初めて投稿するので文がめちゃくちゃで、誤字もあると思いますが、暖かい目でみていければただ嬉しいです。
1話 平凡な日常の終わり
明るく辺りを照らしていた太陽は、今では赤みを帯びて夜への準備を進めている。
どこの町でも見かけるような至って普通の道。
細くもなければ広くもない平凡な道中に俺━━━━如月秋夜は少しだけ歩幅を大きくし、歩みを早める。
今は学校が終わって放課後。
友人からゲーセンに行こう、カラオケに行こう、等の誘いが数件きたが今日はどうも気分が上がらない。
別段、具合が悪いとかでは無いんだけど・・・・・。皆には随分心配させちゃったな。
俺は制服のズボンのポケットに手を入れながら、誘ってくれた友人達に申し訳なくなる。
あいつら変態だけど、何だかんだでいい奴らだよな。後でクッキーでも作って持って行ってやるか。
シンプルにバタークッキーか、それともチョコチップでもいれようか悩みどころだ。
そこまで頭を悩ませる必要もないのだが、どうせ作るのなら自分で納得のいくものを作りたい。そんな拘りを胸に抱きながらふと、不自然な事に気がつく。
あれ、この時間帯ってここまで人が少なかったっけ?
歩いてるのが俺しかいないし、何より人気が無さすぎる。
今はどの学校でも放課後のはず。なら、他校の生徒が歩いていても不思議じゃない。
それ以外でも、ゴミ捨て場を漁るカラスや塀の上で寝ている猫だっていない。
嫌でもこの空間には俺一人しか居ないんじゃないかと錯覚してしまいそうになる。怖いわけではないけれどこの静けさが俺に不安を煽っていく。
足早に家へ帰ろうと近道をするためにジャングルジムや滑り台、ブランコなどが設置されている広めの公園を素通り。
本来なら子供達がはしゃいで遊んでいても可笑しくはないのに、やはり一人もいない。
━━━━否
子供は確かに居ないが一人だけ、不自然なまでに一人だけが公園のど真ん中で立ち尽くしている。
シルクハットを被り紺色のコートを身に纏った紳士的な男性だ。それ故に公共の遊び場には不自然すぎる。
「・・・・・・・」
俺は怪訝に思いながらも、なるべく目を合わせないように男の横を通りすぎる。
「止まれ」
男の凍えるような声に、俺は心臓を鷲掴みにされるような感覚に陥る。汗が止まらない。動悸が激しくなる。
俺はゆっくりと振り返り、唇を震えさせながら返事をする。
「・・・・・な、何ですか?」
「貴様は如月秋夜で間違いないな?」
男は表情を変えずに淡々と述べる。
見知らぬ人間から突然自分の名前を口にされたら誰だって驚いてしまう。それは俺も同じで、明らかに動揺してしまった。
「その反応、どうやら間違いなさそうだな」
ヤバい、と本能がそう告げている。
何がヤバいのかは分からないけど、兎に角こいつはヤバい。
俺はその場から全力で逃げ出した。
後ろなんか振り返ってるほど余裕なんかない。だから、男が追いかけてきているか、それとも留まっているのかも不明だ。
ヒュンッ!
一心不乱に走り続けていると、背後から一筋の光が俺の頬を掠める。
「あぐッ!?」
頬を掠めた程度だというのに、傷口は燃えるように熱くそれでいて血が止めどなくあふれでてくる。
俺はその拍子に躓いて転んでしまう。
「外したか」
あの男の声だ。
しかし、それよりも信じられないことがある。この男━━━━
「・・・・・つ、翼・・・・・飛んでる・・・・・!?」
背に漆黒の翼を生やし、宙に停止しているなんてあり得るのだろうか。自分の目の前で起きている事なのに、それが真実だとは思いたくなかった。
俺は足に力が入らず、地面に尻を擦るようにして後退る。
「恐れることはない。一瞬で殺してやる」
男は自らの右手に光の槍のようなものを作り出す。俺の頬を掠めたのも恐らくこれだ。
殺す、という言葉に偽りは感じられない。本気で俺を殺しに来る気だ。
「な、なんで!なんで俺を!?」
「貴様には“神器”が宿されているはずだ。尤も、まだ目覚めていないようだがな。危険因子は早めに駆除しろとの命令でな、恨むのなら神器を作り出した神を恨め」
男は訳の分からないことを言って光の槍を放ち、目視できないスピードで俺のもとに飛んでくる。
「がはっ!?」
当然避けられるはずもなく、俺の腹部には槍が貫通された。
貫かれた瞬間に悲鳴にならないほどの激痛が襲いかかってきたが、今ではもう痛みを感じなくなってしまった。
気づけば俺は地面にうつ伏せで倒れており、何やら生温かい液体に浸されている。
それが自分の血液だということにわかるのに、そう時間は掛からなかった。
・・・・・・・・血。
こんなにたくさん・・・・・・・ははっ、死んだかも・・・・・。
意識はほとんど無いに等しいのに、何故か心のなかでは意外にも冷静に物事を考えられるという疑問。
もはや何でもいいかと、思考を放棄しようとしたとき頭のなかに何かが響いてくる。これは、声だろうか?
