第16話 転校生暁美ほむら
【一真サイド】
見滝原中学の教室。
「目玉焼きとは、固焼きですか?それとも半熟ですか?はい、中沢君!」
「え、えっとどっちでもいいんじゃないかと・・・」
「(こないだはシュークリームに皿がいるかいらないかだったがどんだけ男運悪いんだよ・・・)」
朝っぱらから担任の早乙女先生が彼氏にフラれた愚痴を自分の受け持つクラスの生徒たちにぶちまけていた。
またですか・・・
一年の事から毎度毎度、早乙女先生は中沢を指名し中沢も律儀に答えている。
中沢も毎回聞かれて返答に困るよな。
ん?毎回?
そういや中沢以外で質問されたの見た事ないな。
もしかして中沢、早乙女先生に狙われてる?
・・・・深く考えないでこの事は早く忘れよう。
二人の未来に幸あれ。
「そう、どっちでもいいんです!いいですか女子の皆さん!卵の焼き加減にケチを付けるような男とは交際しないように!そして男子はくれぐれもそういう大人にならないように!!」
「(あちゃーダメだったか)」
「(ダメだったんだね)」
前の席にいる美樹さんと俺の横の席にいる鹿目さんが小声で話をしている。
早乙女先生に聞かれないようにね。
まあ、本人は熱弁してるから聞こえてないみたいだけど。
「(ちなみに城戸はどっち?固焼き?半熟?)」
美樹さんがこっちにも質問してくる。
なんで俺に聞くんだよ。そういうのは俺じゃなくて上条に聞け。
その方があいつが喜ぶから。
まあ聞かれたからには答えるけど。
「(中沢じゃないけどどっちでもいいよ。ただ味付けは俺個人の好みならシンプルに塩、コショウの方がいいかな)」
まあ好きな食べ物は好きに食べろって感じだから早乙女先生の元カレみたいに他人の好みに対して文句言う気なんてないけどね。
「(ほうほう城戸の好みは塩コショウっと、あとで杏子に教えてやろ)」
なんで俺の好みをわざわざ杏子ちゃんに教える必要があるんだよ。
そんな関係でもないのに。
「はい、では最後に転校生を紹介します」
「((((いやいや、そっちがメインだろう・・・))))」
やっと早乙女先生の愚痴が終わり、みんなの気持ちが一つになったあと、一人の長い黒髪の女の子が入ってくる。
暁美ほむら
まどか☆マギカのもう一人の主人公と言ってもいい少女。
魔法少女の秘密とインキュベーターの企みを知り人知れずたった一人で親友の鹿目まどかを魔法少女にさせない事、そしてやがて見滝原市に現れる大型魔女ワルプルギスの夜を倒す為に何度も時間を繰り返して戻る時間遡行者
彼女の登場は原作が始まることを意味する。
ついにこの時が来たか。
「暁美ほむらで・・・す!?」
クラスを見まわして自己紹介した暁美さん驚いてる驚いてる。
まあそうだよね教室に本来いるはずのない杏子ちゃんと上条がいればそうなるよね。
だがそこはさすがの暁美さん。すぐにポーカーフェイスに戻って何事もなかったかのように振る舞った。
さて彼女にどうやって接触するか早乙女先生の授業(愚痴)を聞き逃しながら考えるとしますか・・・
~~ほむらサイド~~
相変わらずあの先生は転校生が居るのに外で待たせてくれるわね
しかもどうでもいい失恋話で
妥協と言う言葉を知らないのかしら?
あ、やっと終わった。
さてここから本番
今度こそ成功させてみせる。
教室に入り早乙女先生の横に立って何度も繰り返した自己紹介をする。
「暁美ほむらで・・・す!?」
今回はいつもと違った!
な、なんで佐倉杏子と上条恭介がここにるのよ!
佐倉杏子は風見野にいる筈だし上条恭介は交通事故で入院している筈じゃないの?
