遊戯王~デュエルキングを目指す少女の物語   作:魔法使い?

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第10話 『闇のデュエル』

「闇のゲームをはじめようじゃないか!!」

 

 カイザーは笑いながら恐ろしい言葉を言い放った。

 闇のゲーム……。聞いたことがある……。

 かつて、歴史上の人物がそのデュエルを行ったという。デュエルに負けたものは、精神や命を失うというルール。

 あいつが、今からそれを行おうとしようというのか……。でもカイザーって私達と同じ普通の高校生よね。そんなことできるのか?

 

「闇のゲーム。それは、てめぇが負けたら今後、全裸でこの部活に来いよ。俺様の永遠のパシリにしてやる!!」

「………。何だよそれっ!! そんなことって…っ!!」

 

 闇のゲームってただの普通の罰ゲームじゃん!

 

 負けたら全裸という条件を出されて私は少し動揺してしまった。

 裸を出すという行為は私が女だっていうことが、この変態ヤロウや、私の友達の宮城に一瞬でばれてしまう。

 そんなことになったら、私はこの学校にいられなくなる。他の学生や教師、そして神崎さんにも、広まってしまうかも知れない。

 そうなったら私の人生は……。

 

「答えはないか……。てめぇがデュエルをぶっかけておいて、逃げるつもりなのか?」

 

 だからと言って、私はこのままあいつの言いなりになるのか……?

 私にはデュエルキングになるっていう夢があったのではないのか…? デュエルに負けることに怯えている?

 そんな弱い精神でこの先やっていられるのか。

 

「ああ、乗ったよ」

「あ、あぁ…。どうなっても知らないぞ……」

 

 私は屈しない。宮城に不安そうにされた。だが、この言葉は強気で決意したものだ。

 

「だったら、僕も賭け事だ。先輩!」

「はぁっ!?」

「僕が勝ったら、デュエル部は青春溢れる部活に変わると約束してくれること。堀内先輩とも仲直りすること。デュエル部ではタバコを辞めること。あと、……そのエッチな本…。僕の前で読まないでくれ……」

 

 本来なら、デュエル部は普通の部活のように、熱い高校生活を満たす青春なんだ。

 だから、こそ私は願いを込めてこの賭け事をした。最後のお願いはちょっとだけ恥ずかしかったけど……。

 

「賭けごと多すぎんだろ!! 俺様は1つだけだぞ!!」

「賭けとは言っても別に難しいことではないじゃないですか。先輩こそ逃げてるんではないですか!?」

「俺様に立てづいておいて……。本当に殺されてぇようだな。だったら俺様も追加だ。てめぇが負けたらその小さいチンチンちょん切って女にしてやろうか?」

 

 私に対する要望がおかしい……。私は元々女だっていう突っ込みは置き、準備を始める。負けることはないだろうから。

 

「その曲がった口を僕が二度と話せないようにしてあげるよ。さあデュエルだ!」

 

 制服に隠し持っていたデッキをデュエルディスクに差し込んだ。

 差し込んだデッキは自動的にディスクによってシャッフルさせ、私とカイザーのライフ表示は4000となり、下のランプが点灯した。

 

 

 

 

 

『決闘!!』

 

ユウヤ LP4000

カイザー LP4000

 

 

 

「俺様が先行を貰う!」

「あっ!!」

 

 私がトロトロしている間に、始められた。

 本当は私が先行を貰いたかったんだけど向こうは先輩だから仕方がないか。

 意地を張っているカイザーは急いでいるようにデッキのカードをドローしたので先攻後攻を決める話合いができなかっただけなんだけどね。

 

「カードを3枚伏せてターンエンドだ! 今から女みたいなお前をボコボコにしてやるから待ってろ!」

「……」

 

 それだけか……。

 私を多めな伏せカードで挑発したようだけど無駄よ。

 急いで先行を取ったくせにデッキをぶん回さないってことはどうせ事故っているんだろ。所詮はフィールドはがら空きだ。

 

 

 

 

 

「僕のターンドロー!」

 

 6枚になった手札の束を見て序盤をどう出るか一手を考える。

 おそらくだけど私の攻撃を誘っているように見えるのよね。罠だとわかっていても3枚もある伏せカードをいち早く潰すために全身あるのみ。

 

「『X-セイバー エアベルン』を通常召喚!! そしてすぐにバトルフェイズに移行!」

 

 カードをメンコのような勢いで叩きつけると猫のものとは思えないほど長い爪を持ったモンスターがソリッドビジョンに映される。

 手始めにこのカードで相手をけん制するつもりだ。このカードは強力な効果を持っているから相手のペースを握るのには十分。

 

「いけ!! 『X-セイバー エアベルン』でダイレクトアタック!!」

 

 長い爪を生かした攻撃でカイザーに飛び掛ろうとしている。この攻撃が通れば大きなアドバンテージが取れる!!