『(・・・・・まだ、死にたくないか?)』
逆に聞くけど、俺が死にたがってると思う?
『(そうか、なら生きたいと思うか?)』
当たり前だ。俺にはまだまだやりたいことがあるんだぞ。これでも青春真っ盛りの男子高校生なんだからこんなところで死んでたまるかよ。
一体誰と会話をしているのか疑問に思ったが、不思議と嫌な感じはしない。
謎の声の主は鼻をならして声音を強める。
『(ふっ、ならば俺が力を貸してやる!死にたくはないのだろう!生きていたいのだろう!)』
その威厳ある声を弾ませて頭のなかに響き渡る。
━━━━━刹那
バチバチバチバチバチッ!!!!
俺の身体が眩い閃光に包まれる。
まるで電気が走ったような感覚だ。それに、不思議と心地いい。
何故だろう、体中の痛みが和らいでいくし力もみなぎってくる・・・・・。
俺はゆっくりと目を開けて自分に起こっている事を確かめてみると、周囲には雷のようなものが迸り、スパークを引き起こしていた。
そして何より驚愕したのが、貫かれたはずの腹の穴が完全に塞がっていたことだ。地面には大量の血液が撒き散らされていたため、夢ではないことが証明される。
「なっ!?貴様、まさか神器を目覚めさせたのか!?」
「じ、神器・・・・・?」
「くっ、早急に始末しなければ!」
困惑している俺などお構いなしに、男は再び光の槍を生成する。
これ、何度見ても人間業じゃないだろ・・・・・!くそっ、二回も腹に穴を開けられるなんて勘弁だ!
俺は不思議と調子が良く軽くなった身体を起こし、急いで逃げようとするが男は慈悲のない一撃を放つ。
先程のように貫かれてしまうかと思い、死が脳裏を過る。
が、俺は目視できないはずの光の槍を避けることができた。的を外した槍はコンクリートの地面に直撃してクレーターをつくる。
「俺の槍を避けただと!?あり得ん!神器に目覚めたからといっても、ただの人間が避けられる筈がない!」
自身のプライドが傷ついたのか、男は続けざまに光の槍を俺に向かって放つ。
「うわっ!あぶねっ!」
「まただと? 一体こいつは何の神器を・・・・・・?」
必死に上体を剃らして避けていく。
さっきから神器神器と言っているけど、この迸るビリビリが何か関係あるのか?いや、あるだろうな・・・・・・。
それにしても、最初の槍は見えないくらい速かったのに、今は普通に見えるから対処ができる。
あの男が手加減してるようには思えない。まさか、俺の何かが変わったのか?
『(その通り、俺が力を貸したお陰だ)』
俺の頭のなかに直接響いてくるこの声は、さっきと同じものだろう。死にかけていた時よりも鮮明に聞こえる。
っ!?
幻聴じゃなかったのか!?それに、俺の体がおかしくなったのもお前がやったのか?
『(ああ、そうだ。だか今はそんな事は後にしよう。目の前の鴉の駆除が先だ、死にたくなかったらの話だがな)』
なんか上から目線だな・・・・・・。まあいいや、それで俺はどうすれば死なずに済むんだ?言っておくけど、俺殴り合いの経験なんて無いからな。
『(なに、細かいことは気にするな。一発、思いきり力を込めて殴ればいい。あの程度の相手ならそれで十分だ)』
謎の声の持ち主は淡々とそう述べるが、俺としては不安で仕方がない。
俺が脳内で会話を続けていると、目の前の男が腕を天に翳す。
「ならば、この数は避けられまい!」
宙には一本や二本ではなく、全部で五本の光の槍が生成される。槍のサイズは一回り小さいが俺が当たれば致命傷になるのは確実。
『(決して冷静さを欠くんじゃないぞ?
