたみたいな激痛だ。

 

これが代償の痛みって奴か!

 

本気で泣きそう!

 

でも痛くない!

 

痛いけどアイツを倒してあの子を助け出してみんなと生きて脱出できるなら我慢してやろうじゃないか!

 

赤いオーラが俺の全身を包み込むとそのまま固定される。

 

「(ドライグ、禁手化(バランス・ブレイク)するタイミングは俺に任せてくれないか?合図したら一気に禁手化(バランス・ブレイク)してくれ)」

 

『(分かった何をするか分からないが相棒を信じよう)』

 

「(さて問題はプロモーションキングが発動してる五分間の間に奴が俺の予想通りの行動を起こしてくれるかが鍵だな)」

 

「プロモーションキング!」

 

俺の服が駒王学園の制服に変化して左腕の赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を右腕にウルトラマンアグルのアグルブレードを出して銀の魔女に向かって走り出す。

 

「あれって確か前に話してたプロモーションキングって奴だよな。」

 

「服装が変わった!彼も魔法少女なの?」

 

聴力があがった所為か杏子ちゃんと巴さんの声が聞こえてきた。

 

銀の魔女もバイクに変形して突進してくる。

 

ぶつかる直前に銀の魔女はバイクから人型に変形して右腕で殴りかかって来るのを赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)で受け流して素早くアグルブレードを腹に突き立てる。

 

銀の魔女は痛みで腹を抑えながらも拳を振るう。

 

俺はそれを躱してカウンターでアグルブレードで突きまくる。

 

カウンターの為、銀の魔女もコウちゃんを盾にできていない。

 

見える!

 

プロモーションキングで身体能力を底上げした事で身体能力はもちろん、動体視力もアップしたからなんとか奴の放ってくる拳が見えるから避けられる。

 

ただ無理に動体視力を上げた弊害か頭がガンガンして痛いけど・・・これなら奴の動きにも対応できる。

 

あとは銀の魔女が追い込まれて五分間の間に俺の思惑通りの【行動】を取ってくれることを祈るばかりだ。

 

「すっげえ一真の奴、あの早い魔女の動きに完全に対応してやがる。」

 

「ね、ねえ彼は何者なの?魔法少女でもないんでしょ?」

 

「アタシの幼なじみだよ。ただちょっと変な能力を色々もってるけどな・・・」

 

銀の魔女はバイクに変形して突進してくる。

 

俺はギリギリまで引きつけてジャンプしてバイクになった銀の魔女の上に飛び乗りアグルブレードで背中を突きたてまくった。

 

銀の魔女は痛みで暴れて俺を振り落とそうとする。

 

俺は左手でスロットルを握り、銀の魔女の背中を突きまくる。

 

ある程度ダメージを与えたらジャンプして脱出する。

 

そして再び睨み合う俺と銀の魔女

 

拳とバイク形態からの突進攻撃

 

お前の攻撃は全部封じたぞ。もう最後の手段しかないんじゃないのか?

 

こっちもそろそろ時間切れなんだ。早く頼むぞ

 

「・・・・・ギュルルル!」

 

急に銀の魔女は後ろに向き

 

距離を開いた。そろそろか?

 

俺からかなりの距離を離れて人型に戻った銀の魔女、そして!

 

「うわあああん!たすけて!!」

 

コウちゃんが必死に手を伸ばし掴もうとするがどんどん身体が吸い込まれていく。

 

やつはついに人質であったコウちゃんを吸収してダメージから回復する手段に打って出る。

 

「いけない!あの子が!やめて!!」

 

「くそう!!やめろ!!」

 

杏子ちゃんも巴さんもコウちゃんが摂り込まれるという最悪の事態が頭に過って悲痛な叫びを上げて魔女に向かって行く。

 

だが俺は・・・・

 

この瞬間を待っていたんだ!

