労働しましょ?勇者さま 〜ジャージ姿の勇者はカフェでアルバイトを始めたようです〜   作:大福1万

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作者ページの説明はキニシナイで。
なろうから流れてきた汐風です。
風のように気ままにエターナルので更新がなくても、東シナ海にでも行っていると考えてください


第1章 金ピカ勇者のアルバイト
「勇者召喚のいろは」


古本の匂いを嗅ぐとどこか落ち着いた気分になれる、そんな感覚が好きで毎週のように足を運んでしまういくつかの古書店で見付けたある書物。

俺、田島 大吾(23歳 独身 自営業)はオカルトチックなものに最近妙にハマっていた。

仕事の合間に読んでいた「クトゥルフの呼び声」でオカルト的なものに少しだけ浸かり、そこからちょくちょく古本屋に立ち入っては胡散臭そうな魔法の本やら、悪魔召喚の書物などをライトに楽しんでいたのだ。

今日もいつものように休日に懇意の古書店へと足を運びなにかないかと探していた最中、ある本の目の前で目線が止まった。

その本は本棚に入っているので題名しかわからないが、少し怪しく俺にとっては面白そうだと思った。

 

「勇者召喚をするためのいろは」

 

なんとも安直な題名ではあったが、こういうストレートでわかりやすいのは好みなので手に取ってみる。

こういうものは大抵何処かの大学の教授何かが戯れに書いている事が多いので、今回もその法則に従って作者の名前を確認しようとするが何故だか本がびくともしない。

 

「あ、あれ?開かない…」

 

まるで超強力な接着剤で全てのページをベッタリと接着されたように、1ミリでも動かない。

いまどき珍しい革張りの本だったので、摩擦の問題というわけでもなさそうだ、何が根拠かなんて自分でもわからないがそう思っておこう。

 

とりあえず開かないのならもう持っている意味もないので、少し気になるが本棚へと戻す。

古書店のお婆さんに礼を言って俺は古書店を後にした…のだが、どうもあの本のことが気になって仕方がない、だが開かないあの書物を本当にホント行っていいのかと考えると、開きもしないホントも呼べない代物に無駄な金をかける必要は無いと結論が出るのだが何故かものすごく気になる。

どうせ仕事の合間に読むだけならあの本でなくともいいはずなのだが…

その後数十分古書店の前でうんうんうなっている姿は余程滑稽だったのか、あちらこちらからクスクスと笑う声がする。

その声が耳に入ったため冷静になった俺は顔を赤くしながら急いでその場をあとにした。

 

 

 

「結局買ってしまった」

 

呆然としている

俺の手の中にはあの古書店で見つけた開かない謎の本。

焦りから自分のくせであるメガネを人差し指でクイッとあげる仕草をすると汗が指についたのがわかる。

今自分がいるのは自宅兼店であるカフェ「La - Vita 〜ラ ・ ヴィータ〜」のテーブル席。

そこで座って手元の本を見るメガネ男子が俺である。

そこそこの広さのある俺の店は珈琲、紅茶などを専門的に出すカフェで、都会の真ん中にあると言うのに閑古鳥が泣いている、まぁ定休日だからだけど。

こんな日は読書するに限ると意気込んで買ったのがこの手元にある結果なわけで…

この本を買う際に店主のお婆さんにそれとなく聞いてみたのだが、本人もいつ仕入れたのかわからないそうで、本棚に収まっていたなら覚えているはずなのだという。

そんな出どころの怪しいものだったのでほぼタダ同然で譲ってくれたのはラッキーと言えばラッキーなのだが。

 

見つけた時は開くことに夢中で表紙をよく見ていなかったので今一度よく見てみることにする。

 

茶色い皮貼りの少し厚い本で、紙の状態からそれなりに古いものとわかる、古本特有の紙の匂いがあるため少し落ち着く俺。

表紙にはあのストレートすぎる題名は書かれてはおらず、何か変な記号のようなものが羅列している。

日本語でもなく、勿論英語でもないその記号に首を捻る俺だが専門家でもない自分が考えても仕方のないことなのでほかって置くことにする。

暫くいじっているとこれまで開かなかった表紙がパカリと開いた。

 

「あ、開いた」

 

あまりにも簡単に開いたこの本にいくつか言いたいことがあるがこの際気にしないことにする。

開いたなら早速本を読もうとするが、突然手から本がスルリと逃げた。

 

「は―――」

 

俺の手から逃げおおせた本は滑らかな挙動で店の中心の開けたスペースへ浮遊しながら移動すると、意図が切れたあやつり人形のようにパタリと落ちる。

驚くべきことが次々に起こりすぎて何をすればいいかわからないが、取り敢えず本を拾いに行く。

本は完全に開いた状態であるページを俺に見せていた。

 

「これ、魔法陣って奴か?」

 

アニメやゲームを嗜む人種の人間なら誰でも知っているだろう【魔法陣】形は創作物によって様々だ ―― 大体は円形の形の中に幾何学模様や英語、数字などが散りばめられている物が一般的だと思うが ―― が、ほぼ厨二病的なソレに近い俺の黒歴史をえぐり出すような魔法陣だ。

 

「おふっ…忌まわしい記憶」

 

あの頃は若かったんだよ、今も若いけどさ。

溢れだしそうになる黒い感情を押さえ込み、件の魔法陣をよく観察してみる。

さっきの浮遊移動に少しビビっている俺は手に取るようなことはせず少し遠くから見ている感じなので、うっすらと光っているのは遠近法かもしれない。

 

「なんか、ワクワクしてきた」

 

なにを血迷ったか俺はその魔法陣に左手を置くことにした。

その行動がキーだったのか、今度はハッキリと本から光が溢れ出すと、店の床に本に載っているものと同じ魔法陣がそのまま拡大して広がった。

魔法陣は黄金色に輝き、幻想的な雰囲気を醸し出している。

 

「まじすか……ほんとに勇者召喚のいろはだったんだな。まだ、中身あの魔法陣しか見てないからいろはのはの字もないけど」

 

その幻想的な風景はそのうち粒子を無数に生み出し本を中心に集まり出した。

球体に集まったかと思うと、細長くなり、そのうち腕や足と思われるものが現れた。

いつしか粒子は人の形を作り出し、そのシルエットは凄くゴツイ。

これはいよいよ本物かと思いドキドキしながら見守ると、粒子が固定され光を散らした。

 

そのちいさいながらもしっかりとした衝撃に目をつぶった俺はすぐさま、現れた異質なものに目を向けると、そこには…

 

「全身金ピカの鎧騎士?」

 

「むっ?ここはどこだ。私はレッドドラゴンの討伐をしていたはず」

 

おもっくそ成金を体現したみたいな黄金騎士がいた。

 

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