遊戯王~デュエルキングを目指す少女の物語   作:魔法使い?

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レビュられてました。やったね^^


第19話 『部活動記』

「ここからが俺様の本気だ!!」

「ちょ、ま、カイザー先輩何をするつもりなんですか?」

 

 カイザーと宮城のデュエルの途中経過。

 カイザーの場には部室に真っ白い霧を発生している原因であるフィールドの『暗黒界の門』、漆黒色に染まる不気味な龍『暗黒界の龍神 グラファ』が2体。

 私は最初から2人のデュエルを、部室のソファーでお茶を飲みながら見ていたけど、デュエルの実力の差は最初からついていたとわかる。

 手札、フィールドのアドバンテージの差が開きすぎている。カードで潤っているカイザーに対し、『闇のデッキ破壊ウイルス』を発動されてしまい、宮城のカードがなくなってしまったのだ。

 

「最強デュエリストのデュエルは全て必然!ドローカードさえもデュエリストが創造する! シャイニングドロー!!」

「えっ……? どういうことなの?」

 

 フィールドががら空きなのにもかかわらず、カイザーは謎を台詞を言っていきおいよくデッキからドローする。

 一瞬私は何が起きたのかわからなかったが、このドローはデッキの上から引いたわけではなく、3番目辺りからドローしたとわかった。

 宮城はこの反則行為に気が付かず、全然意味わからないようで疑問の顔になる。お構いなしにカイザーは、ドローしたカードをすぐに発動する。

 

「俺様は『魔道書の力』を発動する!! これを『グラファ』に装備だ!! カード効果により攻撃力守備力は自分のフィールドに存在する魔法・罠の数×500ポイントアップする。俺様のフィールドには5枚のカードがある。よって2500ポイントアップだ!」

「何っ!!」

「これで終わりだ!! 『暗黒界のグラファ』の攻撃!! エターナル・ブラスター・ゴッド・フレイム・ダーク・デス・バースト!」

「すげええええ。攻撃力5500の『グラファ』。かっけえええ。カイザー先輩すごいっすよ」

「当たり前だろ。この部室の中で一番最強なのは俺様なんだからよぉ」

 

 長ったらしい必殺技をカイザーは叫びながら、カードが1枚もない宮城にとどめをさした。

 シャイニングドロー()をしなくてもそのままモンスターで殴れば勝ちだったのに、不正しながらオーバーキルをするってどういう神経の持ち主なんだカイザーは……。

 でも、別に公式大会とかじゃないしルールもないから、別にいいんだろうか。

 

 なんだかカイザーって大柄の体格のわりには子供っぽい。

 自称カイザーっていうだけあってか、このデュエル中見てて思ったがプレイングも下手だし、詰めデュエルの成績も正解率低いでかなり悪い。

 なんだかカードパワーに頼りっきりって感じがする。でも、そのカードパワーが高くて、並みのデッキを凌駕するくらいに強いんだよなぁ。

 一回私はカイザーとのデュエルに引き分けだった……。人のデュエルの腕を勝ってに推理しているけど、今の私だったら勝てる気がする。

 

 

 カイザーの笑い声と宮城のはしゃぎまくる声が部室に鳴り響く。

 部長がデュエル部にやってきてから月日がたった。部長が来る前と後ではだいぶ雰囲気が違う。

 部室ではデュエルを全くやらなかったカイザーが、ここにきてデュエルをするようになったし、宮城も入部前はデュエルには自信がないって言いながら、デュエルしてたけどやるようになった。

 それはとっても小さなことだけど大きな変化だと思う。

 柔道部も両立している堀内先輩も、忙しいながらデュエル部にちゃんと来ているようだ。でもデュエルはあまりしてないな。

 堀内先輩は相変わらず、デュエルしに来ているっていうより男を見に来ているように見えるのは気のせいか。

 だけど、人見知りカズマ君は相変わらずだ。一人ぼっちで浮いている気がする。

 

「えーーー。お前も知っている通りにこれから夏に掛けて高校デュエル甲子園が始まる。そこでだ。実技デュエルをしてもらう。今から代表選手を決めてもらう」

「デュエル?」

 

 部長の声に反応して私と宮城の声が被る。

 デュエルすることが三度の飯より好きな私。例えどんな強敵であろうとデュエルキングの夢がある私には臆病よりも勇気の方が強い。

 そろそろそういう時期か。大会は7月に始まるから、どの部活も大会に向けて練習は始まっているはずだ。

 

「どうした? 宮城。何か不安があるのか…?」

「いいえ。何でもありません…」

 

 弱弱しそうに言葉のキャッチボールを返す宮城。言葉の勢いから自信がないようにも見える。

 

