今日は悪魔の仕事が休みだったので、放課後スーパーに食材を買いに向かっている。
今日は卵のセールなので、奥様方と激しい戦いになりそうだな。
そんな事を考えていると後ろの方から はうっ! と、なんとも可愛らしい声が聞こえてきた。
何事かと振り返ってみるとそこには、長い綺麗な金髪で透き通るようなグリーンの目をした女の子が転んでいるではないか。
さすがに真後ろで転けられたら無視するわけにもいかないよな。
俺は金髪の女の子に手を差しのべる。
「大丈夫ですか?」
「は、はい。大丈夫です!」
間近で顔を見てわかったことがある。
………この子めっちゃ可愛い。
ついまじまじと見つめてしまうと美少女が戸惑った様子で問いかけてくる。
「あ、あの〜、どうかしましたか?」
「あっ、いえ、なんでもないです。旅行で来たんですか?」
俺はあまりの恥ずかしさで、咄嗟に質問をしてしまう。
………危ない危ない。初対面で顔をガン見するのはさすがにまずいぞ。
「いえ、この街の教会に赴任してきたんです。........あの!実は私、道がわからなくて迷子になってしまって...」
『教会』という単語を聞き、俺は改めて彼女の服装を見てみる。
これはシスター服だったのか。うん、可愛い。
よし。 教会はスーパーからも近いし、折角だから送っていってあげよう。
「なら俺が案内しますよ。ちょうど用事で近くに行きますし。 あ、俺の名前は如月秋夜です。」
「あ、ありがとうございます!私はアーシア・アルジェントといいます!」
「よろしく、アルジェントさん。じゃあ行こっか。」
俺はアルジェントさんの前に立って先導しようとした時、不意に服の裾を掴まれる。
ん?どうしたんだ?
「あの、私のことはアーシアって呼んでくれませんか……?」
彼女が俺にそうお願いしてくる。因みに、俺と彼女では頭1個分身長が違うため、今のこの状態は上目遣いというやつだ。
………こんなの反則だろ。
え、何この子、クソ可愛いんですけど。噂には聞いてたけど上目遣いってこんなに威力あるの?
「お、おう..。わかった、アーシア。俺のことも秋夜でいいよ。」
「はいっ! シューヤさん!」
満面の笑みで俺の名前を呼んだ。その姿に俺は、見惚れてしまっていた。
「うわぁぁぁぁん!!!」
アーシアと話ながら歩いていると、一人の男の子が膝を擦りむいているためか、大声で泣いている。
アーシアはその子を見るとすぐさまかけつき、優しく声をかける。その姿はまさに聖母のようだ。
「大丈夫?男の子がこんなことで泣いてはダメですよ?」
そう言ってアーシアはケガの部分に手をかざす。淡い緑色の光が男の子の膝を包み込み、たちまちケガを治していく。
こ、この力はもしかしてッ!?
『(ああ、回復系の神器だな。)』
神器に回復できるものがあったのか………。それにしても、神器所有者のアーシアがタイミングよく教会に赴任なんて普通するか?
『(恐らくまた堕天使絡みだろう。まったく、あいつらはろくなことをしないな。)』
クローゼは心底呆れた様子でため息をつく。
またあいつらか。もしアーシアに傷一つでもつけたら今度は再起不能にしてやる....。
俺の言葉を聞いたクローゼが『……怖いぞ』なんて失礼なことを言ってきたが、俺は綺麗にスルーした。
子供のケガを治したアーシアはこっちにトテトテと走ってきた。
「すみません、つい」
チロっと可愛らしく舌を出すアーシア。
可愛いなちきしょー!
アーシアの可愛さに悶えてから10分ほど歩いて、ようやく教会に到着した。
「此処が教会だよ。」
「ありがとうございました、シューヤさん。このご恩は忘れません!」
アーシアは腰を綺麗に曲げて俺にお礼を言ってくる。
「ははっ。大袈裟だよアーシア。他にも何か相談にのってほしいこととかあったら俺を頼っていいからな。友達なんだから」
俺の言葉を聞いたアーシアは小さく首を傾げる。
「お友達...ですか?」
「あれ?俺はそう思ってたけど、迷惑だったかな..?」
もしかして俺だけ友達だと思ってたのか?そうだとしたらめっちゃ恥ずかしいんだけど。
アーシアは両手と首をぶんぶんと振って否定する。
「い、いえ!そうではないんです!...ただ、私、これまで友達がいなかったので...」
こんなに優しいのに友達がいない? なんでだ?
