遊戯王~デュエルキングを目指す少女の物語   作:魔法使い?

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第12話 『普通のデュエル』

「先行は私から貰うよ。ドローだよ!」

 

 カズマ君との平凡なデュエルが始まる。神崎さんの制服を借りているだけあって、今日は久しぶりに女の子の気持ちに戻ってはじめることができる。

 まずは手始めに親切に先行を貰ったからデッキのカードを捲ってドローする。

 

「私はモンスターをセットしてリバースカードも2枚伏せてターンエンドだよ」

 

 相手は何をしてくるかわからないから守りを固めただけ。前にも言ったと思うけどこれが一番安全なんだよね。

 

 

 

「次はオレのターン!ドロー。オレは『ドラグニティ-ファランクス』を墓地に送って『調和の宝札』を発動! 2枚をドロー…」

 

 カズマ君のターンに変わるとまずは手札のカードを交換しながら調整する。

 

「『ドラグニティ-ドゥクス』を通常召喚! 効果によって『ファランクス』を装備する」

 

 棒らしきものを手にした鳥人の男性がフィールドに登場する。このカードは確か、ドラグテニィでも中核を持つカード…。

 

「『ファランクス』の効果発動!! 装備カードとなっているこのカードはフィールド上に特殊召喚できる!! 現れろ!!」

 

 装備した2本の角が生えたドラゴンが『ドゥクス』から離れて現れる。2体ものモンスターが並んだってことは狙いはやはり…。

 

「レベル4の『ドラグニティ-ドゥクス』にレベル2の『ドラグニティ-ファランクス』をチューニング!!」

 

 2体のドラグニティが光に変わって交差して交わろうとする。現れたのは…。

 

「疾風の竜よ! 渓谷から姿を現せ! 現れろ! 『ドラグニティナイト-ガジャルグ』!!」

 

 光の先から出てきたのはドラゴンだか鳥獣族だか判別できないほど大きな羽根を広げたモンスター。

 

「へーー。1ターン目からシンクロ召喚を狙うとは思わなかったわ…」

「褒めている場合じゃない! 『ガジャルグ』の効果起動! デッキから『ドラグニティ-ブランディストック』を手札に加えてすぐに墓地に送る!」

 

 『ガジャルグ』は1ターンに1度デッキからドラゴン族か鳥獣族をサーチする代わりに他のドラゴン、鳥獣族を捨てなければならないカード。

 サーチしたカードを手札にキープせずにすぐに捨てたってことは勿体無いことだと思うけど、やってることは制限カードの『おろかな埋葬』と同じだから問題ないのか…。

 

「そしてバトルフェイズだ! オレは『ガジャルグ』でそのモンスターに攻撃しろ!」

 

 『ガジャルグ』は低空で滑空しながら私のセットされたモンスターに飛び掛った。

 

「破壊だ!!」

 

 表になったのは緑色の髪をしている美少女モンスター。爪に切り裂かれながら苦しそうな顔をして破壊された。

 

「あなたが破壊したのは『ガスタの巫女 ウィンダ』。このカードが破壊された時、デッキからガスタと名のついたチューナーを特殊召喚できる」

「可愛いモンスター……。申し訳ない…」

「別に謝る必要性なんてないわよ。これがデュエルなんだから」

 

 私は効果処理としてデッキからこの条件を満たすモンスターを何を出そうかと、デュエルディスクからデッキを取り出す。

 カズマ君は破壊される『ウィンダ』を見て変な感情を持っているらしいけど、この子の死は無駄ではない。

 

「『ウィンダ』の効果によって『ガスタ・ガルド』を特殊召喚」

「ただじゃ死なないのか…。厄介だ」

 

 『ウィンダ』のペットでもある緑色の小鳥の名『ガルド』を呼び出す。

 この子も破壊されることによって、デッキからモンスターをリクルートできる効果を持っている。

 ガスタデッキはこうやってモンスターをリクルートしながら、場を維持する戦いが得意だ!