 

「ノーガードだ!」

「!?」

 

 カイザー LP4000→2400

 

 

 

 

 『エアベルン』の爪がカイザーのデュエルディスクを切り裂いた。

 伏せカードが3枚もあったのに防げない…? あんなに強気で私のことを見下していたのに全てブラフだったなんて…。

 でも、これで『エアベルン』の効果が発動する。これで私の勝利に大きく貢献するのだから。

 

「先制ゲットだ!! 『エアベルン』の効果発動! このカードが戦闘によって相手にダメージを与えた時、相手プレイヤーの手札をランダムに捨てさせる!」

「めんどくさいから早くこっちに来いよ! 選ぶんだろ!」

 

 どうしてなのかわからないけど手札をハンデスされるってことはデュエリストでは不快なことなのに、カイザーは落ち込む様子もない。

 それなのに平然とした態度で私に堂々と手札を向けてくる。だから私はカイザーの手札のカードを3枚の中から選んでやった。

 

「さあ何を選んだんだ? そのカードの名前を言ってごらん? ヒヒヒヒ!」

 

 私は選んだカードを見て驚愕した。何で……。何でこのカードが……。

 

 

 

 

「俺様の切り札をわざわざ捨ててくれるなんてな、なんとありがたいんだろうな。感謝するぜ!」

「くそっ!」

「でもどうして……。奈々川が、先輩の手札を墓地に送ったって相当有利な行為ではないのか!?」

 

 切り札を捨てたのに悔しがる私の姿を見て宮城が疑問に思っている。

 このデュエルモンスターズ界で一番捨ててはならないカードだったんだから……。そう…。手札から墓地に送られた時に効果を発動する暗黒界。

 

 

 

「お前が捨てたのは『暗黒界の龍神 グラファ』。このカードが手札から墓地に捨てられた場合、相手のカードを強制的に破壊! さらに相手によって捨てられた場合は相手の手札をランダムに見てそれがモンスターだったら特殊召喚できるんだぜ!」

 

 手札の『グラファ』を引き裂いた『エアベルン』を返り討ちにするかのように、墓場から不気味な色をした龍のモンスターが巻き込んだ。

 さらに追加効果として私の手札のカードを見られる効果を持っている。私がカイザーにやったときのように、私も手札をランダムで選ばれなければならない。

 しかも暗黒界を使用するカイザーと違って私にはその効果の対策なんてない…。だから今度は相手の思う壺…。

 

 

 

「ちっ…。なんだよ…。はずれかよ…。まあいいか…」

 

 ランダムに選ばれたのはモンスターカードの『XX-セイバー フォルトロール』。

 幸いにこのカードはXセイバーが2体以上いなければ特殊召喚できない条件モンスターだったので相手に特殊召喚されるということはない。

 けれども…。情報アドを取られる羽目になってしまった…。私の手を知られてしまった。

 

「…。くっ…。僕は手札のカードを2枚伏せる…。これでターンエンド」

 

 私は伏せカードと共に並べる。モンスターがいないってことは今度は私がダイレクトアタックの危機に迫られる。

 

 

ユウヤ

LP:4000

手札:3枚

場 :モンスター

   なし

   魔法・罠

   伏せ2枚

 

カイザー

LP:2400

手札:2枚→3枚

場 :モンスター

   なし 

   魔法・罠

   伏せ3枚

 

 

 

「俺様のターンいくぜ!『暗黒界の狂王 ブロン』! 通常召喚だ!」

 

 私を撹乱するように手札をパチパチと音を立てながらカードをプレイさせる。

 現れたのは人間の容姿をしているのに首が異常なまでに曲がっている骸骨顔のモンスター。

 

「僕はこの瞬間伏せてあった『月の書』を発動させるよ! 効果により『ブロン』を裏守備表示に変更!」

 

 活発に動いていたソリッドビジョンも裏守備という表示になればそのビジョンもカードの裏側を表したものになる。

 普通ならばできるだけ温存して相手の攻撃時に発動したほうが得なのだが、暗黒界相手では違う解釈が取れる。

 

「僕が墓地に送った『暗黒界の龍神 グラファ』はフィールド上の暗黒界と名の付いたモンスターを戻すことで墓地から特殊召喚できる強力カード。でも、そのカードは表じゃないと召喚条件を満たせないんだよ。こうすることで、先輩の切り札は呼べない!!」

「こいつ!! 俺様の動きが読まれているだと!!」

 

 私は一生懸命勉強した知識があったからこそ、このプレイングが取れたんだ。デュエリスト同士ではカードの知識が多いほど有利だ。

 予想外の展開でカイザーは慌てて今ある手札のカードで何とかしようとするけど手札のカードは動く気配はない。

 この手札では今のターンは動くことはできないみたいね。

 

「ちっ……。しかたがないが俺様はこのままターンエンドだ!」

 

 

 

 

「僕のターンドロー!『XX-セイバー フラムナイト』を通常召喚」

 

 守備表示になったことで戦闘を簡単に破壊できるチャンスに、金色の髪をした可愛い目をした剣士を呼び出す。

 そしてすぐに相手の伏せを警戒せずにバトルフェイズに入る。

 前のターンでは『エアベルン』にライフを大幅に削ることができた。おそらくカイザーは、私の攻撃に対して守るカードがないのだろうか?

 だったらこのチャンスを逃すものか。

 

「『フラムナイト』でそのセットモンスターに攻撃だ!」

 

 小さいモンスターが得たいの知れない裏のカードに飛び掛っていく。もちろん私はそのカードは『月の書』で裏にしたカードだと知っているけど。

 伏せカードもやっぱり発動せずに普通に通った。裏になっていた『ブロン』はそのまま戦闘破壊されていく。

 

「そして『フラムナイト』の効果だよ。墓地のXセイバーを蘇生だ! もう1度僕の前に現せ!!『X-セイバー エアベルン』」

 

 墓地から呼び寄せるのはさきほどハンデスに成功したモンスター。さっきやったようにハンデスしたいけれども…。

 今は攻撃する必要性はないと思った私は、デュエルディスクのフェイズ以降スイッチを押す。

 

 

 

「僕はメインフェイズに移行するよ」

「何びびってんだよ! 攻撃するんじゃないのか!?」

 

 メインフェイズ2に移行するとカイザーは私を刺激させてきた。やっぱり手札には暗黒界がまだいるのか…?