「大会では団体戦だからな。先鋒、中堅、大将の3人をこれから決める」

「………」

 

 

 知らなかったが大会はこんなことをやるんだ。まるで剣道部の試合のようだ。

 私が中学三年間頑張ったバスケとは違って、個人一人ひとりのプレイが大事に見える。

 

「先鋒戦、中堅戦、大将戦と3回試合がある。2回勝ったらそのチームが勝利だからな……。我ら冥界学園は強豪校とされているだけあって、ここの部活は上を目指す以上負けることは許されない……。半端な気持ちで入ってくるなよぉ。デュエルの世界によぉ!!」

 

 デュエルキングを目指す私にとってはこんな戦いの舞台負けられない。

 去年の大会では2位だった話は私は知っている。ここの部活は優秀だそうだ。

 部長は失礼だが何処を向いているのか何を考えているのかわからないため気味が悪い。でも部長は視力がなくてもチームを導いてくれた。

 体が不自由なはずなのに、チームを勝利に導くその実力は只者ではないだろう。

 男大好きで、私が苦手な堀内先輩も、男子寮で見つけたトロフィーからこの部室では相当強いということがわかった。

 えーっとカイザーの強いところは……?

 

「大会では3人参加だ…。だから大会のルール上、上位3位が決まるでこの中から決めなければならない」

 

 代表を決める為?

 私は代表選手3人と言われ、急いでここの部活の人数を数える。

 えーっと…。私に、宮城、カズマ君、堀内先輩にカイザー…。あと部長か。……。6人だ。

 ってことはこの中から3人も落とされるってことなのか?

 

「糞部長が言うには雑魚は戦略外ってわけだな。使えもんにもならねぇ雑魚には用はねぇってことだよバーカ!!」

 

 先輩の説明を今まで興味なさそうにエロ本を見ていたカイザー。

 急に何を思ったのか本をバタンと閉じてこちらの話に入ってくる。

 

「代表はこの部活で一番強い俺様と堀内と糞部長で決まりだろ。お前ら1年の活躍の場はねぇよ。お前らは俺様達の応援していればいいんだよ!!」

 

 誰が一番強いんだ? それに私が使えないって? ひどいことを言うなぁ…。

 私達1年を見下したような嫌味を言ってきたのがムカついた。だから私は言ってやった。

 

「こんなこと言うなんて酷いじゃないですか!! 僕達だって結構強いですよ」

「あぁんっ!! お前らのどこが強いんだよ。アホか!!」

「先輩は僕とデュエルした時は引き分けだったですよね。あのとき、何も思わなかったんですか!?」

「あれは偶々俺様が事故ってただけだよ! そんなん俺様が本気出したらてめぇらなんて瞬殺だ。俺様が一番強いんだよ!! そんくらいサルでもわかるわ!!」

「へぇーー」

 

 カイザーは喧嘩腰で私に挑発する。喧嘩? やってやろうじゃない。

 変態リーゼント野郎の見た目だけの不良に今頃ビビる必要性なんてないよ。私は実際の性別は女とはいえ、今は男だからな!

 口で言いまってあまりにもカイザーが気に入らなかったからってちょっと調子に乗りすぎたかな…?

 でもあれくらい言ってやらないと私達1年生が馬鹿にされっぱなしだ。大会に出たい私が戦略外にされるのだけは絶対に嫌。

 

「デュエルをやるっていうならやってやりますよ」

「はぁっ? 対してチンコ大きくない野郎が俺様に喧嘩売るだと? しばくぞ!! その小さなチンチン握り潰してやろうか?」

 

 カイザーの怒りの逆鱗に触れそうになる。

 私の言葉に対しての返事は拳に全身いっぱいに力を入れていることから私を殴りたいのだろう。

 暴力行為が苦手な私はちょっぴり後ろ腰になってしまう。

 

「何だよ。対してリアルファイト強いわけじゃええのに、喧嘩売って女みたいに震えてアホじゃねえのか? 小便漏らしちまったんじゃねぇよな!」

「………くっ」

 

 大体合っている。私の足はガタガタに震えている。

 受けて立つってかっこつけたけど、女の子の私にはヤンキーに勝てるはずもない。

 

「止めなよ。2人とも!!」

 

 助かった…。

 私とカイザーの喧嘩を見ていた堀内先輩が止めに入る。手で押さえようと堀内先輩はカイザーの目の前にたつ。

 スポーツマン体格の堀内先輩の威圧はダテではなくカイザーの視界を邪魔した。

 

「ちっ…」

 

