リリカル異世界決闘録   作:鹿島 雄太郎

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turn22「秘策」

─管理局本部襲撃事件の数週間後

「ふぅ」

俺は自室のベッドで横になっていた。

枕に足を置き、足があるはずのところに頭を置く。

などと言ってしまえば物騒だが、つまるとこ逆さの状態だ。

なんでこんな疲れているかというと、さっきまで彼女とデュエルをしていたからである。

テレビではギンガ・ナカジマとティアナ・ランスターの両名が行方不明になったことを多局が繰り返し報道している。

その隣では1人の女がベッドに腰掛け、カードをめくっていた。

俺は目だけを左に向けて聞く。

「最後に聞くぞ、本当にいいんだな。」

「いいの。あんたについていけば、本当のことが分かるかもしてないから。」

女は白いパーカーを気にせず後ろを向く。

フードを被っているから見えにくかったが、笑っているような顔だった。

「現実を見るだけじゃなく、真実も見れる。そうなりたいって思ったんだ。」

「…でもまぁ、お前がこっちに来てくれて良かったよ。こっち側につくかは正直賭けだったからな。一策乗ってくれてありがとな、

 

 

 

 

 

 

 

 

─ティアナ・ランスター」

「いいって。あたしってあの仕事環境、結構苦しかったし。」

そう言って彼女─ティアナ・ランスターはデッキをデュエルディスクに入れて立ち上がり、パーカーのフードを取る。

今のティアナランスターの格好は起動六課の制服ではない。

白いパーカーに青いカーゴパンツ。

白いニーソックスはカーゴパンツの丈に隠れている。

赤いラインの入った白いスニーカーを多少の余裕を持たせ履き、ツインテールだった髪を首の後ろで結わえていた。

俺の服装と対象になるようにしたらしい。

「似合ってるぞ、その格好。」

「いいでしょ。ティアナ・ランスターとしてじゃなく、火上愛里としての格好なんだ。」

「あのなぁ、お前は俺の」

「妹じゃない、でしょ?わかってる。あたしが勝手にそうしてるだけ。」

 

 

俺が味方にすら明かしてなかった計画。

ティアナ・ランスターをこちら側に不信感なく持ち込むだけでなく、比較的安全に襲撃する策だった。

 

概要はこうだ。

ティアナ・ランスターにメールを送る。

"作戦のときは来た。

前に一度聞いたが念のためもう一度だけ教える。

俺側につくのなら本部中層を爆破してくれ。

返事がNOなら、屋上を爆破してくれ。"

そう打ち込んで送った数分後、中層がはぜた。

これを見て俺側につくと確信した。

そして戦闘の際にも計画があった。

ギンガとともに地点B、つまり俺たちがあのとき戦った場所へと来ることだ。

もちろんそれで終わりじゃない。

 

「次の一撃で終わりにするぞ…」

それが彼女に前もって教えた最終段階実行の合図だった。

管理局サイドに感づかれないように、"戦闘を行い、その結果敗れて拐われた"と言う状況を作る。

その計画の最終段階移行の合図を受け、"互いに渾身の一撃を繰り出して決着をつける"という状況を重ねる。

ティアナの腹を殴ったあと、耳元でこういった。

「眠ってくれ。」

こうすることで"戦闘の末に威力の増した腹パンで気絶した"という状況を作った。

あとはアジトに運んだ後でティアナを起こす。

いや、違うな。

気絶したふりをしているティアナに到着の合図を送る。

これで計画完了。

 

ちなみに到着してからのティアナの第一声が

「しけた拠点ね。」

だった。

俺は悪くない…よな?

 

そのあと俺はティアナにカードを1枚渡した。

イグナイト・マグナムのカードだ。

ティアナに渡すとカードが光る。

やがて胸から大量のカードが吹き出して1つのデッキとなった。

 

ティアナのデッキカテゴリーは、イグナイトだった。

それも、俺とは異なるイグナイト。

俺のデッキはスキルドレインで効果を無効、ヒトカゲ(ヘルプロミネンス)で表側炎モンスター以外をぶっぱする

いざとなればイグナイト・バーストによって道を開ける、そんなデッキだ。

その都合上、フィールドで効果を発動するエクシーズ含むモンスターカードは入っていない。

だがティアナは違う。

エクシーズモンスターやイグナイト・スティンガーやイグナイト・アヴェンジャーも入っている。

銃撃を得意とする彼女にはお似合いのカードだ。

ふと、開け放っていたドアから声が聞こえる。

「ちょっといいか?」

「ジェイルか、なんだ?」

「あなたが、ジェイル・スカリエッティ…?」

「そうとも。話すのは初めてだな、ティアナ・ランスター。」

「刃から話は聞いています。今回の件、助力させていただきます。」

「そうかしこまらなくていいんだ、気軽に行こうじゃないか。」

「気軽すぎるのも考えものだがな。お前の部屋また散らかってたぞ。」

「なっ!失敬な、片付けておいたぞ!」

「お前それ机の上で山になってただけだからな?」

ジェイルが咳払いで話題を切って、本題を切り出す。

 

「新たなメンバーが増えたので君に挨拶を、とな。入りたまえ。」

その言葉で入ってきたのはナンバーズスーツの上にジャケットを着こんだ女性、ギンガ・ナカジマだ。

その右目は金色の、左目は青みがかった色の鮮やかなの輝きを放っていた。

「紹介しよう、ナンバー13だ」

「ケインズ・デビルか?」

「それはNo.13だ!」

「まさか…洗脳を…!」

 

 

「それはないよ。」

ティアナの発言を遮ったのは、ナンバーズ13。

「私の説得に耳を傾けてくれたのが幸いしたよ。」

「驚いた…あたしはてっきり、聞いてくれなきゃ即座に洗脳をかけるようなやつだと思ってたんだけど…。」

「彼のお陰さ。彼の存在あればこそ、私は短略的な行動を取らなかった。」

ジェイルは話を次へと切り替える。

「さぁ、我らの計画には必要な欲しいものがある。管理局瓦解の為のマーシャルウェポン。強弱を入れ換える、最後の切り札。」

ジェイルは画像を空間に投影する。

そこには、

「それの名を人は、聖王のゆりかごと言った。」

1隻の船が写し出されていた。

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