雷龍を宿しました。(休載)   作:Takari

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3話 特訓終了とゲーム開始

特訓最終日

 

 

 

チュンチュン

 

 

鳥の囀りで俺は目を覚ます。

 

隣を見てみると、いつものようにアーシアが眠っている。

 

さらさらで綺麗な金髪、ついつい触りたくなってしまうがそこはぐっと我慢する。

 

流石に寝ている女の子の髪を触るのはな・・・・・・。

 

 

 

「もう明日か・・・・・」

 

俺は小さく呟く。そう、今日は特訓最終日だ。

 

つまり明日がレーティングゲームをする日。

あの焼き鳥野郎に負ける気はないが攻撃してもすぐに再生するのが厄介だ。

 

あいつを倒すには強力な一撃で戦闘不能にさせるか、心が折れるまで攻撃し続けるかしかない。

 

とは言ったものの、俺には部長みたいに滅びの魔力なんてものはない。だから焼き鳥野郎の心を折る方法1択というわけだ。

 

 

俺は小さくため息をつくと、クローゼが話してくる。

 

 

『(禁手に至れれば可能なのだがな)』

 

・・・・・禁手か。

 

いつかはなれると思うけど、流石に今日明日でできるもんじゃないだろ。

 

 

クローゼが言う禁手とは、神器所有者の想いや願いが劇的な変化をすることで神器がパワーアップすることだ。

簡単に言えば奥の手みたいなもの。

 

 

『(主ならもう至ってもおかしくないレベルなのだがな)』

 

まあ、なれないのなら仕方ないさ。

 

━━━っと、そろそろ集合の時間だな。アーシアを起こしてあげないと・・・・・・。

 

「おーい、アーシア。起きないと遅刻するぞー」

 

俺はアーシアの肩を軽く揺さぶる。

 

・・・・・・・んっ、とちょっと色っぽい声を出しながらゆっくりと瞼を開けるアーシア。

 

「ふぇ? ・・・・・もうそんな時間ですか?」

 

「そうだよ、早く支度しないと」

 

俺の言葉を聞いた後に部屋に取り付けられている時計を見たアーシアは、寝ぼけた顔を一瞬で覚ます。

 

「ちょ、ちょっと待っててくださ〜い!」

 

ドタドタと慌てるアーシア。ほんと朝から俺を癒してくれるよ。これだけで今日頑張っていける気がする。

 

 

 

 

 

 

カンッ!カンッ!と木刀のぶつかり合う音が響き渡る。

 

今俺は祐斗と木刀を使って試合をしている。

 

互いに譲らない攻防で、とても一般人では目で追い付けないレベルだ。

 

祐斗が一度距離を取り、居合いのような構えをする。その構えはとても洗練されたもので思わず見とれてしまうほどだった。俺も受けて立つために構え直す。

 

 

勝負は一瞬だった。

 

 

俺は祐斗の一撃を捉えることができずに、そのまま木刀を弾き飛ばされてしまった。

 

「・・・・・・参った。やっぱ祐斗はつよいな」

 

俺は弾き飛ばされた木刀を拾って言う。

 

「いや、僕も危ないところが結構あったよ。・・・・・それにしても、本当に剣術を習ったことがないのかい?とても素人とは思えない剣捌きだったよ」

 

「ああ、この特訓で初めて使ったよ。動き方は祐斗のを真似てるだけだけどな」

 

俺の返答に祐斗は呆れるように苦笑いをする。

 

「はは...。普通はそんな簡単に真似なんかできないよ」

 

 

そういうものなのか?動きをよく見れば大体出来るようになるもんじゃないのか?

 

 

祐斗に次いでクローゼまでもが同じように言う。

 

『(いや、それが出来るのは主くらいだろうよ、そんなポンポン出来たらたまったものじゃない)』

 

 

何故だ。俺がおかしいのか?そうなのか?

