ハイスクールD×D ~それは現か幻か~ 作:DDX
果たしてどのようにして生き返らせ、どうなるのか・・・・
それでは本編どうぞ
「さて・・・・・やるか」
イッセー達と分かれて15分ほどして、俺は再び廃教会へと戻ってきていた。
そして、俺の目の前には無傷で死に絶えるレイナーレの姿が。
あの時・・・・グレモリーに消させたのはレイナーレの幻だ。皆の意識がアーシアに集中している隙に幻で本物の姿を隠し、偽物を作っていたのだ。
わざわざ俺が頼んで消してもらっていたのだ・・・・・あれが幻だったなんてイッセー達は思いもよらないだろう。
と、そんなことより始めないと・・・・・だがまあ、その前に確認しておかないとな。
「ラム、生き返らせるのにどれぐらいの時間が無くなる?」
『そうね・・・・無傷だし死後それほど時間が経っているわけじゃないから3年程度かしら?』
たった3年か・・・・・思ったよりも1年少ないな。ラッキー。
『思ったより少ない・・・・そう思ったでしょ?私からすれば3年もよ。なにせあなたの残りの時間を半分以上失うことになるのだし』
「なんだ?悲しんでくれるのか?」
『当然よ。あなたほど一緒にいて楽しいと思える相棒これまでいなかったもの。楽しい時間が3年も減るなんて不幸だわ』
楽しいのが3年減るのが嫌・・・・ね。ほんとコイツは俺に似て快楽主義者だな。
ただまあ・・・・
「・・・・俺もお前と一緒に入れる時間が3年減るのは残念に思うよ」
『そう。そう思ってくれるなんて光栄ね。でも・・・・やめないんでしょう?』
「ああ。たとえ俺がこの世界にいられる時が削られようとも・・・・俺は彼女に魅了されてしまったからね」
黒く、美しい長髪を持つレイナーレ。まさに俺にとって理想の女性だ。ここでみすみす諦めてしまえば、必ず後悔するだろう。
だから俺は・・・・・躊躇なんてしない。
『まあ、その為にここまで綿密に計画を立てていたわけだものね。今更止めやしないわ。好きにしなさい』
「そうさせてもらうよ。それじゃあそろそろ・・・・と、そうだ。最後にラムに言っておくことがあったな」
『なにかしら?』
「お前のことはしばらく伏せておく。だからお前もレイナーレがいるときは口頭で会話しないようにしてくれよな」
『・・・・・そう。やっぱり愛に焦がれようとも信用、信頼は別問題ということかしら?』
「ああ。たとえどんなに魅了されようとも・・・・レイナーレが堕天使である以上、心の底から信用することは今はできない」
堕天使は・・・・俺にとって憎むべき存在だ。
堕天使のせいで俺の過去は歪んだ。堕天使は俺から大切なものを奪った。
堕天使だけじゃない・・・・・悪魔も、天使さえも俺から大切なものを奪い、俺の人生をめちゃくちゃにした。
だから俺は、少なくとも今は堕天使も悪魔も天使も・・・・・根本から信用することができない。
この憎しみが・・・・心を蝕み続ける限り。
『いつかあなたのその憎しみが晴れるといいわね』
「・・・・そうだな。さて、今度こそ始めよう・・・・・禁手化」
今度こそ、俺はレイナーレを生き返らせるために・・・・
気がつけば・・・・私の視界は暗闇に包まれていた。
私は・・・・一体どうしたのだろう?記憶が正しければ私はあの男に・・・・現世朧に殺された。ということはここは死後の世界?
・・・・なぜだか、それは違う気がした。だって、死んだにしては私は体になんの違和感も感じていないのだから。
普段通りの感覚・・・・動かそうと思えば手も足もいつも通り動かせる気がする。そして背中になにか硬いものが当たってる感覚がしている。
そして私はようやく気がついた。私は今、地面に背をつけて寝そべっているということに。視界が暗闇に包まれているのは、私が目を閉じてるからだ。
・・・・早く目を開けなきゃ。暗闇はもう見たくない。
「・・・・ん」
思わず短く声を漏らしながら、私はゆっくりと目を開く。どうやらそれなりに長い時間目を閉じていたようで、視界が少しぼやける。
だけど、目の前に誰かいるのはわかる・・・・・顔ははっきりわからないけれど、なぜか不快に感じる・・・でも、同時に畏敬の念を抱かずにはいられなかった。
視界が少しずつはっきりしていく・・・・・そして私はとうとう目の前にいる者の顔をはっきりと捉えた。
「やあ。おはようレイナーレ」
思わず見惚れてしまうほどに綺麗な笑顔を見せるその人物は・・・・私を殺した男だった。
「ッ!?いや・・・・いやぁぁぁぁぁ!!」
恐い・・・・恐い恐い恐い。
目の前にいる男が恐くて恐くて仕方がない。
どうすればいいのかわからない・・・・ただ悲鳴しか上げられない。恐怖ですくんで体が動かせない。
私は・・・・どうなるの?こいつに・・・・この男に何をされる?
