遊戯王~デュエルキングを目指す少女の物語   作:魔法使い?

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第28話『プロとプロ』

「先攻は俺だ!! ドロー。俺はカードを4枚セットしてターンエンド」

 

 初手6枚の手札のうちの4枚をリバースカードとしてターンを終えるリクっていう人。

 モンスターを出さなかったのはプレイングミスなのだろうか。それとも手札事故か? でもあの人はミカと同じプロって言っていた。そんなしょうもないことではないと思うけど。

 

「私のターン。私は手札から『光の援軍』を発動!! このカードのコストとして最初にカードを3枚墓地におくるわ。そしてデッキから『ライトロード・サモナー ルミナス』を手札に加える」

 

 最初に制限カードに指定されている魔法カードを使用するミカ。

 ノーコストでデッキからカードを墓地に送ることができるというメリットが最初からついているのにも関わらず、サーチ効果までついているんだから強力だ。

 

「そして『ルミナス』を通常召喚するわ。手札のカードを墓地に送り、今墓地に送った『ライトロード・アサシン ライデン』を特殊召喚!!」

 

 召喚師の女の子が青のマフラーに金色の装飾を身にまとったアサシンを呼び寄せる。

 

「『ライデン』の効果を発動するわ。効果によりデッキの上からカードを2枚墓地に送る」

 

 ミカはデッキの上のカードを2枚を数えて、それを私達に見えるように見せる。2枚ともモンスターカードのようだ。

 

「いま、落ちた『ライトロード・ビースト ウォルフ』と『ライトロード・アーチャー フェリス』の効果発動。このカードが墓地に送られたとき、特殊召喚できるわ」

「2枚ともライトロードモンスターかよ。すっげぇ運がいいな。ミカちゃんわ」

「いいえ。運ではないわ。私の勝ちたいっていう本気の魂がこの結果を招いたのよ」

「そう強気に解釈するミカちゃんは嫌いじゃないぜ。だったらその2枚のカードにチェーンして『威嚇する咆哮』『積み上げる幸福』『ご隠居の猛毒薬』『連鎖爆撃』を順番に発動だ!!」

 

 リクって人は一気にチェーンブロック6までチェーンを組んだ。

 この4枚のカードからこれから行われるカード効果の処理。どれも今のミカにとってはとても脅威のものではないだろうか。

 

「まずはチェーン6から処理をしようか。『連鎖爆撃』の効果。このカードが発動されたときのチェーンの数×400ポイントのダメージを受けてもらう。よってミカちゃんに2400ポイントのダメージを受けてもらう」

 

 大きな爆撃音とともに爆発がミカを襲う。ミカはこの一撃にも焦ることなく冷静にデュエルディスクを自分の顔の前に広げて、盾で防ぐかのようなしぐさをする。

 

 ミカ LP4000→1600

 

「チェーン5の『ご隠居の猛毒薬』の効果だ。このカードは800ポイントのダメージを受けてもらう。」

 

 ミカ LP1600→800

 

「さらにチェーン4の『積み上げる幸福』の効果。チェーン4以降に発動できるのがこのカードの特徴。このカードの発動に成功したときデッキからカードを2枚ドローする!!」

 

 発動条件が難しいカードのようだが、あの禁止カードと同じ『強欲な壺』と同じく2枚ドローもできるのか。

 

「そして最後だ。チェーン3『威嚇する咆哮』の効果だ。このカードを発動したターン、相手はバトルフェイズが行えない」

「私もチェーン2、1の『ライトロード・ビースト ウォルフ』と『ライトロード・アーチャー フェリス』の効果でそれぞれ特殊召喚するわ」

 

 ミカの前に白い服装をした獣獣と、緑髪の猫顔をした弓使いがそれぞれ現れる。

 この2体ともステータスがそれぞれ『ウォルフ』が攻撃力2100、『フェリス』が守備力2000と下級としてはとても高いのが特徴なのだが、デメリットとして通常召喚できない制約がある。

 デッキから呼び寄せるのが主な使い方になるのだろう。

 

「私はレベル3の『ライトロード・サモナー ルミナス』にレベル4の『ライトロード・アーチャー フェリス』をチューニング!! ライトロードを守護する最上位天使よ!! 英雄の魂を自らの居城へ導き開祖せよ!! シンクロ召喚!! レベル7『ライトロード・アーク ミカエル』!!」

