「あいつ…読んだか…?」
ティアナがメールを読んでいる頃、刃はラボでジェイルと共に休憩室にいた。
刃はボトルドリンクを、ジェイルはコーヒーを飲んでいた。
「何を送ったんだ?」
ジェイルが飲んでいたコーヒーをテーブルに置くと、腕を背もたれに乗せた。
「ん?あぁ、ちょっと2丁拳銃士にメールをな。」
「2丁拳銃士…あぁ、オレンジの髪の。」
「あぁ、あいつを俺側に付けようと思ってな。」
「あの女は管理局の人間なのにか?」
とジェイルは疑問をなげかけるが、
「いや、完全に管理局サイドとは言い切れない。」
刃は戸惑うことなくゆっくりと首を横に振る。
「憧れ、あるいは兄の影響で入ったと言えどティアナは凡人。凡人なんだよ、かつての俺と同じように…」
「だから守りたくなる…と?」
「そんな大層なもんじゃない。あんなまっすぐな目を持っていたんだ、管理局の手となり足となり傀儡となるのを黙って見ていられない。」
その発言を最後に、二人は沈黙する。
「…俺は…夢を見た…」
「夢?」
「あぁ。仲間が闇に染まった仲間に殺される夢。悪夢だ。」
「もしかしたらそれは…」
「抜け落ちた記憶の一つ、か?」
「やはり君…記憶が………」
「よせ、そんな顔をするな。記憶が抜け落ちたといっても一部だ、どうせ時間で戻る。」
「…そうか。」
ジェイルはそう言って、コーヒーを少し飲む。
「しかし、あんなところでタイプゼロ・セカンドと出会うとは…」
「タイプゼロ・セカンド?」
「あぁ、私が2番目に生んだ人造魔導師だ。今はスバル・ナカジマとして生きているようだがな。」
そう言いながらジェイルはコーヒーを持っていない手で何かの画面を出して操作し、刃の方へ弾き渡した。
刃は弾き渡された資料を読んでいると、聞き覚えのある名前を見つけた。
「起動六課新メンバー…スバル・ナカジマ…ティアナランスター…」
刃はジェイルの方を向いて聞いた。
「なぁ、この起動六課って…」
「あぁ、それか。最近できた部署らしい。」
「何が本当の目的なんだろうなぁ…」
といって、刃はブリューナクの方へ弾き渡されたデータを弾き入れた。
「install…download…complete.no virus.」
「さぁ。しかし…」
ジェイルはコーヒーカップをテーブルに置くと腿に腕をおいてふぅ…と息を吐いた。
「なんだ?ドクター。」
「君は相変わらずつまらなさそうにしゃべるのだな」
「そうか?」
「あぁ、興味はあるんだろう。が、本当につまらなそうだ。もう少し楽しそうに話したらどうだ?」
「…」
「…」
「…そうする。」
その言葉を最後に、刃はボトルドリンクを片手に席を立った。
そしてドアを開けようとセンサーに手をかざして
「あぁそうだ。」
ジェイルに話しかけられた。
「君に渡したい物があるんだ。」
「…なんだ?」
「これだ。」
そう言って刃は何枚かのカードを投げ渡された。
「これは…ディスエスケープゾーン?」
「あぁ、ディスエンチャントゾーンの後継となるカードだ。カードの開発はこれで2度目だな…」
そして刃は1枚めくった。
「…これは?」
「ん?あぁ、それかい?」
ジェイルは飲み干したコーヒーのカップを片付けながら話した。
「それは新たに私が作ったカードでね、今までのとは勝手が違うから苦労したものだ。」
「ありがたく使わせてもらおう。」
「
その言葉を最後に刃は、今度こそ部屋を出た。
頑張れよ、と言い残して。
休憩室のドアが閉じた後、ジェイルは一人薄く笑っていた。
「っははは。頑張れよ、だって?全く、君らしくない…。」
ジェイルは笑っていた。
その顔に喜びを浮かべて。
「言われたからには仕方がない!君は私にとって特別な存在だ。そんな君が頑張れと言ったのだ。私とて味方の期待さえ裏切るような愚か者でもない、それを証明してみせよう。」
ジェイルはそう言って、白衣をはためかせて研究室へと向かった。