 カイザーは舌から音を立てる。それに私とデュエルした時は無限ループが決まって向こうは焦っていたくせに。

 けど引き分けだったから何もいい返せないんだよな。せめて私が勝てば今の立場は逆になっていたはずなのに。

 

「ここはデュエリストらしくデュエルで決着をつけようよ」

「デュエル。今度は負けねぞ!! 今度こそ俺様が勝つ。おめえを全裸で逆立ちで大会を応援する係に変えてやらっ!!」

 

 ……。また賭けごとか…。

 しかもよりによって前回のデュエルと同様に全裸が入ってくるとは。ちょっと引いた。

 私が女とは知らないカイザーが嫌味で言ったんだろうけど。でも今度こそは勝つよ。デッキだって多少弄くったし!

 

「そろそろ僕とカイザーがどっちが上かどうか確かめたかったことだしね。ここで僕が勝つ! 僕が大会の代表に入ってカイザーを補欠にしてあげるよ!」

「あぁん!! 雑魚の癖に態度だけはでかいじゃねぇかよ。やってやろうじゃないか!!」

 

 喧嘩をしている私とカイザーは部室に雑に置かれているデュエルディスクを私は腕に装着させる。

 リアルファイトでも口喧嘩でも駄目ならデュエルでわからせるしかない。今度こそ決着を付けようと構えたそのとき、

 

 

「奈々川。中里。止めろ…」

「っ…!?」

 

 しゃべらないから今まで見て見ぬ振りをしていたと思った部長が口出しをしてきた。一体何を考えているのか私にはわからない。

 

「何だよ。糞部長!! 喧嘩の邪魔すんじゃねぇよ!」

 

 自分より上の先輩に大声で怒鳴るカイザー。 それなのに部長は喜怒哀楽の表情を変えずにしゃべる。

 

 

「お前たちの腕は強いってことはわかっている…。無駄な行為は止めろ!!」

「はぁっ? この中で一番強い俺様はともかく、何で奈々川が強い分類に入るんだよ! 頭行かれているんじゃねぇのか!!」

「………」

 

 カイザーの自称デュエルが一番強いって言っていることが見ているこっちが恥ずかしい。

 去年暴力沙汰を起こしたカイザーは元々大会には出られなかったらしい。堀内先輩や部長の方がデュエルの腕前は上なはず。

 それなのに部長はそのことについては何も言わない。カイザーはこのことがまだ頭に残っているのか、頭をかきながらイライラしている。

 

 

「奈々川…。お前の詰めデュエルを見て中々の腕前だとわかった。一番正解率高かったもんな。いい目をしているんだろうな」

「え…っ?」

「ごらんの通り俺は目が見えない。だが俺の他の五感に狂いがなければお前は中々いいオーラを発している…。デュエルに掛ける情熱が並の物よりあるのだろう…。そこを俺は試したいんだ…」

 

 無口な部長は長々と私に興味があるように話し続ける。

 

「だからどうしたんだよ! こいつの男女みたいなどこがいいんだよ!!」

「……。中里…。強がりはよせ。俺はお前より新1年生の方が興味がある。1年はお前より強いんじゃないのか?」

「はぁっ!? そんなのありえねぇよ!! 目が見えねえからって嘘言ってんじゃねぇよ!!」

 

 最初は不気味で何を考えているのかわからないと思っていたけど、部長らしい意見を私とカイザー言ってくれた。

 視力はないけど観察力は人1倍強いのは本当のようだ。部長は初対面から私のことを女だと見破ったっけな? それは嘘だと思いたいが。

 だからこそこの学校のデュエル部はとても強いんじゃないかな?

 

「いや、奈々川君の実力は確かだよ。私だって奈々川君とデュエルして勝てなかった。確かなものだと思うよ。ハァハァ」

「堀内!! お前も奈々川の味方をすんのかよ!!」

 

 堀内先輩も鼻息を散らしながら私のことを言ってくれた。私のお尻を狙ったことがある堀内先輩だからいい思いではないけど。

 勝ったのは手札が良かったからだし、堀内先輩デュエル中に気絶しちゃったんだよなぁ…。またデュエルしろって言われたら勝てるかわからないし。

 

「これからお前たち1年にデュエルをしてもらう。実力が分かった奈々川はともかく、小笠原、宮城、お前たちのデュエルが知りたい」

「俺っすか?」

 

 話を急に変える部長。軽い返事で宮城は返す。

 

「小笠原、宮城、これからタッグデュエルを行ってもらう」

「タッグデュエル? 俺が根暗野郎と?」

「だれが根暗野郎だ!!」

 