 

 2体のモンスターが交わり、1体の白きドラゴンが呼び出される。巨大なドラゴンの頭の上には一人の戦士が身構えている。

 シンクロ召喚しないでも単体で強いカード達だったのにもったいない気がするが。このカードを呼び出した理由はなんだろうか。

 ミカは何かしらの作戦を練っているのだろうか。

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンド。そしてエンドフェイズ時に『ライデン』の効果で2枚『ミカエル』の効果で4枚合わせて6枚デッキの上からカードを墓地に送るわ」

 

 この墓地肥やし効果でまたライトロードモンスターが大量に落ちることとなる。とっくにモンスターは4種類を超えていることから『裁きの龍』を呼び出せる条件はとっくにそろっているだろう。

 

「相変わらずせこい手を使うわね。ちまちました男は私は嫌いなの。マジうざいわ」

「勝手にいえ。これが俺の戦略なのさ。カードを駆使して直接モンスターの手を使わずに相手を追い詰める。これがプロデュエルでも勝率9割を出したこの戦略!! これはミカちゃんもご存じのはずではないのかい?」

「こんな戦略するあんたと戦いたくないってずっと思ってたのにまさか私があんたとデュエルする羽目になるとはね。ほんと最悪」

 

 デュエルをする行為にいやいやな顔をしているようにも見えるミカ。

 もしかしてミカはリクって人と初めてデュエルしているのか?

 プロデュエリストと言っても芸能人みたいにたくさんいるもんだから、対戦カードが合わないということは珍しいことでもないのだろう。

 

「これで終わりとはミカちゃんらしくないな。今度は俺の番だぜ。ドローだ!!」

 

 1ターンでいかも簡単にライフを大幅に削られたミカ。相手のデッキは、見えたカードから私が勉強した知識から推測すると限りなく【チェーンバーン】だろう。

 フリーチェーンのカードでチェーンを稼ぎ、普通に使うのは難しい『連鎖爆撃』や『積み上げる幸福』の発動を狙うデッキ。

 そのフリーのカードにも相手のダメージを与えるカードはもちろん入っているだろうか。そんな相手にターンを渡してデュエルが長引くだけでも相当辛くなってくるはずだ。

 防ぐ手段というものはほとんどないのだから。

 

 

 

ミカ

LP:800

手札:2枚

場 :モンスター

   ライトロード・ビースト ウォルフ

   ライトロード・アサシン ライデン

   ライトロード・アーク ミカエル

   魔法・罠

   伏せ2枚

リク

LP:4000

手札:2→4→5枚

場 :モンスター

   なし

   魔法・罠

   伏せ0枚

 

 

 

「俺は『カードカーD』を召喚!!」

「その召喚時に『激流葬』を発動するわ。フィールド上のモンスターを全て破壊する」

 

 相手のモンスター1体に対して『激流葬』?

 自分のカードを4枚も流してまで使うのか。1対5交換というアドバンテージを考えないこのタイミングで?

 

「『ミカエル』が破壊されたときのモンスター効果を発動。このカードが破壊されたとき、このカード以外の墓地のライトロードをデッキに戻すことで1枚につき自分は戻した数×300ライフポイント回復する」

 

 ミカの墓地ゾーンからライトロードの『ライニャン』『グラゴニス』『ウォルフ』『ライデン』『ルミナス』『フェリス』『ジェニス』の計7枚を取りだしてデッキに戻して、デュエルディスクのオートシャッフル機能に流す。

 いや、相手のデッキはバーンデッキ。これを通すと『カーD』の効果で2枚ドローされてしまうと、その2枚がダメージを与えるカードだととても危険なんだろう。

 この相手では、自分のボードアドバンテージなんて関係ない。ライフをどうコントロールできるかが勝つ。

 

 ミカ LP800→2900

 

「やっぱり強気でこんな風に罠を使うミカちゃんは可愛いなーー。こんな手間をかけてライフを回復するなんてそんなプレイング俺には思いつかなかったぜ」

「むかつくわね。ユウヤ以外に可愛いって言われたくないのよ。まじでむかつく。さっさとデュエルを終わらしたい」

 

 リクって知らない人に、私の彼女のミカのことを可愛いって言ってるのは私もむかついた。でもどうして私はこんなことを思ってしまったのだろうか。

 ミカは汚い物を見るような嫌な顔で相手を見ている。

 

