カイザー LP4000
ツバサ LP4000
2回戦の切符が幕をあげた。
「先攻は先鋒で負けたオイラから開始だ!!」
「何でもいいからさっさとドローしろよ! てめぇも最初の雑魚同様負ける運命なんだからよ!!」
「うるさい…。オイラはきみ何かには負けないんだYO。ドローするZEっ」
通常のプロリーグのようなマッチ戦のように、この高校デュエル甲子園でも同じように負けたチームは次のデュエルでは先攻後攻を選ぶことができる。
まあ選べると言っても何か変な作戦がある以外では有利な先行を選ぶのが基本だけど。
ツバサさんは6枚の手札を何度も目で右から左へと追いかけながら、数秒掛けて何か作戦を練っている様子を見せる。
カイザーの相手は去年の高校甲子園デュエル大会で個人で6位の記録保持者。
その実力は此間の抽選会場で堂々と私に見せたから確かの者。それなのにカイザーは去年の大会は暴力で出られなかった。
カイザーとツバサさんの実力の差は圧倒的な者だと思う。2人は経験も実績も全て違うだろう。
「オイラはカードを2枚セット。そして『カードカーD』を通常召喚するZEっ。このカードをリリースすることでデッキからカードを2枚ドローできる!! けど、ターン終了になっちゃうけDO…」
カードのように薄っぺらい車のモンスターが現れ効果の為にすぐに消滅する。
ラップを踊りながらツバサさんはあの『強欲な壺』のような簡単な感覚でデッキから2枚も引き取った。
でも、それだけでターンは終わりか。私に見せたように禁止カードを使って一気にワンターンキルを決めると思ったが、そう何度も引けるもんではないか。危
「あんなにはしゃいでいたのに様子見かよ…。全然ワイルドじゃねぇな…」
「だったらそっちは派手なターンを見せてくれるのかYOっ」
「俺様のターン…。ドロー……。俺様はモンスターを1枚セット。そしてリバースカードを1枚追加してターンエンドだ!!」
「そっちも守備的なプレイングじゃないかYOっ!!」
「うっせーな。ラップ男! 俺様はこれしかやることなかったんだよバーカ!!」
あんなに挑発してきたカイザーもツバサさん同様守備的なプレイングか。元々カイザーはスピードの遅い【暗黒界】。
手札を捨てることにより効果を発動するシリーズだから遅くなるのも当然か。
「攻めないんならオイラからいくZEっ。オイラのターン。オイラは手札から『聖刻龍-ドラゴンゲイヴ』を通常召喚するZEっ」
鎧を身にまとった黄色竜。
私はようやくこの1枚でわかった。堀内先輩が言っていたように、また抽選会でも聖刻のエクシーズを使ってことから、これでツバサさんのデッキ【聖刻】で確定か…。
その登場時に空から流れるように落っこちて衝撃でソリッドビジョンの床に穴を開ける。
「『ドラゴンゲイヴ』! 裏モンスターに踊りながら攻撃だZEっ」
ドラゴンの癖に空中へと飛ばずにドシドシとダッシュで穴を空けながら、カイザーのセットカードに体当たりを仕掛ける。
裏のカードが表に変わった。そのモンスターの守備力では攻撃力1800の『ドラゴンゲイヴ』に勝てなかったようで裏のまま砕けちった。
「ひっかかったな!! 俺様のモンスターがリバースされたことにより『メタモルポット』の効果が発動する!! 互いの手札を全て墓地に送ってデッキからカードを5枚ドローする!!!」
「このタイミングで『メタモルポット』か…。でも、オイラも『ドラゴンゲイヴ』が戦闘破壊成功にしたことでモンスター効果が発動するんだZEっ。デッキからドラゴン族通常モンスターを特殊召喚できる!!」
「同時に効果が発動されTA! チェーンが詰まれたことで優先権のオイラから効果が発動するが、逆処理からだからきみからだNEっ」
「言われなくてもわかってんだよ。チンカス!!」
互いにチェーンの処理の仕方がわかっているみたいで上級者気取りのカイザーの『メタポ』から解決していく。