 

 

 

 

 

 

「えい」

 

抑揚のない声とともに繰り出されるえげつないパンチ。

そんなものに当たりたくはないので俺は必死に避ける。

 

俺と小猫は打って、避けて、打って、避けて、時々防御を繰り返している。

 

一撃一撃は重いが、動きが単調になるときがあるので俺はその隙を待っている。

 

 

「そこだ!」

 

 

小猫が俺の顔に拳を当てにきたとき、紙一重で避けてそのままカウンターで決める。

 

カウンターと言っても、さすがに思いっきり殴るわけにもいかないので軽めのチョップをお見舞いする。

 

「あうっ」

 

「またまた俺の勝ちだな」

 

「なかなか勝てません・・・・・ムカつきます。後でお菓子作ってきてください」

 

「ええ・・・・・。んな無茶苦茶な」

 

前に1度小猫にお菓子を作ってあげたんだが思ったよりも好評だったらしい。

俺としては喜んでもらえて嬉しい限りなんだが、流石に毎日は作れないぞ。

 

 

 

 

 

 

「皆さん大分魔力に慣れてきましたわね」

 

この10日間で俺とアーシアは、基本的な魔力の使い方をほぼマスターした。イッセーはなんと野球ボールくらいの大きさまで魔力の塊を出すことが出来るようになった。

 

 

イッセーは肩を落として呟く。

 

「野球ボールくらいまでは大きくできたけど、結局それ以外はできなかった・・・・・・」

 

「そんな落ち込むなよイッセー。米粒サイズからそこまででかくする方がスゲーよ」

 

「そうですよイッセーさん!野菜の皮剥きもすごかったです」

 

ああ、この間の大量に出てきたジャガイモ料理の時か。

一体何をしたらあんなに大量の皮を剥くんだよ。

 

 

その後も、明日のレーティングゲームに響かない程度に組手を繰り返したり、朱乃先輩と魔力についての復習をした。

 

 

 

 

 

そんなこんなでレーティングゲーム当日。

 

 

試合開始まであと一時間。

 

俺とアーシアは集合時間まで家で待機している。

俺は制服でアーシアはシスター服を着ている。それぞれ自分の落ち着く服装を着てこいと部長から言われたのでこの服装だ。

 

「あの、シューヤさん」

 

「どうした、アーシア?」

 

もじもじした様子のアーシアに、俺は返事をする。

 

「隣に居てもいいですか?」

 

なるほど、そう言うことね。

 

「ああ、もちろんだよ。おいで」

 

アーシアが俺の隣に座り、ぎゅっと腕に抱きついてくる。

 

一瞬ドキッとしたが、アーシアが震えているのに気付き、俺は優しく頭を撫でる。

 

「怖いのか?」

 

「はい・・・・。皆さんが、シューヤさんが傷ついてしまうと思うと怖いんです」

 

「大丈夫、俺も皆も負けないさ。それにアーシアのことは絶対に守るから安心してくれ」

 

俺の言葉にアーシアは不安そうな顔から一転、安心したようで笑顔を見せてくれる。

 

「はい!」

 

うん、いい笑顔だ!アーシアはやっぱり笑顔が一番だな。

 

おっと、そろそろ時間か。

 

「じゃあ、そろそろいこうか」

 

「はい」

 

家を出る時間になったので、俺達は学校へと向かった。

 

 

 

 

 

部室に着くと既にみんながそれぞれの準備をしていた。

俺は特にすることもなかったので、目を閉じて瞑想みたいな事をして心を落ち着かせることにした。

 

それから5分ほど経ったときに魔方陣が現れ、そこからグレイフィアさんが出てくる。

 

 

「皆様、準備はよろしいでしょうか?時間になったらこの魔方陣で戦闘用フィールドへと転送されることとなります」

 

「戦闘用フィールド?」

 

「使い捨ての異空間の事ですわ。使い捨てなのでどんなに派手な攻撃でも大丈夫」

 

イッセーの問いに朱乃先輩が微笑んでそう答える。

 

「今回のゲームは両家の当主がご覧になられます。また、魔王サーゼクス様もいらっしゃるのでお忘れなく」

 

「そう、お兄様も来るのね」

 

ん?お兄様?

