あるブログで紹介されたり、お気に入りで一気に増えてやる気が出てきたけど
中々更新できなくてすみません
「ユウヤっ。昨日からデュエル部に入ったんだって」
「うん。そうだよーー」
いつも通り学校が終わり私と神崎さんは手を繋ぎながら廊下を歩く。
私が神崎さんと付き合い始めてあれから約1ヶ月の歳月が立った。
人間っていう物は恐ろしいもので、どんなことでも時間がたつと慣れてしまう。
初めは、神崎さんと手を合わせるだけでも、緊張して顔が真っ赤になってしまうのに、今では別になんともない。
こんな関係はいつまで続くのやら……。
「はい。これ、プレゼント!!」
「ん?」
制服の胸ポケットから神崎さんは何かを取り出し、それを私に渡してくれた。
貰ったのはカードだった。
「私からの友情の証としてプレゼント」
「いいのか?」
「うん。本当はカードじゃなくて物がいいかなーって思ったけど、あんたはデュエルが好きなデュエル脳だからカード。部活をこれから頑張る記念にね。最終的にはデュエルキングになるのが、目標なんでしょ。だったら、このカードを使って頑張りなさい」
「僕がデュエル脳って……。でも僕の為にありがとね」
デュエル脳って言われるのは気に食わないけど、私の為にカードをあげてくれたのはとても嬉しい。
神崎さんから貰ったカードは『レスキューキャット』と『ラストバトル!』と『天使の施し』の3枚。
どれも禁止カードだった。
3枚ともデッキ構築の際に全て入れることはできないが、どれも禁止という改定で選ばれているだけであってどれも、1枚だけでピンチな状況を切り抜けることができる強カードだ。
どれも、お金がない私にとって高価なカードだったから、神崎さんのプレゼントはありがたい物だった。
『強欲な壺』しか私は禁止カードは持っていなかったしね。
まぁ、禁止っていっても1枚だけしかデッキに入れられないから、40枚の中から引くことは難しいが、切り札という存在になるだろう。
「あと、知らない人には絶対についていかないこと。門限7時までに戻ってくること。今日のご飯はあんたが大好きなカレーだからね。楽しみにしててね」
「はいはい」
すっごくどうでもいいことを私に話した。言い方がとっても優しかったので「私のお母さんかよ」と思った。
でもこれだけ心配されるととっても嬉しい。
「がんばってね。部活! 私、応援しているから」
「ありがとう!!」
手を振ってここで分かれる。
神崎さんも私と真似て手を振りながら気持ちの良い笑顔を見せてくれる。
彼女の容姿がとても良いものもあるが、その笑顔が美しいほど可愛いと思って見とれてしまう。
って……。女の子に興味を持ってどうする……。
「さてと、デッキ構築がんばらないとな!!」
神崎さんの期待に答えられるように、今日もデッキ構築がんばるぞーー。
◆◆◆
時計に午後の9時と長い針金で指された時間、薄暗い体育館の道具置き場にに2人の少女がお互いに向かいあっていた。
1人は羞恥心が湧き上がっているあまりに顔を赤くしている。
何故か冷たい地面に裸足で白いパンツと胸を隠す下着1枚の姿を隠しながら左手と右手を使い多い隠している。
『ホラホラ。全てを私に晒しちゃいなよ』
『やめてください……』
もう1人の女性は下から上へと体全身を舐め尽すような触り方をしながら下着姿の女性を責め続ける。
責められている女性は嫌がって恥ずかしさのあまり目を逸らしながら、その行為を受け続ける。
『やっ…』
『あなたってここが弱かったのね』
『きゃっ』
『ほれほれーー。ここプニプニしてるーー』
『許して……』
『何で? こんな楽しいこと止めるわけないじゃん』
触られると敏感になっている体に釣られて声も反応してしまう。
その声はとても弱弱しく荒いものだった。
『私ね。あなたのことが好きだったの』
女性同士の行為が禁断なことだとわかっているからこそ余計に死ぬほど恥ずかしいことだと実感させられる。
『っ?』
『大好き!!』
