遊戯王~デュエルキングを目指す少女の物語   作:魔法使い?

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第1章 にちじょーへん
第1話 『入学』


 デュエルモンスターズ。

 過去に人々はKC社が開催したバトルシティと呼ばれるデュエルの大会のあとから世間はデュエルモンスターズの釘付けとなり、全てのことがデュエルで解決するようになった。

 

「よしっ。これでよしっ。デッキ完成!!」

 

 僕は机の上においてあったカードの束をにらめっこし続けて2時間30分。ずっと同じ姿勢だったから肩が痛い。

 だが、ようやくデッキを完成した喜びから思わず僕はガッツポーズをする。

 デュエルモンスターズには約数千種類のカードが存在する。デッキはその中から40~60枚の束からなるもの。

 この喜びはデュエリストしか味わえない『特権』。これで明日のデュエルの準備は完了だな。

 

「うーーん…」

 

 机のカードの束をデッキケースに入れ、次に自分の部屋の鏡を使い自分の姿を確認する。

 明日の為に切った短い茶髪。学校の男子の指定になっている学ラン姿に赤のネクタイ。

 …。うん。自分でも言うのもあれだが、すごく似合っているな。

 

「よいしょっと」

 

 自分の姿を充分と堪能した所で、学ランを脱いでワイシャツ姿になる。そのワイシャツのボタンを上から順に一つ一つ外す。

 全部外したところでワイシャツを脱ぐ。そして自分の肩から出てきたのは白の紐。それを触りながら徐々に自分の胸を触る。

 

 

 

 

「ブラ…。これってもう必要ないのかな…」

 

 ブラを触りながら何かを考える。

 今している格好は明らかに男子高校生そのものだが、ブラをその制服の上にあわせると明らかに似合わない。おかしい。

 私は男ではない。女なのだ。私には奈々川ナナっていう名前がある。

 

「また胸大きくなってる……」

 

 胸を軽く揉むとその違いが自分でもわかる。中学を卒業してから胸の成長スピードが格段に上がったのだ。

 自分でも言うのもあれだが、私の近い年頃の女の子の平均よりあると思う。

 実際友達同士の会話では「いいなー」と言われたことがある。そのときの私はとても嬉かったことを覚えている。

 でも、この胸が今では自分にとってのコンプレックスなってしまったのだ。

 

 

 

 明日は私にとって人生最大の転機となる重大なイベントだ。

 冥界学園高校というデュエルの進学校に入学する。そこで私は女ではなく男として生まれ変わる。

 今まで普通の女の子として暮らしてきた私にとっては無謀な挑戦だっていうことはわかっている。

 本当は女として普通に学校に通いたかった。でもそれは叶わぬ夢だ。

 死んだ私の双子の兄。裕也ユウヤお兄ちゃんの意思を引き継ぎ、私にはデュエルキングにならなければならない試練がある。

 その為には女を捨てなければならない。かつてのデュエルキングは皆、男だった。女がデュエルキングになった前例がない。

 女は弱いのだ。昔の世界は力のある男性が力のない女性を差別することがあったらしいが、今は法律などで平等となった。

 だが、スポーツ界や政治界、カードゲーム界でもやはり女性がとても大きな舞台で活躍するのは聞いたことがない。

 惜しいところまで活躍するが、どうしても活躍の規模が大きい男性の影に隠れ気味なのである。

 だからこそ、私はデュエル界で活躍するために明日から女を捨てることを決めたんだ。でも…。

 

「そういえば!! こないだ買った服一回も着てない!! あぁあ…」

 

 私は急いで先週服屋で買ったブラウスを紙袋から取り出す。本当はこんな可愛い服を着て青春したかったんだけどな…。

 でも男の子になるってことはもう着れないってことだよね…。

 

「まだ、明日まで時間たっぷりあるし大丈夫…。えっ。もう夜中の0時っ!!」

 

 油断した。デッキを作る時間に掛けすぎたおかげでもう入学式の日へと変わっていた。時計を確認したとき驚いた。

 ほんとデュエルモンスターズに触れると時間を忘れてしまうよ。何でこんなにカードを触るのがとても楽しいんだろうか…。

 

「今日で女の子の日は最後だから楽しまなくちゃ」

 

 明日は寝不足で辛い思いをしそうだけど我慢だ我慢。だって女の子の気分を味わえるのは最後でこれでもうないと思うんだから。

 私はクローゼットからも順番に服を持ってきて着替える。そして鏡を見ながら深夜の一人着替えショーをした。

 夢中になりすぎて布団に付くのは深夜の2時。デッキを作った時間と同じ2時間30分もショーを楽しんだ。

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 私は夢の中で大好きだった家族の夢を見た。

 デュエル大好きなお兄ちゃん。プロデュエリストのお父さん。デュエル講師のお母さん。仲良く4人でデュエルした夢だった。

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 次の日の朝、外を出る1時間前に起きて私は今日の準備に取り掛かる。