 『エアベルン』で攻撃なんかできそうにない。

 私の攻撃をまた誘っているように見えるんだよな…。下手に暗黒界相手にはハンデスするのは相当勇気がいる。

 この攻撃が通ってれば相手のライフを800まで追い込むことができた。

 けれども暗黒界はハンデスすることで効果を発動するカード郡。これだけでも厄介なのに、相手にハンデスすると余計に効果が凶悪になるから難しい。

 私の切り札の『XX-セイバー ガトムズ』もハンデスする効果を持っている。私のXセイバーデッキと相性悪そうでやりにくいな……。

 

「僕は手札から『フォルトロール』を…特殊……」

 

 でもこれで場にXセイバーが2体そろった。どうせならさっき『グラファ』で見られた『フォルトロール』を出して展開するべきだな。

 私が手札の一番右側にある『フォルトロール』に手を掛けようとした次の瞬間…。

 

 

「させないぜ! その前に巻き戻して『マインドクラッシュ』だ!」

「え…っ!!」

 

 通称『マイクラ』。カード名を宣言することでその宣言したカードが相手の手札にある場合に全て捨てさせることが出来るカード。

 どうしてこのタイミングで?

 

「で、でも僕は優先権がある。フェイズ移行時に君はカードを使うとは言わなかった。どうして僕がカードを使用した後で使うんだよ」

「こまけえこと言ってんじゃねぇよ!! やっぱ、俺様はメインフェイズ時に『マインドクラッシュ』を打ちたかった。てめぇが俺様に発動タイミングを確認する前に行動すんのがいけないんだろ!!」

「くっ…」

「ざまあねぇな」

 

 先輩の発言に言い返せない。確かに私はメインフェイズ2に入るって言ったのに、宮城もカイザーの先輩オーラが怖いのか、講義する気配もない。

 そのまま使おうとしたカードを墓地に送った。

 このカードの発動によって私が狙っていたプレイングが大幅にずらされてしまうことになる。

 

「これで終わりじゃねぇだろうよ!! あとのカードを全部見せやがれよ!」

「何でだよ! これで処理は終わりでしょ」

「不正がないか確認するためだ! もう1枚隠れている可能性もあるだろ! いいからよこせ!」

「どっちが不正だよっ!!」

「うっせーな。どうして俺様に気持ちよくデュエルさせてくれねぇんだ!! だまれ!!」

 

 『マイクラ』の確認のためとはいえカイザーは怒ったかのような表情で私の手札のカードを雑に奪い取られてしまう。

 1枚のカードを打つだけでここまで大打撃を受けるのはショックだ。今まで私のペースだったのに……。

 ライフは有利なのになんだか、やりにくい。

 

「『リビングデッドの呼び声』に『XX-セイバー エマーズブレイド』か…。うん…。リクルーターの『エマーズブレイド』はともかく、この中で『リビングデッド』が一番うざってーな。何してくっかわかんねーしな」

「……」

 

 カイザーはじっくりと私の手札をじーっと見つめながらいろいろとカードの感想を言ったことがむかつく。

 デュエリストとあるものは、手札のカードを全てばれるという行為は裸を全て見られるくらいに恥辱なもんだよ。

 

「もういいでしょ! いいから返して!…」

「焦るなよ。バーカ! そんなに俺様に見られるのは嫌か?」

 

 2枚しかないのに長い時間私の手札を見ながら手札を見ているから、もういいだろうと勝手に解釈した私は手札を無理やり奪い返した。

 私は伏せカードをセットせずにターンエンドの宣言をする。伏せない理由はピーピングされたあとに伏せるとなるとそのカードは相手にバレバレだから出来ない。

 

「おっと…。俺様はエンドフェイズに『暗黒界に続く結界通路』を使用するぜ! このカードにより自分の墓地の暗黒界と名のつくカードを特殊召喚できる。再び俺様の前に来い! 『暗黒界の狂王 ブロン』!!」

 

 このターンに戦闘破壊した首の曲がった骸骨の戦士がフィールドによみがえった。

 

 

 

 

 

「俺様のターン! ドローといこうか! 前のターンでは邪魔されたがこれでようやくあいつを呼びことができるんだからな!」

 

 手札をドローしてカイザーはまるで『ブロン』のようにボキボキと首を鳴らしながらゆっくりと私の顔をじっとみる。

 奴の狙っているのは明らかに私のターンに防いだカード……。

 

「『ブロン』を手札に戻すことでこのカードは特殊召喚できるチェーンに乗らないルール効果だ! 現れろ! 『暗黒界の龍神 グラファ』!!」

「……。僕は召喚時には何も発動しないよ」

 

 ゴゴゴと渋い効果音と共に地面から悪魔の顔を被った龍がブロンを持ち上げて特殊召喚される。攻撃力2700…。

 もちろん今の私にこの召喚を止める方法などない。この召喚はアドバンテージを失わずに狙える…。なんて恐ろしいカードなんだ。

 

