ハイスクールD×D ~それは現か幻か~   作:DDX

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現れた白龍皇・・・・・果たして朧の復讐はどうなるのか?

それでは本編どうぞ


第60話

「白龍皇・・・・なんでここに貴様がいる!」

 

朧は上空からこちらを見下ろす白龍皇に尋ねる。

 

「アザゼルにコカビエルを連れて帰るように言われてね。それで来たのさ」

 

アザゼル・・・・・今回のコカビエルの暴走はアザゼルとしてはやはり見過ごせなかったということね。けれど、よりにもよって白龍皇をよこしてくるなんて・・・・・それだけアザゼルは事態を重く見ているということでしょうけど、朧・・・・・・そして私からすれば最悪だわ。

 

「そういうわけだ。君にコカビエルを殺されるのはこちらとしては都合が悪い。こちらに引き渡してもらおう」

 

「断る!こいつはこの場で殺す!邪魔をするというなら・・・・・・貴様から始末する!」

 

朧はコカビエルに突き立てていた剣を消し、新たに銃を作り出して白龍皇に向ける。ようやく訪れた復讐の機会・・・・・それをみすみす失うわけにはいかないと思っているのでしょう。邪魔するなら白龍皇だろうが誰だろうが殺す勢いだわ。

 

けれど・・・・・・相手が悪すぎる。朧では白龍皇()は殺せない。

 

「ほう?それはいいな。コカビエルと戦えなくなって少々がっかりしていたのだが・・・・・幻龍と戦えるとは嬉しい限りだ。以前は邪魔が入って叶わなかったが、今回こそは存分に楽しませてもらおう」

 

愉快そうな声色で言う白龍皇。どうやら引く気はないらしい。相変わらず戦闘狂ね。

 

普段なら面白いと思えるのに。愉悦を感じることができるのに・・・・・・今はそんな思いは微塵も抱けない。

 

「楽しむ余裕なんてすぐに消してやるよ!せいぜい夢幻に飲まれながら俺を敵に回したことを後悔しやがれ!」

 

「後悔などしないさ。たとえ戦いの結果死ぬことになっても・・・・・俺はただ戦えればそれでいい」

 

ただ戦いを求める・・・・・・彼は典型的なドラゴンに憑かれしものね。たいする朧は・・・・・さしずめ復讐どころか、幸せに囚われし者といったところかしら。

 

「そうかよ・・・・・だったらお前の大好きな戦いの中で死ね!」

 

『やめなさい朧!』

 

朧が白龍皇に向かって中の引き金を引こうとしたその時・・・・私は朧を呼び止めた。私らしくもなく声を荒げ・・・・・周りのものにこの声が聞こえてしまうのもはばからずに。

 

「止めるなラム!こいつは・・・・・白龍皇は俺の復讐を阻もうとしている!ようやくだぞ!ようやく訪れた復讐の機会なのに・・・・・・こんなやつに邪魔されてたまるか!俺はここでコカビエルを殺す!」

 

朧は激情のままに私に怒鳴る。朧もまた周りに聞こえるように声に出してしまっている・・・・・それだけ気持ちに余裕がないということでしょう。

 

『落ち着きなさい朧。わかっているはずよ。ここで白龍皇とやりあえば死ぬのはあなたの方よ。たとえ死ななくとも、死期を早めてしまう可能性も十分にある』

 

「それでも・・・・・それでも俺は!復讐を果たすためには白龍皇()を殺さないと・・・・!」

 

『いい加減にしなさい!』

 

「ッ!?」

 

私はまた声を荒げてしまった。

 

だって仕方がないじゃない。朧に・・・・・死んで欲しくないのだから。

 

『朧・・・・・あなたにとって復讐がどれだけ大事なことなのかは私が一番よくわかっているわ。この復讐を逃せば、あなたの幸せを覆う憎悪という陰は消えない・・・・・それでも、死んだら幸せになることさえ叶わないのよ?あなたは幸せにならなければならないのでしょう?だったら・・・・・・コカビエルのことは諦めなさい』

 

ああ、なんて惨めだろう。自らの愉悦を何よりも優先するこの私が・・・・・自らの愉悦を満たす道具(相棒)を案じているだなんて。

 

けれど・・・・・・惨めでも構わない。朧が死ななければ・・・・・私はそれでいい。

 

「・・・・・・くそっ」

 

朧は手にしていた銃を消し、腕をおろした。どうやら諦めてくれたようね。

 

ただ・・・・・朧は血が滲むほどに拳を握りしめていた。当然ね・・・・・おそらくこれで朧の手でコカビエルを殺すチャンスは永遠に失われてしまったのだから・・・・・悔しいでしょうね。

 

