問題児たちと昆虫館が異世界から来るそうですよ?(リメイク)   作:薄翅蜉蝣

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お久しぶりです、薄翅蜉蝣です。

二つ言わせてください。
まず、更新遅くなってしまって本当に申し訳ありません!
(なんだか毎回これいってる気がする)
もう一つは、なんか一瞬別小説として単品投稿していたようです。すみませんでした。

それでは、本編どうぞ


第十話 昆虫館、暴走

 春日部耀、久遠飛鳥、ジン=ラッセルの三人は、どこまで進んでも景色の変わらない森の中をさまよい歩いていた。大地からは1キロ以上といわれたが、どうも堂々巡りを繰り返しているようで、三人の方向感覚は失われつつあった。

 

「か、春日部さん。あとどれくらい歩けばいいのかしら?」

「………わからない。それに、ここ、さっきも通ったみたい」

「すみません。僕がもっとしっかりしていれば」

 

 軽い気持ちでゲームを受けてしまったと、後悔の色をにじませるジン。

 だがジンの選択は仕方なかったと言えるだろう。相手は自分たちの誇りを長年傷つけてきたコミュニティ。そして、異世界からの新しい同士に、彼らのもつ桁外れの恩恵(ギフト)。そんな絶好のチャンスともいえる状況で後先を考えるには、ジンは少々幼すぎたのだ。

 

「いいのよ。貴方のせいではないわ」

「………うん。それにまだ私たちは負けてない」

「飛鳥さん、耀さん………」

 

 仲間の励ましに涙を浮かべるジン。コミュニティの大半を失ってしまったが、彼らとならうまくやっていける。ジンは本気でそう思った。

 

「そうですよね。僕もしっかりしないと。僕はジン=ラッセル、“ノーネーム”のリーダーなんですから!」

 

 幼いリーダー、ジンはこの日、ノーネームを建て直すという“夢”を、“目標”に変えたのだった。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

(不味いな、神木のせいで三人の位置がわからない)

 

 この森の中ではヤンマの視界は優れず、霊格も察知することが難しい。大まかな方向はわかるが、よほど近づかなければ特定は不可能だろう。あるいは大地に元の力の半分でも残っていれば捜索も容易だったのだろうが。ヤンマを昆虫兵装で翅に変えた大地は、滑るように空を飛んでいた。

 大地は獅子を追っている。かなりのスピードで、ともすればヤンマより早いかもしれない。そこに少しの違和感を覚えながらも他の虫の速力も上乗せして獅子を追い続けた。

 

 と、急に獅子の動きが止まる。意識を集中させれば微かにだが三つの小さな反応があった。

 獅子は満足げに速度を緩め、一歩ずつ距離を詰めていく。

 

「行かせるわけないだろっ!」

 

 一瞬で獅子の前まで迫った大地が鋭く拳で突き上げる。

 獅子は一瞬動揺を見せる………が、それはほんの一瞬のこと。

 先ほどとは打って変わって俊敏な動きで大地の攻撃をかわす。

 ―――おかしい。いくら力をつけたとはいえ、相手はライオン(獅子)。しかもオスだ。神格や星獣化は元ある力を極限まで伸ばすものであって、ない力を付け足すものではないはずだ。ヤンマを顕現させた昆虫館に速度で上回るなど、異常でしかない。

 

「なんで」

『グルウォォオオオオオ!!』

「言葉も通じなくなったんだ………」

 

 理性のない獣ほど恐ろしい敵はいない、と大地は思う。彼らは本能でしか動かない。それはすなわち、本能的にとるべき行動が分かるということだ。だから、搦め手や挑発は全く効果がない。

 

『ウオォォォオオ!』

「チッ」 

 

 大地が舌打ちをした時にはもう遅い。獅子は全力で三人のほうへと駆け出していた。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「飛鳥、ジン、待って」

「どうかしたの、春日部さん?」

「後ろのほうから大きい生き物が近づいてる。たぶん、獅子」

「なんですって!?」

 

