雷龍を宿しました。(休載)   作:Takari

18 / 37
3話 聖剣使いと勝負

裕斗の介入により俺とゼノヴィア、裕斗とイリナの組み合わせで試合をすることになった。

 

さすがにそのまま部室でやるわけにはいかないので、外に出て部長達が周りに結界を張ったところでやることになった。

 

「ふふ、やっと聖剣を破壊することができる・・・・・」

 

裕斗が目の前の獲物に喜びを感じている様子だ。

 

そこまで憎かったのか裕斗。

 

でも、聖剣にばっか気を引かれている今の状態だと、勝つのは難しいだろうな。

 

「よそ見とは随分と余裕じゃないか」

 

「別に。それじゃあ始めるか」

 

俺は雷輝龍の籠手を、ゼノヴィアは聖剣を構える。

 

あのときは特殊な布を巻かれていたからか、特に感じることはなかったが、今はビリビリと聖剣のオーラが伝わってくる。

 

『(主、あれには触れるなよ)』

 

わかってるよ、クローゼ。

 

あんなのに当たったら消滅まではいかないけど相当ダメージを受けそうだ。

 

俺が聖剣を警戒しているとゼノヴィアがバカにしたような鼻で笑うをする。

 

「ふっ、それが君の神器か? あまり強そうには見えないな」

 

『(・・・・・)』

 

ク、クローゼ、あんまり気にするなよ?

 

お前の強さは俺が一番良くわかってる!あいつに俺達の力を見せつけてやろうぜ。

 

『(ああ、あんな小娘蹴散らしてやろう!)』

 

俺としても、相棒をバカにされるのはいい気分じゃないしな。

 

「見かけだけで判断するなんて、二流も良いところだな。そんなんで聖剣を全部回収できるのか?」

 

「ほざけ!」

 

ゼノヴィアが俺に向かって聖剣を振り下ろす。それを避けて俺は驚く。

 

っ!?

 

ただ降り下ろしただけでこの威力か!?

 

地面には巨大なクレーターが出来ており、聖剣の力を見せつけていた。

 

さすが破壊の聖剣と名乗るだけのことはあるな。・・・・けど、破壊力だけじゃ俺は倒せない。

 

「ほう、良く避けたな」

 

「あんなの逆に避けない方が難しいぞ?」

 

俺はゼノヴィアを煽っていく。

 

只でさえデカイ聖剣を振り回しているんだ、攻撃が単調になってくれれば更に避けやすくなる。煽りに乗ってくれれは嬉しいんだが・・・・・。

 

「なんだと? だが君は避けてばっかりじゃないか。相当腰抜けと見えるな」

 

「聖剣がどれ程のものか見たかっただけだ。それに、俺はただ避けてたわけじゃない」

 

残念、逆に煽られたな。

 

さて、聖剣の威力もわかったことだし

 

「今度はこっちから行かせてもらうか」

 

俺は雷を纏い、ゼノヴィアに接近する。

 

懐に潜り混ませないためか聖剣を振り回すが、はっきり言って遅い。

 

いや、違うな。遅いというわけではないのだけれど、これ以上の速さの相手と何時も修行しているから遅く感じてしまう。

 

俺は軽やかに避けてさらにギアを上げる。

 

「なに!?」

 

これ以上のスピードは出せないと思ったのか、ゼノヴィアが驚愕する。

 

「チェックメイト」

 

俺はゼノヴィアの顎すれすれで拳を止める。

 

暫く驚いた顔をしていたが、目を瞑り深く息を吐いてから敗けを認める。

 

「・・・・・参った」

 

その宣言を聞いて俺は拳を下ろし、神器を解除する。そしてゼノヴィアに手を差し出す。

 

「なんだ?」

 

「試合後の握手」

 

ぽかーんとした顔をしていたが、聖剣を下ろして少し微笑みながら握手を返してきてくれた。

 

自分で振っておいてなんだけど、返してくれるんだな。

 

てっきり無視されるのかと思ったよ。以外といいやつなのか?

 

「ふふ、変なやつだな君は。私は君の仲間に酷いことを言ったんだぞ?」

 

「たしかにそのことには無茶苦茶腹が立ったけど、試合の後はこれをやらないと」

 

ゼノヴィアは俺の言葉を聞いた後に少し考えた素振りをし、突然頭を下げてきた。

 

「は?」

 

「すまなかった。アーシア・アルジェントを魔女と呼んだことを詫びたい。」

 

「と、突然どうしたんだよ」

 

さすがの俺でも戸惑う。

 

だって突然謝罪してくるんだもの。

 

「私はこの勝負に負けた。つまり君の考えが正しいということだ」

 

「そ、そうか、結構律儀なんだな。でも、謝るなら俺じゃなくてアーシアに言ってやってくれ。今は平気そうな顔をしてるけど内心では結構傷ついてると思うんだ」

 

ゼノヴィアは『わかった』と言ってアーシアのところへ向かっていくが、俺はあることを思いだし呼び止める。

 

「どうしたんだい?」

 

「いやな、俺もお前らの主を侮辱したから謝らないと思ってな。許される事ではないと思うけど、すまなかった」

 

今度は俺とゼノヴィアの立場が逆転したようにゼノヴィアが呆ける。

 

あっちが謝ってきたのに此方だけ何もしないってのはおかしいだろ?