お、落ち着きなさい暁美ほむら!驚いたら駄目、変に思われる。
なにか偶然が重なって二人が居るだけかもしれないじゃない。
そうよ、そうに違いない。
とりあえず冷静になって早乙女先生に言われた席に向かう。
チラッとまどかを見る。
まどかはこのイレギュラーな時間軸でも変わらずいるわね。
今度こそ絶対に助ける!
その後休み時間になり、転校生の物珍しさに女子が集まってきた。
何度も繰り返しているけどこればかりはなれないわね。
正直わずらわしい。
でもこれもまどかを守る為に仕方ない事
気分が悪いと席を離れて保健委員のまどかの所に向かう。
まどかは美樹さやか、志筑仁美、そして佐倉杏子と雑談をしていた。
「鹿目さん」
「ひゃ、ひゃい!」
「あなた保険委員よね?保健室に連れて行ってもらえる?」
「う、うん分かった。」
まどかと一緒に保健室に向かおうとした時、佐倉杏子とすれ違う。
どうみても佐倉杏子よね。そっくりさんとかじゃなくて。
「・・・何ガン飛ばしてんだ。ああ?」
佐倉杏子が睨み返してくる。
そ、そんなつもりはなかったんだけど・・・
私そんなに目つき悪いかしら・・・
「き、杏子落ち着け、ほらまどか早く保健室に行ってきなよ」
焦りながら美樹さやかが怒る佐倉杏子の肩を軽く叩き笑いながら宥めてくれた。
感謝するわ美樹さやか。
その後ろでおろおろしている志筑仁美
あなたはそうやって大人しくてて、特に男女の告白方面で。
私とまどか、歩き慣れた廊下を歩く。
すれ違う生徒達は転校生の私をちらちらと見てくる。
早く慣れてほしいわ。
そして人通りの少なくなった所を見計らってまどかに忠告しようとすると
「あ、あの暁美さん」
まどかの方から話し掛けてくるなんて。
「ほむらでいいわ、何?」
「え、えっとあ、あのね?」
なんでオドオドしてるの?
まどかって人見知りだったかしら?
「えっとほむらちゃんと私ってどこかで会った・・・かな?」
まどか!?あなた覚えて・・・
「なんて、そんなわけないよね」
・・・ええ、そうね”覚えてる”なんてそんなわけない。
「鹿目まどか」
「は、はい!」
「あなた家族や友達の事大切だと思ってる?」
「え?」
「どうなの?」
この時間軸はおかしなことが多い。もしかしたらまどかの性格も変わってるのかも
「・・・もちろん大切だと思ってるよ、家族も友達もみんな大好きだもん!」
よかったまどかは優しいまどかのままだ。
「なら忠告しておくわ、その気持ちが本当ならこれだけは守って。この先何が起こっても『自分を変えよう』だなんて決して思っては駄目よ。でなければ大切なものすべて失う事になる」
まどかは意味が分からない顔をしているけど今はそれでいい。
あなたは変わる必要はない。
そのままのあなたでいなさい。
【一真サイト】
暁美さんが転校は原作通りに進んだ。
杏子ちゃんと暁美さんがケンカになりそうになった以外は
あれ、居る筈のない杏子ちゃんに対して不信感でつい睨んじゃったんだろうな・・・
それから午前中の授業が終わりお昼になった。
屋上で俺、中沢、そして中沢が上条を誘って野郎三人で昼飯を食べてたら。
同じく屋上に昼食を食べに来た美樹さん、鹿目さん、杏子ちゃん、志筑さんが加わっての華やかな昼食になった。
そして話題は転校性の暁美さんの話になると
「ぎゃっははははは、ちょ!まどかなにそれマジで!」
大笑いする美樹さん。
原因は鹿目さんが暁美さんとは初対面なのに今日夢で暁美さんが出てきたと話した事だ。
