暗殺教室  ~Another Story輪廻のカルマ~   作:ひとみらくる

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暗殺教室にオリジナルキャラを交えた小説です。

赤羽カルマが好きなので、オリキャラとの関わりメインです。

カルマ初登場から二学期末までの流れを簡単に説明し、メインの時間軸は原作127話演劇の時間の後、茅野覚醒前の時間上の話しになっています。

原作の「カルマの時間」を文章で再現してみたいなと思いましたので、原作を再現したところから始まります。ご了承ください。

途中、オリキャラの過去話が多くなります。
個人的にはカルマくんの良さを引き立てたラストにする予定です。

※ワードソフトで小説と同じ書き方で執筆しています。そのままこちらのサイトにコピー&ペーストしておりますので、文と文の間に行間がなく、ウェブ小説としては読みづらいかもしれません。申し訳ございませんがご了承お願いいたします。
縦書きPDFにすると読みやすくなります!


1、カルマの時間

「あー、退屈。退屈って、人殺せるんじゃね」っていうくらいに退屈は猛威だ。雑魚い奴らとの喧嘩なんてとっくに飽きたし。そもそも喧嘩趣味じゃないし。ま、一瞬くらい退屈を忘れさせてくれるんだから、ありかもね喧嘩。

 そういえば、今日で停学終わりだっけ。もう十二時か。存在すら忘れてたわ。E組ねぇ。防衛省だっけ? なんかお偉いさん、マジ顔ですげーウケたんだけど。宇宙人? みたいなタコの話し。どうせ雑魚中の雑魚だろ。月破壊って。俺だったらまずはアメリカの州を一つ破壊するけど。その方が地球人ビビるだろ。そっから全人類言うこときくようになるまで破壊しつづけて……あー、つまんね。やっぱ退屈だわ。俺の思考、退屈すぎ。たまには動いた方が、スッキリするかもね。とりあえず、サクッと殺しますか。

「何これ、ゴムか何か?」

 痛くも痒くも無い。先端は尖っているものの、刺さるというまでには程遠い弾力のあるナイフ。そもそもナイフであるのかも疑わしい。これならまだペーパーナイフの方が殺傷能力があるだろう。

 中学生にしては高身長で、少し髪が長い。特徴的な赤髪が良く似合う少年、赤羽業は冷ややかな目でナイフを弄ぶ。こんなんで退屈しのぎになるのだろうか。試しに自身の太ももに刺してみるが刺さらない。刺さるわけが無い。先端は肌を傷つけるどころか程良いくらいの刺激を与えながら刃の中心辺りから、ぐんにゃりと曲がる。

「おままごとじゃねーんだから」

 そう呟きながら弄ぶのに飽きたのか、カッターで柔らかいナイフを刻んでゆく。カッターの方が何倍も切れ味が良い。さっきから彼の表情は何一つ変わらない。

「さーてと、両面テープあったっけ?」

 両面テープを調達してから家の外に出る。たっぷり寝たから、気持ちが良い。おまけに外に出るのは二週間ぶりだった。朝の澄んだ空気ではなく、日中の暖かな空気を吸い込みながらカルマは気だるそうに歩く。いちごの果汁は一切入っていない、人工的ないちごの味がする「いちご煮オレ」を片手に。これはカルマが愛飲している飲み物だ。

「つーか、校舎遠すぎじゃね?」

 のんびり歩いていると逆に疲れてしまいそうな、急な坂道。舗装されていない山道だ。

 私立椚ヶ丘中学校三年E組の教室は、本校舎から隔離された坂の上、いや、山の上にある。成績下位の者や素行不良の者が必然的に追いやられる場所、E組。通称エンドのE組。超エリート名門校の椚ヶ丘中学校の生徒はE組に落とされることを常に恐れていた。E組の扱いは実に酷いものだ。

 まず、本校舎から隔離された山に教室があること。基本的な学校行事には参加できないこと。通常の生徒であればエスカレーター式に高校に進学することができるが、E組に関しては卒業までにE組を抜けられる程の成績にならなければ私立椚ヶ丘中学校という名門校から追い出されてしまう。エリートになるために入学したのに、ここで卒業できなければこの先の人生は確実に歩みづらいものになるだろう。

