初めて書いたんで、全然上手くかけてない上に話が結構グダグダに…
日々精進していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします
俺は屋上にあるベンチで仰向けになりながら、空を見上げていた。
空を見上げるといっても空を見ているわけではなく、視界の上側に映る制限時間のゲージ見ていただけだ。
別に空を見ても星が見えるわけでもなく、今まで数え切れないほど見てきた世界が映るだけ。
そう、数え切れないほどに……。
仰向けのまま、今度は左手を掲げ眺める
通常、デュエルアバターの外見の色というのは濃さの違いこそあるものの、基本的には一色で構成される。
東京にいた頃、同じレギオンに所属していた奴の中には二つの色を持っているやつがいたが、アレは例外中の例外なのだろう。
しかし、俺の左肘から先は血が固まった様などす黒い赤に変わってしまっている。
元々左腕は全身と同じ濃い赤紫色をしていたのが、一年前のあの出来事以来何度切り裂いても、何度エネミーに喰われても、この闇に飲み込まれそうな黒がずっと根付いている。
……いや、理由はとうに分かっているんだ。
一年前、
気がつけば、さきほど三人に指定した時間が刻一刻と迫っている。
ベンチから身体を起し、今度は変わり果てた母校の全体を眺める。
私学特有のバカ広い校舎、こんな広さじゃ普通は三人を見つけることは中々に難しい。
しかし、このブレインバーストはその辺を考慮してなのか、ガイドカーソルというものが視界中央に存在する。
これは相手が10m以上はなれ、お互いの姿が確認できない際に表示される。
現在ガイドカーソルは高等部の反対側、初等部の方向を示している。
残念ながら距離は分からないが、俺は遠隔射撃の赤系統のアバター、その上あの三人よりは経験値は上だ。
このフィールドや方向、ガイドカーソルが表示されていることやあの策士な妹の性格を考慮するとおそらく初等部の校内にいるだろう。
そして、この硬いフィールドの性質上狙撃が出来ないため、射撃するために近づいた頃を狙うという魂胆だろう。いつの間にか溜まっている三人の必殺技ゲージがそれを物語っている。
「しかし、俺がそんなめんどくさいことをすると思うのか?我が弟子ながら浅はかなり『Set Up』」
いつもの起動コマンドを呟き、いつもの如く赤い光の粒子が漂い始める。
そして右手だけに粒子が集まり、1mを超える大きなライフルが生成される。
実は俺の初期装備であるコイツは状況に応じて様々な形態に変更が可能で、基本的にはこの前使ったようなバレルの長い二丁拳銃で使っている、使いやすいから。
今回生成したこいつは威力こそこの強化外装中最強のステータスを持っているが、『チャージが長い』、『打った反動で若干ダメージが来る』、『重い』という三重苦を持っているために護衛役がいる領土戦や、安全に狙撃できる箇所の存在する無制限中立フィールドでしか基本的には使用しない。その事はイルも知っている。
しかし、今回は久々の対戦、そしてイビーを鍛えるための特訓だ。俺も力を出し切り、存分に楽しませてもらおう。
右手のライフルを左手で支えながら構え、狙いを定める。イメージとしては、中等部の校舎を突き抜けて、初等部の一階にブチ当てるように……。
一瞬だけ息を止め照準がぶれないよう静かに、だが確実に、俺は引き金を引いた。
数分前――
「はぁ……もうわけわからん」
うちの口から漏れた言葉は、昨日からいったい何度出て来たのか。
数えただけでもおそらく二桁はいっているだろう……途中から数えてないから本当の数は分からないけれど。
でももっと分からないのは、今目の前にいる二人の事だ。
いつも五月蝿いくらいに元気な士、お淑やかなお嬢様みたいな那澄。二人ともうちの大好きで大切な親友だ。
でも、今目の前に濃い緑と薄い黄色の二人はこの気持ちの悪い学校だった建物を、何のためらいもなく進んでいく。
目の前にいる二人は、本当にうちの親友なのかさえ怪しく感じるほど、うちの頭の中は混乱している。
さっき受けた説明もそうだ。『思考の加速』、『ソーシャルカメラのハッキング』にそれを利用した『フルダイブの対戦格闘ゲーム』
三人で行動し始めてからは『カラーチャート』やら『体力ゲージと必殺技ゲージ』やら頭が痛くなりそうなことばかり。
何を言っているのかさっぱりだわ……。
「颯ちゃん、どうしたの?さっきから黙ってるけど」
「気分でも悪い?このフィールドは空気が悪いからなぁ」
「え……実はさ、昨日からいろんなことが起こり過ぎて何がなんだかわからなくなって」
