雷龍を宿しました。(休載)   作:Takari

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今回から新章です!


第2章 戦闘校舎のフェニックス
1話 日々の生活とフェニックス


 

朝5時に俺は目を覚ます。

 

 

………眠い。

 

隣で寝ているアーシアを起こさないように、そっとベッドから抜け出す。大きく欠伸をしながら洗面台に移動して冷水で顔を洗い、嫌でも目を覚まさせる。

 

何故こんなに早く起きるのかというと、それは日課の早朝トレーニングのためだ。

 

俺はジャージに着替えて外へ出る。日中は暖かいけれど、この時間帯は少し肌寒い。

 

俺は準備運動をしっかりしてから走り慣れたコースを十キロ走る。見慣れた町並みを見て今日も平和なことを確認。

 

 

なんかこの距離走るのも慣れてきたな。明日からもうちょっと延ばしてみるか。

 

 

程よく体が温まっているうちに俺は筋トレをしようと、近所の公園に向かう。こんな朝っぱらから公園で遊ぶ人は居ないだろうと、そう思っていたがなんと先客が二人。

 

 

「おはようございます。 部長とイッセーも朝早いんですね」

 

「おはよう、秋夜。貴方もトレーニング?」

 

「はい、日課みたいなものですね。………それよりも、イッセー大丈夫か?」

 

「お、おう...。だ、大丈夫だ...」

 

現在イッセーは腕立て伏せをしているが、ただの腕立て伏せではなかった。上に部長が乗った状態で行っていたのだ。イッセーの腕がぷるぷると小刻みに震えている。部長が重いというわけでは決してないだろう。

 

 

つらそうなのは伝わってくるんだが、イッセーの顔が若干喜んでるような………しかも腰の動きがなんか気持ち悪い。

 

 

 

「さて、おれもやるか」

 

 

悪魔の体になってから、朝には弱くなったけどなんとか慣れるようになったな。後、人間とは違って体のスペックが高いもんだから片手で腕立てするのも簡単になってしまった。

 

とりあえず片手で200回ずつ終え、その他にも基礎トレを済ます。俺のを見たイッセーが呆然とした様子で言う。

 

「す、すげえ……」

 

「イッセー、貴方もこれくらい出来るようにするのよ?」

 

「そんな無茶な!?」

 

「最初はしんどいけど慣れれば意外といけるもんだぞ?」

 

実際に俺がそうだったからな。それに、俺とイッセーの神器は地力が高くなきゃいけない。鍛えておいて損はないはずだ。

 

さて、ここでのメニューも終わったことだし次に移るか。

 

「それじゃあ二人とも、俺はもう行きますね」

 

「おう、学校でまたな!」

 

「わかったわ。さあイッセー、私たちはまだまだやるわよ!」

 

 

イッセーの顔がめちゃくちゃ嫌がってるように見えたけど。まあ、頑張れや。

 

 

二人と別れた俺は、ティア姉を魔方陣で呼び出す。

あ、もちろんドラゴンの姿じゃないよ?ちゃんと人間の姿に変身してもらっているから安心してくれ。

 

 

それと俺がティア姉と呼んでいるのは、使い魔にしたときからずーーっと!俺に頼み込んで来たからだ。流石に『お姉ちゃん』と呼ぶのは恥ずかしかったのでこれで我慢してもらった。

 

ティア姉はドラゴンの姿の時は恐怖でしかなかったけど、人間の姿はそれの180度真逆だ。

 

さらさらな蒼い髪を腰まで伸ばした長身超絶美女なんだよ。それに部長や朱乃先輩にもひけをとらないプロポーションときたもんだ。初めて呼び出したときは誰だかわからなかったぞ。

 

「んじゃティア姉、よろしく」

 

「ああ、了解した」

 

そう言ってティア姉と俺は魔方陣で使い魔の森へ転移した。

 

何故使い魔の森に転移したかというと、そこにはティア姉の縄張りみたいなところがあって、そこなら誰も近づかないし周りへの注意はしなくてもいいからだ。

 

そこなら思いっきりできるな。まさか龍王の縄張りに侵入しようなんて魔物も悪魔たちもいるはずがない。

 

 

これから何をするのかはもう皆さん察しているとは思う。

 

 

そう、この龍王との修行だ。

 

 

初めにクローゼから提案されたときは頭がいってるんじゃないかと思ったけど、ティア姉がすごいノリノリでやる気満々になっちゃったんだ。

 

で、結局やるはめになったのさ……。

 

俺に死ねと?