 今まで口数が少ないからある意味空気だったカズマ君が宮城の言葉で反応する。

 学校でも無口なせいで、周りから見たらカズマ君は勘違いされてそう思われているんだろう。宮城はそんな性格のカズマ君とは仲良くないしな。

 

「そうだ。タッグデュエルだ。お前たちは仲が悪いようだな。これからチームメイトとの親睦を深めるためにも行ってもらう。大会でも絆は不可欠だしな」

「だれがこいつと……!!」

 

 宮城は気に入ってないようだ。嫌な顔をしている。

 

「堀内。あとは頼む」

「わかりました! 私がデュエルをすればいいんですね!」

「…っ!?」

 

 そんなのお構いなしに部長話を続けた。

 部長にデュエルディスクを渡されて堀内先輩はデュエルをしようとこちらに向かってくる。巨漢な胸板を動かしながら歩いてくる。

 でもちょっと待って? カズマ君と宮城がタッグを組むらしいのに、対する先輩側は堀内先輩しか立っていない。

 

「勘違いしているようだけどこれから君たち2人は私を倒すための挑戦をしてもらう!」

 

 2対1のデュエル?

 

 

 

◆◆◆

 

 

 私は部室においてあった地域の新聞を見ていた。年は見るからには去年の新聞か。

 『第68回高校デュエル甲子園。準優勝冥界学園高校』と書かれている。そこには3人が表紙の中央に映るように立っていた。

 一番右にいるのはぼつぼつニキビのリーゼントのカイザーと、左には目を髪の毛で隠すくらいに長い人物で杖の主は部長かな。

 ところで真ん中にいるのは誰なんだ。さわやかな髪形に、クールに制服を着こなしているかっこいい男。だれだ。このイケメンは?

 

「ああ。それね。私だよ。ハァハァ。あの大会の後、好きな男の子ができたから、ストレスで1年間で20キロも太っちゃってさ。エヘヘヘ」

 

 腕にデュエルディスクを付けて準備をしている堀内先輩が返事をする。

 嘘だろ……。写真とは全く別人のように顔が大きいし、おなかあたりも全然違う。

 写真に写っている1年前の堀内先輩は、私が今まで見てきた中でも一番の「イケメン」と思えるくらいにかっこいいのに。

 どうしてこうなった……。

 

 同性愛者ってどうして短期間で人が変わったようになるんだよ……。

 私が好きと言った清水さんもたった数年で別人のように変わっちゃったし……。恋の力って恐ろしいな……。

 

 

 

 カズマ LP4000

 宮城 LP4000

 堀内 LP4000

 

 

 堀内先輩と宮城、カズマ君ペアのタッグデュエルが始まる。嫌嫌ながら始まったこのデュエル。

 高校デュエル甲子園4位の実力を持つ堀内先輩。これだけの称号を持っているからハンデということなのだろうか。

 けれども2対1のデュエルでは全くわけが違う。デュエルになれている人間でもかなり不利になる。

 2人で初期の合計ライフ8000。それにターンの回転が遅いから攻めてにも掛ける。

 

「さあ、デュエル開始だね!! 1番最初は君たち1年生が話しあって決めていいよ。私は一番最後で大丈夫だから」

 

 2対1のハンデにプラスしてさりげなく堀内先輩は後攻を宣言した。

 先行に罠を伏せられて後攻を狙うのはかなり不利なことなのにどうして?

 

「先行はオレが貰う!! ドロー!!」

「おい! カズマ! 何でお前が勝手に先行もらってるんだよ!」

「オレは手札から『竜の渓谷』を発動!!」

 

 話合いすらしないでカズマ君が勝手に先行をとる。

 カズマ君がフィールド魔法をデュエルディスクにセットするとデュエル部の背景がたくさんの谷を映したものに変わる。

 時間もちょうど5時ってことで窓から指す夕日の光からこの谷のフィールドが絶景に見える。

 

「手札の『テラフォーミング』を捨て、デッキからドラグニティを手札に加える効果を発動。『ドラグニティ-ピルム』を手札に加える。カードを2枚伏せる。これでオレはターン終了」

 

 フィールド魔法の効果を使いデッキからカードをサーチするだけでターンを終わらせる。

 これだけで終わらせたのはタッグデュエルのルールの特徴として最初の1ターンはお互いに攻撃できない。

 だからこそ安全にカードを序盤に整えられたのだろう。もしカズマ君が後攻だとしたら『サイクロン』で『渓谷』の効果を不発にされていたのかもしれない。

 それだから後攻は1対1のデュエルより不利が生じるはずなのに堀内先輩は一体何を…。

 

「俺のターン!!」

 

 今度は宮城のターンへ。

 

「俺は手札からフィールド魔法『霞の谷の神風』を発動するぜ!」

「お前っ!? 何にやってんだよ!!」

 

 

 フィールド魔法を発動すると一瞬で美しい谷の景色が突風で吹き飛ばされる…。

 フィールド魔法は新しく貼ると古いフィールド魔法は破壊されるのに……。宮城はタッグ仲間のカズマ君のフィールドを上書きした!!

