デート・ア・ライブ 機輪インターべンション   作:SIRUKI

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今回ほとんど機輪の出番はありません。

ほぼ士道です。


十香デッドエンド
第2話「さて、私の介入を始めよう」


 燃え盛る炎の轟音。

 

 人々の悲鳴。

 

 聞こえるのは絶望に染まった音ばかりだ。

 

 俺はそんな音を仰向けに倒れた状態で聞いていた、いや聞いていることしか出来なかった。

 

(琴里を助けるんだ......そこで琴里が泣いているんだ......!)

 

 しかし体はゆうことを聞かない。

 

 代わりに全身から激痛が伝わる。

 

(俺は......こんな所で......死ぬ......のか......)

 

 清々しい程に綺麗な空とそれを邪魔する様に立ちのぼる黒い煙を見上げながら、薄れ行く意識の中で俺は死を覚悟した。

 

(琴...里......ごめん......俺......)

 

 その時、俺は見た、鮮やかな蝶の羽を生やした。見とれるほど美しい人の影を......

 

【大丈夫、彼女は助けられるから】

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「ぐふっ!」

 

 俺の朝は腹部を襲った衝撃から始まった。

 

「あははは、ぐふだって!陸戦型だー!あはははは!」

 

 俺が呻き声を上げると妹――琴里が可愛らしい声で笑った。

 

「あー、琴里よ。俺の可愛い妹よ」

 

「なんだ!? 私の可愛いおにーちゃんよ!」

 

「下りてくれ。重い」

 

「おお!?そうか!」

 

 琴里はそう言ってシュタッと、下りると急ぎ足で部屋から出ていった。

 

「早く下りてくるのだぞー!」

 

「あいよー」

 

 ぼんやりとした意識の中で俺は昨日の記憶を蘇らせる。両親は昨日から仕事で出張に出てしまって家には俺と琴里しかおらず、今日から俺が家事を行うことになっていた。しかし俺は寝起きが悪いため琴里に目覚ましを頼んでいたのだ。

 

 でもまだ俺の頭は晴れない。

 

「なんか夢を見ていた気がするけど、だめだ思い出せねぇ」

 

 まぁたかが夢だ、別に気にする必要は無いだろう。俺は気にしないことにして自室から出た後、1階へと下りていった。

 

 リビングに入ると琴里がつまらなそうにテレビを観ている。琴里は毎朝、星座占いと血液型占いをハシゴするのを日課にしているが占いコーナーは大体の番組が最後に行うので、一通りチャンネルを変えた後なのだろう。

 

「直ぐに朝飯用意するから待っててくれ」

 

「今日のご飯はなんなのだー?」

 

「んー」

 

 確か卵とベーコン、それにレタスがあったはずだし、食パンもあるはずだから。

 

「今日はベーコンエッグとトーストにしよう」

 

「おお! それは楽しみだぞ!」

 

「おぉ、楽しみしてろ」

 

 琴里は表情を輝かせていた。ここまで喜ばれと作る側としてもやり甲斐があるというものだ。

 

 料理を作り始めるとテレビから聞こえた言葉に俺は意識を引かれた。

 

『今日未明、天宮市近郊の――』

 

「なんだ?こっから結構近いな。何かあったのか?」

 

 画面に視線を向けると、そこにはビルや道路がただの瓦礫と化し、破壊し尽くされた街の様子が映し出されていた。

 

「ああ......空間震か」

 

「そうだねー」

 

「でもいっときは全然起こらなくなったんだろ?なんでまた増え始めたんだろうな」

 

「どうしてだろうねー」

 

 空間震、それは人類が一切太刀打ち出来ない災害であり、発生原因不明、発生時期不定期、被害規模不確定の爆発、振動、消失、その他諸々の現象の総称だ。しかし南関東大空災以来確認されなくなった。だが五年前、この天宮市の1角で再び確認されて以来、またちらほらと観測される様になったのだ。

 

 しかし、人類が何もしてこなかった訳では無い。空間震が初めて確認された30年前から地下シェルターの普及率は爆発的に上昇し、空間震の兆候を事前に観測できるようになった。極めつけは自衛隊の災害復興部隊だ。

 

 被災地を修復することを目的として組織された部隊だ。しかしその仕事ぶりはまさに魔法としか言い様が無い。何しろ破壊尽くされた街を、僅かな期間の内に、元の状態まで復元してしまうのだ。

 

 だが街の修復が早いからといって空間震の脅威が薄れたわけではない。

 

「なんか、ここら辺一帯って妙に空間震多くないか?去年から特に」

 

「......んー、そーだねー。ちょっと予定より早いかなー」

 

「予定?何の事だ」

 

「んー、あんでもあーい」

 

 予定の意味も気になるが、それよりも......。

 

「琴里、ちょっとこっち向け」

 

 琴里は顔を背けた。

 

「......」

 

「てい」

 

「ぐぎゅっ」

 