「俺はカードを4枚伏せてターンエンド」

「エンドフェイズ。『針虫の巣窟』を発動!! デッキの上からカードを5枚墓地に送る」

 

 またすべての手札を使ってターンを終える対戦相手。これで4枚の伏せカード。

 対するミカもデッキ肥やしカードで一度にライトロードモンスターを墓地へと送った。

 

「私のターンね。ドロー。手札から『ソーラー・エクスチェンジ』を発動。手札の『ライトロード・プリースト ジェニス』を捨てて、2枚ドローしてデッキの上から2枚墓地へと送る。そして今引いた『ソラエク』。今度は手札の『グラゴニス』を捨てて2枚ドローして2枚墓地へと送る。そして墓地へ送られた『ライトロード・メイデン ミネルバ』の効果でデッキからもう1枚墓地へと送る。そしてまた『ソラエク』。こいつで『ライニャン』を捨てて2枚ドロー」

「『ソラエク』3連打するミカちゃんも可愛いよ」

「ぎゃーぎゃーうるさいわね。馬鹿猿。そして『大嵐』を発動するわ。フィールド上の魔法・罠を全て吹き飛ばす」

 

 手札交換の3連打から引いたのは、引いたもん勝ちの強力カード。回転した風から嵐が発生し、伏せカード4枚に襲いかかる。

 

「ドSのミカさんは可愛い。煽ってもらうとドキドキするな。俺はセットされてある『第六感』と『おじゃまトリオ』を発動だ!!」

 

 冷酷・辛辣・暴力的な強気で言葉攻めするミカ。性格が真逆な女の私ではできないけど、やっぱスリルがあってかっこいいかも。

 大嵐の効果で『第六感』、『おじゃまトリオ』『ディメンション・ウォール』『自業自得』が破壊される。

 

「『おじゃまトリオ』の効果でミカちゃんの場にトークンを3体呼び寄せる」

「ふーーん。やっぱり『ディメンション・ウォール』あったんだ。先に破壊できて正解だったわ。あとついでに破壊できた『自業自得』もラッキー。相手のモンスターの数×500ポイントのダメージを与えるカードなんだけど私の場にモンスターがいなかったから問題なかったわね。先に『おじゃまトリオ』を発動できたら無駄にならなくてよかったのにねえ」

「ミカちゃんがモンスターを出した後のアクションで発動しようと思ったのに……。このタイミングで『大嵐』を引くとはただものではないな。やっぱクールでかっこいいミカちゃんはイイ!!」

 

 黄、黒、赤のトークンたちをプロデュエリスト達は見ながらこのシーンを解説をする。

 

 ターンの初めに『おじゃまトリオ』を発動できたら1500のダメージを与えることができた。

 でもそれは結果論だ。ミカの場にモンスターが1体でもいたら『大嵐』のチェーンで『自業自得』『おじゃまトリオ』と組むことで『自業自得』のダメージを増やして、2000のダメージを与えることができたのだから。

 

「だけど、無駄になったカードだけではないぜ。禁止カードである『第六感』の効果だ!! サイコロの目を俺は2つ選ぶ。5と6だ!! そしてサイコロを振って選んだの数の場合その枚数分をドローできる!! それー!!」

 

 ソリッドビジョンのサイコロが現れ、リクさんは助走をつけ、サッカーボールを蹴るみたいに、足で吹き飛ばしてサイコロが転がっていく。その結果は?

 

「よし。ついてる。6だぜ。よって6枚ドローだ!! みたか!! 俺のかっこいい運に惚れたかミカちゃん!! 俺がこのカードを当てる確率は6割なんだぜ」

「はいはい。別にすごくもなんともなくない?」

 

 自慢するリクを哀れそうな顔で見るミカ。サイコロで当てて、6枚もドローできたことは私でもすごいと思うのだが。

 デュエルモンスターズでは、ドローに制約が掛かってる為、大量ドローなんてできない。それなのに一度に6枚もドローしたリクさんって人はすごいと言える。

 

「続けるわよ。チューナーモンスター『ライトロード・メイデン ミネルバ』を通常召喚。このカードの召喚に成功したとき、自分の墓地のライトロードモンスターの種類以下のレベルのドラゴン族モンスターを手札に加えることができる。私の墓地には8種類。よって『裁きの竜』を手札に加える。そして『ミネルバ』とあんたが呼んでくれたおじゃまトークンでシンクロ召喚してもう一度『ミカエル』を呼び寄せるわ。そして『裁きの龍』も特殊召喚!!」

