問題児たちと昆虫館が異世界から来るそうですよ?(リメイク)   作:薄翅蜉蝣

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どうも、七星天道改め薄翅蜉蝣です。

まず一言。
投稿がひどく遅くなってしまい、申し訳ありませんでしたっ!!

………それでは、本編どうぞ


第七話 異変

「あー! 昨日のお客さん! もしや今から決闘ですか?」

『お、鈎尻尾のねーちゃんか! そやで、今からお嬢達の討ち入りやで!』

「箱庭に来たんだし、“ゲーム”はいっぱいやっとくべきだしね」

 

 ―――箱庭二一〇五三八〇外門。“六本傷”運営のカフェテラスで、大地たちは声をかけられた。

 ぴょこぴょこと近づいてきた猫娘のウェイトレスは声をひそめてひそひそと呟く。

 

「皆さん、例の噂、聞きました?」

「……噂?」

「はい、なんでも今回のゲーム、舞台区画を使わずに居住区画で行われるらしいんですよ!」

「居住区画で、ですか?」

 

 聞きなれない言葉に首を傾げる一同。

 

「花菜、舞台区画って、何?」

 

 箱庭の先輩である花菜に尋ねる耀。………まあ、先輩だからといって敬う気持ちは持っていないのだが。

 

「舞台区画は、ギフトゲーム専用の領地みたいなとこです。今回は、そこを使わないってことらしいです」

「それ、やっぱり変なことなんだ」

「はい。居住区画でゲームするなんて、それこそ魔王に攻められたときくらいなんですけど」

「そうなんだ」

 

 なんだかんだウェイトレスにエールを送られたりしながら、七人と一匹は“フォレス・ガロ”の居住区画へと向かう。

 しかし、近づくにつれ、次第に違和感が沸き起こる。

 

「皆さん! あれが“フォレス・ガロ”の居住区画、のはずなんですけど………っ、嘘、そんな」

 

 黒ウサギは一瞬、目を疑う。他のメンバーも然り。それもそのはず、彼らの目の前には、およそ人が住んでいるとは思えない、光り輝く木々が立ち並んでいたのだ。

 一体に広がるまばゆく煌めく木々。それを見上げながら耀は呟く。

 

「………。光るジャングル?」

「ああ、確かにそう見えるな」

「あの虎のコミュニティ、もしかして本当にすごいところだったのかしら?」

「いえ、そんなはずはないのですが、………大地さん?」

「っ! ど、どうしたの?」

「大地、どうかしたの? 具合悪そうだけど」

 

 見れば大地はもはやニコリとも笑っていない。それどころか、顔色も悪いように見えた。

 それは、いつも薄ら笑いを浮かべている彼からは想像できないほどだった。

 大地は口を固く結んで皆に向き直る。

 

「………耀と飛鳥とジンには悪いけど、ここからは俺一人で行かせて。ねえ、黒ウサギ。このジャングルの木、何か分かるよね」

「は、はい。ここに生える木は全て、『鬼種の神格』でございます………」

「き、鬼種の神格!?」

 

 ジンが悲鳴にも似た声を上げる。神格とは、種の最高位に値するギフトである。鬼種の神格と言えば、鬼神に相当する力を持っているということであり、しかもそれが木一本一本全てに宿っているということになる。ただの人間が挑むには過ぎた相手だ。だからこそ大地は三人を止めたのだが、

 

「“契約書類(ギアスロール)”………」

 

 門の前には無情にも彼の望みを握りつぶすような契約書類が貼り付けられていた。

 

 

『ギフトゲーム名“ハンティング~Intervention~”

 

 ・プレイヤー一覧 緑ヶ原 大地

          春日部 耀

          久遠 飛鳥

          ジン=ラッセル

 

 

 ・クリア条件 ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーと■■の討伐。

 

 ・クリア方法 ホスト側が指定した特定の武具でのみガルドの討伐が可能。

 また、いかなる武具によっても■■を傷つけることはできない。しかし、■■■■■の範囲内では例外とする。

 この二つのルールは契約(ギアス)により守られている。

 

 

 ・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

 ・指定武具 ゲームテリトリーにて配置。

 

 

 ・補足 ■■の認知範囲は■■から半径1000mまでの間である。

 また、このゲームにおいて降伏は認められない。

 

 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

             “■■■■■”印』

 

 

「なっ、こんなレベルのルールを組み込めるのなんてそれこそ最強種の類いですよ!?」

 

 黒ウサギは悲鳴をあげる。無理もない。彼女にしてみれば降伏も視野にいれたゲームだったのだ。それがまさかこんな形で逃げ道を潰されようとは思ってもみなかった。

 