思ぬ行動を取られてその女性は驚いた。
徐々に手の道筋が顔へと近づいた時、いきなり女の子同士でキスをされてしまったのだ。
『あなたのキスの味…。とてもおいしいわ。甘くて癖になっちゃいそう』
『変なこと言わないで……』
舌を入れられ口の中を激しくされたことにより、出てきた2人の舌は、涎が結晶となったかのようにくっついて出てきた。
『だめぇえええ。私達女の子なのよ…』
『もう1回チューしようよ…。夜のデュエルはこれからよ』
もう1度2人は口と口をくっ付けながらクチャクチャ音を立てながら激しい行為をする。
女心がまだ残っている女性は懸命にキスを阻止しようとしても、この逃げずらい雰囲気に圧迫されてうまく実行することはできない。
◆◆◆
「ブッーーーー」
「うわっ! 奈々川きったねー!」
私はデュエル部の部室でのんびりとペットボトルのお茶を飲みながらデッキ構築をしていたので、このビデオの展開に思わず吹きだしてしまった。
噴出したお茶を見て隣に座っていた宮城はその姿を見て私のことを見ながら大うけしている。
この内容は女性の私にとってはキツイものだった。
それと私、奈々川ナナは男として奈々川ユウヤとして生活している為に、今現在進行形で神崎ミカと付き合っている。
どうしてもこのビデオの内容と照らし合わせてしまうんだよな…。変なこと想像しちゃう…。
いつか私と神崎さんの関係が進むと、今さっき見た『JKとJKの夜のデュエル』のビデオタイトルのような激しいことをするのだろうか。
それと、今日はじめて知ったけど、夜のデュエルって夜中にデュエルすることじゃないんだな。
今までの自分が恥ずかしい……。平気で私は馬鹿みたいに使ってたしな。宮城が何度もこの言葉を言っていたのはこういう意味だったのか。
「つぅか。奈々川の趣味のレズものっておもしれぇなこれ。これとジンジャエールだけでいくらでもおつまみいけんな」
目が悪くなるくらいの距離でお菓子の袋を片手にテレビの前を占領しながらリーゼントの男は感想を言った。
ここの部活のエースの中里カイ。通称カイザーと呼べといわれている男は股間部分を掻きながら大声で叫んでいる。
本来ならデュエル部の部活といえば大会に向けてデッキ調整だとかデュエルの練習とかするはずだっていうことはわかっている。
今はいないがガチホモの堀内先輩、女好きな先輩変態カイザー、ビビリな私と同じ同級生の宮城と、ここのことを何も知らない私あわせて4人だ。
人数は十分いるからビデオを見るほど部室は暇ではないから部活できると思うんだけどなぁ…。
デュエル部は元々3人いたはずさ。
私が男子寮で確認した写真にははっきりと見えた。いかにも楽しそうにさわやかに楽しそうに写っている写真が。
その写真の内の2人は、堀内先輩とカイザー先輩らしき人物だと私は確信した。
あんなに男達が爽やかにしていた姿が、1年でこんなに変わってしまった理由はわからないが、今のこの状態から荒れてしまったとわかる。
でも、部活動の練習は一切やらないといえども本当にここのデュエルは一流だった。
エースであるカイザー、高校デュエル大会で結果を残しているの堀内先輩がいることからここのデュエルの腕はそうとうガチだそうだ。
それなのに部活の活動はやらない。理由は荒れているからだそうだ。
私は毎日部活をするっていっても変なビデオの閲覧だけが毎日の日課となっている。
本当はこないだのデュエルの賭け事でデュエル部の活動してくれるという約束だったんだけどな……。
私とカイザーのデュエルが引き分けだった結果のせいで、こんな有様さ。
「暇だなぁ…」
暇ならデュエルとか部活動しろよといいたい。でもカイザーの性格の悪さを知っている私にはそれができない。
ぼりぼりと背中をだらしがなさそうに描くカイザーの姿を見ていると、大会が始まるまで本当に何も活動をやらないと思ってしまう。
私には大きな夢を持っている。その夢を叶えるためにはこの部活で何か行動するしかないのか……?