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンド」

「どうやら同じ風属性同士の戦いになりそうね」

 

 私と同様の枚数の守りを固めて次のターンに備えようとするカズマ君。

 ドラグニティも風属性で統一されているテーマなのよね。

 偶然にも私のガスタデッキのほうも風属性だからこの勝負は面白くなりそうだわ。

 ここからが今まで学園で披露していた奈々川ユウヤが使えない、もう1つのデッキ、私、奈々川ナナがガスタの力を見せてあげる!!

 

 

 

ナナ

LP:4000

手札:3枚

場 :モンスター

   ガスタ・ガルド

   魔法・罠

   伏せ2枚

 

カズマ

LP:4000

手札:3枚

場 :モンスター

   ドラグニティ ガジャルグ 

   魔法・罠

   2枚

 

 

 

 

 先行後攻と1ターン目の流れはお互いにライフポイントは変動しなかった。

 私の場には『ウィンダ』が残したペットである『ガルド』にカズマ君は厄介な効果を持つ『ガジャルグ』がフィールドに残っている。

 お互いに理想の序盤の1ターン目を経過したことだよね。ここからがどちらが勝負の流れを作ることができるのかが勝負の鍵となるはず。

 

「私のターン」

 

 屋上で吹かれる風に、髪の毛を揺らしながら丁寧な手つきでデッキのカードを捲っていく私。

 私が先に序盤の流れをつかもうとデッキのカードを追加してから4枚になった手札で考える。

 

「『ガスタ・ガルド』をリリースして『ガスタの疾風 リーズ』をアドバンス召喚するよ」

 

 考えた通りに『ガルド』をアドバンス召喚の為のコストとしてフィールドから姿を消すと、その代わりに姉のような雰囲気を持つツインテール美少女が現れる。

 女の子とは思えないほどガタイのいい筋肉質なスタイル。攻撃力は1900。

 

「また可愛いモンスターか……。でもそのモンスターで何をするつもりなんだ?」

 

 カズマ君は攻撃力が2400の『ガジャルグ』では勝てないからって『リーズ』を指差してちょっとだけ笑って舐められている感じがする。

 でもね。このカードは面白い効果があるからそれを今から見せてあげるわ!

 

「こうするつもりよ! 私は伏せてあった『リミット・リバース』の効果発動! 効果によってさっき墓地に送った『ガルド』を特殊召喚する」

 

 再び『ガルド』が小さな羽根を広げながら華麗に姿を現す。

 

「そして『リーズ』の効果を発動するよ! 手札を1枚デッキの下に戻すことで相手フィールド上に存在するモンスター1体と自分フィールド上に表側表示で存在する「ガスタ」と名のついたモンスター1体のコントロールを入れ替えることができるんだ」

 

 『リーズ』が持っている杖をクルクルっと一周するように回すとカズマ君の『ガジャルグ』と私の『ガルド』の目が回転していく。

 

「オレの『ガジャルグ』が!!!」

 

 目を回した2体のモンスターを『リーズ』が「えいっ」という掛け声と共に杖を最後に振るとそのモンスターの持ち主のコントロールがそれぞれ入れ替わった。

 そしてそのモンスターを使って…。

 

「バトルフェフェイズに移行するよ! 奪った『ガジャルグ』で『ガルド』を攻撃!」

「っ!!」

 

 奪ったモンスターを使って攻撃宣言をする私。

 この攻撃が通れば『ガルド』の戦闘破壊された効果によって私の場にレベル2以下のガスタを再び呼ぶことができる。

 これによってさらなるアドバンテージを作る予定だったのだが…。

 

「『攻撃力の無力化』を発動!! バトルフェイズを強制終了する!」

 

 カズマ君が発動したトラップにより渦巻状の螺旋渦が出現してその攻撃は止まった。理想な流れはそう簡単に作れるものではないか…。

 

「…自分のモンスターをオレに送りつけておいて酷いことをするんだな……!」

「『ガスタ・イグル』。その子はガスタ一族のための中でもペットっという立ち位置なのよ。ご主人のために破壊されるのは本能だと思うよ」

「オレのドラグニティは装備して仲間との絆の連携をするデッキだからわかんないなぁ…。同じ風デッキなのにどうしてこんなに違うものなんだろうか…」

 

