遊戯王~デュエルキングを目指す少女の物語   作:魔法使い?

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第20話 『仲直り』

カズマ

LP:2400

手札:3枚→4

場 :モンスター

   なし

   魔法・罠

   なし

宮城

LP:500

手札:2枚

場 :モンスター

   なし

   魔法・罠

   なし

堀内

LP:1800

手札:0枚

場 :モンスター

   ラヴァル・ランスロッド

   ラヴァルバーナー

   ラヴァルバル・ドラグーン

   魔法・罠

   なし

 

 

 

 

 

 堀内先輩の舐められたプレイングにより部室が微妙な空気の中、デュエルが進んでいく。

 このまま何もせずに私達1年生が負けたらもっと馬鹿にされてしまうだろうか?。

 堀内先輩は強敵だとはいえ1対2のデュエルなんだからこれからのチームワークで何とかなるはず。

 ここからがデュエルの腕の見せ所だ。

 

「オレのターン。ドロー。オレは『強欲な壷』を発動! デッキからカードを2枚ドローする…!!」

 

 ここで禁止カードを引くとはいいタイミングだな。

 カズマ君はなんかマンガの主人公みたいな勢いでなんだかかっこいいかも。補充して手札が5枚になったことだし堀内先輩のフィールドをふっ飛せるかもしれない。

 

「『ドラグニティ-レギオン』を通常召喚! 召喚成功時にこのカードに墓地のドラグニティと名のついたモンスターを装備。そしてドラグニティが装備されているモンスターを除外することでこのカードは特殊召喚できる。『ドラグニティアームズ-レヴァテイン』を特殊召喚!!」

 

 カズマ君が新たにドローした2枚の中の一枚の『レギオン』のカードを叩きつけると実態化する。

 それをすぐさま墓地に投げ捨てると自分の体格と同様の長さを持つ槍を持った別の龍が出現した。

 

「『レヴァテイン』が特殊召喚した時の効果発動。墓地にあるドラグニティを装備。オレは『ブラッティストック』を選択!」

 

 全身緑色の武器となった角のドラグニティが装着される。このカードが装備カードとなっている時は2回攻撃が可能になるんだっけか?

 

「バトルといこうか…。『レヴァテイン』で『ドラグーン』と『ランスロッド』に攻撃!!」

「何っ…!!」

 

 『レヴァテイン』は瞬間移動するかのように素早く動きながら、持っている仲間との連携で2体のモンスターを突き刺す。 

 

 堀内 LP1800→1700→1000

 

 

「これでターンエンドだ」

 

 このターンを終えたカズマ君はカードを1枚伏せてこれでターンを終了させた。

 先輩の残るライフは残り1000。モンスターは『ラヴァル・バーナー』のみ。

 堀内先輩の場には伏せカードはないし、手札も力尽きている。前のターンに動きすぎてしまったことで息切れしてしまったのだろう。

 素直に先輩は宮城かカズマ君をどちらかを倒しておけばよかったものを。舐めたプレイングをした報いだな。

 そのおかげで運がよければ次の宮城のターンで決着が付く。

 

 

「2人とも堀内先輩を倒すにはもう少しだよーー!! 頑張ってーー!!」

 

 このデュエルを横から見ていた私は大きく手を振りながら応援を送る。

 

「へへーん。次は俺の番だな。この宮城様がこのターンでデュエルを終わらせてやる」

「はいはい…」

 

 宮城の元気はいいけどプレイングは下手だからどうしても頼りに見えないんだよなー。大丈夫なのだろうか。

 

「俺のターン。ドロー! 俺は手札から『ブラックホール』を発動するぜ!」

「っ!! 私のモンスターが全滅…っ!! このタイミングで発動するのか…!」

 

 魔法カードを発動すると大きなカード名通りに大きなブラックホールが出現して場のモンスター全てを吸い込む。

 

「仲間のモンスターも巻き込んでいるじゃねぇかバーカ!」

「『レヴァテイン』には破壊された時に発動する効果がある。このカードに装備されていたモンスターを特殊召喚できる」

 

 仲間も巻き込んでいるってカイザーに指摘されていたけどそう簡単にはやられないらしい。

 攻撃力は低いが『ブラッティストック』を場に残して守りを固める。

 

「『レヴァテイン』ってそんな効果あったのか!!」

「はぁっ…」

 

 味方の効果も知らない癖に巻き込ませたのか…。なんか宮城は突っ込みどころがさっきからいっぱいだな…。

 でもこれでいいんだ。堀内先輩の場にはカードが一切なくなった。これで攻撃力1000以上のモンスターを呼び寄せることができたら勝てる。

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド…」

「ええーっ!!!」

 

 宮城の1ターン前はあんなに展開して余裕があったと思ったのに…。最初のターンにモンスターを全部使いきってしまったんだな。

 何も考えずにカードを使ったせいだ……。カードを温存すれば、勝つことはできたのかもしれないのに……。

 

 

 

「私のターン。ドロー」

 

 堀内先輩のターンに変わる。このターンは確かあのカードが…。

 

「この瞬間。『封印の黄金櫃』のカウントが2つになり、このカードに封印されていた『真炎の爆発』が手札に加わる。そしてこのカードをすぐに発動といこうか。ハァハァ…」

 

 忘れかけていた時、床から櫃が飛び出してきて蓋が開くとカードが出現する。

 通常のドローと『黄金櫃』の効果合わせて手札は2枚に。何も考えずに手札を消費していた宮城とは大違いでこれで手札は自分の理想な物となった。

 

「『真炎の爆発』の効果により墓地の炎属性攻撃力200のモンスターを可能な限り特殊召喚だ!!」

 

