ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

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今回は朧視点とイッセー視点でお送りします

それでは本編どうぞ


第54話

『朧・・・・・言ってもいいかしら?』

 

なんだよ?

 

『女の子二人に置いていかれるだなんて・・・・・流石にかっこ悪いわよ?』

 

わかってるよこんちくしょう!

 

先程、意気揚々と敵と邂逅したイッセーたちの下へと駆け出した俺とクァルタ、紫藤であったが・・・・・俺の走力が二人よりもはるかに劣っていたため置いていかれてしまった。

 

いや、うん・・・・・しょうがないよね。だって俺の身体能力並の人間よりちょっといい程度なんだから・・・・・鍛えられた教会の戦士に追いつけるわけないし。

 

『まあ幻術を使った戦闘に身体能力の善し悪しは二の次だから幻術使いとしては問題ないとは思うけれど・・・・・男としてはやっぱりかっこ悪いわね』

 

うるせぇ、俺だってそれなりにショック受けてるんだからそれ以上傷をえぐるな。

 

ともかく、イッセー達の下に急がないと・・・・・・

 

「ストップよ朧?」

 

「・・・・・へ?」

 

突然、背後から不機嫌そうな聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 

声のする方へと恐る恐ると振り返ると・・・・・・

 

「そんなに急いでどこへ行こうというのかしら朧?」

 

ニコリと黒い微笑みを浮かべるリアスの姿があった。そのすぐ近くにはシトリーもいる。

 

『朧、前からちょくちょく思っていたのだけれど、あなたって結構運無いわね♪』

 

楽しそうに言ってんじゃねぇよラム。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く・・・・・エクスカリバーの破壊だなんてあなた達は」

 

「本当に困った子達ね」

 

私たちは部長と会長に近くの公園に連れてこられ、噴水の前で正座させられています。

 

先程まで私たちはイカレ神父のフリードと戦っていた。だが、その戦いの最中、聖剣計画の首謀者であるバルパー・ガリレイが現れ、フリードはバルパーを連れて撤退してしまった。そして、その二人のあとを木場と、加勢にやってきたゼノヴィアとイリナが追っていくのを見て私が悪態をついていた時に・・・・・朧の首根っこを掴んだ部長と会長に見つかってしまったというわけだ。

 

現在、私と朧、小猫ちゃんは部長から、匙は会長から説教を受けている。

 

「まったく・・・・・それで、祐斗はそのバルパーを追っていったのね?」

 

不機嫌な表情の部長が私に尋ねてくる。

 

「はい。ゼノヴィアとイリナも一緒だと思います。でも、何かあったら連絡はしてくるとは思うので・・・・」

 

「復讐の権化となった祐斗が連絡をよこすと思っているのかしら?」

 

はい、ごもっともです。やっぱり連絡してこない可能性のほうが高いだろうなぁ・・・・

 

「小猫・・・・あなたまでどうしてこんなことを?」

 

部長は次に小猫ちゃんに視線を移した。

 

「・・・・・祐斗先輩がいなくなってしまうのは嫌です」

 

小猫ちゃんは悲しげな表情で正直な気持ちを部長に告げる。その言葉を受け、部長は怒るというよりはどこか困惑している様子だ。

 

「朧・・・・あなたはどうかしら?」

 

「俺は木場に復讐を果たさせたいと思ってます。リアス部長以上に・・・・・木場の苦しみはわかっているつもりなので」

 

「・・・・・」

 

淡々と語る朧に、部長はむっとしたように眉を潜ませた。自分以上に木場のことがわかっているという朧の言葉に思うところがあるのだろう。

 

「過ぎたことをとやかく言っても仕方がないわね。けれど、あなた達の行動が世界に大きく影響を与えてしまう可能性も十分にあったということはしっかりと理解して反省なさい」

 

「「・・・・はい、ごめんなさい」」

 

「・・・・・・」

 

私と小猫ちゃんは素直に謝罪の言葉を述べたが、朧だけは何も言わずに黙っていた。

 

「朧、返事をしなさい」

 

「・・・・・すみませんでしたリアス部長」

 

「はあ・・・・まあいいわ」

 

渋々といった様子で謝罪する朧。少々失礼な態度だと思ったけれど、部長は呆れながらもそれを許した。

 

朧・・・・・お前は一体なにを思っているんだ?

