ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

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今回とうとう婚約パーティーの会場に殴り込みをかけます。

その前にちょっとありますけどね。

それでは本編どうぞ!


第31話

魔法陣で転移された俺とイッセーは、だだっ広い廊下にいた。おそらく婚約パーティーの行われている屋敷の中なのだろう。

 

「ここが冥界か・・・・屋敷の中だからってのもあるがあまり実感はわかないな」

 

正直もっと重苦しいというか・・・・・不快な空気が漂っていると思っていたが、そうでもないし。

 

「確かに・・・・というか朧は冥界に来たことはなかったのか?悪魔の保護者がいるのに」

 

「無いに決まってるだろ。保護者が悪魔だからって俺は一応は人間なんだ。易々と冥界に来ていいわけないだろう」

 

正直来たいとも思った事はこれまでなかったがな。俺の人生をめちゃくちゃにしやがった悪魔と堕天使の世界になんて来たいと思うわけがない。

 

「というより、それはどうでもいいだろ。こんな事話にここに来たわけじゃないんだから」

 

「と、そうだったな。パーティーは・・・・向こうの扉の奥か?」

 

「だろうな」

 

イッセーの視線の先にはやたらと大きな扉があった。扉の奥からはガヤガヤと声が聞こえてきているので、まず間違いなくパーティー会場はその部屋で行われているのだろう。

 

「よし、それじゃあ行こう朧」

 

「ちょい待ち」

 

パーティー会場に乗り込もうと扉の取っ手に手をかけるイッセーに、俺は待ったをかけた。突入する前に、はっきりさせたいことがるからだ。

 

「なんだ?」

 

「・・・・確認しておくが、自分がこれからしようとしていることの意味を、お前は本当にわかっているのか?」

 

「わかってるさ。私はライザーから部長を取り返す。部長の家とライザーの家にはすっごい迷惑をかけることになるだろうけどそれでも私は・・・・」

 

「そうじゃない」

 

「・・・・え?」

 

「俺の言っているのはそういうことじゃない。ある意味ではもっと大事なことだ」

 

正直、グレモリー家とフェニックス家に迷惑がかかる云々のことは割とどうでもいい。俺には関係ないからな・・・・・レイヴェルは思うところがあるかもしれないが。

 

俺が気にしているのは・・・・・イッセー自身のことだ。

 

「誤解されたくないから最初に言っておくが、俺はお前のことを肯定しているし、好ましいと思っている。だがな、お前がこれからやろうとしていることは根本から間違っているんだ」

 

「根本から・・・・間違っている?」

 

「ああ。女が男から婚約者である女を奪う・・・・・・・それは性別上間違った行為だ。お前が部長を慕っているのならなおさらだ。そんなことをすれば、お前は悪魔共から白い目で見られることになるかもしれない」

 

同性愛者ってのは往々として受け入れがたい存在だ。そのあり方は、生物としての生産性を損なっているんだからな。周囲の者達の多くは快く思わないだろう。

 

「お前はそれを理解した上でその扉を開くのか?理解した上で・・・・代償を払ってまで部長を奪い返そうっていうのか?」

 

自分でも酷いことを聞いていると思っている。こんなところでこんなことを聞けば、決心が鈍ってしまうかもしれないのだから。それでも・・・・だからこそ俺は親友として、今ここで聞かなければならないんだ。イッセーにその覚悟があるかどうかを。

 

「朧・・・・ありがとう。私のこと心配してくれてるんだな」

 

イッセーは微笑みを浮かべながら言葉を紡ぎ始める。

 

「でも、大丈夫だよ。その覚悟は出来てる・・・・というより、はっきり言ってそれは今更すぎる」

 

「なに?」

 

「そんな覚悟は、こういう生き方をしてる時点で、女なのに女に好意を寄せてしまっている時点でとっくにできていたんだ。自分の生き方が間違ってるだなんて重々承知してる。もっと言えば、将来的に自分が男に惚れてしまって、今の生き方を自分で否定して後悔する可能性があるってことだって私は覚悟してるんだ」

 

「イッセー・・・・・」

 

「それでも・・・・それでも私はこの扉を開く。この扉を開いて部長を奪い取る。それが今の私の望みだから。覚悟が出来てる以上、先の後悔なんて知ったこっちゃないから」

 

イッセーは俺を真っ直ぐに見据え、微笑みを崩すことなく言い切ってみせた。

 

ああ・・・・・俺はなんて馬鹿だったんだ。俺は親友であるイッセーを侮っていた。イッセーはそれを承知の上で、覚悟の上でその生き方を選んでいたんだ。その生き方を謳歌していたんだ。俺なんかに言われるまでもなく・・・・・イッセーはもう至ってしまっていたんだ。

 

もしもの時はイッセーには引っ込んでもらって全部自分でやっちまおうと思ってた自分が滑稽でしかない。

 

『とんだ道化ね。気を使ったつもりが、逆に思い知らされるだなんて』

 

全くだ。お前の言うとおりだよラム。俺は今、自分が自分で恥ずかしく感じる。

 

だが・・・・同時に誇らしくもあるよ。こんな最高に面白い奴を親友に持てたんだからな。

 

「そっか・・・・わかったよ。悪かったな。出鼻くじくような真似しちまって」

 

「全くだ。この償いはいつかしろよ?」

 

「はははっ、了解。それじゃあ・・・・行こうぜイッセー」

 

「ああ」

 

俺とイッセーは取っ手に手を掛け、そして扉を開け放った。中にはいかにもな服装に身を包んだ悪魔共が大勢いる。

 

