魔法少女と偽りのヒーロー   作:カオスロイドR

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見滝原中学生編
第11話 美学と暗躍の間に


「ロ、ロッソ・ファンタズマ!」

 

広場で杏子ちゃんが赤い顔で叫んでいた。

 

「佐倉さん、声が小さいわよ!お腹から声を出すようにもっと大きくはっきりと他の人が聞いても分かるように!」

 

「そ、そんな事言ったってー」

 

同じくなぜか頭に鉢巻を巻いたマミさんが指導して涙目の杏子ちゃんが弱音を吐く光景。

 

俺はそんな光景をベンチに座って眺めていた。

 

なんでこんな事になってしまったんだろう…

 

ふとそんな考えが過る。

 

確か今日は、マミさんの部屋で俺と杏子ちゃんとマミさんでお茶会をしていた・・・筈だったが。

 

「私、魔法少女なら技名を叫ぶ必要があると思うの」

 

すべてはマミさんのこの一言から始まった。

 

「「はい?」」

 

杏子ちゃんと声がきれいに重なる。

 

マミさん曰く魔法少女たる者必殺技の名前は常識との事だ。

 

そんな常識初めて聞きました。

 

まあ、前世の魔法少女モノのアニメを思い出すとあながち間違ってないのもまた事実だな。

 

必殺技の説明を披露した後。技名の大切さを教える為と言って発声練習しても迷惑が掛からない広場に移動して冒頭に戻る。

 

「なあ、マミさんこれって本当に必要な事なのか?」

 

「そうよ、技の名前を叫ぶ事は魔法少女の美学なのよ」

 

そんな美学聞いたこともないんですけど。

 

「あと城戸君の必殺技の名前も考えてあるの。」

 

楽しそうにこちらを向くマミさん

 

え?魔法少女じゃないのに俺にも飛び火すんの?

 

杏子ちゃんは仲間ができたってガッツポーズとってるし。

 

そんなに嬉しいものなのか。

 

それとも単に道連れができて喜んでるのか。

 

まあ、そういかないがな・・・

 

「まず赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)から出す魔力弾は赤色のロッソは佐倉さんで使ってるのでイタリア語で紅を意味するクレミーズィ『ドラゴンショットです』」

 

マミさんがなにか言おうとする前に被せて封じる。

 

つうか、クレミーズィ何言おうとした?

 

少し気になる、止めたの失敗したかな。

 

「え、えっともう考えてあるの?」

 

「技名があった方が作戦を伝える時に便利だから考えてますがなにか?」

 

「じゃあ青い剣は・・・『アグルブレードです』」

 

「じゃ、じゃあオレンジのけ『メビュームブレードです』」

 

「う、うう・・・佐倉さ~ん、城戸君がいじめる~」

 

「はいはい」

 

バレバレの嘘泣きするマミさんが杏子ちゃんに抱き着く。

 

杏子ちゃんも嘘泣きだと分かっているから適当に相手をしている。

 

なんか俺が悪いみたいじゃないか・・・

 

「ううう・・・そういえば城戸君も佐倉さんも来年から見滝原中学校に通うのよね?」

 

「ええ、杏子ちゃんはお父さんの知り合いの家に下宿させてもらってそこから見滝原中学に通うらしいです」

 

露骨に話変えてきたな。まあ変えないと面倒だしここは乗る事にしよう。

 

杏子ちゃんもうんうん頷いてる。

 

「賑やかになりそうね・・・」

 

「よろしくお願いしますねマミ先輩」

 

「マミ先輩、よろしくな」

 

「せん・・・ぱい・・・マミ先輩・・・えへへ・・・」

 

なんかトリップしてるけど時間も遅いから今日の訓練はここまでだな。

 

「そういや今日だったよな。おまえちの家族とアタシの家族でご飯食べに行く日って」

 

「うん、家で待ち合わせして父さんが帰ってきたらすぐ出発だよ」

 

今日は杏子ちゃんの家族とウチの家族のみんなで外食する予定だ。

 

「・・・可愛い後輩が二人も・・・こんな気持ちになったのは初めて、もう何も怖くない・・・」

 

マミさん早く帰ってきてください。

 

 

その夜。

 

仕事から帰ってきた父さんと合流してみんなで外食した帰り道。

 

父さんの運転する車で杏子ちゃんが下宿する家に向かっていた。

 

立ち直った杏子ちゃんのお父さんは再就職が決まり引っ越しする事になり家族で引っ越ししようとしたが。

 

魔法少女の事情を杏子ちゃんから聞かされた杏子ちゃんのお父さんが引っ越し先に別の魔法少女がいて縄張り争いになるかもしれないと思い。

 

生活費などを仕送りして杏子ちゃんを信頼できる風見野に近い見滝原に住む友人の家に下宿させる事にしたのだ。

 

モモちゃんはみんなと外食して嬉しくてはしゃいでいたので疲れたのか眠っている。

 

考えたらお姉ちゃんと離れ離れになるんだ、そりゃはしゃぐよな。

 

杏子ちゃんを下宿させてくれる家の人達ってどんな人だろう?