 

「んーー…」

 

 まずはこれから先の為、鏡を見ながら自分の障害となる胸を潰すことから始まる。

 私は今日の日の為に何度も胸を凹ます練習をしてきた。

 サラシ、包帯、ニッパー、ベルト、コルセットなど状況に合わせて使うことを、いろんなところから知識を得てきた。

 サラシ、包帯はきちんと胸を潰すことができるが、息苦しいし何より手間が掛かる。長時間不向きだし痛いのはちょっとなぁ…。

 ニッパー、ベルト、コルセットは簡単に装着できるものの、それぞれ短所として透けて見えたり、肉が浮き出たり、浮き出たりする。

 これは薄着のときに一瞬でばれる可能性がある。怖い。

 付けるだけでいい一番簡単なフィットネスブラも使う方法もあるが、これは明らかにふくらみが残るし、潰れないので微妙。

 最終兵器テープとかもあると聞いたが、これははがすとき痛いし、肌に悪いからなぁ…。

 今日は時間もあるし、サラシを使うことに決めた。ムラが出ないように気をつけながら作業をする。

 この辺は何回も言うが、何度も練習したので慣れた手つきで終わらせた。

 

「胸よし、制服よし、バッグよし、着替えよし、デッキよし!!」

 

 忘れ物がないように触りながら確認を取る。最後に一番大事なデッキをバッグに入れる。昨日も確認したおかげでどうやら大丈夫そうだ。

 私は玄関に出て靴紐を締め、大事な荷物を積んだバッグを持って扉を出る。

 

「私の大切なお家…。さようなら……」

 

 家族4人が写っている写真を見ながら、私が15歳になるまでお世話になった家の前でお辞儀をして別れを告げる。

 お別れを告げるとその写真をバッグの中に入れる。

 これでもうこの家に戻ることはないだろう。長年お世話になったこの家は売られることになる。

 私がいなくなったことでこの家には誰も住む人がいなくなったからだ。この資金は私の学費や生活費に当てられることとなる。

 一人で生きる以上、女問題だけではなく金銭面も大変なことだと思う。でも進学すると決める以上、これも何とかやりくりしなければならない。

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

「ふぅ…」

 

 冥界学園高校の正面門まで着いた。交通の不便もあって予想より多くの時間を掛けてしまった。でも何とかここまでたどり着くことができた。

 ここまでたどり着くまでに私と同じ制服を着た生徒と合うことがあったが、私が女だと勘付かれることは一切なかった。

 元々凛々しい顔付きだからか容姿にはかなり自信がある。私が中学生の頃は間違えて男の服を着たとき、兄に間違えられたことは何度も経験した。

 

「君、受験番号は?」

 

 受験会場前に行くと試験官が立っていた。私は目をキラキラさせながらすぐに答える。

 

「私、202番。奈々川ユウヤです!!!」

 

 近くにあった時計を見ると、試験が始まるまでの開始の時間は30分余裕があった。どうやら早く家を出たのが正解だったらしい。

 

「君っ? 女…?」

「え、何を言っているんですか?」

 

 勘付かれたのか…? 試験官の真剣に私を見る眼差しから緊張が走る。制服の下から上まで見る目の動きがとても嫌らしい。

 どうやら番号を言う際に、一人称である『私』と言ってしまったことが問題だったらしい。

 

「なんか笑顔が女の子に見えて…。それにそのネクタイの結び方変じゃないか?」

「ぼ、僕、ネクタイの結び方にちょっとだけ苦戦してたからこうなったんだ。こうやって…こうやるのができないんだよなぁ…」

 

 急いで一人称を『僕』に変えて同世代の高校生が言いそうな台詞を私は作った。

 しばらく無言になったことで私は、心臓が破裂しそうになったが、その緊張はすぐに解かれる。

 

「…。わざわざ確認を取るまでもなくこの写真で登録してある通りだから男だよな。なんか君、私って言ったから一瞬女の子かと思ったよ。それにしても君、女の子みたいで可愛いな」

「勘違いしないでくださいよ。僕が女に見えるなんて何考えているんだ!!」

「わ、わるい…。一瞬君の女装姿を想像してな…。あはははは」

「変態…」

 

