問題児たちと昆虫館が異世界から来るそうですよ?(リメイク)   作:薄翅蜉蝣

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どうも、七星天道です

投稿久しぶりな上に今回は短めです。

それでは、本編どうぞ


幕話 それぞれの思惑

―――時は戻り、サウザンドアイズ支店・応対室前

 

「封印、じゃと?」

「そう。できれば人間と同じくらいまでは霊格を下げてほしい」

「………一応、理由を聞いてもよいか」

 

 大地は少し沈黙する。

 何かを葛藤するかのように目を閉じる。

 何かを決意するように頷いて、顔を上げる。

 

「“人類最終試練(ラストエンブリオ)”って言ったら分かるかな」

「なんだと?」

「ははっ、やっぱり白夜叉は知ってるんだね」

 

 白夜叉は耳を疑う。

 それもそのはず、箱庭に入って間もない大地がこの言葉を知っているわけがないのだ。

 

「………φυτον(花菜)から聞いたのか?」

「ううん、違うよ」

「では、なぜ知っている」

「それは、よく分からない。でも、俺の意識が芽生えた時からずっと頭に残ってる」

 

 白夜叉は黙ってしまう。彼女にとって、“人類最終試練”はとても大きな意味を持っていた。

 

「それにしても………よりにもよって“人類最終試練”とはな」

「うん。もしも俺が加害者として試練にかかわるなら、それは白夜叉にとってもいただけないでしょ?」

 

 加害者、という言葉にぴくりと反応する白夜叉。

 この男は、一体どこまで試練について知っているのだろう。あるいは、何を知らないのだろうか。

 しかし少なくとも、大地は試練になりたいわけではない。これが分かっただけでも良しとしようではないか。

 

「………分かった。では、とびきり上等なのをかけてやろう」

「うん、ありがとう」

 

 大地は白い光に包まれた。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

―――サウザンドアイズ支店前

 白夜叉と別れ、しばらくしたところで、黒ウサギがおずおずと申し出た。

 

「あの、大地さん。そちらの方の紹介をお願いしてもよろしいですか?」

 

 そちらの方、というのは無論花菜の事だ。

 黒ウサギにとって白夜叉を大地と共に圧倒した少女は未知であり、警戒の対象でもあった。もしも裏切りの起こる可能性があるのなら、大戦力といえども手放すしかない。

 そんな黒ウサギの事情など全く知らない大地は特に何の考えもなく首を縦に振る。

 

「花菜、言われてるけど。自己紹介でもしといたら?」

「え、え? 自己紹介ですか?」

 

 大地を除く四人は期待の眼差しを花菜に向ける。

 その目を見た花菜は一段と怯える。人の目がそもそも嫌いなのだ。

 

「わ、私は瀧華花菜、植物園、やってます」

 

 一瞬の沈黙。その静寂に涙目になる花菜。

 

「………そこだけ聞くと経営者みたいね」

「………うん、なんだか園長さんみたいだよね」

「ヤハハ、面白いじゃねえか気弱ロリ」

「き、気弱ロリ?」

「そ、気弱なロリで気弱ロリだ」

 

 ロリでも気弱でもないです! とはとても叫べない。理由は簡単、絶賛人見知り中だからである。

 気弱ロリ、というのは案外的を射ているかもしれなかった。

 

「花菜さん!」

「は、はい!」

「常識者枠として共にがんばっていきましょう!」

「わ、かりました」

「えー、花菜だってよくふざけるのにー。常識者枠は俺でしょ?」

「ど、」

「ど?」

「どの口が言ってるんですかこの問題児!!」

 

 本日で計三度目になるハリセンアタックが大地を襲った。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

―――ノーネーム本拠前

 サウザンドアイズを出た六人と一匹はノーネーム本拠の門までやってきていた。

 

「この中が我々のコミュニティでございます。しかし本拠の館は入口から更に歩かねばならないので御容赦ください。この近辺はまだ戦いの名残がありますので………」

「魔王との戦い、だよね」

「はい」

「ハッ、いいじゃねえか。魔王様のお手並み拝見と行こうぜ」

 

 勢い込む問題児三人に、黒ウサギはためらいつつも門を開ける。

 砂塵から顔を庇う四人。彼らの視界に広がったのは一面の廃墟だった。

 

「っ、これは………!?」

 

 街並みに刻まれた傷跡。そのあまりの痛ましさに飛鳥と耀、そして花菜は息をのみ、男性陣は目を細める。

 十六夜が手に取った木片は、音を立て、崩れていく。

 

「………おい、黒ウサギ。魔王のギフトゲームがあったのは今から何百年前の話だ?」

「………僅か三年前にございます」

 

 三年前、という言葉は四人に深く刺さった。

 魔王である花菜ですら、耳を疑った。

 

「三年前………」

 

 大地は目の前に広がる荒廃した土地に唖然とする。

 命を奪われたこの土地に、一体どれほどの事ができるか、考えたくもなかった。

 

「大地、これは相当力を持った魔王の仕業です。私だけでここまでの事をしろ、と言われてもおそらく出来ません」

「………なるほどね」

 

 どこか上の空で答えた大地の目には強い、強い憎しみの炎が宿っていた。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

―――フォレス・ガロ 本拠

 

「ねえ。これはどういうことかな、匠海(たくみ)

「鬼化………している」

 

 まだ幼い少女のような影が、初老の男性に尋ねる。その傍らでもう一人の少女が辺りを警戒していた。

 彼らはフォレス・ガロのあり様を見て半ば呆然とする。

 

「うーん、誰かに先を越されちゃったのかな」

「………そのようです。いかがいたしましょう、犯人を突き止めますか?」

「その必要はない。儂らが来たのはそのためではないだろう」

「うん、そうだね。なんにしても、まずは虎さんを見つけないと。(あおい)、お願いしていい?」

「はっ」

 

 そこで少女はくるりと一回りする。

 

「ああ、早く会いたいなあ」

 

 ―――昆虫館。

 

 少女は獰猛な瞳でクスリと笑うと、夜のジャングルに駆け出していった。




次回、『“フォレス・ガロ”VS新生“ノーネーム”』


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