そして次にラップの男、ツバサさんの『ドラゴンゲイヴ』の解決の番になる。
「オイラは『サファイア・ドラゴン』を華麗に特殊召喚するZEっ。ただし、攻撃力と守備力は0になるけどNEっ」
まるで宝石のようなサファイア色の龍が舞い降りる。だが、デメリットとして力を失ったみたいで、足は床に沈んでいる。
「忘れているようだけどな! 俺様の捨てたカードをよく見てみろ! タコ!!」
「んっ! 何ですKAっ?」
「捨てられた『暗黒界の術士 スノウ』3枚。そして『暗黒界の狩人 ブラウ』効果が発動する。こいつらが捨てられたことにより『スノウ』の効果で俺様は暗黒界と名の付いたカードを加えることができる。これで俺様は切り札の『暗黒界の龍神 グラファ
』3枚を加えることができるんだからなーーっ!! そしてさらに『ブラウ』の効果でデッキからカードを1枚ドローする。ハハハ。これから地獄を味あわせてやるよ!!」
切り札を3枚も加え、カイザーの顔、目が高笑いしたような感覚になる。手札は『メタポ』で加えた5枚に加えサーチ、ドローの追加で全部で9枚だ。
最初のターンで何もカードを公開しなかったから、不意内の『メタポ』と暗黒界のコンボで一気にアドバンテージを狙われる作戦なんて誰だってわかるわけない。
それに『メタポ』を使う人は大体、手札を全部捨てるのは勿体ないといわれ、魔法罠構わず全て伏せる。
だが、そうやってしまうと4枚も5枚も伏せるとなると『メタポ』の存在をわかってしまい、上級者のデュエルではバレバレ。
だが、カイザーは1枚しか伏せなかったことで『メタポ』の警戒をわからなくなってしまった。おかげでツバサさんの手札にあった強力なカードを全て捨てられてしまった。
ダメージステップ時に発動したため、ツバサさんの手札にあった『サイクロン』は打てるタイミングを失ってしまった。
「メインフェイズ2に入るNEっ。オイラは『サファイアドラゴン』、『ドラゴンゲイヴ』でオーバーレイネットワークを構築するZEっ!」
アド差を付けられたが、気にすることなく次へと進む。
レベル4のモンスター2体が並んだことにより示しているのはエクシーズ召喚。2体のドラゴンは黒い流れ星になり黒い空間に飛ばされていく。
「『竜魔人 クィーンドラグーン』を特殊召喚だZEっ。このカードはオーバーレイユニットを1つ使うことで墓地のドラゴンモンスターを効果無効にして特殊召喚できRU。このターン攻撃できない効果もメイン2だから関係ない!! よみがえれ『聖刻龍-シユウドラゴン』!!」
エクシーズ召喚されたのはフェニックスと融合した金髪の女性。持っているドラゴンの笛を吹くと、黄金の冠を被った青い竜も舞い立つ。
「おっぱい竜か…。乳でけぇな」
カイザーが女性器の言葉を口にする。デュエルモンスターズのカードにも下品な言葉を言うなんてよっぽど女に飢えているのか…。
「オイラはカードを3枚セット。これでターンエンドするZEっ」
「次は俺様のターン!!! いくぜ」
カイザー
LP:4000
手札:9枚→10枚 (3枚は暗黒界の龍神 グラファ)
場 :モンスター
なし
魔法・罠
伏せ1枚
ツバサ
LP:4000
手札:2枚
場 :モンスター
竜魔人 クィーンドラグーン
聖刻龍-シユウドラゴン
魔法・罠
伏せ5枚
4ターン経過。手札の枚数に一気に変動はしても互いのライフは動く気配はない。5枚も伏せてあるツバサさんのセットカードが気になる。
だが、カード枚数だけだったらカイザーは勝っている。2人とも強豪デュエリストだけあってここから先にカイザー、ツバサさんどちらが動くか。
「俺様は手札の『手札抹殺』のカードを発動だ!! てめぇと俺様の手札を捨てやがれ!!」
「何っ!!」
ここで『メタポ』に続き再び手札交換のカード。手札を全て捨て、互いにその枚数分ドローできるカード。
手札交換が平等になるはずだが。カイザーの場合は違う。手札を入れ替えるとともに暗黒界を捨てることができるパワーカード。