『グウォォオオオアアアア』

 

 耀の言葉を証明するように鳴り響く咆哮と地響き。

 三人があっと思う間もなく、()()は急激に距離を詰めてきた。

 

「三人とも、早く逃げて!」

『ウォオオアアア』

 

 大地は叫ぶが、いかに強力なギフトを持っていても相手が悪すぎる。

 獅子は三人のうち、簡単に仕留められそうな二人、すなわち飛鳥とジンに狙いを定める。

 二人の身体能力は正しく一般人並みである。コミュニティの雑務をこなしていただけの子供と、生まれてこのかた労働などしたこともないお嬢様。力などつくはずもなかった。

 

「きゃっ!!」

『グウォオオオ』

 

 神木の根につまずき、体勢を崩す飛鳥。獅子がそのすきを見逃すはずもなく、鋭い爪が飛鳥に向かって伸びる。

 飛鳥は衝撃に備えて固く目を閉じる。しかし、その衝撃は飛鳥ではなく、

 

「っ!! うぁ!!」

 

 とっさに前に飛び出した耀の肩から血が噴き出していた。

 間をおかずに、大地が獅子に追い付く。そして耀が視界に飛び込んでくる。

 その赤色を見た、その時。大地は背筋がスッと冷えていくのを感じた。

 

「………ふざけんなよ」

『グルルルルゥゥウウ!』

 

 獅子はそんな大地には目もくれずに飛鳥に標的を移した。

 しかし、高速で伸ばされた爪が飛鳥に届くことはなかった。

 

「『滅べ、獅子よ』」

 

 ゴォォォン、ゴォォォンと鐘が響く。

 大地が言葉を放つと、獅子の体はぼろぼろと崩れていく。

 

『グギャアアア!?』

「黙れ」

 

 獅子は必死に大地に爪を伸ばす。それは生きるため。彼を止めなければ自分が死ぬ、いや、滅ぶことがわかっているが故の抵抗。

 しかしそんなものは大地には届かない。獅子の爪は大地に届く前に消え去った。

 

「止めをさしてやるよ」

「させないよ、昆虫館(お兄ちゃん)

 

 禍々しい瘴気と殺気を放ち、獅子に飛びかかる大地。

 その攻撃は突然現れた命によって止められた。

 

「どいてよ、俺はそいつを許さない」

「先に仕掛けてきたのはそっちでしょ………!?」

「は? 俺はなんもしてないけど」

 

 かなり苛立った調子で話す命に大地は首を傾げる。確かに攻撃はしたがそれはゲームのルール上仕方ないことのはずだ。一つだけ思い当たることがあるとすれば、それは、

 

「嘘、そうじゃないとこの子が()()()()()になるわけないもん」

「こんなこと?」

 

 聞きながらも、大地は薄々感づいていた。やはり、今の獅子は本来の獅子とは性質が違うのだろう。そしてそれは命が自分たちを苦しめるために手を加えたわけでもない。

 

(まさか、俺たちのゲームに侵入してるやつがいる?)

 

「お兄ちゃん。今日のどころは引き分けにしといてあげる。………『ゲーム終了』!」

 

 とたんに神木は萎み、地面が露になる。その地面の上には大地たちノーネームと、命たちゲービオス。そして、ガルドがいた。かなり気がたっているようで、しきりに唸り声をあげている。

 

「命。あれ回収しといてくれない?」

「………あの虎さん下品だからあんまり気は乗らないけど………まあいいや。連れて帰ってあげるよ」

 

 不満顔で獅子とガルドを光の粒子にかえる命。

 

「ほんとに、あれはお兄ちゃんじゃないんだね?」

「うん、俺はそんなことはしない」

 

 あれというのは十中八九獅子の異変のことだろう。もちろん大地は知るよしもなかった。

 それにゲームが終わった今、そんなことよりも優先すべきことがあった。

 

「そっか、じゃあお兄ちゃん、またね! 次こそはゲービオスに入ってもらうから!」

「俺はノーネームで結構。遠慮しとくよ」

 

