ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

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今回でライザーとのギフトゲームは終了します

それでは本編どうぞ


第28話

戦局はほぼ俺の予想通りになっていた。

 

木場とイッセーは善戦していた。木場は騎士(ナイト)を相手に優位に戦っていたし、イッセーも赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の新たな能力、強化の譲渡を習得した。だけれど・・・・・結局はそれも意味をなさない。姫島と戦っていたライザーの女王(クイーン)が現れ・・・・木場を脱落させたのだ。

 

どうやら姫島は相手を追い詰めはしたようだが、やはりフェニックスの涙を持っていたようで・・・・回復されてそこからは一方的だ。追い詰めはしたが消耗していた姫島ではかなわず負けて脱落。そしてその勢いのままライザーの女王はイッセーと木場を襲撃したというわけだ。

 

お情けで撃破までされなかったイッセーは、レイヴェルから諦めるように勧められるが・・・・・あいつはそれを聞くような潔い奴なんかじゃない。その言葉を振り払い、屋上で一騎打ちをしていたグレモリーとライザーの下に向かい・・・・・今は劣勢であったグレモリーの代わりに戦っている。グレモリーを救うために。

 

「・・・・・本当に馬鹿な奴だ。無駄だっていうのに」

 

アーシアに傷は直してもらったようだが、それでも先程までの戦いでの疲れまで取り除けるわけではない。疲弊しきって立っているだけでもやっとだというのに、イッセーはライザーに立ち向かっていく。どれだけ傷つこうとも、どれだけ身を焼かれようとも・・・・それでもイッセーの闘志は消えない。イッセーの目はライザーを見据え、歩を進め、拳を振り上げる。そしてまたライザーに傷つけられ、焼かれる。

 

さっきから・・・・それの繰り返しだ。

 

「まったく。なんでお前は・・・・・」

 

わかっている。それはイッセーの美点で。イッセーがそういうやつだからこそあいつは俺の親友であれたのだし、俺自身もそんなイッセーが好きなんだ。でも・・・・そんなイッセーを見て、湧き上がる感情は誇らしさなんかじゃない。痛ましさだ。

 

大切な人が傷つく姿は・・・・・俺のトラウマを抉るものでしかないのだから。

 

「・・・・イッセー」

 

もう耐えられない。こんなもの見たくない。だから俺は・・・・モニターから目を逸した。

 

「・・・・目を逸らすのですか?親友が決死の覚悟で戦っているのですよ?」

 

「だから見届けろと言うんですか?親友の覚悟をその目に焼き付けろと?それが親友である俺の責務だというんですか?」

 

「ええ。その通りです。彼女も・・・・それを望むでしょう」

 

イッセーが望む?ふざけんな。

 

「俺とイッセーのこと・・・・何もわかってないくせに知ったふうな口を聞くなよ悪魔」

 

「え?」

 

「俺はあんなもの見たくないんだよ。親友が傷つく姿を・・・・なんで見届けなければならない?そんな辛いもの俺は見たくない。だから見ない」

 

親友としての責務とか知ったことではない。誰だって嫌なものは見たくないはずだ。それから目を逸らして何が悪い。

 

「イッセーだって・・・・今は考えてる余裕なんてないだろうけどあんな自分の姿俺に見て欲しいだなって思うはずないさ。あいつが俺に自分の醜態を見せたいなんて思うはずがない」

 

「醜態・・・ですか?」

 

「どんな意志が、覚悟があろうが成す術なく痛めつけられる姿なんて醜態でしかない。そんなの誰にも見られたくないだろうさ。それが親友ならなおさらだ」

 

そんな光景・・・・ただ苦しいだけだ。辛いだけだ。そんな記憶が残るなんて、残すなんて嫌に嫌に決まってる。

 

「あんたはどうなんだ?自分の(キング)に、大切な存在にそんなところ見て欲しいと思うか?」

 

「・・・・・それは確かに嫌です」

 

「だろ?だったら・・・・」

 

「ですが・・・・それでも、時には見て欲しいと、見守って欲しいと思うときはあります。かつて・・・・そういう時はありましたから」

 