 

 

「よし、それじゃあ始めるか秋夜!」

 

「おう...」

 

笑顔でファイティングポーズをとるティア姉に対して、俺はなかなかモチベーションが上がらずに構える。

 

 

そこからはまあ、地獄でしたね。

 

『神速』を使って全力で殴っても鱗にはちょっとの焦げが付く程度。雷を放ってもブレスで一瞬にして消されるし。

 

でも最近では修行の成果が出ているのか、『神速』の持続時間が延びたし解除した時の疲労感も前よりマシになった。

 

それにあともうちょいで新しい技も完成しそうだ。

 

 

 

 

 

 

トレーニングを終えて家に帰るともう少しで7時を迎えそうになりそうだった。

 

俺はシャワーでざっと汗を洗い流し、着替えを済ませてリビングに向かうと既に朝食が出来上がっていた。

 

「シューヤさんおかえりなさい。朝ごはん出来てますよ」

 

「ただいま。丁度腹が減ってたんだよ、ありがとうな」

 

俺はアーシアに向かって笑顔でお礼を言う。

アーシアの作るご飯は旨いからどんどん箸が進んでいくんだよな。

 

「…………」

 

「ん?どうした?早く食べようぜ?」

 

何故かアーシアは俯いてしまった。

なんで?

 

「い、いただきますっ!」

 

アーシアは頬を赤らめて、ご飯を素早く胃の中に詰め込んでいく。だ、大丈夫かな。 取り敢えず俺も頂こう。

 

「いただきます」

 

 

 

 

 

朝食を食べ終えた俺たちは学校へと向かった。

 

アーシアは転校してきてから癒し系美少女と呼ばれ、初日から噂が広まり人気者になった。

 

そんな美少女アーシアと一緒に登校しているとなると当然周りからの視線が痛い。なんかこっちを見てヒソヒソと話しているのがとても気になる。

 

はぁ、逃げ出したい。

 

 

 

 

 

 

無事に授業が終わり、放課後の下校中に俺とイッセーで雑談をしている。

 

 

「ところで秋夜、最近リアス部長の様子が変じゃないか?」

 

「部長がか?」

 

話の途中でイッセーが珍しく真剣な面持ちで俺に言ってくる。

 

「おう、なんか上の空っていうかなんていうか……」

 

「あーたしかに。話しかけても気付かない時とかあったな」

 

そういえばたしかに変だな。普段しないようなちょっとしたミスも結構してるし。何かあったのか?

 

「でも、今は変に関わるよりも様子を見てたほうが良さそうだな」

 

「そうだな。じゃあ、俺はこっちだから。また明日な!」

 

イッセーは自分の家の方を指差さして言う。

 

「おう、じゃあな」

 

 

 

 

 

次の日

 

 

学校に着くなり、イッセーがドタドタと慌てた様子で俺の元へ走ってくる。

 

「しゅ、秋夜!!!」

 

「おう?どうしたイッセー、そんなに慌てて」

 

なんかイッセーが凄い焦ってる。なんかエロいことでもあったのか?

 

 

イッセーは呼吸を整えてから、俺の肩をガシッと掴む。

 

 

「実はな......昨日リアス部長に夜這いされそうになったんだ..!」

 

「....」

 

「お、おい!なんだよその目は!!」

 

 

いやー、だって………ねえ?

 

 

「なあイッセー。スケベなのは仕方ないが、流石にそこまで妄想するのはどうかと思うぞ?」

 

「妄想じゃねえよ!まじで本当なんだよ!!」

 

 

イッセーが全力で説明してくるから取り敢えず話だけは聞いてみた。

 

 

なんでも、昨日部長が突然イッセーに夜這いをかけにきたが、突然魔方陣で現れたグレイフィア・ルキフグスという部長の家の━━━つまりグレモリー家に仕えるメイドさんに止められた、ということらしい。

 

「それはまた凄いことになったな」

 

「だろ?でももうちょいで部長のおっぱいが...」

 

両手を握りしめて顔に悔しさを出すイッセー。

はぁ、とことんスケベだなこいつは。

 

 

 

 

放課後になり、アーシアとイッセーと祐斗と一緒に部室へ向かっている。

 

旧校舎が見えてきたとき、突然祐斗が驚いたようにして呟く。

 

「ここに来て初めて気がつくなんて、この僕が……」

 

ん?祐斗のやつどうかしたのか?