でも、活動するっていっても会話がまともにできないカイザーは論外として、堀内先輩は男好きな性格のせいで話しかけにくい。
だからって私の友達の宮城とデュエル部の活動をしようと思っても、宮城超デュエル弱いしなー……。
「部活ってこういうもんだったのか。クーラー超効いてるし、居場所いいな。ここでゲームやってもいいし、漫画も自由に読んでもいいし、ソファーでゴロゴロしてるだけでもいいなんて、俺の今までやっていた帰宅部の生活とあんま変わらないんだな」
「………」
宮城は携帯ゲームを弄くりながらこう言っている。
「この部活は恐ろしい」と言っていた宮城も、このグーたらした何もしないこの部活に自然になれてしまっている。
あんなに部活に対して恐怖心を持っていた宮城はどこにいったんだか。
「それに、カイザー先輩が毎日見ているエロビデオも、エロ漫画もここなら見放題だしな。家だとカーちゃんにばれるの怖いけど、ここなら天国だ!!」
「俺様カイザー様のおかげだ!! ありがたく思えよ!! 糞チン一年生!!」
カイザーとなじむのが早すぎる宮城。最近思ったことなんだがよく考えたら、私と関わっている人間って変態しかいないな……。
デュエル部の活動はこんなだらだらとした生活を送っている中、私は一人寂しく神崎さんから貰ったカードで新しいデッキの構築を考える。
こんな生活で私は強くなれるのだろうか。
◆◆◆
私がこの学校に入学してから約1ヶ月半が過ぎようとしている。
男装しての学校生活の課題、私が学校生活を送るための寝床、自分が目指す目標のためにこれから頑張る部活動などといった不安定ながらも問題を次々とクリアしていった私。
充実したリアルが満喫すると思った矢先に今度は新たな問題が発生することになる。
「「今日は昨日話をした通りに身体検査とスポーツテストを行います。最初は体操服に着替えてからグランドに出て50メートル走や反復横とびなどといったスポーツテストを…」」
いつも通りの学校。そしていつも通りの私の担任の渋い白髪頭先生が、今日行われるスポーツテストのことを話す。
私は頭の中でデッキ構築について考えながらもその話を聞く。
「50メートル走は負けないから勝負しろよ!!」
「私、絶対太ったから体重計に乗るのやだーーー!」
「「そこっ! 静かにしろ!!」」
と、いった一般性との私語。ここまでは私が中学校の時と同じ様に学生らしい会話だ。
今日はデュエルについての勉強はなく、代わりに行われるスポーツテストのことを私は楽しみにしていた。
体育はデュエルの次に私は好きなもんだ。
男は女と違ってスポーツテストの評価は厳しめに付けられるらしいけど、優秀な評価を取れば賞状をもらえるらしいんだ。
これで頑張れば大きな快感を得られそうだ。私、運動とデュエルだけは超得意だもんね。
「「スポーツテストが全て終わったら今度は身体検査を行います。男子と女子は共に体育館で身長と体重を計ります」」
次に身体検査のことも担任の先生は話を続ける。
この話は私が中学生時代のときも聞いたことがある。
今までみたいにここまでは普通に大人しく私は耳を済ませていたからここまでは問題ないんだけれども…。
「「体重と身長を計り終えたら別室で男子女子ともに下着を脱いで着替えてそれぞれ別々の保健室にいくように!」」
下着を脱いでと聞かされて反射反応で身体がギクッとしてしまった。
話をさらに聞いていくと内科検診があるからしょうがないといった内容を聞かれる。
女子ではなく男子と偽っている私はこれはまずいと思ってしまう。
「「男子は上半身裸で待機してください。女子は中に入っていいといわれるまで脱がないでください」」
上半身裸…。こんなのありえない…。
上を脱ぐこととなると胸がある私が待機中にずっと男子全員に晒すってことになる…。
これでは確実に私が女だということが一瞬で男子にばれる破目となる。