 

 墓地にはライトロードモンスターが0だったのに『ソラエク』連打であっという間の8種類。

 先ほどライフを大幅に回復する効果を使ったドラゴンに乗った剣士。それに加え、大きなひげが特徴の全身真っ白の神々しい竜がミカのフィールドに登場する。

 

「さて、伏せカードがないから安心できるわね。バトルフェイズと行きましょうか。『裁きの龍』でダイレクトアタック!!」

「ぐっ」

 

 リク LP4000→1000

 

 相手の場にはカードが置かれていない。このまま総攻撃で勝てると思ったが、リクさんはこのダメージ後、手札の1枚のカードを見せつける。

 

「『冥府の使者ゴーズ』を特殊召喚だ!! 自分の場に何もないときにダメージを受けた時に特殊召喚できる。そして戦闘ダメージを受けて特殊召喚した場合、その数値分の攻守を持ったトークンも特殊召喚できる」

 

 ヘッドギアをした男性の剣士に、仮面を着けた女性の剣士。

 大量ドローの後に増えた手札で、相手の連続攻撃を防ぎ、2700と3000の数値のモンスターを呼び寄せることができたのは強者の力なのだろうか。

 

「そのモンスターを残すと厄介になりそうね。だったらメインフェイズ2に入る。『裁きの龍』の効果で1000ライフを払ってフィールド上のモンスターを全て破壊だ!!」

「ぐっ」

 

 龍が空に向かって雄叫びを上げると、ソリッドビジョンの雲から稲妻が発生し、無差別にフィールド上のモンスターたちを破壊していく。

 

「だが、オジャマトークンを破壊したことにより1枚につき、300のダメージを受けてもらうぞ」

 

 ミカ LP2900→1900→1300

 

「『ミカエル』の効果。このカードが破壊されたときの効果で墓地のライトロード達をデッキに戻して回復させる。カードを1枚伏せる。そしてエンドフェイズよ。『裁きの龍』の効果で墓地に送られた『フェリス』を特殊召喚してターンエンド」

 

 ミカ LP 1300→4000

 

 

「俺のターンドローだ!! ここにきてミカさんは初期ライフに戻るとはね。ライトロードは即効性あるデッキなのにライフとデッキ枚数を増やして戦うなんて流石じゃん」

「キモッ!!!」

「そうドSのミカちゃんに煽ってくれるととってもゾクゾクする。イイね!! 俺は『ファイヤー・トルーパー』を召喚!!」

「そうはさせない!! 『ライト・バニッシュ』!! 私の場の『フェリス』をリリースしてその召喚を無効にする!!」

「なかなか強力なカウンター罠を持っていて、また俺のモンスターを防がれるとはね。俺はカードを5枚セットしてターンエンド!!」

 

 ミカとリクさんの攻防が続く。『ファイヤー・トルーパー』。これの召喚を通してしまうとミカのライフは1000失ってしまうことになっていた。

 リクさんのバーンデッキ相手では、カードを1枚でも通してしまうとそれは死につながっていく。これがプロとプロの必死の駆け引きなのか……。

 油断したほうが負ける戦い。私とは全然デュエルの腕が1つか2つくらい上の試合。デュエルのレベルが高すぎる。緊迫感がとっても漂う。

 

「私のターンドロー!!」

 

 

ミカ

LP:4000

手札:0枚→1枚

場 :モンスター

   裁きの龍

   魔法・罠

   伏せ0枚

リク

LP:1000

手札:0枚

場 :モンスター

   なし

   魔法・罠

   伏せ5枚

 

 

「私のターンドロー!! 『裁きの龍』の効果発動!! 」

 

 再びフィールド全体に大量の稲妻が互いのフィールドに発生していく。

 

「バーンデッキ相手に1000ライフを失うのは痛い。ここは読みあいだと思ったが、どうやら強気のミカちゃんには通用しないようだな。俺は『八汰烏の骸』『停戦協定』『仕込みマシンガン』『連鎖爆撃』を順番に発動だ!!」

 

 またさっきと同じように相手ターンでの大量のチェーンが始まっていく。バーンカードがまた複数という絶望。

 