 琴里の頭に手を置き、ぐりっと、方向転換させる。すると彼女の喉から変な声が出た。琴里の口には大好物のチュッパチャプスがくわえられていた。やっぱりな。

 

「こら、飯の前にお菓子食うなって言ってるだろ」

 

 取り上げようと棒を引っ張るが琴里も抵抗して来る。こうなったら埒が明かない。

 

「......たくっ、ちゃんと飯も食えよ?」

 

「おー!愛してるぞおにーちゃん!」

 

 俺は適当に手を振って作業に戻る。

 

「......と、そう言えば今日、お前も始業式だよな?中学校の」

 

 今日は4月10日。俺は高校の、琴里は中学校の始業式がある。

 

「そうだよー」

 

「昼飯は帰ってからか......何かリクエストはあるか?」

 

「デラックスキッズプレート!」

 

 おいおい、ファミレスのメニューかよ。

 

「はぁ、仕方ないな。よし、昼は外で食うか」

 

「おー!本当かー!」

 

 琴里は興奮した様にブンブンと手をふった。

 

「おう。んじゃ、学校終わったらいつものファミレスで待ち合わせな」

 

「絶対だぞ!絶対約束だぞ!地震が起きても火災が起きても空間震が起きてもファミレスがテロリストに占拠されても絶対だぞ!」

 

「いや占拠されてちゃ飯食えねえだろ」

 

「絶対だぞー!」

 

「はいはい、わかったわかった」

 

 少し甘過ぎるかもしれんが、まあ、今日は特別だ。

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「2年4組、ここか」

 

 俺は自分のクラスの教室に入る。すると後ろから抑揚のない声で呼ばれた。

 

「――五河士道」

 

「ん?」

 

 俺は聞き覚えの無い声に振り向いた。

 

 そこには肩に触れるか触れないかくらいの髪に人形の様に端正な顔立ちをした少女が立っていた。

 

「......俺?」

 

「そう」

 

「な、なんで俺の名前知ってるんだ......?」

 

 俺がそう訊くと彼女は不思議そうに首を傾げた。

 

「覚えて無いの?」

 

 俺は彼女の顔に見覚えがないし、えーっと......

 

「......う」

 

「そう」

 

 俺が言い淀んでいると彼女は特に落胆した様子も無く、そのまま窓際の席へ向かっていった。

 

「何だったんだ?」

 

 頬をかき、眉をひそめていると、突然背中に衝撃と僅かな痛みを感じた。

 

「とう!」

 

「ってぇ!何しやがる殿町!」

 

 友人である殿町宏人に背中に平手打ちを叩き込まれたのだった。

 

「おう、元気そうだな、五河」

 

「お前もいつも道理だな」

 

「まぁいい、あの子誰か知ってるか?」

 

 殿町は女子とかについて詳しいはずだ、彼女のことについても知っているだろう。

 

「鳶一さんだよ、鳶一折紙。お前知らないのか」

 

「あぁ、知らん」

 

「はぁ...」

 

 呆れた様に殿町がため息をつく。そこはかとなくムカつく。

 

「まぁお前が鳶一さんを知らない残念だったのは置いといて」

 

「お前にはだけは残念とか言われたくない」

 

「取っておきのはニュースがあるんだ」

 

「人の話を聞け」

 

 殿町は俺の言うことを気にせずそのまま喋り出した。

 

「イギリスから留学生が来るらしいんだ!」

 

「留学生?ここにか」

 

 興奮したのか、前のめりになりながら騒がしく話す、てか近い。

 

「あぁ、このクラスに来るらしいんだよ!」

 

「しかも、女の子だ!」

 

「ヨーロッパ美人だぞ!?ヨーロッパ美人」

 

「へ、へぇ...」

 

「反応薄いな。まさかお前......本当にホモなのか!?」

 

「違げーよ!」

 

 ホモじゃねーよ!お前に呆れてんだよ!

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 私は今、担任の教師である岡峰珠恵教諭とともに教室に向かっていた。

 

「緊張しなくて大丈夫ですよ。きっと皆さんいい子達ばかりでしょうから」

 

「えぇ、そうですね」

 

 しばらく廊下を進むと2-4と書かれた教室の前で止まる。

 すると、

 

「ではラスティさん、呼んだら入って来て下さい」

 

「はい」

 

 私は短く返事をすると、指示どうり廊下で待つ。こうやって廊下で1人で立っていると、なんだろう......立たされている感が凄い。

 

 静かな空間に先生の話す声だけが聞こえて来る。

 

「では、入って来てくだーい」

 

 先生に呼ばれた。

 

 さて、ここからが私の新しいスタートだ。

 

 私は教室に入ると、私が一方的に知ってる顔ぶれに視線を向ける。

 

「では、自己紹介を」

 

「はい、機輪·ラスティです。どうぞよろしくお願いします」

 

 ここからがやっとスタートだ、やっと辿り着いた。

 

 さて、私の介入(デート)を始めよう。




感想等よろしくお願いします。

次回は戦闘回です!(戦闘シーンとか不安で仕方が無い)
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