ずっと喋っていなかったことが気になったのか、二人が足を止めてうちに話しかけてくる。
二人に思ったことを正直に話すと、お互いに顔を見合わせながら笑い始める。
「な、なにさ?そんなに笑う必要ないじゃん」
「ごめんね?そういえばうちらにもそんな時期があったなぁ、って思って」
「あたしもあったなー。もう何百年も前だけど、あの頃はほんとにきつかったよ~」
何百年?何の話じゃろ?やっぱりわけわからんわ。
でも、そんな下らない話でも確信できたことがある。
やっぱりこの二人は、どんなに見た目が人間らしくなくても、うちの親友には変わりない。
でも、そんな和やかなムードに邪魔が入る。それに一番最初に気づいたのは、士だった。
「で?結局何すればええの?」
「そうだねぇ、一番の問題は兄ちゃんがどう動くのかだけど―ッ!二人とも伏せて!」
急に言葉を切り、普段と真逆の真面目な声でうちらに声をかけるので、素直にうちと那澄は屈みこむ。
それと同時か数秒遅れてかのタイミングで、けたたましい音と共に目の前にある中等部の校舎に穴が開き、濃い紫色に光るビームがこの初等部の校舎に直撃する。
直撃した校舎の一部はビームの威力に耐え切れず砕け散り、その破片がこちらに飛んで来て―
「い、痛い痛い!て、ちょっと待って!?なんでアバターなのに痛みが!?」
「あ~、そういえばカラーチャートとかの説明はしたのに、そこらへんはしてなかったな~」
「とりあえず後でもいいじゃろ?とにかく今はここを乗り切ることを―」
「なに勝手に話し続けて、うわぁ!!」
余裕そうに話す二人に声をかけると、再びビームがこちらに飛んでくる。
今度は先ほどよりも(うちから見て)少し右側に逸れるが、やはり衝撃で校舎の破片が飛んでくる。
破片が身体に当たるのを絶えながら視界を上に向けると、先ほど説明された『体力ゲージ』とやらがほんの少しだけ減っている。
しかしうちだけでなく二人、そして(何故か)シュンの体力ゲージも少しだけ減っている。
でもこれだけですんで良かったと思う。もし、さっきのが痛覚ありの状態で直撃していたら……考えたくもない。
「うわぁ、いきなりあんなのぶっ放すかな普通。手加減無しと大人気ないなぁ」
「……あいかわらず冷静に物事を見るなぁイルは。うちはビックリして若干腰が引けとるよ、あんなの見たことないし」
なのにこの二人は先程のテンションと同じ感じで会話を続けとる……。
特に那澄でさえちょっとビックリしているのに、一人だけ冷静に考察している士に少し恐怖を感じるわ。
「さてと、これ完全に兄ちゃんはやる気だね。だったらあたしらも本気で生かせて貰おうか!『Come On』!」
士がそう言いながら右手を掲げると、何もない場所からトゲのついた盾の様なものが現れ、士の右手に納まる。
盾、というよりはメリケンっぽい……どちらにしても女子が持つようなもんじゃないけど。
「てか、士だけそんな物騒なもん持っててずるくない?」
「颯ちゃん?その言葉は右手を見てから言って欲しいんだけど」
「右手?……あ、そういえばこんなんあったね」
「あたしみたいにボイスコマンドで呼び出したり、呼び出さずにずっと装備されていたりするんだけど、颯ちゃんは後者みたいだね」
右手を改めて見ると、今まですっかり存在を忘れていた篭手のようなものがくっついている。
これ、どうやって使えばいいのか分からない、普通に殴ればいいの?
「説明してる暇ないけどちゃちゃっと説明しとくよ。自分の名前とかが書いてあるとこ選択すると必殺技とかでてくるから、確認しといて」
「……ごめん、何にも書いてないんだけど」
『……』
「え、ちょ、なにそのかわいそうな人を見る目は!?やめて!うち何もしてないのにやめて!」
「まぁ、ある程度予想できてたけど、兄ちゃんと同じ感じなんだね。その分その強化外装に期待するしかないね」
「う~ん、それでどうするのイル?さっきの牽制から向こうはこっちの場所を見つけて動き出してるみたいだけど」
「……一回牽制入れてきてるってことはこっちの狙いが待ち伏せってことは気づいてるってことだよね」
「多分ね。だからこそ即死レベルの攻撃でこっちを燻り出そうとしてるんだろうし」
「だよね、ああいうのが兄ちゃんのやり口だろうし。でも、そうくるんならこっちはこっちでそれを利用させてもらうよ」
そう言いながら士が作戦を内容をうちと那澄に説明する。うちに出来るかわからないけど。
ところで『クククッ』て感じで士が笑ってるけど、なんかゲスイよ?あんたそんなキャラだっけ?……もしかして、そっちが素?