 吹っ飛ばして手札を減らしても『真炎の爆発』があった。簡単に今まで吹き飛ばしていたアドを埋めることができる効果があることからさっきまで余裕な表情をしていたんだな。

 ポンポンと小さな炎の塊が爆発するとモンスターが生まれる。ラヴァルの『侍女』『砲兵』『ランスロッド』『妖女』『侍女』が現れ、フィールドを埋め尽くされる。

 

「このターンで終わりにしてあげましょう! レベル4の『砲兵』にレベル2の『妖女』をチューニング!! シンクロ召喚! 『ラヴァルグレイター』」

 

 モンスター2体が光の粒粒となり合わさって出てきたのは溶岩を見にまといゴツゴツとしたモンスター。

 

「そうはさせない!! トラップ『昇天の黒角笛』。相手が特殊召喚に成功した時、そのモンスターの特殊召喚を無効にし、破壊する!!」

 

 カズマ君は罠を発動させる。このままシンクロモンスターに制圧されると思ったけど私達1年生には罠があったんだ。

 『グレイター』がどんな効果を持っているか確認できなかったけどこれで召喚を無効にさせる。

 これなら怖いものはないと思ったんだけど堀内先輩の様子が変だ。

 

「だけどこの瞬間『妖女』の効果が発動するよ。このカードがフィールドから墓地に送られた時、場のラヴァル全ては墓地に存在ラヴァルの数×200ポイントアップするんだ。私の墓地には6種類いるね」

 

 効果で元から攻撃力がある『ランスロッド』は3300の化け物に、元からアタッカー向きではない『侍女』でさえ攻撃力が1300になった。

 『真炎の爆発』の超展開の前ではたった1枚の召喚を止めるカウンター罠では防ぎきることはできなかった。カード1枚でここまで…。これが堀内先輩の実力なのか。

 

「バトルフェイズ。『侍女』で小笠原君の『ブラッティストック』に攻撃!」

 

 不気味な顔の『侍女』が単体では動けない『ブラッティストック』に飛び掛る。

 

「『ランスロッド』で小笠原君にダイレクトアタック!!!」

 

 カズマ LP2400→0

 

 

 丸裸当然のフィールドでは防げるはずもなくカズマ君のライフは0を示してデュエルディスクのランプは点滅した。

 

「………」

 

 ライフが0となり自動でカズマ君のデュエルディスクは機能としての役割を終えて自動にコンピュータがコンパクトに閉まる。

 あっけなく終わってしまってなんだか悲しそうな顔だ。

 

「宮城君も終わりにしてあげるよ。『侍女』でダイレクトアタックだ!!」

 

 『侍女』が宮城目掛けて横になりながら飛び掛る。ライフは500しかない宮城にはこの攻撃が通れば終わる。

 が、

 

 

「これで終わりだと思っただろ! 残念だったな!!」

「……!?」

 

 攻撃を確かに受けたのだが宮城のライフは変化していないのを見て私は驚いた。堀内先輩と私の反応を見ながら堂々とえらそうに腕を組みながら笑っている。

 

「『和睦の使者』。これを発動していたのさ。このカードの発動ターン。自分は戦闘ダメージを受けなくなるカード…。これで1ターン防いだぜ。俺、かっこいいだろ。今は手札は悪いが次のターンでいいカードがくれば勝てる…。はず…」

「ふざけんなよ! 宮城!! お前だけ助かりやがって!!」

 

 LOSEとデュエルディスクに表示されているカズマ君は自分だけ罠カード1枚で首の皮一つをふさいだ宮城に対して胸倉を引っ張った。

 『和睦の使者』の効果適用になるのは、自分だけ。これではタッグデュエルの仲間を守ることはできない。

 

「しょうがないだろ。『和睦の使者』は自分だけしかダメージを無効にできないんだからさ!」

 

 タッグデュエルなのに自分だけ助かろうとした勝手な行為に仲間割れが起こるのは無理はない。

 対戦相手の堀内先輩はその間にまだ続いているぞと2人に訴えるか、デュエルディスクにカードをプレイした。

 

「私はメインフェイズ2に移行するよ。『侍女』2体をリリースして『ラヴァルロード・ジャッジメント』をアドバンス召喚!!」

「…このターンこんなに展開したのにまだ通常召喚の権利を一回も使ってなかったなんて…」

 

 フィールドの中央に炎の煙が黙々と空気中にさ迷うと突然爆発し、赤いマントを羽織った戦士が先輩の前に現れる。

 これでこのターンが終了するかと思い込んでいた宮城には、これがあまりにも突然な出来事だと思って理解してない。

 

「このカードは1ターンに1度相手プレイヤーに1000ポイントのダメージを与えることができるんだよ」

「っ…?」

 

 宮城 LP500→0

 

 

 

 

 

 タッグデュエルの結末は堀内先輩の勝利で終わった。2対1のハンデだというのにこのあっさりとした感じは何だ?

 これが先輩と後輩の実力の差…。私が過去に堀内先輩を倒した時の感じとは全く違う。桁違いの強さをここで知った。

 私が今の本気の堀内先輩相手だったらもしかしたら負けていたかもしれない。

 

「…。あの時、俺はモンスターを引ければ勝てたのに…ーー。いや、このターンを何とか防ぐことができたら…」

 

 デュエル終了後すぐに宮城はこの言葉を口にした。そして私達デュエル部のみんなに次のターンのドローカードを見せる。

 そのカードは『霞の谷の祭壇』。たとえこのターンを防ぐことが結局勝てなかっただろう。

 

「お前達のデュエルの腕は話にならない…」

 

 部長がしゃべりだす。盲目だからって宮城の目線とあわせていないがきっと無様だった私達に呆れているのだろう。

 

「運がなかっただけですよ! だって俺は最初の手札良かったんですよ。先輩も見てましたよね」

「いや…。本当に小笠原のせいだと思うか…? デュエルのことを最初から思い出してみろ」

「だって展開しても攻撃力低いモンスターしか出さなかったんだぜ! それにこいつの展開は微妙だったし!」

 