「そして今、戻した『ブロン』を手札から召喚! 俺様はバトルフェイズに入るぜ!」

 

 しつこいようだけど3回目の『ブロン』が登場する。この召喚のあとにカイザーはバトルフェイズ移行のスイッチを押した。

 

「『グラファ』で『フラムナイト』に攻撃だ!」

「させない! 『フラムナイト』の効果発動! 1度だけ攻撃を無効にする!」

 

 カイザーが私の方面に指を指すと龍神が紫色の黒炎を『フラムイト』に向ける。

 小さい剣士でありながらも持っている小剣を振り回し三角形の紋章を作ると結界のような物を出して炎を防ぐ。

 

「でも『ブロン』の攻撃が残っているぜ。『フラムナイト』に止めをさしな!」

 

 フィールドにいるときに1度しか使えない効果を使い切ったためこの攻撃は伏せぐことは私はできない。『フラムナイト』はそのまま破壊される。

 

 ユウヤ LP4000→3500

 

「さらさらに! 相手に戦闘ダメージを与えた時に『ブロン』の効果発動だぜ! 手札のカードを1枚捨てることができるんだよ」

「僕のライフを削るより『ブロン』の効果を優先したのか!」

 

 攻撃力が高い『グラファ』を囮にさせることで『ブロン』の発動条件を満たすことに狙いがあったようだ。

 そして効果によって『暗黒界の武神 ゴルド』が墓地に送られる。

 

「そして、そして! 『ゴルド』は手札から墓地に捨てられた時、フィールドに特殊召喚ができるんだぜ! これでさらに追い詰めてやる!」

 

 黄金に輝く武装した悪魔がフィールドに姿を現す。このことからカイザーは僕のライフを狙うよりボードアドを重視したってことか…。

 

「まだバトルフェイズは終わってない! 俺様は『ゴルド』で『エアベルン』を攻撃!」

 

 バトルフェイズでの特殊召喚ってことはこのカードでさらに私を追い込めるために反撃をするつもりだな。

 この攻撃を私はそれを止めるべくセットカードに手を付ける。

 

「僕はトラップカードをオープンさせる! 『身剣一体』を発動!」

「何だ? それは?」

 

 カイザーは『身剣一体』の効果がわからないようなので私は説明をしてあげる。

 

「『身剣一体』は自分の場にXセイバーが1体しか存在しない場合に発動できるカード。これによって『エアベルン』の攻撃力を800ポイント上げるよ」

「ちっ…。これじゃあ攻撃力上回ってしまったじゃねぇか…! くっそったれ!!」

 

 Xセイバー エアベルン 攻撃力1600→2400

 カイザー LP2400→2300

 

 

 攻撃力を100だけ上回った『エアベルン』が『ゴルド』を粉砕して返り内にした。

 舌打ちをしながらカイザーは壁を大きな音が出るように叩いていることから、作戦通りにうまくいかなかったことを意味する。

 

「しょうがないか…。まあいい…。じゃあ俺様はこのままターンエンド」

 

 仕方がないと諦めてすぐに機嫌を直すとターンエンドを宣言した。さあ、私のターンだ! 

 

 

ユウヤ

LP:3200

手札:2枚→3→4 (リビングデッドの呼び声とXX-セイバー エマーズブレイド)

場 :モンスター

   X-セイバー エアベルン(攻撃力2400)

   魔法・罠

   身剣一体(エアベルンに装備)

 

カイザー

LP:2300

手札:2枚

場 :モンスター

   暗黒界の龍神 グラファ

   暗黒界の狂王 ブロン

   魔法・罠

   伏せ1枚

 

 

 カイザーのフィールド上のモンスターに少々驚きながらも、ドロー加速によって手札が増えた私はこの展開を打破する方法を考える必要性がある。

 

「僕のターン!ドロー!『エアベルン』で『ブロン』に攻撃だ!」

「ノーガードだよ! ちっ!」

 

 まずは『身剣一体』の効果でさらなる手札を増やすためにとメインフェイズ1を飛ばして攻撃宣言に入った。

 舌打ちをまたしてイライラしているけれどカイザーはこの攻撃は防がなかった。いや、防げなかったというべきか。

 

 カイザー LP2300→1700

 

「『身剣一体』の効果でワンドロー」

 

 私はカードの処理によってデッキの上に手を掛けてカードを持っている手札の束に加える。

 

「このカードは……」

 

 今引いたカードは『エネミー・コントローラー』。中々いいタイミングで手札に持ってくることができた。

 速攻魔法のため、今使うことができる。

 

「さらに『エネミー・コントローラー』を発動。1つ目の効果を使い『エアベルン』をリリースして『グラファ』をコントロールを僕の元へ移動させる!」

「チンコ小さい癖にいちいちチマチマと動きまくりやがって…」

 

 そしてゲームのようなコントローラーのカードを使用させて『グラファ』に配線を指すとそのまま移動して私のカードのように扱った。

 あいつの場のモンスターはこの行動によってゼロ。ライフは2300。つまり……。

 

「これでとどめだ! 『グラファ』でダイレクトアタック!」

 

 この攻撃が通れば私は勝てると勝利への希望を持って勢いよくカイザーを指で指名する。

 

 

 

 しかしそう簡単にうまくいくはずもなく…。

 

「これで終わりだと思ったのかよ…。手札から『バトルフェーダー』の効果発動!」

 