 

「邪魔なんだよ。そのフィールドがあると俺が展開できないじゃないか!」

「……。だからって今、発動する必要はないだろ…っ! フィールド魔法は破壊されやすい。破壊されたら貼り直せばよかったものを…」

「うるせぇっ! カズマ。お前がいなくたっても大丈夫なんだよ。だれがお前のサポートするか!!」

 

 意見が合わないカズマ君と宮城は喧嘩している。チーム戦だっていうのにどうして仲間われなんかするのだろうか?

 

「ちょっと…っ。二人とも喧嘩を止めなよ!!

 

 私は宮城に批判の声を上げる。だが、2人は喧嘩を止めない。

 

「おや。おや? タッグデュエルなのにいきなり喧嘩をするのですか?」

 

 その様子を対戦相手の堀内先輩は苦笑いをしているかのように見える。

 細かい様子も何もしゃべらない部長も遠くから目視する。私からすると部長は何を思っているのかわからないから気味が悪い。

 この様子を部長はどう思っているのか?

 

「過ぎちまったことはやり直しが効かないから勝手に続けるぞ!! 俺は『霞の谷の雷鳥』を召喚!!」

 

 お互いに納得できないまま勝手にデュエルに戻す宮城。

 

「『霞の谷の雷鳥』を手札に戻し『ミスト・コンドル』を攻撃力1700にして特殊召喚!」

 

 さっき出てきたばっかりの鳥モンスターはユーターンして手札に戻る。すると変わりに青い羽のコンドルが姿を現す。

 

「さらにいくぜ!! 『霞の谷の神風』効果発動!俺のフィールドの風属性モンスターが手札に戻った時レベル4以下の風属性モンスターをデッキから特殊召喚!俺は『霞の谷の戦士』を選択!さらに『霞の谷の雷鳥』は手札に戻った時特殊召喚される」

 

 モンスターを手札に戻すと一瞬だけソリッドビジョンの風の流れが早くなる。疾風のごとく鳥人の戦士が出現した。

 

「レベル3の『雷鳥』にレベル3の『戦士』をチューニング!! 霞の谷の王者よ! 雷鳴と共に俺の前に姿を表せ! シンクロ召喚。『霞の谷の雷神鬼』」

 

 鳥獣と戦士が光輝く星の形になって交わる。光の先に現れたのは青い翼。それに筋肉質の体に鬼の目つきをした化け物。

 

「カードを1枚伏せる。これで俺はターンエンドだ! どうだ!! カズマ!! お前は全く展開してないのに俺の方がいっぱいモンスターで生めたぜ!!」

 

 シナジーをあわせたいが為に『雷鳥』自身の効果『神風』の効果を使って展開したのか。

 でも1ターン目ではあまり意味がないんでは…。どっちみち1ターン目には攻撃することができない。そんなに焦る必要はないはずなのに。

 カズマ君はあきれたのか目を合わせてもいない。

 

「私のターン。いくよっ!」

 

 次は肝心な堀内先輩のターンへと移行される。

 堀内先輩は過去に私とデュエルを行ったがあの時は私が瞬殺したからデッキの回転がわからなかった。

 高校デュエル甲子園の4位のつわもの。これをまともに相手になるのか。

 堀内先輩のデッキは果たしてどんな物なのだろう。

 

「私は手札から『封印の黄金櫃』を発動させるよ。このカードはね。デッキのカードを除外し、2ターン後の私のスタンバイフェイズに手札に加えることができるカード。そうだなー…」

 

 先輩が魔法カードを発動させると金色に輝く櫃が床から出現する。

 

「デッキの『真炎の爆発』を除外しておくよ。これを2ターン後に加えるね」

 

 櫃が開くとカードをそれを入れ込むとそれが床に沈んだ。

 2ターン後って言ってたな。これが加えられるのは。でもこのタッグデュエルでは実質上6ターンも待たなければならないからきついはず。

 『真炎の爆発』…。このカードは確か禁止カードにも匹敵する効果を持つカード……。

 

「私は手札からモンスターをセット。2体1だからね。怖いから伏せカードを1枚追加しておくよ」

 

 互いに先行1ターン目は動けない。

 伏せただけでターンを終えたのはカズマ君の場が動く気配がなかったから様子見のつもりなんだろうけど、あれで次のターンまで防げるのか?