 

「はは、本当に変なやつだよ君は。先程まで殺気を放っていた者とは思えないな」

 

「うっ、それも謝る・・・・・ごめん。」

 

ゼノヴィアは笑いながら答えてくる。

 

こいつ、こんな顔もできるんだな。

 

「それじゃあ、お相子ということでいいかい?」

 

「おう、それでたのむ」

 

お互いに微笑み合いながらアーシアのところへ移動する。

 

みんなからすごい驚いた顔されたけど、まあ気にしない。

 

「アーシア・アルジェント・・・・・君のことを何も知らないのに魔女と罵ってしまい、申し訳なかった!」

 

全力で頭を下げるゼノヴィア。

 

もう地面には頭突きを繰り出す勢いじゃないか。

 

さすがのアーシアも若干引き気味になっている。

 

「い、いえ!少し怖かったですけど、シューヤさんが守ってくれましたから・・・・・」

 

アーシアは俺の手をそっと握ってくる。

 

優しくて温かい手だ。俺も握り返してあげるとアーシアは此方を見て微笑んでくる。

 

「そうか、優しいんだな君は。 それにしても君達は恋仲なのかい?」

 

「ああ(はい!)」

 

「私は色恋にあまり詳しくはないが、君達がお似合いということはわかるよ」

 

苦笑いのゼノヴィア。

 

ふむ、どこかおかしいことでもあったか?

 

━━━っと、それはさておき、裕斗の方はどうかな・・・・・・ああ、それじゃだめだろう。

 

何がダメかというと、裕斗がテクニックタイプっぽいイリナに対して破壊力のある魔剣━━ゴリ押しってやつになってるからだ。

 

普段の多種多様な魔剣とスピードを生かした戦い方がなくなっている。

 

「はい私の勝ち! なんかあんまり強くなかったね」

 

「くそっ・・・・!」

 

イリナは汗こそかいてはいるがあまり疲れを感じていない様子だ。地に伏している裕斗は顔に悔しさを滲み出させてはいるが聖剣から目を離そうとはしなかった。

 

「さて、あちらも終わったようだからそろそろ失礼させてもらうよ」

 

「そっか。聖剣回収頑張れよ」

 

「私たちは敵同士だが君に応援されるのは悪くはないな。行こう、イリナ」

 

「ええ」

 

二人がこの場を去ろうとすると、部長が呼び止め質問をする。

 

「ところで、聖剣を奪ったのは堕天使と言っていたけれど誰だか判明しているの?」

 

「ああ。『神の子を見張る者』の幹部、コカビエルだそうだ」

 

「『神の子を見張る者』?」

 

イッセーが初めて聞く言葉に疑問する。

 

俺も知らないな。言ったいなんなんだ?

 

俺達の表情を読み取ったのか、朱乃先輩が意味を説明してくれる。

 

「『神の子を見張る者』とは、堕天使の一団のことですわ」

 

「幹部クラスを二人だけで相手するなんて自殺行為よ」

 

部長がそういうのも納得できる。

 

堕天使の幹部がどれ程の強さなのかはわからないけど、さすがに二人だけじゃ厳しいものがあるんじゃないか?

 

「そのくらい私たちも承知だ。堕天使に聖剣を渡すくらいなら命を捧げる覚悟もある」

 

イリナも真剣な顔で頷く。

 

まだ俺達とそう歳も変わらないのに・・・・・天界は一体何を考えているんだよ。

 

「今度こそ失礼するよ。協力感謝する」

 

「じゃあね悪魔の皆さん! イッセー君、裁かれたくなったらいつでも来ていいからね?」

 

イリナが笑顔でさらっとイッセーに怖いことを言う。

 

イッセーが震え上がっているじゃないか、やめてあげて!