 

「ドライグ!!!!」

 

Welsh Dragon over booster!!!!(ウェルシュドラゴンオーバーブースター)

 

身体を覆っていた赤いオーラは物質化して、とある魔法少女と同じ赤い色の鎧になっていく。

 

全身にこれまでにない感覚と力が流れ込んでくるのがはっきりと分かる。

 

頭、両腕、身体、両足に装着されたドラゴンを模した赤い全身鎧(フルプレートアーマー)

 

疑似だけど憧れの赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)を俺はついに纏うことができたんだ。

 

『Ⅹ』

 

お前は獲物を吸収する時の弱点を知っている。

 

だからこそ俺達にコウちゃんを吸収するのを邪魔されないように距離を開いたつもりだろうけど残念だったな。

 

王の駒(キング・ピース)のプロモーションキングだけなら間に合わなかったかもしれないけど、この距離でも最後の切り札を使えば俺の距離だ。

 

プロモーションキングで強化した脚力で地面を蹴り出し、さらに背中の魔力口から圧縮魔力を吐き出して猛スピードを超えた超スピードで一気に銀の魔女の懐まで一気に接近する。

 

『Ⅸ』

 

俺はジャンプしてアッパーで銀の魔女をぶっ飛ばすと同時にコウちゃんを引っ張り出しそうと掴む。

 

すると先ほどまで抜けなかったコウちゃんの身体は、まるで柔らかい泥から棒を引き抜くかのようにあっさり引き抜かれた。

 

「ふえ?」

 

当然の事に呆然とするコウちゃん。

 

左手でドラゴンショットを放ち、爆風の衝撃から右腕でコウちゃんを守りながら抱っこして爆風に乗って後ろにジャンプしする。

 

『なるほど考えたな。魔女は獲物を体内に摂り込む時、どうしても体を柔らかく軟化させなければならない。その隙をつくとはな』

 

「ああアイツが自分の使い魔の残骸を摂り込んだ時に思い付いた。」

 

『だが危険な賭けだったのには変わりない。もし間に合わなかったらそのガキは完全に魔女の餌食になっていたぞ。」

 

「それは大丈夫だよ」

 

『なぜだ?』

 

「俺もドライグの力を信じてたからな」

 

『・・・・フッ』

 

俺の言葉に照れくさそうに笑うドライグ

 

『Ⅷ』

 

「うう…うう、ママ・・・」

 

「大丈夫だよ」

 

「うえ?」

 

怖くて今にも泣きだそうとするコウちゃんに怖がらせないように優しく声を掛ける。

 

「俺やあそこにいる君を助ける為に頑張ったマミお姉ちゃんが君を絶対にママの所に送り届けるからね」

 

「まみ・・・おねーちゃん?」

 

「そう、優しいお姉ちゃんだよ」

 

『Ⅶ』

 

コウちゃんを抱っこしたまま優しく巴さんの前に着地する。

 

衝撃が強いとコウちゃんがまた泣いてしまうかもしれないからな。

 

「一真・・・なのか?」

 

「そ。その姿は?」

 

全身鎧(フルプレートアーマー)を着こんだ俺に驚きながらも駆け寄る杏子ちゃん

 

「痛い・・・痛いよ・・・」

 

よく見ると抱っこしているコウちゃんの膝から足に掛けて魔女の身体に挟まれていた為、傷だらけになっていた。

 

「ひでえ・・・」

 

「早く治療しないと」

 

時間はないがこのままにしておけない、

 

コウちゃんの足に左手でリライブ光線を浴びせて治療する。

 

鎧が解除されたら三日間は赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が使えなくなるからウルトラマンの能力も使えるか分からないからな

 

リライブ光線でコウちゃんの足の怪我が治療されて傷が無くなっていく。

 

『Ⅵ』

 

「今の光!あの時の!?」

 

「この子をお願いします」

 

「は、はい」

 

驚きながらマミさんがコウちゃんを受け取る。

 

コウちゃんを預けて離れようとした時。

 

「お、おいちょっと待て、お前、その姿は!?」

 

「ごめん、杏子ちゃん。この姿は時間制限があるんだ。話はまたあとで」

 

『Ⅴ』

 

魔女の方にジャンプして蹴り上げ。

 

魔女の素早い剛腕を躱し

 

腕を潜り抜けてクロスカウンターの要領で殴る。

 

とにかく殴る!時間がないので何度も!何度も!