「大地、これはもしかして………」

「………昨日二人が俺の部屋に来た」

「やっぱりそうなんですね。あの人たちも本気で大地を取りにきましたか」

 

 ―――『新しい仲間、死なないといいね!』

 大地はようやく昨日命の言っていた意味を正しく理解する。彼女は本気なのだ。大地を手に入れるためならば他の“命”はどうなったってかまわない。そんな感情がこの契約書類(ギアスロール)からは見て取れた。

 

「チッ。俺、こういうの嫌いなんだけど」

「はい、でも今回は………」

「うん、そうだよね。耀とみんなのためにも頑張らないと」

「耀さんですか?」

「うん。………あれ? なんで耀?」

「私を見られてもわからないですよ!」

 

 首をかしげる大地なんのことはない。ふと思い浮かんだから言っただけだ。だがなぜ耀なのか、そんなことは知る由もない。花菜も意味が分からず大地を見て困った顔をする。

 そのやり取りで緊張がほぐれたようで、大地はいつもの捉えどころのない笑みを取り戻していた。

 慌てるみんなに向き直り、深く息を吸って言葉を吐く。

 

「じゃ、まずは勝ちに行こっか」

「だ、大地さん!? い、いえ。そうですよね、行きましょう。僕もコミュニティ“ノーネーム”のリーダーとして仲間の力になりたいです」

「そうね、ここで騒いでるだけじゃどうしようもないものね」

「………うん、頑張る」

 

 大地の一言はまるで言霊のように皆の心に響いた。

 ―――彼は白夜叉をも下したのだ。彼が言うなら負けるはずがない、と。

 

「行こうよ、ガルドを倒しにさ」

 

 こうしてノーネームは自陣を出発した。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「ふふ、大地たち、逃げなかったみたいだね」

「εντομαは律儀じゃからのう」

「まあ、()()昆虫館じゃあ()()は討伐できないんじゃないかな?」

 

 命は後ろにそびえる巨体を見やり満足げな顔をする。その巨大なシルエットは呼応するように厳かに咆えた。

 

「それに、こんな虎さんでもあの娘たちの相手にはなるはずだよ」

『ガゥウウウウウウヴヴヴヴヴアアアアアア!』

 

 命はしきりに攻撃してくるガルド―――の成れの果て―――を軽くあしらいながら匠海に笑いかける。

 

「だからお前は甘いのじゃ。獅子は兎を狩るにも全力で、という言葉を忘れぬようにな」

 

 匠海がしわがれた指をガルドにかざすとガルドがぼんやりと薄い光を放つ。

 それを見た命は思わず目を見開く。

 

「し、神格!? もったいないよ! ただの人間の女の子二人なんだよ?」

「ふう………。よいか命。この世界にいる間はすべての敵は自分より上だと思え。そうして自分の安全に絶対の保険を掛けろ。われらは地球の生物の命運を握っているということを決して忘れるな」

「っ、うん、わかった………。そうだよ、みんなは私が守るんだから」

「………ああ、そうじゃな」

 

 二人は真剣な面持ちに代わり、大地を手に入れる決意を新たにするのだった。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「で、始まったはいいけど、まずどうクリアするかちゃんと整理しないと。………ジン、何かない?」

「ぼ、僕ですか?」

「そ。俺たち三人はまだ箱庭にきて間もないわけだし、ここは経験者であるジンのほうがいい案を思いつくんじゃないかなって」

 

 ジンは大地に頼られたことに一瞬顔を輝かせるが、状況を思い出しすぐにまじめな顔になる。

 とはいえ、ジンもまだ子供。こんな異常事態に対応できるほど経験を積んでいるわけでもない。

 

「………では、まずはガルドを倒すための指定武具を手に入れる、とかでしょうか」

「わかったわ」

「………ガルドならあっちにいるみたいだけど」

 

 いつのまにか木によじ登りあたりを探っていた耀が本拠にある館らしきものを指さしていた。

 

「あ、ひとつだけ、いい?」

「なんですか?」

「契約書類にあった伏字の敵、いるでしょ? あれ見つけたら絶対俺に教えて。………まちがっても戦わないようにね」

「それって………」

 

 ―――ヴォォォオオオオオォォォ

 

「………多分それだよね」

 

 耀が示した先を目で追う。

 ―――そこにいたのは耀でなくとも見逃すことがないほど巨大な()()だった。 




いかがでしたか?

次回から本格的にゲーム開始です。
………なるべく早く投稿します。

誤字脱字、ご意見ご感想などお待ちしております。
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