「チェーン5『連鎖爆撃』。今のチェーンは5。よって2000のダメージ。チェーン4『仕込みマシンガン』。手札とフィール上のカード1枚に付き200ポイントのダメージを与えることができる! ミカさんの手札と場の数は2枚だから400ポイントのダメ―ジ。チェーン3『停戦協定』。互いの場の効果モンスターの数×500のダメージ。よって500ポイントのダメージ」

 

 ミカ LP4000→3000→1000→600→100

 

 チェーンの処理で大ダメージ。何度もダメージを与えるというソリッドビジョンの爆風がミカに襲い掛かる。

 なんとか奇跡的にライフ100だけ残ったミカは息切れをしていることから、このデュエルのギリギリの戦いだっていうことを私に訴えているように感じる。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……。ぐっ……。流石にチェーンバーン相手の連続ダメージはきついわね……。掛けだったけど運よくライフ100も残ったのか。だけど、あんたの場にはカードは1枚もないわね。そして手札のカードも0。そのヤタガラスの躯で防御カードを引けなかったらあんたの負けが決定する。ほんとおしかったわね」

「プレイングの分析力もまたすごいなミカちゃんは。だからこそ俺はミカちゃんを俺の彼女にしたい。チェーン2『躯』の効果、ワンドロー。このドローで俺は防御カードを引いて見せる!! デステニードロー!!!」

「だから私はユウヤの物だって。チェーン1『裁きの龍』!! 全てを薙ぎ払いなさい!!」

 

 『裁きの龍』の効果はシンプルかつ、強力で弱点らしい弱点がないって私はずっと思っていた。

 だけどこのデュエルで私は弱点を見つけた気がする。それは初期ライフの4分の1も失うってことだ。このおかげでミカのライフはたった100に。

 相手のカードを破壊する効果も全部フリーチェーンなら意味ないと思っていたが、相手は4枚しかカードを発動しなかった。その残りは2枚目の『ディメンション・ウォール』。

 ミカはライフ1000を惜しんで攻撃していたら、敗北していただろう。なんていう強運の持ち主なんだ。ミカは……。

 

「これでとどめよ!! 『裁きの龍』でダイレクトアタック!!」

 

 これが通ればミカの勝ちだ。だが、リクって男は負けを認めたような表情をしていない。まさかたった1枚のドローで防御カードを引いたというのか?

 

 

 

 

「『バトル・フェーダー』の効果を発動!!」

 

 鐘の音が鳴った。能力は手札のこのカードを特殊召喚して相手のバトルフェイズを強制終了させる能力。

 

「どうやら、このデュエルはまだまだ続くようだな。ライフ100の鉄壁と言っても所詮はたったそれだけ。ダメージを与えるカードが多く入っている俺のデッキには容易なことだ。俺はようやくミカちゃんを倒すことができる!!」

 

 優勢になったリクは笑顔でミカの名前を呼ぶ。ミカは無言ながらもデュエルディスクのスイッチを押すとメインフェイズ2へと移り変わる。

 ターンを渡す。バーン相手にターンを渡すのはそれは死を意味する。ライフが100しかないのだから。それは次のドローフェイズで1枚のカードで簡単に勝利条件を得ることができるのだから。

 

「私は『苦渋の選択』を発動!!」

「何!! ここで禁止カード!?」

「デッキから『ウォルフ』『ウォルフ』『ウォルフ』『嵐征竜-テンペスト』『巌征竜-レドックス』を選ぶわ。さあ、どれを選ぶ?」

 

 どれも墓地に落ちてこそ意味があるカード。

 相手はこの中から選ぶことになるのだが、選んだカードはミカの手札に、それ以外は墓地へと行く。

 どれを選んでも爆アド確定のミカにとっては、相手がまさに『苦渋の選択』となる。

 

「俺は『ウォルフ』を選択する!!」

「『ウォルフ』を手札に加えて、それ以外は墓地へ。そして墓地に送られた『ウォルフ』を特殊召喚!! この2体でエクシーズ!! 『武神帝-ツクヨミ』!!」

 

 獣2体が、神話に出てくるツクヨミへと変わる。

 

「『ツクヨミ』の効果、ORUを取り除き、手札を全て捨てて2枚ドロー」

 

 この効果は手札が無ければ使えない、『苦渋の選択』で増えた『ウォルフ』を使うというコンボ。カード1枚でこのエクシーズ召喚は確定していたんだ。

 

「『ルミナス』を通常召喚。手札の『ライデン』を切って、『ライデン』を特殊召喚。そしてモンスター効果、今落ちた『エクリプス・ワイバーン』のモンスター効果によりデッキの『裁きの龍』を除外。この2体で3枚目の『ミカエル』を特殊召喚!!」

 

 このデュエル3回目の『ミカエル』。ミカは3枚積んであったのだろう。

 その目的は何度も見たからわかる。ライフ回復という目的のために呼んだのだ。でも、『裁きの龍』のライフはもう支払えない。ならどうやって破壊を……?