「二人はあれだ前世かなにかで結ばれた運命だったんだ。これぞ宇宙の奇跡のなせる業」
「からかわないでよ、さやかちゃん」
美樹さんは笑っているがあながち外れって訳じゃないんだよな。
「(これは予知夢か?もしくは因果の影響なのかな)」
暁美ほむらが鹿目さんを護る為に時間軸を移動して鹿目さんに何度も会ってる事を知る俺は笑えなかった。
「美樹、笑いすぎだ。この年頃の子がこういう時期になった時は分かってる分かってるからねって目で優しく暖かい目で見守ってやるもんだ」
中沢が鹿目さんのフォローにまわったが。
「なるほど、こうか」
美樹さんがニヤニヤしながら鹿目さんを見ている。
いやそれはどっちかと言うとバカにしているような目だ。
「うう・・・さやかちゃんも中沢君もひどいよ」
「い、いや俺はそんなつもりは・・・」
ほぼ涙目の鹿目さんと慌てる中沢。
鹿目さん、その泣きそうな顔は逆効果だ。
中沢はあとで〆る。
ここらで助け舟を出すか。
「まあ案外、どこかで見た事あってそれが偶然今日の夢に出たんじゃないのかな」
「そ、そうだよね」
「なに城戸、あんた夢がないなー」
「その方が現実的でしょ。なあ上条君」
「・・・まあそういう考え方もあるな」
真相を知ってるけど言う訳にもいかないからそこで僕に振るなって目で睨んできているが。
イケメンぶってないで少しぐらい話に混ざれ。
「恭介もそっちの味方かー!」
「さ、さやか、ち、違うよ!?」
おやおや、じゃじゃ馬なお姫様の機嫌を損ねて上条が慌ててるな。
いい気味だ。
俺に非はない。
「面倒そうな話してんなー腹減ってるから怒りっぽくなるんだ。飯食えよ?」
「そ、そうですわどうぞ、食事をして落ち着きましょう」
「く~誰も味方いなくて悔しい。けどうまい」
杏子ちゃんと志筑さんが弁当のおかずを分けてあげて美樹さんがそれをヤケ食いする。
どうやら機嫌が直ったようだな。
「おい待て!唐揚げまでやるとは言ってねえぞ!」
美樹さんがあげてない他のおかずにまで手を出して杏子ちゃんが怒って止めてるがこれはいつもの光景だ。
ん?
ふと反対側の建物の方に視線を感じた。
なんだ?よく見えないな。よし百メートル先のマッチ棒も見えるウルトラマンの視力で見るか。
あれは・・・
~~ほむらサイド~~
昼食の時間になり私は保健室のベットからこっそり抜け出して屋上の見える別の校舎の塔の
監視しているようでまどかに悪い気がするけどこれもインキュベーターからまどかを守る為だと割り切る。
屋上にいるまどかは美樹さやか、志筑仁美、佐倉杏子、上条恭介、そして二人の男子生徒と楽しそうに昼食を食べていた。
・・・楽しそう。
私もあの中に入れたら・・・いけない今は弱音を吐いては
頭を横に振って気持ちを切り替えてまどか達の方を見たら。
「えっ?」
まどか達と一緒に食事を摂っている二人の男子の内の一人がじっとこっちを見ていた。
目が合った気がして驚いて思わず柱の影に隠れる。
み、見えてるの!い、いえそんな筈はない。
屋上からここまで何百メートル離れていると思ってるのよ。
魔力で視力を強化した魔法少女の私ならともかくただの人間の男子が見えるわけがない!
例え見えたとしても人と認識できない殆ど点のようにしか見えない筈だ。
そう自分に言い聞かせながら恐る恐る再び屋上を見てみると
「・・・・(チョイチョイ)」
笑顔でこっち見ながら手招きしてる!?
気づかれてる、絶対に気づかれてる。
そ、そういえば今まで時間軸を渡り歩いて来たけどあの男子の顔は見た事ない気が。
一体何者なの?