 宮城は自分のせいではないとカズマを盾にして訴える。女性の私から見て宮城のこの発言からとても性格悪いってことがはっきりする…。

 

 

「仲間を信じることができないやつはこの部活にはいらない!!!!」

 

 

 前髪が長くて根が暗いと思っていた部長が急に大声を発した。部長はこんな大きな声を出す人ではないと思っていたのにびっくりした。

 自分が悪くないと訴える為に反抗的な態度に宮城は強気で部長と会話をする。

 

「タッグデュエル。宮城。お前は何も考えずにデュエルをしていたのか…? タッグはただ2人がデュエルするだけのものではない。2人でデュエルするってことはお互いの苦手なデッキタイプやプレイングの隙間を埋めることだって可能だ。それなのにお前は…」

「カズマのせいっすよ。先輩。俺の為に行動してくれれば良かったのに。本当に使えない野郎だな。まだ奈々川の方が信用できるぜ」

「人のことをさっきからお前はたたいているが、自分はどうだ? そのプレイングは本当に正しいと思えたのか?」

「あたり前だろ…! それなのにことごとくカードが破壊されてしまって運が悪かっただけだよ」

「宮城。お前の初手手札は良かった…。だがお前は仲間のカードを破壊してまで展開をしようとしたせいで、リカバリーができなかった」

「リカバリー?」

「意味全然わかってないみたいだな。今のことしか考えていないからこうなる。とにかく適当にこのターンで行動できる行動を全てやってしまったってことだ…。ゲームセットとなることができる強力カードの『破壊輪』を引いたっていうのにお前はそれを生かすことはできなかった…。確実にとどめを指すことができる攻撃力のモンスターがいる時に伏せておけばお前は勝てたはずだ」

「それは結果論だろ。俺は悪くない。全部カズマが悪いんだよ!!」

「お前たちはこれからタッグデュエルで練習したほうがいい。そこからチームワークを学んでデュエルの勉強をするべきだ。お前が最後に使った『和睦の使者』。タッグデュエルをこれから極めるなら、 味方も守ることができる『威嚇する咆哮』に変えたほうがいい」

「チームワーク……? そんなものいらねえよ。はぁ? タッグだぁ!? 誰が、今度もこいつとタッグなんか組むんだよ!!!……」

 

 部長の性格上まじめすぎる人柄と冗談が聞かないこととから難しい話のように聞こえる。

 指摘されてされている宮城は言葉の次の発言に困ってしまって突如止まる。

 

 

「仲間割れとか超受けるんですけどーーー。ハハハ。下手なお笑い番組よりおもしれぇ」

 

 気まずい空気の中カイザーはタバコの煙を口から吐きながら部長や私達1年を見下す。

 

「お前達も一緒だ。中里!!」

「はぁっ? 適当なこと言ってんじゃねぇよ。部長。おめえよ。目が腐ってても耳からで俺様はこいつらより使えるってことがわかるだろ!」

「中里…。お前もさっき奈々川と喧嘩をしていただろう…。何度も言ったはずだ。大会ではチームでの絆が試される。だがお前達はどうだ? 自分のことをしか考えていない」

「だからどうしたっていうんだよ。大会とはいえど結局はシングルの3回勝負だろ。チームワークとかいうよりも大会では強い奴3人だけが出れば出ればいいってことだろ!!」

「デュエルの腕がどうとこうとという問題ではない…。チームはチームだ。誰か1人でもチームワークが欠けると勝利の道が開くことはできない。全員大事なチームメイトだ」

「チームメイト? 馬鹿いってんじゃねえよ。うっせーよ。この中二病ヤロウ!!!」

 

 意見が合わないカイザーと部長の口喧嘩が対立する。

 何度もいろんな人物と暴力沙汰となっているカイザーなのに、それを物ともせずに部長は喜怒哀楽を全然変化させずに会話をする。

 

 

「元はというとお前が悪いんだよ!! 俺はカズマ、お前のことが嫌いなのにどうしてタッグデュエルなんか組んだんだ。もう2度とお前とタッグなんか組むか…!!」

「もうやめてよ…。みんな……」

「しかもタッグデュエルをやる意味がわからない。大会ではタッグデュエルなんてしないのにどうして無駄なことをやったんだよ!!」

 

 こんなの部活じゃないと思った私は中学時代の部活みたいな明るく希望に満ちた楽しい雰囲気にしようと、みんなの喧嘩を止めさせようとした。

 けどカイザーや宮城にうるせーっと言葉を私の耳近くに大声ですぐに返される。

 元々女性の私には大声で怒鳴られるってこと自体慣れていなかったので怖かった私は涙が出そうになった。

 

「俺も奈々川のことは最初はいい奴だと思ったけどやっぱうざくなってきたわ」

「……え?」

「お前がいなかったら俺は部活には入ってないで今頃帰宅部生活を満喫していたんだよ! 面倒なことになるんだったらこんな部活に入んなければ良かったよ!!!!!」

 

 部活というものに耐え切れなくなった宮城は感情をあらわにして扉を壊すくらいな音がなるくらいに叩いて教室を出た。

 元はとはいうと部活は元々入りたくなかったと言っていた宮城に無理やりな形で私がこのデュエル部に入れてあげたのが現況だったのかも。

 私が中学時代に続けていたバスケ部のころを思い出す。部活という名の青春はそう簡単なものではない。

 スポーツでも確か先輩との関わりや仲間との絆が重視されていた。部活を今までやったことのない宮城には辛いことだったのかもしれない。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 そして1週間の歳月が立った。

