ハイスクールD×D ~それは現か幻か~ 作:DDX
レイナーレは出ませんが・・・・
それでは本編どうぞ
「うわぁ・・・・・・暗っ」
レーティングゲームが終了して一夜明け、グレモリーに呼び出された俺はオカ研の部室に訪れたのだが・・・・そこはまるでお通夜みたいにどんよりとした雰囲気に包まれていた。まあ、理由はわかるけども。
「朧・・・・・わざわざ呼び出してしまってごめんなさい」
「いや、それは別に構いませんけど。というか部長大丈夫・・・・・なわけないですね」
だってすっごい落ち込んでるって見ただけでわかるもん。なんか痛々しくて見てるのも辛くなるレベルだし。他の皆も同じような感じだし・・・・・まあ、一人欠けてるけど。
「アーシア、イッセーはまだ目を覚まさないか?」
「はい・・・・傷は治したんですけど」
「まあ、あのゲームで体力の限界を超えるぐらい消耗しちまっただろうからな・・・・今は休ませておくに限るだろう。多分今日明日にでも目を覚ますだろうからな」
「そう・・・・ですね」
随分とまあ浮かないな。まあ仕方がないか。治癒の力で傷を治せてもイッセーは目を覚まさないからな・・・・優しいアーシアのことだから抱え込む必要のない責任まで抱え込んでしまったのだろう。そういうところはアーシアの美点ではあるが、同時に欠点でもあるな。
「それで?どういう要件で俺を呼んだんですか?もしかして、明日にでも冥界で婚約パーティが開かれるからそれに行ってくる的なことですか?」
「・・・・どうしてそれを知っているの?」
「あ、やっぱりそうなんですね。そんなことだろうとは予想していましたが・・・・さすが上流の悪魔だ。仕事の早いことで」
「ええ・・・・全くね」
「やっぱり納得いきませんか?だとしたら・・・・・あなたは勝つべきだった。たとえどんな手を使ってでもね」
そう言いながら、俺は姫島と塔城の方に目配せをした。二人共、それを意味することをわかっているのか、気まずそうに俺から視線を逸らす。
「あなたの言うとおりかもしれないわね。正直、私は甘く見ていたわ。ライザーとその眷属がどんなに強くても負けはしないって。それだけの覚悟と思いで挑んだから・・・・」
「それが既に間違ってるんですよ」
「え?」
「覚悟と思い?それで勝てたら苦労なんてしない。気持ちなんて勝敗に大した影響を与えませんよ。それで勝てると思うだなんて甘えでしかないですよ」
「っ!?」
おいおい・・・・・そんなわかりきったことで何たじろいでるんだよ。ほんと甘ちゃんだな。
「朧くん・・・・そんな言い方はないんじゃないかな?部長の気持ちを少しは汲もうとは思わないのかい?」
木場が俺に突っかかってくる。主のためにか・・・・騎士らしいねぇ。やっぱ俺とは合わないわ。
「思ってるよ。だが聞くが・・・・・ここで優しい言葉をかけるのが気持ちを汲むってことなのか?だとしたら残酷な優しさもあったものだな」
「なっ!?」
「確かに優しい言葉は慰めにもなるだろう。それこそ、イッセーなら優しい言葉で慰めるんだろうけど・・・・・俺はそういうの性に合わないんでね。現実を突きつけて、突き落とす。それぐらいで俺はちょうどいい。そもそもの話、俺は部長達と知った仲ではあるけど別に眷属でも仲間でもないんで本来はその義理さえないんだけどな」
「・・・・・・」
ぎりっと噛み締めながらも、何も言ってこない木場。俺の言ってることに納得してしまったんだろう。でも・・・・・納得したからって食い下がるなんて随分と聞き分けのいい甘ちゃんだな。
「でもまあ・・・・そうだな。あえて、思いや覚悟といったものが勝敗に影響すると仮定するとして・・・・・だとしたらそれでも勝てると思うのはおかしい話だよ」
「・・・・どういうこと?」
「部長・・・・まさか自分だけが思いを抱いているとでも本当に思っているんですか?自分の思いだけが全てだと本当に思っているんですか?ライザーの思い・・・ないがしろにしてません?」
「ライザーの?」