 カズマ君は私の仲間モンスターを送りつけるプレイングをあまりいいと思っていないけど、このデッキはリクルーター効果を最大限に生かすためのデッキだからそういうコンボになっちゃったんだけどね。

 

「確か『ガジャルグ』には1ターンに1度鳥獣族かドラゴン族をサーチする起動効果があったね。私もこの効果を発動して2枚目の『ガスタ・ガルド』を墓地に送ってターンエンド」

 

 私は地味だがデッキ圧縮と墓地肥やしのために『ガジャルグ』の効果を使うためにデッキのカードを広げた。

 そしてその中から条件に一致するモンスターを選んで墓地に置くった。ただ単に無駄な犠牲のために墓地に送ったわけではなくこのカードは後々役になると信じているから送ったんだ。

 この子の命も決して無駄にはしないよ!

 

 

「オレのターン! ドロー。『ドラグニティ-トリブル』を通常召喚。この召喚時の起動効果によって『ドラグニティ-コルセスカ』を墓地送ろうか」

 

 ドラグテニィの指揮官だと思われしきポーズをしたモンスターが現れたけど攻撃力は頼りにならないほど低いからそんなに怖く見えないんだよなぁ…。

 

「さらに『トリブル』を墓地に送って『ドラグニティアームズ-ミスティル』を特殊召喚!」

 

 『トリブル』が口笛を吹くと全身黄色の長い槍を持った龍『ミスティル』が空奥から現れてハイタッチすると司令官は消えていった。

 攻撃力は2100か…。奪った『ガジャルグ』は2400だから警戒するまでもないと思っていたけど追加効果があるみたい。

 

「このカードが特殊召喚に成功した時の効果で『ドラグニティ-ファランクス』を装備!」

 

 『ガジャルグ』を呼びために使った2本の角が生えたドラゴンが今度は黄色の龍に装着される。

 そして『ファランクス』自身の効果ですぐにして分解されてモンスターの形として姿を現す。

 

「レベル6の『ミスティル』にレベル2の『ファランクス』をチューニング!伝説のソードマスターの龍よ! オレの前に降臨せよ! 『ドラグニティナイト-バルーチャ』」

 

 『ファランクス』と『ミスティル』が光の粒に変わると一瞬目が眩む光が発生する。

 その光の中から出てきたのは緑色の龍に乗っかったソードマスターというべきか…。攻撃力は2000?

 

「そんなモンスターでは勝てないわよ」

 

 シンクロ前より攻撃力が下がって思わず声が出てしまったけど、カズマ君は私に教えるためにすぐに『バルーチャ』の効果を読む。

 

「『バルーチャ』がシンクロ召喚に成功した時、墓地に存在するドラグニティと名のついたドラゴン族モンスターを任意の数だけ選択し装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。オレは『ファランクス』『ブランディストック』『コルセルカ』『ミスティル』を装備だ!」

 

 龍の上の戦士が剣を地面に向けると墓地のドラグテニィ達が地面から次々と出てきて武器に変わっていく。

 そしてドラゴン達は4つの武器に変わってそれをそれぞれ龍と戦士が持って戦力を上げていく。

 

「さらに『バルーチャ』はこのカードに装備されているカード1枚に付き攻撃力が300ポイントアップする」

 

 バルーチャの攻撃力2000から3200へと変わっていく。

 なるほどなるほど。これで私の『ガジャルグ』の攻撃力を上回ったってことね。

 

「バトル! 『バルーチャ』で『リーズ』にアタック!!」

 

 すぐにバトルフェイズに入って攻撃宣言態勢に入る『バルーチャ』で私のモンスターをやっつけるつもりだけどそうはさせない。

 私には前のターンに伏せたトラップカードがあるからそれをボタンを押して起動させる。

 

「トラップ発動!『魔法の筒』!」

「伏せカードは強力なカードを搭載してたか。でもそうはさせない! 『トラップ・スタン』! このターン。このカード以外の罠効果を全て無効になる」

「きゃっ!」

 