 

「匙・・・・どうやらあなたには反省が必要なようね」

 

「ゴメンなさいゴメンなさい!許してください会長!」

 

「ダメです。罰としてお尻を千叩きです」

 

「イタァ!?」

 

私達が部長から説教を受けている一方で、匙は会長から折檻を受けていた。

 

魔力の篭った手で匙の尻を叩く会長・・・・・あれは痛そうだ。物理的にも精神的にも。この歳で尻叩きだなんて恥辱でしかないからな。

 

「イッセー、余所見しない」

 

「は、はい!すみません!」

 

匙たちの方に意識が向いてしまっていた私に、部長の檄が飛んできた。

 

「祐斗については使い魔に捜索を任せているわ。見つかり次第、皆で迎えに行きましょう。あとのことはそれから考えるわ。まあ、ともあれ・・・・・」

 

部長は私と小猫ちゃんを引き寄せ、優しく抱きしめながら頭を撫でてきた。

 

「あなたたちが無事でよかったわ。本当に心配ばかりかけて・・・・馬鹿な子達ね」

 

優しい声で、部長は私たちの無事を喜んでくれていた。部長の温もりが私と小猫ちゃんを包み込む。

 

「朧・・・・・あなたも何事もなくて良かったわ」

 

私たちのことを抱きしめたまま、部長は朧に視線を向けながら言う。

 

「そういう気配りは自分の眷属だけに振りまいてくださいよ。確かに俺はオカ研メンバーとしてあなたたちに協力していますが・・・・・俺なんかを気遣うなんて、無駄な労力ですよ」

 

「またあなたはそんな・・・・・」

 

部長の自身に対する気遣いを無用だと断ずる朧。朧のことだから、意識してそうやって壁を作っているのだろうが・・・・・どうして、そんな風に壁を作っているのだろう。

 

「話が終わったのなら俺はこれで失礼しますよ。やることがあるので」

 

「・・・・・やることっていうのはなにかしら?」

 

「クァルタと紫藤の二人と交わした協定はまだ生きています。彼女たちを探して任務に協力します」

 

どうやら朧は部長の説教を受けてなお、退くつもりはないようで、聖剣破壊計画を続行するつもりのようだ。

 

「ダメよ。そんな勝手許さないわ」

 

「あなたが許す許さないだなんて関係ありませんよ。先程はリアス部長の顔を立ててあえて捕まりましたが、元々俺はあなたの眷属でもなければましてや悪魔でさえない。俺は人間としてあの二人と協定を交わした・・・・・それに関して口出しされるいわれはありません」

 

「それ・・・は」

 

朧の言い分に、部長は反論しなかった・・・・いや、できなかったのだろう。いくら協力関係にあるとしても、朧はやはり私たちとは根本が・・・・種族が違う。朧に命令を下す権利は、部長には無い。

 

けど・・・・だけど・・・・

 

「ただまあ、一応必要なことは言っておきます。この件に関しては人間『現世朧』が個人的な理由で介入しているので、リアス部長たちに過度な迷惑をかけることはありません。世界に対する影響もさほどないと思いますので、その辺りの心配は無用です」

 

「・・・・それは屁理屈というのではないかしら?少なからずあなたは私たちと縁を築いているのだから・・・・・完全に無関係とはいかないわよ?」

 

「それでも無関係を貫ける可能性は高いでしょう。何を言われてもあなた達は俺が勝手にやったといえばいいのですから」

 

つまり、いざという時は自分を切り捨てろと朧は暗に示唆しているのだろう。

 

私たちを思ってそう言ってくれてるとは思うのだけれど・・・・・私は朧のその気遣いを悲しく感じられてしまう。

 

「それと、もう一つ言っておきますが・・・・・万が一の時は木場の命は可能な限り保証します。俺の幻術ならばもしもの場合は木場を逃がすことぐらいはできると思いますので・・・・もっとも、木場次第のところもあるので必要以上に期待されても困りますが」

 

朧は木場の身も案じてくれていた。いざという時は木場を逃がそう考えているようだ。

 

「朧・・・・お前、どうしてそこまで?」

 

何が朧をそこまで駆り立てるのか・・・・自分への気遣いは無用だと言いながら、なぜ私達を気遣うのか、私は尋ねてみる。

 