こうなったら破滅だ。
さらに追い討ちをかけるように、隣の席に座っている宮城が私に話しかける。
「内科検診の医者って女のおっぱい見放題じゃないかよ! うらやましいなー」
「………」
「俺、超すげーこと思いついた。女子が下着を外すってことは、体操服の上で直接地肌で着ているってことだろ! 女子が保健室に行くまでに胸ポチとか見れるかもな」
「…………」
「なんで、奈々川は男のロマンに興味ないんだ? やっぱあれか? 夜のデュエルをして童貞卒業すると他の女に興味がなくなるのか? お前の彼女エロい体してんもんな」
宮城がなんか変なことを言って、どれも私に対してセクハラしているように聞こえる。
どうしてもこの何気ないセクハラが嫌な予感しかしない。私を舐め回しているような感覚がとても怖い。
絶対に宮城だけには体を見られたくない。内科検診という小さな検査がどうして人生最大の恐怖になっているのだろうか。
何だかんだいって、50メートル走、反復横飛び、幅跳び、握力測定などといった競技を次々とこなす。
スポーツテスト、身体測定を軽々とこなしたけれども問題はこれからだ…。
女子は別だけど、男子は再び教室に戻ってきてみんな着替えを始めている。これから内科検診といった人生最大の難関が待っている…。
「奈々川は身長いくつあった?」
「152.3センチ…」
「よっしゃ!! あの、何やっても最強の奈々川に初めて勝った!! 俺の方が大きいー!」
次に行われる内科検診の恐怖から心臓バクバクで破裂しそうな私は、どうでもいい質問を軽く返しながら、宮城がシャツを脱ぐ姿を見ている。
「そろそろ体操服の下のTシャツを忘れないうちに脱いだほうがいいぜ。保健室に入ってから脱ぐのは面倒だから早めにしたほうがいいよ」
「……」
一番言われたくない台詞を私に指摘される。わかってるけどどうしようもない私…。
「脱がないのか? こんなにシャツ脱ぐのをためらうなんて女かよ」
「寒いからなかなか脱げないんだよ…」
「はぁっ? もう冬は終わって今は春なのに…。寒がりなんだなーー。奈々川は」
適当なことを言ってその場その場をやり過ごしているけど徐々に限界に近づいてきている。
これから行われるのは私にとっては恐ろしいことでしかない。
落ち着かない緊張のあまり、目をきょろきょろしていると、私と同様にシャツを脱いでいない生徒を発見した。
透けているワイシャツからオレンジ色のシャツが薄く見える。
周りは皆、教室から出ているのにこの生徒だけは机で座りながらカードをいじくっている。
「ああ。ほっとけよ。あいつはボッチの小笠原カズマ」
「ボッチ……!?」
一人ぼっちでポツンと立っているけどボッチってどういう意味なんだろうか。
寂しそうに座っている姿がとても悲しそうな雰囲気をしている。
あの生徒は入学当初からずっと、あんな感じだったから、話しかけてあげたいと思ったけど、神崎さんとのスキンシップやら宮城とのくだらない話で中々実行できなかった。
でもどうしてあんな雰囲気なんだろうか。
「俺、先、行ってるぜ!! 早くお前も保健室に来いよ!!」
ボーっと小笠原君のことを見ていると宮城は言葉を残して言ってしまった。
私は教室に取り残される。
これから私は、保健室に戦場に飛び込みに行くのか……。こんなの絶対無理だ……。
だからといって胸を開放するのはできるはずもない……。
◆◆◆
「そーっっと……」
私は誰もいない隣の教室に侵入する。
そして、神崎ミカと描かれたロッカーを探し、それをあける。
「あった!!」
ロッカーから制服を発見する。それを手に持ち、誰もいないことを確認すると上下を持って急いでこの場から逃げる。
盗んだものを持ってトイレに私は駆け込む。
「似合っているわよね…」
そしてそれをすぐに着替え、女子トイレの鏡を見て自分の全身の姿を見て堪能する。