 

元いた教会には、後任として仮面ライダー龍騎の神崎兄妹に似た牧師とシスターが住む事になってたしもうなにが出てきても驚かねえぞ。

 

「そういえばおや・・父さん、アタシが下宿する家ってどこ?」

 

「もうすぐ着くよ」

 

「うちから結構近い場所なんだな」

 

車は右折し左折して真っ直ぐ走った後にある家の前で止まる。

 

「お、着いたようだな。ここだよ」

 

「へえ、ここか・・・ってえ?ここって!?」

 

ほう、見なれていてまるで実家のような安心感を醸し出す見事な家だな・・・・って俺ん家かい!

 

「「どういう事だよ父さん!」」

 

真っ赤な顔の杏子ちゃんと親達の方を見ると

 

「城戸さん、娘の事よろしくお願いします。」

 

「悪い事したらビシバシ っていただいて構いませんので」

 

「いえいえ私達も娘ができたようで嬉しいですわ」

 

なんか親同士で当たり前のように挨拶し合ってた。

 

「「無視すんな!」」

 

我慢の限界に達して怒る。

 

それだけこの異常な事に冷静になれなかった。

 

「私がお願いしたんだよ」

 

マジですか杏子ちゃんパパ!?

 

「そして私がOKだした!サプライズで黙っておいたのよ」

 

ピースしてドヤ顔しやがる我が母

 

「すまないな、美穂に最後まで教えない方が面白そうだから絶対に秘密にしろて言われていて・・・」

 

父さん、あいかわらず母さんに甘いな・・・

 

「つうか一真。お前はこの家に住んでるのに気づかなかったのか?」

 

言われてみれば確かに。

 

荷物を運び込む音とか普段と違う気配とかで気づきそうなものなのに一切気づかなかった。

 

「そりゃ気づかないわよ。かず君が学校や出かけてる時を見計らってそうじしたり荷物を運びこんだりしてたから」

 

そこまでするか・・・

 

「・・・か、城戸のお母さん、お父さんこれからよろしくお願います」

 

杏子ちゃんが俺の両親に頭を下げる。

 

「いいの、なんか強引に巻き込んだ形になったのに?」

 

いくらなんでも女の子が同年代の男の子と一緒に暮らすのって抵抗あるんじゃないの?

 

「父さんや城戸のお母さんがそこまで考えてしてくれたんだ。無下になんかできねえよ。それとも一真はアタシが一緒に住むのは嫌か?」

 

「そうよ、かず君がここで断ったら杏子ちゃんは住む場所がないのよ?だからよく考えて答えてね」

 

か、母さんそれって脅迫じゃないか、しかも笑顔だけど殺気全開だし。

 

後ろで佐倉夫妻はもう答えは分かり切ってるんだから観念しろって顔だよ。

 

杏子ちゃんそんな子犬みたいな目でこっち見ないで。

 

まあ、答えならもう出てるけど。

 

「杏子ちゃん、これからよろしくね」

 

パアァっと明るい笑顔になった杏子ちゃん。

 

もしここで断れる奴がいたらそいつに問答無用でドラゴンショットをぶっ放してやるよ。

 

「はい、かず君からOKもらった!じゃあ杏子ちゃんあとで荷造り解くの手伝うわね。佐倉さん達もぜひうちに泊っていって下さい」

 

そして母さんと佐倉夫妻と佐倉パパにおんぶされた眠っているモモちゃんと一回こっちを見た杏子ちゃんが家に入っていく。

 

父さんが無言で俺の肩に手を置く。

 

うん、俺も母さんに一生勝てそうにないわ・・・

 

 

 

後日、杏子ちゃんが俺の家に住む事になった話を聞いたマミさんの手元のカップが震えて、紅茶が零れえらいことになりました。




神崎兄妹を牧師とシスターにしたのは兄の神崎士郎が映画でパイプオルガンを弾いてたから。
当時、映画のサントラ買って『神崎士郎』を聴きまくってたな。


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