「さぁて、今のでどうなった?少しくらいは当たっててくれよ」
ビームライフルを二発ほど校舎に撃ち込み、体力ゲージとガイドカーソルを同時に確認する。
ライフルのデメリットのせいで俺の体力ゲージが5パーくらい減っているが、向こう三人組の体力もほんの少しだけ減っていようだ。
が、三人とも動く気が無いのかガイドカーソルがまったく動かない。
「あれでも動かないのかよ……何考えてやがる?是が非でも待ち伏せする気か?」
そう言いながらも俺はビームライフルをアサルトライフルに変更しながら、初等部の階段を駆け足で降り始める。
だが数階降りたところで、機械が擦れ合うような異様に耳障りな音が聞こえている。
その音のせいで思わず両耳を押さえ、その場に立ち竦む。
「あぁ゛!なんだよこの音はぁ!絶対ミラだなこれ!…ほんとにあいつのアビリティって用途が分からん」
ミラの『
……ただそれだけのアビリティだ。あいつがバーストリンカーになって現実時間で一年近く、未だにあのアビリティの意味が理解できない。
一応あいつもレベルアップボーナスを全部アビリティの強化に宛てているが、未だにそれ以上の能力を発揮していない。
まぁ、今はそんなのは重要じゃない。この音の発生源がこの階ならば、三人がいるのはこの階だろう。
ガイドカーソルは今いる階層の反対側を――!
一瞬視界に捉えたイルの必殺技ゲージが少し減少するとともに、ガイドカーソルの方向から棘の様な物が飛んでくる。
反応が少し遅れたせいで棘の一つが左肩に少し当たって体力ゲージが1割ほど削られるが、柱の陰に何とか隠れる。
陰に隠れながら校舎の反対側を確認すると、イルが東京に居た時から愛用しているメイド服をはためかせながら自分の強化外装をこちらに向けていた。
俺が確認しているのに気づいたのか、若干こちらをあざ笑うかのように見ると反対側の階段に駆け足で向かう。
「あのやろ、挑発するだけ挑発して逃げやがったな。……そういえばあいつ一人だけだったな、あと二人は何処行った?」
……まぁいいか、とりあえずアイツから潰すか。
そう心の中で呟き銃を再び持ち直しながら校舎だった廊下を走り抜けようとする。
「くぅらぁええええええええ!!!!」
が、ちょっと走り始めてからすぐに横の教室からけたたましい音と妙に怒気の孕んだ声が響き渡る。
俺がそう判断する一瞬で煉獄ステージの硬い壁が突き破られ、小柄な身体のイビーがかなりの勢いでこっちに突っ込んで来る。
その勢いのまま俺に対して右手を振りかぶってくるが、何とか俺も右手で何とか受け止めるがかなりの勢いがあった為か一瞬左腕が痺れながら、俺の身体が向かい側の壁に叩きつけられる。
しかしそれでも衝撃は防ぎきれなかったのか、壁を突き破り中等部の校舎に激突し体力ゲージが一気に4割弱まで下がる。
「(あぁ、さっきの金属音は俺の集中力を乱す目的じゃなくて
背中への衝撃で呼吸が止まりピンチな筈なのに、そんなくだらないことを考えてしまうのは内心まだ勝てると思っているからだろう。
俺の強化外装はまだ壊れていないし、体力ゲージは半分以下だがその下に存在する必殺技ゲージは建物の破壊ボーナスやダメージボーナスによってほぼ満タンになっている。
これなら俺のアビリティを存分に……?なんで俺に影がかかって徐々に声のような物が聞こえる。
「さっようならあああああああああ♪」
いつの間にか俺の上側に移動していたイルが、スパイクシールドを振りかぶり嬉々とした様子で落ちてくる。
アビリティを使えば間に合うかもしれないが、俺のアビリティは座標固定をしないといけないために時間がかかる。このスピードで落下されたら間に合わ――
スパイクシールドの棘が当たった顔面に言葉にしようが無いほどの痛みが起こると共に、俺の体力ゲージが一気に0へと向かっていく。
そして、俺の眼前に燃え盛る【YOU LOSE】という文字が大きく表示された。
作「アバター紹介のコぉナぁー!」
俊「ワー…なにこれ」
作「文字通り、アバター紹介のコーナーだけど?」
俊「うわ、なにその『え、何言っちゃってんのこいつ』みたいな顔は。気持ち悪いからやめてくんない?」
作「どぎつい言葉ですねぇ!年下なのに!」
俊「精神年齢は俺の方が上だから、勘違いするな」
作「くそぅ…反論しづれぇ…と、とりあえず今日は斑鳩那澄のデュエルアバター、メイズ・ミラージュの紹介をしようと思います」
メイズ・ミラージュ(レベル4の薄い黄色)愛称『ミラ』
ドレスの様な見た目の間接・支援タイプ
アビリティ『音響反響』
アバターから発せられる『音』を反響させ、増幅させることが出来る
一つの事に特化した能力の為、汎用性にはかける
作「て感じだけど、師匠としてはどう思ってる?」
俊「今回ソナーみたいに使っていたのは驚いたが、結局はそれだけだからな。ここからどう伸びていくのかに期待するしかないな」
作「やばい、すっげぇ紹介コーナーっぽい」
俊「紹介コーナーだろうが、このスカタン」