赤いリボンに懐かしさを感じる紺のブレザーにこの学校で指定されている長さのスカート。
私は今まで男の子になろうと諦めていたが今のこの姿ならどう見ても憧れていた女子高生になることができる。
私が内科検診からの恐怖から逃げる方法を考えた。それは女の格好をすることで回避ができるっていう考えさ。
だから本人の許可なしに勝手に彼女である神崎さんの教室に、うまく侵入して制服を奪った。
でもこれって…。見られたら私は確実に犯罪者だろ…。
まあばれても元々私は変態扱いされているし神崎さんは怒らないだろうけど。
ってか…。今度は女装しても内科検診から逃げられなくない…。意味ないじゃん!! と自分に突っ込みたくなった。
「エヘヘヘヘ」
私は女子トイレの鏡に映されている女子高生になった自分の姿を見ながら、どれが一番可愛く見える角度は何かを堪能する。
「やっぱり似合う。可愛いーーー」
女を捨てるために自分の胸を潰していたサラシも外したからキツキツってこともない。この姿がやっぱりいい。
暑苦しい男装の格好と違ってこの格好はとっても軽装だから気分は爽快だ。動きやすい。
「この制服を着て普通の青春したかったなー…。普通の男の子と一緒に……」
恋愛してみたいとか考えちゃ駄目だ駄目だ。
お兄ちゃんがかなえられなかった夢のデュエルキングになるために女の子ではないって決めたんだ。
女はデュエルキングにはなれないから高校も男装して男の子になった。だからバレてしまったら絶対にデュエルキングなんかになれない。
と決意したものの…。やっぱり女の子としての未練が残っている…。この格好をするのは貴重な時間だから、じっくりと満喫しないとね。
「はいはいはいはい。超可愛いね」
「うわーーーーーーーー」
自分の制服姿を見てると、突如、鏡からジャージ姿の別の女性が写っていた。
それは私の知り合いでもある人物。しかも悲惨なことに今私が着ている制服を盗んだ女の子…。
「神崎さん……。いつからそこに…!!」
「あんたが一人で鏡見ながら、エヘヘヘヘって気持ち悪く笑っていた辺からいたわよ」
「うわああああああああぁあああああ」
一人でやっていた痛い行為アンド見られたくない女の姿を神崎さんに見られてしまって顔から火が出るくらいに恥ずかしい。
この子は私が女物の下着をはいている所を見られて以来、私に女装癖があると思い込んでいる。
だから今回も適当に誤魔化せば大丈夫だと、この状況から逃げる方法を考える。
「やっぱりあなたは正真正銘の変態だったみたいのようね。彼女の制服を盗み、それを着て女子トイレに進入して、ヘラヘラ笑っているなんて……。あんたの変態っぷりって日に日に上がってきてない?」
「これは違うんだ…。これには訳があって…」
「へぇーー。こないだも女装していたのによく言うわよねーー」
明らかにこないだまでの、神崎さんが、「私の女装」の勘違しているのとは訳が違う気がした。
私が犯した行為は明らかに、変態行為だと思われてしまっているのだろう。
「こんなに美人の彼女がいるのにどうしてこんなことしちゃうのかなー? あんたさ、そんなに性欲強いんだったら、いますぐにでも私の体をあげるのにー」
「………。違うよ」
「なんだったら、今すぐにでもそこで私を襲っても構わないよ……。この時間ならみんな保健室にいるしね……」
神崎さんは緊張しているのか、私に目を逸らしながら扉が開いているトイレの個室に指差す。
やはり神崎さんは、私が制服を盗んだ行為に怒っていない気がした。むしろ喜んでいる感じがした。どっちが変態だ。
「神崎さん!!」
「っ!?」
私は神崎さんの胸に飛び込む。
「ちょ、ちょっと……。心の準備がまだできていないのに、本当に襲うなんて…!」
その行為に神崎さんは驚く。
