NANAMI   作:鑢八茎

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化け物

 アカデミーの授業はまさに退屈そのものだった。

 木ノ葉の忍道の出発点だというのにこの程度とは底が知れると言うものだ。まあ、暗部相手に殺し合いをしていた七実にとって、入門編ともいえるアカデミー時代は特筆すべき事は何一つ無い。

 

「くノ一は忍術だけでなく女性としての幅広い知識と教養を身に付けなければなりませんの」

 

 敵地に潜り込んだ時、忍と気付かれぬように普通の女を演じる必要がある。故に、生け花だとか………。

 

(敵地に入ったらただ殺せば良いだけじゃない。どうして潜伏する必要があるのかしらね……)

 

 花を摘みながら髪を掻き上げ、はぁとため息を吐く。前世で厳格な忍である真庭蟷螂が若い蜜蜂なら見とれていたと称するほどの七実の美貌でそんな事をすれば、同性でも思わず見とれている。

 

「うずまきさ~ん」

「はい?」

 

 七実が花を纏めていると三人組の女子が話しかけてきた。友人もいないのに誰かと顔を上げればああ、と納得する。

 

「こんにちはアミさん。どうしたんですか?何時もはさくらさんをいじめているのに………ああ、いのさんに追い払われたんですね。あなた達、強い人には強く出れないから」

「ッ!?そ、そっちこそ……ずいぶん強く出るのね。やっぱり何かあっても化け物に復讐を頼めるから……?」

「…………その化け物がナルトを指すなら、流石に見過ごせませんが誰のことを指しているんでしょう?」

「あんたの弟に決まってるじゃない!」

「……………………」

 

 七実はふぅ、と花を地面に置いて立ち上がる。アミとその取り巻き2人はゾクリと背筋が凍るような感覚に見舞われたが、すぐに気のせいに決まってると振り払う。

 数に頼らなければ、七実が本気で怒っていれば、自分の危険察知能力を信じていれば、あるいは化け物の餌食にならなかったかもしれない。

 七実(化け物)はそんな哀れな()喰らう(毟る)ために笑みを浮かべながら歩み寄る。

 

「そう言えば自己紹介の時、私だけ趣味を言ってませんね………改めて、趣味は草むしりです」

 

 その日の授業、アカデミーの生徒3人が姿を消し夕方に見つかるも皆等しく傷だらけで、発狂していたため犯人を聞き出すことも出来なかった。

 指を縦に裂かれ数を増やされたり顔の皮をはがされたり額に穴を空けられ別の子の目を埋め込まれたりとまるで人と違う化け物を形作ろうとしているその所業に翌日の新聞を見た多くの者が戦慄した。

 

 

 

「怖いですね。そう思いませんシスイさん」

「何故……ここにいる……」

「七花は今イタチさんの飼い猫ですから、会いに来るにはうちはに来るしかないでしょう?」

 

 七実は何でもないかのように言う。しかしシスイからすればとんでもないことだ。何せ七実は無意識にうちはに決して近づかないように幻術をかけられている筈なのだから。

 

「ふふ。何故でしょう。また幻術をかけてみます?まあ、もう効きませんが……」

 

 と、七実がそこまで言った瞬間シスイの瞳が赤く染まり手裏剣のような紋様が浮かぶ。七実は一瞬だけ硬直し、しかしそれは一瞬だけで次の瞬間にはシスイに襲いかかった。

 

「が!?」

 

 アカデミーを卒業していない生徒にしても………いや、下忍としても速すぎる速度で動いた七実に呆気を取られその一瞬の動揺があれば抑えつけるのは七実に取って苦もなきこと。

 

「ごめんなさいね。いえ、先にやったのはアナタだもの。謝る必要なんてないわね……一応確認なんだけど、私をうちはから遠ざけようとしたのは私をスパイと疑ったうちはの判断?それとも私を心配したアナタの判断なのかしら?」

「……うちはの、総意だ」

「嘘ね……蟷螂さん達と似たような反応……私に嘘は通じないわ………さてアナタの処遇なのだけど、安心して良いわ何もしないから。ただ、私に二度と幻術を掛けないように幻術を掛けるだけ」

「それは……!何故、うちはでもないお前が!」

 

 シスイは七実の眼が赤く染まり、その眼に映る三つ巴とは違う紋様に目を見開く。本来、うちは一族限定の能力で、そしてその先をいく力を持つ七実に恐怖すら覚える。

 

「気にしなくて結構です。どうせ二度見て完全に覚えたこの術で、アナタは何も覚えてないことになりますから。では……」

 

 

 

 

 

「今日はありがとうございました」

「ん?オレはあんたに何かしたか?」

 

 うちはの移住区の出口、シスイは七花を抱えながら隣を歩く七実の言葉に首を傾げる。

 

「何でもありませんよ」

「そうか……」

 

 まあ、他のうちはが早まらないように監視していたことに気づいたんだろうとシスイは辺りを見回し結論づけた。

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