「・・・・・ただの私情だよ。それ以上も以下もない」

 

返ってきた朧の答えは・・・・・実にあっさりしたものであった。けれど、そのあっさりした答えは、これ以上ないほどにしっくりしていた。

 

朧は自分勝手なお人好しだ。朧は否定するだろうが、朧の行動の多くは誰かの為の私情で占められている。そして今回もまた・・・・・そういうことなのだろう。

 

馬鹿だと思った。けれど同時にすごいとも・・・・羨ましいとも思った。私も朧みたいに、自分だけで責任を背負ってしまえるようになりたいと・・・・私は心から思った。

 

「それじゃあ、俺もう行くから。またなイッセー。それとリアス部長と小猫ちゃんも」

 

手をひらひらと振り、ニッと笑みを浮かべながら朧はその場を去っていく。そんな朧の背を、私はただただ見つめることしかできなかった。

 

朧・・・・・死ぬなよ。

 

「会長!十分に反省しましたから許してください!」

 

「ダメよ。あと960回ね」

 

匙・・・・お前も尻が死なないように気張れよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーたちと別れた後、俺は一端自宅に帰ってきていた。

 

うん・・・・あんなふうにイッセー達と別れておいて家に帰るだなんてカッコ悪いってのはわかってるよ。だけど、コカビエルを探す前にレイナーレの夕食を作っておかないとだから。

 

「よし、完成。レイナーレ、夕食は作っておいたぞ。俺はもう行くから」

 

「私の夕食を作るために帰ってきてくれたのは嬉しいけれど、忙しないわね。もう少しゆっくりしてから行ったらどう?夕食だった朧の分はないし」

 

レイナーレの言うとおり、夕食は俺の分はない。机の上に置いてあるのはレイナーレの分だけだ。

 

「俺の分はいいんだよ。味見とかでそこそこ腹に入れてるから。それよりも、一刻も早くコカビエルを探したいんでね」

 

ようやく奴らが接触してきたというのに、俺はその場に居合わせることができなかった。せっかくコカビエルの足取りを掴むチャンスだったのに・・・・・それを取りこぼしてしまった。

 

あの時リアスと会ってさえいなければ・・・・・いや、リアスと会っていなくとも、俺が着いたときには既にフリーどもバルパーも去ってしまったあとだっただろうけど。

 

ともかく・・・・・今頃は木場たちは交戦しているかもしれない。その場にコカビエルも現れるかもしれない・・・・早く探さないと。

 

「それじゃあ行ってくるよ。遅くとも0時には帰ってくるようにするから」

 

「・・・・待って朧」

 

「ん?」

 

俺が出ていこうとすると、レイナーレが引き止めた。

 

「どうしたレイナーレ?」

 

「・・・・・私も行くって言ったらどうする?」

 

私も行くって・・・・

 

「何言ってるんだよレイナーレ。それじゃあお前の存在が露呈しかねないだろ?レイナーレは来なくていいから、ここで待ってな」

 

「わかってるわよ。ちょっと言ってみただけだから。わざわざ危険を冒してまで首を突っ込むなんてありえないわよ」

 

「そうか。ならいいんだけど・・・・・」

 

んー・・・・レイナーレってそういう冗談言うような奴だったっけか?でも、自分でも危険だってわかってるみたいだからでばってくることはないだろうし・・・・わからん。

 

『女心がわからないなんてまだまだね』

 

うぐっ・・・・否定はできんがムカつく。

 

まあともかく、わからんことを考えても仕方がないし、いい加減行くか。

 

「ほかに話がないな俺は出発させて・・・・ん?」

 

俺の言葉を遮るように、携帯電話が鳴り響く。画面を見てみると、そこにはリアスの名前が記されていた。ひとまず要件を聞くために、俺は通話ボタンを押して携帯電話を耳に押し当てた。

 

「もしもしリアス部長?どうかしましたか?」

 

「・・・・・朧、コカビエルと会ったわ」

 

「・・・・え?」

 

携帯から発せられた部長の言葉に、俺は驚かずにはいられなかった。




当小説の主人公である朧はなかなか戦いの場面に遭遇できない呪いか何かがかかってるんじゃないかと思ってしまう作者

まあ、さすがにあと少しで戦闘に入れる・・・・・はず

それでは次回もまたお楽しみに!
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