「ライザーだって覚悟や思いを抱いてレーティングゲームに臨んでいたとは思わないんですか?ライザーはあなたのことを本気で好いていて、だからこそ相応の覚悟と思いを持ってレーティングゲームに挑んでいた可能性だって十分にあるんですよ?それを考慮していたんですか?」
「・・・・・・」
俺の言い分に何も言い返すに黙り込むグレモリー。
まあ、実際のところライザーがどんな覚悟や思いを抱いていたかだなんて知ったことじゃないんだけどな。でも、戦いってのは相手のそういうものを台無しにするためのものでもある。それを理解できているといないとでは全然違う。それが学べたのなら・・・・まあ俺の偉そうな説教も無意味ではないというところだろう。
「とまあ、説教じみたこと言うのはここまでにしましょう。とりあえず俺を呼んだ要件が婚約パーティのことだとして、それって冥界でやるんですよね?準備やらなんやら考えると今日中に出発するんですか?」
「・・・・そうよ」
「そうですか・・・・・一応聞きますけどそれって俺出れないんですよね?」
オカ研に所属しているとはいえ人間である俺にそんな権利無いだろうし。
「ええ・・・・・だけれど朧にはゲームのことで色々アドバイスをもらったから、話しておくのが筋だと思ったの」
「そうですか・・・・・そう思ってくれてるなら嬉しくはありますね。ともかくまあ、こうなってしまったからには仕方ないですし、大人しくパーティーに参加してなるがままに受け入れるのがいいと思いますよ?」
「・・・・・わかってるわ」
わかってるねぇ・・・・・だったら少しは元気出せよな。見てるこっちの気が滅入るっての。
「さて、用はもう終わりましたよね?俺はもう帰りますよ。買い出ししないといけないんで」
「そう・・・・わざわざ来てくれてありがとう朧」
「いえいえ、お気になさらずに。それでは俺はこれで・・・・・ああ、そうだ。帰る前に一つ」
本当は期待させるようなことは何も言うつもりはなかったんだけど・・・・・流石に痛々しすぎるし、ちょっと厳しいことも言ってしまったからな。だから一つだけ・・・・・。
「希望を捨てるのはあるいはまだ早いかもしれませんよ」
「・・・・え?」
「それでは皆さん、ごきげんよう」
俺の言った言葉の意味が全くわからないといった様子の部長を横目で見ながら、俺は部屋から出ていった。
「おろ?これはまた・・・・」
俺が旧校舎から外に出ると、そこにソーナ・シトリーがいた。
「部長達に会いに来たんですか生徒会長?」
「いいえ・・・・私がここに居るのはあなたに用があるからです」
「俺に用・・・・ね。俺がここにいるってのは部長から聞いたんですか?」
「違います。リアスならあなたを呼んで話をすると思ったので」
「なるほど」
それで帰るところを待ち伏せてたということか・・・・グレモリーに聞いたわけじゃないてことはシトリーは自分の意志でここに居るということ。となると要件は・・・・おおよそ察しがつく。まあ、一応聞くけどさ。
「それで?俺に用とはなんですか?」
「・・・・・お願いします。あなたの力でリアスを助けてください」
やっぱりそれか。まあ確かに俺の幻術ならば婚約パーティを台無しにして、あわよくば有耶無耶にすることはできなくもないだろう。
だがまあ・・・・・答えは決まっている。
「お断りします」
そんなの断るに決まっている。受ける理由がない。
「確かに無茶なことをお願いしているということは承知しています。あなたにとってリスクがあまりにも高い・・・・ですが、もうあなたに頼るしか・・・・」
「そういうことじゃないですよ」
「え?」
「俺にとってリスクが高い?正直リスク程度ならどうとでもなりますよ。ただ、俺が断った理由はそれとは関係ない。単純に・・・・あなたの頼みを聞く義理はないし。益もないってことですよ」
シトリーの頼みを聞き入れる理由なんて俺には一切ない。だったら断って当然だろうが。
「義理もなければ益もないんじゃ頼みを聞く必要はないでしょう。俺はそこまでお人好しじゃないんでね。ただまあそうだな・・・・・生徒会長が俺の唇に熱い口付けを落としてくれるというのなら考えてあげなくもないですよ?」