考えれば考えるほど・・・・・私は恐怖の渦に飲み込まれてしまった。
「あ~・・・・そっか。そうだよな。恐いに決まってるよな」
現世朧は何か言っているが、耳に入ってこない。いや、耳に入ってきてもその言葉の意味を理解することができない。
ああ・・・・恐い恐い恐い。
「・・・・仕方ないな。ちょっとごめんねレイナーレ」
突然、私の体が何かに包まれ、視界が何かに遮られた。
暖かい・・・・とても暖かい感触。その感触は私の恐怖を少しづつ溶かしていった。本当に心地がいい・・・・ずっとこうしていたいとさえ思ってしまう。
でも・・・・この感触は何なんだろう?この暖かさを与えてくれるものは一体?
私はふと顔を上げてみる。すると、すぐ傍に現世朧の顔があった。・・・・ああ、そうか。私は現世朧に抱きしめられているのか。
私を殺した男に抱きしめられているというのに・・・・なぜだろう?拒もうという気が湧いてこない。それどころか、このままでいいとさえ思ってしまう。
どうして私はこんな気持ちになっている?私を殺した男に、私はどんな感情を抱いている?
・・・・・ああ、いいや。どうでもいい。
今は少しでも長く・・・・この感触を堪能させてもらおう。
「落ち着いたかレイナーレ?」
「・・・・ええ」
しばらくして、現世朧は私から離れた。少し名残惜しく感じてしまったが・・・・そんなこと絶対に言ってやらない。
だって・・・・こいつは私を殺した男なのだから。そんな男に、素直に告げるのは・・・・あまりにも癪すぎる。
それに・・・・今は他に言わなければならないこと・・・・・聞かなければならないことがある。
「・・・・それで?私はどうして生きているのかしら?」
「おろ?随分と冷静じゃないか・・・・・ちゃんと自分が死んでたってことも理解できているし」
・・・・・正直に言うと本当に自分が死んだかどうかは未だに疑問に思っていた。だけど、その疑問を解決しようとすると色々とこじれそうね。
「なに?話ができないほど動揺して欲しかったの?」
「いや、そういうわけじゃないけどさ。というか落ち着いてもらいたかったから抱きしめたわけだし」
・・・・それで本当に落ち着いてしまった自分が疎ましくてしょうがない。
「それよりもいいから早く教えなさい。私はなぜ生きて・・・いえ、私をそうやって生き返らせたの?」
「・・・・禁手だよ」
「禁手?」
禁手のことは知っていた。神器所有者の中でもほんのひと握りの者のみが至る究極系。その力は、どのような仁義においても絶大だという。
だけれど・・・・その禁手と私が生き返ったことに何の関係が?