 命が笑顔になって去っていく。一方大地は焦った顔で耀が倒れている方へ急いだ。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「あ、大地くん、来てくれたのね!」

「耀! 大丈夫!?」

「………ちょっと、きつい」

 

 耀は脂汗を流し、最悪の顔色でそう呟いた。ちょっとどころではなくきついということくらい、人並み外れて人の気持ちがわからない大地にもわかる。飛鳥が応急措置としてリボンで止血したようだが、そんなものは気休め程度でしかなかった。

 大地はしばらく思案顔で目を閉じていたが、突然なにかを思いついたようにギフトカードを取り出す。

 

「ちょっと待って」

 

 大地がギフトカードから取り出したのは植物の葉のようなもの。飛鳥とジンの二人は目をぱちくりとさせた。てっきり虫関連の何かが出てくるものだと思っていたのだ。

 

「もしかして、それは薬草ですか?」

「そうだよ。万が一のことを考えて花菜からもらってきてたのを今思い出した」

「あら、花菜さんのギフトで作った薬草なのね」

 

 大地は手早く耀の傷口にその薬草を当て、再び飛鳥のリボンで落ちないようにくくる。その薬草の効果はすぐに現れた。

 

「あ、れ?」

 

 耀の傷は少し小さくなり、顔色も少しよくなる。さすがに全快とまではいかないようだが、それでも幾分かはましになったようだった。

 

「ヤロウっていう薬草なんだけど、多分そこに花菜の力が乗ってるから結構強い効果があるんじゃないかな?」

「………うん、だいぶ楽になった。ありがと、大地」

「ま、待ってください、これ、すごい効果ですよ!? こんなすごい薬草、見たことも聞いたこともないです!」

「んーまあ、多分、神格?」

 

 ジンは思考を放棄して、気絶することにした。

 しかし、まだ安心できるほど容態が良くなった訳ではない。どうしたものか、と頭を悩ませる大地だが、そこはさすがの箱庭世界。貴族様が黙っているはずがなかった。

 

「よ、耀さんッ!! 大丈夫でございますかッ!?」

「………黒ウサギ、うるさい」

「ヤハハ、黒ウルサギだな」

「そんなっ」

 

 本当に黙ってくれないウサギと問題児であった。

 一緒にやって来た花菜は耀の肩を見て目を輝かせる。

 

「私の薬草、使ってくれたんですね!!」

「うん、すごくよくなった。やっぱりすごいね、花菜と大地は」

 

 十六夜と黒ウサギと花菜が合流し、ノーネーム全員集合したところで、黒ウサギが咳払いをする。

 

「………ゴホン。では私は耀さんをコミュニティまで連れて帰って手当てをします。皆さんはどうされますか?」

「俺と御チビ様はちょっとばかりやることがあるからな。お嬢様と大地と花菜はどうすんだ?」

 

 御チビ様、というのはどうやらジンのことらしい。蔑称に敬称をつけると、もとの言葉より馬鹿にしたように聞こえるのはどういうわけだろうか。

 

「じゃあ、私も十六夜くんと一緒に行くわ。大地くんと花菜さんはどうするの?」

「んー、悪いけどちょっと確認したいことがあるからそっちはパスしとくよ」

「私は大地についていきます」

 

 ―――確認したいことがある。そう言う大地の声には少しの怒りがこもっていたが、誰もそのことに気づくことはなかった。




と、いうわけで、フォレスガロ編は次に幕話入れて終了です。
ガルドの扱い雑ですみません。

あと、今回期間かけすぎたんで、登場人物のキャラぶれが起こってる気がします。指摘していただければ直します。

最近原作が行方不明レベルで崩壊してます。そしてこれからも多分ずっとこの作品はこの路線です。崩壊いやな人にはおすすめできないですね(今更)

オリジナルの質が低いので、もっと精進します。

あと、あらすじから話作るのって意外なほどに時間かかりますね………言い訳です、すみませんでした。次から早くします。

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