 

 

 

 

 

 

二人がいなくなり部室に戻ると、裕斗が再び聖剣を探しに行こうとする。

 

「待ちなさい、裕斗。私の元を去るなんて許さないわ。貴方はグレモリー眷属の『騎士』なのよ?」

 

「・・・・・部長、すみません・・・・」

 

そう言って裕斗は部室を出ていってしまった。

 

どうしても破壊しなくちゃいけないんだな。うーん、どうしたもんか。

 

ふと、イッセーの方を見てみると、俺と同様に考え事をしていた。

 

するとイッセーと目が合い、俺達は無言で小さく頷き合う。

 

 

 

 

 

 

次の日の放課後

 

 

 

俺はすぐにイッセーの元行く。

 

「イッセー、裕斗のことなんだけど━━」

 

「わかってるよ。聖剣破壊を手伝うんだよな?」

 

なんだ、やっぱり考えてることは同じだったのか。

 

「さすがイッセーだ、わかってるじゃないか。そうと決まれば早速行動だ」

 

「でもさ、流石に二人は厳しくないか?」

 

確かに、2手に別れて行動するにしてもこの街は広いからな。いくらなんでもきびしいか。

 

「とはいっても、他に人なんて・・・・・」

 

その時、俺の視界の隅に生徒会メンバーの1人、匙の姿が映るのを見逃さなかった。

 

「あ、見つけた」

 

あいつを捕まえよう。

 

 

 

 

 

 

「な、何だよお前ら.....突然話があるって」

 

「実はだな━━━」

 

匙にこれまでの出来事を話した。

 

それを聞いた匙は全力で逃げようとするが、俺とイッセーでガッチリ取り抑える。

 

「俺はやらないぞ!聖剣なんてもんに関わったら会長にどんなお仕置きをさせれるか・・・・・うう、想像しただけでも恐ろしい」

 

まあ、ここまでは予想通りだ。

 

さすがに聖剣に関わろうとするなんて普通じゃやらない。だが俺にはとっておきがあるんだ。

 

「なあ匙、お前、前にアーシアのこと口説いてたよな?しかも俺が付き合ってるって公言した後に」

 

「うぐ、何故それを!?」

 

「俺の女に手を出したらどうなるか・・・・・わからないわけないよなぁ?」

 

俺は最高の笑顔を匙に向ける。それを見た匙は一気に顔を蒼白にし、慌てて受諾する。

 

「わ、わかった!わかったから勘弁してくれ!」

 

「わかればいいんだよ、わかれば」

 

隣にいるイッセーから『鬼だ・・・』と言われたような気がしたが、まあ気にしない。

 

よし、匙も仲間に加えたことだし、探しにいきますか。

 

 

 

とんとん

 

 

 

肩を叩かれ『誰だろう』と思い、後ろを振り返ってみる。

 

何とそこには小猫さんがいましたとさ。

 

・・・・・もうバレちゃったじゃん。

 

部長たちに内緒で探しにいく予定がもう崩れたんですけど。

 

「こ、小猫ちゃん!どうしてここに!?」

 

「やっぱりそんなことを考えていましたか」

 

最初っからバレてたっぽい。

 

「具体的に、どんなことをするつもりだったんですか?」

 

「ゼノヴィア達に頼んで、聖剣の破壊を協力させてもらう」

 

俺はシンプルに分かりやすく答えた。

 

「快く受けてくれるでしょうか」

 

「まあなんとかなるだろ」

 

「随分と適当ですね」

 

小猫に呆れられてしまった。でもゼノヴィアなら受けてくれそうな気がするんだよな。

 

まあ、当たって砕けろだな。

 

「協力を仰ぐにしてもまずはあの二人を探さないとな」

 

「待ってください。私も手伝います」

 

「「え?」」

 

小猫からの待ったに俺とイッセーは声を漏らす。小猫の瞳にはしっかりとしか意志が感じられる。

 

「裕斗先輩は大事な仲間ですから、私も一緒に行きます」

 

「小猫・・・・・。そうだよな、一緒に行こう」

 

俺たちは街に出て、二人を捜しに行く。

 

その途中で何回か匙が逃げ出そうとするが、俺と小猫の軽い脅しで引き留めさせた。

 

どんな脅しかって? それは秘密だ。

 

 

 

 

 

さて、探し始めてから20分くらいで二人を見つけたには見つけたんだが、正直いって、近づきがたい。

 

 

「えー、迷える子羊にお恵みをー」

 

「天の父に代わって哀れな私たちにご慈悲をー」

 

 

路上でこんなことをしてるやつらに話しかけろと?

 

勘弁してくれよ。皆も言葉を無くしてるじゃないか。

 

でも、話しかけないと事態は進まないし、しかたない。

 

俺は周囲からの目線に耐えながら二人に近づく。

 

 

「ええっと、一緒に飯・・・・・いくか?」

 

 

二人は俺が言い終えるのとほぼ同時に答える。

 

 

「「行く!!」」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。