手札が大量にあるカイザーは暗黒界がいっぱいまた隠れているのだろう。
しかも手札から捨てられたときに相手のカードを破壊できる『グラファ』が3枚も握っている。それは相手にとって『手札抹殺』を使われると場の壊滅を意味する。
「そうはさせないZE…。カウンタートラップ『シユウドラゴン』をリリースして『反射の聖刻印』…。オイラの場の聖刻犠牲にすることで、相手のカード効果の発動を無効にする…。そして『シユウドラゴン』がリリースされたことにより『神龍の聖刻印』を特殊召喚!!」
さすがに5枚も伏せカードがあったら守りきることはできるか…。
モンスターをリリースされて出てきたのは、太陽のような輝きをした丸い龍のタマゴの形をしたモンスター。円の周りには刻印が記されている。
「やるじゃねぇか!! 防いだみたいだなー。だが、こいつはどうだ? 俺様は『魔轟神レイヴン』を通常召喚!!」
カイザーは余裕の表情を咬ませながら微笑して次のカードをプレイした。血の色の翼を身にまとい仮面を被った悪魔が現れる。
「こいつは手札のカードを墓地に捨てることでその枚数分レベルが上がり、その攻撃力も1枚に付き400ポイント上がる!!」
「苦しいんだZE……」
「『グラファ』の効果発動…。ハハハハハハハハハハ!!!」
「『クィーンドラグーン』の他のドラゴン族の戦闘から守る効果があるけど、モンスター効果による破壊だから意味がないのKA…」
カイザーは4枚のカードを握りしめ、手札の『グラファ』3枚、『暗黒界の劣兵 ベージ』を捨てる。
すると地面からグレファイト色の龍神の悪魔が3枚が蠢きながら這い降りてツバサさんの『クィーンドラグーン』と『神龍の聖刻印』に伏せてあった1枚のカードに飛び掛る。
そのカードもろとも『グラファ』と一緒に飲み込まれていく。
魔轟神レイヴン 攻撃力1300→2900
「『ベージ』はカード効果で手札から捨てられたことにより特殊召喚できる!! そして『グラファ』は場の暗黒界を手札に戻すことにより特殊召喚可能だ!!」
槍を持った暗黒界の人型モンスターが現れたが、すぐに『グラファ』の腕に持ち上げられて手札へと帰還する。
「バトルフェイズに移動だ…。ゴルァ!! 俺様の『グラファ』でダイレクトアタック!!」
『グラファ』は大きく口を上げる。そして化け物のように奇声を周囲に撒き散らせながら真っ黒な火炎を吐く。
「トラップ発動!! 『ガードブロック』!! モンスター1体の攻撃を無効にするんDA!! そしてオイラは1枚ドロー」
ツバサさんの前に透明な壁を作り暗黒の火炎を無の炎へと変化させた。
「……。まだだ! 『レイヴン』の攻撃が残っている!! こいつもダイレクトアタック!!」
「トラップ発動!! 『ドレインシールド』。モンスターの攻撃を無効にしてそのモンスターの攻撃力分のライフを回復する」
「っ!? ふざけんじゃねぇよ!!」
ツバサ LP4000→6900
『レイヴン』が噛み付こうと低空で滑空してくる攻撃も透明な壁を作り攻撃をはじく。
2体の総攻撃でこのまま勝利!! ってのはガン伏せ相手にはさすがにないか。
「俺様はカードを2枚セット…。これでターンエンド!!」
「まずカイザーが場を制圧しきってるけどこれからどうなるのかな?…」
これまでのデュエルの行方を、本当はカイザーの代わりに戦う予定だった私はペットボトルのお茶を楽しみながら観覧。
本当は私が超強敵なツバサさんと苦戦を強いられる戦いがしたかったのに、悲しみをぐっと体に力を入れて堪えながらもデュエルの様子を見る。
「うーん…。部長。カイザーは勝てると思いますか?」
「………」
私は近くに座っている部長に声を掛けるが返事はない。
何かと思って私は部長の顔を確認しすると腕を組みながら目を閉じている。部長は寝ているように見えて仲間のデュエルに集中しているのか?