 私は誰もいない放課後の教室、吹奏楽部の練習の合唱を耳に聞き机いっぱいに自分のデッキを広げながらボーっとしていた。

 宮城は学校に来なくなった。騒動があってからあのいつも明るくて面白い性格の宮城だったのに学校を休みっぱなしになった。

 これから部活を誘おうとカズマ君に声をかけても何も返事をしないですぐに寮に帰ってしまった。宮城は熱で休んでいるとクラスには知られている。

 元々部活をやっていなかった宮城は先輩後輩の壁や仲間との部活動に成れていないはずだ。よほどショックだったのだろう。

 

「きゃーーーっ。なーなーかわさーーーん!! 結婚してーー」

 

 突如寒気がした。誰もいないと踏んでいた教室だったのに女性の声が聞こえたのでそれに一瞬で反応して私は体を傾ける。

 するとその女性は私のことに飛び掛ろうとしていたらしく私が避けたことからバランスを崩して床に倒れる。

 

「奈々川さん。最近元気ないよー。何か悩みごとでもあるの?」

 

 地面に腰を付けた女性は、ずれてしまったメガネを直しながらこちらを見ている。

 この子の名は清水アイ。通称委員長と呼ばれているのだがこれは裏の顔。本当の彼女は……。

 

「いや…。何でもないよ…。別に…」

「そんなわけないじゃーん。だってあたしは奈々川さんのセフレなんだもん。なんでも聞いてあげるよ」

 

 清水さんは私のことを女性だと知る数少ない人物であり、しかも中学生時代から私のことが大好きな同姓者。

 数日前はいきなり私に襲い掛かり犯罪染みた行為をやろうとしたことがあるからこの子にはいいイメージがない。

 私の男装時のユウヤのキャラは女性受けがいいみたいで女性ファンはいっぱいいるのだが、委員長の意味は違う。

 私に対してだけは、人が変わったかのようにデレデレで話かけてくる。正直…同じ同姓愛者の堀内先輩より怖いかも…。

 この子は何も喋らなかったら、雰囲気がとってもかっこいいのに……。本当に残念な美人だ。

 

「飲み物あげるよ。元気出して」

 

 でも私が暗い感情になってしまったってことにすぐに委員長は気がついたみたいで気を使ってくれた。

 けど貰ったペットボトルの飲み物は何か様子が変で私はすぐにわかった。

 

「ありがとう………、ってこれ何で蓋開いているの?」

「あ、…。それは別にたいした意味じゃないよ。間違えて空けちゃっただけだから」

「………これって関節キス狙っているよね……」

 

 明らかに不自然だからおかしい。

 蓋が開いているってことから推理してあの事件のことを思い出すとこの子が一度口を付けたものじゃないのか?

 口のところが変な液体がついていているような感じがする…。気持ちが悪いから私は飲める気分ではない。

 

「ごめんね…。今はのど渇いてないから返すよ」

「そんなーー…! せっかくバイトしたお金で媚薬を入れて奈々川さんを誘拐しようと思ったのにーーー…。これってとっても高かったのよ。どうして量少ないのにこんなに高いのかしら?」

「びやく……? ってなんだ? 漢方薬? 香辛料?」

「ウェヒヒヒヒ。おしえなーーい」

 

 何かを企んでいる姿が相変わらずおっかない……。

 また清水さんは犯罪に近い変なことをたくらんでいたのではないか。

 

 私に対して気を使って急に清水さんは険しい顔つきで謝ってきた。

 

「こないだのことはごめんね……。あたし…。中学校のころは地味だったから友達付き合いって言うものになれてなくて…」

「何度も謝らなくていいよ。あの時のことはもう忘れたから大丈夫だよ…。もう何をしなければ……」

「本当にーーー?」

「度は過ぎていると思うけど僕は平気だよ。男装しているのが原因でもっとひどい目にあったってことあるし」

 

 けど、同姓の恋愛自体に興味がない私には全く気持ち悪いとしか思えない。男性と恋愛したいと思っているけどこの体では夢の夢。

 でも、うれしいな。清水さんは私のデュエルを通して仲良くなり、人が変わったかのようになってくれて。

 

「許してくれるの…ありがとう…」

「もちろんさ…。僕もこうやって人の為になれたってことが嬉しかった。ただ僕は普通に学校生活しているわけではないんだって改めて実感したよ。デュエルを通すことで人は幸せになれる。デュエルキングになるからにはもっと人の為にもデュエルを通して人を変えたいな。まだ小さなことだと思うけど、いずれは世界中のデュエリストも……」

「奈々川さんは性格も優しいし、デュエルも強いから慣れると思うよ……。あたし応援するから」

「ありがとう……」

 

 さっきとは違って清水さんは静まり返って私の会話を聞くとおとなしくなった。

 

 

「……。やっぱり我慢できないーーー!!」

「やめろーーっ!!」

 

 私の顔を近づけてチューの姿勢をとろうとしたから、清水さんの顔を手で押さえ込む。

 

「僕っ子奈々川さん可愛いーー」

「キスはやめろよ!! 誰かに見られるだろ。ってか女の子同士でキスするとかありえないから」

「いやーーん。奈々川さん触っちゃったから一ヶ月は手を洗えなくなっちゃったわーー」

 

 私は死に物狂いでキスを避けようとしたが清水さんはひるむことなく私を追っかけてくる。抵抗しても逆に喜ばせてるだけな気がする。

 少しでも清水さんはやっぱ優しい純粋な人なんだなと思ったのが馬鹿だった。

 

 

 

「奈々川さんはこっちの姿のほうが可愛いよ。リボンの位置はこうかな?」

「ありがとう」

「思ってたんだけどこれって誰の制服なの?」

「僕の彼女の神崎さんの物だけど」

「奈々川さん。あの女に頼らなくてもあたしの制服貸してあげるのに」

「……。清水さんそしたら帰りはどうするの? ジャージ!?」

「奈々川さんの為だったらあたしは全裸でも帰ってあげるわ」

「全裸って……」

 

