雷龍を宿しました。(休載)   作:Takari

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10話 赤と白の決戦

突然アザゼルさんが空から落下してきた。

 

その上空にはヴァーリと知らない女性がいる。

 

俺は訳がわからないので小声でイッセーに説明を求めたところ、どうやらあの女性は旧魔王派のカテレア・レヴィアタンという名前でテロリストの一員らしい。

 

さらにはヴァーリもアザゼルさんを裏切ってテロリストに寝返ったそうだ。

 

 

「いつからだ?いつから、そういうことになった?」

 

「コカビエルを本部へ連れていく途中でオファーを受けてね。こちらのほうが面白そうだったから裏切らせてもらった」

 

アザゼルさんは真剣な表情で問いかけるが、ヴァーリは微笑みながら答える。

 

「それに、『アースガルズと戦ってみないか?』と、魅力的な提案をされたら断る訳にはいかない。アザゼルはアース神族と戦うのは拒むだろう?」

 

そんな理由で裏切られたんじゃたまったもんじゃない。

 

アザゼルさんもため息をついてるじゃないか。

 

「はあ、俺は確かに強くなれとは言ったが、テロリストになれなんて教えてないんだがな・・・・・」

 

「関係ない。俺は強いやつと戦えればいいからな。いまこの場にいる者で言えば・・・・・創雷師、君だ」

 

ヴァーリは俺に向かって指を指してくる。

 

「その子があなたのお気に入りの創雷師なのかしら?」

 

「ああ。今代の赤龍帝よりも断然期待できる」

 

カテレアも俺を指を差してヴァーリに訊く。

 

お前らは人に指を指しすぎた!

 

失礼にも程があるだろ!

 

まったく、ヴァーリのお気に入りにされても嬉しくないっての。

 

それに、イッセーを嘗めてもらっちゃ困るな。こいつはやれば出来る男だ。

 

俺はイッセーの肩をポンと叩き、ヴァーリに向かってお返しに指を指してやる。

 

「俺と戦いたかったらイッセーを倒してからにしろ!そうじゃなきゃ俺は戦わない!」

 

俺の宣言に周囲が静寂に包まれる。

 

それを最初に突き破ったのはイッセーだった。

 

「は、はあぁぁ!? 何言ってるんだよお前!!」

 

「だって俺戦いたくないし。それに、お前のライバルなんだろ?」

 

イッセーがあーだこーだ言ってくるが、ヴァーリは挑戦的な笑みを浮かべて俺に言う。

 

「わかった。兵藤一誠を倒した後が楽しみだよ」

 

「あまりイッセーを甘く見てると痛い目を見るぞ?」

 

イッセーのことなのにイッセー抜きでどんどん話が進んでいき、とうとう戦うことが決定してしまった。

 

部長たちもこの事に苦笑いしかしていない。

 

肝心のイッセーは目を虚ろにして『絶対死んだ・・・・・』とぶつぶつ呟いている。

 

魂が抜けかかっているイッセーの前にヴァーリが移動する。

 

「これから戦うのに、本名を名乗らないのは失礼だな。俺の名はヴァーリ。ヴァーリ・ルシファーだ」

 

 

・・・・・は?

 

 

ルシファーって・・・・・あのルシファー?

 

アザゼル以外の皆が驚愕に包まれる。

 

「俺は旧魔王の孫である父と人間の母との間に生まれた混血児だ。この『白龍皇の光翼』も人間の部分が宿したものだ。ルシファーの真の血縁者でもある俺が白龍皇でもある・・・・・これを奇跡と呼ばずになんと呼ぶだろうか」

 

「こいつの言っていることは事実だ。俺が知っているなかで過去、現在、未来永劫で最強の白龍皇になるだろうよ」

 

アザゼルさんが頭をポリポリかきながら言う。

 

っ!?

 

通りで強いわけだ・・・・・。

 

あの莫大な魔力量にも納得がいく。 厄介なのがライバルになったな、イッセー。

 

 

 

 

 

「早く決着をつけませんか、アザゼル?」

 

アザゼルさんに向かって強烈な殺気を送る女性。

 

この、カテレアだっけか? この人も凄い魔力量だな……。魔王様たちに匹敵するんじゃないか?