 手札から鐘の音色が部室に鳴り響くと私のモンスター達は攻撃する目付きをやめて大人しくなった。

 

「…。僕はモンスターを1枚セット。そしてリバースカードを2枚伏せてターンエンド…」

「だがな! これで俺様の『グラファ』を返してもらう!」

 

 とどめをさせなかった私は少々落ち込みながらも持っているカードを大量に伏せて守りの姿勢に入ろうとする。

 ここで処理しきれなかった『グラファ』をエンドフェイズ時に持ち主に戻す行為はかなり痛い。

 

 

 

 

「ドロー。セットしてあった『強欲な瓶』を表にして1枚ドロー。そして『暗黒界の門』すぐに発動だ! このカードが存在する時、フィールド上の悪魔族モンスターの攻撃力は300ポイントアップするんだぜ」

 

 これでカイザーの先行3枚セットしたカードは全て表になった…。

 フィールド魔法が発動されるとカードで溢れているデュエル部の景色が一変して、部室の中央に大きな黒い門のビジョンが映し出される。

 暗黒と名のつくことだから実際は綺麗なもんじゃないよ。それでもこの景色が決闘の舞台としてのやる気が出てくるけど。

 

「『暗黒界の門』の効果!『ゴルド』を除外!『暗黒界の術師 スノウ』を墓地に捨て1枚ドロー!そして『スノウ』は捨てられた時、デッキから暗黒界と名のついたカードを持ってこれる! 俺様は『暗黒界の雷』を持ってくる」

「くっ…」

 

 カードを次々と入れ替えてくるカイザーの行為は細かいだろうけど確実にアドバンテージを稼いで私に重い一撃を与えようとしている。

 私にこの展開を防ぎきれるのだろうか…。

 

「『暗黒界の雷』発動! 俺はその目障りな裏側のカードを破壊だ!」

「…っまずい…」

 

 大きな雷が私のセットカード目掛けて降り注いだ。カイザーが選択して破壊されたカードはモンスターカードだった。

 

「っっはっは…。お前の伏せカードは1枚は『リビングデッドの呼び声』なんだろ! バレバレだっつーの!『エマーズブレイド』を破壊だ!」

 

 満足気味の声で私に言い聞かせる。けど…。そのカードは…。

 

 

「残念だったですね。先輩!」

「なんだと…!」

「先輩が破壊したのは『XX-セイバー ガルセム』。リクルーターである『エマーズブレイド』を破壊しようと企んでいるということはわかった。だからこのカードをわざわざ選んで伏せたんだ」

 

 この狙いはわかっていたんだ。『マインドクラッシュ』でわかっているからこそカイザーは私のセットカードの『エマーズブレイド』を伏せるだろうと…。 

 『暗黒界の雷』は裏のカードを破壊する。その為、チェーンでカードを発動されて表にされてしまうと、手札を捨てる効果が使えなくなる。

 そのため、カイザーは『雷』を魔法罠カードに打たなかったのは、このためだろう、

 多少ためらうプレイングだったけれども私の細かいフェイクを使ってうまく騙せたみたいね。

 

「『ガルセム』の効果でカード効果で破壊された時にXセイバーをデッキから手札に加える」

 

 デッキの束をデュエルディスクから取り出して『XX-フォルトロール』を考える暇もなくめくって選んだ。

 さっき『マインドクラッシュ』で見事に捨てられちゃったけどXセイバーデッキにはこのカードはキーカードだからね。 

 

「でもなー。そんな余裕がお前にあるのかよ!『雷』の効果で手札を1枚捨てる。そして『暗黒界の狩人 ブラウ』が墓地に送られた時、デッキからカードを1枚ドローできる効果があってな! ハハハ。これでお前を守るモンスターはいなくなったな。バーカ! 」

 

 カイザーは再び手札をドローする行為を取る。

 

「俺は『グラファ』でダイレクトアタック!」

「うわあああああああああ」

 

 無に等しい私のフィールドに直接『グラファ』のソリッドビジョンである火炎がモロに受ける。

 

 ユウヤ LP3200→200

 

「虫の息ってことか? 俺はカードを2枚伏せてターンエンド!」

 

 何とか耐え切ったけれども残りライフは3桁しかない…。まずい…。

 『リビングデッドの呼び声』で『フラムナイト』を呼んでこの攻撃を防ぐという選択誌もあったけれど、まだ持ちこたえると思ったから使わなかった。

 でもライフ3000も失うってことはもったいなかったかもしれない…。

 

 

ユウヤ

LP:200

手札:2枚→3枚 (X-セイバー エマーズブレイドとXX-セイバー フォルトロール)

場 :モンスター

   なし

   魔法・罠

   伏せ2枚 (リビングデッドの呼び声)

 

カイザー

LP:1700

手札:1枚

場 :モンスター

   暗黒界の龍神 グラファ

   バトルフェーダー

   魔法・罠

   暗黒界の門

   伏せ2枚

 

 

「僕のターンドロー!!」

 

 カイザーに少しずつ追い込まれていく私は焦りを感じながらも、なんとしてでも手札のカードと睨めっこしながら勝ち筋を探していく。

 長期戦に持ち込むほど不死身の『グラファ』により少しずつアドバンテージの差が開いていくから何としてでも速攻で勝たないとまずい気がする…。

 だが、今引いたカードは『大嵐』。お互いの魔法罠カードを全て破壊できるカードだ。

 これを通すことができたら、あいつの守りのカードを全て消し去ることができるかもしれない。

 今、あいつの伏せにはおそらくさっきのターンの回転で引いた守りのカードなのだろう。

 

「僕は『大嵐』を発動!」

 

 私は考えたとおりに発動させる。

 自分のカードも破壊されてしまうが、それに巻き込む形で『リビングデッドの呼び声』を発動させて『ガルセム』を蘇生すれば、再びサーチ効果を発動できる。

 前のターンに発動させずに残してしまったのは、プレイミスだと思ったけど、結果オーライだったのかな?