俺は疑問に思うが、アーシアの悲しんでいる顔を見てそれどころじゃなくなってしまう。
と、とにかく元気な姿に戻させないと。
「じゃあ、俺が友達第一号だな!これからも宜しく、アーシア。」
「はい!私たちはお友達です!!シューヤさん!!」
俺達はそう宣言してお互いに顔を見て微笑む。
その後も、もう一生会えなくなるわけではないのに、別れるのが名残惜しくなって暫く話し込んでしまった。
気付いたときには教会に着いてから既に一時間が経過していた。
俺は『やってしまった……』と、アーシアを付き合わせてしまった罪悪感に押し潰されそうになったが、彼女は極上の微笑みで『もっとお話したいです!』と言ってくれたんだ。
アーシアまじ女神!
「こんな時間まで付き合わせちゃってごめんな?」
「そ、そんなことないです! ……私、こんなに楽しくお話したの初めてです」
俺は彼女の手を取り、笑顔で言う。
「また一緒にたくさんおしゃべりしようぜ! 今度はいろんな場所にも行きながらさ」
「━━っ、……はいッ!」
アーシアは目に涙を浮かべて元気に返事をする。
「じゃあ、また今度な?」
「はい! 私楽しみにしてます!」
アーシアは俺が見えなくなるまで手を振り続けてくれた。そういう俺もずっと手を振っていたんだが………。
そういえば、アーシアと話しているときに教会から何とも言えない嫌な感じがあったな。一体なんだったんだ?
そんな疑問を抱きながら家に帰ろうとする。
━━━が、俺はとんでもないことを忘れていた。
あ、卵のセール....。
結局俺はセールに間に合わず、トボトボと家へ帰った………。
▽
次の日の放課後
「2度と教会に近づいちゃダメよ」
俺は今、部長から注意を受けている。
実は昨日、俺とアーシアが一緒に教会で話していたのを部長にたまたま見られていたそうだ。
あのやり取りを見られてたのかよ……。そう思うと中々恥ずかしいな
それはそうと、なぜ俺が教会に近づいては行けないのか。いや、これは悪魔全体に言えることなんだが、俺達悪魔にとって神聖なものは害悪にしかならないそうだ。十字架や清水、教会などがいい例だ。
それに、下手したら戦争に繋がることになったかも知れないと聞いたときには流石に軽率だと思った。
「...すみませんでした、迷惑をかけてしまって...」
「もういいわ。私も熱くなりすぎてしまったわ。でも、心配したのよ?眷属は私にとって家族なの、だから気を付けなさい?」
「はい、わかりました」
部長はやっぱいい人だな。いや、悪魔か。
イッセーもすごい心配してくれたんだよな。あいつはああいうところを女子達に出せば印象も変わるだろうに。
他にも小猫と祐斗も心配してくれてたらしい。ほんとうに迷惑をかけちゃったな。まあ、アーシアと会えたことに後悔なんて微塵もしていないが。
「あらあら、お説教は終わりました?」
「ええ、終わったわ。」
朱乃先輩が部長の横へ移動する。
「秋夜君、私も心配したんですよ?」
朱乃先輩は本当に安心したような表情で言う。
俺は朱乃先輩の方を向いて頭を下げる。
「すみません………これからは気を付けます」
「それで朱乃、何かあったの?」
朱乃先輩はいつもの笑顔から、真剣な表情へと変えて部長に答えた。
「大公からはぐれ悪魔の討伐依頼が届きましたわ」
▽
はぐれ悪魔━━悪魔の力に溺れ、自身の主を殺して欲望のままに生きる悪魔のことをそう呼ぶ。
周囲に危害を加える者が多いため、指名手配されるものや討伐依頼が届けられることがあるらしい。
俺たちは今、そのはぐれ悪魔の討伐依頼が大公からきたので早速向かっている。
隣にいるイッセーが不安そうに呟く。
「や、やばい。緊張してきた……」
すると、祐斗がイッセーに爽やかスマイルを見せて言う。
「大丈夫だよイッセー君。君は僕が守ってあげるよ」