 

「それはこっちの台詞だ。・・・・まさか、こいつを使うことになるとは思わなかったな」

 

アザゼルが取り出したのは1本の短剣らしきものだ。

 

「………それは?」

 

「俺は神器マニアすぎてな。人口神器やレプリカをつくっちまう程に没頭したよ。でも、成功したのはごくわずかだ。神器を作り出した神のそこだけは唯一尊敬できるぜ」

 

この人、人口神器とかレプリカを作ってるのか!

 

見かけによらず凄い頭がいいんだな………。

 

カテレアはアザゼルの言葉の意味が理解できずに眉をひそめる。

 

「つまり、何が言いたいんですか?」

 

アザゼルさんはニヤリと笑い、短剣をカテレアへ向ける。

 

「つまり・・・・こう言うことだ!」

 

突如、短剣から光が放たれる。

 

そして、アザゼルさんは力のある言葉を発した。

 

 

「禁手化……ッ!」

 

 

一瞬の閃光が辺りを包み込む。

 

光が止んで見てみると、そこには金色の全身鎧を纏ったアザゼルさんの姿があった。

 

「俺の傑作人口神器、『堕天龍の閃光槍《ダウン・フォール・ドラゴン・スピア》』。それの擬似的な禁手状態━━『堕天龍の鎧《ダウン・フォール・ドラゴン・アナザー・アーマー》』だ」

 

アザゼルさんはバサッと漆黒の12枚の翼を鎧から広げる。

 

なんて龍のオーラだ・・・・!

 

ひしひしとその力強さが伝わってくる。

 

確かにカテレアも凄いが、アザゼルさんとはレベルが違いすぎる。はっきり言って勝負は見えている。

 

カテレアも同様に驚いたが直ぐに平静を保ち、言う。

 

「まさか神器を使ってくるとは思いもしませんでしたよ。━━━しかし!私にもこれがあるんです!」

 

カテレアは蛇のような形をした物を出し、それを自らに取り込んだ。

 

その瞬間、彼女から発せられる魔力が桁違いにはねあがる。

 

なっ!?

 

こんないきなりパワーアップだと!?

 

さっきの蛇みたいなのが原因か?

 

「桁違いに魔力が上がりやがったな・・・・。オーフィスからのプレゼントか?」

 

「ええ、彼の無限の力をお借りしました」

 

オーフィス? 無限の力?

 

しらない単語ばかりで頭が追い付かない。

 

「あなたのその神器、力のあるドラゴンをベースにしましたね?」

 

「ああ、ちょっくら『黄金龍君《ギカンティス・ドラゴン》』ファーブニルを神器に封印してな。いまのところは成功ってとこか」

 

俺は初めて聞くドラゴンの名前に疑問になったので、クローゼに訪ねる。

 

なあ、クローゼ。ファーブニルって知ってるか?

 

『(もちろんだ。やつは五大龍王の一角だからな)』

 

まじか!

 

ってことは、アザゼルさんは龍王を神器に封印したってことか? もはや規格外すぎるだろ………。

 

 

 

 

二人が上空でにらみ合う。

 

そして、

カテレアが特大のオーラを身に纏ってアザゼルさんに突っ込んいく。アザゼルさんもそれに迎えうつように光の槍を手に持ち、受けて立つ。

 

 

━━━刹那

 

 

カテレアから鮮血が飛び散る。

 

恐らく、すれ違い様に斬り込んだんだろう。俺にはその瞬間を捉えることができなかった。

 

俺もあそこまでの速さで攻防が出来るか?

 

こんな強者の戦いを見せられたら、体がウズウズしてしまう。

 

………いかんいかん。 これじゃあまるでヴァーリじゃないか。

 

「━━ただではやられません!」

 

カテレアが自身の腕を触手のように変化させ、アザゼルさんの腕に巻き付かせる。

 

カテレアの体に見たことのない紋様が浮かび上がる。

 

「あれは自爆用の術式だわ!」

 

部長が焦るように言う。

 

まさかアザゼルさんを道ずれにするつもりなのか!?

 

アザゼルさんはなんどもカテレアを引き剥がそうと光の槍を振るうが一向に離れる気配がない。

 

 

もう間に合わないと思いカテレアも不適に笑うが、アザゼルさんは驚くべき行動をとる。

 

 

ザシュッ!