「俺の神器の能力は知っているな?」
「ええ。幻を操る能力でしょう?さっきの戦闘で十分すぎるほど見せてもらったもの」
「いや、十分すぎるほどといってもあんなのほんの一端に過ぎないんだけどな・・・・まあ、今はそれはいいか。ともかく俺の神器の能力は幻を操ることだが・・・・禁手に至ると現と幻を反転することができるんだよ」
「・・・・は?」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまった私は悪くないだろう。
現と幻を反転することができる・・・・それはつまり幻を現実に変えることができるということ。
少し考えただけでわかる・・・・・それはあまりにも異常だ。
けれど・・・・解せない。
「・・・・その能力でどうやって自分を生き返らせたのかまだわからないって顔だな」
「・・・・ええ、そうよ。その能力だけでは合点がいかない。まだ何かあるのかしら?」
「いいや、何もないよ。禁手の能力は現と幻の反転だけ。だが、それだけあれば死者蘇生は可能なんだよ。相当にチートだがな」
ははは、と苦笑いを浮かべながら現世朧は言う。
「もったいぶらずに早く教えなさい」
「わかったよ。俺がレイナーレを生き返らせるためにしたことは・・・・レイナーレの『死』という現実の反転だ。現実を反転させて幻とした。幻ってのは消えるのが道理だ。故に・・・・レイナーレの『死』は現実から幻となって消え去ったというわけだ」
「・・・・・」
もはや驚きすぎて声さえ出なかった。
さっき私は彼の禁手の能力を聞いて幻を現実に変えることができると思ったが・・・・そうではなかった。彼は現実を幻に変えることさえできるのだ。そんなのこの世の断りから大きく逸脱している。
そんな力を持った神器だ存在するなんて・・・・恐怖を通り越して思わず呆れてしまう。
「というわけで俺は禁手の力を使ってレイナーレを生き返らせたわけだが・・・・・何か意見はあるか?」
「・・・・いいえ、ないわ」
本当は色々と突っ込みたいことはあったけれど・・・・・言わないでおいた。
突っ込んだところで意味はない。私はこの男の禁手の力で生き返った・・・・それだけで十分だ。
それよりも・・・・・もっと聞きたいことがある。
「・・・・・なんで私を生き返らせたの?」
そう、これこそが私が一番聞きたかったこと。
わざわざ私を殺しておいて生き返らせるなど・・・・・どんな思惑があってのことなのか知りたい。
知ったところでどうするって言われればそれまでかもしれないけれど・・・・・私には知る権利があるはずだ。
「レイナーレを生き返らせた理由か・・・・それは単純明快だ。君のことが好きだから」
「・・・・え?」
こいつ・・・・今なんて?
「私が・・・・好きだから?」
「ああ、そうだよ。言っただろ?君は俺にとって理想の女性だ。だから俺はどんな手を使ってでも君を手に入れたかった」
そういえば言っていたわね・・・・あれはふざけ半分で言っていたと思ったけれど本気だったのね。
・・・・おかしいわ。なんでこんな奴が本気で私を好いているって知って心臓がうるさいぐらいに高鳴ってるのよ。
・・・・馬鹿げてるわ。
「だから生き返らせたって言うの?でも、だとしたら・・・・・そもそもどうして私を殺したのよ」
私は自分の心持ちを誤魔化すように尋ねた。まあ、実際知りたいことではあるけども。
「それも言っただろ。君は俺の親友であるイッセーを殺し、追い詰め、苦しめたんだ。君のそういうところが嫌いだった。だから、殺すことでその嫌いを払拭したんだよ。そして、その嫌いを払拭したあとレイナーレを生き返らせたって事だ」
嫌いという感情を払拭するためだけに私は殺されたのね・・・・なんて自分勝手なのかしら。
でも・・・・否定も非難もできない。というよりする気が起きない。
私は堕天使・・・・自らの欲に従い生きる存在。
ならば、彼の自分勝手な我欲に満ちた行動を否定したりはしない。
・・・・私、こんなに物分りのいい性格してたかしら?一回死んで考え方が変わった?