 先生は笑ってごまかそうとする。私も作り笑いでごまかしたが、今までの流れはとても心臓に悪かった。

 お兄ちゃんもよく私そっくりで女装をすれば、「女の子になれる」なんて言われてな。

 初めから女だとバレる危険があったが、こういった勘違いは今までの経験からよくあったことだ。

 なんとか私は男子生徒としてこの学校に潜入できたらしい。

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 人ごみの中に紛れて試験会場へと進んでいく。自分の席に座って少し立つと試験の先生が来て筆記の説明が始まった。

 これから始まるのはクラス分けのための筆記試験だ。もちろん私はデュエルキングになるためだからこんな簡単な問題に負けるわけにはいかない。

 カード名を漢字で書く問題、詰めデュエル、カードのルールについての説明などなど。

 

 

Q このカードの名前を漢字で書け

 

永続魔法

相手のスタンバイフェイズ時に1度、

自分の手札が4枚になるまでデッキからカードをドローする。

この効果でドローした場合、次の自分のスタンバイフェイズ時に1度、

ドローした枚数分だけ自分の手札をランダムに捨てる。

 

 

Q 血の代償について。裏にセットされたこのカードを表にできるのは自分のスタンバイズ、相手のバトルフェイズだけであるか?

 

 

Q この詰めデュエルをとけ。ただし自分のデッキとエクストラデッキは自由とする。

 

自分

LP:500

デッキ:?枚

手札:4枚

   魔導召喚士 テンペル

   ガガガリベンジ

   グリモの魔導書

   トーラの魔導書

場 :モンスター

   ガガガガール

   ガガガマジシャン

墓地:0枚

   

相手

LP:20000

デッキ:

手札:0枚

場 :モンスター

   超熱血球児

   フレムベル・ドラグノフ(守備)

   魔法・罠

   DNA移植手術(炎族性を選択)

   バックファイア

墓地:0枚

 

Q ダメージステップの解説を知っているだけ記入しろ

 

 

 

 回答用紙に書かれた問題を次々と回答していく。

 カード名やルールについての解答は私は得意中の得意なので答えるのは簡単だったが、難関だったのは詰めデュエルとダメージステップの問題だ。

 この2問だけは解くのは頭を使った。難しい問題の為、記入するために回答欄が溢れてしまうほどだ。

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 筆記試験は何とか無事終えることができた。

 その後、私が3年間通う学校についての説明がされた。

 お待ちかねのこの学校指定の黒いピカピカのデュエルディスクが至急される。

 私は中々買うことができなかった、念願の新品のデュエルディスクを貰えてうれしかった。早速これを使って実技試験をするらしい。

 また、高校生活では禁止カードが使用できることを説明された。

 これはどの高校でも共通のことで、世間では禁止とされているカードを1枚だけ許可するというルール。

 とっても重要なことだからデッキに入れるカードをよくよく考えなければ。

 禁止カードをこの筆記試験でも使えると言っていたから、待ち時間の間に考えないといけないね。

 何も考えずに適当に入れても、禁止と指定されているであって即戦力になるだろうと期待して。

 

 

 長い説明が終わった。

 問題は次の実技試験だ。この学校では一番大きい施設に当たる体育間に移動した。

 この実技試験では実際に教官とデュエルすることになっている。

 私はデュエルは得意中の得意だが、今の私の状態は緊張マックスなのだ。だって、実技は他の生徒に見られることになっているからだ。

 筆記試験の結果や、実技試験は入学に支障がでるわけではないが、その試験の結果がこれからの学園生活に左右されることになる。

 クラス替えやクラス中の評判が今日中に決まるからね。

 デュエルキングという目標を持っている私にはこの実技試験もいい成績をとって、教師への評判を得るしかないのだ。

 

「『終末の騎士』でダイレクトアタックだ!!」

「ぐわぁああ」

 

 ソリッドビジョンに写る黒い騎士の剣が実技試験中の生徒を貫いた。

 これによりライフがゼロになりその生徒の実技試験は終わったことを意味する。

 

「私の下級モンスターにやられるとはなさけないぞ!! まだこの私のデッキの回転が始まる前に負けるとはなさけん!!」

「すみません…」

 

 順番的に私の前の生徒が、目の前で実技試験をやられているので余計緊張がする。

 生徒がデュエルディスクを片付けたことで意思を固め、私も気合が入る。

 

「次だ!! 受験番号202番!! 奈々川ユウヤ!!」

「はい!!」

 

 偽名だが私の名前を呼ばれたので、返事をする。

 私の名前ではないのでまだ違和感がするが、これからの学園生活を満喫するにはこれにはなれないといけない。

 

「決闘!」

 

 2人は掛け声を挙げるとランプのデジタル画面に4000と赤く表示される。

 私、ナナはここではユウヤと名乗っているのでもちろん学校に登録された通りに、ライフの文字にはユウヤと書かれている。

 

 

 教官 LP4000

 ユウヤ LP4000

 

 

「私のターン。ドロー」

 

 まずは教官がカードをドローする。引いたカードを見ながらやたら表情がにやついた。何をするつもりなのか?