 

俺が疑問に思っているとイッセーが口に出して質問する。

 

「あのー部長のお兄さんって....」

 

「私の兄は魔王よ。 紅髪の魔王《クリムゾン・サタン》の2つ名を持っているわ」

 

「「ええ!?」」

 

確かに部長はお金持ちだとは思ってたけど、まさかお兄さんが魔王様だったとは・・・・・・・。

 

俺とイッセーが驚いていると、魔方陣が光りだす。

 

「そろそろ時間です」

 

「皆、行きましょう」

 

俺たちは魔方陣の上に乗り、転移する。

転移が終わってみると、そこは部室の中だった。

 

あれ?何で転移したのに部室にいるんだ?

 

辺りを見回していると突然アナウンスが流れてくる。

 

『この度、フェニックス家とグレモリー家の試合に仰せつかったグレモリー家の使用人、グレイフィアでございます。この度のバトルフィールドはリアス様の通う、駒王学園のレプリカとさせていただきます」

 

グレイフィアさんが審判をしてくれるのか、それなら安心してくれ任せられるな。

 

それに学園のレプリカとか、もはやスケールがでかすぎて言葉にできない。

 

悪魔の力ってすごいな。

 

『両陣営、転移された先が本陣となります。リアス様の本陣は旧校舎、オカルト研究部。ライザー様の本陣は新校舎、生徒会室となります。プロモーションは互いの校舎に侵入することで可能となります」

 

たしかあっちは兵士が8人もいたよな。全員プロモーションされたらたまったもんじゃない。

 

部長が俺たちに通信機を渡してくる。

 

「試合中はこれでやり取りをするから着けておきなさい」

 

耳に着けてみると、意外にも違和感がなくフィットした。

 

 

グレイフィアさんが放送で合図をする。

 

「それでは、ゲーム開始です」

 

 

 

 

 

 

ゲームが開始してからすぐに、祐斗と小猫は森にトラップをしかけ、朱乃先輩は幻術をかけにいった。

 

 

3人の準備が終わり作戦が開始される。

 

 

俺とイッセーと小猫は体育館へ、祐斗と朱乃先輩は別行動だ。アーシアは部長の側で待機している。

 

 

体育館に到着した俺たちは早速中に入るが、既に四人の女性悪魔がいた。

 

一人は『戦車』でチャイナドレスを来ていて、残り3人は『兵士』だそうだ。

その内の二人が双子で、もう一人が部室で俺が投げ飛ばしたミラって子だ。

 

 

「小猫は『戦車』を、イッセーは双子の方を頼む。どうやらミラって子は俺と戦いたいらしいからな」

 

「「了解」」

 

俺の言葉にふたりは返事をして、それぞれの相手に向かい合う。俺も目の前の相手に意識を集中させる。

 

なんか棍棒を握りしめてすごい睨んでくるんだけど。

あのときの事がそんなに悔しかったのか?

 

「なあ、そんなに睨まなくてもいいだろ」

 

「うるさい、今度は負けない!」

 

ミラが問答無用といった感じで俺に襲いかかってくる。

俺は特に慌てることなく全てかわしていく。

 

なんだろうな。祐斗や小猫と特訓したせいか、威力もスピードも対して脅威に思えない。

 

「悪いけど、終わらせてもらうぞ」

 

俺は雷輝龍の籠手を装着し、雷を体に巡らせる。

 

この力が溢れる感じ、久しぶりだ・・・・・。特訓中はあんまり使わなかったから余計にそう感じる。

 

それに前よりも力が増してるような気がする。これも特訓の成果か。

 

 

俺はミラの目の前まで瞬時に移動し、中心線をえぐり込むように拳を放つ。

 

ミラは俺の動きに反応するが、防御が間に合わずもろに直撃して壁まで吹き飛ばされる。

 

 

ドゴォォンッ!