 

「ぐっ。手札のカード1枚でミカちゃんのソリティアが始まるというのか!!」

「墓地の『エクリプス』1枚目の『ミカエル』を除外して『レドックス』を特殊召喚。『エクリプス』が除外されたことにより、『裁きの龍』を回収。そして墓地の2枚目の『ミカエル』と手札の『裁きの龍』を除外して『テンペスト』を特殊召喚!! この征竜達は墓地か手札のドラゴン族を除外することでそれぞれ呼び寄せられる」

 

 墓地から蘇る『レドックス』と『テンペスト』。ミカの前に綺麗なドラゴンが4体も並ぶ姿は圧巻である。

 

「レベル7の『レドックス』と『テンペスト』でエクシーズ召喚よ!! 現れなさい!! 『幻獣機ドラゴサック』!!!」

 

 プロペラ音とともに現れたのは巨大な戦闘機。

 

「さあ、これであなたは積みよ。『トラゴサック』のモンスター効果!! 幻獣機モンスターをリリースすることでカードを破壊できるんだけど、それは自身にも含まれる。『トラゴサック』を破壊して『ミカエル』を破壊!!」

「また『ミカエル』を破壊したっていうことは……?」

「そう正解~~。『ウォルフ』2体と『ライデン』『ルミナス』『フェリス』をデッキに戻して回復ー。回復ーーっと」

 

 ミカ LP100→1600

 

 

「俺のターン!! カードを1枚セットして終了だ!! だが、俺はまだ諦めてない!! ミカちゃんのライフを削って俺は……。俺はぁあああああああああ!!!」

「お行儀側が悪いのよ。あんた。私は『ライトロード・ドルイド オルクス』を通常召喚。このカードの効果で、ライトロードモンスターはカード効果の対象を受けない。バトルよ!! オルクスでダイレクトアタック!!」

「うわあああああああああああああああ。『自業自得』を発動!!!」

 

 ミカ LP1600→100

 リク LP1000→0

 

 『魔法の筒』警戒で出しただろう『オルクス』によってリクに止めを差される。

 『自業自得』ではミカの『裁きの龍』『ツクヨミ』『オルクス』の計3体では止めを差すことができなかった。最後に100だけを残ったのはミカは、これも警戒してモンスター3体止めを考えていたのだろうか。

 

 

「ううっ。あともう少しだったのに……。負けちゃった……。俺はプロリーグでもほとんど負けなしだったんだぞ……。それなのに……。ママ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」

 

 今まで、クールキャラぶっていたはずのリクはそう告げて勢いよくここから去っていた。

 

「あの男……。デュエルに負けたら本性見せやがって。20歳の癖にマザコンだったのかよ。きもっ。そんな男が私と釣り合うなんてありえないんだから」

 

 あのリクって人も私が見てきた中のデュエリストの中でもベスト3に入るくらいの強敵デュエリストだった。

 ミカもやっぱり強い。チェーンバーン相手にここまで最善なプレイングを出すなんて。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

「るんるんるるるーん」

 

 ご機嫌たっぷりに歌を歌いながら、ミカは私と繋いでいる手を振り回して歩いている。

 

「………」

 

 私は恥ずかしさのあまりミカの顔を合わせられない。

 あの唇が私のファーストキスを奪ったと思うと、顔が真っ赤になってしまい、まともな思考が出来なくなっている。

 

「何、恥ずかしがってるのよ。ユウヤ。私達はもうディープキスまでした仲なんだよ」

「かぁ………」

 

 どうあがいたってもう現実は戻ってこない。私は女じゃなくて、男なんだ。そう、だからキスをしてしまったんだ。これが現実。

 

「大きくなったら私達結婚しようねーー」

 

 どうしよう……。このままでは本当にミカと結婚してしまう……。

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