 

イッセーとアーシアも小首をかしげる。

イッセーはいらんが今のアーシア可愛かったな。

 

 

 

部室の前まで着き、イッセーがドアを開けて元気良く挨拶をする。

 

「お疲れさまでーす!」

 

俺達も挨拶をして中にはいると、そこには部長と朱乃先輩、小猫と初めて見る銀髪美人のメイドさんがいた。

 

なんでメイド?

もしかしてこの人がイッセーの言ってたグレイフィアって人か?

 

 

「全員揃ったわね」

 

「お嬢様、私がお話しましょうか?」

 

メイドさんの提案に部長は首を横に振る。

 

「私から話すわ。皆、実はね━━━」

 

部長が話そうとした瞬間。

突然部室の中に赤く、見たことのない魔方陣が業火と共に現れる。

 

隣で祐斗が呟く。

 

「フェニックス...」

 

フェニックスって、あの不死鳥のやつだよな?

ってか、こんなところで炎だしたら部室が火事になるだろうが。

 

俺はそのフェニックスとかいう非常識なやつに対して眉をひそめる。

 

すると、業火の中から一人の男が出てくる。

その男は金髪のちょいワルイケメンだ。胸元を大胆にはだけさせている。

 

どこのホストだよ。

 

 

「ふう。久しぶりの人間界だ。会いに来たぜ、愛しのリアス」

 

「だ、だれだこいつ?」

 

「この方はライザー・フェニックス様。純血の上級悪魔であり、フェニックス家の御三男。そしてグレモリー家の次期当主の婿殿です。即ち、リアスお嬢様のご婚約者であらせられます。」

 

イッセーの疑問にメイドさんが淡々と答えてくれる。

 

 

「こ、婚約ぅぅぅ!?!?!?」

 

イッセーの声が部室中に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

「お茶ですわ」

 

「いやー、リアスの女王が入れてくれるお茶は美味しいなぁ」

 

「痛み入りますわ」

 

そう言って朱乃先輩は笑顔で答えるが、目が笑ってない。こわい。

 

それに、さっきからこいつは部長の体を触りまくっている。部長に何度も手を叩かれているんだけど、懲りずにさわり続ける。ほんと見た目通りのやつだな。

 

俺だけでなく、皆も明らかに不愉快そうだ。

 

部長が突然立ち上がる。

 

「いい加減にしてちょうだい。以前にも言ったけれど、貴方と結婚するつもりはないわ!」

 

「そんなわがまま言えるほど、君の家は余裕がないんじゃないのか、リアス?それに、ただでさえ純潔悪魔が減っているんだ、この結婚は必要なことなんだよ」

 

「私は自分の好きになった人と結婚したいの!だからもう一度言うわ!貴方とは結婚しない!」

 

 

うーん、どちらの言うことも理解できる。今後の悪魔界に必要な結婚ってのもわかるけど、好きでもない相手と結婚するってのもどうかと思う。

 

 

「俺はな、リアス。フェニックス家の看板背負ってるんだよ。名前に泥を塗られるわけにはいかないんだ。どうしてもって言うなら、俺は君の眷属を焼きつくしてでも君を冥界に連れて帰るぞ」

 

 

ライザーが魔力と炎を放出し部長を威圧するが、部長も負けじと魔力を解放して対抗する。

 

 

「お止めください、二人とも。私はサーゼクス様の命を受けていますので、一切の遠慮はしません」

 

グレイフィアさんの一言で二人は渋々魔力を抑える。

 

すごいな、あの二人をたった一言で収めるなんて。相当な実力者なのか?

 

「こんなこともあうかと、旦那様方からご提案を預かっております。」

 

「提案?」

 

部長が首を傾げて聞き返す。

 

「はい。レーティングゲームで決着を着けてはいかがでしょうか?」

 

レーティングゲーム?