 そして、一番の問題は・・・・・・E組に対する生徒同士の差別。いや、教師からの差別もある。E組に落ちたくないがために皆必死に勉強をする。下位の者を置くことで自分が下でないことを実感し、それが安心や自信に繋がるのだろう。ほんの一握りの落ちこぼれを置くことで大半の生徒がより勉強に尽力できるシステムだ。それは実に合理的であった。常にそのシステムが学校を支えているかのようだ。

 中学三年生になる新学期の直前に、カルマは担任教師からE組行きの宣告を受けた。

 彼は物心ついたときから、いや、生まれたときから何事にも長けていた。勉強ができる、運動もできて、喧嘩にも強い。自分の思うがままに生きてきた。自分が正しいと思うことが正しいのだと。そのため、少々喧嘩っ早いが成績優秀な彼を、担任教師は気に入っていた。自分の見栄のために。そして言うのだ、「おまえが正しい限り、先生はいつでもおまえの味方だ!」と。

 カルマは自分自身を信じていたように、担任教師も信じた。やはり自分が正しいから、この教師も正しいと言っているのだと。

 ある時、校舎の隅でいじめられていた上級生を助けた。いつも通りだった。得意の騙し討ちを交えつつ、持ち前の素早さと力強さでいじめている側を難なく倒していく。助けた上級生はE組の生徒だった。カルマが喧嘩を売った相手は三年トップの優等生。すなわちA組の生徒だ。学校でも優位でトップの存在であるA組。

 担任は言った。「E組なんぞの肩を持って、未来有る者を傷付けた。彼の受験に影響が出たら俺の責任になるんだぞ」

 信頼していた担任。自分のしたことは正しい。

『―――味方とか言っといてそんな事言っちゃうんだ』

 赤髪の少年の胸の中が、沸騰した鍋のように熱く揺らぐ。

「おまえは成績だけは良かった。だからいつも庇ってやったが、俺の評価に傷がつくなら話が別だ」

『―――・・・・・・やばい、死ぬ』

 何かがふきこぼれる一歩手前。

「俺の方からおまえの転級を申し出たよ。おめでとう赤羽君。君も三年からE組行きだ」

『―――俺の中で先生が死ぬ』

 カルマはそう思った。

 生きていても、人は死ぬってその時知った。そいつの全てに絶望したら・・・・・・カルマにとってのそいつは死んだと同じだ。担任は、死んだ。

 そんな過去のことより今のことだ。今向かっているのは学校。山の上のE組。そこで待ち受けるこれからにカルマはわくわくしていた。先生を殺してみたいという、単純だけれど心の底から思っていたことが実現する大きなチャンスに。

 E組の校庭に着いたのは十四時前だった。

 五限目の授業は体育らしく、生徒たちがスーツ姿の黒髪の先生にナイフを向けているのが見てとれる。もちろん、普通の学校ではありえない光景だ。

「へぇ、マジでやってんだ」

 校庭を隅々まで見渡す。黒髪の男性教師と生徒たちに混ざって、黄色い大きな生物がいた。タコのような見た目。

 あれが、ターゲット。

 しばらくその様子を眺めていたところで、授業が終わったようだ。

 生徒達がまばらになって校舎に戻ろうとしたとき、かつて本校舎の同じクラスに在籍し、仲が良かった生徒、潮田渚がカルマの存在に気づいた。小柄で、中性的な面持ちの控えめな性格の少年。カルマと渚は一年から同じクラスで、当たり障りのない良好な関係だった。二年の途中からカルマは停学沙汰が多くなり、渚も成績の伸びに滞りが出てからは少し疎遠気味になっていたが、今日からまた同じ学び舎で時間を共にすることとなる。