その後、あの得体の知れない男子が気になり食事が一切喉を通らなかった。
【一真サイド】
午後の授業の休み時間。
男子トイレで上条と二人横に並んで用を足しながら話をしていた。
ここは魔法少女でも入ることが許されない男の聖域
密談するには持ってこいの場所だ。
「さっき手招きした相手は暁美ほむらかい?」
「ああ、せっかく親睦を深めようと誘ったのにフラれちゃったよ」
「そりゃ残念だったね」
軽い口調で話していたがここから真面目な話に切り替えるか。
「で、本来の時間軸通りに暁美ほむらさんが転校してきたがお前はどう出るつもりだ?」
こいつの真意を知っておきたいから小細工なしで単刀直入で聞き出すか。
「別にどうもしないさ、彼女はさやかが魔法少女になる事を嫌がっているし行動理念も鹿目まどかを護るという謂わば僕側の人間だ。向こうが何もしなければ何もしない」
「その言葉信じていいんだな」
「ああ、かつての親友の言葉として信じてほしいな」
嘘・・・だな。
彼女、暁美ほむらさんがもし美樹さんを犠牲にして鹿目さんを助けようとしたらおまえは迷いなく暁美さんを手に掛ける。
逆に美樹さんを助ける為なら鹿目さんを犠牲にする事も厭わないくせに・・・
いかんな、あまり疑心暗鬼すぎるのも。
これはあくまで俺の推測にすぎないのに。
今は奴の言葉を信じて無用な戦いを避ける方向でいこう。
「暁美さんの事もそうだが彼女が転校してきたという事はもうすぐ消してもすぐ沸いて出るインキュベーターが暁美さんに襲われる事を利用して鹿目さん達に助けを求める茶番劇がある。あの茶番に関してもお前の出方を知りたい」
「無論、阻止する為に動くさ。あの茶番はさやかも関わるからね」
「そういうだろうと思ったよ」
「君の意見も聞こうか?」
「もちろん俺も阻止する。杏子ちゃんやマミさんの家族を助けた俺が言えた義理じゃないがそれが後の出来事にどう影響出るか分からないがな」
杏子ちゃんやマミさんの家族を助けた時と違って成功すれば今回は原作そのものを大きく変える事になる。
もっとも転生者の俺や上条恭介に憑依した鈴木君がいる事自体原作と大きく変わってしまってるけど。
「そうかでは今回は情報を共有して共闘という事でいこう。なにかあればメールで連絡する。それで構わないね」
「ああ、それでいい」
俺と上条は手を洗いながら話を続ける。
打てる手はすべて打ちこれで賽は投げられた。
「今日はマミさんと魔女捜索の日だから駐車場付近を重点的にパトロールして鹿目さんとキュゥべえが接触する前にカタを付けるつもりだがお前は具体的になにするんだ?」
「とりあえずさやかを誘って出かける事でインキュベーターのいる駐車場から遠ざけるつもりだ」
「なんだ、これ幸いとデートに行くのか?」
「デートじゃない、さやかを護る為に一緒に出かけてついでに時間稼ぎの為に買い物や食事などをするだけだ」
「それを世間ではデートって言うんだよこのリア充が!」
「君にだけは言われたくないな!」
「やるか!」
「かかってこい!」
この後、能力なしで
ワルプルギスの夜を倒しインキュベーターを地球から追い払い魔法少女の問題を解決して戦わないで済む日が来たらこんな風にまた鈴木君と昔のように笑いあえる事ができるのかな。
今回、一人称がコロコロ変わるからここで一旦区切ります。
一話分に対して二人までの方がいいのかな。
話自体は紙のメモ用紙に書いてるのパソコンで打ち込むだけなんだけど
ねこ様にパソコンの椅子を取られて下ろしたくても気持ちよく寝てるからできなかったんや、僕は悪くない。