 

レーティングゲームってたしか、悪魔の駒で眷属になった悪魔をチェスに見立てて競い合わせるってやつだよな。

 

 

「俺は構いませんが。リアス、君の眷属はここにいるので全員か?」

 

「ええ、そうよ」

 

部長の返事を聞くとライザーは小馬鹿にするように笑って魔方陣を出現させる。

 

 

「おいおい、それじゃあ相手にならないな。俺は駒の全部を使ってるんだぜ?」

 

 

中から出てきたのは15人の悪魔だ。その全員が女。少女もいれば大人もいる。

 

なにこいつ、ハーレムでも目指してんのか?

………そういえば、イッセーもハーレム目指してるって言ってたな。将来的にはこんな嫌なやつになってしまうのだろうか。

 

そう思って隣にいるイッセーを見てみると、ライザーを睨み付けて号泣していた。

 

それを見たライザーの眷属の全員にドン引きされてる。

ライザーは自分を羨ましがっていると思っているのか、イッセーを一瞥し、ニヤニヤしている。

 

「ユーベルーナ」

 

「はい」

 

 

ライザーはユーベルーナという女性を呼び、なんとここでキスをしだした。しかもディープなやつ。

 

 

は? 何してんのお前ら? 一応ここ学舎何ですけど………。

 

「お前、部長と結婚しても他の女とイチャイチャするんだろ!この種まき野郎!!」

 

イッセーがとうとう耐えきれず、ライザーに叫んだ。

 

当然ライザーはその発言に青筋を立てる。もちろん、このホストが黙っているわけがなく、ミラという棍棒を持った少女にイッセーを攻撃するように命令する。

 

 

同時にイッセーも神器を出して構えるが、お世辞にも倍加をしてないイッセーは強いとは言えないので結果は見えている。

 

 

 

━━━だから

 

 

 

イッセーが棍棒で突かれる瞬間、俺は庇うように前に立ち、素手で先端を掴む。

 

そのまま手首を捻らせて棍棒を落とし、ミラの襟元を掴んでライザーに向かって投げ飛ばした。

 

 

「なっ!?ふげぇっ!?」

 

「「「「ライザー様!?」」」」

 

意外とスムーズにこの一連の動きが出来たことに自分でも驚いきつつも、修行の成果がちゃんと出ていることに喜びを感じる。

 

 

なんとも間抜けな声が出たな。

とてもフェニックスとは思えない。もう鶏で………いや、焼き鳥でいいか。

 

「先に手を出してきたのはそっちだからな。正当防衛ですよね、グレイフィアさん?」

 

俺は当然といった様子でグレイフィアさんに確認をとる。

 

「は、はい。確かに今のはライザー様から仕掛けましたので、正当防衛は成り立ちます」

 

あー良かった。これでもし正当防衛じゃないって言われたらどうしようかと思ってたよ。

 

 

ミラをどかせたライザーが、怒りに満ちた表情で背中から炎の翼を広げる。

 

 

「きさまぁぁぁぁ!!」

 

 

「落ち着いてください。今のはライザー様に非があります」

 

「くっ!………おいリアス!当然レーティングゲームは受けるんだろ?」

 

ライザーはグレイフィアさんの言葉に反発することができず、部長に苛立ちを募らせて言った。

 

「え、ええ」

 

「10日だけ時間をくれてやる、その間に眷属少しでも強くおけ!━━━あとは貴様だ!!」

 

俺に向かって、まるで犯人を見つけた探偵の如く指を突きつける。

 

「なんだ?」

 

「貴様だけはこの俺が直々に相手してやる、覚悟しておけ!!」

 

そう言ってライザーは眷属を引き連れ、早々と魔方陣で転移していった。

 

皆はもう呆然としている。それはもう開いた口が閉じない程に。

 

も、もしかして、俺かなりやばいことしちゃった? 確かにあいつのことは好きじゃない。というか、嫌いな部類だったけど。

 

「あの、すみません。大事な話を俺のせいで進めてしまって」

 

「い、いいのよ。私も受けるつもりだったから。それに、10日もあれば充分よ!」

 

部長は苦笑いでそう言ってくれる。

 

 

 

 

こうして、部長の婚約をかけたレーティングゲームが10日後に決定した。

 

 




最後まで読んで頂き有難うございます。
これからも応援よろしくお願いします。
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