 たった1枚の伏せカードにも関わらず堀内先輩の目力は強い。何があるのかわからない。

 

 

 

 

 

カズマ

LP:4000

手札:5枚→6

場 :モンスター

   なし

   魔法・罠

   なし

宮城

LP:4000

手札:2枚

場 :モンスター

   ミストコンドル

   霞の谷の雷神鬼

   魔法・罠

   霞の谷の神風

   伏せ2枚

堀内

LP:4000

手札:3枚

場 :モンスター

   セットモンスター

   魔法・罠

   伏せ1枚

 

 

 

 

「オレのターン! オレは『ドラグニティ-ピルム』を通常召喚…。このカードが召喚に成功した時、自分の手札からドラグニティを特殊召喚することができる! 『ドラグニティ-プリムス・ピルス』を特殊召喚!! そして『ピルム』の効果により『ピルス』の装備カードとなる。さらに『プリムス』の効果。このカードが召喚、特殊召喚に成功した時、自分のデッキからドラグニティと名のついたレベル3以下のドラゴン族をドラグニティに装備することができる。俺は『ドラグニティ-ブランディストック』を『プリムス』自身に装備!!」

 

 カズマ君の2ターン目が回ってくる。

 カードをプレイすると緑色の小さな竜が現れ、現れたと思ったらすぐに武器へと姿を変えていく。

 それを装備魔法として装備されたのは上級ドラグニティである人型の鳥人族。

 これもまた自身の効果で口笛を吹くと遠くから竜を呼び出し自ら武器を作る。私とデュエルした時もそうだったけどドラグニティデッキって仲間との連携が楽しそうだ。

 

「バトルフェイズ! 『プリムス』で堀内先輩にダイレクトアタック! 『ピルム』が装備カードとなっている場合攻撃力を半分にしてダイレクトアタックが可能になる」

「これは通すよ。ぐっ……」

 

 堀内 LP4000→2900

 

 モンスターをすり抜けて『プリムス』は鞭で堀内先輩に攻撃を与える。

 ソリッドビジョンなのに迫力とか勢いが強すぎるらしく先輩はこれで怯む。

 

「さらにもう1度。『ブラッティストック』が装備されたモンスターは2回攻撃することができる。ダイレクトアタック!!」

 

 堀内 LP2900→1800

 

「痛いなぁーー…。小笠原君…。でも気持ちよかったよ。ハァハァ…」

「オレはこれでターンを終了させる。伏せカードを1枚伏せる…」

 

 攻撃を受けたはずなのに先輩がそこまで重要な反応をしない私は何かを感じる。

 堀内先輩に攻撃を与えたのに何なんだ。あの余裕は…。2対1のデュエルで守るのにつらいはず。

 このペースだと次の宮城のターンでもしかしたらデュエルは終わってしまうのではないか? 『黄金櫃』のターンまで持たないだろう。

 

「次はこの宮城様のターンだぜ!! 奈々川、カズマ!! 見てろよ!! 俺の華麗なプレイングを!!」

「ハイハイ…」

 

 それにしても宮城のハイテンションについていけられないなー。

 有利だとはいえ何なんだ。堀内先輩のあの余裕と表情。アド差も開きすぎだし、1年生側はかなり有利。いけるかもしれない。

 

「いけーーっ。バトルフェイズ! 『ミストコンドル』で先輩のモンスターに攻撃!!」

 

 コンドルがセットモンスターの高度にあわせ低空で飛行して攻撃する。

 セットから表になったカードは粉砕された。どうやら戦闘破壊できたらしい。

 

「宮城君が破壊したのは『ラヴァルの炎車回し』。このカードはね。戦闘破壊された時、デッキからラヴァルと名のついたカードを2枚墓地に送ることができるんだよ」

「げっ!!」

 

 やけにセットモンスターの様子が怖いと思った矢先はこれか。

 

「『ラヴァル炎火山の侍女』と『ラヴァル・ランスロッド』を墓地に送るよ。さらに『侍女』が墓地へ置かれた時、他にラヴァルが墓地にあればデッキのラヴァルと名のついたカードを墓地に送ることができる。この効果によって再び『侍女』を墓地へ。同様にもう1枚のカードも送り最後は『ラヴァル砲兵』を墓地へ」

 

 たった1枚のカードで5枚もの墓地肥やし? 戦闘破壊が原因でこんなにもデッキ圧縮をされてしまうなんて。

 

「今頃墓地を肥やしても遅い! 『雷神鬼』! これで止めを刺せ!!」

 