まあ、これぐらい言っておけば諦めるだろう。親友の嫁入りを阻止するためとはいえ、流石に俺なんかにそんことしたくはないだろうし。
「それでリアスを助けてくれるというなら」
「・・・・は?」
だが・・・・シトリーの口から紡がれた言葉は俺にとって予想外のものであった。この女は・・・・親友のために俺に唇を捧げるというのだ。
シトリーは俺に近づき、顔を上げて俺を見つめる。その表情からは確かな覚悟が感じられた。そして・・・・踵をあげ、俺に顔を近づけてくる。
・・・・ああ、気に入らないな。
「・・・・前言を撤回します」
「え?」
「あなたからの口付けなんていりません。だからやめてください。ああ、ついでに以前言ったハーレムに入れたいってのも撤回しましょう。あなたのような女は・・・・俺のハーレムにはいりません」
頼みを聞いてもらう代わりに唇を捧げるだなんて・・・・自分で言っといてなんだが正直ノーサンキューだ。ハーレムにだっていらない。
そういうことは・・・・好きな人にするのが、してもらうのが一番に決まっているだろうが。それなのに理由があるとは言え好きでもない奴にしようとするとか正直気が引ける。
「だったら・・・・だったらどうしろというのですか?どうすればあなたは・・・・リアスを助けてくれるんですか?」
「別にどうする必要もありませんよ。あなたは何もしなくていい。何をしようとも・・・・俺はあなたの頼みを聞くつもりはありませんから。なので無駄なことを考えるのはもうやめてください」
「でも・・・それでも私は・・・・!」
どうしても諦めきれないといった様子で、俺の手を掴もうとするシトリー。だが、その手が俺の手を掴むことはない。なぜならそこにはもう俺はいないのだから。
「ッ!?これは・・・・幻術?」
あったはずの俺の姿がないことに、シトリーは驚きを顕にするが、それがすぐに幻術であることに気がついたシトリーは辺りを見渡して俺を探す。
だがまあ、俺を見つけることなどできはしない。俺は今、幻術で姿をくらませているんだからな。
「そん・・・な」
シトリーにとっては俺が最後の希望だったのだろう・・・・それが失われたと判断して、シトリーは呆然としていた。
そんなシトリーから視線を外し、俺はその場をあとにした。
『彼女・・・・そうとうグレモリーのこと大切に思っていたようね』
そうだな。本当なら、シトリー自身が助けたいと思っていただろう・・・・だが、シトリーにも立場があるからな。それができないことだって嫌でも理解してしまっているんだろう。
『頭がいいからこそ、先の事を考えて自分では踏み出せない。だから朧に頼る・・・・そういうエゴは好きなのだけれどね。その上で聞くけれど・・・・朧、あなたは彼女の頼みを聞く気は一切ないのね?』
当然だろ。さっきも言ったようにシトリーからの頼みを聞く理由なんてない。というよりも、そもそもの話頼まれようが頼まれなかろうが・・・・俺にすることに変わりはないんだしな。
『うふふふっ・・・・そうね。だってあなた、彼女からの頼みはきっぱり断ったけれど、別に助けないだなんて一言も言ってないものねぇ』
・・・・・俺が動くのはあくまでも自分のためだ。ただレイヴェルが欲しいからいろんなものを利用するにすぎない。その過程で誰を助けることになって、誰を陥れることになってもな。
『そう。じゃあ、もしもイッセーちゃんが明日までに目を覚まさなかったら?』
・・・・そうなったらまあ、レイヴェルのついでになるが助けることになるかもしれなくもない・・・・かな。一応縁もあるわけだし。
『甘ちゃんね~』
ほっとけ・・・・たくっ、本当にお前には敵う気がしない。
『当然よ。私を誰だと思ってるのよ』
わかってるよ。あらゆるものを嘲笑い、弄んだ幻龍・・・・だろ?
朧は今回嘘はついてません
ただ、助けに行くつもりはあっても、それを言ってないだけです
それでは次回もまたお楽しみに!