 

魔女はよろめきながらも巨大な右腕を振り下ろす。

 

その腕を衝撃で地面が陥没しながらも両手で受け止める。

 

『Ⅳ』

 

魔女が自分の影から使い魔三匹を召喚して使い魔たちが飛びかかってくる

 

一匹目を右腕の拳で殴り倒し

 

二匹目を左の裏拳でぶッ飛ばし

 

三匹目を回し蹴りで蹴り飛ばしたながら魔女に歩み寄って行く

 

「!!???!!!?」

 

魔女はバイクに変形して慌てて逃げようと結界を解き始めた

 

『Ⅲ』

 

『JIET!』

 

背中の圧縮した魔力を吐き出して猛スピードで接近して銀の魔女の顔先まで跳躍して拳を構える。

 

「(君も元は魔法少女でみんなの為に戦っていたかもしれない。辛かったよね・・・でも今の君は魔女で人に害を仇なす存在になってしまった)」

 

出来る事なら君を元の普通の女の子に戻したかった。

 

でも今の俺に君を戻す力はない・・・

 

一度、杏子ちゃんがいない時に魔女を魔法少女に戻せないかとウルトラマンコスモスルナモードのフルムーンレクトやルナミラクルゼロのフルムーンウェーブなどの浄化技を使ってみたが効果はなかった。

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)で能力を倍化しても効果は変わらず。

 

『・・・元に戻すのは無理だ相棒。すぐに魔女化したのなら可能性はあったかもしれないがコイツらは時間が経ちすぎてなにもかも完全に魔女になってしまってやがる・・・』

 

返ってきたのはドライグの残酷な回答・・・

 

『Ⅱ』

 

そっか・・・できればインキュベーターの被害者である彼女たちを元に戻したかったがそれができないなら勝手な言い分だけど魔女化した彼女らがこれ以上罪を重ねないようにここで消滅させる。

 

怨みなら俺が全部受け止めよう。

 

『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』

 

だからおやすみ・・・

 

『Ⅰ』

 

ドス!

 

鈍い音と共に赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)の赤い拳がバイクに変形している銀の魔女のヘッドライト部分を貫いた。

 

「ギャアアアアアアアアア」

 

銀の魔女は悲痛な叫びを上げ消滅していった。

 

消えていく銀の魔女を見送り、気づけば赤龍帝の仮面の下で涙を流していた。

 

 

 

魔女の結界の主であった魔女が消滅したことにより結界が壊れ元の林に戻ると同時にとプロモーションキングの効力と赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)も解除された。

 

俺の左腕、ドラゴンになっちまったしな・・・

 

チラっと赤い鱗に指から鋭い爪が生えていた。

 

・・・・どないしよう。

 

母さんや父さん見たら気絶するぞ。これ

 

厨二病を患った振りして包帯を巻いて誤魔化す?

 

駄目だ・・・あとで黒歴史確実だ。

 

とりあえず母さん達は保留して

 

杏子ちゃんには・・・・バレたらあとでケーキを買って許してもらい、それと杏子ちゃんのソウルジェムも今回の戦いで大分濁ってしまったから次は俺一人で戦おう。

 

うん、そうしよう。

 

そうだコウちゃんの方は、どうしてるんだろう。

 

辺りを見回して探してみると。

 

「えぐ・・・えぐ・・・」

 

「よくがんばったな、えらいぞ。」

 

コウちゃんを安心させる為に杏子ちゃんが抱きしめて頭を撫でていた。

 

この子が無事で本当によかった。

 

取りあえず左腕の事がばれない様にさりげなく後ろに左腕を後ろに回して隠してっと。

 