 この学校の女子の指定の制服に着替えをしたら委員長にとても似合うと褒められて嬉しかった。

 元々は神崎さんの物なのだが今日もプロリーグの試合で忙しいみたいで勝手にばれないようにと家から持っていった。あとで勘違いされて怒られないようにしないとね。

 私は廊下を歩きながら委員長と会話をする。何で女の子に戻ったのかはこれからやりたいことをするためにわけがあるんだ。

 それにしてもこの子は本当、私の為だったら恥ずかしいことでも何でもやるな。流石に裸で帰りかねないのでそこは止める。

 

「清水さんと話してたら改めて人間関係の難しさを感じたよ」

「どうしたの奈々川さん…。いきなり…?」

「これから男子寮に向かおうとしているんだ。今、僕の大切な友達同士が喧嘩しちゃって……。これから仲直りのきっかけを作ろうと思う。たとえそれが無理でも構わない。無理でも力ずくで僕がデュエルで無理やり仲直りさせるさ。小さなことなのにこれができなかったら、僕の夢には届きそうにないから……。デュエルは幸せを導くものだと証明させてみせる!!」

「でもどうして奈々川さんはわざわざ女性に戻ろうとするの?」

「いや、それは……」

 

 私は説明をしたり顔で話す。

 これから宮城を励まそうと男子寮に向かうと私は考えているのだが、もう一人の自分であるユウヤだと喧嘩してしまったから声をかけにくい。

 だから本当の自分であるナナとしてこれから男子寮に殴りにかかろうと思う。ってことを話をしたら急に態度を激変して…。

 

「いやーーーっ。私の奈々川さんが腐っちゃう。男子寮って腐ったイカみたいな吐き気がするにおいがするんでしょ。男臭がする空気のところに行っちゃったら耳と鼻が腐敗してしまうわ」

「一度、僕は男子寮に言ったことあるけど、腐ったイカだか何だか言ってるけどそんな匂いする?」

「いやーーっ。奈々川さんが過去に男子寮に行ったの…。気持ち悪くて吐かなかった?」

「吐かないよっ!!」

 

 委員長は嫌々ながら私を男子寮に行かせまいと道をふさいで阻止しようとする。男子が死ぬほど嫌だからってそれにしても大げさな。

 

「どうしても行くなら、あたしも行く!! 奈々川さん、女の子一人が男子寮に行くってありえないから。それに、あなたが男たちにひどいことされないようにあたしが守ってあげるからね」

「無理しなくてもいいのに……」

 

 男が嫌いなはずなのに、清水さんは無理してまで一人で心細い私に付いてくると言ってきた。清水さんにとってはこれが男嫌いを治す練習になるのか……?

 なんだかんだ言って清水さんは私に心配してくれたようだ。二人で夕焼けに染まる道路を歩いて男子寮へと向かう。

 

 

 

 

 

 しばらく私達は男子寮への道のりを歩いた。男子は女子寮で変なことをしないようにと、対策なのかやはりその道なりは遠い。

 この間にも私は清水さんと会話をしていたが、彼女は私の話しかしない気がする……。しかもほとんどの会話が変態なことしか聞こえないのは気のせいだろうか……。 

 男子寮で思い出したが、入学初日は嫌なことがあったな……。男好きの堀内先輩に襲われるっていう悪夢が……。

 今は同じ同性の神崎さんと付き合っているからいいものの、男は一部を除いて性欲の塊だからいまだになかなか信用できない。

 

 男子寮の門が見え、中へと進んでいき、私は記憶を頼りに宮城の部屋を探っていく。

 そして見つけた宮城がいる305号室。301、302と連続した部屋を進んで、宮城がいるインターホンへと向かおうとしたとき、

 

「のどが渇いちゃった。お茶飲む? 奈々川さん!!」

「だからいらないよ!! 君の口付けの飲み物は!」

 

 さり気なく狙った口移しのお茶を私は拒否する。

 数分前に教室で見た「オイイおっ茶ん」と書いてあるラベルに包まれているペットボトル。

 ペットボトル一杯に飲み物が入っていたのに、清水さんは飲んだのかここにきて3分の1くらいに減っている。

 これって何か入ってたんじゃなかったっけ? 確かひやくだか、びゃくんだか……?

 

 清水さんの様子がおかしくなってきている気がしてきた。

 だんだん顔がリンゴのように真っ赤になっていく気がする。風邪みたいな症状のようで「ハァハァ」と喘ぎ声に近いような声を出している。

 汗もかいているみたいで、女の私が羨ましいと思うくらい長くて綺麗な黒髪がびしょ濡れになってしまい、女の色気ぷんぷんまき散らしている気が……。

 

「なんか急に暑くなっちゃったわ」

「大丈夫? 風邪なんじゃないの? 清水さんの顔赤いよ。無理しなくてもいいよ。熱だと思ったら帰ったほうがいいかもよ。僕が一人で後をやるから」

 

 清水さんに気配りをしてあげたが、私に付いてくるのをやめる気配はない。そして清水さんはよからぬことをし始める。

 

「パンツ……、汗かいちゃったし脱いじゃおう」

「ちょっ……」

 

 急に立ち止まり清水さんは足を上げて、「あついあつい」といいながらスカートの中に自分の手を突っ込む。

 出てきたのはセクシーなパンツ……。私も履いたことがないような、本人を大人の魅力たっぷりにする素敵な絵柄のものを堂々と私に見せてくる。

 

「男子寮の前で何してんのよ!! 誰かに見られたらどうすんの?」

「あーーーん。あたしのパンツ食べたい?」

「いやいや……」

「奈々川さんだけあたしの秘密教えてあげるわ。いやん。あたしね。奈々川さんの前だといつも緊張しちゃって暑くなるから、今日は特別にブラジャー外しているのよ……。あーん」

「……。おーーい。清水さん。ここ男子寮の前ってこと忘れてない? そんなこと言っちゃうと、清水さんの変態っぷりが聞こえちゃうよ」

「いいのよ別に……」

「いや、よくないよ。見ているこっちがすごく恥ずかしいんですけど!!」

 

 どこまで清水さんは暴走してくのか。熱はないとは言ってるけど、顔が真っ赤だから無理しているようにみえる。熱じゃないならこの症状は一体……?