 『トラップ・スタン』が発動されると紫色の電流がフィールド一面に走る。

 すると『魔法の筒』と書かれた表向きになっている罠カードが機能を停止して役割を果たせずにそのまま墓地に送られた。

 とっさだったので私は反射でデュエルディスクを使って盾にしようと攻撃を防ごうとしたがあまり意味がない。

 

 

  ナナ LP4000→2700

 

 

「そして『コルセスカ』が装備されたモンスターが戦闘破壊した時、デッキからレベル4以下の同じ属性と種族のカードを持ってくることができる」

 

 厄介な効果だ…。カズマ君はこの効果によって『ドラグニティ-アキュリス』を手札に加える。

 

「さらに『ブランディストック』が装備されたモンスターは1度のバトルフェイズで2回攻撃できる! 『バルーチャ』! 奪われた『ガジャルグ』に攻撃しろ」

「ちょ、ちょっと待って…!」

 

 ナナ LP2700→1900

 

 これで攻撃は終わりだと思ったのに想定も付かない攻撃を受けてしまい私のフィールドは一気に戦意が喪失した。

 そして戦闘破壊されたことによってまた手札アドバンテージを稼がれてしまう。

 

「再び『コルセスカ』の効果で『ドラグニティ-ブラックスピア』をサーチする。バトルフェイズを終了して『ガルド』を守備表示に変更。カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

 

ナナ

LP:1900

手札:2枚→3枚

場 :モンスター

   なし

   魔法・罠

   リミッド・リバース

 

カズマ

LP:4000

手札:3枚(ドラグニティ-ブラックスピアとドラグテニィ-アキュリス)

場 :モンスター

   ドラグニティナイト-バルーチャ(攻撃力3200)

   ガスタ・ガルド(守備)

   魔法・罠

   ドラグテニィ-ファランクス

   ドラグテニィ-コルセスカ

   ドラグテニィ-ブランディストック

   ドラグテニィ-ミスティル

   伏せ1枚

 

 

 

「私のターン。ドロー」

 

 私は手札と手札の隙間を使って目で状況を把握する。

 カズマ君の場には大量に装備された『バルーチャ』。攻撃力は3000越えってことはそう簡単に戦闘破壊できそうにないや。

 けれどもカズマ君の場にはチューナーだったのにも関わらず処理できなかった『ガルド』が残っているな。

 

「『ガスタの交信』を発動。墓地の『ガルド』と『ウィンダ』をデッキに戻して相手のカードを1枚破壊することができる」

「っ!? オレの『バルーチャ』を選ぶつもりか?」

 

 まず発動した魔法カードに驚いてカズマ君は一目散に『バルーチャ』が破壊されると思い込んでいるらしい。

 好きなカードを破壊できるとはいえ、ここは慎重に選ぶべきだな。そのリバースカードもかなり怪しいし…。よし…決めたよ。

 

「私はその伏せカードを選択して破壊するよ」

「『バルーチャ』ではないのか?」

 

 『ウィンダ』が手を揃えて何かと交信するような演出が行われると1ターン前に送りつけた伏せカードが木っ端微塵に吹き飛んで破壊されていく。

 

「オレの『ゴットバードアタック』が…」

 

 危なかった…。チューナーの癖に前のターンに使われずに残ってたってことは、私が送りつけた『ガルド』は偶々鳥獣族だったために『ゴトバ』のコストにする予定だったのか…。

 いや…。よく考えたらドラグニティシンクロには指定があるから使えなかったってことでそのまま立っていたってことだよね…。そこは深く考えないでおこう。

 

「そして『ガスタの神官ムスト』を通常召喚!」

 

 ガスタ一族である鏡の杖を持ったおじさんが棒立ちで現れる。

 

「バトルだよ。『ムスト』で『ガルド』に攻撃!!」

 

 おじさんは懸命に同じ緑色の毛をしている仲間である『ガルド』に襲い掛かった。そのまま戦闘破壊は成功できた。

 そして前のターンには邪魔されちゃったけどガスタデッキの得意なリクルート効果をようやく発動できる。

 

