この度、小説を書かせて頂きました。
自分の趣味と妄想によって書き連なるこの小説ですが、ご指摘などがあれば直していきたく、より良いものにしたいと思ってます。
宜しくお願い致します!
"汝、隣人を愛しなさい"
とても偉い方がそんなことを言っていた気がする。僕の解釈としては、恐らく自分の周りにいる人たちーー親、兄弟、友人、恋人などーーを指しているんだろうと思っている。
別に僕はこの言葉を残したお方を崇め奉っている宗教に属しているわけでは無いが、この言葉はいい言葉だなと初めてこの言葉を聞いた若干13歳の若かりし僕は思っていた。性格はどうであれ養ってもらっている親、時々喧嘩したり、実験台にされたりするが比較的仲良くしてくれる奇天烈な兄、割と自分のことを慕ってくれる妹。これまで友人に困ることなく、友人同士で気まずい雰囲気になったこともない。恋人は………置いておくとして。
その頃から僕の目標と言うか座右の銘と言うべきか、この言葉が日々を送る中で1番気をつけるべきことになっていた。日頃の感謝もしつつ、これからもよろしくという意味合いも込めて仲良くしている。
………一応、僕はそう思っている。
かと言ってこんな座右の銘を掲げているが、友人の人数がめちゃくちゃ多いのかと聞かれれば十中八九"そんなに"と曖昧な一言が出てくるだろう。ぼくの友好関係は狭く深くを信条としている。と言うか大学では何故か変人とばかり友達になっている。類は友を呼んでくれないのか。あれ?こうなると僕も変人なのか?
ーー閑話休題
そう、僕はなるべく僕に関わり合いがあり比較的近くにいる人たちのことはそれなりに好きになっていこうと思っている…………が。
人と仲良くするにも限度と言うものがある。こう聞くと僕がそう言う人たちのことを嫌悪しているように聞こえてしまうが断じて違う。詳しく言えば、この人と仲良く出来るのか?この人と仲良くしてこの先大丈夫か?みたいな感じ。
具体的に言えば、一人暮らしをすると言うのに家事全般が家が大破してしまうレベルに壊滅的なお隣さんや、夜な夜な部屋の中から盛大な掛け声とともにそれに劣らない、何かを地面に打ち付けている音と男の悲鳴のようなもの、それに加えて興奮しきった声で歓声を上げているお隣さん。
確実に僕の平穏はお隣さんによって宇宙の彼方へ………いや、もはやブラックホールの中に消え去り、その中に永久に閉じ込められてしまい2度と僕の目の前なんかには姿を表すことなんかない段階まで来ている。
ーーもう原型なんて留めていないよ、はぁ。
東京の高校に合格してから始めたアパートでの一人暮らし。最初に住み始めたアパートではとても可愛がってもらえた。高校生で一人暮らしするのは珍しいらしく、近所のおばちゃんたちにはとても褒められた。そのおかげか作りすぎたおかずや近くの商店街のお米券をもらったり、料理が下手だった僕に丁寧に教えに来てくれたりとたくさんお世話になった。
進級して行くに連れて、僕の家事スキルも着実に上がって行っている。最近ではそこらへんの主婦と同等ぐらいの手際で出来ると自負している。これらも昔、隣に住んでいた奥さんに手取り足取り教えてもらったおかげだったり。夫と子供1人の3人家族で、夫婦共働きと言う最近多くなった家族構成だった。
僕が上京してきて半年ほど夏も過ぎてこちらでの生活にも慣れてきた時にお隣さんが突然やってきた。その時はお互い顔と名前を知っているだけの知人というに相応しい関係だった。そのため、僕は何か迷惑をかけてしまったのかと当初は思っていた。
見た目は20代後半の若奥様の突然の来訪。僕としては内心ドキドキしっぱなしだった。いろんな意味で………。
しかし、そんな僕の考えとは全く違うベクトルの話が奥さんの口から出てきた。奥さんの家はさっきも言った通りに共働きである。奥さんは週に4日はお昼から夕方にかけていなくて、夫の方は会社勤めのため休みの日以外は朝から晩までいないのだ。そして、2人には子供が1人いる。
まぁ、結論から言えばその子供のお世話をよろしくお願いされました。
僕の通っていた高校は単位制の学校で授業の組み立てが自由に出来るって言う珍しい学校だった。僕はこの制度をフルに活用するために週に2回は午前授業のみにしていた。必修の関係で曜日は水曜日と金曜日しか選べなかった。まぁ、だけどいい高校生活が送れたと思う。その代わりと言ってはなんだが他の日が恐ろしいほど疲れたけど。
こんな理由もあり、僕は午後それなりに暇をしていた。そこに件のお隣さんが目をつけて話を持ち込んだと言うことだ。何処から来た噂なのか、僕が午後に買い物に行ってることや、暇つぶしにとゲーセンに入ったのを聞いたらしい。
その頃のお隣さんは両親共々忙しくなって帰る時間が遅くなっていたらしい。夫は大事なプロジェクトを任されて朝から晩まで会社に缶詰状態。下手するとそのまま帰って来ないで会社の仮眠室へと行って、朝から社畜へと戻る生活だったらしい。また、奥さんもスーパーのパートタイマーをしていたのだが、そんな時に限って他のパートさんが大量に辞めてしまい、休むに休めない状況だった。僕を呼ぶ前は家政婦さんを雇って、全部任せっきりだったらしいが流石に時間が長過ぎて財政的に雇いにくかったらしい。お金を貯めるために共働きしてるのにそれでは本末転倒だと言うことで白羽の矢が立ったのは僕の存在だ。