ルキフグスは、どこか誇らしげに語り始めた。

 

「その時の私は酷く無様だったかもしれない。不格好だったかもしれない。醜態を晒したかもしれない。ですが・・・・・それでも、見てもらって良かったと思っています」

 

「・・・・・」

 

そうか・・・・ルキフグスはそっち側なのか。

 

だとしたらやはり相容れない。俺はそんな綺麗な考えを持てない。俺はそんな風に誇らしく生きられない。俺は・・・・

 

『羨ましいかしら?そんな風に生きられる彼女のことが』

 

・・・・うるさい。黙れラム。

 

『苛立つのは図星だからかしら?』

 

・・・・やめてくれ。頼むから。

 

『もちろんやめるわ。あなたからの頼みだもの。それに・・・・そろそろ終わりそうだし』

 

終わる?

 

『ええ・・・・彼女も見てられなくなったようだから』

 

彼女?ああ・・・・そうか。俺よりもずっと近くでイッセーのことを見てたやつがいたな。

 

「私の負けよ。投了(リザイン)します」

 

画面越しに、グレモリーの声が聞こえてくる。

 

俺が予想したとおり・・・・グレモリー達は完敗した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲーム終了か・・・・まあ、予想通りの結末だな」

 

番狂わせも何もない・・・・俺の思い描いた通りの結末。だからこそ面白くはないが・・・・だが、これでいい。俺にとってはこの展開こそ都合がいいんだ。

 

・・・・まあ、一欠片しか残ってない良心は痛むけどな。

 

「・・・・これでお嬢様はライザー様との婚約が確定しましたね」

 

「形式上は・・・・な」

 

「形式上は?」

 

「ああ。聞くがルキフグス、両家の思惑通りゲームはライザーが勝ったわけだが、この後はどうなる?俺の予想ではトントン拍子で話を進めるために婚約パーティーか何かを開くと思っているんだが?」

 

「はい。そうなるでしょうね」

 

やはりな。悪魔・・・・それも格式が高いとなるとそういう行動は早いからな。だからこそ、俺にとっては都合がいいんだ。

 

「いつだったかわからないけど、日本のドラマで結婚式に乱入してお嫁さんをかっさらっていくってのがあるんですよ。それがまた中々俺好みの展開で・・・・素敵だと思いませんかルキフグスさん?」

 

「あなた・・・・まさか」

 

「言っておくけどやるのは俺じゃないよ。その役目はイッセーだ。ただ、あの様子じゃイッセーは目を覚ますには時間がかかるだろう」

 

戦いの最中でイッセーはとっくに意識を失っていた。あれだけの消耗となると、怪我を直しても目覚めるには二日はかかる。おそらく婚約パーティーには出席できない。

 

だからこそ・・・・ルキフグスを、そして魔王ルシファーを利用させてもらう。

 

「・・・・何が言いたいのですか?」

 

「それはもう察してくれてるんじゃないですか?本当に部長の味方でいてくれるのならやるべきことはわかってるでしょう?魔王ルシファーも部長に味方してくれるでしょうし・・・・・もちろん俺も色々とやらかせてもらうしね」

 

「はあ・・・・大問題になるとわかっているのですか?彼女はともかくとして、人間であるあなたが首を突っ込んでしまえばただではすみませんよ?」

 

「大丈夫ですよ。いざとなれば俺の保護者の名前を出しますから」

 

あのひとは世話にはなったけどそれ以上に迷惑かけさせられたからな。少しぐらい返してもらってもバチは当たらないだろう。

 

・・・・まあ、そうなった場合一部の事情を説明しないといけなくなるだろうけど。その時はその時だ。

 

「というわけで、その件はひとまずルキフグスさんに任せるとして、そろそろ帰らせてもらってもいいですか?早く帰って寝たいんで」

 

「お嬢様達に何も言わずに帰るのですか?」

 

「今日のところは何も言いませんよ。今、俺なんかに慰められたところで余計に惨めな思いをさせるだけでしょうし」

 