「『ガルド』は破壊されたでデッキからレベル2以下のガスタを呼び起こすことができる。『ガスタ・イグル』を特殊召喚!」

 

 フィールドで破壊された時に『ガルド』は効果を発動する。もちろん相手の場にいようと私の墓地に送られるから問題ない。

 

「いくよ! メインフェイズ2に入ってレベル4の『ムスト』にレベル2の『イグル』をチューニング!! ガスタ一族の少女よ。私の前に天空へと飛翔して! シンクロ召喚『ダイガスタ・ガルドス』」

 

 成長した『ガルド』が『ウィンダ』に騎乗したものが大空から舞い降りてくる。

 何でおじさんと『ガルド』ではない違う鳥がシンクロ素材になったのに美少女モンスターになったという突っ込みは置いといて、メインフェイズでなぜこのカードを出したのかはちゃんと理由はあるのよ。

 

「『ガルドス』の効果! 1ターンに1度、私の墓地に存在するガスタと名のついたモンスター2体をデッキに戻す事で、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して破壊できるのよ」

「これができたから『バルーチャ』を最後に狙ったのか…」

 

 私はコストとして墓地の『ムスト』と『リーズ』をデッキに戻すとツインテールの美女が杖を持って『バルーチャ』に向けて振ると『バルーチャ』は爆発音を鳴らして破壊されてしまう。

 

「よし! 私はカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 手札を全て使い切ってしまったけれどもこれで厄介なモンスターを破壊できて安心だ。次は相手のターンだから全力で守りきらないと。

 

 

 

 

「オレのターン。『アキュリス』を通常召喚!」

「これでどうするつもりなの?」

 

 ドローしてすぐに2ターン前にサーチで加えたカードだから私はわかっているけどカズマ君は赤い刃物の凶器の形をしたドラゴンを呼び出す。

 

「『アキュリス』が通常召喚に成功した時、ドラグニティと名のついたカードを特殊召喚してこのカードに装備できる! 効果によって『ドラグニティ-ミリトゥム』を出して装備だ!」

 

 細長い剣を持った鳥獣剣士が続けて現れてすぐにアキュリスを自分の武器に加えるかのように振る舞った。

 

「『ミリトゥム』の効果によって装備されたドラグニティを特殊召喚できる! 『アキュリス』を再び特殊召喚だ!」

「へー。なるほどね」

 

 そして『ミリトゥム』がその赤い剣を屋上から天空に向かって振りかざすと『アキュリス』が武器から再びモンスターに変形する。

 私はカズマ君がこうやってカードのシナジー同士でシンクロ召喚を狙うってことに関心していた。

 でも関心している場合ではない。次にシンクロ召喚が来るっていうことは確定している。

 

「レベル4の『ミリトゥム』とレベル2の『アキュリス』をチューニング! 現れろ!『ドラグニティ-ヴァジュランダ』!」

 

 武器の剣と鳥獣の勇者が星の屑になり合わさって生まれ変わって出てきたのは大きな槍を持ったドラゴン。

 ゆっくりと責める私のガスタデッキとは違ってドラグニティの展開力の速度は明らかに違いすぎる。

 

「『ヴァジュランダ』を呼び出すことに成功した時、墓地に存在するこのカードにドラグニティと名のついたモンスターを装備することができる。オレは『アキュリス』を装備!!」

 

 再び赤色の槍の形をした龍が今シンクロ召喚された『ヴァジュランダ』に装着される。

 

「『ヴァジュランダ』の効果発動! このカードが装備されている装備カードを墓地に送ることで攻撃力は倍になる!」

 

 ドラゴンナイトはアキュリスを思いっきり投げるとその気合で攻撃力をさらに上げていく。

 

 

 ヴァジュランダ 攻撃力1900→3800

 

 

「攻撃力3800?」

「これで終わりじゃない。装備カードとなっている『アキュリス』が墓地に送られた時、相手のカードを破壊できるんだよ。オレは『ガルドス』を破壊だ!」

 

