リリカル異世界決闘録   作:鹿島 雄太郎

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turn9「開発」

「あいつ…読んだか…?」

 

ティアナがメールを読んでいる頃、刃はラボでジェイルと共に休憩室にいた。

刃はボトルドリンクを、ジェイルはコーヒーを飲んでいた。

 

「何を送ったんだ?」

 

ジェイルが飲んでいたコーヒーをテーブルに置くと、腕を背もたれに乗せた。

 

「ん?あぁ、ちょっと2丁拳銃士にメールをな。」

「2丁拳銃士…あぁ、オレンジの髪の。」

「あぁ、あいつを俺側に付けようと思ってな。」

「あの女は管理局の人間なのにか?」

 

とジェイルは疑問をなげかけるが、

 

「いや、完全に管理局サイドとは言い切れない。」

 

刃は戸惑うことなくゆっくりと首を横に振る。

 

「憧れ、あるいは兄の影響で入ったと言えどティアナは凡人。凡人なんだよ、かつての俺と同じように…」

「だから守りたくなる…と?」

「そんな大層なもんじゃない。あんなまっすぐな目を持っていたんだ、管理局の手となり足となり傀儡となるのを黙って見ていられない。」

 

その発言を最後に、二人は沈黙する。

 

「…俺は…夢を見た…」

「夢?」

「あぁ。仲間が闇に染まった仲間に殺される夢。悪夢だ。」

「もしかしたらそれは…」

「抜け落ちた記憶の一つ、か?」

「やはり君…記憶が………」

「よせ、そんな顔をするな。記憶が抜け落ちたといっても一部だ、どうせ時間で戻る。」

「…そうか。」

 

ジェイルはそう言って、コーヒーを少し飲む。

 

「しかし、あんなところでタイプゼロ・セカンドと出会うとは…」

「タイプゼロ・セカンド?」

「あぁ、私が2番目に生んだ人造魔導師だ。今はスバル・ナカジマとして生きているようだがな。」

 

そう言いながらジェイルはコーヒーを持っていない手で何かの画面を出して操作し、刃の方へ弾き渡した。

刃は弾き渡された資料を読んでいると、聞き覚えのある名前を見つけた。

 

「起動六課新メンバー…スバル・ナカジマ…ティアナランスター…」

 

刃はジェイルの方を向いて聞いた。

 

「なぁ、この起動六課って…」

「あぁ、それか。最近できた部署らしい。」

「何が本当の目的なんだろうなぁ…」

 

といって、刃はブリューナクの方へ弾き渡されたデータを弾き入れた。

 

「install…download…complete.no virus.」

「さぁ。しかし…」

 

ジェイルはコーヒーカップをテーブルに置くと腿に腕をおいてふぅ…と息を吐いた。

 

「なんだ?ドクター。」

「君は相変わらずつまらなさそうにしゃべるのだな」

「そうか?」

「あぁ、興味はあるんだろう。が、本当につまらなそうだ。もう少し楽しそうに話したらどうだ?」

「…」

「…」

「…そうする。」

 

その言葉を最後に、刃はボトルドリンクを片手に席を立った。

そしてドアを開けようとセンサーに手をかざして

 

「あぁそうだ。」

 

ジェイルに話しかけられた。

 

「君に渡したい物があるんだ。」

「…なんだ?」

「これだ。」

 

そう言って刃は何枚かのカードを投げ渡された。

 

「これは…ディスエスケープゾーン?」

「あぁ、ディスエンチャントゾーンの後継となるカードだ。カードの開発はこれで2度目だな…」

 

そして刃は1枚めくった。

 

「…これは?」

「ん?あぁ、それかい?」

 

ジェイルは飲み干したコーヒーのカップを片付けながら話した。

 

「それは新たに私が作ったカードでね、今までのとは勝手が違うから苦労したものだ。」

「ありがたく使わせてもらおう。」

ナンバーズ(娘達)にも配っておいてくれ。」

 

その言葉を最後に刃は、今度こそ部屋を出た。

頑張れよ、と言い残して。

休憩室のドアが閉じた後、ジェイルは一人薄く笑っていた。

 

「っははは。頑張れよ、だって?全く、君らしくない…。」

 

ジェイルは笑っていた。

その顔に喜びを浮かべて。

 

「言われたからには仕方がない!君は私にとって特別な存在だ。そんな君が頑張れと言ったのだ。私とて味方の期待さえ裏切るような愚か者でもない、それを証明してみせよう。」

 

ジェイルはそう言って、白衣をはためかせて研究室へと向かった。

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