 

「私は手札から『手札断殺』を発動します。お互いに手札を2枚墓地に送って2枚ドローする。さあ君も2枚墓地に送りなさい」

「………」

 

 いきなり手札交換のマジックカードか…。別に驚くほどでもないから私は平然とした顔で先生の捨てたカードを確認する。

 アドバンテージを失うカードではあるもののこれからの展開を極めつけるには便利なカードではあるだろうが…。

 私もその効果を使える。私はゆっくりとこれだと思った選んだカードを墓地に送る。

 

「エリートのみ使える力を見せてあげます! 手札から『融合』を発動!! 手札の『古代の機械巨人』を3体融合させて『古代の機械究極巨人』を特殊召喚!!」

 

 

 教官が手札『融合』のカードを発動させると古びた歯車が入った機械の巨人の完全体が姿を現す。

 『古代の機械究極巨人』は『古代の機械巨人』を3体を素材にしただけあって、相手守備モンスターを攻撃したとき、攻撃力がと守備力の差だけダメージを与えることができる。

 さらに攻撃時に相手は魔法と罠を発動することができない効果まで持っている。攻撃力が4400もあることから、それを1ターン目に出すことで私に対しての牽制か。

 

 

「そして『光の護封剣』を発動します。このカードは3ターンの間フィールドに残り続けて、このカードがフィールドに存在する限り君は攻撃宣言することはできません」

 

 フィールドに三本の光り輝く剣が私の視界をさえぎるように突き刺さった。攻撃できないとなると面倒だ。

 

「これでターン終了です。さあこれで次のターンにあなたを瞬殺させてあげましょう」

 

 満足気に教官はターンエンド宣言をする。

 教官の背後にはこの体育館の建物の天井が付くくらいに巨大なモンスター。

 そのソリッドビジョンの恐怖が私にプレッシャーを与える。でも、こんなことにビビッたら負けだ。強気でいかなければ。

 

 

 

「僕のターンだよ!!」

 

 勢いよくデッキのカードをドローする。

 これで初期手札の5枚から6枚になった。まずはどうやってあのカードを倒すかが攻略の鍵かな。

 

「僕は手始めに墓地にXセイバーが2体以上いる場合にこのカードは特殊召喚できるんだ。『XX-セイバー ガルドストライク』を特殊召喚! 」

 

 1番手はこのカード!

 デュエルディスクにカードを置くと、赤いマントを羽織った獣の顔をした戦士が長い刃物を持ってフィールドに姿を見せる。

 

「くっ。私の『手札断殺』がアデとなったか…」 

 

 おかげ様で『ガルドストライク』の召喚を満たすことができた。自分ののカードが、相手のの展開の鍵となってしまうことはよくあることではない。

 

「そして『XX-セイバー ボガーナイト』を通常召喚。効果によってさらに『XX-セイバー ガルセム』を特殊召喚するよ」

 

 さらに2枚のカードを使って赤マントの剣士と獣の剣士を場に呼び寄せる。

 

「1ターンで3体の展開か…。やるじゃないか。点数に追加しておくよ」

 

 教官はデュエル中にもかかわらずに紙を取り出し、私を見ながらペンで何かを書いている。どうやら点数を付けているようだ。

 こんな小さなことでも得点になるみたいだ。だったらもっと評価してもらうためにこのカードも…。

 

「次に『セイバー・スラッシュ』発動するよ。このカードはフィールドに存在するXセイバーの数だけ表側になっているカードを破壊できるんだ」

「何っ! 私の究極のモンスターが…」

 

 フィールドのXセイバー達が3体集まってXを描くように剣を大きく振るう。

 そのクロス状になった剣スジが波動になって『護封剣』と『究極巨人』、『ガルセム』は巻き込まれる。

 これにより教官のフィールドのカードは一気にがら空きになった。これで私のモンスターの合計攻撃力は4100。決めれると思ったのだが…。

 

「少々見くびりましたが中々やるじゃないですか。だが『究極巨人』が破壊された時、墓地の『機械巨人』を復活できるのです。再び私の前に現れなさい」

「くっ…」

 

