祐斗と小猫、アーシアのリタイアのアナウンスを聞き、俺は全速力で部長達の元へ向かう。
あと少しで・・・・!
俺は悪魔の翼を広げ、校舎の屋根まで一気に飛び上がる。
そこにいたのは、比較的軽傷な部長と身体中がボロボロのイッセーだった。
「はははっ!来るのが遅かったなぁ。待ちくたびれていたぞ」
「・・・・・・・」
ライザーがムカつくことを言っているが俺は気にせずイッセー達の元へ行く。
まだうっすらと意識が残っているイッセーが、俺の姿を見て目に涙をためる。
「・・・・・しゅ、秋夜・・・ごめん・・・・・俺、何もできなかった・・・」
「イッセー・・・。お前は部長達を守ったんだ。だから何も出来なかったなんて言うな」
それでもイッセーの顔からは悔しさが滲み出ている。
「で、でも・・・・・!」
「よく、踏ん張ったな。後は俺に任せろ」
俺はイッセーの手を強く握ってそう言う。
「秋夜。・・・・・頼む、あいつに勝ってくれ・・・!」
「おう!後はゆっくり休んどけ」
イッセーは涙を流しながら俺に頼み、気絶してしまう。
光の粒子となって転移されてアナウンスが流れる。
『リアス・グレモリー様の「兵士」リタイア』
余程悔しかったんだな。でも責めることなんて何もない。あいつは最後まで戦い続けたんだ。誇っていいんだよ。
俺達の様子を見ていたライザーは、俺に向かって嘲笑する。
「はははっ!そいつの最後は随分と滑稽だったなぁ。自分の力に耐えきれずに自滅したんだぜ?ほんとあっけなかっ━━━━ぐぼぉッ!?」
俺はライザーの口を閉じさせるために『神速』を発動させたまま、全力で顔を殴り飛ばす。
全力の殺意を込めて。
俺の右拳をもろに食らったライザーは壁まで吹き飛ぶ。
ドゴォォッ!
「それ以上口を開くな。耳障りだ」
あいつの声なんてもう聞きたくない。
もうこの怒りを抑えきれない。
体の痛みなんてどうでもいい。
こいつは命懸けで戦ったイッセーのことを何て言った?
・・・・・・こいつは、こいつだけは、絶対に許さないッ!
「あいつがどんな想いで戦っていたかわかるか?・・・・わかるわけないよな。てめえみたいに自分の才能に酔って他人を見下し、欲望にまみれたやつが、一人の女のために命を懸けて戦ったイッセーを侮辱するなッ!!」
俺は感情を爆発させ、叫ぶ。
━━━その瞬間
『Lightning Dragon Balance Breaker!!!』
クローゼの声とともに俺の体が光に包まれる。
っ!?
光が止んで、窓に反射する自分の姿を確かめる。
そこには、エメラルドグリーンの鎧に包まれている俺の姿があった。
所々に雷のようなラインが引かれており、両手の甲と胸の中心には、金色に輝く宝玉が埋め込まれている。
「こ、これは...?」
突然のことでさっきの怒りが吹っ飛んでしまった俺は、自分に起こった変化に戸惑っていると、クローゼが答えてくれる。
『(主よ、これが禁手だ。先程の怒りがその領域へと至らせたんだよ)』
こ、これが俺の禁手・・・・・。
『神速』を発動していないのに、それを遥かに上回る力がどんどん溢れてくる。
それなのに体に掛かる負荷がまったくと言っていいほど無い。
『(至った直後にも関わらず、鎧の継続時間が丸々1日戦い続けられるほどだぞ。さすがは主、修行の賜物だな)』
クローゼと会話をしていると突然横から炎が飛んでくる。
だが俺は右手を前に出して雷のバリアを張ることでそれを防いだ。
「はあ、はあ、この、下級悪魔ごときがぁぁ!!」
炎を何発も放ってくるが俺はその場から動かずにじっと佇む。
なんだこれ、全然大したことないじゃないか・・・・・・。
俺が無抵抗で焼かれていると思ったのか、ライザーは笑う。
「はははっ!バカが!焼け死んでしまえ!」
「しゅ、秋夜ぁぁ!!!」
部長は炎に包まれる俺に向かって叫ぶ。
こんなショボい炎で倒せるとでも思ってるのかよ。
「なめてるのか?」
俺は右腕に雷を込め、炎に向かって思いっきり薙ぐ。
たったその一振りで、雷を纏った突風が炎を一瞬で消し去る。
そのあり得ない光景にライザーだけでなく部長も驚愕する。
「なっ!?この俺の炎が!?」
「す、すごい・・・・・」
俺はゆっくりとした足取りでライザーに近づく。
ライザーは俺の力を見て、さっきまでの威勢は完全になくなった。
『(こいつの心は完全に折れたな。龍を恐れている目をしている)』
そうか。
なら早く終わらせよう。
「く、来るな・・・・・・化け物め!」
ライザーは上級悪魔で貴族ということも忘れ、下級悪魔である俺から逃げるように後退る。
「何とでも言え。俺は仲間のためにお前を倒すだけだ」
「わ、わかってるのか!?この婚約は悪魔にとって大事なものなんだぞ!?それをお前みたいな下級悪魔が手を出したら━━」
ライザーがなんと言おうと俺がすることは変わらない。
イッセーに頼まれたからな、『あいつを倒してくれ』って。
友達の頼みを聞いてやるのが友達の役目だ。
それに・・・・・・
「そんなこと俺は知らない。だがな、イッセーを侮辱したお前だけは許さない!」
『Charge starting!!』
俺の右手に雷を溜める。今までとは桁が違う凄まじい量の雷が迸り、宝玉へと取り込まれていく。
そして、宝玉の輝きが最高潮に達する。
『completion!!』
宝玉に籠められた雷を一気に解放させ、拳に纏わせる。
その輝きは辺り一面を照らすほどだ。
これは今俺の出せる最高出力だろう。
いくらフェニックスと言えどひとたまりもないはずだ。
「ま、待て━━」
俺が放とうとする威力を察したのか、ライザーは俺に向かって待ったをかけるが、構わず俺は突き進む。
「鳴御雷!!!」
ドパァァァンッ!!