 

 

『ライザー・フェニックス様の「兵士」1名リタイア』

 

 

・・・・・や、やりすぎた?

 

そこそこ加減したつもりだったけど、まさかあそこまで吹っ飛ぶとは思わなかった・・・・・・。

 

敵だったとしても相手は少女。多少の罪悪感を抱きながら俺はイッセー達の様子をうかがう。

 

 

「は?」

 

 

思わず間抜けな声を出してしまった。でも、出しても仕方ないと思う。

 

だって、イッセーと戦っていた双子の少女達が全裸なんだもの。

 

 

・・・・・何これ?

 

 

「なあイッセー、これは何だ?」

 

「ん、これか?ふふ!聞いて驚くなよ。俺はなんと女の子の服を消し飛ばす技を身に付けたんだ! その名も、『洋服崩壊《ドレス・ブレイク》』!」

 

自信有りげにそう言うが、俺としてはお前の評価が一気に谷底だよ。

 

「「うえーん、裸にされたー!」」

 

双子ちゃんが涙目で体の前の方を両手で隠してしゃがんでいる。

 

何故だろう、イッセーが敵に見えてきた。

 

「イッセー、これからはその技禁止な」

 

「な、なんでだよ!?頑張って習得したのに!」

 

え、まさかあの特訓の期間にこんな下らない技を練習してたのか?

 

もう呆れてものが言えないとはこの事だぞ。

 

俺は変態イッセーの間違った方向の努力に深くため息をつく。

 

 

『ライザー・フェニックス様の「戦車」1名リタイア』

 

 

グレイフィアさんのアナウンスで小猫の勝利を確認する。

 

お、どうやら小猫も勝ったらしいな。あれくらいに負けるほど小猫も柔じゃないか。

 

『戦車』同士の戦いに勝った小猫がこっちに来て裸の双子ちゃんを見つける。そしてイッセーを絶対零度のように冷えた目で見て言い捨てる。

 

「・・・・・イッセー先輩、もう私に近づかないでください」

 

「ひどい!?」

 

いや、自分のしてきたことを思い出してみろよ。小猫の対応は当然だろ・・・。

 

小猫は俺の後ろに隠れてイッセーを警戒する。

 

「近づいたら服を消されますから」

 

「仲間にはやらないよ!?」

 

信用できないな、このスケベ野郎ならやりかねん。

 

まさかとは思うけど、アーシアにやろうとしてないだろうな?

 

「イッセー、もしアーシアにやったら処刑な?」

 

「いや、こえーよ!!(い、言えない...既にやったなんて、口が裂けても言えない!)」

 

 

イッセーが騒いでいると、通信機から部長の声が聞こえてくる。

 

『朱乃の準備が整ったわ。作戦通りにお願い』

 

その指示を聞いた俺たちは急いで体育館の出口へ走る。

 

双子ちゃんは俺達の行動が理解できずに困惑しているが、気にせず外へと移動する。

 

そのすぐ後に、極大の雷が体育館を包み込み大爆発を引き起こす。

 

『ライザー・フェニックス様の「兵士」2名リタイア』

 

 

「うふふっ、テイク」

 

朱乃先輩が妖艶な笑みを浮かべて言う。

 

 

そう、これが俺達の作戦だ。

 

朱乃先輩が強力な一撃を放つための時間稼ぎをするために、俺達3人で中にいたライザーの眷属にそれを気付かせないようにしていたんだ。まあ、その半分は倒しちゃったんだけども。

 

それにしても、なんて威力の雷だよ・・・・・。さすがは雷の巫女。

 

俺は『神速』使ったフルパワーでしかあれくらいの雷は出せないのに。

 

 

朱乃先輩の強さを改めて実感した俺は、二人に次の指示を出す。

 

 

「よし、次は祐斗と合流だ」

 

 

 

 

━━━その瞬間、一瞬の閃光と共に俺たちのいる場所が爆発を起こした。

 

 

 




最後まで読んで頂き有難うございます。
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