「あなたは・・・『コウちゃ~ん、どこなの~?』

 

巴さんが何かを聞こうとした時、コウちゃんのお母さんの声が聞こえてきた。

 

「あ、ママだ」

 

コウちゃんが母親の声を聞いて顔を上げる。

 

「ほら、ママが呼んでるよ。早く行っておいで」

 

「うん!ありがとお兄ちゃん」

 

「杏子ちゃん、悪いけどその子をお母さんの所に送って行ってもらえるかな?さっきの警官がいたら近くまででいいから」

 

「大丈夫だ任せろ、じゃあ行こうか」

 

「うん!ありがとお姉ちゃん」

 

杏子ちゃんがコウちゃんの小さな手を握り母親の元に連れて行こうとするとコウちゃんがこっちに振り返る。

 

「たすけてくれてありがとーマミおねーちゃん」

 

手をこっちに振りながら母親の元に向かって行った。

 

「!?」

 

名前をよばれて驚く巴さん

 

そういやさっき俺が教えたんだったな。

 

「・・・・私はあの子を見捨てて逃げようとしたからありがとうって言われる資格なんてないのに・・・」

 

「でも巴さんはあの子を助ける為に必死に戦った。」

 

「え?」

 

「そのソウルジェムを見れば分かりますよ

 

巴さんの持つほとんど濁った黄色のソウルジェムを指さした後、右手でグリーフシードを出して巴さんのソウルジェムにくっつけると濁りがグリーフシードに吸収されソウルジェムが輝きを取り戻す。

 

かなり濁ってしまっていたのか一回使っただけでもうこれは使えないな。

 

「そのグリーフシードは?」

 

「さっき倒した魔女のグリーフシードです。約束したでしょ?グリーフシードは渡すと」

 

「でもそれは・・・」

 

「杏子ちゃんには俺から伝えますから大丈夫ですよ」

 

「・・・ありがとう。城戸君」

 

足に力が入らなくなり膝を付く

 

「城戸君!?」

 

「すみませんさっきの戦いで結構力を使ったから」

 

「ご、ごめんなさい、じゃあこのグリーフシードはあなたが使った方が・・・」

 

「ああ気にしないで。俺は魔法少女じゃないんでソウルジェムを持ってないからグリーフシードは使えないんだ。しばらく休めば回復するんで」

 

「そ、そうなの、魔法少女でもないのにあの強さ」

 

立ち上がろうとするがまた立ちくらみがして倒れそうになる

 

「危ない」

 

巴さんが慌てて倒れそうになった俺を支えてくれたので膝を付く事はなかった。

 

「大丈・・・!?」

 

「ありがとうござい・・ます?」

 

なんか様子が変だな。

 

巴さんの視線を追うと視線が左腕に向けられていた・・・

 

 

 

~マミサイド~

 

私は助けてくれた恩人の城戸君が倒れそうになり肩を支え倒れないようにした

 

彼らが来てくれなかったら私はあの子を見捨てて一生後悔することになってしまっていただろう。

 

感謝してもしきれない。

 

だが城戸君の左腕を見てしまった。

 

城戸君はしまったという顔で慌てて腕を隠そうとするが完全に見てしまったからもう遅い。

 

彼の左腕は赤い鱗に覆われて長い爪が生えている。

 

どうみても人間の腕じゃない。

 

「そ、その左腕は何?あなたは何者?」

 

彼の左腕を見て疑問が一気に爆発した。

 

城戸君はどう見ても男の子だ。魔法少女である筈がない。

 

にもかかわらず彼は何もない所から赤い籠手を出してそこから光の剣で使い魔を斬ったり、自分や他人の力を上げたり赤い鎧を着て魔女を倒したりと人間ではありえない事をやってのけた。

 

もしかしたら男の姿に似せた魔女か新たな使い魔かもしれない。

 

「とりあえず話を聞いてほしい」

 