 それに今の清水さんは上下下着を履いていない。角度によっては大事な所が見えるようで見えない危険な状態なのでは? しかも男子寮でこんな状況って……。

 

 ドアをガチャガチャと鍵を開けるような音が聞こえる。誰かが来るようだ。

 

「隠したほうがいいよ」

「いやん」

 

 流石にここで見られるのはまずいので、私は清水さんが持っているパンツを、清水さんのスカートのポケットにいそいで隠した。

 触った清水さんのパンツ少し湿ってる。汗のようにはみえないような……。このぬれ方からして尿とは違うんだろうけど。

 でも、下半身から汗って出るものなのか? よくわからないぬるぬるが少々気持ち悪かった。

 

「あっ……」

 

305号室の扉から出てきたのは宮城。青色のジャージ姿で現れたから、偶然どこかへ向かう予定だったのだろうか?

 

「見慣れない声が聞こえたと思って扉を開けたら、どうして女子禁制の場の男子寮に女子二人も!! それに清水さんまで……!!」

「びっくりさせてしまってごめんなさい。今日は用があって会いにきたのよ」

「いや、そんなことはないぜ。ところで用件っていうのは」

 

 私達を見て口を開けたようなびっくりした表情をしている宮城。私は説明をしようとする。

 ユウヤのキャラとしてずっと宮城と接していたが、今までより一番驚いた顔をしている。

 

「あらごめんなさい。あたしはあなたに興味がなかったの」

「……えっ!」

 

 男子寮になぜ来たという話ではなく、いきなり興味がないと話す清水さん。数週間前に宮城は告白したんだっけ。

 

「最近あたしはこの子のセフレになっちゃったんだから。残念ながら男の募集は一生してません」

「いやいやいや、セフレなわけないでしょ」

 

 さっきまでデレデレに私と接した口調とは違い、いつも学校で見せる委員長キャラのハキハキとした口調で宮城に言った。

 凛々しい発言とは反対なシュールな回答に宮城はポカンと穴が開いたようになった。

 告白の結果がこんな風に振られたのだから。だが、

 

「セフレって清水さんの隣にいる女の子……?」

「そうよ」

「すげええええ。いわゆる気キマシタワーってやつか。俺、清水さんがほかの男にもしかして取られたらと思ったらずっと悩んでたんだけど……。相手が女の子だったからほっとした……。ところでいいづらいんですが、セフレってことはもう何回かしたんですか」

「ええ。この子恥ずかしやがりでね。まだだけど。愛の契りはもうすぐよ……」

「女の子同士いいな」

 

 振られたのにも関わらず女の子と付き合ていると嘘で、急にテンションが上がり勢いが上がっていつもの宮城を見せつける。

 何かを我慢するように顔を真っ赤にしながら、清水さんは真顔で嘘を言いまくる。清水さんもおかしいが、変な嘘を信じる宮城も馬鹿じゃないのかと。

 

 

「ちょっと待ってな」

 

 宮城は何かをするように部室へと戻る。

 

「(おい。カズマ!! 女の子が男子寮に2人も来たぞ。こっちこいよ)」

「(テンション高すぎないか。宮城。おいおい)」

「(だってよ。カズマ、彼女いない歴15年&女子ともあまり話したことがない俺の為に来てくれたんだぜ。これって……)」

「(宮城、馬鹿な妄想はしないほうがいいぞ)」

「(男子寮に女子が来るってあれしかないだろ。4Pフラグきたこれーーー!! ついに童貞卒業するチャンス到来だぜこれ)」

「(安っぽいエロ漫画読みすぎなんだよ。ねえよ)」

「(カズマ、お前も美少女相手に筆おろししてもらって童貞卒業するチャンスだろ。もっと興奮しろよ)」

「(いや……。オレ童貞じゃないんだが)」

「(嘘だろ……!! ぼっちだと思ったお前が……。俺より先に……。と、なるとデュエル部1年で童貞なのは俺だけってことかよ!! ぐわああああ)」

「(そういうことになるだろうな。奈々川は彼女いるからとっくに……)」

 

 宮城の部屋から同じデュエル部仲間のカズマ君の声も聞こた。

 タッグデュエルの前問わず、あれほど宮城はカズマ君のことが嫌いって言っていたのに仲がいい会話がする。

 宮城とカズマ君の関係は一体どうなってしまったんだ?

 

 扉越しからひそひそ話のような会話が聞こえるぞ。

 私達が来たことに歓迎して、興奮しているのか「筆おろし」とか「4P」とか「どうてい」って聞こえたけど何のことなのかな?