一応とは言えアドバイスを受けて、それを全然生かせてなかったからな。向こうとしても今は俺と合わせる顔はないだろう。

 

「・・・・気を遣えるのですね」

 

「これでも紳士なところもありますのでね。それよりも、早くここから出してください」

 

「わかりました」

 

ルキフグスが返事を返すと、魔方陣が展開されて俺を飲み込む。次の瞬間には、俺はオカ研究の部室にいた。部長達の姿はまだない。

 

「それじゃあ俺はこれにて・・・・また後日、ルキフグスさん」

 

「・・・・ええ」

 

俺はルキフグスに背を向け、手をヒラヒラと振ったあとに家へと帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、結局グレモリー達は負けたの」

 

家に帰ってきた俺は、どうやら俺を待ってまだ起きていたレイナーレにレーティングゲームの顛末を説明した。

 

「ああ。まあ、それに関しては予想通りだ」

 

「随分とドライな反応ね」

 

「予想通りだから仕方がないだろ。あ、そうそう。アーシアは怪我してないからそこのところは安心していいぞ?」

 

「別に聞いてないわ」

 

と、言いつつもどこかほっとしたように安堵の表情を浮かべているあたり、心配してたんだろうなぁ。

 

「そんなことよりも、一応あなたとしては負けてくれた方が都合が良かったんでしょう?これからどうするつもりなのよ?」

 

「ん?まあちょっと・・・・近日中に開催される婚約パーティーに潜り込んでレイヴェルに接近しようかなと思ってね」

 

「どこがちょっとよ・・・・それ冥界に行くってことでしょう?人間であるあなたにそんな権限あると思っているの?」

 

「まあないだろうな。だが、それに関しては考えがあるから大丈夫だ」

 

「・・・・・おおかた幻術を使って潜り込むつもりなんでしょう?」

 

レイナーレは俺にジト目を向けながら聞いてくる。

 

「んー・・・それでもいいんだけどねぇ。今回はその必要なさそうかな」

 

「どうして?」

 

「まあ色々あるんだよ。説明すると長くなりそうだから省くけど」

 

「そう。ならいいわ」

 

気にはなっているだろうが、詳しくは聞いてこないレイナーレ。そういう聞き分けの良さは個人的に好感触だな。レイナーレに対する好感度アップだ。

 

「じゃあ、そのうなじ女を落とす算段はついてるの?」

 

「それについてはまあ多分大丈夫だ。なんか既に攻略ほぼ完了してるみたいだし」

 

「・・・は?」

 

「いやぁ、なんかあの子俺に惚れちゃってくれてるみたいでさぁ。もう本当に嬉しいったらないわ~」

 

まさか一回会っただけでああとはな・・・・・これは嬉しい誤算だ。今後色々とやりやすくなる。

 

「はあ・・・・あなたなんかに惚れてしまうなんて不憫な女ね。まあ、別に構わないけれど」

 

「まあ確かに不憫だな」

 

「自分で言うのね・・・・・さて、話も聞けたし寝るわよ。今日は一緒に寝させてもらうけれどいいわよね?」

 

「え?そりゃ構わないけど・・・・突然どうした?」

 

「最近夜冷えるのよ。湯たんぽがわりにしてあげるわ」

 

いやいや、冷えるって・・・・そうでもないと思うんだが?

 

あ、まさか・・・・

 

「・・・・レイヴェルの話聞いてちょっと妬けちゃった?」

 

「黙らないと二度と口が開けないようにしてやるわよ?」

 

「ごめんなさい」

 

どうやら図星であったらしい・・・・なんというかもう可愛いわホント。

 

「それじゃあ俺の部屋のベッドにレッツゴー!」

 

「何よその変なテンション・・・・」

 

変で結構。それもこれもレイナーレが可愛いのがいけないんだからな。

 

 




どんなに幻術を扱うすべに長けていようとも朧は人間らしい人間です

なので、見たくないものを無理してみようとしません

主人公ですが・・・・物語の主人公っぽくはありませんね

それでは次回もまたお楽しみに!
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