ライザーに極大の雷撃を込めた右拳が直撃する。当たった瞬間にライザーを中心に天にも昇るほどの放電が発生した。
もしフェニックスの特性がなければ命に関わるほどの威力だ。
雷の輝きと轟音が響き渡っているため、ライザーがどうなっているかわからないが、恐らく再生が間に合わないくらいのダメージだろう。
光が止んでライザーの姿が見えてくる。
「・・・・・・」
全身が黒こげで白目をむいており勝敗はもう一目瞭然だ。
『ライザー・フェニックス様がリタイア。よって、リアス・グレモリー様の勝利となります』
グレイフィアさんのアナウンスを聞いて安心した俺は、地面に崩れるように倒れこむ。その時に鎧も解除されてしまった。
「勝ったぞ、イッセー・・・・・・」
今の一撃で魔力を全部使ってしまった。
それに加え、体力ももう無い。
もう限界・・・・・。
部長が俺のもとに走って駆けつけてくれて、泣きながら何かを言っているような気がする。
だが俺はそれに答えることが出来ず、意識を手放してしまう。
▽
「ん・・・・・あれ、俺の部屋?」
目が覚めてみると、そこは俺の部屋だった。体を起こそうとするが鋭い痛みに襲われる。
っ!?
全身が痛いっ!
なんだこれ、動けないじゃん!?
『(当然だ。あんなに無理をしたのだからな)』
し、仕方ないだろ。俺だって必死だったんだから・・・・・。
俺は必死に起き上がろうと悪戦苦闘していると、部屋のドアが誰かに開けられる。
ガチャッ
入ってきたのはアーシアだ。
「シューヤさん?」
「アーシア、久し━━うぐっ!」
『久しぶり』と言い終わる前にアーシアが勢いよく抱きついてきて、俺の胸に顔をうずめる。
一瞬痛みで意識が飛びそうになるが、なんとか堪えて抱き返してあげる。
「シューヤさん! 良かった、もう目が覚めないかと・・・・・!」
「心配描けちゃったな。ごめん、アーシア・・・・・」
俺は彼女の頭を優しく撫でていると、アーシアは顔を上げる。何故か顔が真っ赤だ。恥ずかしいのかな?
「いえ、私の方こそすみません。あ、あの、シューヤさん・・・・?」
「どうした?」
不安そうに、それでいて恥ずかしそうに、綺麗なグリーンの目で俺を見つめる。
「私、これからもずっとシューヤさんの隣にいてもいいでしょうか・・・・・?」
そんなの、考える必要ないだろ。
俺もアーシアの目をしっかりと見つめ、微笑む。
「いいに決まってるじゃないか。俺で良かったらいつまでも隣にいるよ。というか、俺からもお願いしたいくらいだ。これからも俺の側にいてくれないか?」
「はいっ!!」
目に涙を浮かべ、満面の笑みでそう答えてくれた。
しかし、ここでおれはふと疑問に思う。
あれ?
これってもしかして告白・・・・・だったりする?
一応確認。
「な、なあアーシア? 聞くのも失礼なんだけどこれって、その、告白になる・・・・・?」
その瞬間、アーシアの顔から火が吹き出そうなほど真っ赤になり、俯く。
え、これって・・・。
「.....ハイ」
アーシアが小さく呟いた。
うおぉぉぉ!!
まじか!? まじなのか!?
え、じゃあ俺とアーシアって、つつつ、付き合ってるってこと!?
俺が頭のなかでひどくパニックを引き起こしていると、アーシアは悲しそうな顔をする。
「・・・・・」
ま、まずい!
違うんだアーシア! 俺も好きなんだよ!
「俺も好きだ!好きすぎてやばい!愛してる!」
「ふぇ!?」
ついつい本音が出てしまい、アーシアの顔がもうゆでダコみたいになってしまう。
最後までちゃんと言うんだ俺!ちゃんと伝えろ!
「だ、だから・・・俺と付き合ってくれないか?」
「こちらこそ!!」
アーシアが俺にぎゅっと抱きついてきてくれる。
髪からいい匂いがしてクラっと来てしまう。
ああ、今の俺人生で一番幸せだ!
今日この日、こんなドタバタのなかで俺とアーシアはめでたくカップルになりました。
はい、アーシアに告りました。もともとアーシアと両思いだったのですんなりいかせてもらいました。