 『雷神鬼』が両手で手を合わせるとビチビチと雷音を鳴らせて攻撃の準備に入る。

 待てよ…。これが決まれば、私達1年の攻撃が決まれば墓地を肥やした意味はない。私はもしかしたらこのままデュエルは終わるのではと思ったが…。

 

 

 

「トラップ発動! 墓地のラヴァルを全て除外し『炎塵爆発』!!」

 

 『炎塵爆発』? これが発動されると空気中に目に見える粉粒が集まりだす。

 これを『雷神鬼』のいかずちに触れるとフィールド全体に大きく爆発した。

 

「俺のカードが…。全滅…?」

「『炎塵爆発』。このカードはコストとして除外したラヴァル1体に付き、カードを破壊できるカード。除外したカードは6枚。よって君たち2人のカードを破壊してもらったよ」

 

 宮城の『雷神鬼』『神風』にセットしてあった『大革命返し』に『奈落の落とし穴』が消し去る。

 それにカズマ君の『プリムス』と大量展開のためにと対策してあった『激流葬』まで…。

 

「デュエルディスクが壊れやがった!!…。2枚以上のカードを破壊する効果がおきた時発動できる『大革命返し』。どうして発動できないんだよ!!」

「『炎塵爆発』はね。効果解決時に破壊するカードを選ぶカード。つまり2枚以上破壊されるか未確定だから発動しなかったんだよ」

「よくわかんねぇ…。でもこれは言える。ぶっ壊れ効果もいい加減にしやがれよ!!」

「宮城君。逆切れするのはよくない。もっと君がカード効果を勉強しないのがわるいのじゃないか」

 

 罠1枚だけで1対6交換とかあのカードはインチキ効果ではないかと私達1年生は目を疑ってしまう。

 伏せカードを多様するために大量除去対策のために、宮城が『大革命返し』を入れていたはずだったと思う。それが不発だなんて。

 

「たしか……『雷神鬼』の手札に戻す効果はフリーチェーンだよね。破壊効果に何でチェーンしなかったんだ? これで自分のカードとかカズマ君のモンスターを守れたのに…」

「あーーっ…。忘れてたーー!!」

 

 私は疑問だったことを口にする。指摘がなかったら宮城は、完全にわからなかっただろう。

 ゲームでは過ぎてしまったことはこのデュエル中では後戻りは不可能。

 宮城は苦しい顔をしながらも1枚のカードを伏せてターンを終えた。

 

 次は堀内先輩のターンだ。

 

 

「私のターンドロー。よしっ!」

 

 引いたカードを見てうなずく堀内先輩。

 さきほどまで有利の状況だったのに何もカードがおかれていないカズマ君と宮城の伏せ1枚と『ミストコンドル』の場ではまずいだろう。

 

「『異次元からの埋葬』を発動。これにより除外されたカードを3枚まで墓地に戻す。『侍女』2枚と『ランスロッド』を墓地に送ろう」

 

 ポケットにしまってあったカードをお札を自動販売機に入れる感覚で気持ちよさそうに墓地へと戻す。

 

「そして墓地に送られたことにより『侍女』の効果で2回チェーンブロックが組まれる。『ラヴァル炎湖畔の淑女』と『ラヴァル炎樹海の妖女』を墓地に送ろう」

 

 これでも墓地に送られればいいだけだからこれでも効果が発動するのか。こんなに墓地にカードを溜め込んで何をするつもりなんだ。ちょっと怖い…。

 

「『淑女』の効果! 墓地にラヴァルと名のついたカードが3種類以上の時、このカードと墓地のラヴァルを除外することでセットカードを破壊できる。『ランスロッド』を除外して宮城君のカードを破壊だ!」

「俺の『破壊輪』が!!」

「危ない。危ない。これで邪魔するカードはなくなったようだ」

 

 宮城が伏せたカードは禁止カードだったのか…?

 『破壊輪』はモンスターを破壊することでそのモンスターの攻撃力分のダメージを互いに与える効果を持っていたはず。発動しなかったのは自分のライフも減るからだろうか。

 攻撃力1800以上のモンスターがいれば…ライフが1800しか残ってない堀内先輩に通せば勝ちだったのに。

 

「墓地にラヴァルが3種類以上あるときに特殊召喚できるカード。『ラヴァル・コアトル』と『ラヴァルバーナー』を特殊召喚。さらに『ラヴァルキャノン』を通常召喚。このカードの召喚時に除外されたラヴァルを特殊召喚できる。どれを呼ぼうかなー。そうだなー…。『ランスロッド』を特殊召喚」

「……。これはまずいんじゃないのか…?」

 