それにしても部長が何かしゃべってくれないと私が一人ごとしゃべってるみたいで恥ずかしい…。
ここまではほぼ互角の試合なのか…?
ライフ以外場の制圧と手札の枚数全てがカイザーが有利だけれども一体どんな展開になるのだろうか。
向かい合うツバサさんは全く苦戦している様子を見せずに次のターンに備える。
私のチームはすでに一勝していてこの試合がもし負けたとしても後ろには私がいる。ツバサさんの実力からはカイザーが相手できる敵ではないはず。
だからとはいってもカイザーのプライドでわざと負けることはないだろう。カイザーの強気な様子だと聞く耳はもたないだろう。
大丈夫なのかなー。カイザーは感情の変化が激しいからすぐに調子に乗っちゃってしまうから。
高校デュエル甲子園1戦目の中堅戦。
私達冥界学園の男カイザーと青眼の白龍高校白龍ツバサさんの対面。
「ここから逆転のストーリー開始だZEっ…。オイラのターン、ドローっだZE!!」
爽やかに踊りながらディスクのカードをドローする行為をとるツバサさん。
カイザー
LP:4000
手札:3枚(1枚は暗黒界の槍兵 ベージ)
場 :モンスター
暗黒界の龍神 グラファ
魔轟神レイヴン
魔法・罠
伏せ3枚
ツバサ
LP:6900
手札:2枚→3枚
場 :モンスター
なし
魔法・罠
伏せ2枚
フィールドはカイザーの暗黒の龍が制圧している。有利だけれどもツバサさんにはラップを愉快に歌いながら余裕の表情が見える。
ツバサさんの操る【聖刻龍】デッキがどんな物なのかは知らないけれどもこれからどんな攻撃を仕掛けてくるか見物である。
手札もまだ3枚残っているしここからツバサさんの反撃が行われるだろう。
「『貪欲な壺』を発動!! 墓地にある『カーD』2枚と『ドラゴンゲイヴ』と『トライホーン・ドラゴン』、『トラゴラド』を戻して2枚ドロー!! さらにオイラは伏せてあった『エクシーズリボーン』発動するんだZEっ。効果により墓地に眠るエクシーズモンスターを復活させ、ユニットを復活させる。『竜魔人 クィーンドラグーン』カモン!!」
手札を補充した後、ツバサさんは前のターンにセットされたカードに手に触れると、あの有名カード『死者蘇生』に似た金色の紋章がフィールドに浮き出る。
すると前のターンにやられていた龍の皇女を蘇らせ場に姿を現す。
「『クィーンドラゴン』の効果発動!! このカードのオーバーレイユニットを1つ使って墓地に眠る『聖刻龍-シユウドラゴン』を特殊召喚!!」
「へぇー。またおっぱい龍のお出ましかよ」
『グラファ』の攻撃力2700に及ばないから大丈夫だと呼んでいるカイザーだけれども、ツバサさんのデッキはそんなものではない。
モンスター効果を使い黄金の翼を生やした青色の龍を出現させる。
「このカードは自分のフィールド上に存在する聖刻と名の付いたモンスターを墓地に送ることで特殊召喚できる!!『シユウドラゴン』をリリースして『聖刻龍-ネフテドラゴン』!! 特殊召喚すRU。そして『シユウドラゴン』がリリースされたことにより、オイラは『エメラルドドラゴン』を特殊召喚!!」
青の龍が消え、代わりに全身紫色の武装した龍が出てくる。その龍の鎧には聖刻シリーズの一員を表す黄金色を示している。
聖刻シリーズ共通のリリースされた場合に別の龍を召喚する効果により、大人の女性が憧れるエメラルドの宝石の色をしたドラゴンが姿を現す。
「そして、オイラは『中華の大なべ』を発動するZE。このカードの効果により自分フィールド上のモンスターをリリースしてそのモンスターの攻撃力分のライフを回復!!」