 それに私が「どうてい」を捨てている? ポイ捨てなんてしたことないのに。

 

「清水さん。お願いだからここでは奈々川さんって呼ばないでくれるか。今の女の格好とユウヤのキャラとかぶってしまうのは、宮城達にばれちゃうかもしれないんだ。」

「ころす……。ころす……」

 

 清水さんは扉にぶつぶつと小さな声で言いながらこぶしを握りつぶしている。怖いオーラが見えるような。

 

「って聞いてないし……」

「え……聞いてるわ。あなたの下の名前で呼んでいいのよね。下の名前で呼んでってことは……。これでますますセフレっぽくなったわね。ハァハァ」

 

私は清水さんのセフレにいつの間になってるし……。もう……。勝手にしてくれ…。

 

 

「ところで奈々川さん。あなたってまだ処女よね」

「じょじょって何だ?」

 

 私は宮城とカズマ君が玄関の扉から微かに聞こえる話の内容が全く意味がわかってない。清水さんが嫉妬しているような……。

 

「清水さん。こんなくだらないことをしに来たんじゃないでしょ。宮城とカズマ君が仲直りする手助けをするために来たんでしょ」

 

 このことを清水さんに伝えたときと同じタイミングで、扉が開いた。

 

「……。久しぶりだな…」

「えっ…えっ…?」

 

 しばらく待っているうちに宮城とカズマ君は部屋から出てくる。カズマ君は手を挙げて「よう」のポーズで出てくる。

 一度、女性に戻ってカズマ君とあったことがあるから、この方法であいさつなのだろう。

 宮城、カズマ君が2人一緒に出てくる光景なんて見たことが、学校でも部活でも今までなかったから、意外だった。

 

「カズマとこの子知り合いなのか」

「ああそうだ。ナナちゃんっていうんだ。オレがデュエル部に入るきっかけとなった子だ」

「嘘だろおい……。お前がこんな可愛いこと……」

 

 カズマ君と会話をする。

 

「びっくりしたよ。どこでしったかわからないがまさか君が、こんなことの為にわざわざここに来るなんてな」

「それは……。まあ友達のユウヤから聞いた話だし……」

「ウソだろ。あの奈々川もナナちゃんと友達だったのか!! それにカズマまで!! てめぇ!!!」

 

 とっさに考えた嘘を言って適当に、つじつまが会うように話をした。

 同一人物であるユウヤとナナは友達と言ったら、宮城がまた変な顔をしたけど気にしないでおこう。

 

「部活にこないみたいだから心配して来たのよ。宮城君とカズマ君は熱だかなんかで休みだって聞いたし……」

「ああ。そんなことか。熱は一時的だったからな。すぐ直ったよ」

「でも2人は仲良かったはずじゃ……」

 

 疑問に思ったことを私は話す。

 

「ああ。確かに仲は悪かった。だけど、オレ達はあの後、先輩達に馬鹿にされるのが悔しくてここで特訓を始めたんだ。負けず嫌いなのかわからないけど、宮城からな。オレ達はタッグデュエルで馬鹿にされた。だからこそタッグデュエルを極めようとデッキ構築やデュエルを徹夜でやってたのさ」

 

 とカズマ君は帰ってくる。

 

「でもタッグデュエルは大会ではやらないよ。どうして練習なんか…」

 

 大会では先輩が言ってたようにシングルの試合が中心だ。それなのにどうしてこんな無駄なことをしているのか私にはわからない。

 

「オレ達はチームワークが悪いって言われたから悔しかったんだ。タッグはチームワークが生かせる一番のデュエルだしな。無駄だとわかっててもオレ達は喧嘩の元となったタッグを極めようとした。オレ達は強くなりたかったんだ。あの堀内先輩や奈々川のように!!」

「っ!!」

「だよな!! 宮城! お前からオレにデュエルを教えろって言ってきたんだもんな」

「うっせーよばーか」

 

 私は褒められて顔が赤くなる。

 宮城は自分が原因だと部長に言われて反抗してたけど、ようやくその言われた意味がわかったような発言だった。

 私は喧嘩してただ寮に宮城は篭っているだけだと思ってたのに影でこうやって成長してたなんて。

 

 

「みんなで4Pしようよ!! きっと激しくて楽しいプレイができるよ!! 男の子2人と女の子2人だから凄まじいことができるね!!」

「……っ!!!」

 

 私が急に思いつきで思ったことを口にした瞬間場の空気が静まりかえった。何か私はまずいことを言ったのか不気味な感じに。

 

 

「4Pってことは清水さんとナナさんで……エっ」

「4人プレイ。4人でタッグデュエルだよ!! 2人はタッグデュエル強くなったんでしょ。きっと楽しいデュエルができるって」

「そっちの4Pかよ!!」

「だったら男子と女子とチームペア組むってルールにしない」

「男子と女子一緒に組むとかありえないわ。馬鹿じゃないの。同性同士でしょうよ……。なんの為にあんた達はタッグデュエルの練習したのよ」

 

 宮城は何かを言おうとしたが、私はさえぎってしまったようだ。それにがっかりしたような顔になったけど……。

 男嫌いの清水さんは男とタッグをデュエルするのが嫌なのか無理やりこういうルールにされる。

 プライドが高い清水さんは勘違いされないように言ったらしいけどすごい不自然な言い方だ。男がいるから余計になったんだろう。

 力強い発言より、清水さんの体がフラフラともたついているのが、

 

 でもデュエルの準備をし始めると、私と清水さん、宮城にカズマ君の4人はデュエルディスクを構える。

 此間、堀内先輩にぼこぼこにされたときとは違うオーラが2人から見える。前までは仲が悪いとは思えないほど別人に感じる。2人はこの間に強くなったのだろうか?