「なんだやらないのか?残念だが・・・・まあいい。戦いを楽しむことはできなかったが、その代わりに幻龍と・・・・・我が宿敵に会うことができたからな」

 

そう言いながら、白龍皇は朧からイッセーちゃんへと視線を移す。

 

「はじめまして我が宿敵くん。いや、女の子なのだから宿敵ちゃんと言ったほうがいいのかな?まあどちらでもいいか。君に会えて嬉しく・・・・・なっ!?」

 

宿敵である赤龍帝(イッセーちゃん)に機嫌良さそうに声をかける白龍皇であったが・・・・・その言葉は最後まで紡がれることはなく、代わりに驚きの声を漏らした。

 

白龍皇が意識をイッセーちゃんに向けた僅かなあいだに・・・・・コカビエルの心臓へと光の槍が放たれ、深々と突き刺さる。

 

「ぐッ!?がぁ・・・・・・」

 

うめき声を小さく漏らした後・・・・・コカビエルは動かなくなる。コカビエルは・・・・・レイナーレちゃんの手によって死を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬何が起きたのかわからなかった。

 

ラムに諭され、コカビエルへの復讐を諦めてしまった俺の目に映るのは・・・・・心臓を光の槍によって貫かれ、死に絶えたコカビエルの姿。そして槍の放たれた方へと振り返ると・・・・・・そこにはレイナーレがいた。

 

なんで・・・・どうしてレイナーレがコカビエルを殺す?確かに元々はそのつもりであったのだろうが・・・・それは敬愛するアザゼルを思っているからだ。そのアザゼルからコカビエルを連れ帰るよう命を受けた白龍皇がこの場に来ているのだから殺す理由なんてないはずなのに・・・・・どうして?

 

「・・・・どういうつもりだ堕天使の女?お前はアザゼルのことを敬愛していたはずだが・・・・・それなのになぜコカビエルを殺した?その行為はアザゼルの意思に反するものだということは理解できているだろう?」

 

白龍皇は怒気を孕んだ声でレイナーレに尋ねる。

 

「あら?白龍皇様が私のような低俗な堕天使のことを覚えてくれていただなんて・・・・光栄極まりないわね」

 

「質問に答えろ」

 

ニヤリと笑みを浮かべはぐらかそうとするレイナーレであったが、白龍皇はそれを許さず追求する。

 

正直俺も知りたかった・・・・・なぜレイナーレがあれだけ敬愛するアザゼルの意思に反するようなことをしたのか。

 

「・・・・・コカビエルは私のことを低級堕天使だと蔑んでいた。奴は覚えていないでしょうけど・・・・・それは私がアザゼル様の部下であった頃からよ。しかも、私だけでなくアザゼル様のことも侮辱して・・・・・殺す理由なんてそれで十分でしょう?」

 

レイナーレは自分と、アザゼルを侮辱したからコカビエルを殺したと言うが・・・・俺にはそれが信じられなかった。そんなことをすれば白龍皇に目をつけられ殺されてしまうかもしれないのに・・・・・動機がリスクに見合っていない。

 

ということはコカビエルを殺した理由は別にある?わざわざ嘘をつくほどの理由って一体・・・・?

 

「・・・・まあいい。今更君を問い詰めようが殺そうがコカビエルが死んだ事実に変わりないし、コカビエルが生き返るわけでもない。俺にできることはせいぜいコカビエルの死体をアザゼルのもとへ送り届けることだけだ」

 

そう言いながら地面に降り立った白龍皇は、絶命したコカビエルの死体を小脇に抱える。どうやらこの期に及んでレイナーレをどうこうしようとは思っていないらしい。

 

よかった・・・・・もしもレイナーレに牙をむくというのなら、ラムに諭された直後だったのに死ぬ覚悟で止めなければならなかったからな。

 

「ああ、あとフリードも回収しなければな・・・・・念のため言っておくが、彼は殺さないでくれよ?彼まで殺されては事情聴取ができなくなってしまう」

 

レイナーレにフリードは殺さないようにと念を押しながら、白龍皇はコカビエルと同じようにフリードも小脇に抱える。

 

「殺さないわよ。そんな奴どうでもいいわ」

 

「そうか。それならいい。では失礼するよ」

 

『もう行くのか白いの?』

 

コカビエルとフリードを連れて白龍皇は飛び立とうとするが・・・・・それを引き止める声が聞こえくる。

 

声の発生源は・・・・イッセーの赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の宝玉からであった。

 

『起きていたのか赤いの』

 

次いで別の声も聞こえてくる。出処は白龍皇の宝玉からだ。それぞれの声の主は二天龍・・・・ドライグとアルビオンだろう。

 

『せっかく出会ったというのにこの状況ではな』

 