 

「これを通すわけにはいかねぇな!『魔宮の賄賂』! 魔法・罠の発動を無効に破壊する! でもお前はそのおまけとしてカードを1枚ドローできる! さあ引きな!」

 

 やっぱり強力な制限カードは、中々通すことができないなー。

 厄介な『門』と見えない伏せカードを飛ばすのは無理だったけれども私はカードをドローできる。

 手札を増やしていくと共にこのあとの展開をじっくりと考える。

 

「『X-セイバー エマーズブレイド』を通常召喚…。さらに墓地の『XX-セイバー フラムイト』を選択して『リビングデッドの呼び声』を発動!」

 

 複数の手で剣を持った昆虫の剣士とカイザーにばれてある伏せてあったカードを使ってさらなる展開をこころがける。

 

「さらに自分の場にXセイバーが2体以上存在するから『XX-セイバー フォルトロール』を特殊召喚! そして効果起動!」

「させるかよ! ライフを1000ポイント払って『スキルドレイン』発動だ。これにより、フィールド上の全てのモンスターの効果は無効になるぜ!」

「くっ」

 

 カイザー LP1700→700

 

 

 

 このタイミングで『スキルドレイン』か……。

 効果を無効にされてしまった…。けれどもこれでカイザーは1000ものライフを失ったってことだ。

 残りライフは私と同じ3桁。効果が使えないなら別の展開をするまで。

 

「だけどまだ僕は展開できる!レベル6の『フォルトロール』にレベル3の『フラムナイト』をチューニング! 剣の主の王よ。我が元に降臨して巨大な剣を抜け!シンクロ召喚!現れろ『XX-セイバー ガトムズ』」」

「攻撃力3100だと!!」

「先輩のデッキの弱点見つけたよ」

「笑わせんな。俺様の最強デッキに弱点なんかねぇよ」

「いや、それがあるんだよ。暗黒界のキーカードは『グラファ』だって知っている。散々苦しめられましたからね。つまり、暗黒界の弱点は『グラファ』に頼りっきりってことだ。こいつの攻撃力は『門』込みでも3000止まり。つまり攻撃力3000以上のモンスターを出されると反撃できなくなるってこと。先輩にこの3100を超えることなんかできるか?」

 

 カイザーのデッキは全ての暗黒界モンスターを踏み台にして『グラファ』を使いまわす構築になっている。

 つまり私はシンクロ召喚をして切り札である『グラファ』の攻撃力より100だけ大きい総司令官を呼んだのだ。

 『スキルドレイン』で効果は発動できなけれども、このハンデスする効果は暗黒界相手では無意味なんだけどね。

 攻撃力が高いってことに意味がある。効果がなくても別に問題ない。

 

「『ガトムズ』で『グラファ』に攻撃!」

「ぐわぁ」

 

 カイザー LP700→600

 

 自分の身長以上もあろうかという剣を軽々と持ち上げて黒い悪魔の龍に切りかかり粉砕した。

 

「そして『エマーズブレイド』で『バトルフェーダー』を攻撃! カードを1枚セットしてこれで僕はターンエンド」

 

 さきほど大きく邪魔されたカードを倒すとこのままこのターンを終わりにする。

 今、伏せたカードは『ガードブロック』。低い攻撃力を晒した『エマーズブレイド』の戦闘ダメージを0にして次のターンに繋げる…。

 これで次のターンをしのいでこのまま勝ちに繋げるという勝ち筋が私にはあるんだよ。

 

 

 

「俺様のターン! ドロー!『暗黒界の門』発動! 墓地の『ブロン』を除外してこのカードを捨てるぜ!」

 

 次のターン。破壊できなかったカードを利用してさらなる手札増強をするカイザー。

 次に捨てた暗黒界は何であろうと簡単に『ガトムズ』が突破されるはずがないと言い聞かせていたはずだったんだけれども…。

 

「っ! そのカードは2枚目の…」

「お前は言ってたよなーー。暗黒界は『グラファ』頼りすぎのデッキってな…。確かに『グラファ』頼みだけれどもこれならどうだよ。俺様の運はまだまだいけるってな!」

 

 私は捨てたカードを見て圧倒的なカイザーの力の前に凌駕する。

 あのカードは1枚だけではなかったのか?

 

「そうだ!もう1枚の『グラファ』だよ。1枚ドローして『グラファ』の効果で『ガトムズ』を破壊だ! 」

 

 2枚目の『グラファ』が落ちて私の希望であった『ガトムズ』が『グラファ』と共に道連れにされて破壊されてしまう。唯一の私の希望が…。

 私の切り札が破壊されてしまったことにより、『グラファ』の攻撃力に勝てるモンスターがもうデッキに残っていない。

 

「次は『暗黒界の尖兵 ベージ』を召喚してこいつを戻し『グラファ』を特殊召喚! さらに『死者蘇生』を発動して墓地の『スノウ』を出して『グラファ』を呼び戻す!」

 

 『グラファ』の召喚コストとして次々とモンスターが手札に戻って一気に2体も並んだ…。

 アドバンテージを失わない召喚方法…。こんなことって……!