 炎に包まれた怪鳥に炎に飲み込まれた人間顔がポンポンと投売りのごとく配置される。

 それにキャノン砲を持ったモンスターからにも炎の体の槍を持つカードを展開。

 最初のターンとは桁違いの動きだ。レベルが高い大量展開。これが高校デュエル甲子園4位の実力なのか。

 私がデュエルした時は何をさせずに倒しちゃったから馬鹿にしていたけど、こんなにデッキが分回った先輩では今の私でも勝てるのかわからない。

 

「いくよ!! 『ランスロッド』で宮城君の『ミスト・コンドル』に攻撃!」

「うわーっ!!」

 

 宮城 LP4000→3800

 

 槍が霞の谷の怪鳥を貫く。

 唯一のモンスターを奪われた宮城の場にはもう何もカードはおかれていない。

 堀内先輩の場にはまだ攻撃できるモンスターが3体も置かれている。攻撃が防ぐ手段がないと宮城がカズマ君のどちらが敗北してしまう。

 

「さらに『コアトル』と『バーナー』で宮城君にダイレクトアタック☆」

 

 カズマ LP3800→1700→500

 

「俺が一番強いからってカズマより俺ばっかり狙うのずるいぞ!! ちくしょーー…」

「オレはおまえよりは強いだろ!! お前こそ強カードばっか手札に握ってたのに、それを無駄にするようなプレイングばっかすんだよ」

「うるせー。下手じゃないだろよ!!」

 

 相変わらず、宮城とカズマ君は喧嘩をしている。その喧嘩は止まりそうにない。

 

「ハハハ。1年生のデュエル微妙だな。見てて笑っちまうぜ。バカじゃねぇの?」

 

 カイザーが何もできない私達1年を無様にして笑っている。

 宮城が今言ったこと嫌な風に聞こえるかもしれないけどタッグデュエルでは大体あっている。

 さっきまで派手な動きをして一番目立っていたのは宮城。そのためにタッグデュエルでは、一番邪魔だと思う相手を倒す戦術がある。

 2対1のハンデデュエルを背負っている堀内先輩だからこそ、誰か1人を倒すとう戦術を組んだのだろう。

 

「『ラヴァル・キャノン』! 小笠原君にダイレクト」

「……っ!!」

 

 カズマ LP4000→2400

 

 どうして…。このまま宮城に攻撃すればタッグデュエルの相方を倒せたはず。

 さらにカイザーはおなかを抱えながらこれを笑いの壷にされている。私は関係ないけど舐められているから宮城とカズマ君がとても小さく見えた。

 

「つぅか。めちゃくちゃおもしれぇことすんのな。堀内。ナメプとかお前らしくねぇぜ」

「まだこんなものじゃないと思うんだよね。この1年生たち。こうもしないと部長が1年生のデュエルの腕が見れないでしょ?」

 

 カズマ君と宮城のデュエルの腕を見るためだと部長は言っていたけど、こんなの絶対おかしい。とても惨めにされているのが誰だってわかるよ。

 堀内先輩は重要なプレイングミスをしていたことが私には見える。たぶん無愛想で耳だけで推理している部長もこれを知っているはずだ。

 『ラヴァル炎樹海の妖女』はフィールドから墓地に置かれた時、墓地にあるラヴァルの数だけ全てのラヴァルに攻撃力を200プラスする能力があった。

 『妖女』を『淑女』の効果で除外し『キャノン』で帰還させてシンクロ素材にすればこの効果を使えば一気に勝負を決められたはず。

 高校デュエル甲子園4位の堀内先輩はそれを見てないってことはまずありえない。これは絶対にわざとだ。

 

「レベル4の『キャノン』にレベル2の『コアトル』をチューニング。ラヴァルのマグマに密かに沈む竜騎士よ。私の前に姿を呼び覚ませ! シンクロ召喚! 『ラヴァルバル・ドラグーン』」

 

 この絶対的な状況をさらに追い込むかのようにシンクロ召喚される紅蓮の龍。攻撃力2500なのにとても強大に見える。

 

「『ドラグーン』の効果によりデッキからラヴァルと名のついたカード『ラヴァルの砲兵』を手札に加えるよ。そしてこのカードを墓地に送る。これでターンエンドだよ」

 

 

 

 

 

カズマ

LP:2400

手札:3枚

場 :モンスター

   なし

   魔法・罠

   なし

宮城

LP:500

手札:2枚

場 :モンスター

   なし

   魔法・罠

   なし

堀内

LP:1800

手札:0枚

場 :モンスター

   ラヴァル・ランスロッド

   ラヴァルバーナー

   ラヴァルバル・ドラグーン

   魔法・罠

   なし

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