『いいさ。いずれ戦う運命なのだから・・・・我らの戦いを煽る者もいることだしな』

 

『あら?それは誰のことかしらね?』

 

二天龍の会話に、ラムも口を出す。まあ因縁深い三龍がこの場に集まっているのだ・・・・こうなるのは無理もないことだろう。

 

『誰のことだと?白々しい・・・・・』

 

『貴様以外誰がいるというのだ』

 

『ふふふっ、ごめんなさいね。それはそうとして二人共変わったわね。以前なら会うなり戦い始めていたというのに、今では互いに敵意が薄いじゃない』

 

『どうやら俺も白いのも戦い以外の興味の対象を得たようだな。そして・・・・・それは貴様もだろう幻龍?』

 

『お前があそこまで声を荒げるとは・・・・・自らの愉悦を何よりも重視していたというのに随分と今の宿主にご執心のようだな』

 

『そりゃあもう。だって朧はこの上なく人間だもの。興味は尽きないわ』

 

俺なんかに興味・・・・ね。光栄と受け取ればいいのか面倒なのに捕まってしまったと取ればいいのか・・・・

 

『ただまあ・・・・・もちろん今でもあなた達二人の戦いに興味津々よ。ここでは戦わないようだけれど・・・・・私をまた楽しませてちょうだいよ?』

 

『別に貴様を楽しませるために戦っているわけではないのだがな・・・・まあいい。また会おうドライグ、ラム』

 

『じゃあなアルビオン』

 

『さようなら~♪』

 

別れを告げる三者。そして白龍皇はその場を飛び去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、もうわけがわからない。

 

拷問かと思えるような凶行の末コカビエルを殺そうとした朧

 

急に現れて朧がコカビエルを殺すのを阻止した白い鎧を着た男

 

そして・・・・・・隙をついてコカビエルを殺したレイナーレ

 

一体何がどうなって居るんだ?あの白い鎧の奴は白龍皇・・・・私の宿敵みたいだけど、朧はそいつと知り合いみたいだった。一体どこで知り合ったんだ?しかも白龍皇は朧のこと幻龍って呼んでたし・・・・

 

そもそも、どうして朧はコカビエルを殺そうとしたんだ?復讐だって言ってたけどそれってどういう事なんだ?

 

死んだはずのレイナーレがどうしてここに居るのかもわからないし・・・・・一体どういう状況なんだよこれ?こうなったら朧に詳しい事情を聞かせてもらわないと。

 

「朧・・・・・色々と説明して欲しいんだけど?」

 

「・・・・・」

 

私は朧に声をかける。だが、朧は私の問いかけに答えようとしない。

 

「朧、聞いてるのか?」

 

「・・・・・」

 

再度朧に声をかけると、朧は私の下へと歩み寄ってきた。ようやく話す気になったかと思ったが・・・・朧は私の脇を通り抜けて行ってしまった。

 

そして・・・・・

 

「・・・・・レイナーレ」

 

朧は・・・・私のすぐ後ろにいたレイナーレを抱きしめた。

 

「レイナーレ・・・・・ありがとう。コカビエルを殺してくれて・・・・・ありがとう。これでようやく俺は・・・・コカビエルに憎悪を抱かなくて済む。コカビエルへの憎悪を・・・・・消すことができる。本当に・・・・ありがとう」

 

朧は震える声で、たどたどしくレイナーレにそう告げた。

 

「・・・・馬鹿。感謝の言葉なんていらないわよ。私は別にあなたのためにコカビエルを殺したわけじゃない。私がコカビエルを殺したのは嫌いだったから・・・・・ただそれだけなんだから」

 

そう言いながらも、レイナーレは朧の背に手を回していた。そしてその手は、あやすように朧の背を撫でている。

 

その光景を見て私は察した。レイナーレがコカビエルを殺した本当の理由を・・・・

 

「・・・・・くそっ」

 

思わず悪態をついてしまった。なぜなら、レイナーレが親友である私でさえ至れないところにいるということを理解してしまったから。レイナーレは・・・・・朧にとって私以上に特別な存在なのだと理解してしまったから。

 

ああ・・・・・なんでだろう?

 

すごく・・・・・すごく悔しい

 

すごく・・・・・すごく羨ましい

 

すごく・・・・・すごく妬ましい

 

「朧・・・・・」

 

抱きしめ合う二人を前にして・・・・・私はただ朧の名を呟くことしかできなかった

 

 

 

 

 

 

 

 




朧の復讐はレイナーレの手によって成就されました

普段ならいざ知らず、朧の凶行によって虫の息だったからこそできたことですが・・・・・何はともあれこれで朧の憎悪は一つ晴れたということです

それでは次回もまたお楽しみに!
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