刃はジェイルに案内され、彼の後ろを歩いていた。
「それでドクター、ここはどこなんだ?研究所みてぇだけどさぁ…」
周りを見回しながら刃はそう質問した。
「ここか?ここは私の研究所、言うなればラボだ。」
「大量の培養機…その中の女性…ここから察するに…クローン研究施設か?」
「惜しいな…ここは人造人間の私設研究所と言ったところだ。此処こそまさに」
ジェイルは踵を返し、刃に向き直ると手を大きく広げて声高らかに宣言した。
「───私の『夢』だ!」
「夢?」
「あぁ、そうだとも。そうそう、歩きながらで構わないから聞いてくれ。」
「…分かった。」
「さて、君は知らないだろうが…管理局というものを知っているか?」
「…いや、聞いた事がない。どういった輩なんだ?」
「やつらは表面上は水準の高い、謂わば警察のようなことをやっているわけだが…その実、正義を盾にして薄汚いことをする奴らだ!私を都合のいい道具となるよう産み出したのもあいつらだ。」
「産み出した?」
ジェイルは声を落として続ける。
「私は作られたのだ。管理局最高評議会によって生み出されたアルハザードの遺児。開発コードを、アンリミテッド・デザイア。」
「アンリミテッド・デザイア…無限の欲望か…。その中には、お前の欲望はなかったんだろうな…」
「あぁ、なかったのだ。いや、違うな…欲望を持つのが遅かったのだ…」
「遅かった…?」
刃はジェイルの発言に疑問を抱き、聞き返す。
「私は…ある時、小さなドローンを使って外の景色を見ていた。そこで見た景色は暗い所にいた私にとって衝撃だった…。そしてその光景を見る度に私は…いつしか自由が欲しいと思っていた…。だが、私には最高評議会の制限があり、ただ求めるだけでは…手を伸ばすだけでは手に入らないと悟った…。」
ジェイルはいつの間にか全てをさらけ出していた。
理解されるはずもないことだと思っていたことを、誰に促されるでもなく…。
「だから叩き潰して4の5の言えないようにして手に入れてみせる、例え悪の烙印を押されようと!」
「…強いな…お前は。」
「強くなど無い、弱者の足掻きだ。」
「…ひとつ聞こう、なぜ俺に話した?」
「…科学者としてはどうかと思うが、君にはある可能性を抱いた。君と…その左腕の物に」
「デュエルディスクに…?」
ジェイルは頷くと
「君とチンクのやり取りをさっき見ていたが…あれにひとつ閃きを感じたのだ。カードが実体化し、質量を持つ…その技術に私は可能性を抱いたのだ。だから…頼む!」
その言葉と共に───
「その力を私たちに貸してくれ!」
───頭を垂れた。
ジェイルに協力を乞われる刃
その手を取るか、それとも…
次回「結託」