つうか何この会場、広すぎるんだけど?いくらなんでもやりすぎだろ。見栄はってるようにしか見えねぇ。これだからお偉いさんは嫌だねぇ。

 

「部長ォォォォォォ!!」

 

俺が呆れていると、イッセーが大声で叫びだした。その視線の先には、深紅のドレスに身を包んでいるグレモリーの姿がある。ついでにその近くにはあんまし似合ってないタキシード着たライザーも。

 

「お集まりの上級悪魔の皆さん!それに部長のお兄さんの魔王様!私は駒王学園オカルト研究部の、リアス・グレモリーさまの兵士(ポーン)の兵藤一誠です!この度、私の(キング)を取り戻しに参りました!」

 

会場中の悪魔の注目を一身に受けながら、イッセーは宣言してグレモリーに歩み寄っていく。

 

「ライザー!お前に部長は渡さない!部長の・・・・部長のハジメテ♥は私のもんだァァァァ!!」

 

「ぶふぉっ!?」

 

それを聞いて、俺は思わず吹き出してしまった。

 

『ハジメテ♥は私のもん』って・・・・スゲェよイッセー。覚悟は出来てるって聞いたけどそんなことまで言い放つだなんて思わなかった。控えめに言って最高だお前。

 

『うふふふふ・・・・・いいわね朧。あんな面白い親友を持つあなたが羨ましくてたまらないわ』

 

はははっ。そうだろうそうだろう。羨ましいだろうラム?

 

「何のつもりだ!ここをどこだと思っている!」

 

イッセーを止めようと、衛兵が手を伸ばす。だが、衛兵がその手で掴んだのは、パーティーに出席している悪魔の肩であった。

 

「貴様!何をしている!」

 

「なんだその口の聞き方は!恥を知れ!」

 

「ぐっ!?」

 

気を悪くした衛兵は、その悪魔に殴りかかる。

 

あ~あ・・・・相手は結構なお偉いさんだろうに。この衛兵下手したらクビになるんじゃねえか?まあ別にいいけど。この衛兵が・・・・いや、この()()()がどうなろうと知ったことではない。

 

「くくくくっ・・・・あはははは」

 

俺はその光景を見て思わず笑い声を上げてしまった。こんなに愉快なこともそうそうないのだから仕方がないだろう。

 

俺の視界に映るのは、衛兵達がパーティーに出席している悪魔に無礼を働いている姿であった。ある衛兵は殴りかかり、ある衛兵は拘束し、ある衛兵はカンカンに怒っている悪魔からの反撃をくらって吹っ飛んでいる。

 

もちろんこれは・・・・俺がしくんだことだけどな。

 

「容赦がないね朧くん」

 

俺が楽しく悪魔共が乱闘する様を見ていると、白いタキシードを着ている木場が声をかけてきた。さすがイケメン・・・・・様になってやがるもげろ。

 

「・・・・朧先輩、一体何をしたんですか?」

 

今度はドレスを着た塔城が声をかける。これまた可愛らしいな・・・・・可憐さ4割増といったところか。

 

「大したことはしてないさ。ただちょっと衛兵達に近くにいる悪魔がイッセーに見えるようになる幻術をかけただけだ。もちろん本物のイッセーの姿を見えないようにした上でな」

 

流石に会場中全員となると俺でも骨が折れるから衛兵だけにしたけで十分効果的だな。本当、こういう時幻術ほど便利な力はないと思う。

 

「それはまたえげつないですわね」

 

俺がしたことを説明すると、豪華な和服を着た姫島が反応を示す。えげつないという割には、顔に笑が浮かんでるあたりこのひとも大概だと思う。

 

「えげつない?これぐらい手ぬるいですよ。もっとやばい作戦考えてたんですから」

 

幻術でドデカイ麽獣出したりドラゴン出したりな。それに比べればこんなのまだ手ぬるい方だ。怪我人は出るかもしれんけど流石に致命傷にはならんだろうし。

 

「「「鬼畜ね(だね)(ですね)」」」

 

「うん。俺鬼畜だよ?ベッドの上では特にね。まあちゃんと愛でるけど」

 

あ、言った瞬間3人とも引きやがった。助けに来た奴相手にそれはないだろおい。

 

まあいいか。そんなことよりも・・・・・俺もいい加減本命の目的を果たすとしますか。

 

「あ、いたいた」

 

会場中を見渡して、俺は目当ての悪魔を見つけることができた。部長助けるのはほぼ建前・・・・俺は彼女に会いにここに来たんだ。

 

「衛兵達にかけてる幻術解きますんであとはよろしくお願いします。まあ、今更解いたところで乱闘は収まらないでしょうから問題はないと思いますが。俺はちょっと用があるので失礼」

 

衛兵達にかけていた幻術を解いて、俺は彼女に近づいていく。後ろ方3人が何か言ってるのが聞こえるがどうでもいい。

 

ああ、会いたかった・・・・・やはり君のうなじは麗しい。

 

「やあ。久しぶりだねレイヴェル」

 

「・・・・朧様」

 

彼女・・・・レイヴェルに笑顔で声をかけると、レイヴェルは複雑な心境を抱いていそうな表情で俺の名前を口にした。




うちのイッセーは自分の恋愛観や生き方に関して結構真剣に考えています。

自分が異常だとも自覚していますが、その上で百合百合してるのです。

朧もイッセーのそういうところも気に入ってますしね。

それでは次回もまたお楽しみに!
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