フィールドの『ネフテドラゴン』がカードのコストとして徐々に消えていく。私は遠くからデュエルディスクを確認するとライフポイントを示す箇所が増える。
ライフ回復ギミックは地味だけど、ライフが増えたことで安心感が増える。
今は手札にはなさそうだが、堀内先輩が言っていたツバサさんの切り札『デビルフランケン』『魔導サイエンティスト』を使うための準備をしているとなると、この行為はとても怖いな。
ツバサ LP6900→8900
「『シユウドラゴン』がリリースされたことで2枚目の『エメラルドドラゴン』を特殊召喚。オイラは2体の『エメラルドドラゴン』でオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!!」
再びエメラルド色のドラゴンが姿を現し、その同じ龍2体が黒の粒子となり、おなじみのエクシーズ召喚をする空間に飛ばされていく。
「オイラは『ソードブレイカー』を特殊召喚!!!」
鉄球、斧、槍、刀、銃、クナイなどの種類豊富な武器を持つ武装した戦士がエクシーズ召喚される。
ドラゴン族を操る青眼の白龍高校なのに2体が全く別のモンスターになったのは気にしないでおくか。昨日も砲丸を背負った列車を呼び出していたし。
「オーバーレイユニットを1つ使って『ソードブレイカー』の効果発動だZEっ。1ターンに1度種族を1つ選択すRU。オイラは悪魔族を選択DAっ!!」
ツバサさんはデュエルディスクに置かれている『ソードブレイカー』の下のカードを手に取り、それをコストとして墓地におくった。
「バトルフェイズ!! オイラは『ソードブレイカー』で『グラファ』に攻撃するZEっ!」
「攻撃力は2700やるじゃねぇか。でも俺様の『グラファ』とその数だと互角になっちまうぜ」
「その心配はないんだZEっ。『ソードブレイカー』は選ばれた種族と攻撃する場合、そのモンスターとはダメージ計算を行わずにそのまま破壊する効果があるんだZEっ!」
「何っ!!」
『ソードブレイカー』は『グラファ』を倒すのに最適と踏んだ斧を持ちそのまま暗黒の龍王に振りかざす。その斧で龍神の王の首を一刀両断。
だから『ソードブレーカー』の効果で一番効果的な悪魔族を選んだのか。カイザーの使用する【暗黒界】はシナジーの為、全て闇族性悪魔族で統一されている。
この説明の仕方からだと、相手から攻撃されてもその効果は発動するっぽいな。
「まだ『クィーンドラゴン』の攻撃が残っているZEっ。『レイヴン』に攻撃DAぁ!!」
「くそっ……!」
皇女は攻撃の指示をしゃべるとその下にいるドラゴンは命令通りに赤いブレスを吐く。
その赤いブレスでマントを羽織ったワタリガラスが消える。ブレスが吐き終わると何もなかったように姿を消す。
LP4000→2900
「君のデッキはNEっ。暗黒界デッキとは言っても『グラファ』に頼りっきりな点があRU」
「だからどうしたってんだ!! ここからが本番だろ」
突然ツバサさんは場の展開が有利になって余裕になったのか、挑発する口調でカイザーにしゃべる。
ツバサさんは得意気にカイザーの使用する『暗黒界』デッキの弱点を話した。ツバサさんも過去に私がカイザーとデュエルしたときの私の感想と同じだ。
『暗黒界』デッキは特徴として手札の回転が得意なデッキだ。けその全ては切り札の『グラファ』を回すためにデッキは成ちそして関わっている。
攻撃力は『グラファ』単体の為最大で2700。
戦闘では無敵の『ソードブレイカー』。戦闘で倒せないとなると、除去はカード効果に便りざるを得ない。
だがカイザーは『グラファ』の除去能力3回全てを使い果たしてしまった。