週2回も午後、暇な学生なんて優良物件としか思えないだろ。最近の家政婦さんは低賃金だとか言われているけれども、月に10万円ぐらい取られてしまったら、一家庭はキツイ出費だと考えてしまうだろう。
こんな形でお願いされた僕だが最初聞いたときは辞めておきますと辞退した。子供のお世話するなんて何かしらの資格が必要なのではないかと偏った知識を持っていた僕としてはあんまり危険なことは出来なかった。ましてや、若奥様のお子さんならば赤ん坊を連想しても仕方ないと思う。
まぁ、実際は小学6年生と言う、開けてびっくり玉手箱だった。見た目年齢20代後半の若奥様からは想像できない、元気でおませな女の子だった。世の中の七不思議を目の前で見た気分だろうな。予想外すぎて3回ぐらいお子さんの年齢確認したからな。
ちなみに最初は奥さんの年齢を確認しようとしたが、笑顔で一蹴、僕はその場から一歩も動けませんでした。怖すぎて…
まぁ、小学6年生ならばそこまで手を煩わすこともないだろうと言うことと、今まで交流のようなこともなく座右の銘を持て余していたため了承したんだ。そこで発生する問題、賃金はどうしようと言う話になるわけだ。
ここで、ようやく最初の話に戻るわけである。僕の家事スキルは手取り足取り教えてもらったものだと。この賃金に関しては、僕は現金を断った。請け負う日の昼と晩のご飯はお金を出す、基本掃除などの家事はしなくて良い、夕飯の買い出しのついでに飲み物は買ってもOKなどなど、話を煮詰めていくにつれて僕に有益なことが多かったと当時の僕は考えて、受け取りを断った。
しかし、向こうとしても納得出来ないらしい。あれだけのことをしてまだ足りない言うてたからな…
そこで僕はとってもナイスなアイデアを出したんだよ。
"料理が下手なら教えてもらえばいい"
そんなこんなで僕はお隣さんである若奥様、苗字は……なんだったか。下の名前は桃花さんなのは覚えているんだが。思えば苗字じゃややこしいから名前で呼びなさいって言われたから、ほとんど苗字で呼んでないや。
桃花さんに高校3年間、みっちりと炊事、洗濯に掃除とあらゆる家事を学び今に至る。桃花さんも大変だったんだろうな。そこまで要領の良くない僕に根気よく教えていたからな。当時の僕はそんなことを聞けるほど余裕もなく、言われたことをオウム返しさながらに反芻していたからな。
まぁ、それでも…
ーー今の僕なら、その気持ち痛いほど分かる気がする。
ーーーバキッ!
突如、僕の真横の少し前の壁から一本の刃物が姿を現した。確実に僕の側頭部を串刺しにする勢いのあったその刃物の先には何故なのだろう、タマネギが外側のオレンジ色の皮を剥いただけの状態で刺さっていた。どうして、このタマネギは僕の壁を貫通してこちらにやって来たのかなんて考えている余裕もなく、僕は急いで自分の家の玄関を出て、そして一目散に右隣の家ーーー先程、タマネギが壁を破り不法侵入して来た場所ーーーへと向かい、ノックもせずに扉を開けた。
「花菱さん!今度は何をやらかしたんですか!」
「う〜、蘇我さんゴメンなさーい!」
扉を開けたその先にはエプロン姿の小柄な女の子。小さな身体、それとは逆に大きく育った胸、小さな顔に二重で瞳の大きな目。控えめに言っても可愛いと言う形容詞が適当であると太鼓判を押せる容姿をしている。また、姿だけでなく声もその容姿に似合った甘くて思わず顔がふやけてしまいそうになる声。そんな純真無垢な少女。
この人が僕の隣人の1人である"花菱 萌絵"その人だ。
こんな可愛い人が隣人になった時は有頂天になったものだ。桃花さん一家が引っ越してから両隣の部屋は空き家となっていて寂しい思いをしていた。桃花さんたちと過ごしていたこともあって、僕の大半の時間は隣人といることが多く、引っ越してからの生活は正直暇でしょうがなかった。
そんな時に現れたお隣さん、この人とも仲良くしていこうと思っていた矢先に事件が起きたのだよ。
さっき僕の部屋の壁からタマネギが出て来たのは決してタマネギが僕の部屋の壁を"ぶち壊した"のではなく、"元々壊れていた"が正しいのだ。
壊したのは、言わずもがな隣人の花菱さん。その時はタマネギ付きの包丁なんて生易しいものではなかった。
ーー冷蔵庫
60kgはあるであろう冷蔵庫がある日いきなり僕の部屋の壁に突き刺さっていた。倒れたとかもたれかかって来たではない。
"突き刺さっていた"
壁と垂直な関係を保っていた冷蔵庫。それは普通、真横に平行運動させるなんて到底できない大きさの物。ましてや部屋の壁を貫通させるなんて、当時の僕は物理法則やニュートンの存在を疑ったさ。ありえない物理量があの冷蔵庫に加わった。どう考えても恐ろしい。
正気を取り戻した僕は、流石にこれは文句を言いにいこうと思って、可愛いお隣さんの部屋に行ったのだが、これが選択の誤りだったと僕は思う。
扉を開けた先は形容し難い惨状だった。散らかった衣服にコンビニ弁当、乱雑に積まれた段ボールの山、そして到底人の言葉では言い表せないであろう台所。
ーーそこは地獄だった。
そして、その地獄の中にいる可憐な少女はこちらを見て言ったのだ。
『お掃除を教えてください』
と涙声で………
これが僕とどうしようもない隣人との愉快で忙しく、大変な日常の始まりであった。
中途半端な感じもしますがここで一旦終わりで、大元の構成は出来ているのですが個々の話が出来ていないので不定期の更新なので練っていきたいと思います。