 

「これで終わりだな! お前は大人しく罰ゲーム通りに全裸で部活を来るってわけだ!『グラファ』で『エマーズブレイド』に攻撃!!」

 

 忘れていたけれどもこの決闘は罰ゲームを掛けたデュエルだったんだ…。

 このデュエル部の未来と私のデュエルキングになるという精神から決して負けてはいけない戦いだったということを…。

 

「『カードブロック』の効果発動! 1度だけ戦闘ダメージを無効にして1枚ドローできるんだ!」

 

 予定は狂ったが前のターンに予測していた攻撃を防いだ。私はまだ戦える…。次のターンで何とかすれば…。

 

「そして『エマーズブレイド』の効果で再び『エマーズブレイド』を守備表示で呼び出す! これならまだ数ターン耐えることができる!」

 

 リクルート効果で同盟カードを呼び出したけれども所詮は時間稼ぎにしかなってない。このままだと少しずつ敗北に向かっていってる。

 

「だが持ちこたえたところで不死身の『グラファ』の布陣は簡単に突破できない! これでターンエンドだ」

 

 私は目をつぶってデッキのカードをドローしながら勝てる手段を思考する。

 1枚のある伏せはずっとセットしてあった『レインボーライフ』。いつ使うかずっと温存してたカード。

 だからってデュエルは遅延できるから負けるってことはない。

 そこで隙を見て逆転を探るというプレイングでは駄目だ…。カイザーの場にある『スキルドレイン』と何度でも復活する『グラファ』が私の逆転の糸を邪魔する。

 ではどうすれば…。

 

 

ユウヤ

LP:200

手札:0枚→1→2枚

場 :モンスター

   X-セイバー エマーズブレイド

   魔法・罠

   伏せ1枚

 

カイザー

LP:600

手札:2枚 (暗黒界の術師 スノウ 暗黒界の尖兵 ベージ)

場 :モンスター

   暗黒界の龍神 グラファ×2

   魔法・罠

   暗黒界の門

   スキルドレイン

 

 

「僕のターン! ドロー」

 

 最後の最後で引いた手札のカードを見たけれども直接的に600の命のカイザーを止めを指す手段はない。

 けれどもなかなかいいカードを引いたんだ。初めてやるけど、これから私は面白いことを思いついたからこれに挑戦して見る。

 

「『おろかな埋葬』を発動! 効果で僕は『X-セイバー パロムロ』を墓地に送るよ」

「いまさらそんな屑カードを墓地に送っても無駄だ」

 

 確かにカイザーから見れば何の価値もないカードかもしれない。

 しかし私にはこの世には不必要なカードなんて存在しないっていう考えを持っている。それを思い知らせてあげるから…。

 

「『エマーズブレイド』を攻撃表示に変更して『グラファ』に攻撃!」

「血迷ったか! それでは自爆だ! 俺様に勝てないからってサレンダーを選ぶより死を選ぶというのか? 自滅しても俺様の言った通りに闇のゲームの罰は受けるはめになるんだぜ」

「それはどうかな!? 先輩!!」

 

 カイザーは私の読めない予想外な動きに驚きを隠せない。この特攻によって普通ならば私のライフは0になる。

 この特攻もあるカードと組み合わせることで強力なコンボに化けることとなる。

 

「手札を1枚捨てて『レインボーライフ』発動!」

「何をするつもりだ!」

「このカードが発動したターン中に受けるダメージは全て無効になってその数値分回復することができるカード。これによってこの特攻は1700ライフポイント回復」

 

 ユウヤ LP200→1900

 

 ソリッドビジョンである苦しみのダメージは癒しに変わり私の体を包む。これによって大幅にライフポイントが動いた。

 

「『エマーズブレイド』の効果で攻撃力1500以下のモンスター『パロムロ』を呼び寄せる。そして先ほど墓地に送った『パロムロ』の効果発動! 他のXセイバーが墓地に送られた時、このカードは500ライフポイントを支払うことによって墓地から特殊召喚できる。『スキルドレイン』はフィールドのみ効果を及ぼすカード。墓地からだったら問題ない!!」

 

 ユウヤ LP1900→1400

 

「『スキルドレイン』は表側墓地の発動は無効にはできないのを裏目にとったか…。だが、いくらモンスターを並べようが無駄だ! 『グラファ』の前には無力だ!!」

 

 確かにカイザーの言う通りにいくらモンスターの数を増やそうが相手の布陣を突破することはできない。

 それでもなお私のターンは続くんだ! もっともっとこれから長いターンがね…。

 

「『パロムロ』で『グラファ』を攻撃!」

「また自爆か!!」

 

 再び同じ光景を2人は目にする。 

 

 ユウヤ LP1400→3200

 

 もう1度特攻をして『レインボーライフ』によって大量に回復した。

 初期のライフ4000に近い数値になった。今まで私がピンチだったという面影すらない。

 

「そして『パロムロ』で『グラファ』にアタック!」

 

 ユウヤ LP3200→5000

 

「『パロムロ』が戦闘破壊されたことにより再び墓地の『パロムロ』の効果発動! さらに蘇った『パロムロ』でもう1回『グラファ』に攻撃だ!!」

 