「・・・・めちゃくちゃねあなた。自分勝手な理由で私を殺して生き返らせて・・・・気が狂ってるとしか思えないわ」
否定はしないけど・・・・まあ、これだけは言わせてもらおう。殺されたことに関しては多少は恨みはあるし。
「自覚はしているさ。俺は確実に狂ってる。でも・・・・狂ってでも君のことが大好きなんだレイナーレ。この気持ちに嘘はないよ」
「幻術士の言うことなんて信じられないわね。戦闘中だって嘘つきまくってたじゃない」
「それはまあ・・・・うん、ごめん。悪かったよ」
そこは素直に謝るのね・・・・調子が狂うわ。
・・・・もういいか。これ以上何言っても無駄だわ。一応は質問には答えてくれたんだし・・・・あとは肝心なことを聞いておきましょう。
「納得のいかないことは多少あるけど、それについてはまあいいわ。とりあえずはあなたが私を殺し、生き返らせた理由はわかったから。だから・・・・今度は別の事を聞かせてもらうわ」
「というと?」
「まず一つ、私が生き返ったことはあの悪魔達は知っているの?」
周囲を見たところ悪魔達はどこにもいない。だからこのことを奴らが知っているのかが気になった。
「いいや、グレモリー達はお前が生き返ったことは知らないよ。なにせレイナーレの死体を消してくれって頼んでカモフラージュまでしたし。まあ、その死体は幻だったわけだけど。とにかくレイナーレが生きてることは俺しか知らない。完全に俺の独断だからな」
「そう。あいつらは知らないのね・・・・じゃあもし、そのことがバレたら?」
「レイナーレは今度こそ確実に殺されるだろうな。俺もそうとう厄介なことになる」
・・・どうやらこいつ自身それなりに危ない橋を渡っているらしい。
「・・・親友を騙してまで私が欲しかったの?」
「ああ。心の底から欲しかった」
即答したわね・・・・・親友よりも女が大事だなんて所詮は男ね。まあ、そういうの割と嫌いじゃないけど。
「・・・・それで?私のことを欲しかったあなたは今後私をどうするつもりなのかしら?私のことを鎖で繋いで犯して啼かせて孕ませる気?」
「レイナーレ・・・・・俺のことなんだと思ってるのよ?」
「少なくともまともな精神じゃないとは思ってるわよ。というか狂ってるってことは自覚しているんでしょ?」
「ははっ。そうだったな」
そうだったって・・・・ああ、もう。こいつと話すと少し疲れるわ。
「別に鎖でつなぐつもりも犯すつもりも孕ませるつもりもないさ・・・・・将来的にどうかはわからないけど」
「最後ボソって言ったの聞こえてるわよ」
「聞こえるように言ったからな」
「そう。それで?結局のところ私をどうしたいの?」
「・・・・レイナーレ。俺と一緒に暮らしてくれないか?」
現世朧は真っ直ぐに私を見つめ、手を差し出しながら問いかけてきた。
その目、その声は真剣そのもので・・・・・悔しいけど彼の容姿も相まってかっこいいと思ってしまった。
「それ、拒否権あるの?」
「あるよ。嫌なら断ってくれていい。別に断ったところでどうこうしようなんて思わないからな。受ける受けないは君の自由だよ」
受ける受けないは私の自由・・・・か。
よく言うわね。ここで断るという選択肢は私にはないのに。
ここで彼の誘いを断ったところで・・・・・私には行くところがない。
アーシアから神器を奪ったのは私の独断・・・・それに失敗した上に悪魔と、それも悪魔の中でも特に有名なグレモリーの人間と小競り合いを起こしてしまったとなると処罰は免れない。
アザゼル様は争いを好まないお方だ。私が悪魔とことを起こしてしまった知れ・・・・死罪の可能性もあるだろう。
アザゼル様がそうしろと言うなら従ってもいいとは思う。けれど・・・・・同時に死にたくないとさえ思ってしまう。
一度死を経験したからこそ・・・・・・やはりまた死ぬのは恐い。
ああ・・・・・やはり私に選択肢など存在していなかった。
「・・・・・せいぜい私を養いなさい」
私は彼の・・・・朧の手をとった。そうするしか生き残る術がないから。
・・・・そう。それが理由だ。それ以外の意味などなにもありはしない。
なにも・・・・・ないんだ。
「ああ。可能な限り幸せにしてみせますよ?」
「・・・ふんっ」
朧のキザったらしい言葉に思わずそっぽを向いてしまったが・・・・その言葉に期待してしまっている私もいた。
まあ、そんなこと絶対に言ってやらないし態度にも出してやらないけど。
「それじゃあ俺達の家に帰ろうか。さっそくレイナーレのために腕によりをかけて夕食を作らさせてもらうよ。何かリクエストはあるかい?」
「フランス料理のフルコース。それ以外認めない」
とりあえずムカついたから無理難題をふっかけてやった。せいぜい困り果てるがいいわ。
「フランス料理のフルコースだな。了解」
「・・・・は?」
その後、私は朧の家でフランス料理のフルコースを堪能することとなった。
どの料理も舌がとろけるように美味しかった・・・・・言ってみるものね。
・・・・・ああ、もう。これからの生活が少し楽しみになってきちゃったじゃない。
本当に・・・・・最悪だ。
レイナーレは吊り橋効果的な感じで朧に若干好意を抱いてしまっています
問題は・・・・その吊り橋に当たるのが朧ということなのですがね
それでは次回もまたお楽しみに!