 

 

「片腕ぐらいくれてやるよ」

 

自分の左腕ごと光の槍で切り落としたのだ。

 

そのまま落下するカテレアに向かって光の槍を投げつけ、一瞬で消滅させた。

 

なんの躊躇もなく自分の腕を切り落とせるかよ、普通・・・・・・。

 

アザゼルさんは光とともに鎧を解除させ、切った腕を魔力で止血する。

 

「まだ改良の余地が多分にあるな・・・・・。もう少し付き合ってもらうぜ、龍王ファーブニル」

 

そう言って手に持つ宝玉に軽く口づけをする。

 

「さすがはアザゼル。いずれは戦ってみたいものだな」

 

ヴァーリはアザゼルさんに向かってそう言い、今度は俺たちに問いかけてくる。

 

「しかし、運命とは残酷だとは思わないか?」

 

「なんのことだよ!」

 

ヴァーリの言葉の意味がわからず、イッセーは怒鳴り返す。

 

「俺のように、魔王プラス伝説のドラゴンを宿すのに比べて、君のようなただの人間に伝説のドラゴンが憑いている。いくらなんでもこの偶然は残酷だとは俺は思うな。ライバル同士の神器を持っていても、所有者の力の差があまりにも離れすぎている」

 

ヴァーリはイッセーを見下ろし、哀れみの表情で嘲笑する。

 

なんだこいつ、本人じゃないのに腹が立ってきた。

 

「つまらないな。あまりにつまらなすぎて、君を知ったときに落胆よりも笑いが出たよ」

 

そこでなにかいい考えが思い付いたのか、ヴァーリは声をあげて言う。

 

「そうだ!こういう設定はどうだろうか? 君は復讐者になるんだ! 俺が君の両親を殺そう。俺のような貴重な存在に親が殺されれば、晴れて重厚な運命に身を委ねられると思わないか?」

 

こいつ……!

 

ふざけたこと抜かしやがって………そんな事させるわけがないだろうが!

 

 

「殺すぞ、この野郎」

 

 

イッセーから聞いたこともないドスの効いた声が発せられる。

 

その言葉には明確な殺意が込められていた。

 

「・・・・俺の父さんを・・・・母さんを・・・・なんでてめえの都合で殺されなきゃなんねえんだよ」

 

 

このとき、イッセーの怒りが爆発する。

 

 

 

「てめえなんぞに俺の親を殺されてたまるかよォォォォォォッ!!!!」

 

 

 

『Welsh Dragon Overebooster!!!!』

 

 

イッセーの左腕にある神器━━赤龍帝の籠手から、音声とともに真っ赤で強大なオーラが放たれる。

 

 

赤い光が止んで見てみると、イッセーは真っ赤な全身鎧に包まれていた。

 

その姿はまさに『赤い龍』を体現したような姿。

 

 

これが、イッセーの禁手………すごい龍のオーラだ。

 

『(しかし、これは擬似的な禁手だ。この状態でいられるのも30分もないだろう)』

 

でもそれはなにもしなければの話だろ?

 

ダメージを受けたりしたらすぐに制限時間が来てしまうぞ。

 

イッセーの跳ね上がった力を見たヴァーリは喜びに溢れている。

 

「ははっ! 見ろアルビオン!兵藤一誠の力が桁違いに上がったぞ。怒りが引き金となったのか・・・はははっ

心地いい龍の波動だな」

 

『兵藤一誠の怒りという単純で強い想いに神器が答えたのさ。真っ直ぐな者。それこそが龍の力を引き出せる真理のひとつだ』

 

イッセーは二人の会話をお構いなしに背中の噴出口からオーラを吹かして突っ込んでいく。

 

「さっきからわけわかんねえことをベラベラと話してんじゃねえぇぇぇ!!!」

 

「バカなほど真っ直ぐだな」

 

ヴァーリはイッセーの突進を軽やかに避けて、回し蹴りを喰らわす。

 

「があぁぁぁッ!?」

 

そのまま地面に落下するが、直ぐに体勢を立て直して再びヴァーリに突っ込んでいく。

 

「アスカロンッ!!」

 

『Blade!!!』

 

イッセーは籠手からアスカロンの刃を出して斬撃繰り出していく。

 

龍殺しは確かに当たれば大ダメージだ。

 

けど、お世辞にもイッセーの剣術は上手いとは言えない。 それに、相手は歴代最強になると言われる白龍皇。みすみす当たってくれるとは思えない。

 