か、簡単に言ってくれるな・・・・・・正直怖くて膝が笑ってるけど━━━━
「・・・・・・やるだけやってやるよ!」
俺は地面を蹴って宙に浮かぶ男に向かって駆け出す。そんな俺の行動を見て嘲笑する。
「はははっ、わざわざ当たりにきたか!」
まずは一発目、俺は全神経を集中させて避けることに全力を注ぐ。俺の中にいる奴の言った通り、落ち着いてよく見れば対処できないって訳じゃない。
「・・・・・よく見ろ・・・・・よく見ろ・・・・・」
俺は念仏を唱えるようにして自分に言い聞かせる。
放たれる槍一本一本が凶器。当たれば即死。極限までに高まる緊張感に気を失ってしまいそうになるが、俺は確実に避けていく。
そして、残り一本。
「な、何なんだ貴様はっ!ただの人間ではないのか!?堕天使であるこの俺の槍が掠りもしないなんてあり得ない!!」
ヒュォンッ!!!
最後の一本が放たれる。大きさも速さも他の四本と比べて明らかに違う。神々しくも感じてしまうその槍だが、今ならどんなに速くても避けられる自信がある。
「今だッ!!」
俺は屈んで槍を避け、そのまま両足に力を込める。
そして解放。
コンクリートが陥没するような音が聞こえたけど、そんなことはどうだっていい。
俺は一気に上空にいる男のところまで跳躍。何メートルあるかわからない距離をほぼ一瞬で縮めた。
暴力沙汰なんて体験したこともない俺に出来ること、それは中にいる奴が言うには凄く単純明快。
━━━━━思いきり力を込めて・・・・・・。
俺は右拳を握りしめて腕を引く。
「殴る・・・ッ!!」
ドゴォォンッ!!!
不格好な一撃が、男の腹部を直撃する。
戦闘のエキスパートやプロの格闘家達に見せれば鼻で笑われるようなフォームだけど、威力だけは本物。
その証拠として、男の体は九の字に折れ曲がり悲鳴にならない声をあげながら地面に墜落していった。
ここで俺は重大なことに気がつく。
あれ、着地ってどうすればいいんだ?
そう思ったときには既に重力に従って地上に落下。受け身なんかとれるはずもなく、俺は背中からコンクリートにダイビングした。
「がはっ!い、いってぇ・・・・!!」
普通なら痛いで済むレベルではないと思うのだけど、不思議なことに骨は折れておらず、掠り傷が所々にあるだけ。
俺は痛めた背中を擦りながら、仰向けで倒れる男に近付く。白目を向いており、完全にのびている。
「こいつ、どうすればいいんだ? 警察に連絡・・・・・?」
いやいや、背中から翼を生やす男を警察に出してもどうしようもないか。
『(そいつは放っておいても構わんさ。直にこいつの仲間が回収しに来るはずだ)』
そんな適当でいいのか?まあ、俺を殺そうとした奴に優しくする必要も無いけど。
結果的に、この鳥人間はそのままにしておくことにした。この騒動が終わったと思うと緊張が解けて一気に疲れが襲いかかってくる。
や、やべぇ・・・・・。体が重いぞ・・・・・こりゃ、帰るの一苦労だな。
俺は足を引きずるようにして家へと向かった。今日ほど記憶に残る日はないだろうと思いつつ、俺の中にいる“何か”と鳥人間の存在に疑問が絶えない。
あいつ、自分のこと“堕天使”とか言ってたような・・・・・。確かに翼は黒かったけど、あの聖書とかに出てくる堕天使なのか?
あれこれ考えようとするも脳からストップを掛けられたため、詳しいことは明日考えることにした。
▽
赤かった夕焼けも、今では沈んで暗闇が主役となっている。この時間帯こそ“私たち”の本領を発揮できるというもの。
放課後の帰り道、私は偶々結界が張られていることに気がついた。誰かが戦闘をしているのか、はたまた善からぬ事をしようとしているのか。
どっちにしろ、私の管轄であるこの町で勝手なことはさせるわけにはいかない。
気付かれないように結界を通り抜けると、一人の黒い翼を広げた男━━━━堕天使が、少年を殺そうとしていた。
あれは駒王学園の制服ね・・・・・。三年生ではないから二年か一年生かしら。
堕天使が狙っているということは、何か理由があるわね。神器を宿しているとか。でも見たところまだ覚醒はしてない。
しかし、ここで驚くべきことが起きた。腹部を光の槍で貫かれた少年の体から光にも似た雷が発生したの。
彼の周りには雷が迸って、次々と迫り来る光の槍を避けていった。ただの人間が対応できるスピードではないのに、こうも容易く避けられるなんて・・・・・。
そして、一撃で堕天使を倒した。
明らかに神器が影響している。これは調べておく必要があるわね。願わくは眷属にも率いれたいところだわ。
私は笑みを浮かべて、自慢の紅い髪を揺らしこの場を後にした。
最後まで読んで頂き有難うございます!
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