 鋭い槍の武器となった『アキュリス』が乗っかっている怪鳥を狙い落とすとそのままバランスを崩して追突する。

 まずいぞ…。今の破壊で私の場にはモンスターがいなくなってしまった…。

 

「これで終わりだ!! ダイレクトアタック!」

 

 攻撃力3800の『ヴァジュランダ』が私を襲う。この攻撃を許してしまうと私は敗北してしまうから何としても止めないと。

 

 

「…。トラップ発動! 『ガスタのつむじ風』! 私の場にモンスターがいないとき墓地の『ガルドス』と『ガルド』をデッキに戻して他のガスタを特殊召喚できる。私はデッキから『ウィンダ』を特殊召喚!」

「構わない。『ヴァジュランダ』! このまま『ウィンダ』に直行しろ!!」

 

 『ウィンダ』が盾になってくれたおかげで間一髪重い一撃から免れることができた。

 

「『ウィンダ』の効果によりデッキから『ガルド』を特殊召喚…」

 

 リクルートコンボにより再び守りを固める。けれども墓地にある『アキュリス』の存在からそんなに何度も守りきれるもんじゃない。

 

「これでゲームセットだ。君の場と手札にはカードが一切ない。それにオレのライフは4000で全快だ。もう止めてサレンダーしたほうがいいんじゃないの?」

 

 カズマ君は余裕をかまして堂々としながらおそらくこのターン引いた手札のカードを伏せてターンエンドの宣言をする。

 

「まだだよ。私はライフがある限り絶対に諦めない」

「諦めだって肝心なこともあるんだ!」

 

 カズマ君は、私を挑発する。

 私のライフは半分ちょっともまだ残っているとはいえ、この手札を握っていない追い込まれた状況ではかなり辛い。

 次のターンのカズマ君のターンがやってきたら、再び強力なドラグニティのシンクロモンスターを狙われるかも知れない。

 

「いや、違う!! 伝説のデュエリストの武藤遊戯だってそうだった。いくら不利であろうともライフが尽きない諦めない精神だからデュエルキングになれたんだ。私だって諦めない!」

「ナナちゃんは随分と男らしい台詞を吐くんだな。だったらやってみろよ。この状況で!」

 

 今まで大人しかったカズマ君が急に熱くなる。やはり、人はデュエルをすると性格も行動力も変わっていく。

 それはいつも一人ぼっちで学校にいるカズマ君も同じみたいだ。

 私は今まで諦めることは知らない。だからこそ、

 

「だったらこのターンで決着をつけてやるよ。いくよ! 私のターン!!」 

「人は言ったことを結果に出せないと、信用がなくなる。それは君も同じことだ。このターンで勝てないと嘘つきに君はなる。このターンで勝つ? 本当に君はできるのか? 手札なしで場が貧弱なこの状況で!」

 

 今、大口を叩いたらすぐにそそのかれて言われた。おそらく伏せているトラップカードにとても自信があるからだろうか。

 アドバンテージに大きく差をつけられてしまった私はこのターンで勝たなければまずいかも知れない。

 エンド宣言したことによって『ヴァジュランダ』の攻撃力は1900になった。たまたまちょうど私のライフと同じ数値だ。

 まだまだライフはあるが、ドラグニティ相手ではライフが少ないってことがいえる。

 おそらく『ヴァジュランダ』を攻略しても展開の速いドラグテニィのことだからまたシンクロ召喚されて一気にケリをつけられてしまうだろう。

 手札がないこの場面では守りに徹することはできない。おそらくカズマ君のターンが来たら負けてしまう。

 

 

ナナ

LP:1900

手札:0枚→1枚

場 :モンスター

   ガスタ・ガルド

   魔法・罠

   なし

 

カズマ

LP:4000

手札:1枚(ドラグニティ-ブラックスピア)

場 :モンスター

   ドラグニティナイト-ヴァジュランダ

   魔法・罠

   伏せ1枚

 

 

「よし! 来たっ!!『ガスタの静寂 カーム』を通常召喚!」

 

 デッキトップを光らせて引いたカードは日傘のような形の杖を持ったのんびりとしたお姉さん。

 