「龍殺しの剣か。だが、当たらなければどうということはない!」

 

「うおぉぉぉぉッ!!」

 

『Boost‼』

 

イッセーは1度目の倍加をして、力を一気に跳ね上げる。

 

「無駄だ」

 

『Divide‼』

 

しかし、ヴァーリがすかさず半減をさせていく。

 

クソッ!折角あげた力を半減をさせていきやがる。

 

二人は能力を使う度に魔力や体力を消費する。イッセーはただでさえ魔力が少なく、擬似的な禁手のため下手に倍加は出来ない。

 

それに比べてヴァーリの方は圧倒的なまでの魔力量があるため、惜しむことなく半減をしていくことが出来る。

 

『(早めに決着を着けなければ負けてしまうな)』

 

ああ。でもあいつは勝つよ。俺が元凶なんだけど、それでも俺は信じてるからな。

 

 

ヴァーリは接近戦から魔法攻撃の遠距離戦に移行した。

 

「はははっ! ほらほらほら!」

 

「ぐっ……! クソッ!」

 

イッセーは必死に避けるが、数発食らってしまう。

 

相当なダメージが入ったはずだが、スピードはまだ落ちていない。もう一度ヴァーリに迫っていくイッセー。

 

「うおぉぉぉぉッ!!」

 

「バカのひとつ覚えみたく突進か」

 

ヴァーリが何度も魔力弾を打ち込んでいくが、イッセーは当たったことを気にせずに真っ直ぐ進み続ける。

 

「ドライグ!アスカロンに譲渡だ!!」

 

『Transfer‼』

 

イッセーは籠手に収納されているアスカロンに倍加した力を譲渡させる。

 

その瞬間、纏っていた聖なるオーラが格段に跳ね上がる。

 

「くらいやがれェェッ!!」

 

 

ドゴッッ!!!

 

 

ヴァーリは防御の魔方陣を展開するが、一瞬で砕かれそのまま顔面を殴られる。

 

「がはァァッ!?」

 

余りの威力にヴァーリの鎧の兜が耐えられずに崩壊する。

 

「まだだ!」

 

イッセーはそのままヴァーリの光の翼を手で掴む。

 

『Transfer‼』

 

「お前の吸い取る力と吐き出す力を一気に高める!処理出来なくなるほどにな!」

 

「くっ!」

 

ヴァーリは苦悶の表情を見せる。

 

なるぼど!その手があったか!

 

イッセーのやつやるじゃないか。このやり方は赤龍帝専用って感じだな。

 

『このままではオーバードライブしてしまうぞ・・・・・!ヴァーリ、1度体勢を立て直せ!』

 

 

アルビオンの声に反応したヴァーリが腕をクロスさせてガードするが、イッセーの拳がガードを貫いた。

 

龍殺しの力は絶大で、ヴァーリの鎧を紙切れ同然に砕く。

 

「ゴボッ……」

 

ヴァーリは口から鮮血を吐き出す。どうやら効果覿面のようだ。よろよろと後ろに下がりながら口についた血を手で拭い、笑いながら言う。

 

「ははははっ! やればできるじゃないか。俺の神器を吹っ飛ばすなんてな! 創雷師だけじゃなく君もたのしめ━━━」

 

 

バキッ!!

 

 

イッセーの容赦のない一撃がヴァーリの顔面に直撃する。ヴァーリは数メートル吹き飛ばされた。

 

「てめえは、てめえだけは一発殴らないと気がすまねえんだよッ!!」

 

イッセーの怒りの拳が直撃したにも関わらず、ヴァーリは立ち上がる。だが、ダメージの蓄積があるためかどこか足がおぼつかない。

 

「いいぞッ! もっと力を上げろ! 俺を楽しませてくれ!!」

 

ヴァーリはそう言って再度純白の鎧を身に纏う。

 

まだまだ魔力切れには遠いってことか。

 

イッセーの方は━━まずい……そろそろ体力切れになりそうだぞ。

 

「クソッ! 鎧が修復しやがった……!だけど、負けるわけにはいかないんだよ!」

 

「さあ、第2ラウンドと行こうか!」

 

赤い龍と白い龍のオーラが互いにぶつかり合い、バチバチとスパークを起こす。

 

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