 

「清水さん大丈夫? 無理にデュエルなんてしなくてもいいよ」

「え、ええ……。別になんともないわ。あなたの為だったら何でもできる」

 

 私のタッグ仲間の相方、清水さんの顔色がますます悪くなってる感じが。足がなんかがたがたしているようだし……。

 吐息も熱い気がするし……。それに、目つきも焦点が定まっていない……。男子二人は気が付いてないけど、足から汗のような水が垂れているような……。

 

「(見ろよ。カズマ! なんだか、清水さんの表情エロくね!? 発情してるだろあれ!! もしかして感じてるんじゃね。それに今気が付いたが、清水さんの胸のふくらみからノーブラっぽいような……)」

「(ただ、具合が悪いだけだろ。だから宮城、女の子の前で変な妄想するのはやめろよ。だからお前はもてないんだよ)」

 

 清水さんの様子を男子はヒソヒソ話していたが、全て私に聞こえている。

 確かに具合が悪い様子がエロいけど、それを女子の前で話すのはどうかと思う。私は少し引いた。

 

 

 

「『ガスタの希望 カムイ』でダイレクトアタック!!」

「ぐわぁあ」

 

 無邪気な表情のガスタの男の子が宮城に剣を持って切りつける。

 

「くっそ。負けちまったぜ……」

「おしかったな。だけどあともうちょっとだったかもしれないぜ」

 

 デュエルの結果はあっさりと終わった。結果は私と委員長のペアが勝った。流石、学年2位同士のタッグは伊達ではなくあっという間にデュエルを終わらせるくらい強かった。

 だが、あっさりと負けても部活とは違い、宮城とカズマ君は口争いは一切しなくなっていた。デュエル後、2人で励ましの言葉をしながら握手をするほど仲がよくなったね。

 寮での特訓の成果で成長したとこのデュエルの後からいえる。

 

「オレと宮城。シングルのデュエルはダメでもオレ達はタッグデュエルがある。部活で代表に選ばれなくてもいい。オレたちはもっとデュエルの練習するべきだな」

「何かっこつけてんだよ。カズマ!! でも俺らは確かにカイザーや奈々川、堀内先輩や部長に劣るかも知れない。足を引っ張るのは承知の上だと思う。けど、デュエル部に入った以上俺らも負けてらんねえ。タッグデュエルを通してこうして強いデュエリストの影で強くなるのもわるくねぇな!!」

 

 タッグデュエルの特徴として、通常のデュエルと違って複数でやることにより、たくさんのカードが1度のデュエルで見られる。

 難易度が上がった分、よりデュエルの練習になるのだろう。

 2人のデッキ構築もタッグデュエル専用のものに変わってたし、相方が不自由だと思ったサポートも充実していてあの時とは桁違いに変わっているのがわかる。

 部活を通しての成長の証か。人間関係もデュエルの腕も上がったね。改めて部活がもたらす人生はすごいと感じた。

 これがデュエルがもたらす青春。デュエル部か。

 自分のデュエルの腕だけではなく仲間もこうして成長していく……。これって友情に近いよね。

 男子の友情ってかっこいいなと思いながら、私は2人の男の子の友情物語に見とれていた。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 そして帰り道。

 

「ん、…。はあはあ……。はあ…」

 

 清水さんが限界に近い。清水さんを襲っている症状がさらにひどくなっている。

 体中から大洪水に近い汗を流している。体中が痙攣している。もはや一人で歩くことすらできずに私の腕をつかまなければ立つことができないような状況。

 顔が真っ赤で息継ぎがさらに激しい。

 

「わたしが飲んだ媚薬……。効きすぎちゃったみたい。もうそろそろ限界よ……。頭がおかしくなっちゃう。抑えきれない」

「え?…。あのお茶のせいなの?」

 

 清水さんがおかしくなった原因は、よくわからない成分か何か入っていたあのお茶か? 言い回しから清水さんは苦しくなるってわかっていたのになぜわざとこんなことを……。

 

「はあはあ……。全身が熱くていろんなところがムズムズしておかしくなっちゃいそう。奈々川さんエキスたっぷりの穴をぺろぺろしたいな。きっとおいしいんだろうね」

「奈々川さんエキスってなんだよ」

「あたしの処女奪って」

 

 支えても立てなくなったのか、清水さんは私のほうへと体を傾ける。

 下着をつけてないので清水さんの柔らかい胸の感覚が生で当たってしまう。

 いつも抱きついてくるから慣れている彼女の神崎さんよりも、全然違う感触だったので慣れないことに戸惑う。

 いい感触でよかったけど、それを無理して振り払って、

 

「さっきも言ってたけど、じょじょ……。ってなんですか?」

「え!?」

 

 あの後、私は清水さんを自宅まで送ってあげた。

 清水さんは貧乏ながらも、高校生を機に一人暮らしを始めたようだ。アルバイトの収入と実家の仕送りで何とかぎりぎり暮らしているらしい。

 金持ちの神崎さんとは大違いのギリギリの生活だ。自分の身の回りのことがしっかり出来ている清水さんはかっこいい女の子だなと思う。

 

「無理しないでね。明日、学校無理そうだったら休んだほうがいいかもよ。それに清水さんの表情からして、症状が尋常じゃなさそうだし、病気かもしれないから、もしかしたらだけど病院にいったほうがいいって。体壊しちゃうよ」

「大丈夫なの。ん……。はあ……。はあ……。これは一時的なものだから……。これを治せるのはヤブ医者より奈々川さんだけなの……。だから……」

「冗談言わないの。僕がこれから帰っちゃうけど一人で大丈夫だよね。僕がいなくても頭がいい清水さんだから、何とかなるよね」

 

 熱みたいな症状なので、これから一人で耐えられるか心配だが私はもう帰ることにする。

 2人っきりは流石にないからね。まして、一人暮らしの家で一緒なるなんてありえない。此間の経験から、清水さんと一緒にいるのは危険だと習ったからだ。

 背を向けてここから立ち去ろうとする。

 

「お大事に」

「待って……。あなたがいないと耐えきれない!!

 

 後ろを振り向くとギンギンに真っ赤になった顔の清水さんが見えたが、無視して出て行った。

 

 びやくという症状に清水さんは一人で耐えられるのか不安だったけど、私はさよならを告げて神崎さんの家へと帰った。

 この後どうなったのかは知らない。

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