「大口を叩いた割りにそんなへなちょこなモンスターじゃオレのライフ4000は削れない。残念だったな!!」

「いいや。これがチャンスに変わるんだよ。『カーム』の効果発動! デッキのガスタ2枚をデッキに戻すことでカードを1枚ドローすることができる」

 

 確かにこのモンスターだけでは勝つことはできない。だが、まだチャンスは残っている。

 私は墓地ゾーンから『イグル』と『ウィンダ』を手に持ってデッキに加えてゆっくりと緊張で落とさないように落ち着いてシャッフルする。

 デュエルモンスターズではドロー1枚1枚に重く制約が掛かっている分、カード1枚1枚の重さは重いからこのドローで勝負が決まる。

 まあ、ドローしてから考えるか。この状況を突破する手段を。

 

「よし!! 来たーー! 『緊急テレポート』! このターンのエンドフェイズ時までデッキからレベル3以下のサイキック族モンスター1体を特殊召喚できる!」

「またあのモンスターか…」

「『ウィンダ』来て!」

 

 何度も何度も場と墓地を行き来していて飽きたと口にされてしまったがこれが基本戦術だから仕方がない。

 

「レベル4の『カーム』にレベル2の『ウィンダ』をチューニング!! ガスタの封印を解いて真の力を開放して魔力を解き放て! シンクロ召喚!『ダイガスタ・スフィアード』!」

 

 『リーズ』の大きな特徴だったツインテールを解放させて機械的な種族のヴァイロンを装備して現れる。

 

「そして『スフィアード』がシンクロ召喚に成功した時、墓地のガスタと名のついたカードを手札に加えることができる。『ガスタの交信』を手札に加えて発動! 伏せカードを破壊して!」

 

 シンクロ素材となったカードをコストに魔法カードを使い邪魔になりそうな伏せカードを破壊する。

 破壊できたのは『ドレイン・シールド』。私がさっき伏せた『魔法の筒』とは反対に攻撃したモンスターの攻撃を無効にしてそのモンスターの攻撃力分回復できるカードだ。

 

「だが、所詮は攻撃力2000しかないじゃないか。これでは決着は付かない」

「構わない。私は『ガルド』を攻撃表示にしてバトルフェイズに入り『ヴァジュランダ』に攻撃!」

「!?…。自分から大ダメージを受けてまで新たにモンスターを呼び出すのか? 君がダメージを受けるぞ!」

 

 

 カズマ LP4000→2600

 

 

 私の自爆特攻をする姿に少々驚いた感情があったらしいがライフが何故か自分のライフが減った途端に大人しくなった。

 

「オレのライフがなんで…」

「驚いたでしょ。『スフィアード』が存在する限り、私のガスタと名のついたモンスターが戦闘ダメージを受ける場合は代わりに相手が受ける効果を持っていてねぇ…」

「何っ!?」

「『ガルド』が戦闘破壊されたことによりデッキから『イグル』を特殊召喚。そして再び『ヴァジュランダ』に攻撃!」

 

 緑色の鳥獣が絶対に勝てないほど強大な龍目掛けて飛んでいく。もちろん簡単にブレスを吐かれて破壊されてしまう。

 止められないコンボを自ら破壊される『イグル』をカズマ君は見ながらそのダメージは受けることとなる。

 

 

 カズマ LP2600→900

 

 

「くっ!」

「『ウィンダ』を特殊召喚。さあこれで終わりだよ。『ウィンダ』で『ヴァジュランダ』に攻撃!!」

 

 

 カズマ LP900→0

 

 

 最後に緑色の髪の女の子が杖を持ちながら、『ヴァジュランダ』の頭をポンポンと叩く攻撃シーン。

 カズマ君のデュエルディスクはライフポイントが0になると音を鳴らしてソリッドビジョンを終了させた。

 

 

「くそっ…。結構追い込めたのにオレは女にも負けてしまうのかよ…。オレはデュエルに自信があったのに……。くそっ」

 

 地面に崩れてデュエルディスクをはずして悔しそうに床を何度も殴る。目には少しだけだが涙が見える。

 