 3枚も消費したモンスターを簡単に破壊したと思ったが、追加効果があって突破できない…。そう簡単に一掃できて勝利はないのか…。

 フィールドに『究極巨人』を一回り小さくしたモンスターと言うべきか…。

 明らかに劣化とはいえ、これでも体育館を迫力にするほどその大きさは十分すぎるくらいだ。

 

「君は自分のモンスターを巻き込んでいるじゃないか。強制に選択しないといけない効果が裏目に出たな」

「違うよ。僕も『ガルセム』がカード効果によって破壊された時の効果があるんだよ。効果によってXセイバーと名のついたカードを手札に加える」

 

 『セイバー・スラッシュ』は必ずフィールド上にあるXセイバーの数を破壊しなければならない。

 自分のカードを破壊した私も馬鹿ではないよ。だって次があるんだから。

 

「効果によって『XX-セイバー フォルトロール』を加える。さらに自分のフィールドにXセイバーが2体以上いることによって特殊召喚! そして『フォルトロール』の効果。墓地のXセイバーを特殊召喚できる。『XX-セイバー エマーズブレイド』。姿を現せ!」

 

 トロールの呼び名の通りに上級モンスターらしい巨体と怪力のモンスター。

 その効果を使い、非常に強い再生能力を使って更なるXセイバーを降臨させる。これで私のモンスターは4体。

 

「笑わせるではない。これでは攻撃力3000のアンティークギアに勝てるはずはない。こんなに展開しても無駄だったようだな。せめてチューナーがいればよかったものを」

 

 教官は嘲笑しながら優越感は自分のほうにまだあると語っている。

 

「どうやら展開は終わったようだな。攻撃力3000はデュエルモンスターズ界では最強クラス。突破できるはずがない!! 君の展開はこれで終わったんだ。残念だったな。さあ私のターンだ」

「いや、これで終わりじゃないよ。そのモンスターを越えたらどうする?」

「そんなことできるわけない!!」

 

 確かに攻撃力3000はあの伝説の『青眼の白竜』に匹敵する3000。そのモンスターはなかなか突破できるものではない。

 チューナーがいたらXセイバーの切り札である攻撃力3100の『XX-セイバー ガトムズ』を呼び、倒すことができただろう。

 今回はチューナーを引くことができなかったが、私の手札はまだ一枚ある。これを使うことで可能性はあるのだ。

 

 

「手札から『団結の力』を発動」

「何っ!! そんなことってあるのか?」

「この装備カードは自分のフィールドに存在するモンスターの数×800ポイントを装備モンスターにプラスするんだ」

 

 フォルトロール 2200→5600

 

 簡単なことさ。攻撃力が足りないのならこうやって上げればいい。

 私が装備の対象にした『フォルトロール』は他のXセイバー達の意思を受け継いで攻撃力を上げていく。

 

「これで終わりだよ。『フォルトロール』で『機械巨人』を攻撃!!」

「うわあああ」

 

 教官 LP4000→2400

 

 自分の体重以上もあると思われる剣を軽々と振り、教官ののモンスターを簡単に破壊していく。

 デュエルモンスターのルールとして、そのモンスターの攻撃力からこのモンスターの攻撃力の差の数値だけライフポイントのダメージが与えられる。

 

「さあ、いくよ。残るモンスターで一斉攻撃だ」

「っ!?」

 

 残るXセイバーの集団は教官をリンチするように囲んでそれぞれ持っているたくさんの剣で切りつける。

 なんだか教官の姿がなさけないように見える。そして教官のデュエルディスクのブザーがなる。これにて実技試験は終わった。

 

 教官 LP2400→0

 

「スゲーーーー!!」

「なんじゃこりゃーーー!!」

 

 デュエルが終わるとギャラリーが騒ぎだした。今までとは違った雰囲気に私は慌てそうになるが、冷静になろうと努力する。

 どうやら私のこのデュエルの光景を見てざわめきだしたようだ。

 

「3分40秒」

「…!?」

 

 教官が時計を見てこう吐いた。私は意味がわからずに止まってしまう。

 

「君の記録さ。1ターンキルを決め、一瞬でデュエルを終わらせた。君が今の所一位だ」

「………」

「筆記試験満点って言われてたが、実技試験まで完璧とはな……」

 

「何だよ。アイツ」

「天才か?」

 

 

 ギャラリーが急に私の周りに集まり出して騒ぎを始める。この集まりに私は圧迫されそうになる。

 今までの私なら本当は驚いて女友達に「きゃー」とか「やったねっ!」言いたいところ。

 これからこの学園生活、女として隠して生活する予定だったのに開始早々目立ってしまう私。

 この学園生活どうなってしまうの?

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