いきなりやったことだったので、飛び出した勢いはかなり強く、さっき神崎さんが指差した「トイレの個室」の扉に誘導してしまう。
このまま私は思いついたことを行動する為に続けてみる。
「お願いがあるんだ! 神崎さん!!」
「い、いくらでもやってあげるわよ。あんたの為なら……。何しても構わないし、何されても構わないわ!!」
壁に追い込んだ神崎さんの声が震え、顔を真っ赤にして私の顔を見ている。
私の顔との距離も近いのもあるかわからないが、勘違いをさせることをしてしまったみたいだな。
「この制服を今日だけ貸してくれないか? 頼む…。一生のお願いだ…」
「お願いってあんた……。こんな状況で……」
私は神崎さんの背中を思いっきり抱きしめて、お願いしてみた。無茶なお願いに返事は返ってこないかも知れない。
だが、そんな思いとは反対に神崎さんの答えはすぐに返ってきた。
「何に使うのかしらないけどあんたの為なら別にいいわよ…。あなたが必要としているなら貸してあげるわ」
「ありがとう」
神崎さんは顔を恥ずかしい感情の色に変えて素直にあっさり貸してくれた。
私は答えが返ってきてすぐに神崎さんとの、体のスキンシップを止める。
するといつも通りの強気の性格の神崎さんの性格に戻る。
「だけど私とあなたは付き合っているってことを忘れないでね…。それを使っていやらしいことするんでしょ! 変態!!」
「誤解だ! 変なことはしない…!。必ず返すから…」
「変なことはしないねぇ…それで何をするつもりなのかしら。そんな遠回りなことしないでも、あとでいくらでも私の魅力であんたの歪んだ性欲を元に戻してあげるっていうのに!」
「だから誤解だ! 別に変なことなんて企んでいないよ……」
「まあいいわ。うふふふ。それにしてもあんたって本当に女の子みたいねーー…。私より可愛いと思うわよ」
神崎さんは私が女装好きな変態と錯覚されているけどこれでいい。
私は再び奈々川ユウヤから奈々川ナナへと戻ることができたな…。
元々双子の兄と揃って肌の色とか微妙な身長のおかげで、男でも女でも間違えられることは今回限りではない。
私は神崎さんと別れる。後で、神崎さんの家ではどうやって女装の言い訳をするか考えながらこの場を離れた。
私は普通の女性らしくトイレを出て廊下を歩く。
元々、美少年とかデュエルの天才とか、大げさにされている奈々川ユウヤというキャラとしてこの学校でいる私だけれども、今回は違う。
中学生時代までに作り上げてきた奈々川ナナという自分と同じ性格の私さ。
でも、今は女の格好をしているからこの学校にはいない不審な人物なんだよなぁ…。
それでもすれ違う人達はみんなは気が付いていないから普通の女子高生扱いされているってことよね。
潰している胸を戻すと、幸い神崎さんと体格は似ていることからとても、この格好に不自然な気がしない。
「ふぅ……。気持ちいい…」
理由はとくに、わからないけど外の屋上に上がり、フェンスによっかかってゆれるスカートから風の流れを感じる。
雲一つない澄んだ青空。屋上は死に近い場所だから…。それと一番死にたくないと思える空間でもある。私はそんな深刻な悩みしてないけど。
とりあえず1人になりたくて…。
誰にも見つからないからここでのんびりできると思いリラックスしようとひと段落あくびをしながら背伸びをした時、私は誰かを発見した。
「君も1人なの?」
「え…え…」
と、赤い短髪の少年に声をかけて、私はその子の近くに移動する。
この人のことは偶々私のクラスの生徒ってことは知っている。話なんかしたことないよ。
でもちょっとだけ気になる人だったからよく印象に残っている。
「小笠原カズマ君よね…。こんなところで何しているの?」
「オレの名前を知っているのか」
名前を突然言われて驚く赤髪の子。知っていたのはユウタのほうであって初対面の女の子に無理やり言われて驚くのも無理はない。