「別にカズマ君のデュエルは悪くなかったわ。私が今まで戦ってきたデュエリストの中では強い分類に入るよ」

「学年10位のオレが無名のデュエリストに負けるとはな……。アハハ」

 

 私が励まそうと考えて台詞を考えたのにカズマ君はそれを聞いて、目に少数の涙が。

 

「ほら。泣き止みなさいよ。男の子が女の子に泣かされるなんてありえないから」

「!?」

 

 私はそれに気がつき、ポケットにあったハンカチをカズマ君に渡す。

 これは私が過去に、神崎さんにデュエルで負けて大泣きしていたところをハンカチ渡してくれて感動したからそれをまねしただけ。

 それなのにカズマ君は私の行動にギュッと来たのか急に黙り始めて私の顔をじっと見つめる。

 

「そうだよなぁ…。オレはこんなに暗い性格だから友達がいないんだよな。アハハハハ」

「……」

 

 やはり、学校ではこんなに暗い性格だったのは学校になじめないで友達がいなかったからなのか。

 でも、カズマ君はそんなに悪い人そうではない。優しい性格だし、しゃべればちゃんとまともに楽しい会話ができる。

 

「それにしてもナナちゃんはデュエルは男みたいな派手なプレイングだったな。とても女がするプレイングには見えなかったよ」

「それはどういう意味よ!」

「褒めているんだよ。オレは」

 

 褒めた発言が何かちょっと嬉しいな…。

 久しぶりに男装から女に戻ったっていうのに何で癖で男気溢れることをしてしまったんだろう。

 いつも私が演じている奈々川ユウヤってキャラに慣れすぎてこんなことをしてしまったのか?

 

 

 

 

 そして屋上の景色を二人で満喫しながら、他愛もないいつも通りの会話を私は聞いてあげた。

 話を私に聞かせると安心したのか、カズマ君は泣き止んでさっきとは人違いとは思えないほど笑顔は綺麗になった。

 そして、人段落付いてから…。

 

「カズマ君って部活に入ってる?」

「何も入ってないよ」

 

 部活は入ってないか…。

 私はとっさに思いついたことなんだけど、デュエル部には人が全然いないで活動をあまりしていないから誘うチャンスなんだよな。

 

「カズマ君はデュエルは好きだよね! だったらデュエル部に入ってよ!」

「っ!? デュエル部!?」

「そうデュエル部。私の友達の奈々川ユウヤが人が足りないって困っているみたい」

 

 ちょっといきなりだったからポカッと穴が開いたように大きく口を開けているけど、私がニコっとうなずいたら急に顔を赤くして入るかどうか悩んでいるみたい。

 もちろん、私が奈々川ナナとしていられるのは、今日限りのことなので、ユウヤが友達っぽく話を繋げる。

 

「奈々川か……。クラスで人気物で学年でトップの生徒。オレの憧れの人物でもある……。人が足りないなら入ってやるか」

「えっ!?」

 

 もう一人の自分であるユウヤに憧れていてくれてたなんて嬉しいな。

 こんなにいい人でデュエルがそこそこ強い生徒だから、何もやっていないデュエル部の活動が多少は活発になるかも。

 

「決まったら放課後にデュエル部の部室に来てよ! ユウヤが待ってるから!!」

「……ドキっ!」

 

 私は後ろ姿をカズマ君に向けて手を振りながら学校の屋上からゆっくりと消え去るように立ち去った。

 卑怯だけど女ってことを無理やり利用した作戦だったけど、これで部員1人ゲットだな!

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

「お帰りなさい。ユウヤ。あなた随分と遅いじゃないのよ。ご飯にするお風呂にする? デュエルにする? それとも…私? うふふふふ」

「ご飯でお願いします…!」

 

 どうしよう…。玄関開けるとエプロン姿の神崎さんが怒ってらっしゃる。

 私は勝手に神崎さんの制服を持ち出しちゃったからこのことをどうやって説明しよう…。

 私は女装癖が好きな変態です!! では何回もやってるから駄目だよなぁ…。なんかいいアイデアはないのだろうか。

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