私は話だけでも聞こうとするが魔法少女になり警戒する。

 

 

 

【一真サイド】

 

「(マズイな完全に敵視してる。どうしよう)」

 

この状況を打破する手段を考えると。

 

「おーい一真、あの子お母さんの所に連れて行ったらすごい喜んでたぞ。よかっ・・・なにやってんだ!?」

 

俺と魔法少女になっている巴さんの間に飛び込んできた杏子ちゃんが魔法少女に変身して割って入り槍を構える

 

「アンタ、一真に今何しようとした!」

 

「違うわ!私はそこの彼に聞いてるの、そもそも魔法少女でもない男の子が魔女や使い魔を退治できるわけないじゃない!彼は何?魔女?それとも使い魔?」

 

混乱してるな、無理もない

 

魔法少女でもない俺が普通じゃありえない能力を使って魔女を倒したり、左腕が見た目怪物のドラゴンの腕になってたら人間だと思わないよな。

 

考えたらありえない状況だ。だから巴さんは俺が魔女か使い魔だと警戒したわけか。

 

一触即発の空気だ、最悪化け物扱いされてもいいからどうにか敵じゃないと誤解を解かないと・・・

 

「ふっざけんな!一真は魔女でもなければ使い魔でもねえ。人間だ!」

 

杏子ちゃんが怒鳴ってその上庇ってくれた。

 

「え、人間?」

 

「ああそうだ!こいつは城戸一真、アタシを庇ってくれた少しおっちょこちょいで無茶しやがる無鉄砲で大バカヤロウなアタシの大事な相棒だ!」

 

庇ってくれたのはうれしいけどなんかどさくさにまぎれて何気にひどい事言ってなかった!?

 

「じゃあその怪物みたいな左腕はなんなの?」

 

「怪物?何言って・・・お前!その腕どうしたんだよ!!」

 

杏子ちゃんがドラゴン化した俺の左腕を見て今気づいたのか驚きの声を上げる。

 

どう説明しよう。下手に嘘ついてもしょうがないので正直に銀の魔女を倒す為に禁手(バランス・ブレイカー)とそれにまだ至っていないから一時的に赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)を装着する引き換えに左腕を代価しましたと話した。

 

「お前はなんでそんな無茶な事ばかりするんだ!!!」

 

「そんな・・・そんな事って・・・」

 

はい、杏子ちゃんの怒りは俺に向いてさらに怒りは大きくなりました。

 

巴さんは今にも泣きそうな顔してるし。

 

「いいんだよ。俺もみんなも助かったんだ。後悔なんかしていない」

 

「なんでそんなに呑気な事を言ってだよ!おいドライグ!元に戻す方法はねえのか?ないって言ったら止めなかったテメエもただじゃ済まさねえぞ!」

 

『・・・・・ない事はない。左腕のドラゴンの魔力を散らせれば一時的だが元の人の腕に戻る・・・・』

 

原作で朱乃さんやアーシアがやってた奴か、アレを杏子ちゃんにどう説明しろって言うんだよ。

 

「魔力を散らせればいいんだな。もうソウルジェムが濁りきってもいいからアタシの残った魔力すべて使って元の腕に戻してやる。」

 

ダメ!詳しくは言えないけどそれ以上魔力を使ったらダメ!!

 

慌てて腕を引っ込めようとしたがガッチリ握られた左腕は引っ込めることはできずにドラゴンの腕は杏子ちゃんの胸元のソウルジェムにくっついた。

 

するとソウルジェムが輝きドラゴンの魔力がソウルジェムに吸い取られて元の人間の左腕に戻る。

 

「なんだこれえ!よく見たら私のソウルジェムの穢れもなくなってるし!?でも一真の腕、元に戻ってよかったじゃねえか」

 

笑顔の杏子ちゃんに対してありえない事態に内心焦りまくる。

 

「(ド、ド、ド、ドドライグ、どうなってんだよ!?ドラゴンの魔力が杏子ちゃんのソウルジェムに吸収されたよ、てか杏子ちゃん大丈夫なのか!確かあれって杏子ちゃんの魂じゃあ?)」