 ユウヤ LP5000→4500→7200

 

「まさか…」

 

 私がとっさに思いついたコンボに衝撃だったカイザーは思わずこの言葉を口にした。

 

「そうだよ。これは無限ループコンボだ。それもライフポイントが無限に回復するという超絶コンボ。止められないならずっと続くんだ」

 

 私は永遠に『パロムロ』のループによってライフポイントを少しずつだが地道に増やしていく。

 デュエル部が挑む本来の大会ならば1ターンの制限は3分と決まっているけど、今行っているのは闇のデュエルとは言っても、そこら辺と同じフリーデュエルだからルールは定まっていない。

 だから私はこのコンボを永遠に続けることができるんだ。私はループを途切れぬよう、ライフポイントをずっと回復させた。

 

 ユウヤ LP7200→6700→8400→7900………

 

 

 

ユウヤ

LP:891600

手札:7枚

場 :モンスター

   X-セイバー パロムロ

   魔法・罠

   伏せ5枚

 

カイザー

LP:600

手札:6枚

場 :モンスター

   暗黒界の龍神 グラファ×3

   暗黒界の尖兵 ベージ

   セットモンスター

   魔法・罠

   暗黒界の門

   スキルドレイン

   伏せ3枚

 

 

「すげぇ…。何が起きてんだよ…。俺、ライフが十万超えているのを見るのなんて生まれて初めて見たよ…」

 

 このデュエルをずっと見ていた宮城はこの状況を見て感激する。このありえないライフを見るなんて普通のことではないからだろう。

 

 

「僕はこれでターンエンド。手札宣言によって僕は6枚になるように捨てるね」

「くっ。残り891600のライフ…。あと何回『グラファ』で攻撃すればいいんだ……。雑魚の癖に…生意気な……」

 

 あれから無限ループを続けてから1時間くらい経過した。

 私のライフは十万を超え、まるで別次元のカードゲームというかのような数値になった。

 カイザーの『グラファ』3体の鉄壁に反撃する手段がない私はただひたすら『パロムロ』を使って永遠に絶えるのみ。

 勝負は永遠につかないと思うのだけど私には勝てる自信がある。

 なぜならカイザーは『暗黒界の門』を使ってドローを大量にしているために、私よりデッキは数枚だけど少ない。

 ずっとこの状況を覆す動きが何も起きずにターンが経過してくれればこのままずっとやり過ごせばデッキ切れで勝負がつく。

 

「『暗黒界の取引』を発動。効果によってお互いに1枚ドローしてお互いに1枚捨てる」

「どうぞ。チェーン発動はないよ」

 

 このターンもカイザーはひたすら普通の人が削れ切れないライフを削ろうと焦ってプレイしているけれど所詮は無駄だな。

 無駄だと思いつつも『暗黒界の取引』を私は通す。私とカイザーは『暗黒界の取引』の処理でカードを捲っていらないカードを捨てる。

 これによって私のデッキは4枚でカイザーのデッキは1枚になった。もうすぐでカイザーのデッキが0枚になって勝負がつく。

 デッキが0になったプレイヤーはいくらライフがあろうかと負けになるという強制ルールがある。

 

 

 

 

「『メタモルポット』を反転召喚!! そしてこいつのリバース効果を発動だ!!」

「…っ!?」

 

 ライフが大幅に増え、止まっていたフィールド上に放置していたセットカードが表になった。

 『メタモルポット』。リバース時に互いの手札を全て捨てて、互いに5枚になるようにドローするカード。

 もちろんそのセットカードを止めるカウンター罠なんて別に伏せていなかったのでこのまま通してしまう。

 

「びっくりしましたが、先輩は忘れているようですね。それは『スキルドレイン』で無効になっているってことを」

「たしかに、このままだとリバース効果は無効になっちまうなーー。でもこれならどうだ。俺様は『メタモルポット』の効果にチェーンして『月の書』を発動!!」

「っ!?」

「てめぇも言っていたよな。『スキルドレイン』はフィールド上で表側になっているモンスターの効果を無効にするって。だった裏にすれば問題ねぇ」

「くそっ。僕にそれを止める手段がない!!」

 

 私が序盤で使ったカードと同じカードを使われる。さすが世間では汎用性カードと言われているであって、こんな使い方があったなんて……。

 

「これで効果が有効になった。さぁ、てめぇは手札を全て捨てて、5枚ドローしな!!」

 

 この状況で手札をドローすることはどうなるかは私とカイザーは知っている。このドローでデュエルの決着が付くということを。

 2人はデッキを1枚、1枚ゆっくりとカードをめくる。そして……。

 

 

「デッキがない…。これ以上ドローは……」

「俺様もデッキがないなーー」

 

 お互いにカードをドローしたが、ここで止まってしまう。

 お互いにデッキも少なかったから2人はデッキのカードも足りなかった。

 カイザーは棒読みでデッキがないことをアピールする。

 『グラファ』で殴り勝つんじゃなくてこれをするために、ずっと耐えていたのが本当の理由だったとは…。

 

「お互いにデッキがなくなってことは…」

「俺様は納得いかないが引き分けってことだなぁ…。無限ループなんてふざけたことしやがって!」

「くっ」

 

 私とカイザーのデュエルはお互いにデッキをなくしたことで引き分けだった。

 流石、自称エースっていうだけであってこの実力か……。

 ところで、デュエル前に決めていた賭け事ってどうなってしまったんだ?

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