小笠原君は1人ぼっちで休み時間も悲しそうに座っているから名前くらいしか知らなかった。
「だっていつも寂しそうだったから見てるよ。表情が暗かったから…」
「…。いつもか…」
私のニコっとした発言攻撃でちょっとだけ小笠原君は今まで冷静だったのに頬を赤く顔染めている。
「君、クラスはどこなんだ?…。わざわざうちのクラスまでオレのことを見に来ているのか?」
「あっ…」
これはユウヤのキャラのときの私が見ているだけで、今の格好の私の姿はもちろんクラスすら存在しない。
これでは勘違いを与えてしまった…。発言間違えた…。
「君の名前は何て言うのか?」
「私の名前…?」
実際はこの学校に存在しない私だからこの質問はまずいんじゃないかと嫌な予感がする。
「私の名前は、なっ…」
「な?」
どうしても名前を反射反応で言ってしまう。苗字を言ったら絶対変なことに思われてしまう。
「あっ! 間違えた…私の名前はナナって呼んでいいよ」
「ナナちゃんか。だったらオレもカズマでいいよ」
「カズマ君ね!!」
適当なことを言ってごまかそうとしているのだけれども、言葉を言い変え様としたから「自分の名前の癖になんで間違えるんだろう」と思われているだろうな。
しょうがなかったから私は自分の本名である名前を教える。
「それで?」
「はい…?」
「いや…。オレのことをいつも見ているって言ってたからオレのことどう思っているのかなぁって…」
「……。ち、違うわよ…」
別に異性として今まで見ていたわけじゃなくて、内気の性格の私はもっと友達が欲しくてカズマ君を見ていたわけで…。
やっぱ男装と女装を使い分けるのは難しいなぁと思った瞬間であった。
「ここに来たってことはあなたも悩みあるの? 内科検診サボったの?」
私が最後にカズマ君を見たのは、内科検診前に着替えようとしている教室。
カズマ君は男子みんなが着替えているのにも、関わらず着替えなかったことだからサボったのだろうか。
「………」
このことについてはカズマ君は何も言わない。
宮城とは違っておとなしい性格のカズマ君だから、多少言葉のキャッチボールがしにくい。
表情がとても暗くて、何かに悲しんでいる気がした。
「どうやら悩みがあるみたいね。私も今は悩みがあるのよね…。悩みがない人間なんてこの世に存在しないから…」
私は髪の毛を風の流れに棚引かせて振り向かせながらしゃべる。
宮城がカズマ君のことに対して、ぼっちとか何だかって言っていたからそれがきっと悩みなのだろうか。
いつも一人ぼっちだしね。
「あなたは今、学校をサボっていたってことは暇なんだよね。…。気分転換にデュエルしなさい!」
この薄暗い雰囲気を変えるべく、ちょうどカズマ君のバッグの隙間からデュエルディスクが会ったのでここでデュエルをしようと誘いかける。
「デュエルか…。デュエリストである以上、オレは断る必要性はないな」
「だったら交渉成立ね。デュエルよ!!」
私も鞄からデュエルディスクを取り出して腕に装着する。
「あと、最初に言っておくけど、カズマ君がデュエルで勝ってもエッチなことはしないからね」
「……はっ?」
「これは普通のデュエル。なんの賭け事もないから気軽にやろうよ」
「何いってんだ? 君は…!?」
カズマ君が驚いた表情をしている。また、発言間違えたけどそりゃそう思われるだろうな。
此間まで、私は、男装しながら神崎さんの彼氏になるデュエル、堀内先輩の夜のデュエル、カイザーとのパシリとか今まで体に関わる超危険なデュエルをしてきた。
そのおかげで、今回のデュエルも多少、危ない賭け事になると思ったけど、どうやら大丈夫みたいだな。
「さぁ! デュエル開始よ!!」
2人はデュエルディスクを広げる。
私は、女の格好に戻ったからか、今日のデュエルは手軽にできる気がした。
12話もすぐに更新しますのでお楽しみに