「カードを1枚伏せてこのままオイラはエンドフェイズ! このとき、速攻魔法。『超再生能力』発動!! このターンリリースされたドラゴンの枚数分オイラはドローすRU。オイラは2体リリースしTA。よって2枚ドローするZE! これでターンエンド」
ツバサさんはデッキの上のカードを2枚取る。手札は全て使い切ったと思ったらまた手札増強の手段。ライフ回復、場の展開、手札増強。全くもって隙がない。
カイザー
LP:2900
手札:3枚→4枚(1枚は暗黒界の槍兵 ベージ)
場 :モンスター
なし
魔法・罠
伏せ3枚
ツバサ
LP:8900
手札:0枚→2枚
場 :モンスター
竜魔人 クィーンドラグーン
ソードブレイカー
魔法・罠
伏せ2枚
「俺様のターン!!! ドローっ!!」
カイザーはデッキのカードに腕を伸ばして手札が4枚になるよう引く。
多少あのチャラチャラの感じが最初より遅いことから少々焦り気味の様子が伺える。場もほとんど消え去ったし、ライフも2900と8900と大幅に乱れさせられてしまったからだ。
「俺様は手札から『闇の誘惑』!! デッキからカードを2枚ドローして1枚を除外する!! そうだなぁ……。俺様は『ベージ』を除外しようか!!」
「………手札入れ替えて何をするつもりなんDA!?」
「そして俺様は手札から『暗黒界の取引』を発動だ。こいつの効果で互いは1枚ドローして1枚捨てることになるんだぜ。ラップ男! てめぇも手札を捨てろ!!」
喜びの声をあげカイザーはデッキのカードを抜く。ピンチの状況化でここで手札入れ替えのカードを引けるのは誰だって嬉しい。
【暗黒界】特有の手札チェンジが得意とされるのは私にもカイザーと直接デュエルしたからわかること。
普通のデッキにも採用されるカードもあるのだが、【暗黒界】には手札を捨てることで意味のある効果があることからそれは強力なコンボへとなす。
「俺様の捨てられた『暗黒界の刺客 カーキ』のモンスター効果が発動する!! こいつが捨てられたことで相手のモンスターを破壊できるんだぜ」
「…オイラの『ソードブレイカー』が……」
暗黒界シリーズ共通の英語の名前を意味する『カーキ』。
その名の通りの枯れ木色の脳みそむき出しの巨大な頭部のモンスター。それが捨てられたことにより墓地から這い出ると持っている刀で『ソードブレイカー』を切り付ける。
「俺様のデッキの弱点は『グラファ』頼みだって言ってたなぁ!!」
「そうだYO! そのくらいだれだってわかるYO!」
「『グラファ』便りなのは認めるさ。だって俺様の切り札だししょうがねえ。俺の一番の愛するモンスターだもんな。もしその『グラファ』が再び使えるとしたらどうなる?」
「何っ!?」
『グラファ』頼りのデッキと馬鹿にされていたが、散々言われようが全てその通りだと納得してカイザーは笑う。
笑いながらセットされていた3枚のカードのうちの1枚に手を掛ける。トラップカードだ。それを全て否定せずにいたのはこのカードの存在のおかげだったからだろうか。
「ハハハハハ。俺様はセットしてあった『暗黒界よりの軍勢』発動だ!!! こいつはなぁ!! 自分の墓地にある暗黒界と名の付いたカードを2枚加えることができるんだよ!!」
「何ですTOっ!」
「もちろん俺様が加えるのはてめぇが散々口にしていた『グラファ』様だ!! これでてめぇの場を再び壊滅してやる!!!」
このデュエルフィールドの体育館全てに自分の笑い声を響かせるくらいにカイザーは大声で笑う。
『グラファ』のカードを取り出すべくデュエルディスクのボタンを押すと『スノウ』と共にカイザーの手元に飛んでいく。