 さっそく渚がカルマに声をかけた。

「カルマ君・・・・・・帰ってきたんだ」

 少し生ぬるい風が吹く。

「よー。渚君久しぶり」

 にこやかに渚に挨拶したところで、歩を進めながら黄色い生物を目でとらえる。

「わ、あれが例の殺せんせー? すっげ、本トにタコみたいだ」

 月を破壊した黄色い生物であり、暗殺対象である殺せんせー。クラスメイトたちがカルマの登場に気付き輪の中がざわつき始めた。

 触手をうねらせながら比較的落ち着いた様子で、殺せんせーが初対面の赤髪の少年に言う。

「・・・・・・赤羽業君ですね。今日が停学明けと聞いていました。初日から遅刻とはいけませんねぇ」

 とたんに殺せんせーの顔の色が変わり、×が浮かび上がった。対してカルマは少しだけ申し訳なさそうにして「あはは、生活リズム戻らなくて」と答える。

 そして笑顔で殺せんせーに向かって手を差し出す。

「下の名前で気安く呼んでよ。とりあえずよろしく、先生!!」

「こちらこそ。楽しい一年にしていきましょう」

 友好の証に、殺せんせーも手を・・・・・・もとい、触手を差し出して応じた。

 手と触手が触れ合った刹那、殺せんせーの触手がドロリと溶けた。

 カルマは片手に持っていた、いちご煮オレが落ちることを省みずに袖から対先生用の特殊素材のナイフを取り出す。袖に仕込めるようカルマが自分で改造したものだ。急な奇襲に少し反応が遅れたが、殺せんせーは間一髪のところでカルマが放つナイフの一撃をかわした。

 騒然とするクラスメイトたち。距離を置いたところで殺せんせーは、驚きの表情で先ほどの握手で溶けた触手を見つめた。

「・・・・・・へー。本トに速いし本トに効くんだ。ナイフ。細かく切って貼っつけてみたんだけど」

 カルマはのんびりとしゃべる。対先生用ナイフを貼り付けた手のひらを見せつけながら。

「けどさぁ先生。こんな単純な手にひっかかるとか・・・・・・しかもそんなとこまで飛び退くなんてビビリすぎじゃね?」

 冷たい笑顔のまま、一歩一歩殺せんせーに近づいていく。

 クラスメイトたちも驚きの表情を隠せないでる。なぜなら、こんなにも殺せんせーに直接的なダメージを与えた生徒は初めてだから。

「殺せないから『殺せんせー』って聞いてたけど」

 殺せんせーの顔に極限まで近づき、身体を少し傾けてから言う。

「あッれェ、せんせーひょっとしてチョロイ人?」

 殺せんせーが怒りをあらわにするような、挑発的な笑顔で。挨拶代わりの奇襲だったため、カルマはすぐに校庭を後にした。もっと楽しくなるのは明日から。

「逃げないでよ殺せんせー。『殺される』ってどういう事かおしえてやるよ」

 こうして、殺意に満ち溢れた少年の生活が始まるのだった。

 しかし、一週間後には、そんな殺意はとっくになくなっていた。すっかり殺せんせーに手入れされてしまったカルマは、E組での生活を楽しんでいた。もちろん、みんなで殺すという健全な殺意は健在だ。

 殺せんせーが自信を無くした一学期の中間テスト。

 みんなで暗殺のために計画を立てた暗殺旅行、もとい修学旅行。

 機械の転校生、律。

 謎の白装束、シロが連れてきた殺せんせーの兄弟と名乗るイトナとの戦い。

 E組で培った能力を存分に発揮できた球技大会。

 無慈悲な教師、鷹岡との出会い。

 みんなとは一線を置いていた寺坂に付け入るシロの陰湿な計画で危険にさらされたこともあった。

 期末テストでの五英傑との勝負。それに敗北し、学んだことによってV字成長したカルマ。

 みんなで行った南の島。綿密に立てた計画だったけれど、殺せんせーが完全防御体型になったことで失敗に終わってしまった。そして、現れた刺客との戦い。

 改めて転校生としてやってきたイトナ。

 棒倒しで奮闘した体育大会。

 軽率な行動から一般人に怪我を負わせてしまったこと。

 わかばパークの子どもたちとの交流。

 傷害事件で、みんなの成績が少し落ちた二学期の中間テスト。

 最強の殺し屋、死神との戦い。

 来客を笑顔にすることができた文化祭。

 そして、二学期の期末テスト。ついにE組の生徒たちは全員学年総合五十位以内に入ることが出来た。そして栄えあるトップは、理事長の息子を抜いて赤羽業。

 殺せんせーを殺せないまま、みんなとの絆が深まっていくまま、少しづつ時が過ぎてゆく。

 出会った頃は春の陽気で暖かかったのに、文化祭の辺りからだんだんと空気が肌寒くなってきた。

 商店街は徐々にクリスマス色に染まりつつある。冬本番は、目前に迫っていた。

 

 

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