 

ソウルジェムは魔法少女の魂だから明日の朝になったら杏子ちゃんが鱗だらけのドラゴンになってたりしたらどうしよう。

 

「(お、おおお落ち着け相棒!俺にもなんだか分からんが大丈夫だろう、多分)

 

多分ってなんだよ。杏子ちゃんなにかあったらどうしたらいいんだよ。

 

『(一真もドライグも落ち着くですよ。佐倉杏子は大丈夫です)』

 

慌てる俺達に第三者の声が聞こえる。

 

この声は幼女神のリュネか

 

『(本来、魔力と魂は密接な関係。一真の左腕が治ったのは行き場のないドラゴンの魔力が魂の物質化したソウルジェムに入り込んだからなのです。さすがにこれは私も想定外の事態ですよ)」

 

「{じゃあソウルジェムから穢れが消えたのは?)」

 

「(魔力を使ったらソウルジェムが穢れるのなら魔力が補充されたら穢れが消えるのは当たり前の事なのでドラゴンの魔力が佐倉杏子のソウルジェムに吸収された事で穢れが浄化されなくなったのです。

吸収されたドラゴンの魔力自体も佐倉杏子の魔力に変換されたから一切の害はないです。女神の名においてこれは絶対に保証します。それどころか魔力のおかげで彼女自身も強くなったですよ)』

 

そうなの?よかった・・・・

 

「さっきかから何一人百面相してんだよ?」

 

「な、なんでないよ」

 

急に杏子ちゃんに声を掛けられ現実に引き戻される。

 

人の気も知らないで・・・・

 

「で、ドライグ。これでこいつの腕は元に戻ったのか?」

 

『・・・・いや、相棒の腕は一生このままドラゴンの腕だ。」

 

「い、一生・・・そう・・・なのか・・・・」

 

『ああ、残念ながらな』

 

「そんな顔しないでよ、左腕が人間の腕じゃなくなったのは残念だけどこうしなければあの子も助からなかったし俺達も魔女にやられていた。さっきも言ったけど俺自身はみんなを守れたから後悔はしていないし、むしろそんな顔される方が辛いよ・・・」

 

心配や哀れみの目で同情される為にやったんじゃないんだから

 

「・・・こいつの呑気さは死んでも治らねえな・・・」

 

そんな呆れたような顔しないでよ。

 

「あの・・・疑ってごめんなさい」

 

魔法少女の姿から見滝原中学の制服に戻った巴さんが信じてくれたようだ。

 

よかった、よかった。

 

「だからなんでそんなに呑気なんだ!」

 

ポカッっと頭を叩かれる

 

痛い・・・

 

「お前は!お前という奴はいつもいつも自分の事は棚に上げて、他人の事ばかり考えて!」

 

同じく元の服装に戻った杏子ちゃんに胸倉を掴み上げられ絞められる。

 

ギブッギブッ

 

「・・・ねえこんな時に聞くのはなんだけど私、その赤い籠手に見覚えがあるの。あなた首都高の自動車事故の時その場にいた?」

 

「え!?」

 

マミさんの言葉に焦る。

 

あの時起きていて見られていた!

 

同時にあの時のマミさんのお父さんを助けられなかった苦い経験が蘇る。

 

「ア、アンタ、あの事故の時の奴か!?」

 

「やっぱり・・・教えて、あの時何があったの?」

 

突然の事に頭が冷えたのか胸倉をつかんでた杏子ちゃんから開放された俺はすべてを話した。

 

杏子ちゃんと修行中に事故を目撃して急いで駆けつけて巴さんが魔法少女に契約したのを知った事。

 

巴さんのお父さんとお母さんを助ける為にさっきあの子に使ったリライブ光線を二人に使った事。

 

お母さんの方は息があったから助けられたけどお父さんの事は助けられなかった事を。

 