なんか言い方がそっちの方に聞こえてしまうのは気のせいか?イッセーもそれを聞いて苦笑いをしている。
「秋夜先輩は私が守ります」
前の方を歩いていた小猫が此方に振り返ってそう言ってくれた。
「お、おう。ありがとな小猫」
こんなに見た目が小さい子に守られる俺って何なんだろう………一応そこそこ戦えるつもりなんだけどな。
「今、小さいとか思いせんでしたか..?」
「い、いや、気のせいじゃないか?」
さらっと心を読むんじゃないよ。
まったく………これからは失礼のないようにしよう。
突然部長が足を止める。
すると、周囲に不愉快極まりない笑い声が響き渡る。
「ゲヒャヒャヒャ!旨そうな匂いがするぞ?でも不味そうな匂いがするぞ? 甘いのかな? 苦いのかな?」
声の主が姿を現す。
その姿は2~3メートルほどの大きさの女性だった。しかもなぜか全裸。
うわっ!でかいな! しかも何故か胸がもろ見え。
イッセーはというと、案の定鼻の下を伸ばして興奮していた。
だが、下半身が見えてくると、イッセーの顔が青ざめていく。
女の姿は、上半身は胸が豊満でなかなかのプロポーションだが、下半身が獣の足となっている。
「はぐれ悪魔バイザー、貴方を消滅しにきたわ。自分の主を殺し己の欲望に走るその行為、万死に値するわ。
グレモリー公爵の名においてあなたを消し飛ばすわ!」
部長はその姿に臆することなく堂々といい放つ。
「小娘が生意気な!!!」
「祐斗!」
「はい!」
バイザーが襲いかかってくるが、木場は物凄い速さで接近する。バイザーの攻撃を危なげなく避け、その勢いのままバイザーの両腕を切り落とす。
おお!凄い速さだな。しかも剣の腕もいい。
今度試しに勝負してほしいもんだ。
バイザーが今度は小猫の方に向かっていった。俺は急いで雷輝龍の籠手を装着しようとしたが、部長に手で制止させられた。
「小猫ちゃん!!」
イッセーが叫ぶ。
小猫ちゃんがバイザーの顔の高さまでジャンプすると
「....ぶっ飛べ」
バイザーの顔を殴り飛ばした。
うそーん...。あの体のどこにそんなパワーが?恐るべし戦車の力...恐るべし小猫。
これからはなるべく小猫を怒らせないようにしよう。そう胸のなかに誓った。
次に朱乃先輩の番らしい。その手には高密度の雷を溜め、それをバイザーに落としていた。
「ギャァァァァァァ!!」
バイザーは、もう全身黒焦げ。それを見ていつも以上にニコニコ笑顔になる朱乃先輩。
「うふふ。まだまだ元気ですわね。」
そう言ってさらに雷を落とす。
笑ってるよ!?怖いよ!?
部長が俺とイッセーを安心させるように言う。
「朱乃はね、究極のドSなのよ」
そうでしょうね!相手が苦しんでるのにさらに追い討ちかけるなんてSとしか言いようがねえよ!
「安心しなさい。味方には優しいから」
ほんとうなんですね?実験とかいって雷落としませんよね?
地面に倒れるバイザーに向けて部長が手をかざす。
「最後に言い残すことは?」
「殺せ...」
「そう。なら消し飛びなさい。」
部長の手から作り出される魔方陣から赤黒い魔力の塊が飛び出し、バイザーを文字通り跡形もなく消滅させた。
「すげぇ...」
イッセーが驚く。
この威力には俺もびっくりだぞ。………跡形もなく消し飛ばすなんて普通できない
「さて、朱乃、祐斗、小猫、お疲れ様」
部長は3人に労いの言葉をかける。
いやほんと、お疲れ様です。
あんな怪物と戦うとか正直怖すぎてやばい。でもいずれ俺もこれに参加することになるんだよな………頑張って強くなろう………。
「じゃあ戻りましょうか」
部長の指示で俺たちは、はぐれ悪魔討伐を終えて部室へとむかった。
秋夜の戦闘シーンが書けない....。
最後まで読んで頂き有難うございます。
これからも応援よろしくお願いします。