「俺様はカードを3枚セットして『スノウ』を通常召喚!! そして俺様は手札から『墓穴の道連れ』を発動だ!! こいつはなぁ! お互いに手札を見せ合いっ子して互いにいらないと思うカードを捨てることができるカードだ。手札を見せろよ!! 公平だと思わないか?」
「……何が公平だYO。君の手札はその『グラファ』しかないじゃないか!!」
堂々と『道連れ』の発動準備をして手札を全て隠した残りの手札1枚のカイザーはもちろんツバサさんはわかっていた。
全く公平じゃない取引を満足げにカイザーは手札のカードを公開する。
「へぇーー。いいカード持ってんじゃんか。『非常食』に『魔道サイエンティスト』か……。だったら一番いらねぇ『サイエンティスト』を捨てような!」
「なんだTOっ!!」
「そして互いに1枚ずつドローだ!! 『サイエンティスト』の代わりになるいいカードは引けたかぁ?」
どちらともさっきのエンドフェイズ時に『超再生力』でドローされたカード達だ。
もちろん選択されるのは禁止カードに指定されている一番やっかいなカードである『サイエンティスト』。
高校生の間では特別に許可されている禁止カードだけけれども発動できなければ他のカードと同じ。
カイザーはもちろん切り札の『グラファ』しかないのでツバサさんには選択肢は一切ない。
「『グラファ』でてめぇの場の『クィーンドラゴン』を破壊する。次に俺様は伏せてあった『闇次元の開放』を発動だ!! こいつの効果で除外されていた『ベージ』を特殊召喚!!! 再びてめぇに『グラファ』の不死身っぷりを見せてやるよ!!」
トラップカードにはセットされたターン発動することはできない効果があるが、3枚セットの隣にあった前のターンに伏せてあるカードなので問題なくこちらは発動できる。
除外ゾーンから現れるのはベージュ色の槍を持った悪魔の尖兵。まるでこのカードは暗黒界の戦動員を意味するように。
「この瞬間!! オイラの伏せてあった『激流葬』を発動する!!」
「このタイミングでとかふざけるんじゃねぇよっ!!」
あんだけ派手に動いていたのにそれを全て否定するようにフィールドに激流が起きて全てを流されてしまう。
暗黒界たちが全て流されてしまい、カイザーのフィールドに残ったのは無だけだった。
「『グラファ』は強いNEっ。無敵で不死身で他のモンスターのスペックでも全くみなYO。でもそのモンスターには弱点があるよ。このカードを召喚するにはNEっ、他の暗黒界を場に出さないといけないからNEっ」
「くそったれがっ!!」
「それに君はプレイングをミスしTA。先に『スノウ』を戻して『グラファ』を呼び出しておけば『スノウ』を失わずに済んだのに、君は『ベージ』を呼び出してしまったことで悲劇の引き金を生んでしまったんDA。冷静に物事を判断すればよかったのNI、君は焦りすぎTA」
「いちいち口出しすんじゃねぇよ!! うっせーんだよ!!」
流石に手札1枚しかないプレイングミスを犯したカイザーはこのターンはもう動けないのかこのままフィールドに何も残さずにターンを終える。
『スノウ』を戻し、『グラファ』を先に出しておけば『激流葬』の被害を抑えたはずだ。
カード1枚1枚のスペックを見て対戦相手にわざわざプレイングを口出しできるのは強いデュエリストしかできない。
去年の高校デュエル大会の個人で6位の成績を終えた強敵のツバサさんといったところか。
この人も私の学校の堀内先輩のようにふざけたキャラクターに見えても、カード1つ1つをじっくり見て戦略を取れるのは素晴らしいことだ。
「オイラのターンに変わったZEっ。そしてオイラの勝利の為のドラゴン達のパレードを開始するZEっ!!」