巴さんは驚いた顔で黙って俺の話を聞いてくれた。

 

そんな巴さんの前に俺は膝をついて、頭を地面に付けて土下座する。

 

「一真!?」

 

杏子ちゃんが俺の横に腰を落として俺の頭を上げようとするが俺は頭を上げない。

 

「巴さんのお父さんを助けられなかったのは事実だ。今でもあの時の事は悔やんでも悔やみきれない!本当にごめんなさい。」

 

「な、なあ、アンタの父親の事許してやってくれよ。あの時の一真の奴、本当に死にそうなくらいに無茶してたんだ。」

 

数分ぐらい無音が続く。

 

『なんでお父さんを助けてくれなかったの!』と怒鳴られてもいい。俺の力が足りなかったのが原因で彼女のお父さんを助けられなかったのは事実なのだから。

 

俺があの事故現場にいた事を知られた時はどんなに罵声を言わたり詰られる覚悟をしていたが・・・

 

「ありがと・・・」

 

返ってきたのは罵声ではなく聞き取れないくらいの小さな声のお礼だった。

 

「ありがとうお母さんを助けてくれて・・・私お母さんまで失ったら本当に一人ぼっちになる所だった」

 

「でも俺は君のお父さんは」

 

「お父さんの事は残念で正直辛いわ。でも城戸君はボロボロになりながらもお父さんを助けようとしてくれたりさっきも自分の左腕を犠牲にしてまであの子や私達を助けてくれた。」

 

泣きながら巴さんが肩に手を置く。

 

「ありがとう城戸君。お母さんもそしてお父さんも許してくれるわ」

 

その言葉で心の中にあった重しが取り除かれたような気がした。

 

気づけばさっきの戦闘が終わった後に流れた涙と違う感情の涙が頬を流れる。

 

「あ、あれ?なんで俺も涙が・・・」

 

「よかったな、一真・・・」

 

杏子ちゃんも泣きながら笑顔を向けてくれる。

 

「うん・・・」

 

俺も笑顔で答えた。

 

「・・・・うらやましいな」

 

「え?」

 

「ご、ごめんなさい。わたし今までずっと一人で戦っていたから一緒に戦っているあなた達がうらやましくて」

 

「巴さん・・・」

 

「アンタ・・・」

 

そうだよな。魔力があって強い魔法少女っていっても所詮は十代の女の子。

 

友達にも相談出来ずにいままで一人で魔女と戦い。時には傷ついて一人で治療してたんだろうな。

 

傷つき不安に駆られながらも涙を我慢したり、時にはそれが抑えられずに一人で泣いた事は一度や二度だけじゃない筈だ。

 

だから俺が出来る事はただ一つだけ。

 

「じゃあ俺たち一緒に戦いませんか?」

 

彼女を仲間に誘う事だ。

 

「え?」

 

「はあ?」

 

俺の言葉に驚くマミさんと杏子ちゃん

 

「駄目かな?杏子ちゃん。」

 

「・・・分かったよ、一人は寂しいもんな」

 

同じ魔法少女の過酷さを知っている杏子ちゃんは赤くなり背を向ける。

 

素直じゃないなと苦笑する。

 

「ほんとうに私と一緒に戦ってくれるの?」

 

「はい、よろしく『傍にいてくれるの?』

 

「・・・はい?」

 

「あぁ?」

 

杏子ちゃんが振り返り

 

「私達仲間になったんですからこれから巴さんなんて他人行儀じゃなくてマミって呼んでください」

 

怒る杏子ちゃんと笑顔のマミさんを交互に見ながら俺は・・・また一波乱な生活が始まりそうな予感をしていたのであった。




おめでとう新しい仲間にマミさんが加わりました。
ソウルジェムにドラゴンの魔力を吸収されるって設定はさすがに無理があったかな。
これに関しては賛否両論があるだろうけどオリジナル設定のタグもあるし思い付いて書きたかったからできれば許してほしいです。
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